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  • 特開-ウナギ様食品及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176195
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ウナギ様食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/00 20160101AFI20241212BHJP
【FI】
A23L17/00 Z
A23L17/00 101A
A23L17/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094552
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000188227
【氏名又は名称】松谷化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大濱 庸介
【テーマコード(参考)】
4B034
4B042
【Fターム(参考)】
4B034LC05
4B034LE09
4B034LK02X
4B034LK10X
4B034LK17X
4B034LK29X
4B034LK33X
4B034LP04
4B042AC05
4B042AD36
4B042AE03
4B042AG25
4B042AG34
4B042AH01
4B042AK09
4B042AK10
4B042AK13
4B042AK14
4B042AP02
4B042AP04
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、ウナギそのものを用いるのでなく、代替原料を用いることによって、蒸しウナギや焼きウナギのようなふっくらとした歯切れのよい食感を有する、ウナギ様食品を提供することにある。
【解決手段】魚肉、大豆タンパク、乳タンパク、卵白のいずれか一以上と、油脂及び澱粉質原料を配合した生地において、当該澱粉質原料としてリン酸架橋澱粉、粳米粉及びデキストリンを必須として用いることによって、ウナギの白焼きや蒲焼に代表される、ふっくらとした歯切れのよい食感を有するウナギ様食品を製造することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚肉、大豆タンパク、乳タンパク、卵白のいずれか一以上と油脂及び澱粉質原料を含んでなるウナギ様食品において、前記澱粉質原料が以下の(A)~(C)を含む澱粉質原料である、ウナギ様食品:
(A)リン酸架橋澱粉、
(B)粳米粉、
(C)デキストリン。
【請求項2】
前記(A)がα化リン酸架橋澱粉である、請求項1に記載のウナギ様食品。
【請求項3】
前記(B)がα化粳米粉である、請求項1又は2に記載のウナギ様食品。
【請求項4】
前記(C)がDE20以下のデキストリンである、請求項1又は2に記載のウナギ様食品。
【請求項5】
前記(C)がDE20以下のデキストリンである、請求項3に記載のウナギ様食品。
【請求項6】
魚肉、大豆タンパク、乳タンパク、卵白のいずれか一以上と油脂及び澱粉質原料を含む生地を成型する工程と、次いで加熱する工程を含むウナギ様食品の製造方法であって、前記澱粉質原料が以下の(A)~(C)を含む澱粉質原料である、ウナギ様食品の製造方法:
(A)リン酸架橋澱粉、
(B)粳米粉、
(C)デキストリン。
【請求項7】
前記(A)がα化リン酸架橋澱粉である、請求項6に記載のウナギ様食品。
【請求項8】
前記(B)がα化粳米粉である、請求項6又は7に記載のウナギ様食品。
【請求項9】
前記(C)がDE20以下のデキストリンである、請求項6又は7に記載のウナギ様食品。
【請求項10】
前記(C)がDE20以下のデキストリンである、請求項8に記載のウナギ様食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウナギ様食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウナギはビタミンA群やビタミンB群が豊富に含まれており、栄養価が高いことから、土用の丑の日などに食され、伝統食材として古くから日本人に親しまれている。しかし、近年はウナギの稚魚であるシラスウナギの漁獲量の減少により養殖ウナギの価格が高騰し、その入手が難しくなっていることから、ウナギ様食品に注目が集まっている。
【0003】
これまでに、主に魚肉すり身を成型及び加熱加工したウナギ様食品が種々開発されており、例えば、魚肉すり身で作製した表側成形物と裏側成形物を貼り合わせて成形するウナギ様食品(特許文献1)や、蛋白素材、澱粉及び油脂を有する身層とゼラチンゲルを有する皮層を含むウナギ様食品(特許文献2)、魚肉すり身に馬鈴薯由来のデキストリンを添加したウナギ蒲焼食感の加工食品(特許文献3)などが開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1や2に開示される層構造を有する魚肉すり身加工品を得る工程は、煩雑であるし、ウナギの蒲焼の食感に近づけるためにはふっくらした食感だけでなく歯切れ感も重要であることから、ふっくらした食感の再現のみを目的とする特許文献3に開示されたウナギ様食品には、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-62346号公報
【特許文献2】特開2020-156325号公報
【特許文献3】特開2016-5440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ウナギそのものを用いるのでなく、代替原料を用いることによって、蒸しウナギや焼きウナギのようなふっくらとした歯切れのよい食感を有する、ウナギ様食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく種々検討したところ、魚肉、大豆タンパク、乳タンパク、卵白のいずれか一以上と、油脂及び澱粉質原料を配合した生地において、当該澱粉質原料としてリン酸架橋澱粉、粳米粉及びデキストリンの3成分を必須として用いることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、以下の[1]~[10]から構成される。
[1]魚肉、大豆タンパク、乳タンパク、卵白のいずれか一以上と油脂及び澱粉質原料を含んでなるウナギ様食品において、前記澱粉質原料が以下の(A)~(C)を含む澱粉質原料である、ウナギ様食品:
(A)リン酸架橋澱粉、
(B)粳米粉、
(C)デキストリン。
[2]前記(A)がα化リン酸架橋澱粉である、[1]に記載のウナギ様食品。
[3]前記(B)がα化粳米粉である、[1]又は[2]に記載のウナギ様食品。
[4]前記(C)がDE20以下のデキストリンである、[1]又は[2]に記載のウナギ様食品。
[5]前記(C)がDE20以下のデキストリンである、[3]に記載のウナギ様食品。
[6]魚肉、大豆タンパク、乳タンパク、卵白のいずれか一以上と油脂及び澱粉質原料を含む生地を成型する工程と、次いで加熱する工程を含むウナギ様食品の製造方法であって、前記澱粉質原料が以下の(A)~(C)を含む澱粉質原料である、ウナギ様食品の製造方法:
(A)リン酸架橋澱粉、
(B)粳米粉、
(C)デキストリン。
[7]前記(A)がα化リン酸架橋澱粉である、[6]に記載のウナギ様食品。
[8]前記(B)がα化粳米粉である、[6]又は[7]に記載のウナギ様食品。
[9]前記(C)がDE20以下のデキストリンである、[6]又は[7]に記載のウナギ様食品。
[10]前記(C)がDE20以下のデキストリンである、[8]に記載のウナギ様食品。
【発明の効果】
【0009】
本発明品及び本発明の製造方法によれば、ウナギの白焼きや蒲焼に代表される、ふっくらとした歯切れのよい食感を有するウナギ様食品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のウナギ様食品の外観を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にいう「ウナギ様食品」とは、ウナギを主な原料とせずに、ウナギの白焼きや蒲焼のようなふっくらとした歯切れのよい食感(以下、単に「ウナギ様食感」ともいう。)を有する加工食品を意味する。具体的には、魚肉、大豆タンパク、乳タンパク、卵白のいずれか一以上と、油脂及び澱粉質原料を主な原料とし、必要に応じて食塩、砂糖、みりん、アミノ酸、その他の調味料をはじめとする副原料を混合攪拌した生地を成型し、次いで蒸煮(蒸気により加熱する方法をいい、「蒸し」ともいう)、焼成(直火により加熱する方法をいい、蒸し焼きを含む)、油ちょうなどの方法により加熱加工してなるものをいう。
【0012】
本発明の「ウナギ様食品」は、魚肉、大豆タンパク、乳タンパク、卵白のいずれか一以上のタンパク質源を主原料の一つとする。魚肉の種類に限定はないが、スケソウ、タラ、ホッケ、グチ、エソ、イワシ、ホタテなどの魚介類の魚肉を単独又は組み合わせて使用することができ、魚肉の一部としてウナギを使用することもできる。また、魚肉の形態も限定されず、大骨やヒレを取り除き採肉された魚肉の切り身や、小骨や皮を除いた落とし身、それを磨り潰したペースト状のすり身、さらには糖類等の安定剤を添加して冷凍されてなる冷凍魚肉すり身を使用することもできる。
大豆タンパクの種類についても限定はなく、例えば、全脂大豆粉、脱脂大豆粉、分離大豆タンパク、豆乳粉末、豆腐、おからなどが挙げられ、その形態は固形状であればよく、粒状、繊維状、粉状などの形状は問わない。また、乳タンパクとしては、例えばカゼインが挙げられ、卵白としては生卵白、凍結卵白、乾燥卵白などが挙げられるが、本発明のウナギ様食品の主原料のタンパク質源としては、魚肉又は大豆タンパクを使用するのが好ましく、魚肉を使用するのがより好ましい。
【0013】
本発明のウナギ様食品における上記の魚肉、大豆タンパク、乳タンパク、卵白の使用量は限定されるものでないが、ウナギ様食品の骨格を形成するためには、原料中5%以上とするのが好ましく、ウナギ様の食感及び風味を損ねないためには、80%以下とするのが好ましい。すなわち、本発明のウナギ様食品における魚肉、大豆タンパク、乳タンパク、卵白の使用量は、5%~80%であればよく、好ましくは原材料中に20%~80%、さらに好ましくは原材料中に40~80%であればよい。
【0014】
本発明のウナギ様食品は、主原料の一つとして油脂を含み、当該油脂は食用の油脂であればとくに限定されず、例えば、大豆油、菜種油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、紅花油、コーン油、ヤシ油、米油、オリーブ油、ごま油などの植物性油脂、乳脂、豚脂、牛脂、鶏油、魚油などの動物性油脂、これらの分別油やエステル交換油などが挙げられる。これらの油脂は、常温において液体状又は固形状のいずれでもよいが、好ましくは固形状である。本発明のウナギ様食品における油脂の使用量はとくに限定されないが、好ましくは原材料中に5~20%である。
【0015】
本発明のウナギ様食品は、主原料の一つとして「澱粉質原料」を含む。「澱粉質原料」とは、例えば、穀粉、澱粉、デキストリンなどであり、穀粉としては、小麦粉、米粉、コーンフラワー、タピオカ粉、馬鈴薯粉、甘藷粉、そば粉、大豆粉、ライ麦粉、大麦粉、あわ粉、ひえ粉などが例示され、澱粉としては、未加工澱粉のほか化学的又は物理的に加工された加工澱粉やα化澱粉などが例示される。
【0016】
本発明のウナギ様食品に用いられる上記「澱粉質原料」は、リン酸架橋澱粉、粳米粉及びデキストリンの3成分を必須成分として含むことを特徴とする。
【0017】
本発明で用いられる「リン酸架橋澱粉」は、化学的処理により、澱粉の分子内又は分子間の水酸基どうしをリン酸基によって架橋した澱粉をいい、原料となる澱粉を架橋剤、塩及び水の存在下で、pHを調整しながら所定時間及び所定温度で反応させることにより得られる加工澱粉であって、エステル化又はエーテル化処理がされたリン酸架橋澱粉を含む。本発明のリン酸架橋澱粉は、架橋の程度が高度であるものが好ましく、具体的には沈降積が2.5以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。沈降積は、加工澱粉における架橋の程度を示す指標であり、以下の手順で測定される:塩化亜鉛10%、塩化アンモニウム26%、水64%よりなる溶液を調製し、この溶液15mlを量り入れた試験管に澱粉試料150mgを加え、沸騰湯浴中で10分間加熱後に直ちに流水で25℃まで冷却し、その10mlを10ml容メスシリンダーに移し入れて室温で20時間静置する。糊化せず沈降した澱粉の容量(透明な上澄み層と半透明な層の二層に分離した場合は、その境界面の目盛の読み)を「沈降積」の値とする。
【0018】
本発明のリン酸架橋澱粉の原料となる澱粉の起源は、粳種であるか、糯種であるか、ハイアミロース種であるかは問わず、馬鈴薯、米、小麦、タピオカ、コーン、エンドウ豆、緑豆、サゴ、甘藷などいずれの澱粉であっても用いることができるが、コーン及び馬鈴薯のいずれか一以上であることが好ましく、コーンであることがより好ましい。さらに、本発明に用いられるリン酸架橋澱粉は、その懸濁液をドラムドライ、スプレードライなどの手法により糊化及び乾燥する処理(以下、「α化処理」という。)されたものでなくてもよいが、α化処理されていることが好ましい。当該α化処理はリン酸架橋澱粉のみについておこなってもよいし、後述する粳米粉などの他の澱粉質原料と予め混合してからおこなってもよい。
【0019】
本発明で用いる「粳米粉」は、粳種の米を浸漬させて、製粉機や石臼などで挽いて粉状にしたものであり、上新粉、上用粉、新粉などの特殊名称で呼ばれることもある。当該粳米粉はそのまま用いることもできるが、α化処理されたものであってもよく、当該α化処理は、上記のリン酸架橋澱粉などの澱粉質原料と混合してからおこなうこともできる。本発明のウナギ様食品においては、α化処理された粳米粉を使用するのが好ましい。
【0020】
本発明で用いる「デキストリン」は、澱粉を酵素又は酸により分解した澱粉分解物であり、冷水可溶である。本発明で用いるデキストリンのDE(Dextrose Equivalentの略であり、完全に分解されてすべてグルコースとなった場合はDE100となる。)の値は、とくに限定されないが、好ましくは20以下であり、より好ましくは10以下、最も好ましくは5以下である。デキストリンの原料となる澱粉の起源はとくに限定されず、タピオカ、甘藷、コーン、米、馬鈴薯、小麦、及びこれらの糯種など、どのような種であってもよいが、本発明の効果を効率よく得る観点からはタピオカ、甘藷、コーン、糯種コーンから選ばれる一種以上であることが好ましい。
【0021】
本発明で用いる上記「澱粉質原料」の使用量はとくに限定されないが、ウナギ様の食感を付与するためには、原材料中に3%以上とすることが好ましく、3~20%とすることがより好ましい。また、当該澱粉質原料を構成する上記の必須3成分の使用量は、原材料中にそれぞれ、リン酸架橋澱粉は1~5%、粳米粉は1~5%、デキストリンは1~10%であることが好ましい。
【0022】
本発明のウナギ様食品は、本発明の効果を阻害しない限り、上述した原料に限らず、その他の副原料を使用することができる。副原料としては、例えば、単糖、二糖、糖アルコール、オリゴ糖、塩類、グルタミンソーダ、みりんなどの調味料、増粘多糖類、ペプチド、アミノ酸、甘味料、乳化剤、ビタミン類、保存料、香料、エキス類、色素などを使用することができる。
【0023】
本発明のウナギ様食品は、上述した原料を配合した生地を成型した後、蒸煮、焼成又は油ちょうなどの加熱工程を経て製造することができ、さらにたれなどの調味液を塗布したり、バーナー等で表面に焦げ目をつけたりすることもできる。
このようにして得られたウナギ様食品は、そのまま喫食することもできるし、冷蔵保存後にそのまま若しくは再加熱して喫食する、又は冷凍保存後に自然解凍若しくは再加熱して喫食することもできる。
【0024】
以下、実施例を提示して本発明を詳細かつ具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り、「部」は質量部を、「%」は質量%を示す。
【実施例0025】
(使用した澱粉質原料)
以降の試験検討に使用した澱粉質原料を表1に示す。表中かぎ括弧内の表記は商品名であり、「パウダーライスD」は新潟製粉株式会社の製品、「モチ―ルB」は上越スターチ株式会社の製品、その他は全て松谷化学工業株式会社の製品である。なお、リン酸架橋澱粉については以下の方法で沈降積を測定した;まず、澱粉試料150mg(固形物換算)を試験管に計量し、あらかじめ調製しておいた試薬(塩化アンモニウム26%、塩化亜鉛10%、水64%により調製)15mLを注ぎ込む。次に、卓上バイブレーターを用いて、試験管中の澱粉試料を均一に分散させ、直ちに沸騰浴中に固定して10分間加熱後、25~35℃まで冷却する。そして、この試験管中の澱粉試料を、卓上バイブレーターを用いて再度分散させ、10mL容量メスシリンダーに10mL流し込み、25℃にて20時間静置後、その沈殿物の目盛値(ml)を読み取り、沈降積とした。その結果、「フードスターチNE-1」は0.7、「松谷ひょうたん」は0.85であった。
【0026】
【表1】
【0027】
<試験1:ウナギ様食品の製造1>
表2に示す基本配合及び表3に示す工程に従って、ウナギ様食品を作製した。生地の成型性の評価は3段階で行い、「べたつきがなく成型しやすい」ときは「◎」、「ややべたつきはあるが成型はできる」ときは「○」、「べたつきがあって成形ができない」ときは「×」とした。また、得られたウナギ様食品の食感、すなわち「ふっくら感」と「歯切れ感」についての評価は4段階で行い、本物のウナギと遜色ないときは4点、非常に近いときは3点、やや近いときは2点、やや異なるときは1点とした。なお、食感の評価は、得られたウナギ様食品を4℃にて1日保存してから行った。評価結果を表4に、得られたウナギ様食品の外観写真を図1に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
表4の評価結果のとおり、澱粉質原料としてリン酸架橋澱粉、米粉及びデキストリンの3成分を含む生地は成型がしやすく、得られたウナギ様食品はふっくら感及び歯切れ感ともに良好であった(実施例1、2)。一方、その3成分のうちのいずれか一つでも配合しなかったウナギ様食品は、ふっくら感がなく(比較例1~4)、リン酸架橋澱粉又は米粉を含まない場合には、さらに歯切れ感が悪かった(比較例1、2)。なお、ヒドロキシプロピル化澱粉の有無は評価結果に影響を与えなかった。
【0032】
<試験2:澱粉原料起源及び加工が及ぼす影響の検討>
次に、リン酸架橋澱粉、米粉及びデキストリンの3成分について、その原料起源及び加工(α化、DE)が効果に及ぼす影響を検討した。表5に示す配合を用いて試験1と同様の手順でウナギ様食品を作製し、評価した。
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
表6の評価結果のとおり、リン酸架橋澱粉についてはα化処理を施していなくても、ウナギ様の食感に近いウナギ様食品が得られたが(実施例3)、α化処理を施したほうが生地の成型性に優れ、蒸した後の食感が本物のウナギと遜色ないウナギ様食品が得られた(実施例2)。また、原料起源がコーン又は馬鈴薯のいずれであっても、生地の成型はしやすく、その生地を蒸すとウナギ様の食感が得られたが、コーン(実施例2)のほうが馬鈴薯(実施例4)より本物のウナギに近い食感であった。一方、米粉については、粳米の場合は生地の成型性及び食感ともに良好であったが(実施例2)、糯米の場合はふっくら感及び歯切れ感がなく、ウナギ様の食感とはいえなかった(比較例5)。デキストリンについては、いずれのDEのものを用いても生地の成型性及び食感は良好であったが、DEが低くなるにしたがって食感はより向上した(実施例2、5、6)。
【0036】
<試験3:ウナギ様食品の製造2>
次に、魚肉すり身でなく豆腐を利用したウナギ様食品の作製を試みた。具体的には、表7に示す配合に従って、表8に示す工程でウナギ様食品を作製した。魚肉すり身でなく豆腐を利用した場合でも、その生地の成型性は良好であり、蒸して得られるウナギ様食品の食感は良好であった。
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】
図1