(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176161
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ライトユニット及び照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20241212BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241212BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20241212BHJP
F21V 25/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F21S8/04 130
F21S2/00 230
F21S8/04 110
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21V25/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094484
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K013BA01
3K013CA05
3K013EA13
3K014AA01
3K014JA06
(57)【要約】
【課題】フレームにLED基板を接着剤で固定する構成のライトユニットにおいて、フレームからのLED基板の剥がれに気づきやすく、かつ、剥がれたLED基板の高温LEDで樹脂製カバーの溶融することのないライトユニットを提供する。
【解決手段】ライトユニット2は、LED基板30と、接着剤によってLED基板30の裏面が接着される平板部230を有する支持体23と、前記支持体に取り付けられる透光性樹脂カバー21と、ガイド部材6を備える。ガイド部材6は、LED基板30の裏面が平板部230から剥がれた際に、仮想軸63のまわりに回転するようにLED基板30をガイドするとともに、複数のLEDパッケージ31のいずれも透光性樹脂カバー21と接触しないようにLED基板30の姿勢を維持する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状をなし、複数のLEDパッケージが長手方向に沿って表面に設置されたLED基板と、
接着部材によって前記LED基板の裏面が接着される長尺状の平板部を有する支持体と、
前記支持体に取り付けられた状態で前記LED基板を覆う透光性樹脂カバーと、
前記LED基板の前記裏面が前記平板部から剥がれた際に、前記LED基板の長手方向に沿い前記LED基板に含まれる仮想的な軸である仮想軸のまわりに回転するように前記LED基板をガイドするとともに、前記複数のLEDパッケージのいずれも前記透光性樹脂カバーと接触しないように前記LED基板の姿勢を維持するガイド部材と、
を備えるライトユニット。
【請求項2】
前記ガイド部材は、
前記支持体に接着された前記LED基板の前記表面の側に配置されるとともに、前記LED基板の長手方向における一方の端部の側から他方の端部の側に向かって延びる形状の長手方向延長部材である請求項1に記載のライトユニット。
【請求項3】
前記ガイド部材は、
前記支持体に接着された前記LED基板の前記表面の側に配置されるとともに、前記LED基板の短手方向における一方の端部の側から他方の端部の側に向かって延びる形状の短手方向延長部材である請求項1に記載のライトユニット。
【請求項4】
前記短手方向延長部材は、
前記複数のLEDパッケージのいずれも前記透光性樹脂カバーと接触しない姿勢で前記LED基板を保持する保持部材として機能する請求項3に記載のライトユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のライトユニットと、
前記ライトユニットの取り付けられる器具と、
を備える照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、長尺状のLED照明器具に使用されるライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、フレームにLED基板を固定する場合、接着剤で行う方法がある。例えば、特許文献1の段落[0041]には、「なお、押さえ部材を用いずに、LEDモジュール20と基台30とは接着剤等によって固定することもできる。」との記載がある。しかし、フレームにLED基板を接着剤で固定する場合、経年劣化に伴い接着強度が低下するとLED基板がフレームから剥がれ落ちる可能性がある。そうすると、LED基板が垂れ下がり、高温となったLEDパッケージが樹脂材料でできたカバーに接触すると、カバーが溶融したり燃焼したりする恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、接着剤を用いてフレームにLED基板を固定する構成のライトユニットにおいて、LED基板がフレームから剥がれたことに気づきやすく、かつ、剥がれたLED基板の高温のLEDパッケージによって樹脂製カバーが溶融することのないライトユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のライトユニットは、
長尺状をなし、複数のLEDパッケージが長手方向に沿って表面に設置されたLED基板と、
接着部材によって前記LED基板の裏面が接着される長尺状の平板部を有する支持体と、
前記支持体に取り付けられた状態で前記LED基板を覆う透光性樹脂カバーと、
前記LED基板の前記裏面が前記平板部から剥がれた際に、前記LED基板の長手方向に沿い前記LED基板に含まれる仮想的な軸である仮想軸のまわりに回転するように前記LED基板をガイドするとともに、前記複数のLEDパッケージのいずれも前記透光性樹脂カバーと接触しないように前記LED基板の姿勢を維持するガイド部材と、
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係るライトユニットは、ガイド部材を備えているので、LED基板がフレームから剥がれたことに気づきやすく、かつ、剥がれたLED基板の高温のLEDパッケージによって樹脂製カバーが溶融することのないライトユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施の形態1に係る照明器具5を器具1とライトユニット2とに分けた斜視図。
【
図3】実施の形態1に係るライトユニット2の斜視図。
【
図5】実施の形態1に係るライトユニット2の分解斜視図。
【
図6】実施の形態1の図で、器具1へのライトユニット2の取り付け方法を説明する図。
【
図7】実施の形態1に係るガイド部材6として実現される長手方向延長部材61を説明する図。
【
図8】実施の形態1に係る長手方向延長部材61の作用を説明する図。
【
図9】実施の形態1に係る長手方向延長部材61のバリエーションである長手方向延長部材61A,61B,61C,61D,61Eを説明する図。
【
図10】実施の形態1に係るガイド部材6として実現される短手方向延長部材62を説明する図。
【
図11】実施の形態1に係る短手方向延長部材62のバリエーションである短手方向延長部材62A,62B,62C,62Dを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1から
図11を参照して、実施の形態1の照明器具5を説明する。照明器具5は器具1とライトユニット2を備えている。
実施の形態1の特徴は、ライトユニット2の備えるガイド部材6にある。ガイド部材6によって、LED基板30が支持体23から剥がれたことに気づきやすく、かつ、剥がれたLED基板30の高温のLEDパッケージ31によって透光性樹脂カバー21が溶融することのないライトユニット2を提供することができる。
以下では、まず照明器具5の構成を説明し、次に、ガイド部材6の構成詳細を説明する。
【0009】
***構成の説明***
図1は、照明器具5の斜視図である。
図2は、照明器具5を器具1とライトユニット2に分けた斜視図である。
図3は、ライトユニット2の斜視図である。
図4は、照明器具5の断面図である。
図5は、ライトユニット2の分解斜視図である。
図6は、器具1へのライトユニット2の取り付け方法を説明する図である。
【0010】
<照明器具5>
図1、
図2に示すように、照明器具5は、ライトユニット2と、ライトユニット2を着脱自在に取り付け可能な器具1とを有する。照明器具5は長尺状であり、照明器具5を構成する器具1及びライトユニット2も長尺状である。
図1に示すように、照明器具5の長手方向及び短手方向を、それぞれ、X方向及びY方向とする。器具1及びライトユニット2の長手方向及び短手方向も同様に、X方向及びY方向とする。照明器具5は、例えば、天井7に取り付けられる照明器具である。照明器具5は、天井直付形の所謂「逆富士タイプ」の照明器具である。
図2に示すように、器具1は一対の板バネ11を有する。
【0011】
<ライトユニット2>
図5に示すように、ライトユニット2は、LED基板30、支持体23、透光性樹脂カバー21を有する。また後述するように、ライトユニット2はガイド部材6を備える(
図7~
図11)。
ガイド部材6について、端部カバー22が備える構成でもよし、支持体23が備える構成もよい。端部カバー22がガイド部材6を備える構成では、ガイド部材6はライトユニット2の長手方向(X方向)の端部に配置される。支持体23がガイド部材6を備える構成では、ガイド部材6は、支持体23の長手方向(X方向)のどの位置に配置されてもよい。なお、ライトユニット2にガイド部材6を一つ配置してもよいし複数配置してもよい。例えば、片方の端部カバー22がガイド部材6を備えてもよいし、両方の端部カバー22がガイド部材6を備えてもよい。
LED基板30は、長尺状をなし、複数のLEDパッケージ31が長手方向(X方向)に沿って表面に設置されている。
図5に示すように、支持体23は、平板部230と一対の側部233を有する。平板部230は、長尺状をなしており、LED基板30の裏面が当接してLED基板30が設置される。側部233は、平板部230の長手方向(X方向)に沿う一方の側辺と他方の側辺のそれぞれから、平板部230におけるLED基板30が設置された設置面(第1面部231)の裏面(第2面部232)を基端として設置面(第1面部231)と反対側に向かって起立する一対の側部233とを有する。
透光性樹脂カバー21は、LED基板30を覆うカバー主部210(
図4)と、一対の側部233と係合する一対のカバー係合部212(
図4)とを有する。
また、
図3に示すように、ライトユニット2は、一対の連結具46、LEDパッケージ31を点灯させる電源装置40を有する。透光性樹脂カバー21は、LED基板30を覆うように支持体23に取り付けられる(
図4)。
【0012】
<透光性樹脂カバー21>
図4、
図5に示すように、透光性樹脂カバー21は、カバー主部210、カバー側部211、カバー係合部212、カバー保持部213を有する。カバー主部210は、前面透光部である。カバー側部211は、側面透光部である。カバー係合部212は、支持体23と嵌め合わせる部分である。カバー保持部213は、支持体23を保持する部分である。カバー主部210は、透光性樹脂カバー21の前面に位置し、LED基板30に対向する。カバー側部211は、透光性樹脂カバー21の側部に相当する部分である。カバー係合部212は、カバー側部211から底面部103に向かう取付方向に突き出た部分である。カバー係合部212は、支持体23の側部233と係合し、透光性樹脂カバー21を支持体23に取り付ける。
【0013】
図4に示すように、透光性樹脂カバー21は、支持体23に取り付けられたLED基板30を覆うように、支持体23に取り付けられる。透光性樹脂カバー21は、カバー係合部212が支持体23の側部233の先端部を覆って、支持体23に取り付けられる。
【0014】
<端部カバー22>
図5に示すように、透光性樹脂カバー21の長手方向(X方向)の両端は端部カバー22で塞がれる。
【0015】
<支持体23>
支持体23は、取付部材であり、台座となり、ヒートシンクとなる。
図5に示すように、支持体23は、長手方向(X方向)に延びており、断面コ字状を成す。支持体23は、取付部となる板状の平板部230を有する。平板部230は、第1面部231と第2面部232とを有する。第1面部231には、LED基板30の裏面が接着部材である接着剤(図示は省略)を用いて接着される。第2面部232には、電源装置40、一対の連結具46、とその他の部品が取り付けられる。第2面部232は、第1面部231の裏側の面である。なお、接着部材として接着材を付した接着テープ等を用いてもよい。
【0016】
平板部230の両側には一対の側部233が形成されている。側部233は、ライトユニット2が器具1に取り付けられた状態で、器具1のユニット取付部102の底面部103(
図2、
図4)に向かって立ち上がっている。側部233の先端部は、カバー係合部212と嵌合する。
【0017】
<LED基板30>
図5に示すように、LED基板30は、複数のLEDパッケージ31と、基板34とを有する。基板34は、実装面340(
図4)と非実装面341(
図5)とを有する。実装面340は、LED基板30の表面であり、複数のLEDパッケージ31が長手方向(X方向)に沿って実装される。非実装面341は、LED基板30の裏面であり、支持体23の第1面部231と向き合う面である。非実装面341は、支持体23の第1面部231に対するLED基板30の接着面であり、基板34から支持体23へ熱を伝達させる熱伝達面である。
【0018】
図3に示すように、ライトユニット2は、一対の連結具46を有する。連結具46は、器具1に設置された板バネ11と係合するバネ受け金具である。2つの連結具46は、平板部230の長手方向(X方向)の両端側にそれぞれ取り付けられている。連結具46は、器具1が備える板バネ11と係合して、ライトユニット2を器具1に固定する。
【0019】
<照明器具5の施工方法の説明>
図6を用いて、器具1にライトユニット2を取り付ける方法について説明する。
(1)まず、天井7に器具1を取り付ける。器具1を天井7に取り付ける方法には、天井7からつり下げられている吊ボルトに固定する方法、あるいは、ネジなどの固定具により直接天井に固定する方法などがある。
(2)次に、板バネ11をライトユニット2の連結具46と係合させる。具体的には、板バネ11を連結具46の開口46a(
図4)に貫通させる。このとき、ライトユニット2と器具1との間に作業空間が存在する状態で、器具1の電源線材とライトユニット2の電源線材とを接続するなどの作業が行われる。
(3)その後、ライトユニット2を器具1に向かって押し上げると、一対の板バネ11がライトユニット2を引き上げてライトユニット2が器具1に取り付けられる。
【0020】
<ガイド部材6>
以上では、器具1、ライトユニット2及び照明器具5の構成を説明したが、以下では、実施の形態1の特徴であるガイド部材6を説明する。
図7は、ガイド部材6として実現される長手方向延長部材61及び短手方向延長部材62を示す。
【0021】
ガイド部材6は、接着剤の接着強度が弱まるなどにより、LED基板30の裏面が平板部230から剥がれた際に、LED基板30の長手方向(X方向)に沿う軸でありLED基板30に含まれる仮想的な軸である仮想軸63(
図7~
図11)のまわりに回転するようにLED基板30をガイドする。このガイドにより、ガイド部材6は、複数のLEDパッケージ31のいずれも透光性樹脂カバー21と接触しない姿勢に、LED基板30を維持する。
【0022】
ガイド部材6は、支持体23に接着されたLED基板30の表面側に配置され、LED基板30の長手方向(X方向)の一方の端部の側から他方の端部に向かって延びる形状の長手方向延長部材61(
図7~
図9)として実現される。
【0023】
また、ガイド部材6は、支持体23に接着されたLED基板30の表面側に配置され、LED基板30の短手方向(Y方向)の一方の端部の側から他方の端部に向かって延びる形状の短手方向延長部材62(
図10、
図11)として実現される。
そして、短手方向延長部材62は、複数のLEDパッケージ31のいずれも透光性樹脂カバー21と接触しない姿勢でLED基板30を保持する保持部材としても機能することができる。短手方向延長部材62が保持部材として機能する際は、短手方向延長部材62は、LED基板30が透光性樹脂カバー21と接触しない状態で、LED基板30を保持する(
図10、
図11)。
【0024】
以下に図を参照して、長手方向延長部材61,短手方向延長部材62について具体的に説明する。
【0025】
<長手方向延長部材61>
図7は、長手方向延長部材61を示している。
図7では、LED基板30が平板部230から剥がれた状態を示しており、LED基板30は、平板部230から落下しようとしている。
図7の(a)はライトユニット2の断面を示し、(b)は側面を示す。(b)では透光性樹脂カバー21を透視した状態とし、支持体23、LED基板30及び長手方向延長部材61の関係を示している。
【0026】
図7に示すように、端部カバー22には、長手方向延長部材61が設けられている。長手方向延長部材61は、LED基板30の回動をサポートする回動用突起である。
図7の(b)に示すように、左側の端部カバー22に着目すると、長手方向延長部材61は、長手方向(X方向)において右向きに突起する形状であり、右側の端部カバー22に着目すると、長手方向延長部材61は、長手方向(X方向)において左向きに突起する形状である。つまり、長手方向延長部材61は、一方の端部カバー22から他方の端部カバー22に向かって突起する形状である。
【0027】
長手方向延長部材61は、照明器具5の使用状態において、平板部230に接着されたLED基板30の下方に形成される。また、長手方向延長部材61は、照明器具5の使用状態における長手方向(X方向)を法線方向とする断面視において、平板部230に接着されたLED基板30の仮想重心と鉛直方向(上下方向)に重ならない位置に形成される。
【0028】
ライトユニット2に長手方向延長部材61を設けることによって、LED基板30の裏面が平板部230から剥がれた際に、回転方向36へ回転する。詳しくは、長手方向延長部材61は、長手方向(X方向)を法線方向とする断面形状が円形をなしており、LED基板30が平板部230から接着が剥離して脱落しようとする場合に、長手方向延長部材61の曲面に接触しながら回転方向36へ回転する。
言い換えれば、長手方向延長部材61によって、LED基板30は、LED基板30の表面上の仮想軸63を回転中心として回転方向36への回転が促される。回転終了後、長手方向延長部材61はLED基板30の傾いた姿勢を維持する。このように傾いた姿勢が維持されることにより、高温のLEDパッケージ31が透光性樹脂カバー21に接触することを防止できるので、LED基板30が平板部230から剥離した場合でも、透光性樹脂カバー21の溶融を防止できる効果がある。
また、LED基板30が回転方向36への回転によって傾くことでLEDパッケージ31の光軸が変化する。このため、照明器具5の使用者はLED基板30の剥離に気が付きやすくなる効果がある。
【0029】
<寸法B1,B2,B3,B4,H1,H2の関係>
LED基板30の回転終了後に、長手方向延長部材61は、下記(3)の場合であれば、透光性樹脂カバー21と共にLED基板30の姿勢を維持する。以下に示す各部の寸法の関係が重要となる。
図7の長手方向延長部材61における寸法の関係の例を以下に記載する。
(1)支持体23の幅寸法B1>LED基板30の幅寸法B2
この(1)における寸法の関係は、本開示の実施の形態1として例示したものであり、つまり、これに限定されるものではなく、寸法の関係は、ライトユニット2の仕様に応じて(1)における寸法の関係以外の関係であってもよい。
(2)透光性樹脂カバー21の最大幅寸法B3≧LED基板30の幅寸法B2
(3)透光性樹脂カバー21の最小幅寸法B4≧LED基板30の幅寸法B2
この(3)の寸法の関係では、平板部230から剥離したLED基板30が、透光性樹脂カバー21の内部空間において回転可能である。
(4)透光性樹脂カバー21の高さ寸法H1<LED基板30の幅寸法B2
この(4)の寸法の関係では、LED基板30が、透光性樹脂カバー21の内部空間において傾斜を保って留まる。
(5)鉛直方向(上下方向)における長手方向延長部材61と透光性樹脂カバー21との間隔寸法H2<LED基板30の幅寸法B2
この(5)の寸法の関係では、LED基板30が、長手方向延長部材61と透光性樹脂カバー21とに支えられて内部空間に留まる。
(6)透光性樹脂カバー21の高さ寸法H1≧LED基板30の幅寸法B2
この(6)における寸法の関係では、LED基板30が透光性樹脂カバー21の内部空間で、回動できる。すなわち、LED基板30は、反転(裏返し)も可能である(
図11の(d)におけるLED基板30の状態)。
【0030】
<具体的な寸法例>
各部の寸法は、例えば以下のような寸法を採用することが可能である。
フレーム幅=56mm、長さ=600mm~2400mm、
支持体23の幅寸法B1=62mm、
支持体23(平板部230)の長さL1(
図5)=600mm~2400mm、
透光性樹脂カバー21の高さ寸法H1=18mm。
LED基板30の幅寸法B2が18mmを超えると、LED基板30が剥がれた際に、透光性樹脂カバー21の内部で回転できないが、18mm以下であれば回転できる。
【0031】
図8は、長手方向延長部材61の作用を説明する図である。
図8では、長手方向延長部材61は端部カバー22が備える。LED基板30が平板部230から剥離して落下しようとすると、LED基板30の姿勢は、
図8の(a)、(b)、(c)と移る。
LED基板30は、長手方向延長部材61との接触部分を支点に回転方向36に回転するので、LEDパッケージ31は、透光性樹脂カバー21に触れない。
なお、LED基板30における基板34の剛性を考えた場合、LED基板30を短手方向(Y方向)に切った断面でみて、
図8の(d)のように、LED基板30が垂直(上下方向)に立っていた方が剛性は強い。またLED基板30が垂直(上下方向)に立っていると、LED基板30は透光性樹脂カバー21へ垂れることがなく、LEDパッケージ31が透光性樹脂カバー21へ接触することはない。この場合、LED基板30における基板34の全体あるいは一部は長手方向延長部材61と接触しない。
【0032】
図9は、長手方向延長部材61のバリエーションである、長手方向延長部材61A,61B,61C,61D,61Eを示す。
図9の(a)は、長手方向延長部材61Aを示す。長手方向延長部材61Aは、長手方向(X方向)を法線方向とする断面形状が半円形をなしており、平板部230に向き合うように円弧部分が配置されている。
図9の(b)は、長手方向延長部材61Bを示す。長手方向延長部材61Bは、長手方向(X方向)を法線方向とする断面形状が半楕円形をなしており、平板部230に向き合うように楕円弧部分が配置されている。なお、長手方向延長部材61Bは、長手方向(X方向)を法線方向とする断面形状が破線部分を含む楕円形をなすものであってもよい。長手方向延長部材61Bは、長軸が上下方向に沿うように形成されている。
図9の(c)は、長手方向延長部材61Cを示す。長手方向延長部材61Cは、長手方向(X方向)を法線方向とする断面形状が三角形状をなしており、平板部230に向き合うように頂点が配置されている。
図9の(d)は、長手方向延長部材61Dを示す。長手方向延長部材61Dは、長手方向(X方向)を法線方向とする断面形状が半楕円形をなしており、平板部230に向き合うように楕円弧部分が配置されている。なお、長手方向延長部材61Dは、長手方向(X方向)を法線方向とする断面形状が破線部分を含む楕円形をなすものであってもよい。長手方向延長部材61Dは、短軸が上下方向に沿うように形成されている。
図9の(e)は、長手方向延長部材61Eを示す。長手方向延長部材61Eは、長手方向(X方向)を法線方向とする断面形状が長手方向延長部材61Cと異なる三角形状をなしており、平板部230に向き合うように頂点が配置されている。
【0033】
長手方向延長部材61のバリエーションとして、長手方向延長部材61A,61B,61C,61D,61Eを例示したが、長手方向延長部材の長手方向(X方向)を法線方向とする断面形状は、いくつかの異なる態様を選択することができ、その断面形状は、円形、楕円形、多角形、あるいはこれらを組み合わせた形状とすることができる。
また、長手方向延長部材61A,61B,61C,61D,61Eの位置は、短手方向(Y方向)において、LEDパッケージ31に近い位置に配置してもよく、あるいは遠い位置に配置してもよい。つまり、長手方向延長部材の位置は、短手方向(Y方向)において、LED基板30の端や、LEDパッケージ31に近いLED基板30の中央寄りでもよい。
【0034】
長手方向延長部材61Aは、長手方向延長部材61と比較して、使用する材料を削減することができる。断面形状がやや複雑になるものの一般的な成形方法に対応し得る形状である。
長手方向延長部材61Bは、長手方向延長部材61あるいは長手方向延長部材61Aよりも、LED基板30に最も近い部分の曲率が小さい。ことため、LED基板30が脱落する際に回転しやすいという効果がある。
断面形状が三角形をなす長手方向延長部材61Cは、断面形状が円形である長手方向延長部材61Aあるいは断面形状が楕円形である長手方向延長部材61Bよりも、LED基板30が脱落する際にはさらに回転しやすいという効果がある。
長手方向延長部材61Dは、長手方向延長部材61,61A,61B,61Cよりも、LED基板30に最も近い部分の曲率が大きい。このため、LED基板30が脱落する際に徐々に回転するという効果がある。
長手方向延長部材61Eは、長手方向延長部材61Cと同様に断面形状が三角形をなすが、鉛直方向(上下方向)に対するLED基板30に最も近い頂点を含む傾斜面610の角度θが小さい。このため、LED基板30は長手方向延長部材61Eの傾斜面610をスライドしながらゆっくりと脱落する。角度θは、0°より大きく90°より小さい範囲である。
【0035】
これらの長手方向延長部材の短手方向(Y方向)における位置が、LED基板30の端に近い場合、LED基板30は、長手方向延長部材との接触部分を支点に回転しやすくなる効果がある(モーメント力が大きいため)。
一方、長手方向延長部材の短手方向(Y方向)における位置が、LED基板30の中央寄りの場合、LED基板30は、ゆっくりとLED基板30が回転し脱落する。
【0036】
LED基板30が脱落する際に回転しやすい場合は、使用者が照明器具5の異常に気づきやすくなる。また、LED基板30が脱落する際にゆっくりと回転する場合は、衝撃が抑制されるので、透光性樹脂カバー21を損傷させる恐れがない。
【0037】
<短手方向延長部材62>
図10は、短手方向延長部材62を示している。
図10では、LED基板30が平板部230から剥がれた状態を示している。
図7から
図9で説明した長手方向延長部材61は、LED基板30の回転方向36への回転をサポートするが、LEDパッケージ31が透光性樹脂カバー21に接触しないLED基板30の姿勢は、透光性樹脂カバー21に依存していた。
これに対して、短手方向延長部材62は、LEDパッケージ31が透光性樹脂カバー21に接触しないLED基板30の姿勢を、透光性樹脂カバー21に依存することなく、短手方向延長部材62自体で保持する姿勢保持機能を持つ。
【0038】
図10の(a)はライトユニット2の断面を示し、(b)は側面を示す。(b)では透光性樹脂カバー21を透視した状態とし、支持体23、LED基板30、及び短手方向延長部材62の関係を示している。
図10では、短手方向延長部材62は、端部カバー22に設けられているが、平板部230に設けられてもよい。短手方向延長部材62は、長手方向延長部材61と同様に、LED基板30の回転方向36への回転をガイドする機能を有することに加え、さらに、回転させたLED基板30を、LEDパッケージ31が透光性樹脂カバー21と接触しない姿勢で、短手方向延長部材62単独で保持する。
図10の短手方向延長部材62は、第1部材62-1と、第2部材62-2とから構成される。第1部材62-1及び第2部材62-2は板状をなすが、第1部材62-1及び第2部材62-2は、線状体で形成されてもよい。例えば第1部材62-1は一対の線状体で形成されてもよい。
第1部材62-1及び第2部材62-2は、端部カバー22からそれぞれ短手方向(Y方向)に向かって互いに近づくように立設している一体成形の構成であり(
図10の(a))、傾斜が異なる平面を有する2つの立設片である。
図10の短手方向延長部材62では、平板部230から脱落したLED基板30の発光面が、LED基板30が支持体23に設置されている状態とは異なる角度になるようにLED基板30の姿勢を維持する。この状態で照明器具5が使用された場合は、電源ON状態で透光性樹脂カバー21を通過する光の分布が変化することによって明るさ変化が生じ、照明器具5の使用者は照明器具5の異常に気付きやすくなる。このため、異常時に使用者が照明器具5の電源をOFFする可能性が格段に上がるので、異常状態での電源ON状態の継続を防ぐことができる。
【0039】
図11は、短手方向延長部材62のバリエーションを示す。
図11の(a),(b),(c),(d)は、短手方向延長部材62のバリエーションとして、短手方向延長部材62A,62B,62C,62Dを示している。
短手方向延長部材62のバリエーションとしては以下のとおりである。
短手方向延長部材62Aの形状は、円弧(曲線)形状である。
短手方向延長部材62B、62Cは、断面が直線の連結であり、二つの部材で形成されている。短手方向延長部材62Dは、LED基板30を、180°反転した状態で保持する。
短手方向延長部材62Aは、曲線に沿って、LED基板30をゆるやかに受ける。
短手方向延長部材62B,62Cは、45°の角度でLED基板30を保持する。
短手方向延長部材62B,62Cは、所望の角度で、LED基板30を保持できる。
短手方向延長部材62Dは、LED基板30をスライド方向35にスライドさせた後、LED基板30を180°反転させるので、LED基板30の発光面が反転し真上を向く。よって、短手方向延長部材62Dの場合、正常方向の向きの明るさ変化が一番大きいので、使用者に異常を気づきやすくさせる効果が大きい。
【0040】
以上、本開示の実施の形態1について説明した。実施の形態1のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0041】
例えば、本開示の実施の形態1では、LED基板30は接着部材を用いて支持体23に接着されるものとして説明したが、これに限られず、LED基板30は磁力によって支持体23に接合されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 器具、103 底面部、11 板バネ、2 ライトユニット、21 透光性樹脂カバー、210 カバー主部、211 カバー側部、212 カバー係合部、213 カバー保持部、22 端部カバー、23 支持体、230 平板部、231 第1面部、232 第2面部、233 側部、30 LED基板、31 LEDパッケージ、34 基板、340 実装面、341 非実装面、35 スライド方向、36 回転方向、40 電源装置、46 連結具、46a 開口、5 照明器具、6 ガイド部材、61,61A,61B,61C,61D,61E 長手方向延長部材、610 傾斜面、62,62A,62B,62C,62D 短手方向延長部材、63 仮想軸、7 天井。