(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176188
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】外壁材の接合部材
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20241212BHJP
E04B 1/68 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
E04F13/08 Y
E04B1/68 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094536
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】523198121
【氏名又は名称】有限会社アップライト工業
(74)【代理人】
【識別番号】100185476
【弁理士】
【氏名又は名称】宮下 桂輔
(72)【発明者】
【氏名】平野 利一
【テーマコード(参考)】
2E001
2E110
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001DA02
2E001EA05
2E001EA08
2E001FA04
2E001FA52
2E001FA63
2E001FA71
2E001GA55
2E001GA60
2E001HB02
2E001HB03
2E001HB04
2E110AA13
2E110AA14
2E110AA15
2E110AA41
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA12
2E110CA07
2E110CA13
2E110CA17
2E110CC02
2E110CC23
2E110DA10
2E110DC02
2E110DC06
2E110DC12
2E110DD12
2E110GA33W
2E110GB02Z
2E110GB03Z
2E110GB05Z
2E110GB06Z
2E110GB23W
2E110GB42Z
(57)【要約】
【課題】
安価且つ簡易に、高度の耐久性を有する、外壁材の接合部材を提供することを目的とする。
【解決手段】
被覆部2と、一方側端部が被覆部2と接続する仕切板部3と、仕切板部3の他方側端部から垂直方向に延出する挟持板部4とを備え、被覆部2の一方側端部に折返部5を設けるる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆部(2)と、
一方側端部が前記被覆部(2)と接続する仕切板部(3)と、
前記仕切板部(3)の他方側端部から垂直方向に延出する挟持板部(4)と、を備え、
前記被覆部(2)の一方側端部に折返部(5)が設けられていることを特徴とする外壁材の接合部材(1)。
【請求項2】
前記外壁材が窯業系サイディングであり、
前記接合部材(1)が外装用部材であることを特徴とする請求項1に記載の外壁材の接合部材(1)。
【請求項3】
前記被覆部(2)が略平板状であり、
前記仕切板部(3)が、前記被覆部(2)の幅方向中央位置と垂直方法に接続していることを特徴とする請求項1又は2に記載の外壁材の接合部材(1A)。
【請求項4】
前記被覆部(2)が略平板を山折りした形状であり、
前記仕切板部(3)が、前記被覆部(2)の折返部(5)が設けられていない側と垂直方法に接続していることを特徴とする請求項1又は2に記載の外壁材の接合部材(1B)。
【請求項5】
前記被覆部(2)が略平板を谷折りした形状であり、
前記仕切板部(3)が、前記被覆部(2)の折返部(5)が設けられていない側と垂直方法に前記被覆部(2)の谷折りの底部と接続していることを特徴とする請求項1又は2に記載の外壁材の接合部材(1C)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の外壁を構成する、左右に隣接する外壁材同士を接合する部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の外壁は、複数の板状の外壁材を上下左右に接合することで構成されている。そして、外壁材は、外気温度、日照時間、雨水、風等の天候条件や経年劣化によって膨張又は収縮してしまうといわれている。そのため、従来より、上下左右に隣接する外壁材間には目地と呼ばれる間隙10mm程度を設けて外壁材が接合されている。ここで、上下に隣接する外壁材間の目地は横方向に延在することから横目地と称され、左右に隣接する外壁材間の目地は縦方向に延在することから縦目地と称されることがある。
本発明の接合部材は、縦目地に相当する部分に配置される部材である。
【0003】
例えば、特許文献1は、柱側面に、壁面の下地防水シートが貼付けられ、該下地防水シート上の柱側面に対応する位置に、幅方向両端が柱側面より幅狭位置で壁面外面側に折り返された粘着防水シートが前記柱の外面を覆うように縦方向に貼付けられ、該粘着防水シート面上で、壁面外面を形成する壁板が突き合わされ、かつ前記粘着防水シートより外側の柱側面に前記壁板が釘打ち固定されていると共に前記壁板と壁板との接合面には底面に非粘着層が形成された目地状凹溝が形成され、該目地状凹溝内には、前記壁板端面間をシールする弾性シーリング材が充填されてなることを特徴とする外壁材の縦目地防水接続構造を開示している。
【0004】
特許文献1は、縦目地からの浸水を防止するための構造に関するものであるが、1つの防水手段として、縦目地の屋外側表面にシーリング材を充填している。なお、特許文献1に限らず、防水を目的として、目地の屋外側表面にシーリング材を施すことは、従来より広く行われている。
【0005】
しかし、シーリング材は、耐久性に劣り、一般にはシーリング材のメーカーの保証期間が3年間程度に設定されることが多く、仮に、それより長持ちしたとしても、せいぜい7~10年間程度であり、建造物自体の耐久性に比して顕著に短いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の通り、従来より、外壁材が膨張・収縮するおそれがあることから、隣接する外壁材間には所定の間隙、例えば、10mm程度の目地を設けて外壁材同士を接合することが行われているが、本発明者は、その経験より、外壁材の膨張・収縮が認められる場合も、その膨張量・収縮量は極めて軽微であることから、敢えて10mm程度の大きな目地の間隙を設けずに外壁材同士を接合させても建造物の外壁としての機能や外観等に何ら影響を及ぼさないことを見出している。この知見に基づいて、本発明は、安価且つ簡易に、高度の耐久性を有する、外壁材の接合部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様の外壁材の接合部材(1)は、被覆部(2)と、一方側端部が前記被覆部(2)と接続する仕切板部(3)と、前記仕切板部(3)の他方側端部から垂直方向に延出する挟持板部(4)と、を備え、前記被覆部(2)の一方側端部に折返部(5)が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様の外壁材の接合部材(1)は、前記外壁材が窯業系サイディングであり、前記接合部材(1)が外装用部材であることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様の外壁材の接合部材(1A)は、前記被覆部(2)が略平板状であり、前記仕切板部(3)が、前記被覆部(2)の幅方向中央位置と垂直方法に接続していることを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の態様の外壁材の接合部材(1B)は、前記被覆部(2)が略平板を山折りした形状であり、前記仕切板部(3)が、前記被覆部(2)の折返部(5)が設けられていない側と垂直方法に接続していることを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の態様の外壁材の接合部材(1C)は、前記被覆部(2)が略平板を谷折りした形状であり、前記仕切板部(3)が、前記被覆部(2)の折返部(5)が設けられていない側と垂直方法に前記被覆部(2)の谷折りの底部と接続していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、被覆部が縦目地部分を覆うことから、縦目地にシーリング材を露出させることがないため、シーリング材の劣化による建造物の防水性や美感の低下を長期間に亘り防止することが可能となる。
また、仕切板部を介して、左右に隣接する外壁材を接合させることから、従来のように10mmの大きな幅の目地の間隙を設ける必要がないため、外壁材を柱に固定するための固定具が柱及び柱と外壁材間に介在させる下地材の端の方に寄り過ぎたり、固定具が外壁材の端の方に寄り過ぎたりすることによる外壁材と柱・下地材との固定力の低下や外壁材が割れてしまうという弊害を防止することが可能となる。
また、被覆部に折返部を設けたことから、本発明の接合部材の強度を向上させるとともに、万一、折返部側から雨水が侵入した場合でも、折返部の厚みにより、侵入した水分を下方に誘導して排水することが可能となる。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、外壁材が窯業系サイディングであり、接合部材が外装用部材であることから、日照、雨水等に晒される劣悪・過酷な環境のもとでも、建造物の内部に雨水が侵入することや接合部材の外観の美感の低下を長期間防止することが可能となる。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、上述の本発明の効果を、同一面上で左右に隣接する外壁材間において有効に奏することが可能となる。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、上述の本発明の効果を、出隅部の左右に隣接する外壁材間において有効に奏することが可能となる。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、上述の本発明の効果を、入隅部の左右に隣接する外壁材間において有効に奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第一の実施の形態の接合部材の使用例を示す図である。
【
図2】本発明の第二の実施の形態の接合部材の使用例を示す図である。
【
図3】本発明の第三の実施の形態の接合部材の使用例を示す図である。
【
図4】本発明の第一の実施の形態の接合部材の一例を示す正面
図A・背面
図Bである。
【
図5】本発明の第一の実施の形態の接合部材の一例を示す拡大平面図である。
【
図6】本発明の第一の実施の形態の接合部材の施工例の一例を示す模式図である。
【
図7】本発明の第二の実施の形態の接合部材の一例を示す正面
図A・背面
図Bである。
【
図8】本発明の第二の実施の形態の接合部材の一例を示す拡大平面図である。
【
図9】本発明の第二の実施の形態の接合部材の施工例の一例を示す模式図である。
【
図10】本発明の第三の実施の形態の接合部材の一例を示す正面
図A・背面
図Bである。
【
図11】本発明の第三の実施の形態の接合部材の一例を示す拡大平面図である。
【
図12】本発明の第三の実施の形態の接合部材の施工例の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。
【0020】
図1乃至3は、本発明の外壁材の接合部材1の使用例を示す図である。
図1乃至3では、左右の2枚の外壁材6しか図示していないが、通常、外壁材6は、上下及び左右に複数の外壁材6が接合されて、建造物の外壁を構成している。
本発明の外壁材の接合部材1は、
図1乃至3に示すように、左右に隣接する外壁材6を接合させるための部材である。
図1は、本発明の第一の実施の形態の接合部材1Aの一例の使用例を示す図であり、同一面の左右に隣接する2枚の外壁材6間に配置される接合部材1Aの一例の使用例を示している。
図2は、本発明の第二の実施の形態の接合部材1Bの一例の使用例を示す図であり、出隅部の左右に隣接する2枚の外壁材6間に配置される接合部材1Bの一例の使用例を示している。
図3は、本発明の第三の実施の形態の接合部材1Cの一例の使用例を示す図であり、入隅部の左右に隣接する2枚の外壁材6間に配置される接合部材1Cの一例の使用例を示している。
【0021】
図4及び5は、本発明の第一の実施の形態の接合部材1Aの一例の使用例を示す図であり、
図7及び8は、本発明の第二の実施の形態の接合部材1Bの一例の使用例を示す図であり、並びに、
図10及び11は、本発明の第三の実施の形態の接合部材1Cの一例の使用例を示す図である。
【0022】
図4、5、7、8、10及び11に示すように、接合部材1は、被覆部2と、一方側端部が被覆部2と接続する仕切板部3と、仕切板部3の他方側端部から垂直方向に延出する挟持板部4と、を備え、被覆部2の一方側端部に折返部5が設けられている。
【0023】
図5、8及び11に示すように、接合部材1は、特に限定される訳ではないが、例えば、1枚又は複数枚の金属、樹脂又は金属及び樹脂を組み合わせた板状部材を折曲加工する等により製造される長尺部材である。板状部材としては、厚さ1mmにも満たない極薄板を用いることが望ましい。このように接合部材1は、長尺薄板を折曲加工する等により製造することができるので、安価且つ簡易に提供することが可能である。
接合部材1の素材としては、好ましくは、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板、具体的には、「ガルバリウム鋼板」(登録商標)を用いることが望ましい。これにより、接合部材1の耐久性は向上し、例えば、15~20年程度、機能や美感面において劣化することなく接合部材1を使用することが可能となる。
【0024】
図1乃至3に示すように、接合部材1は、左右に隣接する2枚の外壁材6を接合しており、換言すれば、左右に隣接する2枚の外壁材6間の縦目地部分を覆っている。したがって、従来、縦目地部分の屋外側表面は、耐久性に劣るシーリング材が露出していたが、例えば、好ましくは、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板等で構成される接合部材1の被覆部2が縦目地部分を覆っているため、接合部材1、具体的には、被覆部2の機能及び美感は長期間に亘り劣化しない。
【0025】
図6、9及び12に示すように、接合部材1は、建造物を構成する柱7、及び柱7に設けられるヌキとも称される下地材8に、例えば、釘等の固定部材9により取り付けられる。そして、接合部材1の仕切板部3を間に挟んで、左右に隣接する2枚の外壁材6が接合される。
【0026】
図6のL1(一点鎖線部)は、下地材8の幅方向の長さであるが、これは、一般に規格上90mmに設定されている。
一方、従来より、左右に隣接する外壁材6間の間隙、即ち、縦目地の幅は、10mm程度に設定することが推奨されている。したがって、従来は、左右の外壁材6を下地材8に固定部材9で固定するためには、左右に残された幅40mmの下地材8の部分に固定しなければならなかった。ここで、固定部材9として釘を用いる場合、釘を外壁材6の接合側の端の方に近過ぎる位置に打ち込んでしまうと、外壁材6の端の部分が割れて破損してしまうことがあり、逆に、釘を外壁材6の中央方向に寄せて打ち込もうとすると、下地材8の端の方に釘を打つことになり、釘による固定、即ち、保持力が低下してしまうという弊害があった。
これに対し、本発明の外壁材の接合部材1、即ち、仕切板部3は、例えば、厚さ1mmにも満たない極薄板で構成され、仕切板部3と左右の各外壁材6との間は、例えば、1~2mm程度、より好ましくは1.5mm程の間隙を設けて接合することができるので、本発明における縦目地の幅、即ち、外壁材6aの接合側の側端面6asと外壁材6bの接合側の側端面6bsの間の長さ(
図6のL2)は、2~4mm程度に設定することが可能となり、その結果、外壁材6を固定するための下地材8の左右の幅寸法を43~44mmと、従来よりも大きくすることができ、上述した外壁材6の破損や固定部材9の保持力低下を有効に防止することが可能となる。
なお、ここで、縦目地の幅を除いた本発明による下地材8の幅寸法と、縦目地の幅を除いた従来の下地材の幅寸法とは、僅か数ミリの違いではあるが、施工の現場においては、この数ミリの相違が大きな効果の違いを生じさせるものである。
【0027】
本発明の好ましい態様において、外壁材6は、窯業系サイディングである。窯業系サイディングは、基材の主原料をセメント、けい酸質原料、繊維質原料、混和材料等とする板状の外壁材である。
外壁材としては、窯業系サイディングの他、例えば、金属サイディングも存在し、金属サイディング同士の接合部材としては、一般に、「ガスケット」と称される部材が用いられているが、本発明においては、接合部材1は、好適には窯業系サイディングに用いられる。
【0028】
また、本発明においては、接合部材1は、好ましくは、外装用部材である。
外壁材を接合する部材としては、屋内側に配置される内装用部材として構成することも可能であるが、本発明の接合部材1は、劣悪な環境にも耐え得る強度及び耐久性を有し、また、屋外側から、建造物への浸水を防止し得ることから、好ましくは、外装用部材として用いられるものである。
【0029】
次に、本発明の第一の実施の形態について、
図4乃至6を用いて詳述する。
図4A(正面図)、4B(背面図)及び5に示すように、第一の実施の形態の外壁材の接合部材1Aは、被覆部2が略平板状であり、仕切板部3が、被覆部2の幅方向中央位置と垂直方法に接続している。
【0030】
図6は、本発明の接合部材1A、外壁材6等を上から見た建造物の外壁構造の一部を示している。外壁材6aと外壁材6bは、同一面上で、間に僅かな間隙を設けて左右に隣接しており、該間隙に接合部材として用いられるのが第一の実施の形態の接合部材1Aである。
【0031】
建造物の外壁構造には、複数の柱が所定間隔を隔てて設けられている。柱には、主柱、胴縁等と称される種類の柱が存在し、本発明の接合部材1は、いずれの柱部分にも取付可能であるので、以下、単に、柱と称して説明する。柱7は、一般に、長尺の四角柱の木材である。
【0032】
柱7の屋外側の面には、例えば、図示しない防水シートを介して、柱7の屋外側面と略同一幅、即ち、90mm程度の幅の下地材8が配置される。下地材8は、厚さが、例えば15mmであり、長さが200~250mm程の木材片である。上下方向に複数個の下地材8が柱7に配置される。
【0033】
本発明の第一の実施の形態の接合部材1Aを用いる場合には、まず、外壁材6aが、釘9aによって下地材8及び柱7に固定される。ここで、釘9aを打ち込む位置は、被覆部2よりも外側である。
【0034】
次いで、被覆部2の屋内側であって、挟持板部4が存在しない側(外壁材6a側)の仕切板部3との接続部付近にシーリング材10を上下方向全体に亘って付着させた接合部材1Aを、外壁材6a及び下地材8に当接させたうえで、釘9bによって、接合部材1A(挟持板部4)を下地材8及び柱7に固定する。
ここで、具体的には、被覆部2の屋内側であって、挟持板部4が存在しない側(外壁材6a側)を外壁材6の屋外側端部に当接し、挟持板部4の屋内側を下地材8に当接させている。また、好ましくは、外壁材6aの側端面6asと、対向する仕切板部3の間は、例えば、1mm~2mm、より好ましくは1.5mm程度の間隙が設けられる。このように間隙を設けることにより、仮に外壁材6aが横方向に膨張しても、膨張部分が前記間隙に収まるので、外壁材6aの膨張による弊害を回避することが可能となる。
また、釘9bは、被覆部2の側端部よりも外側の位置に打ち込まれる。
【0035】
シーリング材10は、所謂、ステシーリングとも称されるもので、外部に露出しないため、上述のように早く劣化するものではなく、万一、被覆部2の屋内側であって、挟持板部4が存在しない側(外壁材6a側)と外壁材6aの間から水が浸入した場合でも、下地材8や柱7等の屋内側にさらに水が浸入することを防止することが有効に可能となっている。
【0036】
また、被覆部2の挟持板部4が存在しない側(外壁材6a側)の側端部に折返部5が設けられていることから、被覆部2の屋内側であって、挟持板部4が存在しない側(外壁材6a側)と外壁材6aの屋外側側端部の間には、僅かな間隙が形成されることから、シーリング材10が浸入を防止した水を下方に誘導して逃がす、即ち、排水することがより有効に可能となる。
【0037】
次いで、外壁材6bの接合側の側端部が、被覆部2、仕切板部3及び挟持板部4で囲まれた箇所に、嵌装され、外壁材6a及び外壁材6bが接合される。ここで、好ましくは、外壁材6bの接合側の側端面6bsと対向する仕切板部3の間には、好ましくは1mm~2mm、より好ましくは1.5mmの間隙を設けて、外壁材6bが嵌装されることが望ましい。このように間隙を設けることにより、仮に外壁材6bが横方向に膨張しても、膨張部分が前記間隙に収まるので、外壁材6bの膨張による弊害を回避することが可能となる。
【0038】
上述のように、下地材8は、上下方向に複数設けられ、釘9a・9bは、上述したのと同様に各下地材8が存在する箇所に打ち込まれる。
なお、
図6並びに後述する
図9及び12では、説明のため、特に釘9及びシーリング材10を図示するため、一部の構成要素間に間隙が設けられているように図示されているが、実際には、外壁材6a及び外壁材6b間の間隙等を除き、特に断らない場合には、各構成要素は実質的に密着するように設けられている。
【0039】
次に、本発明の第二の実施の形態について、
図7乃至9を用いて詳述する。
図7A(正面図)、7B(背面図)及び8に示すように、第二の実施の形態の外壁材の接合部材1Bは、被覆部2が略平板を山折りした形状であり、仕切板部3が、被覆部2の折返部5が設けられていない側と垂直方法に接続している。なお、被覆部2の折返部5が設けられていない側の先端部も折り返されている場合があるが、これは、接合部材1Bを成形するために折曲加工を施したものであり、折返部5と異なるものである。
【0040】
図9は、本発明の接合部材1B、外壁材6等を上から見た建造物の外壁構造の一部を示している。外壁材6aと外壁材6bは、所謂、出隅部分、即ち、外壁材6aと外壁材6bが外側に出っ張るように接合して角をなす部分に、僅かな間隙を設けて左右に隣接しており、該間隙に接合部材として用いられるのが第二の実施の形態の接合部材1Bである。
【0041】
柱7と下地材8は、第一の実施の形態と同様である。
【0042】
本発明の第二の実施の形態の接合部材1Bを用いる場合には、まず、外壁材6aが、釘9aによって下地材8a及び柱7に固定される。ここで、釘9aを打ち込む位置は、被覆部2よりも外側である。また、外壁材6aは、その接合側の側端部が下地材8aよりも接合側に突出するように固定される。
【0043】
次いで、外壁材6aの側端部、即ち、前記突出部を、被覆部2及び仕切板部3で囲われた箇所に嵌装するように接合部材1Bを配置する。外壁材6aの嵌装は、外壁材6aの接合側の側端面6as、即ち、前記突出部の先端面6asと、対向する被覆部2の間に、例えば、1mm~2mm、より好ましくは1.5mm程度の間隙を設けることが望ましい。これにより、仮に外壁材6aが横方向に膨張しても、膨張部分が前記間隙に収まるので、外壁材6aの膨張による弊害を回避することが可能となる。
そして、配置した接合部材1Bの挟持板部4を釘9bによって、下地材8b及び柱7に固定する。ここで、釘9bを打ち込む位置は、被覆部2よりも外側である。
【0044】
被覆部2、仕切板部3及び挟持板部4で囲われた箇所に、外壁材6bを嵌装する。ここで、外壁材6bの嵌装は、外壁材6bの接合側の側端面6bsと、対向する仕切板部3の間に、例えば、1mm~2mm、より好ましくは1.5mm程度の間隙を設けることが望ましい。仮に外壁材6bが横方向に膨張しても、膨張部分が前記間隙に収まるので、外壁材6bの膨張による弊害を回避することが可能となる。
そして、釘9bよりも、外壁材6aと外壁材6bの接合部から遠ざかる位置に、釘9cを用いて、外壁材6bを下地材8及び柱7に固定することで、出隅部において外壁材a及び外壁材6bが接合される。
【0045】
被覆部2の挟持板部4が存在しない側(外壁材6a側)の側端部に折返部5が設けられていることから、万一、被覆部2の挟持板部4が存在しない側(外壁材6a側)から水が浸入した場合でも、被覆部2の屋内側であって、挟持板部4が存在しない側(外壁材6a側)と外壁材6aの屋外側側端部の間には、僅かな間隙が形成されることから、浸入した水を下方に誘導して逃がす、即ち、排水することが有効に可能となる。
【0046】
第二の実施の形態では、接合側の外壁材6a及び6bの側端部が、それぞれ被覆部2及び仕切板部3、並びに被覆部2、仕切板部3及び挟持板部4で囲われていることから、接合部から雨水等が下地材8や柱7等の屋内側に侵入することを防止することが可能であるため、第一の実施の形態及び後述する第三の実施の形態のようなシーリング材10は不要である。
【0047】
上述のように、下地材8は、上下方向に複数設けられ、釘9a・9b・9cは、上述したのと同様に各下地材8が存在する箇所に打ち込まれる。
【0048】
次に、本発明の第三の実施の形態について、
図10乃至12を用いて詳述する。
図10A(正面図)、10B(背面図)及び11に示すように、第三の実施の形態の外壁材の接合部材1Cは、被覆部2が略平板を谷折りした形状であり、仕切板部3が、被覆部2の折返部5が設けられていない側と垂直方法に被覆部2の谷折りの底部と接続している。仕切板部3は、換言すれば、被覆部2の折返部5が設けられている側と同一面上に被覆部2の谷折りの底部と接続している。なお、被覆部2の折返部5が設けられていない側の先端部も折り返されている場合があるが、これは、接合部材1Cを成形するために折曲加工を施したものであり、折返部5と異なるものである。
【0049】
図12は、本発明の接合部材1C、外壁材6等を上から見た建造物の外壁構造の一部を示している。外壁材6aと外壁材6bは、所謂、入隅部分、即ち、外壁材6aと外壁材6bが内側に窪んで接合して角をなす部分に、僅かな間隙を設けて左右に隣接しており、該間隙に接合部材として用いられるのが第三の実施の形態の接合部材1Cである。
【0050】
柱7と下地材8は、第一の実施の形態と同様である。
【0051】
本発明の第三の実施の形態の接合部材1Cを用いる場合には、まず、外壁材6aが、釘9aによって下地材8a及び柱7aに固定される。ここで、釘9aを打ち込む位置は、被覆部2よりも外側である。
【0052】
次いで、外壁材6aの接合側の先端部であって、外壁材6aの側端面6asと外壁材6aの仕切板部3と対向する面で構成される角部に、上下方向全体に亘って、シーリング材10が付着される。ここでのシーリング材10は、第一の実施の形態シーリング材10と同様であり、シーリング材10の存在により、万一、外壁材6aと、外壁材6aと当接する被覆部2の間から水が浸入した場合でも、下地材8や柱7等の屋内側にさらに水が浸入することを防止することが有効に可能となっている。
【0053】
挟持板部4が、外壁材6aの接合側の側端面6asと略同一面上となる位置に配置されたうえで、接合部材1Cの挟持板部4が釘9bによって下地材8b及び柱7bに固定される。ここで、外壁材6aの接合側の側端面6asと挟持板部4の位置関係の配置は、側端面6asの位置が挟持板部4よりも好ましくは1mm~2mm、より好ましくは1.5mm被覆部2寄りにずれていることが望ましい。このように、外壁材6aと接合部材1Cを配置することにより、外壁材6aと外壁材6bを接合したときに、外壁材6の接合側の側端面6asと、対向する下地材8bとの間に、好ましくは1mm~2mm、より好ましくは1.5mmの間隙が形成されるので、仮に、外壁材6aが横方向に膨張しても、膨張部分が前記間隙に収まるので、外壁材6aの膨張による弊害を回避することが可能となる。
【0054】
次いで、外壁材6bの接合側の側端部を、被覆部2、仕切板部3及び挟持板部4で囲われた箇所に嵌装する。ここで、外壁材6bの接合側の側端面6bsと、対向する仕切板部3の間に、例えば、1mm~2mm、より好ましくは1.5mm程度の間隙を設けて外壁材6bを嵌装することが望ましい。仮に外壁材6bが横方向に膨張しても、膨張部分が前記間隙に収まるので、外壁材6bの膨張による弊害を回避することが可能となる。
【0055】
そして、釘9bよりも、外壁材6aと外壁材6bの接合部から遠ざかる位置に、釘9cを用いて、外壁材6bを下地材8b及び柱7bに固定することで、入隅部において外壁材a及び外壁材6bが接合される。
【0056】
被覆部2の挟持板部4が存在しない側(外壁材6a側)の側端部に折返部5が設けられていることから、万一、被覆部2の挟持板部4が存在しない側(外壁材6a側)から水が浸入した場合でも、被覆部2の屋内側であって、挟持板部4が存在しない側(外壁材6a側)と外壁材6aの屋外側の間には、僅かな間隙が形成されることから、浸入した水を下方に誘導して逃がす、即ち、排水することが有効に可能となる。
【0057】
上述のように、下地材8は、上下方向に複数設けられ、釘9a・9b・9cは、上述したのと同様に各下地材8が存在する箇所に打ち込まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 接合部材
2 被覆部
2t 山折り頂部
2v 谷折り底部
3 仕切板部
4 挟持板部
5 折返部
6 外壁材
6as 外壁材の側端面
6bs 外壁材の側端面
7 柱
8 下地材
9 固定部材
10 シーリング材
L1 下地材の屋外側面の幅の長さ
L2 外壁材間の間隙(目地)