(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176174
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】接触センサ、および、輻射ヒータ
(51)【国際特許分類】
G01V 3/08 20060101AFI20241212BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G01V3/08 D
H01H36/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094513
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入江 将嗣
【テーマコード(参考)】
2G105
5G046
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB04
2G105DD03
2G105EE02
2G105FF02
2G105FF13
2G105GG01
2G105HH01
2G105JJ05
5G046AA03
5G046AB02
5G046AC24
5G046AE05
(57)【要約】
【課題】人の身体および熱伝導率が低い物体の接触を簡易な構成でそれぞれ検出する。
【解決手段】接触センサ200であって、基板120の上に互いに平行に配置された第1検出電極211と第2検出電極212との対を含む電極部210と、前記第1検出電極に1MHz以上の周波数を有する交流信号を含む第1検出信号を印加する信号入力部220と、前記第1検出電極と前記第2検出電極との間の第1静電容量を表す第1出力信号を出力する検出部230と、前記第1出力信号に基づいて前記第1検出電極と前記第2検出電極との間の前記第1静電容量が変化したことを表すあらかじめ定められた条件が満たされた場合に、人の身体または物体が接触したと判定する判定部420と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触センサ(200)であって、
基板(120)の上に互いに平行に配置された第1検出電極(211)と第2検出電極(212)との対を含む電極部(210)と、
前記第1検出電極に1MHz以上の周波数を有する交流信号を含む第1検出信号を印加する信号入力部(220)と、
前記第1検出電極と前記第2検出電極との間の第1静電容量を表す第1出力信号を出力する検出部(230)と、
前記第1出力信号に基づいて前記第1検出電極と前記第2検出電極との間の前記第1静電容量が変化したことを表すあらかじめ定められた条件が満たされた場合に、人の身体または物体が接触したと判定する判定部(420)と、
を備える接触センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の接触センサであって、
前記電極部は、前記基板の上に互いに平行に配置された第3検出電極(213)と第4検出電極(214)との対をさらに含み、
前記信号入力部は、さらに、前記第3検出電極に100kHz以下の周波数を有する交流信号を含む第2検出信号を印加し、
前記検出部は、前記第3検出電極と前記第4検出電極との間の第2静電容量を表す第2出力信号を検出し、
前記判定部は、
前記第1出力信号に基づいて、前記第1検出電極と前記第2検出電極との間の前記第1静電容量の変化量が、物体の接触についてあらかじめ定められた第1閾値以上となった場合に、人ではない物体が接触したと判定し、
前記第2出力信号に基づいて、前記第3検出電極と前記第4検出電極との間の前記第2静電容量の変化量が、人の身体の接触についてあらかじめ定められた第2閾値以上となった場合に、人の身体が接触したと判定する、
接触センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の接触センサであって、
前記信号入力部は、
前記第1検出信号として正弦波の交流信号を前記第1検出電極に印加し、
前記第2検出信号として矩形波の交流信号を前記第3検出電極に印加する、
接触センサ。
【請求項4】
請求項2に記載の接触センサであって、
前記信号入力部は、
前記第1検出信号として正弦波の交流信号を前記第1検出電極に印加し、
前記第2検出信号として正弦波の交流信号を前記第2検出電極に印加する、
接触センサ。
【請求項5】
請求項1に記載の接触センサであって、
前記信号入力部は、1MHz以上の周波数を有する高周波の交流信号に100kHz以下の周波数を有する低周波の交流信号を重畳することにより得られた信号を、検出信号として前記第1検出電極に印加し、
前記検出部は、前記第1検出電極と前記第2検出電極との間の前記第1静電容量を表す測定信号を、高周波成分と、低周波成分とに分離し、
前記判定部は、前記高周波成分を用いて物体の接触を検出し、前記低周波成分を用いて人の身体の接触を検出する、
接触センサ。
【請求項6】
請求項1に記載の接触センサであって、
前記信号入力部は、第1期間に1MHz以上の周波数を有する高周波の交流信号を前記第1検出電極に印加し、前記第1期間に続く第2期間に100kHz以下の周波数を有する低周波の交流信号を前記第1検出電極に印加する、ことを繰り返し、
前記検出部は、
前記第1期間における前記第1検出電極と前記第2検出電極との間の前記第1静電容量を検出し、
前記第2期間における前記第1検出電極と前記第2検出電極との間の前記第1静電容量を検出し、
前記判定部は、
検出された前記第1期間における前記第1静電容量に基づいて、物体の接触の有無を判定し、
検出された前記第2期間における前記第1静電容量に基づいて、人の身体の接触の有無を判定する、
接触センサ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の接触センサを備えた輻射ヒータ(10)であって、
前記基板(120)上に配され、通電により発熱する発熱部(110)と、
前記発熱部へ通電する通電制御部(400)と、
を備え、
前記通電制御部は、前記判定部により人の身体または物体が接触したと判定された場合に、前記発熱部への通電量を、前記発熱部の温度を設定温度に維持するのに必要な基準値より低くする、または、前記発熱部への通電を停止する、
輻射ヒータ。
【請求項8】
請求項7に記載の輻射ヒータであって、
前記通電制御部は、
前記判定部により人の身体が接触したと判定された場合に、前記発熱部の温度が前記設定温度より低い第1温度となるように、前記発熱部への通電量を変更し、
前記判定部により物体が接触したと判定された場合に、前記発熱部の温度が前記設定温度より低く、かつ、前記第1温度より高い第2温度となるように、前記発熱部への通電量を変更する、
輻射ヒータ。
【請求項9】
請求項7に記載の輻射ヒータであって、
前記基板は、フレキシブル基板であり、
前記電極部と、前記発熱部とは、可撓性を有するシート状の導電性材料により前記基板の上に形成されている、
輻射ヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接触センサ、および、輻射ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの足部の近接を検出するとドアを開閉する車両において、ユーザの足部の近接を検出するための静電容量式のセンサについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような静電容量式センサが、ユーザの身体の一部の接触を検出するためのセンサとして輻射ヒータに備えられることがある。従来、輻射ヒータにおいては、火傷の発生の防止を目的として人の身体の一部の接触を検出する静電容量式センサに加えて、表面温度の過昇温の抑制を目的として熱伝導率が低い物体の接触を検出する他のセンサが備えられていた。
【0005】
人の身体および熱伝導率が低い物体の接触の検出のため異なるセンサを用いる必要があったのは、人の身体の比誘電率と絶縁物等の比誘電率とが大きく異なるためである。仮に、静電容量式センサを用いて、人の身体および熱伝導率が低い物体の接触を検出する際に、例えば、接触の検出に用いる静電容量についての閾値として、熱伝導率が低い物体の比誘電率に基づいた閾値を設定したとする。この場合、人の身体の一部が近接しているだけで、接触があったと誤って検出されてしまうことがある。この結果、ヒータの温度が下げられること、あるいは、ヒータの動作の停止が頻発してしまい、快適性が低下する。よって、人の身体および熱伝導率が低い物体の接触を簡易な構成でそれぞれ検出する技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、接触センサが提供される。この接触センサ(200)は、基板(120)の上に互いに平行に配置された第1検出電極(211)と第2検出電極(212)との対を含む電極部(210)と、前記第1検出電極に1MHz以上の周波数を有する交流信号を含む第1検出信号を印加する信号入力部(220)と、前記第1検出電極と前記第2検出電極との間の第1静電容量を表す第1出力信号を出力する検出部(230)と、前記第1出力信号に基づいて前記第1検出電極と前記第2検出電極との間の前記第1静電容量が変化したことを表すあらかじめ定められた条件が満たされた場合に、人の身体または物体が接触したと判定する判定部(420)と、を備える。
【0007】
人の身体の電気的特性として、高周波での比誘電率が低周波での比誘電率に比べて低くなる特性がある。このため、第1検出信号として1MHz以上の第1検出信号を用いることにより、第1検出信号の周波数より低い周波数を有する信号を用いる態様に比べて、接触センサにおける人の身体の接触についての検出感度を低下させることができる。これにより、静電容量式センサにおいて、人の接触についての検出感度を熱伝導率が低い物体についての検出感度に近づけることができる。よって、従来のように、人の身体の接触の検出のためのセンサと、熱伝導率が低い物体の検出のためのセンサとの2種類のセンサを設けることなく、人の身体および熱伝導率が低い物体の接触を検出することができる。従って、簡易な構成で人の身体および熱伝導率が低い物体の接触をそれぞれ検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】輻射ヒータの概略構成を表すブロック図である。
【
図3】第1実施形態にかかるヒータ本体部の構成を表す説明図である。
【
図4】第2実施形態にかかるヒータ本体部の構成を表す説明図である。
【
図5】第2実施形態にかかる人の身体および物体の接触検出の処理のフローチャートである。
【
図6】第2実施形態にかかる接触検出後の通電制御の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1に示すように、輻射ヒータ10は車両の暖房装置として用いられる。輻射ヒータ10は、ステアリングホイールSWの下部に配置された内部パネルIPの表面に設けられている。より具体的には、輻射ヒータ10は、乗員VPが座席VCに座っている状態において、乗員VPの下腿に対向する位置に配置されている。
【0010】
図2に示すように、輻射ヒータ10は、ヒータ本体部100と、検出部200と、電源部300と、制御部400とを備える。検出部200を接触センサともよぶ。
【0011】
図3に示すように、ヒータ本体部100は、第1発熱体110と、第1基板120と、を備える。第1基板120を基板ともよぶ。
【0012】
第1発熱体110は、銅、銅を含む合金等の金属材料の層から形成されている。第1発熱体110は通電されると発熱する。第1発熱体110は、銅箔が第1基板120上にパターンニングされて形成された銅線により構成される。なお、第1発熱体110を形成する導電性材料は銅に限られない。第1発熱体110を発熱部ともよぶ。後述する制御部400のヒータ駆動部410が、第1発熱体110の温度が設定温度となるように、第1発熱体110への電力の供給を調整する。例えば、設定温度は120度である。
【0013】
第1発熱体110の一端に設けられた接点と他端に設けられた接点とはコネクタCN1に接続されている。コネクタCN1は、不図示の配線を介して制御部400が備える不図示のコネクタに接続される。このようにして、第1発熱体110は、制御部400のヒータ駆動部410に電気的に接続される。
【0014】
第1基板120は、絶縁性材料で形成されたフレキシブル基板である。第1基板120の上側(+Z側)の面に第1発熱体110が配置される。
【0015】
ヒータ本体部100は可撓性を有するシート状に構成されているため、ヒータ本体部100の形状を変形させることができる。よって、ヒータ本体部100の設置場所の自由度が高い。なお、ヒータ本体部100が車両に設置された後、外部から力が加えられることにより、ヒータ本体部100が変形させられることは想定していない。
【0016】
図2に示すように、検出部200は、ヒータ本体部100への人の身体または物体の接触を検出するため静電容量式センサとして機能する。検出部200は、自己容量方式のセンサであってもよいし、相互容量方式のセンサであってもよい。
【0017】
検出部200は、電極部210と、信号入力部220と、静電容量検出部230とを備える。検出部200により人の身体または物体が接触を検出する理由は以下のとおりである。例えば、第1発熱体110に断熱性の高い物体が接触して、接触している部分において熱がこもることがある。このため、過昇温を抑制する必要がある。また、第1発熱体110に人の身体が接触すると、火傷が生じることがある。よって、乗員VPを保護する必要がある。
【0018】
図3に示すように、電極部210は、第1検出電極211と第2検出電極212とを含む。第1検出電極211と第2検出電極212とは、第1基板120上において互いに平行に配置されている。第1検出電極211と第2検出電極212とは、同一の方向(Y軸方向)に沿って延びている。電極部210と第1発熱体110とは近接した位置に配置されている。
図3に示す例では、第1検出電極211と第2検出電極212とを取り囲むように、第1発熱体110が配置されている。第1検出電極211と第2検出電極212は、銅箔パターンニングされて形成された銅線により構成される。なお、第1検出電極211と第2検出電極212とを形成する導電性材料は銅に限られない。第1検出電極211と第2検出電極212とのそれぞれの一端は、コネクタCN1に接続されている。よって、
図2に示すように、電極部210は、制御部400の信号入力部220および静電容量検出部230に電気的に接続される。
【0019】
図2に示す、信号入力部220は、第1検出電極211に第1検出信号を印加する。本実施形態において、第1検出信号として高周波の交流信号が用いられる。本明細書において、高周波の交流信号とは、1MHz以上の交流信号をいうものとする。本実施形態において、第1検出信号は、10MHz以上100MHz以下の周波数を有する交流信号である。第1検出信号は正弦波の交流信号である。信号入力部220は、後述する演算部420から第1検出信号の出力を開始する指令を受けると、第1検出電極211に第1検出信号を印加する。信号入力部220は、演算部420から第1検出信号の出力を停止する指令を受けるまで、第1検出信号の出力を継続する。
【0020】
静電容量検出部230は、第1検出電極211と第2検出電極212と間の静電容量(第1静電容量)を検出する。
【0021】
検出部200が自己容量方式のセンサである場合には、第1検出電極211、第2検出電極212、または、第1検出電極211および第2検出電極212の両方が検出電極となる。第1検出電極211に第1検出信号が印加されると、第1検出電極211とGND間に寄生容量が発生する。例えば、人の指が第1検出電極211に近接または接触すると、第1検出電極211と人の指との間に静電容量が生じる。自己容量方式においては、第1検出電極211と人の指との間に生じた静電容量の増加分が検出される。具体的には、静電容量検出部230は、第1検出電極211から出力される電圧信号に基づく対地電圧と、第1検出電極211に流れる単位時間当たりの電流量とを用いて、第1検出電極211と接地電極である第2検出電極212との間の静電容量を検出する。静電容量検出部230は、第1検出電極211と第2検出電極212と間の静電容量を表す第1出力信号を演算部420に出力する。
【0022】
検出部200が相互容量方式のセンサである場合には、第1検出電極211が送信電極となり、第2検出電極212が測定電極となる。第1検出電極211に第1検出信号が印加されると、第1検出電極211と第2検出電極212との間に電界が発生する。例えば、人の指が第1検出電極211に近接または接触すると、電解の一部が人の身体に移動し、第1検出電極211と第2検出電極212との間の静電容量が減少する。相互容量方式においては、第1検出電極211と第2検出電極212との間の静電容量の減少分が検出される。具体的には、静電容量検出部230は、第1検出電極211と第2検出電極212との電位差と、第1検出電極211に流れる単位時間当たりの電流量とを用いて、第1検出電極211と接地電極である第2検出電極212との間の静電容量を検出する。静電容量検出部230は、第1検出電極211と第2検出電極212と間の静電容量を表す第1出力信号を演算部420に出力する。
【0023】
電源部300は、車両に備えられている不図示のバッテリーから供給された電力の電圧を適宜変換して、電圧変換後の電力を後述するヒータ駆動部410に供給する。
【0024】
制御部400は、ヒータ本体部100への通電を制御する。制御部400を通電制御部ともよぶ。制御部400は、ヒータ駆動部410と演算部420とを備える。
【0025】
ヒータ駆動部410は、電源部300と第1発熱体110との電気的な接続を切り替えるため、サイリスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体素子を備える。ヒータ駆動部410は、演算部420から受ける指令に応じて第1発熱体110への通電のオン・オフを切り替える。ヒータ駆動部410が、電源部300と電気配線130とを電気的に接続している間、電源部300から供給された電力により第1発熱部に電流が流される。また、第1発熱体110へ通電する際には、演算部420の演算処理により決定された出力電圧で第1発熱部に電流が流される。ヒータ駆動部410が、電源部300と第1発熱体110との電気的な接続を遮断している間、第1発熱部には電流が流れない。また、ヒータ駆動部410は、演算部420から受ける指令に応じて通電量を制御する。
【0026】
演算部420は、プロセッサ、メモリを備えるマイクロコンピュータである。演算部420は、例えば、不図示のECU(Electronic Control Unit)から輻射ヒータ10の動作の開始の指令を受けると、まず信号入力部220に第1検出信号の出力を開始させる。ヒータ本体部100への接触を検出するためである。演算部420は、静電容量検出部230が出力する第1出力信号に基づいてヒータ本体部100に人が接触していないことを確認した後、第1発熱体110への通電をオンする指令をヒータ駆動部410に出力する。この結果、第1発熱体110への通電が開始される。また、演算部420は、不図示のECUから輻射ヒータ10の動作の停止の指令を受けると、第1発熱体110への通電をオフする指令をヒータ駆動部410に出力する。
【0027】
本実施形態において、演算部420は、検出された第1静電容量が変化したことを表すあらかじめ定められた条件が満たされていた場合に、人の身体または物体が第1発熱体110に接触したと判定する。本明細書において、物体は、誘電体をいうものとする。また、物体は人を含まないものとする。演算部420を判定部ともよぶ。
【0028】
本実施形態においては、第1条件は、あらかじめ定められた時間内における第1静電容量の変化量があらかじめ定められた閾値Th以上となることとする。あらかじめ定められた時間は、例えば、100ミリ秒である。第1検出信号が印加されている場合であって、人または物体の接触がないときの、第1検出電極211と第2検出電極212との間の静電容量は既知である。この既知の静電容量を基準として閾値Thが定められている。
【0029】
演算部420は、人の身体または物体が第1発熱体110に接触したと判定すると、第1発熱体110への通電をオフする指令をヒータ駆動部410に出力する。よって、第1発熱体110への通電が停止される。
【0030】
演算部420は、人の身体または物体が第1発熱体110に接触している間、第1発熱体110への通電を停止させる。また、演算部420は、第1発熱体110への通電を停止した後、第1発熱体110への人の身体または物体の接触がなくなったと判定すると、第1発熱体110への通電をオンする指令をヒータ駆動部410に出力する。よって、第1発熱体110への通電が再開される。
【0031】
前述したように、人の身体の比誘電率と絶縁物等の比誘電率とは大きく異なるため、人の身体の接触に起因した静電容量の変化量が、絶縁物等の接触に起因した静電容量の変化量に比べて大きい。例えば、接触の検出に用いる静電容量についての閾値として、熱伝導率が低い物体の比誘電率に基づいた閾値を設定している場合、人の身体の一部が近接しているだけで、静電容量の変化量が閾値を超えることがある。よって、人の身体の一部が接触していなくても、接触があったと誤って検出されてしまう。
【0032】
本実施形態においては、人の身体の電気的特性について、高周波での比誘電率が低周波での比誘電率に比べて低くなる特性を踏まえて、第1検出信号として高周波の交流信号を用いる。高周波の交流信号を用いることにより、低周波の交流信号を用いる態様に比べて、人の身体の接触に起因した静電容量の変化量を小さくできる。このようにして、静電容量式センサである検出部200における人の身体の接触についての検出感度を低下させる。これにより、静電容量式センサにおいて、人の接触についての検出感度を熱伝導率が低い物体についての検出感度に近づけることができる。よって、同一の静電容量式センサにより、人の身体および熱伝導率が低い物体の接触を検出することができる。従来のように、人の身体の接触の検出のためのセンサと、熱伝導率が低い物体の検出のためのセンサとの2種類のセンサを設ける必要がない。よって、簡易な構成で人の身体および熱伝導率が低い物体の接触を検出できる。
【0033】
B.第2実施形態:
第2実施形態においては、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。第2実施形態においては、人の身体または物体の接触を個別に検出する態様について説明する。
【0034】
ヒータ本体部100は、第1実施形態と同様に電熱ヒータである。
【0035】
図4に示すように、第2実施形態において、電極部210は、第1検出電極211および第2検出電極212に加えて、第3検出電極213および第4検出電極214を含む。第1検出電極211と第2検出電極212とは、第1基板120上において互いに平行に配置されている。第3検出電極213と第4検出電極214とは第1基板120上に互いに平行に配置されている。第1検出電極211、第2検出電極212、第3検出電極213、および、第4検出電極214は、同一の方向(Y軸方向)に沿って延びている。第1検出電極211、第2検出電極212、第3検出電極213、および、第4検出電極214を取り囲むように、第1発熱体110が配置されている。第1検出電極211、第2検出電極212、第3検出電極213、および、第4検出電極214は、コネクタCN1を介して検出部200に接続される。
【0036】
図2に示す、信号入力部220は、第1検出電極211に第1検出信号を印加する。第1検出信号は、第1実施形態と同様に、10MHz以上100MHz以下の周波数を有する交流信号である。第1検出信号は正弦波の交流信号である。
【0037】
さらに、信号入力部220は、第3検出電極213に第2検出信号を印加する。本実施形態において、第2検出信号として低周波の交流信号が用いられる。本明細書において、低周波の交流信号とは、100kHz以下の交流信号をいうものとする。本実施形態において、第2検出信号は、1kHz以上100kHz以下の周波数を有する交流信号である。第2検出信号は、矩形波の交流信号である。本実施形態では、第2検出信号として矩形波の信号を用いるので、第2検出信号の信号生成回路を簡易なものとできる。第1検出信号および第2検出信号のいずれにも正弦波を用いる態様に比べて、信号生成回路の構成を簡易なものとできる。
【0038】
例えば、信号入力部220は、演算部420から第1検出信号および第2検出信号の出力を開始する指令を受けると、第1検出電極211に第1検出信号を印加し、第3検出電極213に第2検出信号を印加する。信号入力部220は、演算部420から第1検出信号および第2検出信号の出力を停止する指令を受けるまで、第1検出信号および第2検出信号の出力を継続する。
【0039】
静電容量検出部230は、第1検出電極211と第2検出電極212と間の静電容量(第1静電容量)を検出する。静電容量検出部230は、第1検出電極211と第2検出電極212と間の静電容量を表す第1出力信号を演算部420に出力する。さらに、静電容量検出部230は、第3検出電極213と第4検出電極214との間の静電容量(第2静電容量)を検出する。静電容量検出部230は、第3検出電極213と第4検出電極214と間の静電容量を表す第2出力信号を演算部420に出力する。
【0040】
電源部300、制御部400のヒータ駆動部410についての構成は第1実施形態と同様である。
【0041】
演算部420は、プロセッサ、メモリを備えるマイクロコンピュータである。演算部420は、例えば、不図示のECUから輻射ヒータ10の動作の開始の指令を受けると、第1発熱体110への通電をオンする指令をヒータ駆動部410に出力する。また、演算部420は、輻射ヒータ10の動作の開始の指令を受けると、信号入力部220に第1検出信号および第2検出信号の出力を開始させる。ヒータ本体部100への接触を検出するためである。
【0042】
演算部420は、不図示のECUから輻射ヒータ10の動作の停止の指令を受けると、第1発熱体110への通電をオフする指令をヒータ駆動部410に出力する。
【0043】
演算部420は、あらかじめ定められた時間内における第1静電容量の変化量が第1閾値Th21以上となった場合に、人の身体ではない物体が第1発熱体110に接触したと判定する。第1検出信号が印加されている場合であって、人の身体ではない物体の接触がないときの、第1検出電極211と第2検出電極212との間の静電容量は既知である。この既知の静電容量を基準として第1閾値Th21が定められている。第1静電容量の変化量が第1閾値Th21以上となることが、人の身体ではない物体の接触の検出のための第1条件である。
【0044】
演算部420は、人の身体ではない物体が第1発熱体110に接触したと判定すると、第1発熱体110への通電量を低下させるため、通電量を基準値から低下する指令をヒータ駆動部410に出力する。基準値は、第1発熱体110の温度を設定温度に維持するのに必要な通電量を表す。よって、第1発熱体110の温度が低下する。
【0045】
演算部420は、第1発熱体110への通電量を低下した後、第1静電容量の変化に基づいて第1発熱体110への物体の接触がなくなったと判定すると、通電量を基準値に戻す指令をヒータ駆動部410に出力する。よって、第1発熱体110の温度が上昇する。
【0046】
また、演算部420は、あらかじめ定められた時間内における第2静電容量の変化量が第2閾値Th22以上となった場合に、人の身体が第1発熱体110に接触したと判定する。第2検出信号が印加されている場合であって、人の身体ではない物体の接触がないときの、第3検出電極213と第4検出電極214との間の静電容量は既知である。この既知の静電容量を基準として第2閾値Th22が定められている。第2静電容量の変化量が第2閾値Th22以上となることが、人の身体の接触の検出のための第2条件である。
【0047】
演算部420は、人の身体が第1発熱体110に接触したと判定すると、第1発熱体110への通電を停止させるため、通電を停止する指令をヒータ駆動部410に出力する。よって、第1発熱体110への通電が停止される。また、演算部420は、第1発熱体110への通電を停止した後、第2静電容量の変化に基づいて第1発熱体110への人の身体の接触がなくなったと判定すると、第1発熱体110への通電をオンする指令をヒータ駆動部410に出力する。よって、第1発熱体110への通電が再開される。
【0048】
ここで、第1条件が満たされたとき、即ち、人の身体ではない物体の接触が検出されたときの制御と、第2条件が満たされたとき、即ち、人の身体の接触が検出されたときの制御と、のうち、第2条件が満たされたときの制御の優先度が高い。このため、演算部420は、人の身体ではない物体の接触および人の身体の接触が同時に検出されている場合には、ヒータ駆動部410に第1発熱体110への通電を停止させる。この場合、第1発熱体110への通電量を低下させる制御は行われない。
【0049】
また、演算部420は、人の身体ではない物体の接触が検出されたことにより第1発熱体110への通電量を低下させる制御が開始された後に、人の身体の接触が検出された場合には、ヒータ駆動部410に第1発熱体110への通電を停止させる。
【0050】
また、演算部420は、人の身体の接触が検出されたことにより第1発熱体110への通電が停止させる制御が開始された後に、人の身体ではない物体の接触が検出された場合には、第1発熱体110への通電の停止を継続する。この場合、第1発熱体110への通電量を低下させる制御は行われない。
【0051】
図5に、人の身体および物体の接触検出の処理を示す。
図6に、接触検出後の通電制御の処理を示す。ステップS101において、演算部420は、第1判定フラグF1、第2判定フラグF2それぞれに初期値=「false」をセットする。第1判定フラグF1は、第1条件が満たされているか否かを表す変数である。第2判定フラグF2は、第2条件が満たされているか否かを表す変数である。
【0052】
ステップS102において、静電容量検出部230は、第3検出電極213と第4検出電極214との間の第2静電容量を検出する。
【0053】
ステップS103において、演算部420は、検出された第2静電容量を用いて第2条件が満たされているか否かを判定する。第2条件が満たされている場合、即ち、人の身体の接触が検出された場合(ステップS103;YES)、ステップS104が実行される。第2条件が満たされていない場合(ステップS103;NO)、ステップS105が実行される。
【0054】
ステップS104において、演算部420は、第2判定フラグF2に「true」をセットする。
【0055】
ステップS105において、演算部420は、第2判定フラグF2に「false」をセットする。
【0056】
ステップS106において、静電容量検出部230は、第1検出電極211と第2検出電極212との間の第1静電容量を検出する。
【0057】
ステップS107において、演算部420は、検出された第1静電容量を用いて第1条件が満たされているか否かを判定する。第1条件が満たされている場合、即ち、物体の接触が検出された場合(ステップS107;YES)、ステップS108が実行される。第1条件が満たされていない場合(ステップS107;NO)、ステップS109が実行される。
【0058】
ステップS108において、演算部420は、第1判定フラグF1に「true」をセットする。
【0059】
ステップS109において、演算部420は、第1判定フラグF1に「false」をセットする。
【0060】
図6に示す、ステップS110において、演算部420は、第2判定フラグF2が「true」であるか否かを判定する。第2判定フラグF2が「true」である場合(ステップS110;YES)、ステップS111の処理が実行される。一方、第2判定フラグF2が「false」である場合(ステップS110;NO)、ステップS112の処理が実行される。
【0061】
ステップS111において、演算部420は、ヒータ駆動部410に通電を停止する指令を出すことにより、第1発熱体110への通電を停止する。なお、第2判定フラグF2が「true」である場合、第1判定フラグF1の値にかかわらず、ステップS111の処理が実行される。前述のように、第2条件が満たされたときの制御の優先度の方が、第1条件が満たされたときの制御の優先度より高いためである。
【0062】
ステップS112において、演算部420は、第1判定フラグF1が「true」であるか否かを判定する。第1判定フラグF1が「true」である場合(ステップS112;YES)、ステップS113の処理が実行される。一方、第1判定フラグF1が「false」である場合(ステップS112;NO)、ステップS114の処理が実行される。
【0063】
ステップS113において、演算部420は、ヒータ駆動部410に通電量を低下する指令を出すことにより、第1発熱体110への通電量を低下する。
【0064】
ステップS114において、演算部420は、第1発熱体110への通電について制限がされているか否かを判定する。通電について制限がされているとは、通電が停止されている、あるいは、通電量が基準値より低下させられている、ことを示す。第1発熱体110への通電について制限がされている場合(ステップS114;YES)、ステップS115の処理が実行される。一方、第1発熱体110への通電について制限がされていない場合(ステップS114;NO)、ステップS116の処理が実行される。
【0065】
ステップS115において、演算部420は、ヒータ駆動部410に通電する指令を出すことにより、第1発熱体110への通電を再開する。
【0066】
ステップS116において、演算部420は、処理を終了すべき場合(ステップS116;YES)、
図6に示す処理を終了する。例えば、不図示のECUから処理を終了すべき旨の指示を受けた場合に、演算部420は、
図6に示す処理を終了する。一方、処理を継続する場合、(ステップS116;NO)、
図5に示す、ステップS102の処理が再び実行される。以上が、接触検出および通電制御にかかる一連の処理の流れである。
【0067】
本実施形態においては、低周波の交流信号である第2検出信号を用いて人の身体の接触を検出し、高周波の交流信号である第1検出信号を用いて物体の接触を検出した。人の身体の比誘電率についての周波数特性と、人の身体ではない物体の比誘電率についての周波数特性とを比較すると、周波数が高くなるほど比誘電率の低下する度合いは、人の身体の方が物体に比べて大きい。物体の比誘電率は、検出信号の周波数が変化したとしても大きく変化しない。また、人の身体の比誘電率については、高周波での比誘電率が低周波での比誘電率に比べて低くなる特性がある。このため、本実施形態においては、人の身体の検出については、低周波の検出信号を用いて、物体の検出については、高周波の検出信号を用いている。このようにして、物体の接触と人の身体の接触とを区別して検出することが容易である。
【0068】
C.第3実施形態:
第3実施形態においては、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。第3実施形態においても、人の身体または物体の接触を個別に検出する態様について説明する。
【0069】
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、電極部210は、第1検出電極211と第2検出電極212とを含む。第1検出電極211と第2検出電極212とについての第1基板120上の配置等の構成は、
図3に示すように第1実施形態と同様である。
【0070】
図2に示す、信号入力部220は、第1検出電極211に第3検出信号を印加する。第3検出信号は、低周波の交流信号と高周波の交流信号とを合成して生成された信号である。より具体的には、第3検出信号は、10MHz以上100MHz以下の周波数を有する信号である高周波交流信号HS1に、1kHz以上100kHz以下の周波数を有する信号である低周波交流信号LS1を重畳することにより得られた信号である。
【0071】
静電容量検出部230は、まず、第1検出電極211から出力された電気信号(測定信号)を、10MHz以上100MHz以下の周波数を有する高周波成分の信号HS2と、1kHz以上100kHz以下の周波数を有する低周波成分の信号LS2とに分離する。
【0072】
演算部420は、高周波成分の信号HS2を用いて、人の身体ではない物体が第1発熱体110に接触したか否かを判定する。演算部420は、高周波成分の信号HS2が表す静電容量の変化量があらかじめ定められた閾値Th31以上となる場合に、人の身体ではない物体が第1発熱体110に接触したと判定する。
【0073】
演算部420は、低周波成分の信号LS2を用いて、人の身体が第1発熱体110に接触したか否かを判定する。演算部420は、低周波成分の信号LS2が表す静電容量の変化量があらかじめ定められた閾値Th32以上となる場合に、人の身体が第1発熱体110に接触したと判定する。
【0074】
上述のように、高周波の交流信号に、低周波の交流信号を重畳して得られる信号を検出信号として用いるので、二対の電極を備える態様より簡易な構成で、物体の接触と人の身体の接触とを区別して検出することができる。
【0075】
D.第4実施形態:
第4実施形態においては、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。第4実施形態においても、人の身体または物体の接触を個別に検出する態様について説明する。
【0076】
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、電極部210は、第1検出電極211と第2検出電極212とを含む。第1検出電極211と第2検出電極212とについての第1基板120上の配置等の構成は、
図3に示すように第1実施形態と同様である。
【0077】
図2に示す、信号入力部220は、第1期間に10MHz以上100MHz以下の周波数を有する信号である高周波交流信号HS3を第1検出電極211に印加する。信号入力部220は、第1期間に続く第2期間に1kHz以上100kHz以下の周波数を有する信号である低周波交流信号LS3を第1検出電極211に印加する。信号入力部220は、高周波交流信号HS3と、低周波交流信号LS3とを交互に第1検出電極211に印加することを繰り返す。
【0078】
静電容量検出部230は、第1期間における第1検出電極211と第2検出電極212との間の静電容量を検出する。静電容量検出部230は、第2期間における第1検出電極211と第2検出電極212との間の静電容量を検出する。
【0079】
演算部420は、検出された第1期間における静電容量の変化量を用いて、人の身体ではない物体が第1発熱体110に接触したか否かを判定する。演算部420は、第1期間における静電容量の変化量があらかじめ定められた閾値Th41以上となる場合に、人の身体ではない物体が第1発熱体110に接触したと判定する。
【0080】
演算部420は、検出された第2期間における静電容量の変化量を用いて、人の身体が第1発熱体110に接触したか否かを判定する。演算部420は、第2期間における静電容量の変化量があらかじめ定められた閾値Th42以上となる場合に、人の身体が第1発熱体110に接触したと判定する。
【0081】
本実施形態においては、第1検出電極211に対する印加する検出信号の周波数を、時系列で切り替えることにより、2対の電極を備える態様より簡易な構成で、物体の接触と人の身体の接触とを区別して検出することができる。
【0082】
E.他の実施形態:
E1.他の実施形態1:
第1実施形態においては、人の身体または物体が第1発熱体110に接触している間、第1発熱体110への通電が停止される例を説明した。しかしながら、人の身体または物体が第1発熱体110に接触している間、第1発熱体110への通電が停止されてもよい。あるいは、人の身体または物体が第1発熱体110に接触している間、第1発熱体110への通電量を低下する制御が行われてもよい。
【0083】
第2実施形態において、物体が第1発熱体110へ接触していることが検出された場合、第1発熱体110の温度を下げられる例を説明した。あるいは、物体が第1発熱体110へ接触していることが検出された場合、制御部400は、第1発熱体110への通電を停止してもよい。
【0084】
E2.他の実施形態2:
第2実施形態において、人の身体が第1発熱体110へ接触していることが検出された場合、第1発熱体110への通電を停止される例を説明した。あるいは、制御部400は、人の身体が第1発熱体110へ接触していることが検出された場合、第1発熱体110の温度が設定温度より低い第1温度となるように、第1発熱体110への通電量を変更してもよい。例えば、第1温度は60度未満の温度に設定される。具体的には、制御部400は、第1発熱体110への通電量を基準値より低い第1通電量に低下させる。第1発熱体110の温度を、接触により瞬時に火傷が生じる温度である60度未満とすることにより、第1発熱体110に人の身体の一部が触れて、火傷してしまうことを防止できる。
【0085】
第2実施形態において、物体が第1発熱体110へ接触していることが検出された場合、第1発熱体110の温度を下げられる例を説明した。制御部400は、物体が第1発熱体110へ接触していることが検出された場合には、第1発熱体110の温度が設定温度より低く、かつ、第1温度より高い第2温度となるように、第1発熱体110への通電量を変更してもよい。例えば、第2温度は60度以上の温度に設定される。具体的には、制御部400は、第1発熱体110への通電量を基準値より低い第2通電量に低下させる。第2通電量は、第1通電量より高い。
【0086】
E3.他の実施形態3:
第1実施形態においては、第1検出信号が10MHz以上100MHz以下の周波数を有する交流信号である例を説明した。しかしながら、第1検出信号は、1MHz以上の周波数を有する交流信号であればよい。第3実施形態にかかる高周波交流信号HS1、第4実施形態にかかる高周波交流信号HS3についても同様に1MHz以上の周波数を有する交流信号であればよい。
【0087】
第2実施形態においては、第2検出信号が1kHz以上100kHz以下の周波数を有する交流信号である例を説明した。しかしながら、第2検出信号は100kHz以下の周波数を有する交流信号であればよい。第3実施形態にかかる低周波交流信号LS1、第4実施形態にかかる低周波交流信号LS3についても同様に100kHz以下の周波数を有する交流信号であればよい。
【0088】
E4.他の実施形態4:
第1実施形態および第2実施形態において、ヒータ本体部100が電熱ヒータである例を説明したが、第2実施形態にかかるヒータ本体部100はPTCヒータであってもよい。第3実施形態、第4実施形態においても、ヒータ本体部100はPTCヒータであってもよいし、電熱ヒータであってもよい。人の身体または物体が第1発熱体110に接触している間、第1発熱体110への通電は停止される。ヒータ本体部100がPTCヒータである場合、通電量に応じて温度の調節を行うことができないためである。
【0089】
E5.他の実施形態5:
第1実施形態においては、車両の暖房装置として用いられる輻射ヒータ10について説明したが、輻射ヒータ10は車両の暖房装置として用いられるものに限られない。例えば、輻射ヒータ10は家屋等の室内で用いられる暖房装置であってもよい。
【0090】
また、第1実施形態で説明した検出部200と演算部420とから構成される接触センサは、輻射ヒータ10以外の機器において、接触を検出するために用いられてもよい。
【0091】
E6.他の実施形態6:
第2実施形態においては、第1検出信号として正弦波の交流信号を、第2検出信号として矩形波の交流信号を用いる例を説明した。しかしながら、第1検出信号と第2検出信号とのいずれについても、正弦波の交流信号を用いてもよい。
【0092】
E7.他の実施形態7:
第1実施形態および第2実施形態において、電極部210を取り囲むように第1発熱体110が取り囲む内側の領域に電極部210が配置される例を説明した。しかしながら、電極部210は、第1発熱体110の近傍であれば任意の位置に配置されてよい。また、第1発熱体110も第1基板120上の任意の位置に、任意の形状で配置されてよい。
【0093】
第1実施形態において、電極部210が配置される第1基板120は、絶縁性材料で形成されたフレキシブル基板であり、電気配線130はフィルム状に形成される例を説明した。しかしながら、ヒータ本体部100が可撓性を有するシート状に構成されていなくてよい。この場合、第1基板120はリジッド基板であってもよい。電気配線130はフィルム状に形成されていなくてもよい。
【0094】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0095】
10…輻射ヒータ、100…ヒータ本体部、110…第1発熱体、120…第1基板、210…電極部、211…第1検出電極、212…第2検出電極、213…第3検出電極、214…第4検出電極、220…信号入力部、230…静電容量検出部、420…演算部