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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176178
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】砥石及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24D 7/06 20060101AFI20241212BHJP
   B24D 5/00 20060101ALI20241212BHJP
   B24D 7/00 20060101ALI20241212BHJP
   B24D 5/06 20060101ALI20241212BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B24D7/06
B24D5/00 Z
B24D7/00 P
B24D5/06
B24D3/00 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094518
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】398046921
【氏名又は名称】株式会社ナノテム
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 篤
(72)【発明者】
【氏名】大橋 恭介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 大地
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 大和
(72)【発明者】
【氏名】木村 悠生
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 陸
(72)【発明者】
【氏名】保科 幸希
【テーマコード(参考)】
3C063
【Fターム(参考)】
3C063AA02
3C063AB03
3C063BA26
3C063BA27
3C063BD00
3C063BG04
3C063BG05
3C063BG10
(57)【要約】
【課題】強度を高めることができる砥石及びその製造方法を提供する。
【解決手段】被加工物を加工する加工面10aを有する砥石10は、メッシュベース部31、及び、メッシュベース部31と一体形成され、メッシュベース部31に対して交差する方向に延びるメッシュ立設部35を有するメッシュ材30と、メッシュ立設部35に結合され、加工面10aに一部が位置して被加工物を加工する加工部11と、を備える。メッシュベース部31には、メッシュ立設部35の根元部Rtの周辺に位置する開口孔31aが形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を加工する加工面を有する砥石であって、
ベース部、及び、前記ベース部と一体形成され、前記ベース部に対して交差する方向に延びる立設部を有する基材と、
前記立設部に結合され、前記加工面に少なくとも一部が位置して被加工物を加工する加工部と、を備え、
前記ベース部には、前記立設部の根元部の周辺に位置する開口孔が形成されている、
砥石。
【請求項2】
前記基材は、メッシュ材である、
請求項1に記載の砥石。
【請求項3】
前記砥石は、前記加工面に前記加工部を部分的に露出させつつ、前記基材が埋め込まれる充填材を備える、
請求項1又は2に記載の砥石。
【請求項4】
前記砥石は、前記加工面に前記加工部を部分的に露出させつつ、前記基材が埋め込まれる充填材を備え、
前記加工面は、円形又は円環の平面をなし、
前記ベース部は、円形又は円環のシート状をなし、
前記立設部は、前記根元部から遠い先端部に近づくにつれて前記加工面に交わる方向に前記ベース部から離れるように延びる、
請求項1又は2に記載の砥石。
【請求項5】
前記砥石は、前記加工面に前記加工部を部分的に露出させつつ、前記基材が埋め込まれる充填材を備え、
前記加工面は、円柱状の前記砥石の外周面に形成され、
前記ベース部は円筒状をなし、
前記立設部は、前記根元部から遠い先端部に近づくにつれて前記砥石の径方向外側に向かうように延びる、
請求項1又は2に記載の砥石。
【請求項6】
前記砥石は、前記加工面に前記加工部を部分的に露出させつつ、前記基材が埋め込まれる充填材を備え、
平板状をなす前記砥石の表面が前記加工面であり、
前記立設部は、前記根元部から遠い先端部に近づくにつれて前記加工面に向かうように延びている、
請求項1又は2に記載の砥石。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の砥石の製造方法であって、
メッシュシート素材の一部に略コの字状に切り込みを入れる工程と、
前記メッシュシート素材の切り込みを入れた領域を立てるように折り曲げることにより前記メッシュシート素材に前記立設部と前記開口孔を形成して前記基材としてのメッシュ材を製造する工程と、を含む、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥石及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の砥石は、加工面に複数の筒部が並べられた構造を有する。この筒部は、被加工物であるワークを加工するための複数の砥粒を含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-49574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の砥石では、砥石の強度に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、強度を高めることができる砥石及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る砥石は、被加工物を加工する加工面を有する砥石であって、ベース部、及び、前記ベース部と一体形成され、前記ベース部に対して交差する方向に延びる立設部を有する基材と、前記立設部に結合され、前記加工面に少なくとも一部が位置して被加工物を加工する加工部と、を備え、前記ベース部には、前記立設部の根元部の周辺に位置する開口孔が形成されている。
【0007】
また、前記基材は、メッシュ材である、ようにしてもよい。
【0008】
また、前記砥石は、前記加工面に前記加工部を部分的に露出させつつ、前記基材が埋め込まれる充填材を備える、ようにしてもよい。
【0009】
また、前記砥石は、前記加工面に前記加工部を部分的に露出させつつ、前記基材が埋め込まれる充填材を備え、前記加工面は、円形又は円環の平面をなし、前記ベース部は、円形又は円環のシート状をなし、前記立設部は、前記根元部から遠い先端部に近づくにつれて前記加工面に交わる方向に前記ベース部から離れるように延びる、ようにしてもよい。
【0010】
また、前記砥石は、前記加工面に前記加工部を部分的に露出させつつ、前記基材が埋め込まれる充填材を備え、前記加工面は、円柱状の前記砥石の外周面に形成され、前記ベース部は円筒状をなし、前記立設部は、前記根元部から遠い先端部に近づくにつれて前記砥石の径方向外側に向かうように延びる、ようにしてもよい。
【0011】
また、前記砥石は、前記加工面に前記加工部を部分的に露出させつつ、前記基材が埋め込まれる充填材を備え、平板状をなす前記砥石の表面が前記加工面であり、前記立設部は、前記根元部から遠い先端部に近づくにつれて前記加工面に向かうように延びている、ようにしてもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る砥石の製造方法は、メッシュシート素材の一部に略コの字状に切り込みを入れる工程と、前記メッシュシート素材の切り込みを入れた領域を立てるように折り曲げることにより前記メッシュシート素材に前記立設部と前記開口孔を形成して前記基材としてのメッシュ材を製造する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、砥石の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A),(B)は本発明の第1実施形態に係る砥石の平面図である。
図2図1のII-II線の断面図である。
図3】(A),(B)は本発明の第1実施形態に係るメッシュ材の製造方法を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る加工部の断面図である。
図5】本発明の変形例に係る図1のII-II線の断面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る砥石の斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る砥石の加工面の平面展開図である。
図8図6のVIII-VIII線の断面図である。
図9】(A),(B)は、本発明の第2実施形態に係る加工部が配置されたメッシュ素材の平面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る砥石の平面図である。
図11図10のXI-XI線の断面図である。
図12】本発明の変形例に係る折り曲げ前のメッシュ素材の部分的な斜視図である。
図13】本発明の変形例に係る折り曲げ後のメッシュ素材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る砥石について図面を参照して説明する。本実施形態の砥石は、底面で被加工物を加工する回転砥石である。
【0016】
図1(A)に示すように、砥石10は円柱状又は円環状をなす。砥石10は、砥石10の底面に加工面10aを備える。加工面10aは、砥石10の回転軸Oに直交する方向に延びる円形の平面状に形成されている。砥石10は、砥石10の中心軸と同軸の回転軸Oを中心に回転することにより、被加工物を加工、すなわち研磨又は研削する。被加工物は、例えば、セラミックス、シリコンウエハ、半導体基板、LED(Light Emitting Diode)基板、放熱基板、シリコンカーバイド、アルミナ、サファイア又は金属等である。
【0017】
図1(B)及び図2に示すように、砥石10は、複数の加工部11と、メッシュ材30と、充填材19と、を備える。
メッシュ材30は、本例では、金属、例えば、ステンレス製のシート状をなす。メッシュ材30は、流体が通過可能な多孔体である。メッシュ材30のメッシュ数は、#10~#500に設定されることが好ましい。メッシュ材30は、可撓性を有する。
なお、メッシュ材30の材質は、ステンレス以外の銅(例えば、黄銅)、ニッケル、アルミニウム等の金属製であってもよいし、金属以外のガラス、紙、不織布、織布又はカーボンファイバー等から形成されてもよい。
【0018】
メッシュ材30は、充填材19に埋め込まれるメッシュベース部31と、加工部11の固定対象となる複数のメッシュ立設部35と、を備える。メッシュベース部31とメッシュ立設部35は一体形成されている。すなわち、メッシュベース部31とメッシュ立設部35は、1枚のメッシュシート材に切り込みを入れて折り曲げることにより形成される。この製造方法は後述する。
【0019】
メッシュベース部31は、円形のシート状をなしている。メッシュベース部31には、複数の開口孔31aが形成されている。開口孔31aは、メッシュ立設部35と同形状、本例では矩形状をなしている。開口孔31aとメッシュ立設部35は一対一の関係で設けられている。
【0020】
複数のメッシュ立設部35は、それぞれメッシュベース部31に対して交差する方向に延びており、それぞれ加工部11が結合されている。メッシュ立設部35の根元部Rtは、開口孔31aの縁部に連結されている。本例では、メッシュ立設部35が開口孔31a側のメッシュベース部31に対して成す角θは、90°に設定されている。
なお、成す角θは、90°に限らず、1°~179°の範囲内でいくつに設定されてもよい。例えば、成す角θは、10°~90°に設定されてもよい。また、例えば、成す角θは、図5に示すように、45°に設定されてもよい。
【0021】
図2に示すように、メッシュ立設部35は、複数の加工部11の厚さ方向の中心を通過することにより、加工部11の芯材となる。加工部11(正確には、後述する結合材16)は、メッシュ立設部35の孔内に入り込むことにより、アンカー効果によりメッシュ立設部35に連結されている。
【0022】
複数の加工部11は、加工面10aに交わる方向、本例では直交する方向に立てられる。複数の加工部11は、円形の加工面10aの径方向Rに延びる破線状に形成され、加工面10aの周方向Cに並べられる。複数の加工部11は、径方向R及び周方向Cに千鳥状に配列されている。各加工部11は削られながら被加工物Wを研磨又は研削する。各加工部11は、加工面10aの径方向R及び回転軸Oに沿う方向に延びる平板状をなす。各加工部11は、それぞれ同一の形状及びサイズで形成されている。
【0023】
図4に示すように、加工部11は、複数の砥粒15と、結合材16と、を備える。複数の砥粒15は結合材16内に分布している。砥粒15は、例えば、ダイヤモンドである。なお、砥粒15は、ダイヤモンドに限らず、立方晶窒化ホウ素(CBN)砥粒であってもよいし、CBN砥粒とダイヤモンドを混合させてもよい。さらには、複数の砥粒15は、炭化ケイ素(SiC)、又は溶融アルミナ(Al)、若しくはこれらを混合したものであってもよい。結合材16は、内部に複数の砥粒15を保持する。結合材16は、ニッケル、鉄、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、青銅等の合金、フエノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂又はセラミック等により形成されている。
【0024】
図1に示すように、充填材19は、砥石10の全域にわたって充填され、複数の加工部11が固定されたメッシュ材30を内部に保持する。各加工部11の先端部が加工面10aに露出した状態で各加工部11を有する各メッシュ材30が充填材19に埋め込まれている。
充填材19は、加工部11よりも外力により変形しやすく、かつ加工時に加工部11よりも摩耗しやすい材質により形成される。充填材19は、例えば、樹脂、セラミック、ゴム等の超弾性材又はスポンジからなる。充填材19は、流体が通過不能に形成されてもよいし、流体が通過可能な多孔質で形成されていてもよい。
【0025】
次に、砥石10の製造方法について説明する。
まず、図3(A)に示すように、メッシュシート素材30Aを用意する。そして、メッシュシート素材30Aに複数の加工部11を結合させる。次に、メッシュシート素材30Aにおける加工部11の周囲の一部を残して切り込み線L1~L3に沿って切り込みを入れる。切り込み線L1~L3は、加工部11を囲む四角形のうち三辺に沿って形成されている。切り込み線L1~L3は、コの字状をなすように形成される。
【0026】
次に、図3(B)に示すように、メッシュシート素材30Aの切り込み線L1~L3に囲まれた部位を加工部11とともに起こすように折り曲げる。具体的には、切り込み線L1~L3の開口部(四角形の残りの一辺)を折り線Lfとして折ることで、メッシュ立設部35が形成される。この際のメッシュ立設部35を折り曲げる角度により、メッシュ立設部35の成す角θが設定される。また、切り込み線L1~L3に囲まれた領域に開口孔31aが形成される。
加工部11毎に切り込みを入れて折り曲げる。これにより、メッシュ材30が完成する。そして、メッシュ材30を充填材19により覆うことにより、砥石10が完成する。
なお、上述した製造方法において、メッシュシート素材30Aに加工部11を結合させる工程とメッシュシート素材30Aに切り込みを入れる工程の順番は反対であってもよい。
【0027】
(効果)
以上、説明した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)被加工物Wを加工する加工面10aを有する砥石10は、メッシュベース部31、及び、メッシュベース部31と一体形成され、メッシュベース部31に対して交差する方向に延びるメッシュ立設部35を有する基材の一例であるメッシュ材30と、メッシュ立設部35に結合され、加工面10aに一部が位置して被加工物Wを加工する加工部11と、を備える。メッシュベース部31には、メッシュ立設部35の根元部Rtの周辺に位置するメッシュ立設部35と同形状の開口孔31aが形成されている。
この構成によれば、メッシュ材30により、砥石10の強度(耐破壊性能)を高めることができる。
また、メッシュベース部31に対するメッシュ立設部35の成す角θを調整することにより、砥石10の厚さを簡単に調整可能である。例えば、成す角θを90°に設定することにより加工部11の寿命を最大化することができる。
【0028】
(2)基材は、メッシュ材30である。
この構成によれば、加工部11がアンカー効果によりメッシュ立設部35に強固に固定される。
【0029】
(3)砥石10は、加工面10aに加工部11を部分的に露出させつつ、メッシュ材30が埋め込まれる充填材19を備える。
この構成によれば、メッシュベース部31が充填材19の芯材となり、砥石10の強度を高めることができる。
特に、充填材19のうち開口孔31aを通過する部位は、充填材19におけるメッシュベース部31の表裏両側の部位同士を連結する。よって、砥石10は開口孔31aにより一体的に構成される。
【0030】
(4)加工面10aは、円形又は円環の平面をなす。メッシュベース部31は、円形又は円環のシート状をなす。メッシュ立設部35は、根元部Rtから遠い先端部に近づくにつれて加工面10aに交わる方向にメッシュベース部31から離れるように延びる。
この構成によれば、砥石10の強度を高めることができる。
【0031】
(5)砥石10の製造方法は、メッシュシート素材30Aの一部に略コの字状に切り込みを入れる工程と、メッシュシート素材30Aの切り込みを入れた領域を立てるように折り曲げることによりメッシュシート素材30Aにメッシュ立設部35と開口孔31aを形成してメッシュ材30を製造する工程と、を含む。
この構成によれば、簡単に、強度の高い砥石10を製造することができる。
【0032】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る砥石について図面を参照して説明する。本実施形態に係る砥石は、外周面で被加工物を加工する回転砥石である。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0033】
図6図7及び図8に示すように、砥石210は、複数の加工部211と、充填材219と、メッシュ材230と、を備える。加工部211、充填材219及びメッシュ材230は、上記第1実施形態の加工部11、充填材19及びメッシュ材30と同様の材質で形成される。砥石210は、略円柱状をなす。砥石210の加工面210aは、砥石210の外周面に形成されている。図7は、加工面210aを平面に展開した図である。
各加工部211のうち加工面210aに露出する部位は、周方向Cに長く、回転軸Oの方向に短い略長方形形状をなす。よって、加工抵抗が小さくなる。
【0034】
複数の加工部211は、加工面210aに仮想的に描かれる複数の螺旋La(図8参照)上に配置されている。複数の螺旋Laは、回転軸Oの方向に並べられている。
【0035】
図8に示すように、メッシュ材230は、開口孔231aが形成されるメッシュベース部231と、複数のメッシュ立設部235と、を備える。メッシュベース部231は、円筒状をなす。メッシュ立設部235は、その根元部Rtから先端部に近づくにつれて径方向Rの外側へ延びる。メッシュ立設部235は、回転軸Oの方向と径方向Rに傾斜するように形成されている。メッシュ立設部235の成す角θは、45°に設定されている。なお、メッシュ立設部235の成す角θは、45°に限らず、例えば、10°~90°であってもよい。
メッシュ立設部235、開口孔231a及び加工部211は、それぞれ菱形をなしている。
【0036】
次に、砥石210の製造方法について説明する。
まず、図9(A)に示すように、メッシュシート素材23Aを用意する。そして、メッシュシート素材23Aに複数の加工部211を結合させる。複数の加工部211は、それぞれ菱形板状をなし、メッシュシート素材23Aに千鳥状に配置されている。
次に、図9(B)に示すように、メッシュシート素材23Aにおける加工部211の周囲の一部を残して切り込み線L4~L6に沿って切り込みを入れる。切り込み線L4~L6は菱形のうち三辺に沿って形成されている。切り込み線L4~L6は、略コの字状をなすように形成される。
【0037】
次に、メッシュシート素材23Aの切り込み線L4~L6に囲まれた部位を加工部211とともに起こすように折り曲げる。具体的には、切り込み線L4~L6の開口部(菱形の残りの一辺)を折り線Lfとして折る。これにより、メッシュ材230が完成する。そして、メッシュ材230を充填材219により覆うことにより、砥石210が完成する。
【0038】
(効果)
以上、説明した第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
加工面210aは、円柱状の砥石210の外周面に形成される。メッシュベース部231は円筒状をなす。メッシュ立設部235は、根元部Rtから遠い先端部に近づくにつれて砥石210の径方向Rの外側に向かうように延びる。
この構成によれば、砥石10の強度を高めることができる。
【0039】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る砥石について図面を参照して説明する。本実施形態に係る砥石はプレート状に構成される。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0040】
図10及び図11に示すように、砥石310は、複数の加工部311と、充填材319と、メッシュ材330と、を備える。加工部311、充填材319及びメッシュ材330は、上記第1実施形態の加工部11、充填材19及びメッシュ材30と同様の材質で形成される。砥石310は、板状、本例では、長方形板状をなす。砥石310の加工面310aは砥石310の表面に形成されている。以下、砥石310の長手方向をX方向と規定し、砥石310の短手方向をY方向と規定する。
【0041】
複数の加工部311は、XとY方向に傾斜する方向に延び、X方向に間隔を持って並べられている。このように、各加工部311が傾斜していることにより、加工時に砥石310が被加工物に対してX方向に移動する場合とY方向に移動する場合とで加工量の差を小さくすることができる。
なお、加工部311は、本例に限らず、XとY方向の何れか一方向に延び、XとY方向の何れか他方向に並んでいてもよい。
また、加工部311は破線状に形成されてもよい。
【0042】
図11に示すように、メッシュ材330は、開口孔331aが形成されるメッシュベース部331と、加工部311が固定される複数のメッシュ立設部335と、を備える。砥石310の製造方法は、上記砥石10,210の製造方法と同様である。
【0043】
(効果)
以上、説明した第3実施形態によれば、以下の効果を奏する。
砥石310は平板状をなす。砥石310の表面が加工面310aである。メッシュ立設部335は、根元部Rtから遠い先端部に近づくにつれて加工面310aに向かうように延びている。
この構成によれば、砥石10の強度を高めることができる。
【0044】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0045】
(変形例)
メッシュベース部31,231,331に対するメッシュ立設部35,235,335の立て方は、上記各実施形態に限らない。例えば、図12に示すように、矩形波状の切り込み線L7をメッシュシート素材43Aに入れる。切り込み線L7に三方向から囲まれた領域432には加工部411が固定されている。そして、メッシュシート素材43Aの切り込み線L7に囲まれた領域432を加工部411とともに折り曲げて起こす。ここで、切り込み線L7の振幅方向はH方向と規定し、この振幅方向に直交する方向はL方向と規定する。このとき、図12の矢印Ar1,Ar2に示すように、L方向に隣り合う2つの領域432は、H方向において互いに反対側に起こされる。これにより、図13に示すように、メッシュ材430が完成する。メッシュ材430は、メッシュベース部431と、領域432に対応するメッシュ立設部435と、を備える。各メッシュ立設部435の上端部は、L方向から見て互いに重なるように位置する。言い換えると、各メッシュ立設部435は、L方向から見て、上下反転した略V字状をなすように交差している。最後に、加工部411とメッシュ材430が充填材に覆われて、砥石が完成する。
【0046】
上記各実施形態において、メッシュ立設部35,235,335,435の形状は適宜変更可能であり、三角形、五角形、六角形等の多角形であってもよいし、円形、楕円形であってもよい。メッシュ立設部35,235,335,435はV字状に折り曲げられていてもよい。この場合、加工部11,211,311,411もV字状をなす。
特に、上記第1実施形態において、メッシュ立設部35は、加工面10aの径方向R全域にわたって延びる長方形シート状をなしていてもよい。
また、上記第2実施形態において、メッシュ立設部235は、加工面210aの回転軸Oの方向全域にわたって延びる長方形シート状をなしていてもよい。
また、加工部11,211,311,411は、メッシュ立設部35,235,335,435の一部に結合されてもよい。また、1つのメッシュ立設部35,235,335,435に複数の加工部11,211,311,411が固定されていてもよい。
【0047】
上記各実施形態において、砥石10,210,310は、グラインダーディスクとして構成されてもよい。
砥石210は、複数の加工部211を周方向に1列に並べた切断砥石であってもよい。
また、各メッシュ立設部35,235,335,435は、互いに部分的に重なり合うようにメッシュベース部31,231,331,431に対して傾斜していてもよい。
【0048】
加工部11,211,311,411は複数の砥粒15を含有していなくてもよい。この場合、加工部11,211,311,411は超硬合金等の金属から構成されてもよい。
充填材19,219,319は省略されてもよい。
メッシュ立設部35,235,335,435には折り目又はシワが形成されていてもよい。これにより、加工部11,211,311,411は、より強固にメッシュ立設部35,235,335,435に固定される。
【0049】
上記各実施形態においては、基板としてメッシュ材30,230,330,430が採用されていたが、基板としてメッシュ材以外、例えば、孔がない基材、例えば、樹脂板又は金属板であってもよい。
【0050】
充填材19,219,319は、ゴム等の超弾性材、又はスポンジにて形成されてもよい。この場合に、特に、成す角θが90°未満(例えば、20°~80°)に設定されることにより、加工部11,211,311,411が被加工物に押されて弾性的に変形しやすい。よって、加工面が被加工物の凹凸に合わせて変形可能となる。
上記第1と第2実施形態が組み合わされて、砥石は、外周面と底面の両方で加工可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10,210,310 砥石
10a,210a,310a 加工面
11,211,311,411 加工部
15 砥粒
16 結合材
19,219,319 充填材
30,230,330,430 メッシュ材
30A,23A,43A メッシュシート素材
31,231,331,431 メッシュベース部
31a,231a,331a 開口孔
35,235,335,435 メッシュ立設部
432 領域
C 周方向
O 回転軸
R 径方向
L1~L7 切り込み線
W 被加工物
La 螺旋
Rt 根元部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13