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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176141
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】インストルメントパネル構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2165 20110101AFI20241212BHJP
   B60R 21/205 20110101ALI20241212BHJP
【FI】
B60R21/2165
B60R21/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094426
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槌 勝能
(72)【発明者】
【氏名】江村 陽平
(72)【発明者】
【氏名】別府 克哉
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 真
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 優友
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA14
3D054BB09
3D054BB16
3D054BB17
3D054BB23
3D054FF16
(57)【要約】
【課題】車幅方向から見た断面視で、開裂部が車室側へ凸となる屈曲部から離れた位置に形成されていても、その開裂部に膨張展開するエアバッグからの荷重が効率よく伝達されるインストルメントパネル構造を得る。
【解決手段】膨張展開するエアバッグから荷重が伝達されることで開裂する開裂部16を有するインストルメントパネル12を備えたインストルメントパネル構造10であって、インストルメントパネル12は、車幅方向から見た断面視で、開裂部16と車両前後方向に離れて形成され、車室側へ凸となる屈曲部14と、屈曲部14の内側に設けられ、膨張展開するエアバッグを開裂部16へ案内する案内部20と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張展開するエアバッグから荷重が伝達されることで開裂する開裂部を有するインストルメントパネルを備え、
前記インストルメントパネルは、
車幅方向から見た断面視で、前記開裂部と車両前後方向に離れて形成され、車室側へ凸となる屈曲部と、
前記屈曲部の内側に設けられ、膨張展開する前記エアバッグを前記開裂部へ案内する案内部と、
を有するインストルメントパネル構造。
【請求項2】
前記案内部は、
前記屈曲部の内側に車幅方向を法線方向として一体に形成され、車両前後方向一端部が前記開裂部に位置する複数の平板部で構成されている請求項1に記載のインストルメントパネル構造。
【請求項3】
前記平板部の車両前後方向他端部は、前記開裂部から開裂した前記インストルメントパネルの前記屈曲部を有する一方側を回動可能に支持するヒンジ部に位置する請求項2に記載のインストルメントパネル構造。
【請求項4】
前記平板部は、車幅方向から見て、前記屈曲部を頂点とする鈍角三角形状に形成されている請求項3に記載のインストルメントパネル構造。
【請求項5】
前記平板部の車両前後方向一端部は、該平板部の車両前後方向他端部よりも厚く形成されている請求項4に記載のインストルメントパネル構造。
【請求項6】
前記開裂部から開裂した前記インストルメントパネルの前記屈曲部を有さない他方側の内側に車幅方向を法線方向として一体に形成され、車両前後方向一端部が前記開裂部に位置する複数の突条部を有する請求項1~請求項5の何れか1項に記載のインストルメントパネル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
膨張展開するエアバッグから荷重が伝達されることで開裂する開裂部(車幅方向に延在する線状薄肉部)を有するインストルメントパネルは、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。この開裂部は、車幅方向から見た断面視で、車室側へ凸となる屈曲部に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-123974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、車幅方向から見た断面視で、インストルメントパネルに車室側へ凸となる屈曲部が形成されていると、膨張展開前のエアバッグと、その屈曲部との間の空間部が広く採られる。そのため、膨張展開し始めたエアバッグは、その膨張展開を妨げない空間部(屈曲部)に向かって膨張展開しようとするが、開裂部が屈曲部に形成されていない場合、換言すれば開裂部が屈曲部から離れた位置に形成されている場合、その開裂部には、膨張展開するエアバッグから開裂に必要な荷重が効率よく伝達されない。
【0005】
そこで、本発明は、車幅方向から見た断面視で、開裂部が車室側へ凸となる屈曲部から離れた位置に形成されていても、その開裂部に膨張展開するエアバッグからの荷重が効率よく伝達されるインストルメントパネル構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る第1の態様のインストルメントパネル構造は、膨張展開するエアバッグから荷重が伝達されることで開裂する開裂部を有するインストルメントパネルを備え、前記インストルメントパネルは、車幅方向から見た断面視で、前記開裂部と車両前後方向に離れて形成され、車室側へ凸となる屈曲部と、前記屈曲部の内側に設けられ、膨張展開する前記エアバッグを前記開裂部へ案内する案内部と、を有している。
【0007】
第1の態様の発明によれば、車幅方向から見た断面視で、インストルメントパネルに、車室側へ凸となる屈曲部が開裂部と車両前後方向に離れて形成されているが、その屈曲部の内側には、膨張展開するエアバッグを開裂部へ案内する案内部が設けられている。したがって、屈曲部へ向けて膨張展開するエアバッグは、その案内部によって開裂部へ案内される。これにより、膨張展開するエアバッグからの荷重が効率よく開裂部へ伝達される。
【0008】
また、本発明に係る第2の態様のインストルメントパネル構造は、第1の態様のインストルメントパネル構造であって、前記案内部は、前記屈曲部の内側に車幅方向を法線方向として一体に形成され、車両前後方向一端部が前記開裂部に位置する複数の平板部で構成されている。
【0009】
第2の態様の発明によれば、案内部が、屈曲部の内側に車幅方向を法線方向として一体に形成された複数の平板部で構成され、その複数の平板部の車両前後方向一端部が開裂部に位置している。したがって、屈曲部へ向けて膨張展開するエアバッグが開裂部へ向けてスムーズに案内されるとともに、案内部がインストルメントパネルと一体に形成されていない場合に比べて、その製造コストが低減される。
【0010】
また、本発明に係る第3の態様のインストルメントパネル構造は、第2の態様のインストルメントパネル構造であって、前記平板部の車両前後方向他端部は、前記開裂部から開裂した前記インストルメントパネルの前記屈曲部を有する一方側を回動可能に支持するヒンジ部に位置している。
【0011】
第3の態様の発明によれば、平板部の車両前後方向他端部が、開裂部から開裂したインストルメントパネルの屈曲部を有する一方側を回動可能に支持するヒンジ部に位置している。したがって、平板部の車両前後方向他端部がヒンジ部に位置していない場合に比べて、インストルメントパネルの屈曲部を有する一方側の剛性が効果的に確保される。
【0012】
また、本発明に係る第4の態様のインストルメントパネル構造は、第2又は第3の態様のインストルメントパネル構造であって、前記平板部は、車幅方向から見て、前記屈曲部を頂点とする鈍角三角形状に形成されている。
【0013】
第4の態様の発明によれば、車幅方向から見て、平板部が屈曲部を頂点とする鈍角三角形状に形成されている。したがって、平板部が屈曲部を頂点とする鈍角三角形状に形成されていない場合に比べて、屈曲部へ向けて膨張展開するエアバッグが開裂部へ向けてよりスムーズに案内される。なお、本発明における「鈍角三角形状」には、正確な鈍角三角形状ではない略鈍角三角形状も含まれる。
【0014】
また、本発明に係る第5の態様のインストルメントパネル構造は、第2~第4の何れか1つの態様のインストルメントパネル構造であって、前記平板部の車両前後方向一端部は、該平板部の車両前後方向他端部よりも厚く形成されている。
【0015】
第5の態様の発明によれば、平板部の車両前後方向一端部が車両前後方向他端部よりも厚く形成されている。したがって、平板部の車両前後方向一端部が車両前後方向他端部と同じ厚さに形成されている場合に比べて、膨張展開するエアバッグからの荷重がより効率よく開裂部へ伝達される。
【0016】
また、本発明に係る第6の態様のインストルメントパネル構造は、第1~第5の何れか1つの態様のインストルメントパネル構造であって、前記開裂部から開裂した前記インストルメントパネルの前記屈曲部を有さない他方側の内側に車幅方向を法線方向として一体に形成され、車両前後方向一端部が前記開裂部に位置する複数の突条部を有している。
【0017】
第6の態様の発明によれば、開裂部から開裂したインストルメントパネルの屈曲部を有さない他方側の内側に、車両前後方向一端部が開裂部に位置する複数の突条部が車幅方向を法線方向として一体に形成されている。したがって、インストルメントパネルの屈曲部を有さない他方側の内側に複数の突条部が形成されていない場合に比べて、インストルメントパネルの屈曲部を有さない他方側の剛性が効果的に確保される。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、車幅方向から見た断面視で、開裂部が車室側へ凸となる屈曲部から離れた位置に形成されていても、その開裂部に膨張展開するエアバッグからの荷重を効率よく伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係るインストルメントパネルを車室側から見て示す概略斜視図である。
図2】本実施形態に係るインストルメントパネル構造を示す概略斜視図である。
図3】本実施形態に係るインストルメントパネル構造を示す概略底面図である。
図4図1のX-X線矢視概略断面図である。
図5】本実施形態に係るインストルメントパネル構造の変形例を示す概略底面図である。
図6】比較例に係るインストルメントパネル構造を示す図4に相当する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印UPを車両上方向、矢印FRを車両前方向、矢印REを車両後方向、矢印RHを車両右方向とする。したがって、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車両における上下、前後、左右を示すものとする。また、左右方向は、車幅方向と同義である。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態に係るインストルメントパネル構造10を備えた樹脂製のインストルメントパネル(以下、略して「インパネ」という場合がある)12は、助手席側のインパネであり、車幅方向から見て、車室側へ凸となる屈曲部14を有している。この屈曲部14は、インパネ12の上部側において、車幅方向に沿って延在するように形成されている。
【0022】
図2図4に示されるように、インパネ12における開裂部16は、屈曲部14から前後方向に離れた位置(前側へずれた位置)に形成されている。開裂部16は、膨張展開するエアバッグ34(後述)から荷重が伝達されることで開裂する線状薄肉部であり、車幅方向に沿って延在する主開裂部16Aと、その主開裂部16Aから斜めに延在する副開裂部16Bと、で構成されている。
【0023】
主開裂部16Aは、屈曲部14と略平行に所定の間隔を空けて並ぶように形成されている。副開裂部16Bは、主開裂部16Aの延在方向両端部からそれぞれ斜め前方側と斜め後方側へ所定の長さで延在しており、主開裂部16Aとで略「Y」字状となるように形成されている(図2図3参照)。
【0024】
屈曲部14の内側には、膨張展開するエアバッグ34(後述)を開裂部16へ案内する案内部としての複数(図示のものは6枚)の平板部、即ち平板状のリブ20が、車幅方向を法線方向として一体に形成されている。車幅方向から見て、各リブ20は、屈曲部14を頂点とする略鈍角三角形状に形成されている。
【0025】
各リブ20の前端部(前後方向一端部)22は、開裂部16(主開裂部16A)に位置しており、各リブ20の後端部(前後方向他端部)24は、開裂部16から開裂したインパネ12の下部12A(屈曲部14を有する一方側)を回動可能に支持するヒンジ部18に位置している。換言すれば、各リブ20の前端部22の先端が開裂部16(主開裂部16A)に臨んでおり、各リブ20の後端部24の先端がヒンジ部18に臨んでいる(図4参照)。
【0026】
また、開裂部16から開裂したインパネ12の上部12B(屈曲部14を有さない他方側)の内側には、複数(図示のものは4枚)の平板状の突条部26が、車幅方向を法線方向として一体に形成されている。車幅方向から見て、各突条部26は、略鈍角三角形状をなすリブ20の高さ(頂点から底辺へ引いた垂線の長さ)よりも低い高さの細長い略長方形状に形成されている。
【0027】
各突条部26の後端部(前後方向一端部)28は、開裂部16(主開裂部16A)に位置しており、各突条部26の前端部(前後方向他端部)27は、インパネ12の上部12Bを回動可能に支持するヒンジ部17に位置している。換言すれば、各突条部26の後端部28の先端が開裂部16(主開裂部16A)に臨んでおり、各突条部26の前端部27の先端がヒンジ部17に臨んでいる(図2図4参照)。
【0028】
なお、左右両側の2枚の突条部26の前端部27は、ヒンジ部17の左右両側端部に位置している。また、各リブ20と各突条部26とは、インパネ12(下部12A及び上部12B)の剛性を効果的に確保する上で、前後方向に連続して設けられることが好ましい。そのため、図示のものは、左右方向中央部側の2枚のリブ20と左右方向中央部側の2枚の突条部26とが前後方向に連続するように形成されている(図2図3参照)。
【0029】
また、各リブ20及び各突条部26は、それぞれインパネ12側(上方側)がインパネ12から離れている側(下方側)よりも厚く形成されている。換言すれば、各リブ20及び各突条部26は、インパネ12側から後述するエアバッグ34側(下方側)へ行くに従って徐々に薄くなるように形成されている(図3参照)。
【0030】
例えば、各リブ20の場合、インパネ12側の最大厚みが4.5mm程度とされ、インパネ12から離れている側の最小厚みが2.5mm程度とされており、所謂抜き勾配が形成されている。これにより、図示しない金型内で成形されたインパネ12が、その金型内から取り出し易くなる構成になっている。
【0031】
図4に示されるように、インパネ12の内側(裏側)には、エアバッグモジュール30が配置されている。エアバッグモジュール30は、インフレータ32と、そのインフレータ32からガスが供給されるエアバッグ34と、を含んで構成されている。インフレータ32は、ガス発生装置であり、車両の衝突が検知又は予知されたとき(以下「衝突時」という)に作動して、瞬時にガスを噴出可能に構成されている。
【0032】
エアバッグ34は、2枚の基布の外周縁部を互いに縫製することで単一の袋状に形成されており、インパネ12の内側(裏側)に折り畳まれた状態で設けられている。このエアバッグ34は、車両の衝突時に、インフレータ32から噴出されたガスが内部に供給されることにより、インパネ12の開裂部16を開裂(破断)して、助手席に着座している乗員(図示省略)へ向けて膨張展開するようになっている。
【0033】
以上のような構成とされた本実施形態に係るインストルメントパネル構造10において、次にその作用について説明する。
【0034】
まず、比較例に係るインストルメントパネル構造100について説明する。図6に示されるように、この比較例に係るインストルメントパネル構造100では、インパネ102の屈曲部104の内側にリブ20が形成されていない。したがって、車幅方向から見た断面視で、膨張展開前の折り畳まれた状態のエアバッグ34と屈曲部104との間には、広い空間部Sが形成されている。
【0035】
そのため、車両の衝突時に、膨張展開し始めたエアバッグ34は、その膨張展開を妨げない空間部S(屈曲部104)に向かって膨張展開しようとするが、このインパネ102の開裂部106は、屈曲部104から前後方向に離れた位置(前側へずれた位置)に形成されている。よって、その開裂部106には、膨張展開するエアバッグ34から開裂に必要な荷重が効率よく伝達されない。
【0036】
これに対し、本実施形態に係るインストルメントパネル構造10では、図2図4に示されるように、インパネ12の屈曲部14の内側に、エアバッグ34を開裂部16へ案内する案内部としての複数のリブ20が車幅方向を法線方向として一体に形成されており、各リブ20の前端部22が開裂部16に位置している。そのため、車幅方向から見た断面視で、膨張展開前の折り畳まれた状態のエアバッグ34と屈曲部14との間には、図6の比較例で示されるほどの広い空間部Sは形成されない。
【0037】
したがって、車両の衝突時に、膨張展開し始めたエアバッグ34が屈曲部14に向かって膨張展開しようとしても、そのエアバッグ34は、各リブ20によって開裂部16へ向けてスムーズに案内される。これにより、膨張展開するエアバッグ34からの荷重が効率よく開裂部16へ伝達され、膨張展開するエアバッグ34によって開裂部16が速やかに開裂(破断)される。つまり、車両の衝突時には、エアバッグ34が、狙い通りの位置に速やかに膨張展開され、助手席に着座している乗員を効果的に拘束することができる。
【0038】
また、案内部がインパネ12と一体に形成された複数のリブ20で構成されているため、案内部がインパネ12と一体に形成されていない場合、例えば矩形平板状のパネル部材(図示省略)が略上下方向を法線方向として屈曲部14を跨ぐように接合されて設けられ、そのパネル部材の下方側を向く平坦面によってエアバッグ34を開裂部16へ案内する構成とされている場合に比べて、インパネ12の重量増加を抑制することができるとともに、その製造コストを低減させることができる。
【0039】
また、各リブ20は、車幅方向から見て、屈曲部14を頂点とする略鈍角三角形状に形成されているため、各リブ20が屈曲部14を頂点とする略鈍角三角形状に形成されていない場合、例えば略鈍角三角形状の底辺に相当する部分が上方側へ凹むように略円弧状に切り欠かれた形状に形成されている場合に比べて、屈曲部14へ向けて膨張展開するエアバッグ34を開裂部16へ向けてよりスムーズに案内することができる。
【0040】
また、各リブ20の後端部24は、インパネ12の下部12Aを回動可能に支持するヒンジ部18に位置している。したがって、各リブ20の後端部24がヒンジ部18に位置していない場合に比べて、インパネ12の下部12Aの剛性を効果的に確保することができる。
【0041】
また、インパネ12の上部12Bの内側には、後端部28が開裂部16に位置する複数の突条部26が車幅方向を法線方向として一体に形成されている。したがって、インパネ12の上部12Bの内側に複数の突条部26が形成されていない場合に比べて、インパネ12の上部12Bの剛性を効果的に確保することができる。
【0042】
なお、図5に示されるように、各リブ20は、開裂部16(主開裂部16A)に位置する前端部22が、ヒンジ部18に位置する後端部24よりも厚く形成されていてもよい。これによれば、各リブ20の前端部22が後端部24と同じ厚さに形成されている場合に比べて、各リブ20の前端部22における剛性を高めることができる。
【0043】
したがって、膨張展開するエアバッグ34からの荷重を、各リブ20の特に前端部22を介して、開裂部16(主開裂部16A)へ向けてより効率よく伝達することができる。つまり、このような構成にすると、膨張展開するエアバッグ34によって開裂部16がより速やかに開裂(破断)され、そのエアバッグ34が、狙い通りの位置により速やかに膨張展開される。
【0044】
以上、本実施形態に係るインストルメントパネル構造10について、図面を基に説明したが、本実施形態に係るインストルメントパネル構造10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、案内部は、複数のリブ20で構成されるものに限定されるものではない。
【0045】
また、屈曲部14は、複数形成されていてもよく、その場合も、各屈曲部14の内側に案内部(複数のリブ20)が形成される。また、リブ20の枚数は、多ければ多いほど好ましく、図示の6枚に限定されるものではない。また、各リブ20の形状は、屈曲部14を頂点とした略鈍角三角形状に限定されるものではなく、膨張展開し始めたエアバッグ34を開裂部16へ向けて効果的に案内できる形状になっていればよい。
【0046】
但し、各リブ20が、屈曲部14を頂点とした略鈍角三角形状に形成されていると、例えば車幅方向から見て、底辺に相当する部位がエアバッグモジュール30側へ略矩形状に張り出した略五角形状に形成されている場合に比べて、インパネ12を製造する際の樹脂材の量を低減させることができるため(樹脂材の量を最少にすることができるため)、樹脂材の増加に伴うインパネ12の重量増加及び製造コストの増加を抑制することができて好ましい。
【符号の説明】
【0047】
10 インストルメントパネル構造
12 インストルメントパネル
14 屈曲部
16 開裂部
18 ヒンジ部
20 リブ(平板部/案内部)
22 前端部(前後方向一端部)
24 後端部(前後方向他端部)
26 突条部
28 後端部(前後方向一端部)
34 エアバッグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6