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特開2024-176193置き去り検知システム及び置き去り検知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176193
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】置き去り検知システム及び置き去り検知方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20241212BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20241212BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B21/00 U
G08B21/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094545
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000155333
【氏名又は名称】株式会社木村技研
(71)【出願人】
【識別番号】391007460
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 朝映
(72)【発明者】
【氏名】熊▲崎▼ 隆行
(72)【発明者】
【氏名】森下 卓哉
【テーマコード(参考)】
5C086
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA08
5C086DA33
5C086FA06
5C086FA18
(57)【要約】
【課題】車室内等の所定空間内において、子供や手荷物等の検知対象を精度よく検知できる技術を提供する。
【解決手段】所定空間内において、検知対象を検知する少なくとも一つのセンサと、前記所定空間の内部に設置され、前記センサを前記所定空間の内部で移動させる移動装置と、前記センサの検知結果に基づいて、前記所定空間内に前記検知対象が存在するか否かを判定する処理装置と、を備える及び、置き去り検知システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間内において、検知対象を検知する少なくとも一つのセンサと、
前記所定空間の内部に設置され、前記センサを前記所定空間の内部で移動させる移動装置と、
前記センサの検知結果に基づいて、前記所定空間内に前記検知対象が存在するか否かを判定する処理装置と、を備える、
置き去り検知システム。
【請求項2】
前記処理装置は、前記所定空間内の基準状態と前記センサから得られた情報による前記所定空間の状態とを比較し、前記検知対象が存在するか否かを判定する判定部を備える、
請求項1に記載の置き去り検知システム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記所定空間内に前記検知対象を検出した際に、
外部に異常を知らせる通知部を更に備える、
請求項2に記載の置き去り検知システム。
【請求項4】
前記センサは、蓄電装置を更に備え、
前記蓄電装置によって前記センサを駆動する、
請求項1に記載の置き去り検知システム。
【請求項5】
前記移動装置は、
駆動モータを備え、
前記駆動モータは、前記処理装置に設けられる制御部によって制御され、
前記駆動モータは、前記センサを所定の軌道に沿って移動させる、
請求項1に記載の置き去り検知システム。
【請求項6】
前記所定の軌道には、停止位置が設けられ、
前記移動装置は、前記停止位置を検知する位置検知部を更に備え、
前記処理装置は、前記位置検知部の情報に基づいた前記停止位置の判別を行い、前記センサが、前記停止位置で前記検知対象の検知を行う、
請求項5に記載の置き去り検知システム。
【請求項7】
前記移動装置は、給電装置を備え、
前記給電装置は、給電ローラと、前記所定の軌道に沿って導電させる連結具と、を備え、
前記給電装置は、前記給電ローラと前記連結具が接触し、前記センサへ給電する、
請求項5に記載の置き去り検知システム。
【請求項8】
前記処理装置は、所定のタイミングで前記所定空間内における前記検知対象の検知を開始する、
請求項1に記載の置き去り検知システム。
【請求項9】
所定空間内において、検知対象を検知するセンサを移動するための信号を送るステップと、
前記センサによる検知を行うステップと、前記検知によって取得された情報に基づいて、前記所定空間内の基準状態と前記センサから得られた情報による前記所定空間の状態とを比較し、前記検知対象の有無を判定するステップと、
前記検知対象の有無の判定結果に基づいて通知データを生成するステップと、
前記通知データを通知するステップと、を、コンピュータが実行する、
置き去り検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置き去り検知システム及び置き去り検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車室内における子供置き去り警報装置として、子供用シートベルトの装着状態を検出して警報を行う装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-188035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車室内において、子供のシートベルトの装着状態を検出して置き去りを判断する場合、子供のシートベルトの装着を行う必要があるため、シートベルトを装着していない子供の検知ができなかった。更に、シートベルトを装備していない路線バスにおける検知や、手荷物等の検知はできなかった。
【0005】
本開示の技術は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車室内等の所定空間内において、子供や手荷物等の検知対象を精度よく検知できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の技術は以下の構成を採用した。即ち、本開示に係る技術の一側面としての置き去り検知システムは、所定空間内において、検知対象を検知する少なくとも一つのセンサと、前記所定空間の内部に設置され、前記センサを前記所定空間の内部で移動させる移動装置と、前記センサの検知結果に基づいて、前記所定空間内に前記検知対象が存在するか否かを判定する処理装置と、を備える。
【0007】
また、上記の置き去り検知システムにおいて、前記処理装置は、前記所定空間内の基準状態と前記センサから得られた情報による前記所定空間の状態とを比較し、前記検知対象が存在するか否かを判定する判定部を備えるように構成されてもよい。
【0008】
また、上記の置き去り検知システムにおいて、前記処理装置は、前記所定空間内に前記検知対象を検出した際に、外部に異常を知らせる通知部を更に備えるように構成されてもよい。
【0009】
また、上記の置き去り検知システムにおいて、前記センサは、蓄電装置を更に備え、前記蓄電装置によって前記センサを駆動するように構成されてもよい。
【0010】
また、上記の置き去り検知システムにおいて、前記移動装置は、駆動モータを備え、前記駆動モータは、前記処理装置に設けられる制御部によって制御され、前記駆動モータは、前記センサを所定の軌道に沿って移動させるように構成されてもよい。
【0011】
また、上記の置き去り検知システムにおいて、前記所定の軌道には、停止位置が設けられ、前記移動装置は、前記停止位置を検知する位置検知部を更に備え、前記処理装置は、前記位置検知部の情報に基づいた前記停止位置の判別を行い、前記センサが、前記停止位
置で前記検知対象の検知を行うように構成されてもよい。
【0012】
また、上記の置き去り検知システムにおいて、前記移動装置は、給電装置を備え、前記給電装置は、給電ローラと、前記所定の軌道に沿って導電させる連結具と、を備え、前記給電装置は、前記給電ローラと前記連結具が接触し、前記センサへ給電するように構成されてもよい。
【0013】
また、上記の置き去り検知システムにおいて、前記処理装置は、所定のタイミングで前記検知対象が存在するか否かの判定を開始するように構成されてもよい。
【0014】
また、本開示に係る技術の一側面としての置き去り検知方法は、所定空間内において、検知対象を検知するセンサを移動するステップと、前記センサによる検知を行うステップと、前記検知によって取得された情報に基づいて、前記所定空間内の基準状態と前記センサから得られた情報による前記所定空間の状態とを比較し、前記検知対象の有無を判定するステップと、前記検知対象の有無の判定結果に基づいて通知データを生成するステップと、前記通知データを通知するステップと、を、コンピュータが実行するように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、車室内等の所定空間内において、子供や手荷物等の検知対象を精度よく検知できる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る置き去り検知システムを搭載したバスの進行方向に沿った断面図である。
図2図2は、実施形態に係る置き去り検知システムを上から眺めた全体図である。
図3図3は、実施形態に係る置き去り検知システムの各要素を説明する図である。
図4図4は、実施形態に係る置き去り検知システムの移動ユニットについて説明する図である。
図5図5は、実施形態に係る置き去り検知システムの給電装置等を説明する図である。
図6図6は、実施形態に係る置き去り検知システムの全体構成を説明する図である。
図7図7は、実施形態に係る置き去り検知システムの処理装置を説明する図である。
図8図8は、実施形態に係る置き去り検知方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本開示は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。以下に説明する実施形態は、本開示に係る置き去り検知システムを、バスの車室内に設置した態様であるが、本開示の技術はこれに限定されない。つまり、本開示に係る技術は、バスの車室内に限らず、置き去り検知システムを設置することができる。
【0018】
<実施形態>
[装置構成]
図1は、実施形態に係る置き去り検知システム1を搭載したバス100の進行方向に沿った、バス100の断面図である。また、図2は、実施形態に係る置き去り検知システム1を上から眺めた全体図である。実施形態の説明の便宜上、バス100の進行方向に沿った方向において、バス100の先頭側を前側、バス100の後尾側を後側とする。また、図2に示すように、バス100の運転席1010側を右側、助手席102側を左側とし、車室内の天井側を上側、床側を下側とする。このような前側・後側・右側・左側・上側・下側とは、置き去り検知システム1及びバス100における各要素における相対的な位置関係を示すものに過ぎない。
【0019】
バス100は、車室空間100A(本開示における、「所定空間」の一例)、運転席101、助手席102、複数の乗員用座席103、天井104、床105、右壁面106R、左壁面106L等を含んでいる。本実施形態において、車室空間100Aは、上側は天井104によって閉塞され、下側は床105によって閉塞され、右側は右壁面106Rに閉塞され、左側は左側面を106Lによって閉塞された空間として形成されている。車室空間100Aには、運転席101、助手席102,複数の乗員用座席103が配置されており、いずれの座席も床105に設置されている。但し、本実施形態における車室空間100Aにおける各座席の配置は一例であり、例えば、乗員用座席103の配置はロングシート構造等でもよい。
【0020】
置き去り検知システム1は、カメラ10(本開示における、「センサ」の一例)、移動装置20、処理装置30(本開示における、「コンピュータ」の一例)、蓄電装置40、給電装置50、を含んでいる。置き去り検知システム1は、車室空間100Aの内部において、乗員のひとりである子供2(本開示における、「検知対象」の一例)の居所によらず、カメラ10を用いて子供2を撮影できるように構成されている。図1には、カメラ10、処理装置30、蓄電装置40、位置検知部24の一部、を含む移動ユニット99を示している。移動ユニット99はベルト22に設置され、移動装置20の動作によってベルト22の移動に伴って移動可能に構成されている。また、図2に示すように、移動装置20は天井104に設置され、移動装置20がカメラ10(移動ユニット99)を移動させる軌道として、経路Rが画定されている。経路Rは、カメラ10が助手席102及び複数の乗員用座席103の上側を通過するように設定されている。本実施形態では、経路Rに運転席101の上部が含まれていないが、この限りではなく、用途に応じて経路Rの変更を行うことができる。また、置き去り検知システム1によって検知する検知対象は人間に限らず、例えば、傘や財布等の物品でもよい。また、本実施形態では、置き去り検知システム1をバス100に設置する態様について説明しているが、置き去り検知システム1を設置する場所は車室内に限らず、例えば、ビル等の建築物における室内空間を所定空間として、ビル等の建築物の室内空間において検知対象を撮影できるように設置しても良い。
【0021】
カメラ10は、車室空間100A内を撮影するセンサの一例である。本実施形態のカメラ10は、天井104に設置された移動装置20に設けられ、床105に向けて設置されている。これによって、カメラ10は天井104側から車室空間100A内を撮影することができる。また、カメラ10は移動装置20によって移動し、車室空間100A内における助手席102及び各乗員用座席103の座面上や助手席102及び各乗員用座席103に設けられるレッグスペース等の静止画を、後述の位置検知シール242の位置で撮影する。本実施形態では、カメラ10は撮像素子を有する一般的な広角カメラであり、後述の処理装置30に含まれるカメラ制御部311によって動作を制御される。但し、カメラ10の態様はこれに限らず、例えば、カメラ10によって連続的に動画撮影を行ったり、カメラ10を温度センサや超音波センサ、3次元スキャナ等に置換し撮影を行ってもよい。
【0022】
移動装置20は、駆動モータ21、ベルト22,ベントプーリ23、位置検知部24、を含む。図2に示すように、ベルト22は経路Rに沿って延在しており、本開示における「所定の軌道」を画定している。経路Rにおけるベルト22の各曲折部には、ベントプーリ23が設けられている。本実施形態では、複数のベントプーリ23を設けることで、天井104においてベルト22が一周するように、且つ助手席102及びすべての乗員用座席103の上側を通過できるように経路Rが設定されている。駆動モータ21にはドライブプーリ211が接続され、駆動モータ21の回転運動がドライブプーリ211を介してベルト22を駆動する。本実施形態では、駆動モータ21はDCモータであり、駆動モータ21は制御基板(図示せず)と併設され互いに接続されている。当該制御基板はプロセッサや通信IFを備えており、後述の処理装置30と無線通信等で接続されている。これにより駆動モータ21は処理装置30に含まれる移動制御部312によって動作を制御される。また、駆動モータ21には、駆動モータ21の制御を行うための回転数センサ等が搭載されていることが好ましい。但し、駆動モータ21の態様はこれに限らず、例えば、ACモータや、サーボモータ等でもよい。また、駆動モータ21にACモータを使用する際、駆動モータ21と共にインバーター装置を更に設けてもよい。ベルト22は、後述のようにチェーンのような帯状に形成されている。これにより、駆動モータ21が動作した際に、ベルト22は経路Rに沿って周回するように動作する。ベルト22の長さは、車室空間100A内に配置された助手席102及びすべての乗員用座席103の上側を周回できるように十分な長さが確保されている。但し、図2ではベルト22の一部が省略されているが、実際には一周するように連続して設けられている。また、更に移動装置20に、ベルト22の張り具合を調整できるテンションプーリ等を追加してもよい。
【0023】
図3は、置き去り検知システム1の各要素を説明する図である。本実施形態では、駆動モータ21と接続されるドライブプーリ211には、複数の突起が円周上に形成されている。本実施形態では、ベルト22は、複数のゴム製のコマ221が連結されてチェーンのような帯状に形成されている。また、複数のコマ221は、後述の第一連結具52によってそれぞれ互いに、且つ連続的に接続されているため、ベルト22は屈曲可能に形成されている。コマ221には、ドライブプーリ211に設けられた突起と嵌合する凹部222が形成されている。これによって、駆動モータ21の回転運動を、ドライブプーリ211を介して確実にベルト22へ伝えることができる。
【0024】
本実施形態では、カメラ10一機に対し、処理装置30、蓄電装置40、位置検知センサ241をそれぞれ一機ずつ含む構成を移動ユニット99と称している。図4では、移動ユニット99を長手方向から視た透過図を示している。移動ユニット99では、カメラ10と処理装置30が一つのコマ221に、蓄電装置40が一つのコマ221に、位置検知センサ241が一つのコマ221にそれぞれ格納されている。また、処理装置30と、蓄電装置40と、位置検知センサ241とは、それぞれがリボンケーブルによって接続されており、ベルト22が屈曲した際でも断線することなく接続が保たれる。但し、移動ユニット99の態様はこれに限らず、例えば、移動ユニット99の外殻が概略箱型の筐体によって形成されていてもよい。この場合、当該筐体は屈曲可能な、例えばゴム等で形成し、ドライブプーリ211の円周に沿って変形が可能であることが望ましい。また、当該筐体は、移動ユニット99の長手方向において、一端と他端がそれぞれコマ221と接続されることで、ベルト22の移動に付随して移動する態様でもよい。更に、当該筐体を少なくとも一つのコマ221とヒンジ等を介して接続し、且つ当該筐体を剛体で形成することで、ドライブプーリ211の円周に当該筐体が沿うような変形をせずとも、ベルト22によって移動できる態様としても良い。
【0025】
図4は、実施形態に係る移動ユニット99について説明する図である。図4では、移動ユニット99の処理装置30及びカメラ10が格納されたコマ221がドライブプーリ211の円周上に存在する状態を示している。ベルト22が移動する際、ドライブプーリ2
11の回転を妨げないように、処理装置30及びカメラ10、蓄電装置40、位置検知センサ241、のそれぞれはコマ221の大きさ以下になるように形成されている。これにより、移動ユニット99がベルト22に付随して移動した際でも、処理装置30及びカメラ10、蓄電装置40、位置検知センサ241のそれぞれは、コマ221の動きを妨げないように構成されている。
【0026】
移動装置20の態様は一例であり、例えば、経路Rに沿ってガイドレールを設置し、カメラ10をガイドレールに沿って動作させる態様や、ベルト22をワイヤーやVベルト、ゴムベルト等に置換した態様でもよい。
【0027】
位置検知部24は、位置検知センサ241と位置検知シール242を含んでいる。本実施形態では、位置検知センサ241は光線を発射し反射光を捉える光電センサを使用しており、位置検知シール242には反射テープを使用している。図1には位置検知シール242の貼り付け位置の一例を示している。位置検知シール242は、経路Rにおいて、カメラ10を停止させ撮影する停止位置に対応する位置に設置されている。当該停止位置は、車室空間100A内において、例えば、助手席102や各乗員用座席103の座面や、助手席102や各乗員用座席103に設けられるレッグスペース、車室空間100A内の通路の画像など、子供2(検知対象)の有無の判定に用いる画像を漏れなく撮影できるように設定された位置である。本実施形態では、停止位置は経路Rにおいて複数設定されており、経路Rに沿った右壁面106R上、及び左壁面106L上に位置検知シール242が設置されている。また、図3に示すように、位置検知センサ241は、ベルト22上においてカメラ10と共に移動ユニット99に含まれている。これにより、経路Rにおいて、位置検知シール242が張り付けられている特定の位置において、反射光の変化を位置検知センサ241で捉えることができ、カメラ10での撮影を行うための停止位置の判別が可能になる。また、位置検知シール242の反射率を個々のシールで変更したり、位置検知センサ241にICタグ受信用装置を併設し位置検知シール242にICタグを埋め込む等することで、個々の停止位置の、車室空間100A内における位置が特定されている態様でもよい。但し、位置検知部24の位置検知を行う方法は一例であり、例えば、位置検知センサ241を物理センサ等に置換し、位置検知シール242に突起を設ける態様でもよい。
【0028】
図5は、置き去り検知システム1に係る給電装置50等を説明する図である。図5に示すように、蓄電装置40は給電装置50によって給電される。また、移動ユニット99に含まれるカメラ10と、処理装置30と、蓄電装置40と、位置検知センサ241とは、それぞれがリボンケーブルによって電気的に接続されているため、蓄電装置40に供給された電気は、処理装置30、カメラ10、位置検知センサ241のそれぞれに分配され、使用される。但し、移動ユニット99のカメラ10、処理装置30、蓄電装置40、位置検知センサ241のそれぞれを接続する方法はこれに限らず、例えば、カメラ10と、処理装置30と、蓄電装置40と、位置検知センサ241とを、それぞれフレキシブル基板で接続したり、カメラ10、処理装置30、蓄電装置40、位置検知センサ241のすべてを一つの電子基板に装着する等の変更をしてもよい。
【0029】
給電装置50は、給電ローラ51、第一連結具52、第二連結具53、給電ケーブル54を含んでいる。給電ローラ51、第一連結具52、第二連結具53は、例えば、金属等の導電性の材料で形成されている。給電ローラ51は、+側給電ローラ511と-側給電ローラ512を含んでいる。第一連結具52は、+側第一連結具521と-側第一連結具522を含んでいる。第二連結具53は、+側第二連結具531と-側第二連結具532を含んでいる。給電ケーブル54は、+側給電ケーブル541と-側給電ケーブル542を含んでいる。本実施形態における給電ローラ51は、ベルト22の上下に設置されており、外部電源(図示せず)から電気が供給されている。第一連結具52は、ベルト22の
複数のコマ221のそれぞれを枢動可能につなぎ合わせると共に、給電ローラ51からの電気を受電できるように構成されている。第二連結具53は、一端がコマ221に取り付けられた第一連結具52と接続されており、他端が他のコマ221に取り付けられた第一連結具52と接続されている。このように、複数のコマ221において、第一連結具52と第二連結具53とが電気的に連続して接続されていることで、複数のコマ221によって形成されているベルト22(経路R)に沿って給電することができる。これによると、給電ローラ51と第一連結具52が接触した際に、ベルト22に沿って給電されるため、移動ユニット99をベルト22の任意の場所に移設したり、移動ユニット99をベルト22に複数設置したりした場合でも、移動ユニット99に給電が可能である。給電ケーブル54の一端は第二連結具53に接続され、他端は蓄電装置40に接続されている。これにより、給電ローラ51から給電された電気は、第一連結具52、第二連結具53、給電ケーブル54を介して移動ユニット99の蓄電装置40に伝達される。
【0030】
本実施形態では、例えばバス100の電装部品はDC24ボルト電源で駆動しており、+側給電ローラ511及び-側給電ローラ512には、バス100に搭載された車両用バッテリやオルタネータからの電気が供給される。図5に示すように、ベルト22の上側には、+側給電ローラ511と接触するように+側第一連結具521が設けられており、複数の+側第一連結具521は互いに+側第二連結具531によって接続されている。+側第二連結具531は、+側給電ケーブル541と接続されている。+側給電ケーブル541の一端は+側第二連結具531と接続されており、他端は移動ユニット99の蓄電装置40と接続されている。また、ベルト22の下側には、-側給電ローラ512と接触するように-側第一連結具522が設けられており、複数の-側第一連結具522は互いに-側第二連結具532によって接続されている。-側第二連結具532は、-側給電ケーブル542と接続されている。-側給電ケーブル542の一端は-側第二連結具532と接続されており、他端は移動ユニット99の蓄電装置40と接続されている。
【0031】
ベルト22が移動する際において、給電ローラ51と第一連結具52との接触は、断続的に行われることとなる。より詳しくは、給電ローラ51と第一連結具52とが接触する位置からベルト22が移動されると、給電ローラ51と次の第一連結具52とが接触する位置に到達するまで、給電ローラ51と第一連結具52とが接触しない区間が発生する。本実施形態では便宜上、当該区間を無電区間と称する。つまり、ベルト22に沿った給電において、給電ローラ51と第一連結具52との接触する位置と当該無電区間とが交互に切り替わることとなり、移動ユニット99への給電は断続的に行われることとなる。当該無電区間では、移動ユニット99の蓄電装置40によって、処理装置30やカメラ10への電源供給が行われる。蓄電装置40は、例えば、リチウムイオンバッテリやスーパーキャパシタ等で構成される。これにより、カメラ10や、処理装置30、位置検知センサ241には連続的な電源供給が可能である。この際、電源供給先の切り替えを処理装置30が行うことが望ましい。但し、カメラ10や処理装置30に対しての電源供給の態様はこれに限らず、例えば、カメラ10自体にスーパーキャパシタ等の充電式バッテリを搭載することで、給電ローラ51からの電源供給がない無電区間において、カメラ10に給電する態様でもよい。
【0032】
図6は、実施形態に係る置き去り検知システムの全体構成を説明する図である。本実施形態に係る移動ユニット99は移動装置20に設けられており、移動装置20は車室空間100A内に設置されている。また、移動ユニット99に設けられる処理装置30は、インターネット等の通信回線5を介して、管理サーバ3や管理者端末4と接続される。管理サーバ3や管理者端末4は、例えば、バス100の所有会社や、バス100の運行者、監視サービスを行う業者の担当者によって監視されているのが好ましい。図7は、実施形態に係る処理装置30を説明する図である。処理装置30は、所謂コンピュータであり、カメラ10や、移動装置20、蓄電装置40、位置検知センサ241等と電気的に接続され
、カメラ10の撮影や、移動装置20の動作開始や停止、位置検知センサ241による取得情報の処理、カメラ10で取得した情報に基づいた子供2の検知、子供2が車室空間100A内に居た際の通知等を行う。処理装置30は、例えば図7に示すように、CPU31や主記憶装置32、補助記憶装置33、通信IF(Interface)34、I/OIF(Input/output Interface)35、を備えている。
【0033】
CPU31は、プログラムを実行することにより、本実施形態で説明する処理を行う。例えばCPU31は、カメラ制御部311や、移動制御部312、位置処理部313、判定部314、通知部315の機能を提供する。
【0034】
カメラ制御部311は、所定のタイミングでカメラ10によって撮影を行うことで、車室空間100A内の画像を取得する。この際、カメラ制御部311はフォーカス合わせの制御や焦点位置合わせの制御を同時に行ってもよい。本実施形態では、カメラ制御部311は、カメラ10によって静止画を取得する動作を行う。この際、カメラ制御部311は後述の移動制御部312や位置処理部313と協働し、停止位置においてカメラ10を停止させ、ブレがない画像を取得することができる。また、カメラ制御部311に電子式手振れ防止機能等の画像鮮明化機能を備えることで、更に鮮明な画像を取得できるようにしてもよい。
【0035】
移動制御部312は、移動装置20の駆動モータ21の回転開始及び回転停止、回転方向、回転数を制御する。本実施形態では駆動モータ21はDCモータを使用しているため、PWM制御等を用いて駆動モータ21の駆動電圧を変化させることで回転数制御を行っている。この際、駆動モータ21に搭載される回転数センサ等の信号を処理することで所定の回転数への変更や回転停止、回転方向の情報を処理してもよい。また、本実施形態では、移動制御部312は駆動モータ21に併設される制御基板(図示せず)と、後述の通信IF34を介して無線で接続されている。より詳しくは、駆動モータ21に併設される制御基板は、プロセッサや通信IFを備えているため、処理装置30に搭載されるCPU31は通信IF34を介して、駆動モータ21に併設される制御基板のプロセッサは当該制御基板に備えられた通信IFを介して、CPU31と、駆動モータ21の併設される制御基板のプロセッサとが互いに信号を送受信することで、駆動モータ21の制御が行われる。これにより、移動制御部312の処理結果を駆動モータ21に反映する。但し、移動制御部312の機能を駆動モータ21に併設される制御基板のプロセッサに搭載することで、処理装置30と別個の処理装置として設置する態様等でもよい。
【0036】
位置処理部313は、位置検知センサ241による取得情報に基づいて、経路Rにおけるカメラ10の停止位置を検知する。位置処理部313は、移動制御部312が駆動モータ21の回転開始及び回転停止をするための情報を処理する。例えば、位置処理部313は、位置検知センサ241が位置検知シール242によって反射した反射光を受光した際に、当該位置検知センサ241と同じ移動ユニット99に備えられたカメラ10が撮影を行うための停止位置に達したことを認識する。この際、先述の通り、位置検知シール242の反射率を個々のシールで変更したり、位置検知センサ241にICタグ受信用装置を併設し位置検知シール242にICタグを埋め込む等することで、個々の停止位置の、車室空間100A内における位置を特定してもよい。この場合、個々の位置検知シール242のそれぞれの位置の検知を位置処理部313で行ってもよい。カメラ10による撮影が完了した後、駆動モータ21の回転が再度開始すると、次のカメラ10の停止位置を検出する動作を再開する。但し、位置処理部313の動作はこれに限らず、例えば、移動装置20におけるベルト22の進行距離や移動時間を計測することで、位置検知部24を用いずに、任意の位置においてカメラ10を停止させ撮影を行う態様でもよい。また位置処理部313は、カメラが一周する毎にキャリブレーション動作を行い位置ずれが起きているかを確認処理してもよい。より詳しくは、位置ずれ低減のために、所定の停止位置とカメ
ラ10の実際に存在する位置とのずれを位置処理部313で検知することで、当該ずれを正すために、カメラ10を正常な停止位置に移動する動作指示を移動制御部312に対して行ってもよい。
【0037】
判定部314は、カメラ10で撮影した画像(以下単に撮影画像とも称す)に基づいて車室内に子供2が存在するか否か(検知対象の有無)を判定する。例えば、判定部314は、パターンマッチングやAIによって、撮影画像に子供2(検知対象)が写っているか否かを判定してもよい。また、判定部314は、事前(本開示における、「基準状態」の一例)に取得した画像(事前画像)と、カメラ10で撮影した画像とを比較し、事前画像と撮影画像が異なっている(差分がある)場合に子供2が存在していると判定してもよい。これによると、事前画像に存在しなかった子供2が撮影画像に写っていた場合に、当該物体を子供2とし、子供2が車室空間100A内に存在していると判定する。また、この差分が所定値(閾値)以下の大きさの場合にはノイズとして車室空間100A内に子供2は居ないと判定し、所定値を超えた大きさの場合に車室空間100A内に子供2が居ると判定してもよい。この際、事前画像の撮影位置と、カメラ10によって撮影された画像の撮影位置とが、異なる停止位置(位置検知シール242の位置)であっても、画像処理で差分を判断する処理を行ってもよい。より詳しくは、例えば、複数の事前画像から車室空間100A内の三次元情報を生成し保存しておくことで、事前画像の撮影位置と、カメラ10によって撮影された画像の撮影位置とが異なる場合においても、車室空間100A内の三次元情報から得られる2D画像と、カメラ10で取得される撮影画像との差分を取得し、子供2が存在していると判定してもよい。
【0038】
本実施形態では、判定部314は子供2を検知対象として検知する例を示しているが、これに限らず、車室空間100A内の設備の持ち出しや破壊を検出してもよい。例えば、バス100の運行前に存在していた物体が、バス100の運行後に存在しなくなった場合に、設備の持ち出しと判定する。更に、バス100の運行前に存在していた物体が、バス100の運行後に部分的に存在しなくなった場合や形状が変化した場合に、設備の破壊と判定する。なお、車室空間100A内で移動可能な設備は、移動可能な物体として、その位置を登録しておき、バス100の運行後、バス100の運行前の位置に存在しなくても、別の位置に存在していた場合には正常な移動と判定し、設備の持ち去りと判定しなくてもよい。そして、当該移動可能な物体の位置を、この移動後の位置に更新する。また、バス100の乗降扉や運転席101や助手席102のように所定範囲の移動(例えば扉の開閉や、リクライニング、スライド等)が可能な設備は、所定範囲で移動可能な物体として、その移動可能な範囲を予め登録しておき、バス100の運行後、バス100の運行前の位置にかかわらず、移動可能な範囲に存在していた場合には正常な移動と判定し、異常と判定しなくてもよい。
【0039】
カメラ10が、連続的に動画撮影を行う場合、判定部314は動く物体を捉えることで、車室空間100A内に子供2が居ると判定してもよい。この際、判定部314によって子供2を追尾する処理を行うことで、移動制御部312と協働してカメラ10によって子供2を居所によらず捉え続けるように信号を発信してもよい。また、カメラ10が温度センサである場合、温度異常を検知することで、車室空間100A内に子供2が居ると判定する等、カメラ10の構成によって、判定部314の機能を適宜変更してもよい。
【0040】
通知部315は、判定部314によって子供2が車室空間100A内に存在していると判定された場合に、子供2が車室空間100A内に存在している情報を管理者端末4等の表示装置に表示させる。この情報は本開示における対象物検知情報であり、例えば、バス100の運行前の画像とバス100の運行後の画像との差分を抽出し、子供2を表示する通知データを生成したものである。また、これに限らずバス100の車外に向けた文字情報の表示や音声情報の再生による通知でもよい。文字情報の表示の場合、通知部315を
バス100に設置されたLED方向幕(図示せず)等の表示装置に接続してもよい。これにより「中に人がいます」等のように文字や画像によるメッセージ等を、バス100の車外へ見えるような表示装置に出力してもよい。また、音声情報の再生の場合、通知部315をバス100に設置された車外向けスピーカ(図示せず)等の音声出力装置に接続してもよい。これにより、音声信号を当該車外向きスピーカ等へ送信し、「中に人がいます。」等のように音声メッセージを出力させたり、警報アラームを車外に向けて再生したりしてもよい。また、通知部315は、この識別情報をイベント情報に含めて管理サーバ3や管理者端末4へ送信してもよい。車室空間100A内に子供2が居ると判定された場合に、当該情報を通知するイベント情報(置き去り発生情報)を管理サーバ3や管理者端末4へ送信する。また、位置処理部313において、個々の停止位置が、車室空間100Aにおいての位置が特定されている場合、車室空間100A内における子供2の詳細な位置をイベント情報に含めて、管理サーバ3や管理者端末4へ送信してもよい。
【0041】
主記憶装置32は、CPU31が読み出したプログラムやデータのキャッシュや、CPUの作業領域として用いられる。主記憶装置32は、具体的には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。主記憶装置32には、例えば、判定部314で使用する事前に取得された画像が保存されており、事前に取得された画像とカメラ10で撮影した画像とを比較する際に、判定部314が当該事前に取得された画像を参照することができる。
【0042】
補助記憶装置33は、CPU31により実行されるプログラムや、本実施形態で用いる設定情報などを記憶する。補助記憶装置33は、具体的には、HDDやSSD、フラッシュメモリ等である。
【0043】
通信IF34は、他のコンピュータ装置との間でデータを送受信する。通信IF34は、具体的には、有線又は無線のネットワークカード等である。本実施形態では、通信IF34を介して管理者端末4等のコンピュータからCPU31の機能にアクセスしたり、CPU31の機能への入力を受け付けたり、ユーザへ情報を出力したりする。また、通信IF34を介して移動制御部312の信号等を駆動モータ21に併設される制御基板と送受信してもよい。更に、ベルト22に移動ユニット99が複数設けられている場合、一つの移動ユニット99が他の移動ユニット99と通信IF34を介して無線通信等を行うことで、それぞれの情報を共有し協働してもよい。より詳しくは、一つの移動ユニット99を親機とし、他の移動ユニット99を子機とすることで、各移動ユニット99の情報をCPU31の各機能において共有してもよい。
【0044】
また処理装置30は、更にGPS等を搭載してもよく、バス100の位置情報を検出してもよい。また、当該GPSによって特定されるバス100の位置情報を、通信IF34を用いて管理者端末4に送信し管理者によってバス100の位置情報を管理したり、通信IF34を用いて管理サーバ3に位置情報を送信することで、管理サーバ3によって位置情報のログを保管してもよい。
【0045】
[置き去り検知方法]
次に、実施形態に係る置き去り検知システム1の動作による、置き去り検知方法について説明する。但し、本開示の置き去り検知システム1の動作は、以下の手順に限定されるものではない。図8は実施形態に係る置き去り検知方法を説明するフローチャートである。以下、図8に基づいて説明する。
【0046】
本実施形態における置き去り検知システム1は、バス100のイグニッションがオフになったタイミング(本開示における、「所定のタイミング」の一例)を移動制御部312が検出し、子供2の検知動作が開始される。これにより、バス100のイグニッションが
オフになったタイミングで、ステップS5の検知開始条件を満たすこととなる。置き去り検知システム1は、ステップS5の検知開始条件を満たすことで、ステップS10に移行する。ステップS10では、移動制御部312が駆動モータ21に併設される制御基板に信号を送ることによって駆動モータ21が回転開始する。これによりカメラ10が移動開始することができる。但し、検知開始条件は一例であり、例えば、バス100の運行前又は運行後の任意のタイミングでスケジューリングされた時刻に合わせたり、処理装置30にGPS等が搭載される場合には、バス100が車庫に戻ったことを検出して検知開始条件を満たす態様にしてもよい。
【0047】
ステップS20では位置処理部313によって停止位置であるかどうかを判定する。この際、位置検知センサ241の検知結果に基づいて、カメラ10が停止位置であればステップS30に移行し駆動モータ21の回転を停止させる。ステップS30で駆動モータ21の回転が停止した後、ステップS40ではカメラ制御部311の信号に基づいて、カメラ10により画像の撮影が行われる。または、カメラ10が停止位置にない場合、カメラ10が停止位置に移動するまで駆動モータ21の回転を続ける。但し、この態様は一例であり、例えば、ステップS30を経ずに、駆動モータ21を回転させたままステップS40に移行しカメラ10によって撮影を行う態様でもよい。画像の撮影後、ステップS50では、判定部314によって、事前に取得した画像とカメラ10で撮影した画像とが比較され、事前画像と撮影画像の差分に基づいて子供2(検知対象)の有無が判定される。
【0048】
ステップS50の処理の後、ステップS60において判定部314で子供2が検知された場合(本開示における、「判定結果」の一例)、ステップS70の対象物検知情報(本開示における、「通知データ」の一例)の生成が行われる。対象物検知情報の生成は通知部315で行われ、ステップS40で撮影された子供2が表示された画像や、バス100の車外に向けた文字情報や音声情報が生成される。また、ステップS50の処理の後、ステップS60において判定部314で子供2が検知されなかった場合、ステップS10に戻って再び駆動モータ21の回転を開始する。この際、ステップS20での停止位置の判定からステップS60の対象物検知までの動作を3秒ほどで実行し、ステップS10の動作を繰り返すことで、ステップS40においてブレの少ない画像を取得する一助となる。但し、ステップS20での停止位置の判定からステップS60の対象物検知までの動作の時間、及びステップS40に係る撮影時間のための停止時間等はこれに限らず、自由に設定してよい。
【0049】
ステップS70で生成された対象物検知情報は、ステップS80の対象物検知情報の通知により、車室空間100A内に子供2が居ることを、車室空間100A外にいる人間に通知する。この際、子供2(検知対象)が映し出された画像は、情報を通知するイベント情報(置き去り発生情報)として管理サーバ3や管理者端末4へ送信される。また、ステップS60において車室空間100A外に向けた文字情報が生成される場合は、バス100に設置されたLED方向幕等の表示装置に文字によるメッセージ等を出力する。この際、ステップS60で生成された画像や、事前に用意された警告画像を、当該表示装置に表示してもよい。また、ステップS60において音声情報が生成される場合は、バス100に設置された車外向きスピーカ等の音声出力装置によって、音声情報を出力させたり、警報アラームを車室空間100A外に向けて再生したりしてもよい。
【0050】
ステップS80の対象物検知情報の通知により、車室空間100A外の人間が通知を確認可能になる。ステップS90では、管理者端末4等のコンピュータの操作者は、管理者端末4等の端末を操作して置き去り検知システム1へ動作の停止指示を送ることができる。この際、端末の操作者による置き去り検知システム1へ動作の停止指示がない場合、ステップS10に戻って再び駆動モータ21の回転を開始する。
【0051】
ステップS5,S10,S20,S30,S40,S50,S60,S70,S80,S90のそれぞれに係るステップは、処理装置30によって実行される。また、カメラ制御部311、移動制御部312、位置処理部313が協働し、ステップS10の検知開始条件を満たすか否かの判断を下してもよい。これにより、カメラ10が停止位置にある状態でステップS5の開始条件を満たす場合、ステップS10の駆動モータ21の回転開始前に、ステップS40の画像撮影を行う等、柔軟な判断を処理装置30が行うことができる。
【0052】
[作用効果]
本実施形態に係る置き去り検知システム1によると、車室空間100A内において、カメラ10が移動し車室空間内を満遍なく撮影することができるため、子供2や手荷物等の検知対象を精度よく検知することができる。
【0053】
また、カメラ10は、カメラ10自体が移動するため、超広角レンズ等を用いた画角が広いものを使う必要がなくなる。これにより、カメラ10の交換の際などのコストパフォーマンスに優れている。また、カメラ10を車室空間100A内に多数設置する必要がないため、カメラ台数削減を実現しつつ、車室空間100A内の死角をできるだけ減らすことができる。
【0054】
また、車室空間100A内で乗員用座席103の配置変更やシートアレンジを行った場合でも、位置検知シール242の貼替え等の簡単な作業で、停止位置(カメラ10の撮影位置)を変更できる。
【0055】
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 :置き去り検知システム
2 :子供
10 :カメラ
20 :移動装置
30 :処理装置
99 :撮影ユニット
100 :バス
100A :車室空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8