(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176194
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】電動式搬送装置および電動式搬送装置の搬送方法
(51)【国際特許分類】
B22C 11/08 20060101AFI20241212BHJP
B65G 47/82 20060101ALI20241212BHJP
B22C 25/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B22C11/08
B65G47/82 C
B22C25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094547
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】592089799
【氏名又は名称】メタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100130096
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一総
(72)【発明者】
【氏名】下村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】船木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金平 諭三
【テーマコード(参考)】
3F017
4E094
【Fターム(参考)】
3F017AA02
3F017BA01
4E094CC62
(57)【要約】 (修正有)
【課題】押し出し装置及びクッション装置によって、細長く大きく突出したスペースが必要となるのを防止し、鋳型保持体のプールを確保し、作業通路の障害となるのを抑制する電動式搬送装置を提供する。
【解決手段】鋳型保持体5が、搬送される搬送路2と、搬送路の上流側に設けられ、鋳型保持体を押し出す押し出し装置3と、搬送路の下流側に設けられ、鋳型保持体の自由な移動を抑制するクッション装置4と、を備え、押し出し装置及びクッション装置の一方には、電動モータ41と、運動変換装置42と、を備え、運動変換装置は、回転アーム42aと、回転アームが回転する円周方向に沿って形成され、回転アームと同期して回転する円周ギヤ42bと、搬送路の上流端位置または下流端位置に並べられた鋳型保持体に当接し、回転アームの回転に連動して搬送方向に移動する直線移動体42cと、電動モータに連動して回転し、円周ギヤと噛合する噛合部材とを備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型を内蔵する鋳枠または鋳型を載置する搬送台である鋳型保持体が、複数並べられて搬送される搬送路と、
前記搬送路の上流側の端部に設けられ、前記鋳型保持体を、前記搬送路に沿って一体の長さ分ずつ間欠的に押し出す押し出し装置と、
前記搬送路の下流側の端部に設けられ、前記鋳型保持体の搬送方向への自由な移動を抑制するクッション装置と、を備えた搬送装置であって、
前記押し出し装置および前記クッション装置のいずれか一方には、電動モータと、前記電動モータの回転運動を前記搬送路の搬送方向に沿った直線運動に変換する運動変換装置と、を備え、
前記運動変換装置は、前記搬送路の前記搬送方向に対して直角な方向に延在する回転軸を備えた回転アームと、
前記回転アームが回転する円周方向に沿って形成され、前記回転アームと同期して回転する円周ギヤと、
前記搬送路の上流端位置または下流端位置に並べられた前記鋳型保持体に当接するとともに、前記回転アームの回転に連動して前記搬送方向に沿って直線状に移動する直線移動体と、
前記電動モータの出力軸に連動して回転するとともに、前記円周ギヤと噛合する噛合部材と、を備えた
電動式搬送装置。
【請求項2】
前記回転アームの先端部側と、前記直線移動体とは、リンク部材によって連結されている請求項1に記載の電動式搬送装置。
【請求項3】
前記円周ギヤは、円弧状部分にギヤが形成された扇形ギヤであり、
前記回転アームと前記円周ギヤとは、一体に設けられている
請求項1に記載の電動式搬送装置。
【請求項4】
前記扇形ギヤは、前記円弧状部分に形成されたギヤが、前記回転アームよりも前記搬送路の中央部側に対向して配置され、かつ前記噛合部材と噛合する部分が前記回転アームの回転中心よりも上方に設けられている、
請求項3に記載の電動式搬送装置。
【請求項5】
前記リンク部材と前記直線移動体とが連結された揺動中心の高さ位置は、前記リンク部材と前記回転アームとの連結部が最下点となる高さ位置と、前記リンク部材と前記回転アームとの前記連結部が最上点となる高さ位置との間に位置する、
請求項2に記載の電動式搬送装置。
【請求項6】
前記押し出し装置および前記クッション装置の両方が、前記運動変換装置を備え、
前記搬送路上に並べるために上流端の前記鋳型保持体と新たに搬入される前記鋳型保持体との間に設けられた第一の隙間と、
前記鋳型保持体が並べられた前記搬送路上から搬出するために下流端の前記鋳型保持体と前記クッション装置の前記直線移動体との間に設けられた第二の隙間とが、
前記鋳型保持体の搬送開始後において、消失するように密着した時点で、前記押し出し装置および前記クッション装置の前記回転アームの回転角度が同一となるように設定された請求項1に記載の電動式搬送装置。
【請求項7】
前記直線移動体には、前記搬送路から外れるのを防止する外れ防止装置が設けられている請求項1に記載の電動式搬送装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電動式搬送装置を使用して前記鋳型保持体を搬送する搬送方法であって、
前記押し出し装置の前記電動モータを加速時周波数にして前記鋳型保持体の押し出しを開始する押し出し開始工程と、
前記押し出し開始工程後、前記鋳型保持体が前記クッション装置に接触する直前に前記クッション装置の前記電動モータのブレーキを開放するブレーキ開放工程と、
前記押し出し装置の前記電動モータを高速時周波数に切り換えて定速進行させる定速進行工程と、
前記押し出し装置の前記電動モータを減速時周波数に切り換える押し出し装置の減速切り換え工程と、
前記クッション装置の前記電動モータを減速時周波数に切り換えるクッション装置の減速切り換え工程と、
を備えた
電動式搬送装置の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造ラインにおいて、鋳枠や鋳型を搬送する電動式搬送装置および電動式搬送装置を使用した搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳枠や鋳型を搬送する電動式搬送装置は、搬送路としての搬送レール上に鋳枠や鋳型をそれぞれ載置した複数の台車を並べ、搬送レールの上流側の端部に対向させてサーボモータを使用した押し出し装置と、搬送レールの下流側の端部に対向させてサーボモータを使用したクッション装置を備えたものが知られている。
搬送レール上に並べられた複数の台車を、押し出し装置とクッション装置とで、挟持した状態で、台車1台分の長さだけ、間欠的に送ることで、順繰りに搬送をおこなうものである。
このような技術は、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このサーボモータを使用した押し出し装置およびサーボモータを使用したクッション装置は、共に細長い形態をしており、それを搬送レールに直列させて配置する必要があるため、細長く大きく突出したスペースが必要となる。
そのため、工場レイアウトにおいて所定個数の台車(鋳型保持体)を搬送レール上にプールできなかったり、作業通路等の障害となったりすることが有った。
【0005】
本発明は以上のような事情を背景とし、押し出し装置およびクッション装置によって、細長く大きく突出したスペースが必要となるのを防止し、所定個数の台車(鋳型保持体)のプールを確保し、作業通路の障害となるのを抑制する電動式搬送装置およびその搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様の電動式搬送装置によれば、鋳型を内蔵する鋳枠または鋳型を載置する搬送台である鋳型保持体が、複数並べられて搬送される搬送路と、前記搬送路の上流側の端部に設けられ、前記鋳型保持体を、前記搬送路に沿って一体の長さ分ずつ間欠的に押し出す押し出し装置と、前記搬送路の下流側の端部に設けられ、前記鋳型保持体の搬送方向への自由な移動を抑制するクッション装置と、を備えた搬送装置である。
【0007】
前記押し出し装置および前記クッション装置のいずれか一方には、電動モータと、前記電動モータの回転運動を前記搬送路の搬送方向に沿った直線運動に変換する運動変換装置と、を備えている。
【0008】
前記運動変換装置は、前記搬送路の搬送方向に対して直角な方向に延在する回転軸を備えた回転アームと、前記回転アームが回転する円周方向に沿って形成され、前記回転アームと同期して回転する円周ギヤと、前記搬送路の上流端位置または下流端位置に並べられた前記鋳型保持体に当接するとともに、前記回転アームの回転に連動して前記搬送方向に沿って直線状に移動する直線移動体と、前記電動モータの出力軸に連動して回転するとともに、前記円周ギヤと噛合する噛合部材と、を備えている。
【0009】
これによれば、押し出し装置およびクッション装置によって、細長く大きく突出するためのスペースを広く取る必要がなく、必要な所定個数の台車(鋳型保持体)のプールを確保し、作業通路の障害となるのを抑制することができる。
【0010】
本発明の第二の態様の電動式搬送装置によれば、第一の態様の電動式搬送装置において、前記回転アームの先端部側と、前記直線移動体とは、リンク部材によって連結されている。
これによれば、リンク部材によって回転アームの回転運動を容易に直線移動体に伝達し、直線運動に変換することができる。
【0011】
本発明の第三の態様の電動式搬送装置によれば、第一の態様の電動式搬送装置において、前記円周ギヤは、円弧状部分にギヤが形成された扇形ギヤであり、前記回転アームと前記円周ギヤとは、一体に設けられている。
【0012】
これによれば、小さな力を扇形ギヤに伝えることで、大きな力となり、扇形ギヤに回転アームが一体に設けられることで、回転アームに大きな動きを形成させることができる。
【0013】
本発明の第四の態様の電動式搬送装置によれば、第三の態様の電動式搬送装置において、前記扇形ギヤは、円弧状部分に形成されたギヤが、前記回転アームよりも前記搬送路の中央部側に対向して配置され、かつ噛合部材と噛合する部分が回転アームの回転中心よりも上方に設けられている。
【0014】
これによれば、電動式搬送装置の出っ張り寸法を小さくできるとともに電動モータを高い位置に設置できるので設置スペースの削減を図ることができるとともに、メンテナンス作業性を向上させることができる。
【0015】
本発明の第五の態様の電動式搬送装置によれば、第二の態様の電動式搬送装置において、前記リンク部材と前記直線移動体とが連結された揺動中心の高さ位置は、前記リンク部材と前記回転アームとの連結部が最下点となる高さ位置と、前記リンク部材と前記回転アームとの前記連結部が最上点となる高さ位置との間に位置する。
【0016】
これによれば、リンク部材において搬送中に発生する揺動運動の角度を、揺動中心に対し下方および上方に分けることができる。そのため、搬送時に作用するリンク部材への斜め荷重を小さくすることができる。その結果、直線移動体の軌道面上で必要となる強度が軽減できるので製造コストの低減を図ることができる。
【0017】
本発明の第六の態様の電動式搬送装置によれば、第一の態様の電動式搬送装置において、前記押し出し装置および前記クッション装置の両方が、前記運動変換装置を備え、前記搬送路上に並べるために上流端の前記鋳型保持体と新たに搬入される前記鋳型保持体との間に設けられた第一の隙間と、前記鋳型保持体が並べられた前記搬送路上から搬出するために下流端の前記鋳型保持体と前記クッション装置の前記直線移動体との間に設けられた第二の隙間とが、前記鋳型保持体の搬送開始後において、消失するように密着した時点で、前記押し出し装置および前記クッション装置の前記回転アームの回転角度が同一となるように設定されている。
【0018】
これによれば、押し出し装置の回転アームとクッション装置の回転アームとの回転開始角度を同一に設定したことで、双方の扇形ギヤの周速を同期することができる。これにより電動モータの回転数が同一となり正確に鋳型保持体群を搬送することができる。
【0019】
本発明の第七の態様の電動式搬送装置によれば、第一の態様の電動式搬送装置において、前記直線移動体には、前記搬送路から外れるのを防止する外れ防止装置が設けられている。
【0020】
これによれば、鋳型保持体群を挟み込んで軌道装置上を移動する際に、押し出し装置の直線移動体およびクッション装置の直線移動体が搬送路から外れるのを防止する外れ機構を設けたことで、回転アームの回転運動を確実に直線運動に変換することができる。
【0021】
本発明の第八の態様の電動式搬送装置の搬送方法によれば、第一の態様の電動式搬送装置を使用して前記鋳型保持体を搬送する搬送方法であって、前記押し出し装置の前記電動モータを加速時周波数にして前記鋳型保持体の押し出しを開始する押し出し開始工程と、前記押し出し開始工程後、前記鋳型保持体が前記クッション装置に接触する直前に前記クッション装置の前記電動モータのブレーキを開放するブレーキ開放工程と、前記押し出し装置の前記電動モータを高速時周波数に切り換えて定速進行させる定速進行工程と、前記押し出し装置の前記電動モータを減速時周波数に切り換える押し出し装置の減速切り換え工程と、前記クッション装置の前記電動モータを減速時周波数に切り換えるクッション装置の減速切り換え工程と、を備えた。
【0022】
これによれば、押し出し装置の電動モータおよびクッション装置の電動モータの駆動制御を、簡単な制御で行うことができ、迅速かつ確実に鋳型保持体を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る電動式搬送装置の平面概要図である。
【
図2】電動式搬送装置の
図1におけるII-II矢視線断面図である。
【
図6】
図4におけるVI-VI矢視線断面図である。
【
図7】
図4におけるVII-VII矢視線断面図である。
【
図8】
図4におけるVIII-VIII矢視線断面図である。
【
図11】搬送が開始された直後の搬送工程を示す図である。
【
図12】高速時周波数での搬送工程を示す図である。
【
図13】減速され一時停止した工程を示す図である。
【
図14】クッション装置の回転アームは最終停止位置まで回転し、押し出し装置の回転アームが当初の位置まで戻った工程を示す図である。
【
図15】回転アームと扇形ギヤとの別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第一実施形態)
先ず、本発明の第一実施形態に係る電動式搬送装置1について、
図1~
図14を用いて説明する。
なお、
図1における左右に延在する水平方向をX軸方向とし、X軸方向に直交する水平方向をY軸方向とする。
また、鋳型保持体が搬送される搬送路の起点側を「上流側」と表現し、搬送路の終点側を「下流側」と表現するものとする。
また、立体的な物があった場合において、その中心に近い方を「内側」と表現し、その中心に遠い方を「外側」と表現するものとする。
【0025】
電動式搬送装置1は、搬送路2と、押し出し装置3と、クッション装置4とを、備えている。
【0026】
(搬送路)
搬送路2は、複数の鋳型保持体5が並べられ、搬送方向(X軸方向)に搬送される。搬送路2は、架台21とローラコンベヤ22とを備えている。搬送路2の上流端位置UEPには、図略の上流側のトラバーサが設けられ、新たな鋳型保持体5が搬入される。搬送路2の下流端位置DEPには、図略の下流側のトラバーサが設けられ、下流端位置DEPに搬送された鋳型保持体5を搬出する。
【0027】
架台21は、ローラコンベヤ22を、床面BFより高い位置において支持する。
架台21は、ベースフレーム21aと、ベースクロスフレーム21bと、ポールフレーム21cと、クロスフレーム21dとを備えている。
【0028】
ベースフレーム21aは、例えば、鉄製で、断面方形状の長尺材で形成されている。ベースフレーム21aは、一対としてY軸方向に並べられるとともに、X軸方向に沿って延在するように床面に敷設されている。対となったベースフレーム21aの間には、複数本(
図2においては八本)のベースクロスフレーム21bが所定間隔でY軸方向に延在するように設けられている。隣接するベースクロスフレーム21bの相互間の間隔は、最上流側と最下流側において、他の部分と比較して二倍ほどの広い間隔で設けられている。
【0029】
ベースフレーム21aにおいて、ベースクロスフレーム21bと交差する位置には、それぞれポールフレーム21cが鉛直方向に沿って所定の高さで立設されている。ポールフレーム21cは、例えば、鉄製で断面矩形状の棒材で形成されている。各ポールフレーム21cは、Y軸方向に対に並んで配置され、対となったポールフレーム21cの上端部間には、クロスフレーム21dが横架されている。
【0030】
クロスフレーム21dは、例えば、鉄製で棒状に形成されている。クロスフレーム21dは、ポールフレーム21cの断面における長辺部よりも短い辺で構成される断面方形状に形成されている。
【0031】
また、最上流端のベースクロスフレーム21bと最上流端から二番目のベースクロスフレーム21bとの間には、X軸方向に沿って二本の平行フレーム21eが設けられている。
架台21が配置された床面BFにおいて、上流側と下流側とには、ピットPが形成されている。各ピットPには、後述する運動変換装置32,42の一部がそれぞれ収納される。
架台21の上には、ローラコンベヤ22が設けられている。
【0032】
(ローラコンベヤ)
ローラコンベヤ22は、自在に回転する複数のローラの上に鋳型保持体5を載置して搬送する。
ローラコンベヤ22は、ローラ支持部材22aと、複数のローラ22bとを備えている。
【0033】
ローラ支持部材22aは、例えば鉄製で、断面矩形状の長尺材で形成されている。Y軸方向に並べて対に形成され、X軸方向に沿って延在するように架台上に固定されている。
ローラ支持部材22aは、対向する内側にY軸方向に延在する複数の回転軸が設けられ、各回転軸にはローラ22bが、回転自在に支承されている。
【0034】
各ローラ22bは、例えば、鉄製で円盤状に形成されている。円盤状の円周部において、鋳型保持体5のY軸方向の両端下部を支持するようになっている。
搬送路2の上流側端部には、押し出し装置3が設けられ、下流側端部には、クッション装置4が設けられている。
【0035】
(押し出し装置)
押し出し装置3は、搬送路2に並べられた鋳型保持体5を、一つの鋳型保持体5の長さ(一ピッチ)分ずつ、間欠的に下流側に向かって移動させる。
押し出し装置3は、
図3および
図4に示すように、電動モータ31と、運動変換装置32と、を備えている。
【0036】
電動モータ31として、例えば、サーボモータを使用する。サーボモータは、位置/速度/回転力(トルク)などを正確に実現できる。
電動モータ31は、
図6および
図8に示すように、平行フレーム21eと上流側にあるベースフレーム21aとの間に設けられた固定板21fに固定されている。
電動モータ31の出力軸は、Y軸方向に沿って延在するように設定されている。出力軸にはピニオンギヤ32e(噛合部材)が相対移動不能に組付けられ、ピニオンギヤ32eは後述する扇形ギヤ32bに噛合する。このピニオンギヤ32eは、噛合部材に相当して運動変換装置32に含まれる。
【0037】
(運動変換装置)
運動変換装置32は、電動モータ31の出力軸の回転運動を、搬送方向に沿って往復移動する直線移動体32cの直線運動に変換する。
運動変換装置32は、
図4に示すように、回転アーム32aと、扇形ギヤ32bと、直線移動体32cと、リンク部材32dと、ピニオンギヤ32eとを備えている。
【0038】
回転アーム32aは、例えば鉄製の細長い板状体で、先端に向かって細くなるテーパが形成されている。回転アーム32aは、後述する扇形ギヤ32bと一体に形成されている。回転アーム32aは、
図6および
図7に示すように、回転の中心軸CLが、Y軸方向に沿って延在するように設けられ、回転の中心軸CLは二本の平行フレーム21eの下面にブラケット32f1で固定された軸受け部32fに回転自在に支承されている。
【0039】
回転アーム32aは、X軸方向に延在する直線を含む仮想の鉛直平面内を回転するように設けられている。回転アーム32aは、鉛直に立設させた場合に、ローラコンベヤ22上を移動する直線移動体32cの高さ位置よりも高くなる長さに設定されている。
【0040】
(扇形ギヤ)
扇形ギヤ32bは、円周ギヤの一種であって、全周にギヤが設けられているものではなく、円周の一部である円弧状部分にギヤが設けられている。円弧状部分が形成する角度が、例えば、30度から180度程度のものを意味するものとする。本実施形態では、80度ぐらいのものを使用した。
扇形ギヤ32bは、
図4に示すように、半径方向に延在する半径支持部32b1と円周方向に沿って延在する円周支持部32b2とを有し、半径支持部32b1の反対側において回転アーム32aと一体となって形成されている。
【0041】
扇形ギヤ32bは、円周支持部32b2の円周の一部が形成する円弧状部分の例えば60度の範囲に、外歯歯車32b3が形成されている。扇形ギヤ32bの半径は、回転アーム32aの長さよりも短く、回転アーム32a側の20度ほどの円周部分には外歯歯車が設けられていない。外歯歯車32b3は、電動モータ31の出力軸に設けられたピニオンギヤ32eと噛合する。扇形ギヤ32bの回転中心は、回転アーム32aの回転の中心軸CLと一致している。
【0042】
扇形ギヤ32bは、円弧状部分に形成された外歯歯車32b3が、回転アーム32aよりも搬送路2の中央部側(下流側)に対向して配置されている。扇形ギヤ32bは、ピニオンギヤ32eと噛合する部分が回転アーム32aの回転中心(中心軸CL)よりも上方に設けられている。
【0043】
ピニオンギヤ32eが回転することで、噛合する扇形ギヤ32bおよび回転アーム32aが中心軸CLを中心に回転する。
回転アーム32aの先端には、リンク部材32dの一端が連結軸を介して相対回転自在に連結されている。リンク部材32dは、
図3に示すように、例えば、鉄製で短冊状のY軸方向に並んだ二枚の板材によって形成されている。リンク部材32dの他端は、直線移動体32cに連結軸を介して相対回転自在に連結されている。
【0044】
また、
図5は、回転アーム32aと直線移動体32cとを連結するリンク部材32dの動きを説明している。図略の回転アーム32aは、反時計回りに回転し、直線移動体32cは、左側方向(下流側)に水平に移動する。
リンク部材32dと直線移動体32cとが連結された揺動中心YCの高さ位置H1は、リンク部材32dと回転アーム32aとの連結部RCが最下点となる高さ位置H2と、リンク部材32dと回転アーム32aとの連結部RCが最上点となる高さ位置H3との間に位置するよう設定されている。
望ましくは、最下点の高さ位置H2と最上点の高さ位置H3とのちょうど中間位置となるように揺動中心YCの高さ位置H1を設定する。言い換えると、リンク部材32dは、揺動中心YCを中心に上方および下方に揺動する角度が等しくなるように設定する。
【0045】
直線移動体32cは、
図3に示すように、X軸方向に沿って延在し、Y軸方向に並んで対向するローラコンベヤ22上を滑走する一対の滑走部32c1と、滑走部32c1の前端部同士を滑走部32c1に対して直角な線状で連結する連結バー32c2とにより、略U字状に形成されている。連結バー32c2の下流側の端面には短円柱状に突設された当接部32c3が設けられている。当接部32c3は、上流端位置UEPに配置された鋳型保持体5の後端部に当接する。
滑走部32c1の下面には、ローラコンベヤ22から直線移動体32cが外れるのを防止する外れ防止装置33が設けられている。
【0046】
外れ防止装置33は、例えば、鉄製で、
図7に示すように、鉛直部33aと水平部33bとによる断面L字状の板材で形成され、滑走部32c1に沿ってX軸方向に延在するように形成されている。外れ防止装置33は、Y軸方向に並んだ対に設けられている。
鉛直部33aは、上端がそれぞれ滑走部32c1の下面に接続され、水平部33bは、搬送路2の内側からローラ22bの円周部下面にそれぞれ掛止するように構成されている。
【0047】
(クッション装置)
クッション装置4は、搬送の際に、並べられた下流側の鋳型保持体5がフリーとなって自由に移動するのを抑制する。
【0048】
クッション装置4は、搬送路2の下流端に設けられ、搬送路2の中央部にY軸方向の線を含む鉛直面となる対称面を仮想した場合に、押し出し装置3に対して、面対称となる構成および配置で設けられている。
クッション装置4は、
図9および
図10に示すように、電動モータ41と、運動変換装置42と、を備えている。
【0049】
クッション装置4における電動モータ41は、押し出し装置3の電動モータ31と同様のものである。
クッション装置4における運動変換装置42は、押し出し装置3の運動変換装置32と同様であるが、前述のように構成が対称的である。
【0050】
運動変換装置42は、回転アーム42aと、扇形ギヤ42bと、直線移動体42cと、リンク部材42dと、噛合部材(ピニオンギヤ42e)とを備えている。
以下、対称となって相違する部分について説明する。
クッション装置4における扇形ギヤ42bは、円弧状部分に形成された外歯歯車42b3部分が、回転アーム42aよりも搬送路2の中央部側(上流側)に対向して配置されている。
【0051】
クッション装置4における直線移動体42cは、連結バー42c2の上流側の端面には短円柱状に突設された当接部42c3が設けられている。
クッション装置4におけるリンク部材42dは、回転アーム42aの先端部よりも上流に位置している。
【0052】
(制御装置)
制御装置(図略)は、押し出し装置3の回転アーム32aを回転させるために、扇形ギヤ32bに噛合するピニオンギヤ32eを回転させる電動モータ31の制御をおこなう。
また、制御装置(図略)は、クッション装置4の回転アーム42aを回転させるために、扇形ギヤ42bに噛合するピニオンギヤ42eを回転させる電動モータ41の制御をおこなう。
【0053】
【0054】
押し出し装置3の回転アーム32aは、
図2において時計回りに回転した上流側回転端USEで停止している。上流のトラバーサ(図略)によって、新たな鋳型保持体5が、搬送路2の上流端位置UEPに搬入されている。新たな鋳型保持体5と直線移動体32cの当接部32c3との間には10mmの隙間t1が設けられている。新たな鋳型保持体5と搬送路2に並んだ上流端の鋳型保持体5との間には10mmの隙間t2(第一の隙間に相当)が設けられている。
【0055】
これらの隙間t1,t2は、直線移動体32cの当接部32c3と搬送路2に並んだ上流端の鋳型保持体5との間に、新たな鋳型保持体5が、スムーズに配置されるようにするためである。
【0056】
搬送路2の下流端位置DEPでは、下流のトラバーサ(図略)によって下流端に並んでいた鋳型保持体5が搬出されている。クッション装置4の回転アーム42aは、
図2において時計回りに回転した回転端で停止している。クッション装置4の直線移動体42cの当接部42c3と搬送路2に並んだ下流端の鋳型保持体5との間には10mmの隙間t3(第二の隙間に相当)が設けられている。
【0057】
これは、下流端に並んでいた鋳型保持体5が搬出される際に、下流端より二つ目にあった鋳型保持体5との間にスムーズな搬出のため隙間t3を設けたことによる。クッション装置4の電動モータ41には、ブレーキがかけられている。
【0058】
次に、制御装置は、
図11に示すように、押し出し装置3の電動モータ31を加速時周波数にして鋳型保持体5の押し出しを開始する(押し出し開始工程)。
電動モータ31の出力軸に設けられたピニオンギヤ32eの回転により、扇形ギヤ32bが回転し、扇形ギヤ32bに同期して回転アーム32aが、
図11において反時計回りに回転する。回転アーム32aの回転によって、直線移動体32cが下流側へ直線移動を開始する。
【0059】
直線移動体32cが下流側へ直線移動を行うことで、まず、上流端の鋳型保持体5uに直線移動体32cの当接部32c3が当接して密着することで、隙間t1が消去される。
続いて、上流端の鋳型保持体5uが、二番目の鋳型保持体5sに当接して密着することで隙間t2が消去される。
【0060】
さらに、下流端の鋳型保持体5dが、クッション装置4の直線移動体42cの当接部42c3に当接して密着することで隙間t3が消去される。すべての隙間t1~t3が消去された時点で、押し出し装置3の回転アーム32aとクッション装置4の回転アーム42aとが、同じ回転角度となるように設定されている。
また、隙間t3が消去される直前にクッション装置4の電動モータ41のブレーキが開放される(ブレーキ開放工程)。
【0061】
次に、制御装置は、押し出し装置3の電動モータ31を高速時周波数に切り換えて定速進行させる(定速進行工程)。隙間t3が消去されて、所定距離(例えば10mm)押圧した後、高速時周波数に切り換えて、押し出し装置3の電動モータ31を高速回転させる。クッション装置4の電動モータ41は、軽い抵抗を生じさせながら、鋳型保持体5に押される外力で回転する。
【0062】
次に制御装置は、押し出し装置3の電動モータ31を減速時周波数に切り換える(押し出し装置の減速切り換え工程)。減速時周波数に切り換えるタイミングは、
図12に示すように、例えば、回転アーム32aが、回転工程の半分を通過した時点で行う。
【0063】
制御装置は、押し出し装置3の減速開始と同時に、クッション装置4の電動モータ41に減速指令を出す。クッション装置4の周波数は、押し出し装置3の周波数と同等に設定されている。(クッション装置の減速切り換え工程)。
【0064】
次に、制御装置は、
図13に示すように、押し出し装置3の回転アーム32aと、クッション装置4の回転アーム42aとを、最終停止位置の少し手前にある一時停止位置に停止させる。
制御装置は、下流端より第二番目の鋳型保持体5を、図略の分離停止装置で下流側へさらに移動しないようにロックさせ、クッション装置4の回転アーム42aを最終停止位置まで回転させる。
【0065】
制御装置は、下流端の鋳型保持体5を図略の位置決め装置によって、さらに下流側に移動させる。これによって下流端の鋳型保持体5と下流端より第二番目の鋳型保持体5との間に隙間t4を形成し、下流端の鋳型保持体5とクッション装置4の直線移動体42cの当接部42c3との間に隙間t5を形成する(
図14参照)。
【0066】
次に、制御装置は、押し出し装置3の回転アーム32aを逆方向(時計回り)に回転させ、直線移動体32cを当初の位置に戻す。そして、図略の上流側のトラバーサより新たな鋳型保持体5を上流端位置UEPに搬入する。
以下、これらの工程を繰り返す。
【0067】
上記の記載で明らかなように、本発明の第一実施形態の電動式搬送装置1によれば、鋳型を内蔵する鋳枠または鋳型を載置する搬送台である鋳型保持体5が、複数並べられて搬送される搬送路2と、搬送路2の上流側の端部に設けられ、鋳型保持体5を、搬送路2に沿って一体の長さ分ずつ間欠的に押し出す押し出し装置3と、搬送路2の下流側の端部に設けられ、鋳型保持体5の搬送方向への自由な移動を抑制するクッション装置4と、を備えた搬送装置である。
【0068】
押し出し装置3およびクッション装置4のいずれか一方には、電動モータ31,41と、電動モータ31,41の回転運動を搬送路2の搬送方向に沿った直線運動に変換する運動変換装置32,42と、を備えている。
【0069】
運動変換装置32,42は、搬送路2の搬送方向に対して直角な方向に延在する回転軸を備えた回転アーム32a,42aと、回転アーム32a,42aが回転する円周方向に沿って形成され、回転アーム32a,42aと同期して回転する円周ギヤと、搬送路2の上流端位置UEPまたは下流端位置DEPに並べられた鋳型保持体5に当接するとともに、回転アーム32a,42aの回転に連動して搬送方向に沿って直線状に移動する直線移動体32c、42cと、電動モータ31,41の出力軸に連動して回転するとともに、円周ギヤ(扇形ギヤ32b,42b)と噛合する噛合部材(ピニオンギヤ32e,42e)と、を備えている。
【0070】
これによれば、押し出し装置3およびクッション装置4によって、細長く大きく突出するためのスペースを広く取る必要がなく、必要な所定個数の台車(鋳型保持体5)のプールを確保し、作業通路の障害となるのを抑制することができる。
【0071】
また、回転アーム32a,42aの先端部側と、直線移動体32c,42cとは、リンク部材32d,42dによって連結されている。
これによれば、リンク部材32d,42dによって回転アーム32a,42aの回転運動を容易に直線移動体32c,42cに伝達し、直線運動に変換することができる。
【0072】
また、円周ギヤは、円弧状部分にギヤが形成された扇形ギヤ32b,42bであり、回転アーム32a,42aと円周ギヤとは、一体に設けられている。
【0073】
これによれば、小さな力を扇形ギヤ32b,42bに伝えることで、大きな力となり、扇形ギヤ32b,42bに回転アーム32a,42aが一体に設けられることで、回転アーム32a,42aに大きな動きを形成させることができる。
【0074】
また、扇形ギヤ32b,42bは、円弧状部分に形成されたギヤが、回転アーム32a,42aよりも搬送路2の中央部側に対向して配置され、かつ噛合部材(ピニオンギヤ32e,42e)と噛合する部分が回転アーム32a,42aの回転中心よりも上方に設けられている。
【0075】
これによれば、電動式搬送装置の出っ張り寸法を小さくできるとともに電動モータ31,41を高い位置に設置できるので設置スペースの削減を図ることができるとともに、メンテナンス作業性を向上させることができる。
【0076】
また、リンク部材32d,42dと直線移動体32c,42cとが連結された揺動中心YCの高さ位置は、リンク部材32d,42dと回転アーム32a,42aとの連結部RCが最下点となる高さ位置と、リンク部材32d,42dと回転アーム32a,42aとの連結部RCが最上点となる高さ位置との間に位置する。
【0077】
これによれば、リンク部材32d,42dにおいて搬送中に発生する揺動運動の角度を、揺動中心YCに対し下方および上方に分けることができる。そのため、搬送時に作用するリンク部材への斜め荷重を小さくすることができる。その結果、直線移動体32c,42cの軌道面上で必要となる強度が軽減できるので製造コストの低減を図ることができる。
【0078】
また、押し出し装置3およびクッション装置4の両方が、運動変換装置32,42を備え、搬送路2上に並べるために上流端の前記鋳型保持体5と新たに搬入される鋳型保持体5との間に設けられた第一の隙間(t2)と、鋳型保持体5が並べられた搬送路2上から搬出するために下流端の鋳型保持体5とクッション装置4の直線移動体32c,42cとの間に設けられた第二の隙間(t3)とが、鋳型保持体5の搬送開始後において、消失するように密着した時点で、押し出し装置3およびクッション装置4の回転アーム32a,42aの回転角度が同一となるように設定されている。
【0079】
これによれば、押し出し装置3の回転アーム32a,42aとクッション装置4の回転アーム32a,42aとの回転開始角度を同一に設定したことで、双方の扇形ギヤ32b,42bの周速を同期することができる。これにより電動モータ31,41の回転数が同一となり正確に鋳型保持体5群を搬送することができる。
【0080】
また、直線移動体32c,42cには、搬送路2から外れるのを防止する外れ防止装置33が設けられている。
【0081】
これによれば、鋳型保持体5群を挟み込んで軌道装置上を移動する際に、押し出し装置3の直線移動体32c,42cおよびクッション装置4の直線移動体32c,42cが搬送路2から外れるのを防止する外れ機構を設けたことで、回転アーム32a,42aの回転運動を確実に直線運動に変換することができる。
【0082】
なお、電動モータ31を、サーボモータとしたが、これに限定されない。例えば、インバータモータを使用することができる。
また、電動モータ31からのトルクの伝達を外歯歯車とピニオンギヤ32eとの組み合わせで行ったが、これに限定されない。例えば、ピンギヤとピニオンギヤとの組み合わせでもよい。
【0083】
また、回転アーム32aと扇形ギヤ32bとが一体であるとしたが、これに限定されない。例えば、
図15に示すように、一つの回転部分SPに、回転アーム52aと扇形ギヤ52bとを相対回転不能に組付けて、回転アーム52aと扇形ギヤ52bとが同時に同期して回転するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、回転アーム32aと直線移動体32cとをリンク部材32dで連結したが、これに限定されない。例えば、直線移動体の移動方向に直角な方向にスライドするクロススライダ機構で、回転アームと直線移動体とを連結してもよい。
また、搬送路2を、ローラコンベヤ22としたが、これに限定されない。例えば、レールでもよい。この場合レール上を転動する転動輪が必要となる。
【0085】
以上本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1:電動式搬送装置、2:搬送路、3:押し出し装置、3電動モータ、32:運動変換装置、32a:回転アーム、32b:扇形ギヤ(円周ギヤ)、32c:直線移動体、32d:リンク部材、32e:ピニオンギヤ(噛合部材)、33:外れ防止装置、4:クッション装置、41:電動モータ、42:運動変換装置、42a:回転アーム、42b:扇形ギヤ(円周ギヤ)、42c:直線移動体、42d:リンク部材、5:鋳型保持体、UEP:上流端位置、DEP:下流端位置、CL:中心軸(回転中心)、t2:隙間(第一の隙間)、t3:隙間(第二の隙間)。