(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176150
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】易接着フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/34 20060101AFI20241212BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20241212BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20241212BHJP
C09J 167/02 20060101ALI20241212BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B32B27/34
B32B27/36
B32B15/08 N
C09J167/02
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094446
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛田 祐太
(72)【発明者】
【氏名】浅井 文雄
【テーマコード(参考)】
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AA20
4F100AA20A
4F100AB00C
4F100AB17C
4F100AB33C
4F100AH02
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4J040EC002
4J040ED041
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4J040JA01
4J040KA16
4J040LA06
4J040MA02
4J040MA10
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】半芳香族ポリアミド樹脂からなる基材フィルムと金属板とを、高い接着強力で積層することが可能な易接着フィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する易接着フィルムであって、基材フィルムが半芳香族ポリアミド樹脂からなり、易接着層が共重合ポリエステル樹脂を含有し、易接着層面に金属板が積層された積層体において、基材フィルムと金属板の剥離強力が8.0N/15mm以上であることを特徴とする易接着フィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する易接着フィルムであって、
基材フィルムが半芳香族ポリアミド樹脂からなり、
易接着層が共重合ポリエステル樹脂を含有し、
易接着層面に金属板が積層された積層体において、基材フィルムと金属板の剥離強力が8.0N/15mm以上であることを特徴とする易接着フィルム。
【請求項2】
易接着層が、共重合ポリエステル樹脂100質量部と、エポキシ化合物3~13質量部と、イミダゾール化合物0.3~0.9質量部とを含有する樹脂組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の易接着フィルム。
【請求項3】
共重合ポリエステル樹脂が、
酸成分中、イソフタル酸を30モル%以上含有し、
グリコール成分中、側鎖を有するグリコールを30モル%以上と、繰り返し単位の炭素数が2~4であり、数平均分子量が200以上であるポリアルキレングリコールを1~20モル%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の易接着フィルム。
【請求項4】
共重合ポリエステル樹脂の酸価が2~8mgKOH/gであり、ガラス転移温度が-10~10℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の易接着フィルム。
【請求項5】
基材フィルムが、180℃×30分の熱処理後に、80%以上の引張強度と、80%以上の引張伸度とを保持することを特徴とする請求項1または2に記載の易接着フィルム。
【請求項6】
請求項1に記載の易接着フィルムの易接着層面に、金属板が積層された積層体。
【請求項7】
基材フィルムと金属板の剥離強力が8.0N/15mm以上であることを特徴とする請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
金属板が銅箔である請求項6または7に記載の積層体。
【請求項9】
請求項6または7に記載の積層体を用いた光学部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する易接着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のLED表示装置の広範な普及の中で、透明LEDスクリーンの開発が進んでいる。透明LEDスクリーンは、文字や映像の情報を伝達に加えて、スクリーンの背後にある、美観に優れた形状や、模様、色彩などの意匠をも利用することができる。透明LEDスクリーンの開発には、柔軟性があり、透明性を有するフレキシブルプリント基板が求められる。透明フレキシブルプリント基板を構成する基材フィルムは、向こう側を問題なく見ることができる視認性の他に、回路を形成する銅箔などの金属や金属酸化物などとの接着性が求められる。また、基材フィルムには、150℃以上に加熱して銅箔とボンディングシートを接着させる熱プレス工程や、はんだ付けでの200℃以上のリフロー工程などで、劣化しない耐熱性や熱寸法安定性を有することも必要とされている。
脂肪族ジアミンとテレフタル酸の重縮合体である半芳香族ポリアミド樹脂を使用したフィルムは、脂肪族ポリアミドフィルムと比較して、耐熱性をはじめとした種々の性能に優れており、様々な電子機器や光学部品に適用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、半芳香族ポリアミド樹脂の基材フィルムに、ウレタン樹脂からなる易接着層を形成した易接着フィルムは、光学特性や、基材フィルムとの密着性に優れることが開示されている。また、特許文献2には、半芳香族ポリアミド樹脂の基材フィルムに、ダイマー酸系ポリアミド樹脂からなる接着層を介して金属板を積層した積層体は、幅広い温度変化に対して接着耐久性を有することが開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されている易接着フィルムは、基材フィルムとの密着性に優れているが、金属板との接着性については言及されていない。また、特許文献2に開示されている積層体は、金属板の接着強力が低いため、金属板をエッチングする工程やリフロー工程時において、金属板が剥離することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-47295号公報
【特許文献2】国際公開第2019/054426号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、半芳香族ポリアミド樹脂からなる基材フィルムと金属板とを、高い接着強力で積層することが可能な易接着フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、半芳香族ポリアミド樹脂からなる基材フィルムの少なくとも片面に形成した、共重合ポリエステル樹脂を含有する易接着層が、金属板との接着性に優れ、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
(1)基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する易接着フィルムであって、
基材フィルムが半芳香族ポリアミド樹脂からなり、
易接着層が共重合ポリエステル樹脂を含有し、
易接着層面に金属板が積層された積層体において、基材フィルムと金属板の剥離強力が8.0N/15mm以上であることを特徴とする易接着フィルム。
(2)易接着層が、共重合ポリエステル樹脂100質量部と、エポキシ化合物3~13質量部と、イミダゾール化合物0.3~0.9質量部とを含有する樹脂組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする(1)に記載の易接着フィルム。
(3)共重合ポリエステル樹脂が、
酸成分中、イソフタル酸を30モル%以上含有し、
グリコール成分中、側鎖を有するグリコールを30モル%以上と、繰り返し単位の炭素数が2~4であり、数平均分子量が200以上であるポリアルキレングリコールを1~20モル%含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の易接着フィルム。
(4)共重合ポリエステルの酸価が2~8mgKOH/gであり、ガラス転移温度が-10~10℃であることを特徴とする(1)または(2)に記載の易接着フィルム。
(5)基材フィルムが、180℃×30分の熱処理後に、80%以上の引張強度と、80%以上の引張伸度とを保持することを特徴とする(1)または(2)に記載の易接着フィルム。
(6)上記(1)に記載の易接着フィルムの易接着層面に、金属板が積層された積層体。
(7)基材フィルムと金属板の剥離強力が8.0N/15mm以上であることを特徴とする(6)に記載の積層体。
(8)金属板が銅箔である(6)または(7)に記載の積層体。
(9)上記(6)または(7)に記載の積層体を用いた光学部品。
【発明の効果】
【0008】
本発明の易接着フィルムは、透明性、耐熱性に優れ、金属板を高い接着力で積層することができる。よって、本発明の易接着フィルムは、LEDスクリーン等の透明フレキシブルプリント基板に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の易接着フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有し、基材フィルムが半芳香族ポリアミド樹脂からなり、易接着層が共重合ポリエステル樹脂を含有するものである。
【0010】
<基材フィルム>
本発明の易接着フィルムを構成する基材フィルムは、半芳香族ポリアミド樹脂からなる。半芳香族ポリアミド樹脂は、耐熱性、耐屈曲性等の機械特性のバランスに優れる。
本発明において、半芳香族ポリアミド樹脂とは、ジカルボン酸成分とジアミン成分とから構成され、ジカルボン酸成分またはジアミン成分中に芳香族成分を有するものである。
【0011】
半芳香族ポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分は、テレフタル酸を主成分とすることが好ましく、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸成分中のテレフタル酸の割合は、60~100モル%であることが好ましい。
【0012】
半芳香族ポリアミド樹脂を構成するジアミン成分は、炭素数が4~15である脂肪族ジアミンを主成分とすることが好ましい。炭素数が4~15である脂肪族ジアミンとしては、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0013】
半芳香族ポリアミド樹脂は、テレフタル酸のみからなる(テレフタル酸100モル%である)ジカルボン酸成分と、1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとを合計でジアミン成分中に100モル%含有するジアミン成分とからなる半芳香族ポリアミド樹脂や、テレフタル酸のみからなる(テレフタル酸100モル%である)ジカルボン酸成分と、1,10-デカンジアミンを含有するジアミン成分とからなる半芳香族ポリアミド樹脂であることが好ましい。
【0014】
半芳香族ポリアミド樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、ε-カプロラクタム、ζ-エナントラクタム、η-カプリルラクタム、ω-ラウロラクタム等のラクタム類が共重合されていてもよい。
【0015】
半芳香族ポリアミド樹脂を構成するモノマーの種類および共重合比率は、得られる半芳香族ポリアミド樹脂の融点(Tm)が270~350℃の範囲になるように選択することが好ましい。半芳香族ポリアミド樹脂のTmが270℃未満であると、得られるフィルムは、耐熱性が不十分となることがある。一方、半芳香族ポリアミド樹脂は、Tmが350℃を超えると、フィルム製造時に熱分解が起こることがある。
【0016】
半芳香族ポリアミド樹脂は、重合触媒や末端封止剤が含まれてもよい。末端封止剤としては、例えば、酢酸、ラウリン酸、安息香酸、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが挙げられる。また、重合触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、またはそれらの塩等が挙げられる。
【0017】
半芳香族ポリアミド樹脂として、市販品を好適に使用することができる。このような市販品としては、例えば、クラレ社製の「ジェネスタ(登録商標)」、ユニチカ社製「ゼコット(登録商標)」、三菱エンジニアリングプラスチック社製「レニー(登録商標)」、三井化学社製「アーレン(登録商標)」、BASF社製「ウルトラミッド(登録商標)」、三菱ガス化学社製ナイロンMXD6などが挙げられる。
【0018】
半芳香族ポリアミド樹脂は、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミン成分とを原料とする溶液重合法または界面重合法(A法)、あるいはジカルボン酸成分とジアミン成分とを原料として低重合物を作製し、該低重合物を溶融重合または固相重合により高分子量化する方法(B法)、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを原料として塩および低重合物の破砕混合物を生成しこれを固相重合する方法(C法)、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを原料として塩を生成しこれを固相重合する方法(D法)などが挙げられる。
【0019】
B法では、例えば、ジアミン成分、ジカルボン酸成分および重合触媒を一括で混合することで調製されたナイロン塩を、200~250℃の温度で加熱重合することで、低重合物を得ることができる。低重合物の極限粘度は、0.1~0.6dL/gであることが好ましい。低重合物の極限粘度をこの範囲とすることで、続く固相重合や溶融重合において、ジカルボン酸成分におけるカルボキシル基とジアミン成分におけるアミノ基のモルバランスの崩れを生じさせず、重合速度を速くすることができるという利点がある。低重合物の極限粘度が0.1dL/g未満であると、重合時間が長くなり、生産性に劣る場合がある。一方、0.6dL/gを超えると、得られる半芳香族ポリアミド樹脂が着色してしまう場合がある。
低重合物の固相重合は、好ましくは、減圧下または不活性ガス流通下でおこなわれる。また、固相重合の温度は200~280℃であることが好ましい。固相重合の温度をこの範囲とすることで、得られる半芳香族ポリアミド樹脂の着色やゲル化を抑制することができる。固相重合の温度が200℃未満であると、重合時間が長くなるため生産性に劣る場合がある。一方、280℃を超えると、得られる半芳香族ポリアミド樹脂において、着色やゲル化が発現する場合がある。
低重合物の溶融重合は、好ましくは、350℃以下の温度で行われる。重合温度が350℃を超えると、半芳香族ポリアミド樹脂の分解や熱劣化が促進される場合がある。そのため、このような半芳香族ポリアミド樹脂から得られたフィルムは、強度や外観に劣ることがある。なお、上記の溶融重合には、溶融押出機を用いた溶融重合も含まれる。
【0020】
C法では、例えば、溶融状態の脂肪族ジアミンと固体の芳香族ジカルボン酸とからなる懸濁液を攪拌混合し、混合液を得る。そして、この混合液において、最終的に生成する半芳香族ポリアミド樹脂の融点未満の温度で、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンの反応による塩の生成反応と、生成した塩の重合による低重合物の生成反応とをおこない、塩および低重合物の混合物を得る。この場合、反応をさせながら破砕をおこなってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕をおこなってもよい。そして、得られた反応生成物を、最終的に生成する半芳香族ポリアミド樹脂の融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、半芳香族ポリアミド樹脂を得る。固相重合は、重合温度180~270℃、反応時間0.5~10時間で、窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
【0021】
D法では、例えば、芳香族ジカルボン酸粉末を、予め脂肪族ジアミンの融点以上、かつ芳香族ジカルボン酸の融点以下の温度に加熱し、この温度の芳香族ジカルボン酸粉末に、芳香族ジカルボン酸の粉末の状態を保つように、実質的に水を含有させずに、脂肪族ジアミンを添加して塩を作製する。そして、得られた塩を最終的に生成する半芳香族ポリアミド樹脂の融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、半芳香族ポリアミド樹脂を得る。固相重合は、重合温度180~270℃、反応時間0.5~10時間で、窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
【0022】
基材フィルムは、上記樹脂から構成されるが、本発明の効果を損なわなければ、例えば、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、帯電防止剤、可塑剤、酸化防止剤、有機または無機の粒子、充填剤、架橋剤などの公知の添加剤が含まれてもよい。
【0023】
上記添加剤を半芳香族ポリアミドフィルムに含有させる方法として、各種の方法を用いることができる。その代表的な方法として、下記のような方法を挙げることができる。
(A)半芳香族ポリアミド樹脂の重合時に添加する方法
(B)半芳香族ポリアミド樹脂に直接添加し、溶融混練したペレットを準備するマスターバッチ法
(C)フィルム製膜時に半芳香族ポリアミド樹脂に直接添加し、押出機で溶融混練する方法
(D)フィルム製膜時に押出機に直接添加し、溶融混練する方法
【0024】
本発明において、半芳香族ポリアミドフィルムには、必要に応じて、表面にコロナ処理、アンカーコーティング処理、プラズマ処理、酸処理、火炎処理等の各種表面処理が施されてもよい。
【0025】
<半芳香族ポリアミドフィルムの物性>
本発明において、半芳香族ポリアミドフィルムは、JIS K7127に準じて長手方向と幅方向にそれぞれ測定した引張強度と引張伸度が、180℃×30minの熱処理後において、それぞれ、80%以上保持されていることが好ましく、90%以上保持されていることがより好ましい。保持率が80%を下回るフィルムは、加工中に切断することがある。
【0026】
半芳香族ポリアミドフィルムの厚さは、10~150μmであることがより好ましく、20~100μmであることがより好ましい。半芳香族ポリアミドフィルムは、厚みが150μmを超えると、透明性が損なわれ、10μm未満では、力学的強度に劣ったものになる。特に、透明LEDスクリーン用途には、半芳香族ポリアミドフィルムは、厚さが50~100μmであることが好ましく、厚さが50μm未満では、たわみが生じやすくなり、LEDユニットなどを搭載しにくいものとなる。
【0027】
<半芳香族ポリアミドフィルムの製造方法>
次に、半芳香族ポリアミドフィルムの製造方法の一例を説明する。半芳香族ポリアミドフィルムの製造方法は、
(a)半芳香族ポリアミド樹脂からなる未延伸フィルムを製膜する工程
(b)フィルムを延伸する工程
(c)延伸フィルムを250℃~(Tm-5℃)で熱固定処理する工程
(d)延伸フィルムを巻き取る工程
を含むことが好ましい。
【0028】
まず、上記(a)の工程について、一例を説明する。
半芳香族ポリアミドフィルムの原料となる半芳香族ポリアミド樹脂は、バージン原料同士を混合したものでもよく、また、半芳香族ポリアミドフィルムを製造する際に生成する規格外のフィルムや、耳トリムとして発生するスクラップを混合したものでもよく、また、該スクラップ混合物にバージン原料を混合したものでもよい。これらの混合は、公知の装置でドライブレンドする方法、一軸または二軸の押出機を用いて溶融混練し混合する練り込み法等の公知の方法で行うことができる。
【0029】
十分に乾燥された半芳香族ポリアミド樹脂を押出機に供給し、十分に可塑化され流動性を示す温度以上で溶融し、必要に応じて選ばれたフィルターを通過させ、Tダイを通じてシート状に押し出す。その後、20~40℃に調節した冷却ドラム上に、押し出されたシートを密着させ、急冷固化し、未延伸フィルムを得る。
得られた未延伸フィルムは、通常、厚みが30μm~3mm程度であり、そのままでも優れた特性を有しているが、力学特性等の特性を向上させるため、二軸延伸することが好ましい。
溶融樹脂を移動冷却体に密着、冷却固化して未延伸フィルムを得る方法としては、特に制限はないが、エアーナイフキャスト法、静電印加法、バキュームチャンバ法等の方法を使用することができる。
上記の方法によって、1種の層からなる単層のフィルムが得られるが、多層構造を有するフィルムは、上記方法において、それぞれの層を構成する半芳香族ポリアミド樹脂を別々に溶融して押出し、固化前に積層融着させた後、二軸延伸、熱固定する方法や、2種以上の層を別々に溶融、押出してフィルム化し、未延伸状態または延伸後、両者を積層融着させる方法などによって製造することができる。プロセスの簡便性から、複層ダイスを用い、固化前に積層融着させることが好ましい。
【0030】
次に、上記(b)の工程について、一例を説明する。
得られた未延伸フィルムを一軸延伸法により一軸配向させるか、もしくは二軸延伸法により二軸配向させる。
二軸延伸方法としては、フラット式逐次二軸延伸法、フラット式同時二軸延伸法、チューブラ法等を用いることができる。なかでも、フィルム厚み精度が良く、フィルム巾方向の物性が均一であることから、フラット式同時二軸延伸法が最適である。フラット式同時二軸延伸法のための延伸装置としては、スクリュー式テンター、パンタグラフ式テンター、リニアモーター駆動クリップ式テンターなどが挙げられる。
延伸倍率は、最終的に得られる半芳香族ポリアミドフィルムの耐熱性や力学強度の観点から、長手方向に1.5~3.0倍、幅方向に3.1~4.2倍であることが好ましく、長手方向に2.2~2.5倍、幅方向に3.6~3.9倍であることがより好ましい。長手方向の延伸倍率が3.0倍を超えると、得られるフィルムは、透明性が低下したり、結晶化が進行して延伸性が低下する。長手方向の延伸倍率が1.5倍未満であると、得られるフィルムは、配向結晶化が不十分になり、力学的強度に劣ることがある。さらに逐次延伸の場合、長手方向の延伸倍率が高すぎると、その後の幅方向の延伸が難しい場合があり、フィルムを延伸することが困難になる。また、たとえ延伸できた場合であっても、得られるフィルムは、延伸斑が起こりやすく、厚み制度が低下することがある。
延伸温度は、半芳香族ポリアミド樹脂のガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、Tgを超えかつ(Tg+50℃)以下であることがより好ましい。延伸温度がTg未満であると、フィルムは、破断しやすく、安定した製造を行うことができず、反対に(Tg+50℃)を超えると、フィルムに延伸斑が生じる場合がある。また、延伸に先立ち、未延伸フィルムは、予熱しておくことが好ましい。予熱を行うことで、半芳香族ポリアミド樹脂の結晶化を抑制しながら、延伸工程での延伸が可能となる。半芳香族ポリアミド樹脂として、例えば、ポリアミド9T(ガラス転移温度130℃)を用いた場合、予熱温度は、105~160℃であることが好ましく、110~155℃であることがより好ましく、延伸温度は、120~170℃であることが好ましく、130~160℃であることがより好ましく、135~155℃であることがさらに好ましい。これらの温度範囲において予熱および延伸を行うことによって、延伸時の延伸力を低減し、また、透明性を高めた延伸フィルムを得ることができる。
【0031】
また、上記(c)の工程について、一例を説明する。
半芳香族ポリアミドフィルムは、上記の延伸を行った後、延伸時に使用したクリップでフィルムを把持したまま、熱固定処理を行うことが好ましい。熱固定処理を行うことで、得られるフィルムは、熱負け斑が発生することなく、熱収縮率を低減することができる。
熱固定処理温度は、260~282℃であることが好ましく、263~280℃であることがより好ましく、265~278℃であることがさらに好ましい。熱固定処理温度が260℃未満であると、得られるフィルムは、熱収縮率が高くなる。熱固定処理温度が280℃を超えると、得られるフィルムは、引張破断伸度が低下し、熱負けシワによる外観不良が起こりやすく、場合によっては熱固定処理時に破断が起こり、二軸延伸フィルムを得ることが困難となる。
熱固定処理方法としては、例えば、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法等の公知の方法が挙げられる。中でも、均一に精度よく加熱できることから、熱風を吹き付ける方法が好ましい。
熱固定処理を行った後、フィルムは、クリップに把持されたまま、必要に応じて1~12%の弛緩処理を行うことが好ましく、3~10%の弛緩処理を行うことがより好ましい。フィルムは、弛緩処理を行うことで、十分な寸法安定性を得られるようになる。
【0032】
さらに、上記(d)の工程について、一例を説明する。
半芳香族ポリアミドフィルムの延伸後、熱固定処理や弛緩処理を行った後、冷却し、ロール状に巻き取る。巻き取られた半芳香族ポリアミド樹脂の延伸フィルムロールは、所望の巾にスリットを行う。
【0033】
<易接着層>
(共重合ポリエステル樹脂)
本発明の易接着フィルムの易接着層を構成する共重合ポリエステル樹脂は、酸成分がイソフタル酸を30モル%以上含有することが好ましく、40モル%以上含有することがより好ましく、50~80モル%含有することがさらに好ましい。酸成分におけるイソフタル酸の含有量が30モル%未満である共重合ポリエステル樹脂は、得られる易接着層の接着性が低下し、また、易接着層を形成するための接着剤において、有機溶剤への溶解性も低下する傾向にある。
【0034】
イソフタル酸以外の酸成分としては、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、フタル酸、4,4′-ジカルボキシビフェニル、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-ヒドロキシ-イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、1,3,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、シュウ酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、2,5-ノルボルネンジカルボン酸等が挙げられる。これらは、無水物をモノマー原料として用いてもよく、組み合わせて使用してもよい。中でも、耐熱性維持の観点から、イソフタル酸以外の酸成分として、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸を用いることが好ましい。
【0035】
共重合ポリエステル樹脂のグリコール成分は、側鎖を有するグリコールを30モル%以上含有することが好ましく、40モル%以上含有することがより好ましく、50~80モル%含有することがさらに好ましい。グリコール成分における、側鎖を有するグリコールの含有量が30モル%未満である共重合ポリエステル樹脂は、得られる易接着層の接着性が低下し、また、易接着層を形成するための樹脂組成物において、有機溶剤への溶解性も低下する傾向にある。一方、側鎖を有するグリコールの含有量が80モル%を超えると、得られる易接着層は、接着性が低下する傾向がある。
側鎖を有するグリコールとしては、1,2-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-メチルプロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加体、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらを組み合わせて使用してもよい。中でも、接着性を向上させる観点から、側鎖を有するグリコールは、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体が好ましい。
【0036】
また、共重合ポリエステル樹脂のグリコール成分は、繰り返し単位の炭素数が2~4であり、数平均分子量が200以上であるポリアルキレングリコールを1~20モル%含有することが好ましく、3~15モル%含有することがより好ましく、4~10モル%含有することがさらに好ましい。共重合ポリエステル樹脂は、グリコール成分における上記ポリアルキレングリコールの含有量が1モル%未満であると、ガラス転移温度が高くなる傾向があり、得られる易接着層は、接着性や耐湿熱性が低下することがある。一方、上記ポリアルキレングリコールの含有量が20モル%を超えると、得られる易接着層は、耐熱性に劣るものとなることがある。
上記ポリアルキレングリコールは、数平均分子量が200以上であることが好ましく、500~10000であることがより好ましく、800~5000であることがさらに好ましい。繰り返し単位の炭素数が2~4であるポリアルキレングリコールとして、数平均分子量が200以上であるものを用いることによって、得られる易接着層は、耐湿熱性が向上する。
繰り返し単位の炭素数が2~4であり、数平均分子量が200以上であるポリアルキレングリコールとしては、接着性と耐湿熱性の観点から、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。
【0037】
上記以外のグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられ、これらを2種類以上併用してもよい。
【0038】
また、共重合ポリエステル樹脂を構成する他の成分として、乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシイソ酪酸、2-ヒドロキシ-2-メチル酪酸、2-ヒドロキシ吉草酸、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシ吉草酸、5-ヒドロキシ吉草酸、6-ヒドロキシカプロン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、4-(β-ヒドロキシ)エトキシ安息香酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等の脂肪族ラクトン、およびオキシラン等が挙げられ、これらを含有してもよい。
【0039】
また、共重合ポリエステル樹脂は、必要に応じて、モノカルボン酸、モノアルコールが共重合されていてもよい。モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4-ヒドロキシフェニルステアリン酸等が挙げられ、モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2-フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0040】
共重合ポリエステル樹脂を構成する上記モノマーは、付与したい特性に応じて、複数種混合して用いてもよい。
また共重合ポリエステル樹脂も、2種以上を混合して用いてもよく、相分離していても、均一に混合されていてもよい。
【0041】
共重合ポリエステル樹脂は、酸価が2~8mgKOH/gであることが好ましく、3~7mgKOH/gであることがより好ましく、4~6mgKOH/gであることがさらに好ましい。共重合ポリエステル樹脂の酸価が上記範囲であると、得られる易接着層は、金属板への接着性に優れ、耐熱性にも優れたものになる。共重合ポリエステル樹脂は、酸価が2mgKOH/g未満であると、耐熱性が劣り、酸価が8mgKOH/gを超えると、得られる易接着層は、金属板への接着性が劣ることがある。
【0042】
共重合ポリエステル樹脂の酸価を制御する方法としては、分子量の高いポリエステル樹脂を製造したのち、解重合剤を添加する方法や、酸無水物を付加させる方法等が挙げられる。本発明においては、共重合ポリエステル樹脂の酸価と後述する数平均分子量との双方を、バランスよく制御できることから、分子量の高いポリエステル樹脂を製造したのち、解重合剤を添加して、酸価および数平均分子量を制御する方法が好ましい。
解重合剤としては、イソフタル酸、アジピン酸やセバシン酸等が好ましく、酸無水物としては、無水トリメリット酸や無水ピロメリット酸等が好ましい。
【0043】
共重合ポリエステル樹脂は、数平均分子量が10000~50000であることが好ましく、10000~40000であることがより好ましく、10000~30000であることがさらに好ましい。共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量が10000未満であると、得られる易接着層は、剥離強度がやや乏しくなることがある。共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量が50000を超えると、得られる易接着層形成用樹脂組成物の溶液は、流動性が低下し、塗布が難しくなることがある。
【0044】
共重合ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が-10~10℃であることが好ましく、-8~9℃であることがより好ましく、-6~8℃であることがさらに好ましい。共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度が上記範囲であると、得られる易接着層は、金属板への接着性に優れたものとなる。共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度が-10℃未満や、10℃を超えると、得られる易接着層は金属板への接着性が低下する。
【0045】
(易接着層形成用樹脂組成物)
本発明において、易接着層は、共重合ポリエステル樹脂とエポキシ化合物とイミダゾール化合物とを含有する樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0046】
樹脂組成物におけるエポキシ化合物の含有量は、共重合ポリエステル樹脂100質量部に対して、3~13質量部であることが好ましく、3~12質量部であることがより好ましく、4~11質量部であることがさらに好ましい。樹脂組成物がエポキシ化合物を含有することにより、得られる易接着層は、耐熱性が向上する。エポキシ化合物の含有量が3質量部未満であると、得られる易接着層は、耐熱性が低下し、一方、含有量が13質量部を超えると、得られる易接着層は、耐熱性も接着性も低下する。
【0047】
エポキシ化合物は、一分子あたりに2つ以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されない。好適な具体例としては、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびその誘導体、ソルビトール等の多価水酸基化合物の水酸基の一部をグリシジル基にしたもの、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルが挙げられ、またノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、共重合型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは単独でも複数を組み合わせてもよい。
【0048】
また、樹脂組成物は、硬化促進剤としてイミダゾール化合物を含有することが好ましく、その含有量は、共重合ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.3~0.9質量部であることが好ましく、0.3~0.8質量部であることがより好ましく、0.3~0.7質量部であることがさらに好ましい。樹脂組成物がイミダゾール化合物を含有することにより、得られる易接着層は、耐熱性が向上する。イミダゾール化合物の含有量が0.3質量部未満であると、得られる易接着層は、耐熱性が低下し、一方、含有量が0.9質量部を超えると、得られる易接着層は、耐熱性も接着性も低下する。
【0049】
イミダゾール化合物の具体例としては、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミドゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2′-メチルイミドゾリル-(1′)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2′-ウンデシルイミダゾリル-(1′)]エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2′-エチル-4′-メチルイミダゾリル-(1′)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2′-メチルイミドゾリル-(1′)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド等が挙げられる。中でも、易接着層を形成するための接着剤への溶解性と高温加工時の安定性から、2-ウンデシルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾールが好ましい。これらは単独でも複数を組み合わせてもよい。
【0050】
<易接着フィルムの製造>
次に、易接着フィルムを製造する方法について説明する。
易接着層は、半芳香族ポリアミドフィルムの製造方法における(a)~(d)の工程の間または前後において、易接着層を設ける工程を加えることによって基材フィルムに積層することができる。
易接着層を積層する方法としては、易接着層形成用樹脂組成物の、各種溶媒の溶液や水性分散体等の塗剤を塗布する方法、易接着層形成用樹脂組成物を熱溶融させ、押出コーティングする方法等が挙げられる。また、半芳香族ポリアミドフィルムの未延伸フィルムを多層押出する際に、最外層に易接着層を形成する方法等も挙げられる。半芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に、易接着層を設ける手段は、上記手段に関わらず、半芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に、易接着層が着実に形成される手段であれば、いずれの手段を用いてもよい。
易接着層形成用の塗剤を構成する媒体としては、アセトン、トルエン、メチルエチケトンなどが挙げられる。
易接着層形成用の塗剤を半芳香族ポリアミドフィルムに塗布して易接着層の塗膜を形成する方法としては、公知の方法が採用でき、例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが採用できる。
上記方法で塗膜を形成後に乾燥熱処理することにより、塗剤を構成する媒体を除去することができ、緻密な塗膜からなる易接着層を半芳香族ポリアミドフィルム上に積層することができる。
【0051】
<積層体>
本発明の積層体は、易接着フィルムの易接着層面に金属板を積層したものである。
金属板としては、特に限定されず銅、錫、アルミニウム、金、ニッケルおよびこれらの混合物、化合物などが挙げられる。
積層体は、易接着層上に、例えば、圧延銅箔(18μm)などの金属板を重ね、1.07kPa(8Torr)の真空プレス機中で、30℃から所定温度まで15℃/分で昇温し、30kgf/cm2の圧力をかけながら、保持し、その後、室温まで冷却を行うことで、得ることができる。
本発明において、積層体を150mm×10mmの短冊状に作製し、23℃×50%RH、200mm/minにて180°剥離試験にて測定される剥離強力は、8.0N/15mm以上であることが好ましい。剥離強力が8.0N/15mm未満である積層体は、金属板の接着性が低く、得られたフレキシブルプリント基板は、はんだリフロー時に、金属板が剥離するおそれがある。
【0052】
<用途>
本発明の易接着フィルムは、耐熱性を有しながら、金属板との接着性に優れるため、光学部品透明フレキシブルプリント基板に使用することができる。
具体的には、モバイル機器等でのディスプレイ材料・表示装置:液晶、有機EL、LEDスクリーンでの各種ディスプレイなどのフレキシブルプリント配線用のベースフィルムとして使用することができる。
【実施例0053】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
半芳香族ポリアミド樹脂、共重合ポリエステル樹脂、および積層体の評価方法は、下記のとおりとした。なお、特に記載がない限りは、いずれの測定も、温度23℃、湿度50%の環境下で行った。
【0054】
(1)半芳香族ポリアミド樹脂の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)
DSC装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用い、半芳香族ポリアミド樹脂を、窒素雰囲気下で20℃から350℃まで10℃/分で昇温させ5分間保持した(1st Scan)後、350℃から20℃まで100℃/分で冷却して5分間保持した。さらに20℃から350℃まで10℃/分で再昇温させた過程(2nd Scan)でのガラス転移温度を、Tgとした。同様に、2nd Scanで観測される結晶融解ピークのピークトップ温度をTmとした。
【0055】
(2)半芳香族ポリアミドフィルムの引張強度保持率、引張伸度保持率
半芳香族ポリアミドフィルムの長手方向について、JIS K7127に準じて、180℃×30min熱処理後の引張強度・引張伸度(A)、熱処理前の引張強度・引張伸度(B)の測定を行い、下記式に基づいて、保持率を計算した。
保持率(%)=(A/B)×100
【0056】
(3)共重合ポリエステル樹脂の組成
NMR装置(日本電子社製JNM-ECZ400R/S1型)を用いて、1H-NMR測定を行い、それぞれの共重合成分のピーク強度から組成を求めた。測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸と重水素化テトラクロロエタンとの容量比が1/11の混合溶媒を用いた。
【0057】
(4)共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量
GPC分析装置(島津製作所社製送液ユニットLC-10ADvp型および紫外-可視分光光度計SPD-6AV型、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により、数平均分子量を求めた。
【0058】
(5)共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)
入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSC)を用いて、JIS-K7121に準拠して、ガラス転移温度(補外ガラス転移開始温度)を求めた。
【0059】
(6)共重合ポリエステル樹脂の酸価
試験管に共重合ポリエステル樹脂を150mg精秤し、ベンジルアルコール5mLを加えて加熱溶解し、クロロホルム10mLが入ったマイヤーフラスコに移した。使用した試験管をベンジルアルコール5mLで加熱洗浄し、洗液もマイヤーフラスコに移した。得られた共重合ポリエステル樹脂の溶液を、フェノールレッドを指示薬として、0.1NのKOHベンジルアルコール溶液で滴定し、ブランク試験の滴定量との差から、共重合ポリエステル樹脂の酸価(mgKOH/g)を求めた。
【0060】
(7)易接着フィルムのヘイズ
日本電色社製ヘイズメーター(NDH 2000)を用い、JIS K7105に準じて、易接着フィルムの全光線透過率(Tt)、拡散透過率(Td)の測定を行い、下記式に基づいて、ヘイズを計算し、透明性を評価した。
ヘイズ(%)=(Td/Tt)×100)のようにして測定した。
【0061】
(8)積層体の剥離強力
積層体を150mm×10mmの短冊状に作製し、島津製作所社製「AUTOGRAPH AG―10kNIS」を使用し、チャック間距離100mmに設定し、銅箔を上部側チャックに取り付け、23℃×50%RH、200mm/minにて銅箔を180°屈曲させ測定した。
【0062】
<材料>
基材フィルムを構成する材料として、以下のものを用いた。
〔半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)ペレット〕
テレフタル酸(TPA)3289質量部、1,9-ノナンジアミン(NDA)2533質量部、2-メチル-1,8-オクタンジアミン(MODA)633質量部、安息香酸(BA)48.9質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物6.5質量部(前記のポリアミド原料4者の合計に対して0.1質量%)および蒸留水2200質量部を反応釜に入れ、窒素置換した。これらの原料のモル比(TPA/BA/NDA/MODA)は99/2/80/20である。
反応釜の内容物を100℃で30分間攪拌した後、2時間かけて内部温度を210℃に昇温した。この時、反応釜の内部は2.12MPa(22kg/cm2)まで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.12MPa(22kg/cm2)に保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を0.98MPa(10kg/cm2)まで下げ、さらに1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを100℃の温度で減圧下にて12時間乾燥した後、2mm以下の大きさまで粉砕した。
次いで、粉砕したプレポリマーを、温度230℃、圧力13.3Pa(0.1mmHg)の条件下で10時間固相重合してポリマーを得た。これを二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX44C」)に供給し、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練して押し出し、冷却、切断して、半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)のペレットを製造した。
半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)は、融点290℃、ガラス転移温度125℃であった。
【0063】
〔シリカ粒子含有PA9Tペレット(M1)〕
半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)98質量部と、シリカ(富士シリシア化学社製、サイロホービック100、平均粒径2.7μm)2質量部とを溶融混練して、シリカ粒子を含有させた半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)ペレット(M1)を作製した。
【0064】
〔半芳香族ポリアミド樹脂(PA10T)ペレット〕
テレフタル酸(TPA)489質量部、1,10-デカンジアミン(DDA)507質量部、安息香酸(BA)2.8質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物1.0質量部(前記のポリアミド原料3者の合計に対して0.1質量%)および蒸留水1000質量部を反応窯に入れ、窒素置換した。これらの原料のモル比(TPA/BA/DDA)は99/2/100である。
反応釜の内容物を80℃で0.5時間、毎分28回転で撹拌した後、230℃に昇温した。その後、230℃で3時間加熱した。その後冷却し、反応生成物を取り出した。
該反応生成物を粉砕した後、乾燥機中において、窒素気流下、220℃で5時間加熱し、固相重合してポリマーを得た。これを二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX44C」)に供給し、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練して押し出し、冷却、切断して、半芳香族ポリアミド(PA10T)のペレットを製造した。
半芳香族ポリアミド(PA10T)は、融点316℃、ガラス転移温度120℃であった。
【0065】
〔シリカ粒子含有PA10Tペレット(M2)〕
半芳香族ポリアミド樹脂(PA10T)98質量部と、シリカ(富士シリシア化学社製、サイロホービック100、平均粒径2.7μm)2質量部とを溶融混練してシリカ粒子を含有させた半芳香族ポリアミド樹脂(PA10T)ペレット(M2)を作製した。
【0066】
〔ヒンダードフェノール系熱安定剤〕
スミライザーGA-80:3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(住友化学社製、熱分解温度392℃)
【0067】
易接着層を構成する共重合ポリエステル樹脂として、以下のものを用いた。
〔共重合ポリエステル樹脂(A)〕
酸成分が、テレフタル酸(TPA)50.0モル%、イソフタル酸(IPA)49.2モル%になるように、またグリコール成分が、エチレングリコール(EG)44.0モル%、ネオペンチルグリコール(NPG)49.0モル%、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール(PTMG)6.0モル%、ジエチレングリコール(DEG)1.0モル%になるように、またヒンダードフェノール系酸化防止剤を、得られる共重合ポリエステル樹脂に対して0.25質量%になるように、原料をエステル化反応缶に投入し、攪拌しながら、0.25MPaの制圧下で、250℃で5時間エステル化を行い、エステル化物を作製した。
その後、重縮合缶へ移送し、重合触媒を投入し、60分かけて徐々に1.3hPaになるまで減圧し、所定の分子量に到達するまで250℃で重縮合反応を行った。
続いて、重縮合缶内に窒素を充填して0.1MPaとし、無水トリメリット酸(TMA)を酸成分として0.8モル%になるように投入し、撹拌しながら250℃にて解重合反応を2時間行うことで共重合ポリエステル樹脂(A)を得た。
得られた共重合ポリエステル樹脂(A)は、数平均分子量18000、酸価4mgKOH/g、ガラス転移温度5℃であった。
【0068】
〔共重合ポリエステル樹脂(B)~(D)〕
共重合ポリエステル樹脂の組成を表1、2に示すように変更した以外は、共重合ポリエステル樹脂(A)の製造と同様にして、共重合ポリエステル樹脂(B)~(D)を得た。
【0069】
〔共重合ポリエステル樹脂(E)、(F)〕
共重合ポリエステル樹脂の組成を表2に示すように変更し、解重合反応を行わなかったこと以外は、共重合ポリエステル樹脂(A)の製造と同様にして共重合ポリエステル樹脂(E)、(F)を得た。
【0070】
実施例1
共重合ポリエステル樹脂(A)100質量部を、トルエン/メチルエチルケトン(8/2(質量比))の混合溶媒に、固形分濃度が25質量%になるように溶解し、エポキシ化合物(ソルビトールポリグリシジルエーテル、ナガセケムテックス製、デナコールEX-614B)5質量部、イミダゾール化合物(2-ウンデシルイミダゾール、四国化成製、C11Z)0.35質量部を添加して、易接着層形成用樹脂組成物の溶液(A)を調製した。
半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)100質量部に対し、ヒンダードフェノール系熱安定剤が0.2質量部、シリカが0.2質量部となるように、半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)、スミライザーGA-80、シリカ粒子含有PA9Tペレット(M1)を混合した。
この混合物を、押出機に投入して320℃で溶融後、Tダイよりフィルム状に押し出し、冷却ロール(セラミック0.015mm厚被覆、表面実温40℃)に対し、静電印加法により押し付けて密着させて冷却し、厚さ450μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
次いで、得られた未延伸フィルムを、ロール式縦延伸機で130℃の条件下にて長手方向に2.4倍の延伸を施した後、連続的にフィルムの端部をフラット式延伸機のクリップに把持させ、126℃の条件下、幅方向に3.8倍の延伸を施し、その後幅方向の弛緩率4%として、278℃で3秒の熱固定を行い、厚さ50μmの二軸延伸された半芳香族ポリアミドフィルムを得た。
得られた半芳香族ポリアミドフィルムの片面に、易接着層形成用樹脂組成物の溶液(A)を、マイヤーバーで塗布し、180℃×30秒で乾燥することにより、厚み12μmの易接着層を有する易接着フィルムを得た。易接着フィルムのヘイズは3.9%であった。
得られた易接着フィルムの易接着側に圧延銅箔(JX金属社製、18μm)を貼り合わせ、1.07kPa(8Torr)の真空プレス機中で、30℃から180℃まで15℃/分で昇温し、30kgf/cm2の圧力をかけながら、180℃×30min熱処理し、積層体を得た。
【0071】
実施例2~10、比較例1~4、9~12
表1、2に記載したように、易接着層形成用樹脂組成物を構成する共重合ポリステル樹脂の種類、エポキシ化合物とイミダゾール化合物の質量部、基材フィルムを構成する樹脂の種類を変更した以外は、実施例1と同様の方法で、易接着フィルムを得た。また銅箔貼り合わせの温度と時間を変更して、積層体を得た。
なお、比較例9、10では、基材フィルムとして、PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレットS50)を、比較例11、12では、PENフィルム(帝人社製、テオネックスQ-51を、それぞれ用いた。
【0072】
比較例5~6
ウレタン系樹脂を構成する各ユニットの組成が、ヘキサンジオール/ジエチルカーボネート/トリレンジイソシアネート(25/30/45(mol%))であり、固形分濃度が20質量%である水性分散体を、易接着層形成用樹脂組成物の溶液として用いた以外は、実施例1と同様の方法で、易接着フィルムと積層体を得た(比較例5)。また銅箔貼り合わせの温度を変更して、積層体を得た(比較例6)。
【0073】
比較例7~8
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を100モル%含有し、ジアミン成分としてエチレンジアミンを100モル%含有し、酸価が10.0mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が158℃であるダイマー酸系ポリアミドを作製した。
ダイマー酸系ポリアミド75.0g、イソプロパノール37.5g、テトラヒドロフラン37.5g、N,N-ジメチルエタノールアミン7.2gおよび水217.8gの蒸留水を仕込み、120℃で60分加熱撹拌した。その後、撹拌しながら室温付近まで冷却し、100gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルターでろ過した。得られた水性分散体は、エバポレーターを用いて減圧し、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、蒸留水の混合媒体を約100g留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体を得た。
得られたダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体を易接着層形成用樹脂組成物の塗剤として用いた以外は、実施例1と同様の方法で、易接着フィルムを得た(比較例7)。また銅箔貼り合わせの時間を変更して、積層体を得た(比較例8)。
【0074】
実施例1~10、比較例1~12で得られた積層体を用いて、各種性能評価を行った。フィルムの組成や物性結果を表1、2に示す。
【0075】
【0076】
【0077】
実施例1~10の易接着フィルムは、本発明で規定する構成であるため、耐熱性を有し、金属板と高い接着性を有するものであった。
比較例1~8では、耐熱性を有するが、金属板との接着性が低く、また、比較例9~12では、金属板と高い接着性を有するが、耐熱性が劣っていた。