(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176153
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】構造体、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20241212BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20241212BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G03G15/00 550
H05K5/02 N
G03G21/16 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094455
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】高木 勝
【テーマコード(参考)】
2H171
4E360
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA03
2H171FA26
2H171GA13
2H171GA32
2H171HA02
2H171HA17
2H171HA18
2H171HA22
2H171HA37
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QB52
2H171QC03
2H171QC36
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171UA02
4E360AA10
4E360AB14
4E360AB54
4E360CA01
4E360EA11
4E360EB03
4E360ED07
4E360GA60
4E360GB48
4E360GC02
(57)【要約】
【課題】複数の角パイプの一部の外側側面に高い位置精度で付加部材を取り付けること。
【解決手段】複数の角パイプ60各々における4つの外側側面62各々は、前記複数の角パイプ60各々の長手方向に沿って形成された溝部62aと前記溝部62aの両側の縁部を成す一対の稜線部62bとを有する。付加部材7xは、複数の対象パイプ60x各々における前記一対の稜線部62bの一方または両方に接する接触平面7aを有する。前記付加部材7xの複数の片持部71は、前記複数の対象パイプ60x各々の前記一対の稜線部62aの一方にのみ接する。前記付加部材7xの架設部72は、前記複数の片持部71のうちの2つの特定片持部71aの間に形成され、特定パイプ60yの前記一対の稜線部62bの両方に接する。前記複数の片持部71各々の縁は、前記複数の対象パイプ60x各々の前記溝部62aに溶接されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合された複数の角パイプと前記複数の角パイプの一部に取り付けられた付加部材とを有する構造体であって、
前記複数の角パイプ各々における4つの角部は、1枚の金属板の曲げ加工により形成された3つの第1角部と、前記金属板における2つの縁部および前記2つの縁部を接合する溶接部を含む1つの第2角部と、を含み、
前記複数の角パイプ各々における4つの外側側面各々は、前記複数の角パイプ各々の長手方向に沿って形成された溝部と前記溝部の両側の縁部を成す一対の稜線部とを有し、
前記付加部材は、前記複数の角パイプの一部である複数の対象パイプ各々における前記一対の稜線部の一方または両方に接する平面である接触平面を有し、
前記付加部材の外縁部は、
前記接触平面における前記複数の対象パイプ各々の前記一対の稜線部の一方にのみ接する領域をそれぞれ含む複数の片持部と、
前記複数の片持部のうちの2つの特定片持部の間に前記2つの特定片持部よりも外側へ突出して形成され、前記接触平面における前記複数の対象パイプのうちの1つである特定パイプの前記一対の稜線部の両方に接する領域を含む架設部と、を含み、
前記複数の片持部各々の縁は、前記複数の対象パイプ各々の前記溝部に溶接されている、構造体。
【請求項2】
前記付加部材の前記架設部の縁は、前記特定パイプの前記縁部に溶接されており、
前記付加部材は、前記架設部と前記架設部の両側の前記2つの特定片持部のうちの一方との間において前記特定パイプの前記一対の稜線部が露出する位置まで内側へ凹んで形成された切欠部を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記付加部材の前記架設部の前記接触平面は、前記特定パイプの前記一対の稜線部と、前記複数の角パイプのうちの前記特定パイプに隣接する隣接パイプにおける前記一対の稜線部の一方と、に接しており、
前記架設部の縁は、前記隣接パイプの前記縁部に溶接されている、請求項1に記載の構造体。
【請求項4】
前記複数の角パイプ各々における前記4つの外側側面各々の前記溝部および前記一対の稜線部は、前記4つの外側側面各々の前記溝部および前記一対の稜線部が形成される前の元角パイプが前記元角パイプの4つの外側側面に圧接する4つの加圧ローラーの間に通されるロールプレスにより成形されている、請求項1または請求項2に記載の構造体。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の構造体と、
前記構造体に取り付けられ、シートに画像を形成するプリント部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合された複数の角パイプを含む構造体およびその構造体を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、給紙部、プリント部および現像剤コンテナなどを備える。さらに前記画像形成装置は、前記給紙部、前記プリント部および前記現像剤コンテナを支持する構造体を備える。
【0003】
例えば、前記構造体が、溶接によって接合された複数の角パイプを含むことが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような構成の前記構造体は強度が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的な角パイプは、1枚の金属板の曲げ加工と、前記金属板における2つの縁部を接合する溶接工程とによって製造される。
【0006】
一方、板金部材などの付加部材が、複数の角パイプの一部の外側側面に沿う状態で、前記複数の角パイプの一部に取り付けられる場合がある。この場合、前記付加部材が高い位置精度で取り付けられることが要求されることがある。
【0007】
従来、前記複数の角パイプ各々の外面の形状の精度が不十分であることに起因して、前記付加部材を前記複数の角パイプの一部に高い位置精度で取り付けることが難しかった。
【0008】
本発明の目的は、接合された複数の角パイプと前記複数の角パイプの一部の外側側面に高い位置精度で取り付けられた付加部材とを有する構造体および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る構造体は、接合された複数の角パイプと前記複数の角パイプの一部に取り付けられた付加部材とを有する。前記複数の角パイプ各々における4つの角部は、1枚の金属板の曲げ加工により形成された3つの第1角部と、前記金属板における2つの縁部および前記2つの縁部を接合する溶接部を含む1つの第2角部と、を含む。前記複数の角パイプ各々における4つの外側側面各々は、前記複数の角パイプ各々の長手方向に沿って形成された溝部と前記溝部の両側の縁部を成す一対の稜線部とを有する。前記付加部材は、前記複数の角パイプの一部である複数の対象パイプ各々における前記一対の稜線部の一方または両方に接する平面である接触平面を有する。前記付加部材の外縁部は、複数の片持部と、架設部と、を含む。前記複数の片持部は、前記接触平面における前記複数の対象パイプ各々の前記一対の稜線部の一方にのみ接する領域をそれぞれ含む。前記架設部は、前記複数の片持部のうちの2つの特定片持部の間に前記2つの特定片持部よりも外側へ突出して形成され、前記接触平面における前記複数の対象パイプの1つである特定パイプの前記一対の稜線部の両方に接する領域を含む。前記複数の片持部各々の縁は、前記複数の対象パイプ各々の前記溝部に溶接されている。
【0010】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記構造体と、前記構造体に取り付けられ、シートに画像を形成するプリント部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接合された複数の角パイプと前記複数の角パイプの一部の外側側面に高い位置精度で取り付けられた付加部材とを有する構造体および画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る構造体を備える画像形成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る構造体の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る構造体における角パイプの1つの斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る構造体における角パイプの製造工程の一部を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る構造体における複数の対象パイプおよび対象付加部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
[画像形成装置10の構成]
実施形態に係る構造体6は、画像形成装置10に採用される。
図1に示されるように、画像形成装置10は、本体ユニット1および画像読取ユニット2を備える。
【0015】
本体ユニット1は、給紙部30、用紙搬送装置3、プリント部4、1つ以上の現像剤コンテナ5および構造体6を備える。画像読取ユニット2は、本体ユニット1の上部に連結されている。画像読取ユニット2は、原稿の画像を読み取る装置である。
【0016】
給紙部30は、複数枚の用紙を収容し、収容した前記用紙を1枚ずつ用紙搬送路300へ送り出す装置である。用紙搬送装置3は、前記用紙を用紙搬送路300に沿って搬送する複数組の搬送ローラー対31を備える。
【0017】
プリント部4は、給紙部30から用紙搬送装置3を通じて供給される前記用紙に画像を形成する装置である。
図1に示される例では、プリント部4は、電子写真方式で前記用紙に画像を形成する。前記用紙は、シートの一例である。
【0018】
電子写真方式のプリント部4は、レーザースキャニングユニット40、1つ以上の画像形成部4xと、転写装置44と、定着装置45とを備える。
【0019】
図1に示される例において、プリント部4は、タンデム方式のカラー画像プリント装置である。そのため、プリント部4は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーに対応する4つの画像形成部4xを備える。さらに、画像形成装置10は、4つの画像形成部4xに対応する4つの現像剤コンテナ5を備える。
【0020】
画像形成部4x各々において、ドラム状の感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の外周面を帯電させる。さらにレーザースキャニングユニット40が感光体41の外周面に静電潜像を書き込み、現像装置43が前記静電潜像をトナー像へ現像する。
【0021】
さらに、転写装置44において、中間転写ベルト440が4つの感光体41に接触しつつ回転し、4つの画像形成部4xに対応する4つの一次転写装置441が前記トナー像を中間転写ベルト440へ転写する。さらに二次転写装置442が中間転写ベルト440上の前記トナー像を、用紙搬送路300を搬送中の前記用紙に転写する。
【0022】
定着装置45は、前記用紙上の前記トナー像を加熱しつつ加圧することによって前記用紙へ定着させる。用紙搬送装置3は、画像が形成された前記用紙を用紙搬送路300から排出する。
【0023】
現像剤コンテナ5各々は、プリント部4における対応する現像装置43へトナーを供給する。前記トナーは現像剤の一例である。なお、プリント部4が、インクジェット方式またはその他の方式で前記用紙に画像を形成する装置であってもよい。
【0024】
給紙部30、用紙搬送装置3、プリント部4および現像剤コンテナ5は、構造体6に取り付けられている。画像読取ユニット2は、構造体6の上部に連結されている。
【0025】
構造体6は、接合された複数の角パイプ60を含む(
図2参照)。構造体6において、金属製の複数の角パイプ60が溶接により接合されている。このような構造体6は、強度が高い。
【0026】
ところで、一般的な角パイプは、1枚の金属板の曲げ加工と、前記金属板における2つの縁部を接合する溶接工程とによって製造される。
【0027】
一方、1つ以上の付加部材7が、複数の角パイプ60の一部の外側側面に沿う状態で、複数の角パイプ60の一部に取り付けられる場合がある(
図2参照)。この場合、付加部材7が高い位置精度で取り付けられることが要求されることがある。
【0028】
例えば、付加部材7は、金属の板材に対する折り曲げ加工および孔開け加工の一方または両方により製造される板金部材などである。
【0029】
本実施形態において、構造体6は、複数の角パイプ60の一部に取り付けられた複数の付加部材7を含む(
図2参照)。付加部材7は、溶接またはビスによって複数の角パイプ60の一部に固定されている。
【0030】
従来の構造体において、複数の従来角パイプ各々の外面の形状の精度が不十分であることに起因して、付加部材7を前記複数の従来角パイプの一部に高い位置精度で取り付けることが難しかった。
【0031】
本実施形態において、構造体6は、付加部材7を複数の角パイプ60の一部の外側側面に高い位置精度で取り付けることが可能な構成を有する。以下、その構成について説明する。
【0032】
[角パイプ60各々の構成]
複数の角パイプ60各々は、4つの外側側面62および4つの角部63を有する(
図3参照)。4つの外側側面62および4つの角部63は、角パイプ60各々の長手方向に延びて形成されている。
【0033】
4つの角部63は、3つの第1角部63aおよび1つの第2角部63bを含む。3つの第1角部63aは、1枚の金属板の曲げ加工により形成された3つの曲げ部である。第2角部63bは、前記金属板における2つの縁部61および2つの縁部61を接合する溶接部600を含む。
【0034】
2つの縁部61および溶接部600は、角パイプ60各々の長手方向に延びて形成されている。
【0035】
角パイプ60各々は、4つの外側側面62の1つ以上に形成された複数の貫通孔64を有する(
図3参照)。複数の角パイプ60における複数の貫通孔64の加工は、曲げ加工が行われる前の平坦な前記金属板に施される。
【0036】
複数の貫通孔64の一部または全部は、部品の取り付けに用いられる。例えば、前記部品は、貫通孔64に挿入されるビスなどの固定部材によって角パイプ60各々の外側側面62の1つに直接取り付けられる。
【0037】
本実施形態において、画像読取ユニット2、用紙搬送装置3およびプリント部4は、貫通孔64に挿入される前記固定部材によって構造体6に取り付けられる。
【0038】
なお、複数の角パイプ60のうちの2つ以上が、部品の共通化のために同種の部材であることが考えられる。この場合、同種の複数の角パイプ60の一部において、複数の貫通孔64の一部が部品の取り付けに用いられない場合がある。
【0039】
角パイプ60各々において、4つの外側側面62は、いずれも溶接部600を含まない。そのため、角パイプ60各々において、4つの外側側面62各々に1つ以上の貫通孔64を形成することは容易である。
【0040】
例えば、複数の角パイプ60のうちの少なくとも1つにおける4つの外側側面62に4つ以上の貫通孔64が形成されている(
図3参照)。
【0041】
角パイプ60各々において、4つの外側側面62のうちの2つは、3つの第1角部63aの間に形成されている。4つの外側側面62のうちの残りの2つは、3つの第1角部63aのうちの2つと第2角部63bとの間に形成されている。
【0042】
図3に示されるような角パイプ60が構造体6に採用されることにより、角パイプ60各々の4つの外側側面62の全てを部品の取り付けに用いることが可能である。
【0043】
本実施形態において、3つの第1角部63aは、面取り形状を形成している(
図3参照)。また、第2角部63bにおいて、前記金属板の2つの縁部61は、面取り形状を形成する曲げ加工が施されている。
【0044】
角パイプ60各々において、溶接部600が2つの縁部61の隙間から多少はみ出して形成される場合がある。そのような場合でも、2つの縁部61が面取り形状を形成しているため、溶接部600は、第2角部63bに隣接する2つの外側側面62の各々に取り付けられる部品と干渉しない。
【0045】
前記複数の角パイプ60各々における4つの外側側面62各々は、溝部62aおよび一対の稜線部62bを有する(
図3,4参照)。
【0046】
溝部62aは、複数の角パイプ60各々の長手方向に沿って形成された凹状の部分である。一対の稜線部62bは、溝部62aの両側の縁部を成す部分である。一対の稜線部62bも、複数の角パイプ60各々の長手方向に沿って形成されている。
【0047】
一対の稜線部62bは、溝部62aの両側における一対の段差部と一対の角部63との間において一対の頭頂部を形成している。複数の角パイプ60各々は、4つの外側側面62に対応する4つの溝部62aおよび4対の稜線部62bを有する。
【0048】
例えば、溝部62a各々と溝部62a各々の両側の一対の稜線部62bとの段差は、0.3ミリメートル乃至0.8ミリメートル程度である。
【0049】
以下の説明において、4つの外側側面62各々の溝部62aおよび一対の稜線部62bが形成される前の角パイプのことを元角パイプ60Pと称する(
図4参照)。
【0050】
図4に示されるように、複数の角パイプ60各々における4つの外側側面62各々の溝部62aおよび一対の稜線部62bは、元角パイプ60Pが4つの加圧ローラー8の間に通されるロールプレスにより成形されている。
【0051】
4つの加圧ローラー8のうちの2つおよび残りの2つは、それぞれ元角パイプ60Pが挿入される成形空間80を介して対向して配置されている。4つの加圧ローラー8は、それぞれ予め定められた位置に固定されている。
【0052】
元角パイプ60Pが成形空間80に通されることにより、4つの加圧ローラー8は、元角パイプ60Pの4つの外側側面に圧接しつつ回転する。これにより、4つの加圧ローラー8の表面形状に対応する4つの溝部62aが、元角パイプ60Pの4つの外側側面に形成される。
【0053】
また、4つの溝部62aが形成されると同時に、4つの溝部62a各々の両側に一対の稜線部62bが形成される。
【0054】
また、前記ロールプレスが行われるときに、元角パイプ60Pの内側面は拘束されない。そのため、複数の角パイプ60各々における4つの内側側面65は、4つの溝部62aに対応して内側へ凸状に形成されている(
図3,4参照)。
【0055】
元角パイプ60Pの4つの外側側面の寸法精度が十分でない場合でも、成形後の角パイプ60における4つの溝部62aおよび4対の稜線部62bの寸法精度は高い。
【0056】
一方、付加部材7各々は、構造体6の複数の角パイプ60の一部に接する平面である接触平面7aを有する(
図5,6参照)。以下、付加部材7のうちの1つを対象付加部材7xと称する(
図2,5参照)。
【0057】
複数の角パイプ60は、対象付加部材7xが取り付けられている複数の対象パイプ60xを含む(
図2,5参照)。対象付加部材7xの接触平面7aは、複数の対象パイプ60x各々における一対の稜線部62bの一方または両方に接する平面である。
【0058】
図5に示される例において、対象付加部材7xの接触平面7aは、4つの対象パイプ60x各々における一対の稜線部62bの一方または両方に接する。
【0059】
以下の説明において、4つの対象パイプ60xのうちの1つを特定パイプ60yと称する(
図5参照)。
図5に示される例において、特定パイプ60yは、対象付加部材7xの下縁部に沿って配置されている。
【0060】
対象付加部材7xの外縁部は、複数の片持部71と、少なくとも1つの架設部72と、を含む(
図5参照)。
図5に示される例において、対象付加部材7xの外縁部は、6つの架設部72を含む。
【0061】
複数の片持部71は、対象付加部材7xの接触平面7aにおける複数の対象パイプ60x各々の一対の稜線部62bの一方にのみ接する領域をそれぞれ含む部分である。
【0062】
複数の片持部71各々の縁は、複数の対象パイプ60x各々の溝部62aに溶接されている。複数の片持部71各々の縁は、それぞれ1つ以上の第1溶接部81によって溝部62aに溶接されている。第1溶接部81は、対象パイプ60x各々の長手方向に沿って形成されている。
【0063】
接触平面7aが複数の対象パイプ60x各々における一対の稜線部62bの少なくとも一方に接している場合、対象付加部材7xと溝部62aとの間に僅かな隙間が形成される。2つの部材が0.3ミリメートル乃至0.8ミリメートル程度の隙間を隔てて配置されている場合に、それら2つの部材を溶接することについて特に問題はない。
【0064】
一方、架設部72各々は、複数の片持部71のうちの2つの特定片持部71aの間に2つの特定片持部71aよりも外側へ突出して形成されている。架設部72各々は、対象付加部材7xの接触平面7aにおける特定パイプ60yの一対の稜線部62bの両方に接する領域を含む部分である。
【0065】
架設部72各々の両側の2つの特定片持部71aが、第1溶接部81によって固定されている。これにより、架設部72各々が特定パイプ60yに固定されていなくても、対象付加部材7xは複数の対象パイプ60xに強固に固定される。
【0066】
本実施形態において、複数の架設部72のうちの1つである第1架設部72aの縁は、第2溶接部82によって特定パイプ60yの溝部62aに溶接されている。第2溶接部82は、特定パイプ60yの一対の稜線部62bに交差する方向に沿って形成されている。
【0067】
第1架設部72aと第1架設部72aの両側の2つの特定片持部71aとが特定パイプ60yに溶接される場合、第1溶接部81と第2溶接部82とが比較的近くに形成される。この場合、特定パイプ60yの一対の稜線部62bの高さの寸法誤差により、第1架設部72aに比較的大きな応力が加わるおそれがある。
【0068】
そこで、対象付加部材7xは、第1架設部72aと第1架設部72aの両側の2つの特定片持部71aのうちの一方との間に形成された切欠部73を有する。切欠部73は、特定パイプ60yの一対の稜線部62bが露出する位置まで対象付加部材7xの内側へ凹んで形成されている。
【0069】
即ち、対象付加部材7xの外縁部における第1架設部72aと第1架設部72aの両側の2つの特定片持部71aのうちの一方との間の部分は、特定パイプ60yに接触していない。
【0070】
第2溶接部82による第1架設部72aの固定は、対象付加部材7xをより強固に固定することが必要な場合に好適である。切欠部73は、第2溶接部82によって固定された第1架設部72aに加わる応力を緩和する効果を奏する。
【0071】
本実施形態において、複数の架設部72は、特定パイプ60yに隣接する隣接パイプ60zの位置まで延びて形成された1つ以上の第2架設部72bを含む。隣接パイプ60zは、複数の角パイプ60のうち複数の対象パイプ60x以外の1つである。
図5に示される例では、複数の架設部72は、2つの第2架設部72bを含む。
【0072】
第2架設部72b各々の接触平面7aは、特定パイプ60yにおける一対の稜線部62bの両方と隣接パイプ60zにおける一対の稜線部62bの一方とに接している。
【0073】
第2架設部72b各々の縁は、第3溶接部83によって隣接パイプ60zの溝部62aに溶接されている。第3溶接部83は、隣接パイプ60zの長手方向に沿って形成されている。
【0074】
第3溶接部83は、第2架設部72b各々の両側の2つの特定片持部71aに形成された第2溶接部82に対して十分な間隔を隔てた位置に形成される。そのため、特定パイプ60yおよび隣接パイプ60zの一対の稜線部62bの高さの寸法誤差によって第2架設部72bに加わる応力は大きくない。
【0075】
なお、切欠部73が、第2架設部72b各々と第2架設部72b各々の両側の2つの特定片持部71aの一方との間に形成されてもよい。
【0076】
本実施形態において、複数の架設部72のうち第1架設部72aおよび第2架設部72b以外は、複数の角パイプ60のいずれにも溶接されていない。
【0077】
対象付加部材7xの接触平面7aが複数の対象パイプ60x各々における一対の稜線部62bの一方または両方に接する状態において、対象付加部材7xは、高い精度で位置決めされる。
【0078】
構造体6が採用されることにより、複数の対象パイプ60xの外側側面62に対象付加部材7xを高い位置精度で溶接することが可能である。
【0079】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成および各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0080】
<付記1>
接合された複数の角パイプと前記複数の角パイプの一部に取り付けられた付加部材とを有する構造体であって、
前記複数の角パイプ各々における4つの角部は、1枚の金属板の曲げ加工により形成された3つの第1角部と、前記金属板における2つの縁部および前記2つの縁部を接合する溶接部を含む1つの第2角部と、を含み、
前記複数の角パイプ各々における4つの外側側面各々は、前記複数の角パイプ各々の長手方向に沿って形成された溝部と前記溝部の両側の縁部を成す一対の稜線部とを有し、
前記付加部材は、前記複数の角パイプの一部である複数の対象パイプ各々における前記一対の稜線部の一方または両方に接する平面である接触平面を有し、
前記付加部材の外縁部は、
前記接触平面における前記複数の対象パイプ各々の前記一対の稜線部の一方にのみ接する領域をそれぞれ含む複数の片持部と、
前記複数の片持部のうちの2つの特定片持部の間に前記2つの特定片持部よりも外側へ突出して形成され、前記接触平面における前記複数の対象パイプのうちの1つである特定パイプの前記一対の稜線部の両方に接する領域を含む架設部と、を含み、
前記複数の片持部各々の縁は、前記複数の対象パイプ各々の前記溝部に溶接されている、構造体。
【0081】
<付記2>
前記付加部材の前記架設部の縁は、前記特定パイプの前記縁部に溶接されており、
前記付加部材は、前記架設部と前記架設部の両側の前記2つの特定片持部のうちの一方との間において前記特定パイプの前記一対の稜線部が露出する位置まで内側へ凹んで形成された切欠部を有する、前記付記1に記載の構造体。
【0082】
<付記3>
前記付加部材の前記架設部の前記接触平面は、前記特定パイプの前記一対の稜線部と、前記複数の角パイプのうちの前記特定パイプに隣接する隣接パイプにおける前記一対の稜線部の一方と、に接しており、
前記架設部の縁は、前記隣接パイプの前記縁部に溶接されている、前記付記1に記載の構造体。
【0083】
<付記4>
前記複数の角パイプ各々における前記4つの外側側面各々の前記溝部および前記一対の稜線部は、前記4つの外側側面各々の前記溝部および前記一対の稜線部が形成される前の元角パイプが前記元角パイプの4つの外側側面に圧接する4つの加圧ローラーの間に通されるロールプレスにより成形されている、前記付記1から前記付記3のいずれか1つに記載の構造体。
【0084】
<付記5>
前記付記1から前記付記4のいずれか1つに記載の構造体と、
前記構造体に取り付けられ、シートに画像を形成するプリント部と、を備える画像形成装置。
【符号の説明】
【0085】
4 :プリント部
6 :構造体
7 :付加部材
7a :接触平面
7x :対象付加部材
10 :画像形成装置
60 :角パイプ
60P :元角パイプ
60x :対象パイプ
60y :特定パイプ
60z :隣接パイプ
62 :外側側面
62a :溝部
62b :稜線部
63 :角部
63a :第1角部
63b :第2角部
71 :片持部
71a :特定片持部
72 :架設部
72a :第1架設部
72b :第2架設部
73 :切欠部
80 :成形空間
81 :第1溶接部
82 :第2溶接部
83 :第3溶接部