IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

特開2024-176156液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置
<>
  • 特開-液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置 図1
  • 特開-液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置 図2
  • 特開-液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置 図3
  • 特開-液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置 図4
  • 特開-液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置 図5A
  • 特開-液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置 図5B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176156
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241212BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20241212BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B41J2/175 121
B41J2/18
B41J2/175 501
B41J2/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094465
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦上 剛
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA26
2C056EA28
2C056EB21
2C056EB30
2C056EB36
2C056EC20
2C056EC30
2C056FA13
2C056HA44
2C056HA60
2C056KB10
2C056KB16
2C056KB37
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】液滴吐出ヘッドの員数の増減に応じて液体タンクの構成を容易に変更可能な液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】液体を吐出する液滴吐出装置1において、メインタンク41から第1流路42を経由して供給された液体を液滴吐出ヘッド241に供給する液体供給システム43は、液体を加熱、保温及び貯留する2以上のサブタンクユニット432を備え、第1のサブタンクユニット432は、第2のサブタンクユニット432と連結可能である。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインタンクから供給された液体を加熱、保温及び貯留する2以上のサブタンクユニットを備え、
前記サブタンクユニットから液滴吐出ヘッドに液体を供給する液体供給システムであって、
第1のサブタンクユニットと第2のサブタンクユニットとが連結可能である液体供給システム。
【請求項2】
前記サブタンクユニットは、液体を加熱、保温及び貯留する第1サブタンクと、液体にかかる圧力を調整し、前記液滴吐出ヘッドに液体を供給する第2サブタンクと、を備え、
前記第1サブタンク及び前記第2サブタンクは一体成型されている請求項1に記載の液体供給システム。
【請求項3】
前記サブタンクユニットは、液体が流入する液体供給口と、液体を排出する液体排出口と、を備え、
前記液体供給口及び前記液体排出口は、前記サブタンクユニットの対向する側面の同一位置に各々配置され、
前記第1のサブタンクユニットと前記第2のサブタンクユニットとを連結した際に、前記第1のサブタンクユニットの前記液体供給口と、前記第2のサブタンクユニットの前記液体排出口とが連通する請求項2に記載の液体供給システム。
【請求項4】
前記第1のサブタンクユニットと前記第2のサブタンクユニットの連結面に伝熱部材が設けられる請求項3に記載の液体供給システム。
【請求項5】
前記第1サブタンクから排出された液体を前記第2サブタンクへ送液する第1送り流路と、
前記第1サブタンクから排出された液体を前記液滴吐出ヘッドを経由せずに前記第1サブタンクに戻す第1戻り流路と、を備える請求項2に記載の液体供給システム。
【請求項6】
前記第2サブタンクから前記液滴吐出ヘッドへ送液する第2送り流路と、
前記第2サブタンクから排出された液体を前記液滴吐出ヘッドを経由して前記第1サブタンクに戻す第2戻り流路と、を備える請求項2に記載の液体供給システム。
【請求項7】
液滴吐出装置のメインタンクから供給された液体を加熱、保温及び貯留して液滴吐出ヘッドに供給するサブタンクユニットであって、
他のサブタンクユニットと連結可能であるサブタンクユニット。
【請求項8】
液体を吐出する液滴吐出ヘッドと、
液体を貯留するメインタンクと、
請求項1から6のいずれか一項に記載の液体供給システムと、を備える液滴吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体の記録面に液滴吐出ヘッドから液滴を吐出することで画像を記録する液滴吐出装置が知られている。
【0003】
液滴吐出装置においては、液体貯留部から液滴吐出ヘッドまでの間に、複数の液体タンクを設ける構成が知られている。例えば、引用文献1には、インク供給部からインクジェットヘッドの間に、インクを加熱、保温及び貯留する第1サブタンクと、インクジェットヘッドに適切な背圧を加える第2サブタンクが一体成型されたインクタンクを設ける構成が記載されている。このように複数の液体タンクを一体化することで、液体タンク内の液体を効率的に加熱できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-078240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような液滴吐出装置においては、例えば記録媒体の幅長を変更する場合など、液滴吐出ヘッドの員数の増減が必要になることがある。そして、液滴吐出ヘッドの員数を増減させる場合、液滴吐出ヘッドにインクを供給するインクタンクの員数も増減させる必要がある。しかしながら、特許文献1には、インクタンクの員数を増減させるための構成については記載も示唆もされていない。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものである。その目的は、液滴吐出ヘッドの員数の増減に応じて液体タンクの構成を容易に変更可能な液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
メインタンクから供給された液体を加熱、保温及び貯留する2以上のサブタンクユニットを備え、
前記サブタンクユニットから液滴吐出ヘッドに液体を供給する液体供給システムであって、
第1のサブタンクユニットと第2のサブタンクユニットとが連結可能である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体供給システムであって、
前記サブタンクユニットは、液体を加熱、保温及び貯留する第1サブタンクと、液体にかかる圧力を調整し、前記液滴吐出ヘッドに液体を供給する第2サブタンクと、を備え、
前記第1サブタンク及び前記第2サブタンクは一体成型されている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の液体供給システムであって、
前記サブタンクユニットは、液体が流入する液体供給口と、液体を排出する液体排出口と、を備え、
前記液体供給口及び前記液体排出口は、前記サブタンクユニットの対向する側面の同一位置に各々配置され、
前記第1のサブタンクユニットと前記第2のサブタンクユニットとを連結した際に、前記第1のサブタンクユニットの前記液体供給口と、前記第2のサブタンクユニットの前記液体排出口とが連通する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の液体供給システムであって、
前記第1のサブタンクユニットと前記第2のサブタンクユニットの連結面に伝熱部材が設けられる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の液体供給システムであって、
前記第1サブタンクから排出された液体を前記第2サブタンクへ送液する第1送り流路と、
前記第1サブタンクから排出された液体を前記液滴吐出ヘッドを経由せずに前記第1サブタンクに戻す第1戻り流路と、を備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の液体供給システムであって、
前記第2サブタンクから前記液滴吐出ヘッドへ送液する第2送り流路と、
前記第2サブタンクから排出された液体を前記液滴吐出ヘッドを経由して前記第1サブタンクに戻す第2戻り流路と、を備える。
【0013】
請求項7に記載の発明は、
液滴吐出装置のメインタンクから供給された液体を加熱、保温及び貯留して液滴吐出ヘッドに供給するサブタンクユニットであって、
他のサブタンクユニットと連結可能である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、液滴吐出装置であって、
液体を吐出する液滴吐出ヘッドと、
液体を貯留するメインタンクと、
請求項1から6のいずれか一項に記載の液体供給システムと、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液滴吐出ヘッドの員数の増減に応じて液体タンクの構成を容易に変更可能な液体供給システム、サブタンクユニット及び液滴吐出装置を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】インクジェット記録装置の側断面図である。
図2】インクジェット記録の機能構成を示すブロック図である。
図3】送液部の概略構成図である。
図4】1つのサブタンクユニットの外観図である。
図5A】連結される2つのサブタンクユニットの斜視図である。
図5B】連結された2つのサブタンクユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る液滴吐出装置について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0018】
[インクジェット記録装置の全体構成]
図1は、本発明の液滴吐出装置の一実施形態である、インクジェット記録装置1の主要構成を示す側断面図である。また、図2はインクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置1は、給紙部10、画像形成部20、排紙部30、送液部40及び制御部50等を備える。
【0019】
(給紙部)
給紙部10は、画像形成前の記録媒体Pを格納する。給紙部10は、制御部50の制御下で、記録媒体Pを画像形成部20に搬送する。給紙部10は、給紙トレー11及び搬送部12等を備える。
【0020】
{給紙トレー}
給紙トレー11は、記録媒体Pを格納する板状部材である。給紙トレー11は、一又は複数の記録媒体Pを載置可能に設けられる。給紙トレー11は、載置された記録媒体Pの量に応じて上下動する。給紙トレー11は、当該上下動により、最上の記録媒体Pが搬送部12によって搬送される位置で保持される。
【0021】
{搬送部}
搬送部12は、給紙トレー11から画像形成部20へ記録媒体Pを搬送する。搬送部12は、搬送機構を備える。搬送機構は、ベルト123を駆動して、ベルト123上の記録媒体Pを搬送する。ベルト123は、輪状であり、当該輪の内側が複数のローラー121、122により担持される。
【0022】
搬送部12は、供給部を備える。供給部は、給紙トレー11に載置された最上の記録媒体Pをベルト123上に受け渡す。搬送部12は、当該供給部により、記録媒体Pをベルト123に沿わせるように搬送する。
【0023】
(画像形成部)
画像形成部20は、送液部40と協働して、制御部50の制御下で記録媒体Pに記録動作をする。画像形成部20は、画像形成ドラム21、受け渡しユニット22、用紙加熱部23、ヘッドユニット24、照射部25及びデリバリー部26等を備える。
【0024】
{画像形成ドラム}
画像形成ドラム21は、円筒状の外周面に沿って記録媒体Pを担持し、回転に伴って当該記録媒体Pを搬送する。画像形成ドラム21の搬送面は、用紙加熱部23、ヘッドユニット24及び照射部25と対向し、搬送される記録媒体Pに対して画像形成処理をする。
【0025】
{受け渡しユニット}
受け渡しユニット22は、搬送部12と画像形成ドラム21の間に介在する位置に設けられる。受け渡しユニット22は、爪部221及び受け渡しドラム222等を備える。
【0026】
爪部221は、搬送部12により搬送された記録媒体Pの一端を担持する円筒状部材である。受け渡しドラム222は、爪部221に担持された記録媒体Pを誘導する部材である。
【0027】
受け渡しユニット22は、搬送部12上の記録媒体Pを爪部221で取り上げて受け渡しドラム222の外周面に沿わせる。受け渡しユニット22は、当該動作により、記録媒体Pを画像形成ドラム21に受け渡す。
【0028】
{用紙加熱部}
用紙加熱部23は、例えば、電熱線等を備え、通電に応じて発熱する。用紙加熱部23は、制御部50により制御され、その近傍を通過する記録媒体Pが所定の温度となるように発熱する。用紙加熱部23は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であり、かつ、記録媒体Pの搬送方向について、ヘッドユニット24の上流側に位置するよう設けられる。
【0029】
用紙加熱部23の近傍には、不図示の温度センサーが設けられる。制御部50は、当該温度センサーにより用紙加熱部23付近の温度を検知する。制御部50は、当該検知した温度に基づいて、用紙加熱部23の発熱を制御する。
【0030】
{ヘッドユニット}
ヘッドユニット24は、記録媒体Pに対してインクを吐出して画像を形成する。ヘッドユニット24は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の各色に対応するものがそれぞれ設けられている。図1では、記録媒体Pの搬送方向に対して、上流からY、M、C、Kの各色に対応したヘッドユニット24が順番に設けられている。
【0031】
ここで、平面視において記録媒体Pの搬送方向に垂直な方向を幅方向とする。本実施形態のヘッドユニット24は、幅方向につき、記録媒体Pの全体をカバーする長さ(幅)で複数配列されるように設けられている。すなわち、インクジェット記録装置1は、ワンパス方式のラインヘッド型インクジェット記録装置である。ヘッドユニット24は、液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッド241(図3参照)が複数配列されて構成されている。
【0032】
なお、画像形成部20に設けられるヘッドユニット24の数は3つ以下であっても5つ以上であってもよい。また、単一のインクジェットヘッド241がヘッドユニット24を構成する構成であってもよい。
【0033】
ヘッドユニット24が吐出するインクは、例えば紫外線硬化型インクである。紫外線硬化型インクは、照射部25から紫外線が照射されない状態では、温度に応じてゲル状態と液体(ゾル)状態との間で相変化するゲル状インクである。紫外線硬化型インクは、例えば40~100℃程度の相変化温度を有し、相変化温度以上に加熱上昇されることで一様に液化(ゾル化)する。紫外線硬化型インクは、一方で、通常の室温程度、すなわち0~30℃程度である場合はゲル化する。
【0034】
{照射部}
照射部25は、例えば、低圧水銀ランプ等の蛍光管を備える。照射部25は、当該蛍光管の発光により、紫外線等のエネルギー線を照射する。照射部25は、画像形成ドラム21の外周面の近傍に設けられる。また、照射部25は、記録媒体Pの搬送方向について、ヘッドユニット24の下流側に位置するよう設けられる。照射部25は、インクが吐出された記録媒体Pに対してエネルギー線を照射する。記録媒体P上のインクは、当該エネルギー線の作用により硬化する。
【0035】
なお、紫外線を発する蛍光管は低圧水銀ランプに限られない。蛍光管は、例えば数百Pa~1MPa程度の動作圧力を備える水銀ランプであってよい。また、蛍光管は、殺菌灯として利用可能な光源、例えば、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプあるいは発光ダイオード等であってよい。この中でも、蛍光管は、紫外線をより高照度で照射可能であって省電力な光源であることが望ましい。蛍光管は、例えば、発光ダイオード等である。なお、エネルギー線は紫外線に限られず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であれば良い。そして、光源もエネルギー線に応じて置換される。
【0036】
上記においてはヘッドユニット24が紫外線硬化型のインクを吐出する場合を例示したが、これに限定されない。ヘッドユニット24が吐出するインクは、水性インクやその他の物性を有するインクであっても良い。
【0037】
{デリバリー部}
デリバリー部26は、搬送機構を備える。搬送機構は、内側が複数のローラー261、262に担持された輪状のベルト263を駆動して、記録媒体Pを搬送する。デリバリー部26は、円筒状の受け渡しローラー264を備える。受け渡しローラー264は、記録媒体Pを画像形成ドラム21から当該搬送機構に受け渡す。デリバリー部26は、受け渡しローラー264によりベルト263上に受け渡された記録媒体Pを搬送して排紙部30に送出する。
【0038】
(排紙部)
排紙部30は、画像形成部20で画像形成された記録媒体Pが排紙される。
排紙部30は、板状の排紙トレー31等を備える。デリバリー部26により画像形成部20から送り出された記録媒体Pは、排紙トレー31に載置される。排紙部30は、当該記録媒体Pを、ユーザーが取り出すまで格納する。
【0039】
(送液部)
図3は、送液部40の概略構成図である。送液部40は、メインタンク41、第1流路42及び液体供給システム43等を備える。送液部40は、メインタンク41に貯留されたインクを、第1流路42及び液体供給システム43を経由して、インクジェットヘッド241に送液する。
【0040】
{メインタンク}
メインタンク41は、メインタンク41を除く送液部40の各部に供給されるインクが収容されるタンクである。メインタンク41は、第1流路42を介して液体供給システム43と連通する。メインタンク41は、その全体を交換可能となっており、供給ポンプP1の動作状況に拘わらず、第1流路42と着脱可能に形成されている。
【0041】
また、メインタンク41には、撹拌モーター411及び撹拌プロペラ412が設けられる。撹拌モーター411は、制御部50の制御下で、撹拌プロペラ412を回転駆動させる。当該駆動により、撹拌プロペラ412は、メインタンク41内のインクを撹拌して、所定の粘度に低下させる。これにより、後述する供給ポンプP1がインクを送液可能となる。
【0042】
<第1流路>
第1流路42は、メインタンク41と液体供給システム43を連通する流路である。第1流路42は、供給ポンプP1と供給弁421を備える。供給ポンプP1は、制御部50の制御下で、メインタンク41内のインクを液体供給システム43に送液する。供給弁421は、電磁弁であって、制御部50の制御下で、供給ポンプP1の送液時に開放される。
【0043】
{液体供給システム}
液体供給システム43は、送液方向上流側から順に、溶解流路431、少なくとも2つのサブタンクユニット432、液量検知タンク433、フィルターF、脱気モジュール434及び送液ポンプP2等を備える。また、液体供給システム43は、第2流路(第1送り流路)435、第3流路(第1戻り流路)436、第4流路(第2送り流路)437及び第5流路(第2戻り流路)438等を備える。また、液体供給システム43及びインクジェットヘッド241は、不図示のキャリッジに搭載されて、制御部50の制御下で移動可能にされている。
【0044】
<溶解流路>
溶解流路431は、制御部50の制御下で、第1流路42を流動してきたインクを所定温度に加温して、その粘度を低下させる。溶解流路431の当該作用により、インクが第2流路435内を流動可能となる。
【0045】
なお、後述するようにサブタンクユニット432を増設した場合、それに応じてメインタンク41から送液されるインクの量も増加する。そのため、溶解流路431は、サブタンクユニット432の増減に対応して増減可能な構成として、より効率的にインクを加熱可能にするのが好ましい。本実施形態においては、図3に示すように、1つのサブタンクユニット432に対して1つの溶解流路431が設けられる。
【0046】
{サブタンクユニット}
図4は、1つのサブタンクユニット432の外観図である。サブタンクユニット432は、伝熱性の高い金属(例えばアルミニウム等)によって形成される。サブタンクユニット432は、図4に示すように、例えば1つの第1サブタンク4321と1つの第2サブタンク4322が一体成型されて構成される。また、サブタンクユニット432には、加熱部材4323が設けられる。また、サブタンクユニット432の両側面には、液体供給口4324と液体排出口4325が設けられる。また、サブタンクユニット432の内部には、液体供給口4324と液体排出口4325を連通するインク流路が設けられる。
【0047】
〔第1サブタンク〕
第1サブタンク4321は、液体供給口4324及び液体排出口4325を連通するインク流路と連通するように設けられる。第1サブタンク4321は、メインタンク41から供給されたインクを貯留する。また、第1サブタンク4321は、貯留しているインクを加熱部材4323により適温に加温及び保温する。
【0048】
また、図3及び図4に示すように、第1サブタンク4321は、2つの第5流路438により、インクジェットヘッド241の2つのアウトレットとそれぞれ連通する。当該構成により、インクジェットヘッド241から吐出されなかったインクは、第1サブタンク4321に回収される。
【0049】
〔第2サブタンク〕
第2サブタンク4322は、インクジェットヘッド241に送液されるインクが一時的に貯留される小型のインク室である。第2サブタンク4322の容量は、特に限定されないが、第1サブタンク4321の容量より小さいか略同一程度である。
【0050】
図3に示すように、第2サブタンク4322は、第2流路435により第1サブタンク4321と連通しており、第1サブタンク4321内のインクが内部に流入する。また、第2サブタンク4322は、第4流路437によりインクジェットヘッド241のインレットと連通しており、貯留しているインクをインクジェットヘッド241に送液する。
【0051】
また、本実施形態においては、図3に示すように、1つの第2サブタンク4322に対して2つのインクジェットヘッド241が連通するよう構成される。そのため、例えばインクジェットヘッド241を2つ増設する場合、1つのサブタンクユニット432が増設される。
【0052】
また、第2サブタンク4322は、それぞれ不図示の背圧調整流路により大気接続する。背圧調整流路には、背圧調整ポンプが設けられ、制御部50の制御下で、第2サブタンク4322を介して各インクジェットヘッド241のノズルに適切な負圧を加えてヘッドメニスカスを生成させる。当該制御により、画像形成時や各種のメンテナンスを除くタイミングで、ノズルから液体が漏れ出るのを防止する。また、当該制御により、第2サブタンク4322をインクジェットヘッド241よりも下方に配置してその水頭差によりインクジェットヘッド241のノズルの背圧を制御する必要が無い。結果、第2サブタンク4322をインクジェットヘッド241に対して任意の箇所に配置でき、送液部40及びインクジェット記録装置1を小型化できる。
【0053】
また、第2サブタンク4322内には、フロートセンサーである液面測定部4322aが設けられる。液面測定部4322aは、第2サブタンク4322内のインクの液面位置に係る測定データを取得して制御部50に出力する。制御部50は、当該測定データから各第2サブタンク4322内のインク残量を算出する。制御部50は、いずれかの第2サブタンク4322内のインク残量が所定値以下である場合、第2流路435のうち、当該第2サブタンク4322と連通する流路に設けられた電磁弁4351を開放する。そして、制御部50は、送液ポンプP2を駆動させて、当該第2サブタンク4322に送液する。当該制御により、各第2サブタンク4322中のインクの量は、所定量に保たれる。
【0054】
また、第1サブタンク4321及び第2サブタンク4322は、それぞれ不図示の大気開放流路により大気接続する。大気開放流路には、空圧ポンプが設けられ、制御部50の制御下で、第1サブタンク4321内及び第2サブタンク4322内を加圧あるいは減圧する。
【0055】
{加熱部材}
加熱部材4323は、図4に示すように、例えばサブタンクユニット432の外面に直接接触して加熱することで、サブタンクユニット432内のインクを加熱する。加熱部材4323は、例えば帯状発熱体を薄板状の絶縁断熱材上に波形に配置したラバーヒーターである。加熱部材4323としてラバーヒーターを用いると、サブタンクユニット432に対する密着性が向上する。
【0056】
{液体供給口、液体排出口}
液体供給口4324は、サブタンクユニット432の第1の側面に設けられる。液体供給口4324は、他のサブタンクユニット432の第1サブタンク4321あるいはメインタンク41から排出されたインクを受け入れる。液体排出口4325は、サブタンクユニット432の第1の側面に対向する第2の側面に設けられる。液体排出口4325は、他のサブタンクユニット432の第1サブタンク4321あるいは液量検知タンク433にインクを排出する。
【0057】
上記したように、液体供給口4324と液体排出口4325は、サブタンクユニット432の対向する面に設けられる。また、液体供給口4324と液体排出口4325は、サブタンクユニット432の同じ位置に設けられる。また、第1のサブタンクユニット432の液体排出口4325は、第2のサブタンクユニット432の液体供給口4324と同一形状となるように設けられる。当該構成とすることで、図5A及び図5Bに示すように、ボルト等の連結部材でサブタンクユニット432同士を連結させることで、容易にインク流路を連通させられる。
【0058】
なお、連結する第1のサブタンクユニット432の液体供給口4324と、第2のサブタンクユニット432の液体排出口4325の連通部には、弾性変形可能な円環部材であるOリングを設けるのが好ましい。液体供給口4324と液体排出口4325の連通部にOリングを設けることで、液漏れの発生を防止できる。
【0059】
また、図5Aに示すように、第1のサブタンクユニット432と第2のサブタンクユニット432の連結面には、所定の伝熱部材Tを設けるのが好ましい。伝熱部材Tとは、例えば伝熱スポンジや伝熱グリス等の伝熱性を高める部材である。伝熱部材Tを設けることで、複数のサブタンクユニット432間の温度ムラを小さくできる。なお、図5Aにおいては、連結する両方のサブタンクユニット432にそれぞれ伝熱部材Tを設ける構成を例示しているが、少なくとも一方のサブタンクユニット432に設ければよい。
【0060】
また、液体供給口4324と液体排出口4325は異なる面及び/又は異なる位置に設けられていてもよい。この場合、例えばチューブ等の可撓性を持つ流路を有する連結部材で液体供給口4324と液体排出口4325を連通させることで、2つのサブタンクユニット432を連結できる。
【0061】
{液量検知タンク}
図3に戻って、液量検知タンク433は、サブタンクユニット432の液体排出口4325と連結される。本実施形態において、液量検知タンク433は、全てのサブタンクユニット432の第1サブタンク4321と同じ高さとなるように連結される。また、液量検知タンク433は、その上部が全ての第1サブタンク4321の上部と連通するように設けられる。また、液量検知タンク433は、上記した大気開放流路を介して大気連通するように設けられる。また、液量検知タンク433には、フロートセンサーである液面測定部4331が設けられる。
【0062】
当該構成により、液量検知タンク433の液面高さは、全ての第1サブタンク4321と等しくなる。そのため、液面測定部4331により、全ての第1サブタンク4321の液面高さが取得可能となる。
【0063】
なお、液量検知タンク433を設けず、全ての第1サブタンク4321に液面測定部を設けて各第1サブタンク4321の液面高さを取得してもよい。ただし、液量検知タンク433を設ける構成の場合、液量検知タンク433に液面測定部4331を1つだけ設ければよいため、コストの観点から好ましい。
【0064】
{フィルター}
フィルターFは、通過するインクを濾過することで、インク中の異物を除去する。フィルターFは、例えばメッシュ状の金属や樹脂の多孔質体等によって形成され、所定の大きさのメッシュを有する。
【0065】
〈脱気モジュール〉
脱気モジュール434は、例えば複数の中空糸膜の内側が脱気され、当該中空糸膜の外側にインクが流通する、外部還流型の中空糸膜脱気モジュールである。脱気モジュール434により、インクに溶存した、あるいはインクに含まれた気泡が除去される。
【0066】
インクに空気が混入していると、いわゆる「エア噛み」により、後述する送液ポンプP2が送液不良ないし送液不能になるおそれがある。そのため、脱気モジュール434は、送液ポンプP2よりも送液方向上流側に設けられる。なお、脱気モジュール434は、中空糸内の中空部にインクを還流させる内部還流型であってもよい。
【0067】
{第2流路}
第2流路435は、液体供給システム43の各部材を連通して、第1サブタンク4321内の液体を第2サブタンク4322に送液する送り流路である。
【0068】
{送液ポンプ}
送液ポンプP2は、第2流路435に設けられ、脱気モジュール434を通過したインクを送液する。送液ポンプP2は、例えば公知のダイアフラムポンプであり、制御部50の制御下で、ダイアフラムを駆動させて第2流路435中のインクを送液する。
【0069】
{第3流路}
第3流路436は、第2流路435の終端部と始端部とを連結するように設けられる。第3流路436により、第1サブタンク4321から送液されたインクを、インクジェットヘッド241を経由せずに第1サブタンク4321に戻すことができる。液体供給システム43がこのような循環構造を備えることで、インク供給が停止した際に発生する温度ムラを解消できる。また、液体供給システム43がこのような循環構造を備えることで、循環したインクをフィルターFで再度濾過できる。また、循環したインクを脱気モジュール434で再度脱気できる。
【0070】
また、第3流路436には、送液方向下流側から送液方向上流側へのインクの流動のみを許可する逆止弁4361が設けられる。逆止弁4361は、例えば第2流路435に設けられた電磁弁がいずれも開放されず、内圧が所定値まで上昇した際に開放される。
【0071】
(第4流路、第5流路)
第4流路437は、第2サブタンク4322とインクジェットヘッド241のインレットを連通して、第2サブタンク4322中のインクをインクジェットヘッド241に送る流路である。また、第5流路438は、インクジェットヘッド241のアウトレットと第1サブタンク4321を連通して、インクジェットヘッド241のインクを第1サブタンク4321に戻す流路である。第4流路437及び第5流路438は、不図示の加熱手段により加熱可能である。第4流路437及び第5流路438は、例えば樹脂を材料としたり、伝熱性の良い部材で構成されたりする。また、第4流路437には、上記したようなフィルターFを設けてもよい。また、第5流路438には、電磁弁4381が設けられている。
【0072】
(制御部)
図2に戻って、制御部50は、インクジェット記録装置1を構成する各部を制御する。制御部50は、図2に示すように、上記インクジェット記録装置1を構成する各部と接続される。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)51、RAM(Random Access Memory)52及びROM(Read Only Memory)53等を備える。
【0073】
CPU51は、ROM53等の記憶装置から処理内容に応じた各種のプログラムやデータ等を読み出して実行する。CPU51は、実行された処理内容に応じてインクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。RAM52は、CPU51により処理される各種のプログラムやデータ等を一時的に記憶する。ROM53は、CPU51等により読み出される各種のプログラムやデータ等を記憶する。
【0074】
[実施形態の効果]
以上に示すように、本実施形態に係る液体供給システム43は、メインタンク41から供給されたインクを加熱、保温及び貯留する2以上のサブタンクユニット432を備える。また、液体供給システム43は、サブタンクユニット432からインクジェットヘッド241にインクを供給する。そして、第1のサブタンクユニット432と第2のサブタンクユニット432は連結可能である。当該構成によれば、インクジェットヘッド241の増減に応じてサブタンクユニット432を増減可能であるため、インクタンクの構成を容易に変更可能となる。
【0075】
また、サブタンクユニット432は、インクを加熱、保温及び貯留する第1サブタンク4321を備える。また、サブタンクユニット432は、インクにかかる圧力を調整してインクジェットヘッド241にインクを供給する第2サブタンク4322を備える。そして、サブタンクユニット432において、第1サブタンク4321と第2サブタンク4322は一体成型されている。当該構成によれば、第1サブタンク4321へ加わった熱が第2サブタンク4322に伝って内部のインクが加熱される。結果、低温のインクがインクジェットヘッド241に供給されることによる吐出不良の発生を抑制できる。
【0076】
また、サブタンクユニット432の液体供給口4324と液体排出口4325は、サブタンクユニット432の対向する側面の同一位置に各々配置される。また、サブタンクユニット432同士を連結した際に、液体供給口4324と液体排出口4325が連通する。当該構成によれば、液体供給口4324と液体排出口4325を連通させる部材を別に設ける必要が無く、より容易にサブタンクユニット432同士が連結可能となる。
【0077】
また、サブタンクユニット432の連結面には伝熱部材Tが設けられる。当該構成によれば、サブタンクユニット432の連結時にできる空気層が塞がれ、伝熱効率が良くなる。結果、複数のサブタンクユニット432の熱分布が均一になる。
【0078】
また、液体供給システム43は、第1サブタンク4321から排出されたインクを第2サブタンク4322に送液する第2流路435を備える。また、液体供給システム43は、第1サブタンク4321から排出されたインクを、インクジェットヘッド241を経由せずに第1サブタンク4321に戻す第3流路436を備える。当該構成によれば、インクの循環により、液体供給が停止した際に発生する温度ムラを解消できる。また、当該構成とした上で更に、第2流路435にフィルターFや脱気モジュール434を設けることで、インク中の異物や空気を除去できる。
【0079】
また、液体供給システム43は、第2サブタンク4322から液滴吐出ヘッド241に送液する第4流路437を備える。また、液体供給システム43は、第2サブタンク4322から排出されたインクを液滴吐出ヘッド241を経由して第1サブタンク4321に戻す第5流路438を備える。当該構成によれば、インクの循環により、液体供給が停止した際に発生する温度ムラを解消できる。また、液滴吐出ヘッド241中の気泡を第1サブタンク4321に戻すことができる。
【0080】
[その他の構成]
以上、本発明に係る実施の形態に基づいて具体的に説明を行ったが、本発明が上述の実施の形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む様々な変更が可能であるのはもちろんである。
【0081】
例えば、上記においては、サブタンクユニット432が第1サブタンク4321と第2サブタンク4322を1つずつ備える構成を例示したが、これに限られない。すなわち、サブタンクユニット432が例えば1つの第1サブタンク4321と複数の第2サブタンク4322を備える構成としてもよい。
【0082】
また、サブタンクユニット432において、第1サブタンク4321と第2サブタンク4322が一体成型されているとしたが、これに限られない。すなわち、サブタンクユニット432の第1サブタンク4321と第2サブタンク4322は分割可能であってもよい。
【0083】
また、上記においては、連結された複数のサブタンクユニット432を備えるインクジェット記録装置1を例示したが、これに限られない。すなわち、単一のサブタンクユニット432を備えるインクジェット記録装置1であってもよい。
【0084】
また、上記においては液滴吐出装置がインクジェット記録装置1である場合を例示したが、これに限られない。すなわち、本発明は、インク以外の液体の液滴をノズルから吐出する各種の液滴吐出装置であってよい。
【符号の説明】
【0085】
1 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
241 インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)
41 メインタンク
43 液体供給システム
432 サブタンクユニット
4321 第1サブタンク
4322 第2サブタンク
4324 液体供給口
4325 液体排出口
435 第2流路(第1送り流路)
436 第3流路(第1戻り流路)
437 第4流路(第2送り流路)
438 第5流路(第2戻り流路)
T 伝熱部材
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B