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特開2024-176167制御装置、移動体及び電力供給システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176167
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】制御装置、移動体及び電力供給システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20241212BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241212BHJP
   B64C 29/00 20060101ALI20241212BHJP
   B64D 27/24 20240101ALI20241212BHJP
   B64D 27/10 20060101ALI20241212BHJP
   B64D 27/04 20060101ALI20241212BHJP
   B64U 10/20 20230101ALI20241212BHJP
   B64U 50/19 20230101ALI20241212BHJP
   B64U 50/33 20230101ALI20241212BHJP
   B64C 27/26 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H02J7/34 B
H01M10/48 P
B64C29/00 A
B64D27/24
B64D27/10
B64D27/04
B64U10/20
B64U50/19
B64U50/33
B64C27/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094501
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 久夫
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB02
5G503BB03
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA17
5G503EA08
5H030AA09
5H030AS08
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回路を簡素化する制御装置、移動体及び電力供給システムの制御方法を提供する。
【解決手段】電力供給システム10において、制御装置34は、発電装置(14a、14b)から供給される直流電力を蓄電可能な蓄電装置(24a~24d)と発電装置とを互いに断接することが可能なスイッチング装置(20a、20b、22a~22d)を制御する制御部40と、蓄電装置の残容量の所定期間における変化量に関する第1の値と、発電装置と蓄電装置との少なくとも一方から供給される電力によって動作可能な電気負荷(16a~16d)の所定期間における消費電力に関する第2の値との差により、発電装置と蓄電装置とがスイッチング装置によって接続されているか否かを判定する判定部44と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置から供給される直流電力を蓄電可能な蓄電装置と前記発電装置とを互いに断接することが可能なスイッチング装置を制御する制御部と、
前記蓄電装置の残容量の所定期間における変化量に関する第1の値と、前記発電装置と前記蓄電装置との少なくとも一方から供給される電力によって動作可能な電気負荷の前記所定期間における消費電力に関する第2の値との差が所定の閾値未満である場合に、前記発電装置と前記蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されていないと判定し、前記第1の値と前記第2の値との差が前記閾値以上である場合に、前記発電装置と前記蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されたと判定する判定部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置において、
前記スイッチング装置は、複数の前記発電装置のうちの第1発電装置から供給される直流電力を複数の前記電気負荷のうちの第1電気負荷に供給する第1電力供給回路と、複数の前記発電装置のうちの第2発電装置から供給される直流電力を複数の前記電気負荷のうちの第2電気負荷に供給する第2電力供給回路とを接続可能な接続回路に備えられ、
複数の前記蓄電装置のうちの第1蓄電装置は、前記第1電力供給回路に前記第1発電装置と並列に接続され、
前記スイッチング装置は、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とを互いに断接することが可能であり、
前記判定部は、前記第1蓄電装置の前記残容量の前記所定期間における前記変化量に関する前記第1の値と、前記第1電気負荷の前記所定期間における前記消費電力に関する前記第2の値との差が前記閾値未満である場合には、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されていないと判定し、前記第1蓄電装置の前記残容量の前記所定期間における前記変化量に関する前記第1の値と、前記第1電気負荷の前記所定期間における前記消費電力に関する前記第2の値との差が前記閾値以上である場合に、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されたと判定する、制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の制御装置において、
前記制御部は、前記第1発電装置から前記第1蓄電装置及び前記第1電気負荷に電力を供給できない場合に、前記スイッチング装置の接続制御を行う、制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の制御装置において、
前記第1発電装置は、複数の前記電気負荷のうちの第3電気負荷に第3電力供給回路を介して直流電力を供給可能であり、
複数の前記蓄電装置のうちの第3蓄電装置は、前記第3電力供給回路に前記第1発電装置と並列に接続され、
前記制御部は、前記第3蓄電装置から前記第3電気負荷に電力を供給できない場合に、前記スイッチング装置の接続制御を行う、
制御装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御装置を備える移動体。
【請求項6】
第1発電装置から出力される直流電力を複数の第1電気負荷に供給する第1電力供給回路と、
前記第1電力供給回路に前記第1発電装置と並列に接続される第1蓄電装置と、
第2発電装置から出力される直流電力を複数の第2電気負荷に供給する第2電力供給回路と、
前記第2電力供給回路に前記第2発電装置と並列に接続される第2蓄電装置と、
前記第1電力供給回路と前記第2電力供給回路とを接続し得る接続回路と、
前記接続回路に設けられ、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とを互いに断接することが可能なスイッチング装置と、
を備える電力供給システムの制御方法であって、
前記スイッチング装置を遮断状態から接続状態に切り替えるステップと、
前記第1蓄電装置の残容量の所定期間における変化量に関する第1の値と、前記第1電気負荷の前記所定期間における消費電力に関する第2の値との差を比較するステップと、
前記第1の値と前記第2の値との差が所定の閾値未満である場合に、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されていないと判定し、前記第1の値と前記第2の値との差が前記閾値以上である場合に、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されたと判定するステップと、
を備える、電力供給システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、移動体及び電力供給システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保するため、エネルギーの効率化に貢献する電動化技術に関する研究開発が行われている。
【0003】
特許文献1には、回路に対するバッテリの接続状態を検出する装置が示される。バッテリは、回路に備えられる一対の端子に接続される。特許文献1の技術では、端子間の電圧を測定することにより、回路にバッテリが接続されているか否かを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4831113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、バッテリの接続状態を検出する技術を単に開示しているに過ぎない。良好な制御装置等の提供が待望される。
【0006】
本発明は上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の制御装置は、発電装置から供給される直流電力を蓄電可能な蓄電装置と前記発電装置とを互いに断接することが可能なスイッチング装置を制御する制御部と、前記蓄電装置の残容量の所定期間における変化量に関する第1の値と、前記発電装置と前記蓄電装置との少なくとも一方から供給される電力によって動作可能な電気負荷の前記所定期間における消費電力に関する第2の値との差が所定の閾値未満である場合に、前記発電装置と前記蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されていないと判定し、前記第1の値と前記第2の値との差が前記閾値以上である場合に、前記発電装置と前記蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されたと判定する判定部と、を備える。
【0008】
本発明の移動体は、上記制御装置を備える。
【0009】
本発明の電力供給システムの制御方法は、第1発電装置から出力される直流電力を複数の第1電気負荷に供給する第1電力供給回路と、前記第1電力供給回路に前記第1発電装置と並列に接続される第1蓄電装置と、第2発電装置から出力される直流電力を複数の第2電気負荷に供給する第2電力供給回路と、前記第2電力供給回路に前記第2発電装置と並列に接続される第2蓄電装置と、前記第1電力供給回路と前記第2電力供給回路とを接続し得る接続回路と、前記接続回路に設けられ、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とを互いに断接することが可能なスイッチング装置と、を備える電力供給システムの制御方法であって、前記スイッチング装置を遮断状態から接続状態に切り替えるステップと、前記第1蓄電装置の残容量の所定期間における変化量に関する第1の値と、前記第1電気負荷の前記所定期間における消費電力に関する第2の値との差を比較するステップと、前記第1の値と前記第2の値との差が所定の閾値未満である場合に、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されていないと判定し、前記第1の値と前記第2の値との差が前記閾値以上である場合に、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されたと判定するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、電力供給システムの模式図である。
図2図2は、正常時の電力供給システムの動作を示す図である。
図3図3は、第1異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
図4図4は、第1異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
図5図5は、制御装置の制御ブロック図である。
図6図6は、制御装置が行う接続処理のフローチャートである。
図7図7A図7Eは、第1異常が発生した場合のタイムチャートである。
図8図8は、第2異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
図9図9は、第2異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
図10図10A図10Eは、第2異常が発生した場合のタイムチャートである。
図11図11は、移動体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[電力供給システム10の構成]
制御装置34の制御対象である電力供給システム10について図面を用いて説明する。図1は、電力供給システム10の模式図である。
【0013】
電力供給システム10は、第1電力供給回路12a、第2電力供給回路12b、第3電力供給回路12c及び第4電力供給回路12dを備える。第1電力供給回路12aは、第1発電装置14aから出力される直流電力を第1電気負荷16aに供給する。第2電力供給回路12bは、第2発電装置14bから出力される直流電力を第2電気負荷16bに供給する。第3電力供給回路12cは、第1発電装置14aから出力される直流電力を第3電気負荷16cに供給する。第4電力供給回路12dは、第2発電装置14bから出力される直流電力を第4電気負荷16dに供給する。
【0014】
第1発電装置14a及び第2発電装置14bは、不図示のエンジン、発電機及びパワーコントロールユニットを有する。エンジンにより発電機が駆動され、発電機は三相交流電力を発生する。パワーコントロールユニットは、三相交流電力を直流電力に変換する。
【0015】
第1発電装置14a及び第2発電装置14bは、電圧センサ、電流センサ等の各種センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の各素子を有してもよい。
【0016】
第1電気負荷16a、第2電気負荷16b、第3電気負荷16c及び第4電気負荷16dの各々は、不図示のインバータ及び電動モータを有する。インバータは入力された直流電力を三相交流電力に変換し、電動モータは三相交流電力により駆動される。第1電気負荷16a、第2電気負荷16b、第3電気負荷16c及び第4電気負荷16dの各々は、不図示のDC/DCコンバータ及び低電圧駆動装置を有してもよい。DC/DCコンバータは、入力された直流電力の電圧を低下させ、低電圧駆動装置は直流電力により駆動される。
【0017】
第1電気負荷16a、第2電気負荷16b、第3電気負荷16c及び第4電気負荷16dの各々は、各種センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の各素子を有してもよい。第1電気負荷16a、第2電気負荷16b、第3電気負荷16c及び第4電気負荷16dの各々は、消費電力の算出に使用される物理量を検出するセンサ(電圧センサ、電流センサ等)を少なくとも有する。
【0018】
電力供給システム10は、第1接続回路18a及び第2接続回路18bを備える。第1接続回路18aには、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとを接続し得る第1接続装置(スイッチング装置)20aが備えられる。第2接続回路18bには、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとを接続し得る第2接続装置(スイッチング装置)20bが備えられる。
【0019】
第1接続装置20aは、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとを互いに断接することが可能なスイッチング装置である。即ち、第1接続装置20aは、第1電力供給回路12aに備えられる各装置と第2電力供給回路12bに備えられる各装置とを互いに断接することが可能である。第2接続装置20bは、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとを互いに断接することが可能なスイッチング装置である。即ち、第2接続装置20bは、第3電力供給回路12cに備えられる各装置と第4電力供給回路12dに備えられる各装置とを互いに断接することが可能である。
【0020】
第1接続装置20a及び第2接続装置20bは、コンタクタを有する。第1接続装置20a及び第2接続装置20bは、リレーを有してもよい。第1接続装置20a及び第2接続装置20bは、ブレーカを有してもよい。第1接続装置20a及び第2接続装置20bは、半導体スイッチを有してもよい。
【0021】
通常は、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとの接続は遮断されている。これにより、第1電力供給回路12a及び第2電力供給回路12bの一方において異常が発生した場合、第1電力供給回路12a及び第2電力供給回路12bの他方に異常の影響が及ぶことを防止できる。例えば、第1電力供給回路12a及び第2電力供給回路12bの一方において過電流が発生した場合、第1電力供給回路12a及び第2電力供給回路12bの他方に過電流が流れることを防止する。
【0022】
同様に、通常は、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとの接続は遮断されている。これにより、第3電力供給回路12c及び第4電力供給回路12dの一方において異常が発生した場合、第3電力供給回路12c及び第4電力供給回路12dの他方に異常の影響が及ぶことを防止できる。例えば、第3電力供給回路12c及び第4電力供給回路12dの一方において過電流が発生した場合、第3電力供給回路12c及び第4電力供給回路12dの他方に過電流が流れることを防止する。
【0023】
例えば、第1発電装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれた場合、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが第1接続装置20aにより接続される。また、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが第2接続装置20bにより接続される。これにより、第2発電装置14bから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへ電力が供給される。
【0024】
例えば、第2発電装置14bから第2電力供給回路12b及び第4電力供給回路12dへの電力の供給が断たれた場合、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが第1接続装置20aにより接続される。また、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが第2接続装置20bにより接続される。これにより、第1発電装置14aから第2電力供給回路12b及び第4電力供給回路12dへ電力が供給される。
【0025】
電力供給システム10は、遮断装置(スイッチング装置)22a~22dを備える。遮断装置22aは、第1電力供給回路12aと第1接続回路18aとから第1発電装置14aを遮断し得る。遮断装置22bは、第2電力供給回路12bと第1接続回路18aとから第2発電装置14bを遮断し得る。遮断装置22cは、第3電力供給回路12cと第2接続回路18bとから第1発電装置14aを遮断し得る。遮断装置22dは、第4電力供給回路12dと第2接続回路18bとから第2発電装置14bを遮断し得る。
【0026】
遮断装置22aは、第1発電装置14aと第1蓄電装置24aとを互いに断接することが可能であり、且つ、第1発電装置14aと第1電気負荷16aとを互いに断接することが可能なスイッチング装置である。遮断装置22bは、第2発電装置14bと第2蓄電装置24bとを互いに断接することが可能であり、且つ、第2発電装置14bと第2電気負荷16bとを互いに断接することが可能なスイッチング装置である。遮断装置22cは、第1発電装置14aと第3蓄電装置24cとを互いに断接することが可能であり、且つ、第1発電装置14aと第3電気負荷16cとを互いに断接することが可能なスイッチング装置である。遮断装置22dは、第2発電装置14bと第4蓄電装置24dとを互いに断接することが可能であり、且つ、第2発電装置14bと第4電気負荷16dとを互いに断接することが可能なスイッチング装置である。
【0027】
遮断装置22a~22dは、コンタクタを有する。遮断装置22a~22dは、リレーを有してもよい。遮断装置22a~22dは、ブレーカを有してもよい。遮断装置22a~22dは、半導体スイッチを有してもよい。
【0028】
電力供給システム10は、第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dを備える。第1蓄電装置24aは、第1電力供給回路12aに第1発電装置14aと並列に接続される。第2蓄電装置24bは、第2電力供給回路12bに第2発電装置14bと並列に接続される。第3蓄電装置24cは、第3電力供給回路12cに第1発電装置14aと並列に接続される。第4蓄電装置24dは、第4電力供給回路12dに第2発電装置14bと並列に接続される。
【0029】
第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dは、リチウムイオンバッテリを有する。第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dは、リチウムイオンバッテリ以外の二次電池を有してもよい。第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dは、大容量コンデンサを有してもよい。
【0030】
第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dの各々は、電圧センサ、電流センサ等の各種センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の各素子を有してもよい。第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dの各々は、SOCの算出に使用される物理量を検出するセンサ(電圧センサ、電流センサ、温度センサ等)を少なくとも有する。
【0031】
電力供給システム10は、遮断装置26a~26dを備える。遮断装置26aは、第1電力供給回路12aと第1電気負荷16aとから第1蓄電装置24aを遮断し得る。遮断装置26bは、第2電力供給回路12bと第2電気負荷16bとから第2蓄電装置24bを遮断し得る。遮断装置26cは、第3電力供給回路12cと第3電気負荷16cとから第3蓄電装置24cを遮断し得る。遮断装置26dは、第4電力供給回路12dと第4電気負荷16dとから第4蓄電装置24dを遮断し得る。
【0032】
遮断装置26a~26dは、コンタクタを有する。遮断装置26a~26dは、リレーを有してもよい。遮断装置26a~26dは、ブレーカを有してもよい。遮断装置26a~26dは、半導体スイッチを有してもよい。
【0033】
[正常時の電力供給システム10の動作]
図2は、正常時の電力供給システム10の動作を示す図である。図2に示す矢印は、電力の供給経路を示す。
【0034】
遮断装置22aにより第1発電装置14aが第1電力供給回路12aと第1接続回路18aとに接続され、遮断装置22cにより第1発電装置14aが第3電力供給回路12cと第2接続回路18bとに接続される。これにより、第1発電装置14aから第1電気負荷16a及び第3電気負荷16cに電力が供給される。遮断装置22bにより第2発電装置14bが第2電力供給回路12bと第1接続回路18aとに接続され、遮断装置22dにより第2発電装置14bが第4電力供給回路12dと第2接続回路18bとに接続される。これにより、第2発電装置14bから第2電気負荷16b及び第4電気負荷16dに電力が供給される。
【0035】
遮断装置26aにより第1蓄電装置24aが第1電気負荷16aに接続され、第1蓄電装置24aから第1電気負荷16aに電力が供給される。遮断装置26bにより第2蓄電装置24bが第2電気負荷16bに接続され、第2蓄電装置24bから第2電気負荷16bに電力が供給される。遮断装置26cにより第3蓄電装置24cが第3電気負荷16cに接続され、第3蓄電装置24cから第3電気負荷16cに電力が供給される。遮断装置26dにより第4蓄電装置24dが第4電気負荷16dに接続され、第4蓄電装置24dから第4電気負荷16dに電力が供給される。
【0036】
第1接続装置20aにより第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとの接続が遮断され、第2接続装置20bにより第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとの接続が遮断される。
【0037】
第1発電装置14aが第1電気負荷16a及び第3電気負荷16cの動作に必要な電力を供給できる場合には、第1発電装置14aから第1電気負荷16a及び第3電気負荷16cに電力が供給される。一方、第1発電装置14aが第1電気負荷16aの動作に必要な電力を供給できない場合には、第1蓄電装置24aから、又は、第1発電装置14a及び第1蓄電装置24aから第1電気負荷16aに電力が供給される。同様に、第1発電装置14aが第3電気負荷16cの動作に必要な電力を供給できない場合には、第3蓄電装置24cから、又は、第1発電装置14a及び第3蓄電装置24cから第3電気負荷16cに電力が供給される。
【0038】
第2発電装置14bが第2電気負荷16b及び第4電気負荷16dの動作に必要な電力を供給できる場合には、第2発電装置14bから第2電気負荷16b及び第4電気負荷16dに電力が供給される。一方、第2発電装置14bが第2電気負荷16bの動作に必要な電力を供給できない場合には、第2蓄電装置24bから、又は、第2発電装置14b及び第2蓄電装置24bから第2電気負荷16bに電力が供給される。同様に、第2発電装置14bが第4電気負荷16dの動作に必要な電力を供給できない場合には、第4蓄電装置24dから、又は、第2発電装置14b及び第4蓄電装置24dから第4電気負荷16dに電力が供給される。
【0039】
[第1異常時の電力供給システムの動作]
図3及び図4は、第1異常時の電力供給システム10の動作を示す図である。図3及び図4に示す矢印は、電力の供給経路を示す。図3及び図4は、第1発電装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれた場合の電力供給システム10の動作を示す。
【0040】
第1発電装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれた状態とは、例えば、第1発電装置14aが停止し、第1発電装置14aが再起動できない状態であるが、これに限定されない。第1発電装置14aと遮断装置22aとの間、又は、第1発電装置14aと遮断装置22cとの間で短絡、断線等が生じた場合にも、第1発電装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれ得る。
【0041】
第1発電装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれた場合、図3に示すように、第1発電装置14aが、遮断装置22aにより第1電力供給回路12aと第1接続回路18aとから遮断される。また、第1発電装置14aが、遮断装置22cにより第3電力供給回路12cと第2接続回路18bとから遮断される。
【0042】
第1電気負荷16aには第1蓄電装置24aからのみ電力が供給され、第3電気負荷16cには第3蓄電装置24cからのみ電力が供給される。そのため、第1蓄電装置24aのSOC(State Of Charge)及び第3蓄電装置24cのSOCは低下する。これに伴い、第1蓄電装置24aの出力電圧及び第3蓄電装置24cの出力電圧が低下する。
【0043】
この状態で、第1接続装置20aの接続制御が実行されると、図4に示すように、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが第1接続回路18aを介して接続される。これにより、第2発電装置14bから第1電気負荷16aに電力が供給される。また、出力電圧が高い第2発電装置14bから出力電圧が低くなった第1蓄電装置24aに電力が供給される。その結果、第1蓄電装置24aのSOCが上昇する。同様に、第2接続装置20bの接続制御が実行されると、図4に示すように、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが第2接続回路18bを介して接続される。これにより、第2発電装置14bから第3電気負荷16cに電力が供給される。また、出力電圧が高い第2発電装置14bから出力電圧が低くなった第3蓄電装置24cに電力が供給される。その結果、第3蓄電装置24cのSOCが上昇する。
【0044】
[制御装置34の構成]
電力供給システム10は、制御装置34を備える。図5は、制御装置34の制御ブロック図である。制御装置34は、第1発電装置14a、第2発電装置14b、第1接続装置20a、第2接続装置20b、遮断装置22a~22d及び遮断装置26a~26dを制御する。
【0045】
制御装置34は、演算部36及び記憶部38を有する。演算部36は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサである。即ち、演算部36は、処理回路(processing circuitry)によって構成され得る。演算部36は、記憶部38に記憶されているプログラムを実行することにより、各装置を制御する。演算部36の少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。演算部36の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0046】
演算部36には、制御部40、計算部42、判定部44、異常検知部46及び計時部48が備えられる。制御部40、計算部42、判定部44、異常検知部46及び計時部48は、記憶部38に記憶されているプログラムが演算部36によって実行されることによって実現され得る。制御部40は、第1発電装置14a及び第2発電装置14bの動作制御を行う。また、制御部40は、第1接続装置20a、第2接続装置20b及び遮断装置22a~22d、26a~26dの切り替え制御を行う。計算部42は、各種の計算を行う。判定部44は、第1接続装置20a、第2接続装置20b及び遮断装置22a~22dの各々の断接状態を判定する。異常検知部46は、電力供給システム10に発生する異常を検知する。計時部48は、接続制御の実行時間を計時する。
【0047】
記憶部38は、コンピュータ可読記憶媒体である、不図示の揮発性メモリ及び不図示の不揮発性メモリにより構成される。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)等である。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等である。データ等が、例えば、揮発性メモリに記憶される。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば、不揮発性メモリに記憶される。記憶部38の少なくとも一部が、上述したプロセッサ、集積回路等に備えられてもよい。
【0048】
[第1異常時の接続処理]
図3図4図6及び図7A図7Eを用いて、制御装置34が行う接続処理について説明する。接続処理とは、接続装置20a、20bの接続制御を行うと共に、接続装置20a、20bの接続制御が正しく行われたかを確認する処理である。図6は、制御装置34が行う接続処理のフローチャートである。図7A図7Eは、第1異常が発生した場合のタイムチャートである。図7Aは、異常フラグのタイムチャートを示す。図7Bは、第1電気負荷16aの消費電力のタイムチャートを示す。図7Cは、第1発電装置14aから供給される電力のタイムチャートを示す。図7Dは、第1蓄電装置24aのSOCのタイムチャートを示す。図7Eは、第2発電装置14bから第1電力供給回路12aに供給される電力のタイムチャートを示す。
【0049】
例えば、図3に示すように、第1発電装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれた状態となった場合(第1異常が発生した場合)に、図7Aに示すように、時点t1で、異常検知部46は、異常フラグを立てる。これにより、制御装置34は、図6に示す接続処理を開始する。即ち、制御装置34は、第1接続装置20a及び第2接続装置20bを遮断状態から接続状態に切り替える。ここでは、説明の便宜のために、第1接続装置20aを遮断状態から接続状態に切り替える接続処理を説明し、第2接続装置20bを遮断状態から接続状態に切り替える接続処理の説明を省略する。また、ここでは、図7Bに示すように、第1電気負荷16aの消費電力が一定である場合を想定する。
【0050】
図7Cに示すように、時点t1で、第1発電装置14aから供給される電力が断たれる。第1発電装置14aから第1電力供給回路12aへの電力の供給が断たれているため、第1電気負荷16aには、第1蓄電装置24aのみから電力が供給される。すると、図7Dに示すように、時点t1において、第1蓄電装置24aのSOCは低下し始める。
【0051】
ステップS1において、制御部40は、異常フラグが立てられることにより、第1発電装置14aを停止又はアイドル状態にする。例えば、制御部40は、遮断装置22aを接続状態から遮断状態に切り替える。また、制御部40は、第1発電装置14aに備えられるエンジン及び発電機を停止させてもよい。
【0052】
ステップS2において、計時部48は、計時を開始する。即ち、計時部48は、接続制御の実行時間の計測を開始する。
【0053】
ステップS3において、制御部40は、スイッチング装置の接続制御を実行する。ここでは、制御部40は、第1接続装置20aに電気信号を出力する。この電気信号は、第1接続装置20aに対する接続指令に相当する。ステップS3の後に、処理はステップS4及びステップS5に移行する。
【0054】
ステップS4において、計算部42は、第1蓄電装置24aの残容量の所定期間における変化量に関する第1の値を計算する。図7Bに示すように、第1電気負荷16aの消費電力が一定である場合、第1蓄電装置24aの残容量は一定の割合で低下し続ける。計算部42は、例えば、第1蓄電装置24aに備えられた電圧センサ、電流センサ及び温度センサ等の検出値に基づいて、第1蓄電装置24aのSOCを計算する。計算部42は、所定期間におけるSOCの変化量に基づいて第1の値を取得する。計算部42は、例えば、所定期間における第1蓄電装置24aの出力電力量を第1の値として取得し得る。
【0055】
ステップS5において、計算部42は、第1電気負荷16aの所定期間における消費電力に関する第2の値を計算する。計算部42は、例えば、第1電気負荷16aに備えられた電圧センサ及び電流センサの検出値に基づいて、第1電気負荷16aの消費電力を計算する。計算部42は、所定期間における消費電力に基づいて第2の値を計算する。計算部42は、所定期間における第1電気負荷16aの例えば消費電力量を第2の値として取得し得る。
【0056】
ステップS4及びステップS5からステップS6に移行すると、判定部44は、第1接続装置20aの切り替えが正常に行われたかを判定する。具体的には、判定部44は、第1の値と第2の値との差の絶対値が所定の閾値以上かを判定する。閾値は、記憶部38に予め記憶される。第1の値と第2の値との差の絶対値に基づいて第1接続装置20aの切り替えが行われたかの判定ができるのは、次の理由による。
【0057】
第1蓄電装置24aのSOCが低下すると、第1蓄電装置24aの出力電圧は、第2発電装置14bの出力電圧よりも低くなる。この状態で第1接続装置20aが遮断状態から接続状態に切り替えられると、第2発電装置14bから第1電力供給回路12aを介して第1蓄電装置24aに電力が供給される。このため、第1蓄電装置24aは充電される。その結果、第1蓄電装置24aのSOCは上昇し始める。
【0058】
例えば、時点t1の後の時点t2で、第1接続装置20aの切り替えが完了したとする。この場合、図7Eに示すように、時点t2で、第2発電装置14bから第1電力供給回路12aに電力が供給される。すると、図7Dに示すように、第1蓄電装置24aのSOCは、上昇し始める。
【0059】
第1接続装置20aの切り替えが完了していない間(時点t1~時点t2)は、第1電気負荷16aには、第1蓄電装置24aのみから電力が供給される。この期間においては、第1蓄電装置24aの出力電力量と、第1電気負荷16aの消費電力量とは釣り合う。つまり、第1の値と第2の値とは釣り合う。一方、第1接続装置20aの切り替えが完了した後(時点t2以降)は、第1電気負荷16aには、第2発電装置14bから電力が供給される。この期間においては、第1蓄電装置24aの出力電力量と、第1電気負荷16aの消費電力量とは釣り合わなくなる。つまり、第1の値と第2の値とは釣り合わなくなる。このように、第1の値と第2の値との差の大小によって、第1接続装置20aの切り替えが正常に行われたかを判定することができる。
【0060】
第1の値と第2の値との差の絶対値が所定の閾値以上である場合(ステップS6;YES)、処理はステップS7に移行する。一方、第1の値と第2の値との差の絶対値が所定の閾値未満である場合(ステップS6;NO)、処理はステップS8に移行する。
【0061】
ステップS6からステップS7に移行すると、判定部44は、発電装置と蓄電装置とが接続されたと判定する。ここでは、判定部44は、第1接続装置20aの切り替えが完了したと判定し、第2発電装置14bと第1蓄電装置24aとが第1接続装置20aによって接続されたと判定する。以上で、接続処理は終了する。
【0062】
ステップS6からステップS8に移行すると、判定部44は、計時部48による計時時間が制限時間を越えたかを判定する。制限時間は、記憶部38に予め記憶される。計時部48による計時時間が制限時間を越えた場合(ステップS8;YES)、処理はステップS9に移行する。一方、計時部48による計時時間が制限時間を越えていない場合(ステップS8;NO)、処理はステップS3に戻る。この場合、制御部40は、改めてスイッチング装置の接続制御を実行する。
【0063】
ステップS8からステップS9に移行すると、判定部44は、スイッチング装置(第1接続装置20a)の故障と判定する。以上で、接続処理は終了する。
【0064】
ここまでは、第1接続装置20aを遮断状態から接続状態に切り替える接続処理(第1接続処理)について説明した。一方、第2接続装置20bを遮断状態から接続状態に切り替える接続処理(第2接続処理)も同様にして行われる。第2接続処理の場合、上記説明のうち、「第1電力供給回路12a」を「第3電力供給回路12c」と置き換え、「第1電気負荷16a」を「第3電気負荷16c」と置き換え、「第1接続装置20a」を「第2接続装置20b」と置き換え、「遮断装置22a」を「遮断装置22c」と置き換えればよい。
【0065】
[第2異常時の電力供給システムの動作]
図8及び図9は、第2異常時の電力供給システム10の動作を示す図である。図8及び図9に示す矢印は、電力の供給経路を示す。図8及び図9は、第3蓄電装置24cから第3電気負荷16cへの電力の供給が断たれた場合の電力供給システム10の動作を示す。
【0066】
第3蓄電装置24cから第3電気負荷16cへの電力の供給が断たれた状態とは、例えば、第3蓄電装置24cと第3電力供給回路12cとの間で短絡、断線等が生じた状態である。この場合、第3電気負荷16cの運転は中止される。
【0067】
第3蓄電装置24cから第3電気負荷16cへの電力の供給が断たれた場合、図8に示すように、遮断装置22aにより第1発電装置14aが第1電力供給回路12aと第1接続回路18aとから一時的に遮断される。また、遮断装置22cにより第1発電装置14aが第3電力供給回路12cと第2接続回路18bとから遮断される。
【0068】
第1電気負荷16aには第1蓄電装置24aからのみ電力が供給される。そのため、第1蓄電装置24aのSOCは低下する。これに伴い、第1蓄電装置24aの出力電圧が低下する。
【0069】
この状態で、第1接続装置20aの接続制御が実行されると、図9に示すように、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが第1接続回路18aを介して接続される。これにより、第2発電装置14bから第1電気負荷16aに電力が供給される。また、出力電圧が高い第2発電装置14bから出力電圧が低くなった第1蓄電装置24aに電力が供給される。その結果、第1蓄電装置24aのSOCが上昇する。
【0070】
[第2異常時の接続処理]
図10A図10Eは、第2異常が発生した場合のタイムチャートである。図10Aは、異常フラグのタイムチャートを示す。図10Bは、第1電気負荷16aの消費電力のタイムチャートを示す。図10Cは、第1発電装置14aから供給される電力のタイムチャートを示す。図10Dは、第1蓄電装置24aのSOCのタイムチャートを示す。図10Eは、第2発電装置14bから第1電力供給回路12aに供給される電力のタイムチャートを示す。
【0071】
第2異常が発生した場合も、制御装置34は、図6に示す接続処理を行う。但し、第2異常が発生した場合、図6のステップS3において、制御部40は、第1接続装置20aの接続制御を実行し、第2接続装置20bの接続制御を実行しない。
【0072】
また、時点t2後の時点t3で、判定部44により第1接続装置20aの切り替えが完了したと判定された場合、図10Cに示すように、第1発電装置14aからの電力の供給が再開される。即ち、制御部40は、遮断装置22aを遮断状態から接続状態に切り替える。
【0073】
[その他の異常]
制御装置34は、上述した第1異常及び第2異常の他に、下記(1)~(4)の場合に、図6に示す接続処理を行うことができる。
(1)第2発電装置14bから第2電力供給回路12b及び第4電力供給回路12dへの電力の供給が断たれた場合。
(2)第1蓄電装置24aから第1電気負荷16aへの電力の供給が断たれた場合。
(3)第2蓄電装置24bから第2電気負荷16bへの電力の供給が断たれた場合。
(4)第4蓄電装置24dから第4電気負荷16dへの電力の供給が断たれた場合。
【0074】
上記実施形態では、接続装置(第1接続装置20a、第2接続装置20b)が遮断状態から接続状態に切り替えられたか否かを判定するが、本発明はこれに限定されない。例えば、遮断装置22a~22dが遮断状態から接続状態に切り替えられたか否かを判定する実施形態も可能である。
【0075】
制御装置34は、発電装置と蓄電装置との間に介在するスイッチング装置が遮断状態から接続状態に切り替えられたかを判定するシステムに使用可能である。
【0076】
上記実施形態によれば、スイッチング装置(第1接続装置20a、第2接続装置20b、遮断装置22a~22d)を流れる電流又はスイッチング装置の端子間電圧を測定することなく、スイッチング装置が遮断状態から接続状態に切り替えられたかを判定することができる。このため、電力供給システム10に使用されるセンサ及び配線を少量化することができる。結果として、電力供給システム10を簡素化することができる。更に、上記構成によれば、電力供給システム10が備えられる配電盤を小型化することができ、電力供給システム10の部品のコストの上昇を抑制することもできる。
【0077】
[電力供給システム10の使用形態]
図11は、移動体52の模式図である。電力供給システム10は、移動体52に搭載され得る。
【0078】
本実施形態の移動体52は、電動垂直離着陸機(eVTOL)である。移動体52は、8つのVTOLロータ54を備える。VTOLロータ54は、機体56に対して上方向に推力を発生する。移動体52は、8つの電動モータ58を備える。1つの電動モータ58が、1つのVTOLロータ54を駆動する。移動体52は、2つのクルーズロータ60を有する。クルーズロータ60は、機体56に対して前方向に推力を発生する。移動体52は、4つの電動モータ62を備える。2つの電動モータ62が、1つのクルーズロータ60を駆動する。
【0079】
第1電気負荷16a、第2電気負荷16b、第3電気負荷16c及び第4電気負荷16dの各々は、2つの電動モータ58と1つの電動モータ62を備えてもよい。第1電気負荷16a、第2電気負荷16b、第3電気負荷16c及び第4電気負荷16dの各々は、電動モータ58及び電動モータ62の他、低電圧駆動装置を備えてもよい。
【0080】
移動体52は、航空機に限らず、船舶、自動車、列車等であってもよい。電力供給システム10は、施設、工場等に備えられてもよい。
【0081】
[付記]
上述した開示に関し、更に以下の付記を開示する。
【0082】
(付記1)
制御装置(34)は、発電装置(14a、14b)から供給される直流電力を蓄電可能な蓄電装置(24a~24d)と前記発電装置とを互いに断接することが可能なスイッチング装置(20a、20b、22a~22d)を制御する制御部(40)と、前記蓄電装置の残容量の所定期間における変化量に関する第1の値と、前記発電装置と前記蓄電装置との少なくとも一方から供給される電力によって動作可能な電気負荷(16a~16d)の前記所定期間における消費電力に関する第2の値との差が所定の閾値未満である場合に、前記発電装置と前記蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されていないと判定し、前記第1の値と前記第2の値との差が前記閾値以上である場合に、前記発電装置と前記蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されたと判定する判定部(44)と、を備える。
【0083】
上記構成によれば、スイッチング装置を流れる電流又はスイッチング装置の端子間電圧を測定することなく、スイッチング装置が遮断状態から接続状態に切り替えられたかを判定することができる。このため、電力供給システムに使用されるセンサ及び配線を少量化することができる。結果として、電力供給システムの構成を簡素にすることができる。このため、上記構成によれば、電力供給システムが備えられる配電盤を小型化することができ、電力供給システムの部品のコストの上昇を抑制することもできる。
【0084】
(付記2)
付記1に記載の制御装置において、前記スイッチング装置は、複数の前記発電装置のうちの第1発電装置(14a)から供給される直流電力を複数の前記電気負荷のうちの第1電気負荷(16a)に供給する第1電力供給回路(12a)と、複数の前記発電装置のうちの第2発電装置(14b)から供給される直流電力を複数の前記電気負荷のうちの第2電気負荷(16b)に供給する第2電力供給回路(12b)とを接続可能な接続回路(18a)に備えられ、複数の前記蓄電装置のうちの第1蓄電装置(24a)は、前記第1電力供給回路に前記第1発電装置と並列に接続され、前記スイッチング装置は、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とを互いに断接することが可能であり、前記判定部は、前記第1蓄電装置の前記残容量の前記所定期間における前記変化量に関する前記第1の値と、前記第1電気負荷の前記所定期間における前記消費電力に関する前記第2の値との差が前記閾値未満である場合には、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されていないと判定し、前記第1蓄電装置の前記残容量の前記所定期間における前記変化量に関する前記第1の値と、前記第1電気負荷の前記所定期間における前記消費電力に関する前記第2の値との差が前記閾値以上である場合に、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されたと判定してもよい。
【0085】
(付記3)
付記2に記載の制御装置において、前記制御部は、前記第1発電装置から前記第1蓄電装置及び前記第1電気負荷に電力を供給できない場合に、前記スイッチング装置の接続制御を行ってもよい。
【0086】
(付記4)
付記2に記載の制御装置において、前記第1発電装置は、複数の前記電気負荷のうちの第3電気負荷(16c)に第3電力供給回路(12c)を介して直流電力を供給可能であり、複数の前記蓄電装置のうちの第3蓄電装置(24c)は、前記第3電力供給回路に前記第1発電装置と並列に接続され、前記制御部は、前記第3蓄電装置から前記第3電気負荷に電力を供給できない場合に、前記スイッチング装置の接続制御を行ってもよい。
【0087】
(付記5)
移動体(52)は、付記1~4のいずれか1つに記載の制御装置を備える。
【0088】
(付記6)
電力供給システム(10)の制御方法は、第1発電装置から出力される直流電力を複数の第1電気負荷に供給する第1電力供給回路と、前記第1電力供給回路に前記第1発電装置と並列に接続される第1蓄電装置と、第2発電装置から出力される直流電力を複数の第2電気負荷に供給する第2電力供給回路と、前記第2電力供給回路に前記第2発電装置と並列に接続される第2蓄電装置(24b)と、前記第1電力供給回路と前記第2電力供給回路とを接続し得る接続回路と、前記接続回路に設けられ、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とを互いに断接することが可能なスイッチング装置と、を備える電力供給システムの制御方法であって、前記スイッチング装置を遮断状態から接続状態に切り替えるステップと、前記第1蓄電装置の残容量の所定期間における変化量に関する第1の値と、前記第1電気負荷の前記所定期間における消費電力に関する第2の値との差を比較するステップと、前記第1の値と前記第2の値との差が所定の閾値未満である場合に、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されていないと判定し、前記第1の値と前記第2の値との差が前記閾値以上である場合に、前記第2発電装置と前記第1蓄電装置とが前記スイッチング装置によって接続されたと判定するステップと、を備える。
【0089】
上記構成によれば、電力供給システムに使用されるセンサ及び配線を少量化することができる。結果として、電力供給システムの構成を簡素にすることができる。このため、上記構成によれば、電力供給システムが備えられる配電盤を小型化することができ、電力供給システムの部品のコストの上昇を抑制することもできる。
【0090】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0091】
14a…第1発電装置(発電装置) 14b…第2発電装置(発電装置)
16a…第1電気負荷(電気負荷) 16b…第2電気負荷(電気負荷)
16c…第3電気負荷(電気負荷) 16d…第4電気負荷(電気負荷)
18a…第1接続回路(接続回路) 18b…第2接続回路(接続回路)
20a…第1接続装置(スイッチング装置)
20b…第2接続装置(スイッチング装置)
22a~22d…遮断装置(スイッチング装置)
24a…第1蓄電装置(蓄電装置) 24b…第2蓄電装置(蓄電装置)
24c…第3蓄電装置(蓄電装置) 24d…第4蓄電装置(蓄電装置)
34…制御装置 40…制御部
44…判定部 52…移動体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11