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特開2024-176181プログラム、情報処理方法および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176181
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/42 20140101AFI20241212BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20241212BHJP
   A63F 13/69 20140101ALI20241212BHJP
   A63F 13/56 20140101ALI20241212BHJP
【FI】
A63F13/42
A63F13/52
A63F13/69
A63F13/56
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094521
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100207619
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 知晴
(72)【発明者】
【氏名】森次 正樹
(72)【発明者】
【氏名】赤松 関羽
(72)【発明者】
【氏名】堀口 蓮
(72)【発明者】
【氏名】木原 和貴
(72)【発明者】
【氏名】平間 章裕
(57)【要約】
【課題】プレイヤに、より趣向性の高いゲームシステムを提供する。
【解決手段】仮想空間状況管理手段82は、スキル発動管理手段80で受け付けられた幻地面オブジェクトに関する入力操作の内容に応じて、幻地面オブジェクトを生成する仮想空間内の位置および時間を決定する。仮想空間状況管理手段82は、決定した位置および時間に応じて、幻地面オブジェクトを仮想空間内の所定の位置に設置する。NPC移動経路管理手段84は、仮想空間状況管理手段82により幻地面オブジェクトが仮想空間内に設置された場合に、対象となるNPCに新たな移動経路の候補を生成する。NPC移動経路管理手段84は、幻地面オブジェクトの効果として新たな移動経路の候補が生成された場合、対象となるNPCの移動経路を優先的に新たな移動経路に変更する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ゲームにかかる特殊オブジェクトに関する入力操作の情報を受け付ける受付手段と、
前記入力操作の内容に応じて、前記ゲームにかかる仮想空間の所定の位置に前記特殊オブジェクトを設置する設置手段と、
前記ゲームの対象となるキャラクタの新たな移動経路を生成する、前記特殊オブジェクトの効果を付与し、前記ゲームの進行を制御する制御手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記制御手段は、対象となる前記キャラクタ以外のキャラクタに、前記特殊オブジェクトの効果を付与することを禁止する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記制御手段は、所定の条件が満たされた場合に、対象となる前記キャラクタに付与されている前記特殊オブジェクトの効果を解除する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記制御手段は、対象となる前記キャラクタが新たに生成された移動経路において、前記ゲームの仮想空間で本来設計された接地面が存在しない領域を移動する場合、前記キャラクタがゲーム内において落下するゲーム処理を実行する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記制御手段は、対象となる前記キャラクタが前記特殊オブジェクトから所定の範囲内に存在する場合、対象となる前記キャラクタに、前記特殊オブジェクトの効果を付与することを禁止する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記制御手段が新たな移動経路を生成した場合に、前記キャラクタの移動経路を優先的に新たな移動経路に変更する移動経路変更手段としてさらに機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
ゲームにかかる特殊オブジェクトに関する入力操作の情報を受け付ける受付ステップと、
前記入力操作の内容に応じて、前記ゲームにかかる仮想空間の所定の位置に前記特殊オブジェクトを設置する設置ステップと、
前記ゲームの対象となるキャラクタの新たな移動経路を生成する、前記特殊オブジェクトの効果を付与し、前記ゲームの進行を制御する制御ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
ゲームにかかる特殊オブジェクトに関する入力操作の情報を受け付ける受付手段と、
前記入力操作の内容に応じて、前記ゲームにかかる仮想空間の所定の位置に前記特殊オブジェクトを設置する設置手段と、
前記ゲームの対象となるキャラクタの新たな移動経路を生成する、前記特殊オブジェクトの効果を付与し、前記ゲームの進行を制御する制御手段と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、仮想空間を利用したゲームでは、ゲームの面白さを向上させることなどを目的に様々な仕様が試みられてきた。
そのうちの一つの方法として、仮想空間内の任意の位置にオブジェクト(壁など)を生成するスキルを有するキャラクタが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】『IdentityV 第五人格』公式チャンネル[ハンター]「狂眼-バルク」,[online],[令和5年5月9日検索],インターネット<https://www.youtube.com/watch?v=kfditi9mirM>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の非特許文献1に記載の技術を含む従来技術の多くは、仮想空間内に通常の物質としてのオブジェクトを生成させるものである。これは、ゲームとしての仕様の一つとしては有用であるものの、ゲームの面白さを向上させるために必ずしも十分とは言えない。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、プレイヤに、より趣向性の高いゲームシステムを提供することを目的とする。
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の側面は、
コンピュータを、
ゲームにかかる特殊オブジェクトに関する入力操作の情報を受け付ける受付手段と、
前記入力操作の内容に応じて、前記ゲームにかかる仮想空間の所定の位置に前記特殊オブジェクトを設置する設置手段と、
前記ゲームの対象となるキャラクタの新たな移動経路を生成する、前記特殊オブジェクトの効果を付与し、前記ゲームの進行を制御する制御手段と、
として機能させるプログラムである。
【0007】
また、第1の側面において、前記制御手段は、対象となる前記キャラクタ以外のキャラクタに、前記特殊オブジェクトの効果を付与することを禁止することができる。
【0008】
また、第1の側面において、前記制御手段は、所定の条件が満たされた場合に、対象となる前記キャラクタに付与されている前記特殊オブジェクトの効果を解除することができる。
【0009】
また、第1の側面において、前記制御手段は、対象となる前記キャラクタが新たに生成された移動経路において、前記ゲームの仮想空間で本来設計された接地面が存在しない領域を移動する場合、前記キャラクタがゲーム内において落下するゲーム処理を実行することができる。
【0010】
また、第1の側面において、前記制御手段は、対象となる前記キャラクタが前記特殊オブジェクトから所定の範囲内に存在する場合、対象となる前記キャラクタに、前記特殊オブジェクトの効果を付与することを禁止することができる。
【0011】
また、第1の側面において、本プログラムは、前記制御手段が新たな移動経路を生成した場合に、前記キャラクタの移動経路を優先的に新たな移動経路に変更する移動経路変更手段としてさらに機能させることができる。
【0012】
また、本発明の第2の側面は、
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
ゲームにかかる特殊オブジェクトに関する入力操作の情報を受け付ける受付ステップと、
前記入力操作の内容に応じて、前記ゲームにかかる仮想空間の所定の位置に前記特殊オブジェクトを設置する設置ステップと、
前記ゲームの対象となるキャラクタの新たな移動経路を生成する、前記特殊オブジェクトの効果を付与し、前記ゲームの進行を制御する制御ステップと、
を含む情報処理方法である。
【0013】
また、本発明の第3の側面は、
ゲームにかかる特殊オブジェクトに関する入力操作の情報を受け付ける受付手段と、
前記入力操作の内容に応じて、前記ゲームにかかる仮想空間の所定の位置に前記特殊オブジェクトを設置する設置手段と、
前記ゲームの対象となるキャラクタの新たな移動経路を生成する、前記特殊オブジェクトの効果を付与し、前記ゲームの進行を制御する制御手段と、
を備える情報処理装置である。
【0014】
本発明の一態様の情報処理方法および情報処理装置も、本発明の一態様のプログラムに対応する情報処理方法または情報処理装置として提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プレイヤに、より趣向性の高いゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム端末およびサーバの機能的構成の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムにかかるゲームの仕様の一例を説明するためのイメージ図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム端末に表示されるゲーム画像の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム端末に表示されるゲーム画像の一例を示す図であり、図5の例とは異なる例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム端末で実行される処理の流れの一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム端末に表示されるゲーム画像の一例を示す図であり、図5および図6の例とは異なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態]
まず、本発明の実施形態を説明するに先立ち、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム(以下、「本システム」と呼ぶ)の適用対象となるゲーム(以下、「本ゲーム」と呼ぶ)について簡単に説明する。
本ゲームは、例えば、アクションRPG(Role Playing Game)と呼ばれる種別のゲームである。本ゲームでは、ゲームの仮想空間内で設定されたイベントや敵のNPC(Non Player Character)との戦闘などを繰り返し、自身の操作するキャラクタ(以下、「プレイヤキャラクタ」と呼ぶ)を成長させて、最終的なゲームのクリアを目指していく。特に本ゲームでは、仮想空間内に配置された敵キャラクタと武器や魔法(スキル)を駆使して戦い、勝利することで、ゲームを進行する。
【0018】
また、本ゲームにおいて、プレイヤは、ゲーム内のプレイヤキャラクタの性能や性質などを規定するための職業を選択することができる。そのうちの一つが、「幻術士」である。幻術士は、敵のNPCを直接的に攻撃する手段を多く有さないものの、様々なスキルを利用することで敵のNPCの行動を変更することができる。プレイヤはこのような幻術士の性能をうまく活用することで、敵のNPCを倒し、ゲームを進行することができる。本実施形態では、プレイヤが、この幻術士の職業を選択した場合に、ゲーム内で行うことができる機能や特性、スキルなどを中心に説明する。
【0019】
<概要の説明>
図1は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本システムは、ゲーム端末1と、サーバ2とを含み構成される。ゲーム端末1と、サーバ2とは、インターネットなどの所定のネットワークNを介して相互に接続されている。ただし、ネットワークNは必須の構成要素ではなく、例えば、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、LAN(Local Area Network)などが利用されてもよい。なお、以下、単に「画像」と呼ぶ場合には、「動画像」と「静止画画像」などの任意の形式の画像を含むものとする。
【0021】
ゲーム端末1は、本ゲームのプレイを希望するプレイヤにより使用される。ゲーム端末1は、汎用的な家庭用ゲーム機、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレットなどで構成される。ゲーム端末1は、本ゲームの進行に必要となる各種処理を実行する。
【0022】
サーバ2は、本システムの管理者などにより管理される。サーバ2は、汎用的なPCなどで構成される。ゲーム端末1などと通信を行いながら、本ゲームの進行に必要となる各種情報の保存や管理を実行する。
【0023】
<ハードウェア構成>
図2は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0024】
図2に示すように、ゲーム端末1は、制御部11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0025】
制御部11は、CPU、GPU、半導体メモリを含むマイクロコンピュータ等により構成される。制御部11は、ROM12に記録されているプログラム、または、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、制御部11が各種の処理を実行する上で必要な情報等も適宜記憶される。
【0026】
制御部11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ20が接続されている。
【0027】
出力部16は、ディスプレイまたはスピーカなどに対して、画像情報または音声情報などを出力する。出力部16が出力した画像情報や音声情報は、ディスプレイやスピーカなどから、画像や音声として人が認識可能な状態で出力される。
【0028】
入力部17は、例えば、センサ機能などが備えられたゲーム用のコントローラであり、プレイヤの入力操作に応じて、各種情報を入力する。
【0029】
記憶部18は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成され、各種情報を記憶する。例えば、記憶部18には、ゲームの進行に必要となる各種ゲームプログラム、セーブデータ、アカウント情報等が格納されている。
【0030】
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して、他のハードウェア等との間で相互に行う通信等を制御する。
【0031】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。リムーバブルメディア31には、ゲームを実行するための各種プログラム等が格納される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種情報も、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0032】
ここで、サーバ2のハードウェア構成は、ゲーム端末1のハードウェア構成と基本的に同様とすることができるため、説明を省略する。このような各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、ゲーム端末1およびサーバ2における各種処理の実行が可能となる。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム端末およびサーバの機能的構成の一例を示す図である。
【0034】
図3に示すように、ゲーム端末1の制御部11は、各種プログラムなどを実行することにより、ゲーム処理実行手段60と、入力操作受付手段62と、ゲーム進行管理手段64として機能する。
【0035】
ゲーム処理実行手段60は、ゲームに関する各種処理を実行する。
具体的にゲーム処理実行手段60は、プレイヤなどの各種入力操作に従い、ゲーム情報に含まれる仮想のゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどを図示せぬ記憶部から読み出すなどして、ゲームプログラムを実行しつつ、ゲームに関する2次元または3次元の画像や音声などを生成する。すなわち、ゲーム処理実行手段60は、プレイヤによる操作指示の結果を生成し、管理することで、ゲームの進行を制御する。
また、ゲーム処理実行手段60は、適宜、ゲームに関する各種情報をサーバ2に送信する。
【0036】
入力操作受付手段62は、プレイヤからのゲームに関する入力操作を受け付ける。
なお、入力操作受付手段62が受け付ける入力操作には、入力操作が行われたボタンやアナログスティックなどの種別に関する情報や押下された回数に関する情報などが含まれる。
【0037】
ゲーム進行管理手段64は、各種ゲーム処理に伴うゲームの進行を管理する。具体的にゲーム進行管理手段64には、スキル発動管理手段80と、仮想空間状況管理手段82と、NPC移動経路管理手段84とが設けられている。
スキル発動管理手段80は、入力操作受付手段62で受け付けられた入力操作のうち、ゲームにかかる特殊オブジェクト(以下、「幻地面オブジェクト」と呼ぶ)に関する入力操作を受け付ける。
仮想空間状況管理手段82は、前記入力操作の内容に応じて、前記ゲームにかかる仮想空間の所定の位置に前記特殊オブジェクトを設置する。具体的に仮想空間状況管理手段82は、スキル発動管理手段80で受け付けられた幻地面オブジェクトに関する入力操作の内容に応じて、幻地面オブジェクトを生成する仮想空間内の位置(x,y,z座標など)および時間(秒数など)を決定し、幻地面オブジェクトを仮想空間内の所定の位置に設置する。
NPC移動経路管理手段84は、前記ゲームの対象となるキャラクタの新たな移動経路を生成する、前記特殊オブジェクトの効果を付与し、前記ゲームの進行を制御する。具体的にNPC移動経路管理手段84は、仮想空間状況管理手段82により幻地面オブジェクトが仮想空間内に設置された場合に、対象となるNPCに複数の新たな移動経路の候補を生成する。そして、NPC移動経路管理手段84は、幻地面オブジェクトの効果として新たな移動経路の候補が生成された場合、新たに生成された移動経路の候補のうちから優先的に対象となるNPCの新たな移動経路を選択する。なお、幻地面オブジェクトの効果として新たな移動経路の候補が生成される状況は、図6等を参照しながら後述する。
【0038】
図3に示すように、サーバ2の制御部100は、各種プログラムなどを実行することにより、ゲーム情報管理手段120が機能する。
【0039】
サーバ2のゲーム情報管理手段120は、ゲーム端末1によるゲームの進行に必要となる各種情報を管理し、各種処理を実行する。具体的に例えば、ゲーム情報管理手段120は、ゲーム端末1から送信されてきたアカウント情報に対する認証、ゲーム端末1からの各種ゲーム情報のダウンロード要求に対するゲーム情報の配信などを実行する。
【0040】
ここで、図4を参照しながら、本ゲームにおけるNPC(敵キャラクタ)の索敵行動について簡単に説明する。
まず、本ゲームのNPCは、簡単に言うと仮想空間内を所定の条件で移動する機能と、NPCの存在する場所から所定の範囲内に攻撃対象(例えば、プレイヤキャラクタ)が存在すると攻撃対象として認識し行動パターンを変更する機能とを有している。
図4の例では、NPCであるキャラクタN1は、通常の行動パターンとして、仮想空間内のエリアE1,エリアE2,エリアE3,エリアE4を移動するという索敵経路が設定されている。また、キャラクタN1には、攻撃対象を認識するための視野の概念が設定されている。例えば、キャラクタN1は、自身の前方方向に一定の距離以内に攻撃対象(例えば、プレイヤキャラクタ)が存在する場合に、その攻撃対象に対する攻撃行動に行動パターンを変更する。図4の例では、キャラクタN1は、エリアE4において前方方向にプレイヤキャラクタであるキャラクタP1の存在を判定したため、通常の索敵経路での索敵を中断し、攻撃対象であるキャラクタP1への攻撃行動に移行している。本ゲームにおける幻地面オブジェクトは、このようなNPCキャラクタの行動パターンに対して、様々な影響を与えることで、プレイヤの取り得る選択肢の幅を広げるものである。
ただし、このようなNPCの索敵行動のパターンは例示であり、限定されない。本システムは、各種各様のゲームの態様に合わせて、NPCの索敵行動のパターンや原理は任意の方法を採用することができる。
【0041】
続いて、図5および図6を参照しながら、幻地面オブジェクトを生成した場合の実際のゲーム画像の変化の一例を紹介する。
図5および図6は、いずれも本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム端末に表示されるゲーム画像の一例を示す図である。なお、図5および図6は、例えば、図4の状況などを経て敵のNPCが攻撃対象であるプレイヤキャラクタを認識後のゲーム状況である。
【0042】
図5は、キャラクタUC(プレイヤキャラクタ)がキャラクタUT(NPC)の視界内に侵入し、キャラクタUCがキャラクタUTの攻撃対象として認識されてしまった直後の状況を示している。
図5の例において、キャラクタUTは、移動経路をキャラクタUCに直線的に向かう経路に変更し、キャラクタUCが攻撃可能な距離に近づき次第、攻撃動作を行おうとしている状況である。この場合、キャラクタUCは、キャラクタUTと再び距離を取る(逃げる)か、キャラクタUTの攻撃動作に備えて何らかのアクション(戦う)を行うのかを選択するのが通常である。そのうちの選択肢の一つとして、キャラクタUCが行えるのが幻地面オブジェクトの生成である。
【0043】
これに対して、図6は、キャラクタUCがスキルを発動し、キャラクタUTとキャラクタUCの移動経路の間に幻地面オブジェクトを生成した直後の状況を示している。図6に示すように、キャラクタUTとキャラクタUCの間には幻地面オブジェクトが生成されたため、対象であるキャラクタUTには複数の新たな移動経路が生成されている。
ここで、図6の例において、幻地面オブジェクトの効果で新たな移動経路が生成された場合には、原則として、生成された多数の移動経路のうち攻撃対象であるキャラクタUCに最短で移動することができる移動経路がキャラクタUTの移動経路として優先的に選択される。図6の例では、キャラクタUTに新たに選択された移動経路の一例が太線により表示されている。
このように、幻地面オブジェクトの影響を受けると、キャラクタUTは、新たに選択された移動経路で移動しなければならず、通常通り自由に移動できる場合と比較して、攻撃対象であるキャラクタUCのもとに移動するまでに時間を要することになる。キャラクタUCは、この時間を利用することで他のアクション等を行い、戦いを有利に進めることが可能となる。
【0044】
図7は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム端末で実行される処理の流れの一例を示す図である。
【0045】
ステップS1において、ゲーム端末1のスキル発動管理手段80は、入力操作受付手段62で受け付けられた入力操作のうち、ゲームにかかる幻地面オブジェクトに関する入力操作を受け付ける。
【0046】
ステップS2において、仮想空間状況管理手段82は、スキル発動管理手段80で受け付けられた幻地面オブジェクトに関する入力操作の内容に応じて、幻地面オブジェクトを生成する仮想空間内の位置(x,y,z座標など)および時間(秒数など)を決定する。
【0047】
ステップS3において、仮想空間状況管理手段82は、決定した位置および時間に応じて、幻地面オブジェクトを仮想空間内の所定の位置に設置する。
【0048】
ステップS4において、NPC移動経路管理手段84は、仮想空間状況管理手段82により幻地面オブジェクトが仮想空間内に設置された場合に、対象となるNPCに新たな移動経路の候補を生成する。
【0049】
ステップS5において、NPC移動経路管理手段84は、幻地面オブジェクトの効果として新たな移動経路の候補が生成された場合、対象となるNPCの移動経路を優先的に新たな移動経路に変更する。これにより、幻地面オブジェクト設置処理は終了する。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
【0051】
[他の実施形態]
ここで、図8を参照しながら、幻地面オブジェクトの応用的な利用の一例を説明する。図8は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム端末に表示されるゲーム画像の一例を示す図であり、図5および図6の例とは異なる例を示す図である。
【0052】
図8の例では、キャラクタUCとキャラクタUTとが表示され、それぞれが立つ崖の間に、キャラクタUCにより幻地面オブジェクトが設置された状況が示されている。幻地面オブジェクトはこのように本来ゲーム内の地面が存在しないような状況であっても、疑似的に幻地面オブジェクトを設置することもできる。
図8の例では、キャラクタUTを対象に幻地面オブジェクトの存在により、攻撃対象であるキャラクタUCに直線的に移動する移動経路が新たに生成されている。なお、図8の例では、キャラクタUTが幻地面オブジェクトの上に移動した時点で、本来の地面が存在しないことから、そのまま崖の下に落下する仕様が採用されている。
なお、本ゲームは、例えば、キャラクタが崖などから安易に落下しないようにする特殊な動作処理(例えば、崖際で一度停止する、留まる動作を自動的に実行するなど)が施されている仕様を備えていてもよい。そして、本ゲームは、例えば図8の例のように、崖の上など(地面がない場所など)に幻地面オブジェクトが設置された場合に、例外的にそのような処理が無効となる仕様を備えていてもよい。すなわち、本ゲームにおいては、通常、キャラクタが崖の上など(地面がない場所など)に移動することはできないが、崖の上など(地面がない場所など)に幻地面オブジェクトが設置された場合にのみキャラクタが崖の上など(地面がない場所など)に移動でき、そのキャラクタは結果的に崖の下などに落下して、ダメージを受けるまたは死亡するなどの影響を受けることになる。
【0053】
また、図8の例のさらなる変形例として、本システムは、以下のような仕様を備えていてもよい。
(1)本システムは、例えば、接触したキャラクタを死亡させる地面(例えば、池や湖など)の上に設置した幻地面オブジェクトの上に対象のキャラクタ(例えば、キャラクタUT)が移動した場合、対象のキャラクタが水中に落下する(対象のキャラクタがダメージを受ける、死亡するなど)仕様を備えていてもよい。 (2)本システムは、例えば、接触したキャラクタに所定の影響を与える地面(例えば、接触したキャラクタにダメージを与える毒沼、電気沼、溶岩地帯など)の上に設置した幻地面オブジェクトの上に対象のキャラクタ(例えば、キャラクタUT)が移動した場合、対象のキャラクタが毒沼に落下する(対象のキャラクタが毒沼の影響を受ける)仕様を備えていてもよい。
【0054】
また、上述の実施形態において、本システムは、幻地面オブジェクト生成時に位置および時間を設定するものとして説明したが、限定されない。本システムは、例えば、生成するオブジェクトの個数,大きさなどを合わせて設定してもよい。
また、本システムは、生成できる幻地面オブジェクトの個数を設定し、生成した幻地面オブジェクトが上限値に達した場合、古い幻地面オブジェクトを消滅させる仕様を備えていてもよい。
【0055】
また、上述の実施形態において、幻地面オブジェクトは、スキルの対象となったNPCのみに影響を与えることを前提として説明したが、限定されない。本システムは、幻地面オブジェクトの効果をスキルの対象となったNPC以外のNPCにも影響を与える仕様を備えていてもよい。
【0056】
また、上述の実施形態において、本システムは、幻地面オブジェクトの効果として、対象のNPCに対して、新たな移動経路を生成し、新たに生成した移動経路を移動経路として選択させるという効果を与えるものとして説明したが、限定されない。本システムは、上述の効果の一部のみを幻地面オブジェクトの効果として採用してもよい。さらに言えば、本システムは、上述の効果以外の他の任意のゲーム内の効果を、幻地面オブジェクトの効果として採用してもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、所定の条件が満たされた場合に、幻地面オブジェクトの効果を解除する仕様を備えていてもよい。具体的に本システムは、例えば、以下のような条件が満たされた場合、幻地面オブジェクトの効果が解除される仕様を備えていてもよい。
(1)例えば、本システムは、幻地面オブジェクトを生成したプレイヤキャラクタが、幻地面オブジェクトから一定の距離に存在しなくなった場合、幻地面オブジェクトの効果が解除される仕様を備えていてもよい。
(2)例えば、本システムは、幻地面オブジェクトを生成したプレイヤキャラクタが、他のNPCの攻撃などを受けた場合、幻地面オブジェクトの効果が解除される仕様を備えていてもよい。
(3)例えば、本システムは、幻地面オブジェクトが生成されて一定の時間が経過した場合、自動的に幻地面オブジェクトの効果が解除される仕様を備えていてもよい。
【0058】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、幻地面オブジェクトを設置した位置にすでにNPCが存在していた場合、対象となるNPCに幻地面オブジェクトの影響を与えない仕様を備えていてもよい。
なお、この場合、本システムは、対象のNPCが幻地面オブジェクトの内部から抜け出した場合、通常の幻地面オブジェクトの影響を受ける仕様を採用してもよい。
【0059】
また、上述の実施形態(特に図8の実施形態)において、本来地面が存在しない状況で幻地面オブジェクトの上に移動すると、対象のキャラクタは落下するものとして説明したが、限定されない。本システムは、例えば、対象のキャラクタが幻地面オブジェクトをそのまま移動できる仕様を採用してもよい。
【0060】
また、上述の実施形態(特に図6の実施形態)において、対象のキャラクタ(例えば、キャラクタUT)は、幻地面オブジェクトの効果で新たに生成された移動経路を優先的に選択するものとして説明したが、限定されない。対象のキャラクタ(例えば、キャラクタUT)は、新たに生成された移動経路と通常の移動経路を同程度の優先度で選択してもよい(最短経路を選択する)。
【0061】
また、上述の実施形態(特に図6の実施形態)において、対象のキャラクタ(例えば、キャラクタUT)は、幻地面オブジェクトの効果で新たに生成された移動経路のうち最短経路を優先的に選択するものとして説明したが、限定されない。例えば、新たに生成された移動経路がランダムに選択される、所定の基準により選択されるなどでもよい。
【0062】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、幻地面オブジェクトを設置する場所に応じて、幻地面オブジェクトの形状を変化させる仕様を備えていてもよい。具体的に例えば、設置された地面の模様を統一する(例えば、草原に設置するなら草地の模様、砂地に設置するなら砂地の模様)、川や湖に設置する場合は橋、崖に設置する場合は岩など、本システムは、設置する場所やゲームの世界観等に応じて、設置する幻地面オブジェクトの形状を変化させてもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本ゲームは、例えば、プレイステーション(登録商標)などの家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)などの携帯用のゲーム機、業務用に設計された各種ゲーム機、もしくは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの電子機器などである任意のハードウェア(例えば、ゲーム端末1など)により実行されてもよい。
【0064】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムにかかるゲームの内容は限定されない。本システムは、例えば、FPS(First Person Shooter)、TPS(Third Person Shooter)、RPG(Role Playing Game)、アクションゲーム、シミュレーションゲーム、スポーツゲーム、カードゲーム、バトルロワイヤル(対称型、非対称型)、MOBA(Multiplayer online battle arena)、音楽ゲーム、格闘ゲーム、クイズゲームなどのあらゆるゲームに適用されてもよい。
【0065】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図3などの機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは図3などの例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、図3などの例に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成されてもよいし、ソフトウェア単体で構成されてもよいし、それらの組み合わせで構成されてもよい。
【0066】
また、本システムを構成する各種ハードウェアの数や使用者は任意であるし、他のハードウェアなどを含み構成されてもよい。
【0067】
また、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータなどにネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0068】
また、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータであってもよい。
すなわち、例えば、上述の実施形態における各種ハードウェアには、任意のコンピュータ、任意のスマートフォンなどの携帯端末、任意のゲーム機などが自由に採用されてもよい。さらに言えば、各種入力部や各種出力部などの種別や内容についても任意の組み合わせが採用されてもよい。
【0069】
また、このようなプログラムを含む記録媒体は、プレイヤなどにプログラムを提供するために装置本体とは別に提供される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でプレイヤに提供される記録媒体などで構成されてもよい。
【0070】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段などより構成される全体的な装置を意味している。
【0071】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0072】
以上をまとめると、本発明適用される情報処理システムは、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
コンピュータを、
ゲームにかかる特殊オブジェクトに関する入力操作の情報を受け付ける受付手段(例えば、スキル発動管理手段80)と、
前記入力操作の内容に応じて、前記ゲームにかかる仮想空間の所定の位置に前記特殊オブジェクトを設置する設置手段(例えば、仮想空間状況管理手段82)と、
前記ゲームの対象となるキャラクタの新たな移動経路を生成する、前記特殊オブジェクトの効果を付与し、前記ゲームの進行を制御する制御手段(例えば、NPC移動経路管理手段84)と、
として機能させるプログラムであれば足りる。
【0073】
すなわち、スキル発動管理手段80は、受付手段として機能する。
仮想空間状況管理手段82は、設置手段として機能する。
NPC移動経路管理手段84は、制御手段として機能する。
【0074】
<効果>
これにより、プレイヤはより、選択肢が広くゲーム性の高いゲームを楽しむことができる。
【符号の説明】
【0075】
1 ゲーム端末
11 制御部
60 ゲーム処理実行手段
62 入力操作受付手段
64 ゲーム進行管理手段
80 スキル発動管理手段
82 仮想空間状況管理手段
84 NPC移動経路管理手段
2 サーバ
100 制御部
120 ゲーム情報管理手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8