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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176158
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】水素タンク構造
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/08 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F17C13/08 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094473
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内村 治弘
(72)【発明者】
【氏名】片岡 千明
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB03
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC03
3E172BC08
3E172DA90
3E172EA02
3E172EB02
(57)【要約】
【課題】マニホールドから水素ガス流路への熱伝達を抑制し、充填水素ガスの温度上昇を防止できる水素タンク構造を提供する。
【解決手段】水素タンク構造1は、並列された複数の水素タンク2と、各水素タンク2の一端部と連結された長尺状のマニホールド3とを備える。マニホールド3は、マニホールド3の内部において該マニホールド3の長手方向に沿って延設されるとともに、各水素タンク2の内部と連通する水素ガス流路32と、水素ガス流路32の近傍に設けられた断熱部33と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列された複数の水素タンクと、各水素タンクの一端部と連結された長尺状のマニホールドと、を備える水素タンク構造であって、
前記マニホールドは、
前記マニホールドの内部において前記マニホールドの長手方向に沿って延設されるとともに、各水素タンクの内部と連通する水素ガス流路と、
前記水素ガス流路の近傍に設けられた断熱部と、
を有することを特徴とする水素タンク構造。
【請求項2】
前記断熱部は、前記マニホールドの内部に設けられるとともに、前記マニホールドの長手方向に沿って延びる空洞部であり、
前記マニホールドの長手方向から見たときに、前記空洞部は、前記水素ガス流路を取り囲むように断面C字状に形成され、C字の開口が前記水素タンク側に向いている請求項1に記載の水素タンク構造。
【請求項3】
前記マニホールドは、前記水素ガス流路が設けられたマニホールド本体を更に有し、
前記断熱部は、前記マニホールド本体を取り囲むように前記マニホールド本体の外周に配置された断熱材である請求項1に記載の水素タンク構造。
【請求項4】
前記断熱部は、前記水素ガス流路の内壁面に設けられた断熱被膜である請求項1に記載の水素タンク構造。
【請求項5】
前記断熱部は、前記水素ガス流路と連通して前記マニホールドの内部において水素ガスを循環させるガス循環路である請求項1に記載の水素タンク構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素タンク構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような技術分野として、例えば特許文献1に記載されるものがある。特許文献1に記載の水素タンク構造は、並列された複数の小型水素タンクと、これらの水素タンクを固定するとともに各タンクに水素ガスを充填するためのマニホールドとを備える。マニホールドの内部には水素ガス流路が設けられており、該水素ガス流路を経由して各水素タンクの内部に冷却された水素ガスを充填する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-32034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の水素タンク構造では、マニホールドが金属製であって、マニホールドの熱マス(すなわち、熱容量)が大きいため、冷却された水素ガスがマニホールド内部の水素ガス流路を通過する際に、マニホールドから受熱し、温度が上昇する。温度が上昇すると、タンクへの水素充填量が低下し、満タンにならない問題が生じる。この問題を解決するため、熱マスを小さくするようにマニホールドのサイズを小さくすることが検討されるが、マニホールドの耐落下性能を低下させる問題が新たに生じる。
【0005】
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、マニホールドから水素ガス流路への熱伝達を抑制し、充填水素ガスの温度上昇を防止できる水素タンク構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る水素タンク構造は、並列された複数の水素タンクと、各水素タンクの一端部と連結された長尺状のマニホールドと、を備える水素タンク構造であって、前記マニホールドは、前記マニホールドの内部において前記マニホールドの長手方向に沿って延設されるとともに、各水素タンクの内部と連通する水素ガス流路と、前記水素ガス流路の近傍に設けられた断熱部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る水素タンク構造では、水素ガス流路の近傍に設けられた断熱部は、マニホールドから水素ガス流路への熱伝達を抑制する役割を果たし、水素ガス流路を流れる水素ガスの温度上昇を抑えることができる。その結果、水素ガス充填時にマニホールドからの受熱を低減し、充填水素ガスの温度上昇を防止することができる。その結果、温度上昇による水素充填量の低下を抑制することができる。
【0008】
本発明に係る水素タンク構造において、前記断熱部は、前記マニホールドの内部に設けられるとともに、前記マニホールドの長手方向に沿って延びる空洞部であり、前記マニホールドの長手方向から見たときに、前記空洞部は、前記水素ガス流路を取り囲むように断面C字状に形成され、C字の開口が前記水素タンク側に向いていることが好ましい。このようにすれば、断熱部は、マニホールドから水素ガス流路への熱伝達を抑制するので、マニホールドからの受熱を低減し、充填水素ガスの温度上昇を防止することができる。
【0009】
本発明に係る水素タンク構造において、前記マニホールドは、前記水素ガス流路が設けられたマニホールド本体を更に有し、前記断熱部は、前記マニホールド本体を取り囲むように前記マニホールド本体の外周に配置された断熱材であることが好ましい。この場合、マニホールド本体の外周に配置された断熱材を用いて外部環境からマニホールド本体への熱伝達を遮断することで、外気温によるマニホールド本体への影響を減らすことができる。その結果、マニホールドから水素ガス流路への熱伝達を抑制し、充填水素ガスの温度上昇を防止することができる。
【0010】
本発明に係る水素タンク構造において、前記断熱部は、前記水素ガス流路の内壁面に設けられた断熱被膜であることが好ましい。この場合、断熱被膜を用いてマニホールドから水素ガス流路への熱伝達を抑制し、充填水素ガスの温度上昇を防止することができる。
【0011】
本発明に係る水素タンク構造において、前記断熱部は、前記水素ガス流路と連通して前記マニホールドの内部において水素ガスを循環させるガス循環路であることが好ましい。この場合、ガス循環路を利用し、マニホールドから水素ガス流路への熱伝達を抑制して充填水素ガスの温度上昇を防止できるとともに、充填水素ガスの温度の不均一化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マニホールドから水素ガス流路への熱伝達を抑制し、充填水素ガスの温度上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る水素タンク構造を示す模式断面図である。
図2図1のA-A線及びB-B線に沿う断面図である。
図3】第2実施形態に係る水素タンク構造を示す断面図である。
図4】第3実施形態に係る水素タンク構造を示す断面図である。
図5】第4実施形態に係る水素タンク構造を示す模式断面図である。
図6図5のC-C線及びD-D線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明に係るタンク保持構造の実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、その重複説明を省略する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係る水素タンク構造を示す模式断面図であり、図2図1のA-A線及びB-B線に沿う断面図である。なお、図1において、マニホールド3の受入凹部34(後述する)の構造を分かりやすくするため、水素タンク2が該受入凹部34に挿入される前の状態を示す。
【0016】
本実施形態の水素タンク構造1は、例えば燃料電池自動車(図示せず)に搭載されたものであり、並列された複数の水素タンク2と、各水素タンク2の一端部と連結された長尺状のマニホールド3とを備えている。
【0017】
水素タンク2は、チャンバーともいい、タンクの口元を小さくした小径タンクであり、内部に水素ガスを貯留する空間を有する高圧容器である。この水素タンク2は、略円筒形状のタンク本体21と、タンク本体21の開口端部に取り付けられた口金部22とを有する。図示しないが、タンク本体21は、両端がドーム状に丸みを帯びた略円筒形状のライナーと、ライナーの外周面を覆う繊維強化樹脂層とを有する。ライナーは、アルミニウム製であってもよく、樹脂製であってもよい。
【0018】
口金部22は、ステンレス鋼やアルミニウム合金などの金属材料により円筒状に加工されたものであって、水素タンク2の軸方向に沿って延びる円筒状の口金本体23と、該口金本体23の一端部に連結されて径方向に突出する鍔部24とを有する。口金部22は、タンク本体21の開口端部に外挿された状態で、螺合により該開口端部に固定されている。
【0019】
また、口金本体23の外周壁には、マニホールド3の受入凹部34に形成された雌ネジ部341と螺合する雄ネジ部231が形成されている。鍔部24は、口金部22全体の強度を高める機能と、マニホールド3と螺合する際にその螺合深さを規制する機能とを果たすものであり、口金本体23と一体的に形成されている。
【0020】
このような構造を有する複数の水素タンク2は、図1に示すように、一方向に沿って並べて配置されている。各水素タンク2は、マニホールド3の受入凹部34に挿入された状態で、雄ネジ部231と受入凹部34の雌ネジ部341との螺合によりマニホールド3と連結されている。
【0021】
マニホールド3は、複数の水素タンク2を固定する機能と、各水素タンク2の内部に水素ガスを充填する機能とを果たす金属部材である。本実施形態では、マニホールド3は、例えばアルミ押し出し材によって形成されている。
【0022】
マニホールド3は、矩形断面を有する長尺状のマニホールド本体31と、マニホールド本体31の内部に設けられた水素ガス流路32と、水素ガス流路32の近傍に設けられた断熱部33とを有する。
【0023】
マニホールド本体31には、水素タンク2の口金部22を受け入れる受入凹部34が複数設けられている。図1に示すように、これらの複数の受入凹部34は、マニホールド本体31の長手方向に沿って等間隔で配置されるとともに、マニホールド本体31の同一側(水素タンク2側)に位置する。受入凹部34は、円柱状の空洞からなり、水素タンク2に向けて開口している。受入凹部34の内周壁には、水素タンク2の口金部22の雄ネジ部231と螺合するための雌ネジ部341が形成されている。
【0024】
水素ガス流路32は、マニホールド本体31の略中央位置に配置されるとともに、マニホールド本体31の長手方向に沿って延設される主流路321と、主流路321から分岐して主流路321と受入凹部34とを連通する複数の副流路322とを有する。主流路321は、断面円形を呈しており、その長手方向の一端部はIn/Outコネクト4と接続され、他端部はエンドプラグ5によって塞がれている。副流路322は、複数の受入凹部34に対して1対1で設けられている。副流路322は、受入凹部34に挿入されたタンク本体21の開口と同軸上に位置するようになっている。
【0025】
水素ガス流路32は、In/Outコネクト4を介し、マニホールド3に取り付けられたバルブ(図示せず)と接続されている。水素充填の際に、水素ステーション側から供給された水素ガスは、冷却された(例えば-40℃)状態でバルブ及びIn/Outコネクト4を経由して主流路321に流れ、更に副流路322を経由して水素タンク2の内部に流れる。
【0026】
断熱部33は、マニホールド本体31の内部においてマニホールド本体31の長手方向に沿って延びる空洞部からなる。図2に示すように、マニホールド本体31の長手方向から見たときに、断熱部33(すなわち、空洞部)は、水素ガス流路32を取り囲むように断面C字状に形成されており、C字の開口が水素タンク2側に向いている。
【0027】
図1に示すように、断熱部33の長手方向の一端はIn/Outコネクト4、他端はエンドプラグ5によってそれぞれ塞がれている。そして、In/Outコネクト4側において、断熱部33は、連通路6を介して水素ガス流路32と連通する。なお、水素充填の際に、水素ガスが連通路6を経由して断熱部33(すなわち、空洞部)の内部にも流れ込むが、断熱部33の他端がエンドプラグ5に塞がれるため、水素ガスの流れは発生しない。
【0028】
図2に示すように、水素ガス流路32の主流路321は、断面C字状の断熱部33の内部に配置されている。一方、水素ガス流路32の副流路322は、C字状の断熱部33の開口を通り抜けて主流路321と受入凹部34とを連通する。
【0029】
本実施形態に係る水素タンク構造1において、断熱部33は、連通路6によって水素ガス流路32と連通するので、断熱部33の圧力及び水素ガス流路32の圧力は同じである。また、断熱部33は、断面C字状を呈し、水素ガス流路32の主流路321を取り囲むので、マニホールド3から水素ガス流路32の主流路321への熱伝達を抑制し、マニホールド3からの受熱を低減することができる。従って、水素充填時に、充填水素ガスの温度上昇を防止することができ、温度上昇による水素充填量の低下を抑制することができる。更に、このようにすることで、マニホールド3のサイズを小さくする必要がないので、マニホールド3の耐落下性能に影響を与えない。その結果、耐落下性能を低下させることなく、マニホールド3からの受熱の低減を実現できる。
【0030】
[第2実施形態]
以下、図3を参照して水素タンク構造の第2実施形態を説明する。本実施形態の水素タンク構造1Aは、断熱部の構造において上述した第1実施形態と異なっている。その他の構造は第1実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0031】
図3に示すように、本実施形態の断熱部33Aは、マニホールド本体31を取り囲むようにマニホールド本体31の外周に配置された断熱材である。より具体的には、断熱部33Aは、シート状の断熱材をマニホールド本体31の外周面に巻き付けることにより角筒状に形成されている。断熱材は、例えば接着剤等でマニホールド本体31の外周面と密着されている。なお、水素タンク2の挿入と干渉しないように、受入凹部34が形成された場所では、断熱部33Aは、設けられていない。
【0032】
断熱材は、例えば合成樹脂発泡体であってもよく、繊維断熱材であってもよい。合成樹脂発泡体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、フェノール樹脂等の独立気泡を有する発泡体を使用することができる。繊維断熱材としては、ガラスファイバー、ポリエステルやナイロンの不織布、セルローファイバー等を使用することができる。
【0033】
本実施形態の水素タンク構造1Aによれば、マニホールド本体31の外周に配置された断熱材を用いて外部環境からマニホールド本体31への熱伝達を遮断することで、外気温によるマニホールド本体31への影響を減らすことができる。これによって、マニホールド3から水素ガス流路32への熱伝達を抑制し、マニホールド3からの受熱を低減することができる。従って、水素充填時に、充填水素ガスの温度上昇を防止することができ、温度上昇による水素充填量の低下を抑制することができる。更に、断熱材は、マニホールド本体31を取り囲むようにマニホールド本体31の外周に配置されるので、マニホールド本体31を保護する緩衝機能を果たすこともでき、マニホールド3の耐落下性能を高めることができる。
【0034】
[第3実施形態]
以下、図4を参照して水素タンク構造の第3実施形態を説明する。本実施形態の水素タンク構造1Bは、断熱部の構造において上述した第1実施形態と異なっている。その他の構造は第1実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0035】
図4に示すように、本実施形態の断熱部33Bは、水素ガス流路32の内壁面に設けられた断熱被膜である。より具体的には、水素ガス流路32の主流路321の内壁面全面には、マニホールド本体31よりも熱伝導性が低い断熱被膜が形成されている。断熱被膜は、例えば合金粉末等を溶融させながら溶射により主流路321の内壁面に吹き付けることで形成されてもよく、セラミック材を主流路321の内壁面に溶射することで形成されてもよく、又は、主流路321の内壁面に断熱塗料をスプレー塗装することによって形成されてもよい。
【0036】
なお、本実施形態では、副流路322を取り囲む断熱被膜が設けられていないが、必要に応じて、副流路322を取り込むための断熱被膜を更に設けてもよい。すなわち、断熱部33Bは、主流路321を取り囲む断熱被膜だけではなく、各副流路322を取り囲む断熱被膜を有してもよい。
【0037】
本実施形態の水素タンク構造1Bによれば、水素ガス流路32の主流路321の内壁面全面に、マニホールド本体31よりも熱伝導性が低い断熱被膜が形成されているので、断熱被膜を用いてマニホールド3から水素ガス流路32の主流路321への熱伝達を抑制し、マニホールド3からの受熱を低減することができる。従って、水素充填時に、充填水素ガスの温度上昇を防止することができ、温度上昇による水素充填量の低下を抑制することができる。更に、このようにすることで、マニホールド3のサイズを小さくする必要がないので、マニホールド3の耐落下性能に影響を与えない。その結果、耐落下性能を低下させることなく、マニホールド3からの受熱の低減を実現できる。
【0038】
[第4実施形態]
以下、図5及び図6を参照して水素タンク構造の第4実施形態を説明する。本実施形態の水素タンク構造1Cは、断熱部の構造において上述した第1実施形態と異なっている。その他の構造は第1実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0039】
図5に示すように、本実施形態の断熱部33Cは、水素ガス流路32と連通してマニホールド3の内部において水素ガスを循環させるガス循環路である。具体的には、断熱部33Cは、マニホールド本体31の内部において、水素ガス流路32に対し水素タンク2とは反対側に位置する。この断熱部33Cは、主流路321と平行になるように、マニホールド本体31の長手方向に沿って延びている。そして、断熱部33Cは、円形断面を有する(図6参照)。
【0040】
また、断熱部33Cの長手方向の一端部(より具体的には、In/Outコネクト4に近い端部)は、プラグ7によって塞がれている。更に、該一端部には、負圧を発生させるためのベンチュリ管9が設けられている。ベンチュリ管9は、断熱部33Cと水素ガス流路32の主流路321とを連通するようにマニホールド本体31の内部に配置され、その開口端はプラグ8によって塞がれている。
【0041】
一方、断熱部33Cの長手方向の他端部は、エンドプラグ5によって塞がれている。また、該他端部において、断熱部33Cは、連通路10を介して水素ガス流路32の主流路321と連通している。
【0042】
本実施形態の水素タンク構造1Cによれば、断熱部33Cを構成するガス循環路を利用し、マニホールド3から水素ガス流路32の主流路321への熱伝達を抑制し、充填水素ガスの温度上昇を防止することができる。また、マニホールド3のサイズを小さくする必要がないので、マニホールド3の耐落下性能に影響を与えない。
【0043】
更に、本実施形態の水素タンク構造1Cによれば、充填水素ガスの温度の不均一化を抑制することができる。以下、それを詳細に説明する。
【0044】
並列された複数の水素タンク2のうち、In/Outコネクト4に最も近い位置に配置された水素タンク2は、マニホールド3からの受熱が最も少ない。そして、In/Outコネクト4から遠ざかるにつれ、冷却された水素ガスはマニホールド3からの受熱時間が段々長くなるので、マニホールド3からの受熱も大きくなる。このため、In/Outコネクト4から最も遠い位置に配置された水素タンク2に流れる水素ガスの温度が最も高い。すなわち、In/Outコネクト4からの距離の遠近によって、充填水素ガスの温度が不均一となる現象が生じてしまう。
【0045】
本実施形態では、水素ガス流路32の主流路321、連通路10、断熱部33C(すなわち、ガス循環路)、及びベンチュリ管9は、マニホールド本体31の内部において充填水素ガスを循環させる回路を形成する。ベンチュリ管9の負圧によって、冷却された水素ガスの一部は、主流路321、連通路10、断熱部33C、及びベンチュリ管9に沿って循環することで、充填水素ガスの温度の均一化を図ることができる。その結果、充填水素ガスの温度の不均一化を抑制することが可能になる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0047】
1,1A,1B,1C:水素タンク構造、2:水素タンク、3:マニホールド、4:In/Outコネクト、5:エンドプラグ、6,10:連通路、7,8:プラグ、9:ベンチュリ管、21:タンク本体、22:口金部、23:口金本体、24:鍔部、31:マニホールド本体、32:水素ガス流路、33,33A,33B,33C:断熱部、34:受入凹部、231:雄ネジ部、321:主流路、322:副流路、341:雌ネジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6