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特開2024-176197無線通信制御装置および無線通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176197
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】無線通信制御装置および無線通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20241212BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20241212BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20241212BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20241212BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20241212BHJP
   H04M 1/72 20210101ALI20241212BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W4/40
H04W4/029
H04W64/00 173
H04M1/00 U
H04M1/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094555
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100183760
【弁理士】
【氏名又は名称】山鹿 宗貴
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 和宏
(72)【発明者】
【氏名】千野 真也
(72)【発明者】
【氏名】臼井 章郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 憲司
【テーマコード(参考)】
5K067
5K127
【Fターム(参考)】
5K067AA34
5K067BB43
5K067GG06
5K067HH23
5K067JJ53
5K127AA36
5K127BA03
5K127BA10
5K127BB33
5K127DA15
5K127JA09
5K127JA14
5K127JA42
(57)【要約】
【課題】移動体内にある特定の端末装置を接続先として速やかに決定すること。
【解決手段】無線通信制御装置は、移動体内にある端末装置と無線通信を行う無線通信部と、複数の端末装置の各々について無線通信部と無線接続されたときの状況に関する第1情報を記憶する情報記憶部と、現在の状況および情報記憶部に記憶された第1情報に基づいて複数の端末装置の優先順位を決定する接続決定部と、接続決定部で決定された優先順位の高い端末装置から順に無線通信部との無線接続を試みる接続制御部と、無線通信部と無線接続された端末装置の位置を取得する位置取得部と、位置取得部で取得された位置に基づいて情報記憶部を更新する情報更新部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体内にある端末装置と無線通信を行う無線通信部と、
複数の前記端末装置の各々について前記無線通信部と無線接続されたときの状況に関する第1情報を記憶する情報記憶部と、
現在の状況および前記情報記憶部に記憶された第1情報に基づいて前記複数の端末装置の優先順位を決定する接続決定部と、
前記接続決定部で決定された前記優先順位の高い端末装置から順に前記無線通信部との無線接続を試みる接続制御部と、
前記無線通信部と無線接続された端末装置の位置を取得する位置取得部と、
前記位置取得部で取得された位置に基づいて前記情報記憶部を更新する情報更新部と、を備える、
無線通信制御装置。
【請求項2】
前記第1情報は、前記端末装置が前記無線通信部と無線接続されたときの状況と、前記状況に対応する前記端末装置毎のスコアを含み、
前記接続決定部は、
前記情報記憶部のなかから現在の状況に対応する前記第1情報を取得し、
取得された前記第1情報に含まれる各前記端末装置のスコアに基づいて前記優先順位を決定する、
請求項1に記載の無線通信制御装置。
【請求項3】
前記位置取得部で取得された位置が前記移動体内の運転席の場合、前記情報更新部は、現在の状況に対応する前記第1情報において、前記運転席に位置する前記端末装置に対応するスコアを上げる、
請求項2に記載の無線通信制御装置。
【請求項4】
前記位置取得部で取得された位置が前記運転席以外の場合、前記複数の端末装置のなかで何れの端末装置が前記運転席に着座したユーザの端末装置であるかをユーザに問合せる問合せ部、を更に備え、
前記情報更新部は、前記問合せ部に対するユーザの回答結果に基づいて前記情報記憶部を更新する、
請求項3に記載の無線通信制御装置。
【請求項5】
前記情報更新部は、
前記情報記憶部において、前記回答結果で示される前記ユーザの端末装置と、前記位置取得部で取得された位置と、を関連付けて記憶する、
請求項4に記載の無線通信制御装置。
【請求項6】
移動体内にある端末装置と無線通信を行う無線通信部と、複数の前記端末装置の各々について前記無線通信部と無線接続されたときの状況に関する第1情報を記憶する情報記憶部と、を備えるコンピュータにより実行される無線通信制御方法であって、
現在の状況および前記情報記憶部に記憶された第1情報に基づいて前記複数の端末装置の優先順位を決定し、
前記決定された前記優先順位の高い端末装置から順に前記無線通信部との無線接続を試み、
前記無線通信部と無線接続された端末装置の位置を取得し、
前記取得された位置に基づいて前記情報記憶部を更新する、処理を実行する、
無線通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信制御装置および無線通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車などの移動体内にある端末装置を検知し、検知された端末装置と無線接続する無線通信制御装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の無線通信制御装置は、各座席位置に対応する指向性アンテナを順に切り替え、各指向性アンテナで感知した電波信号の強度に基づいて移動体内における端末装置の位置を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-354312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の無線通信制御装置において、例えばドライバの端末装置など、特定の端末装置との無線接続を行う場合、まず、移動体内の端末装置との無線接続が順に試行されて、無線接続が確立された端末装置の位置が順に検知される。運転席で端末装置が検知されると、その端末装置がドライバの端末装置と推定されて、ハンズフリー通話が行われる接続先として決定される。
【0006】
このように、従来の無線通信制御装置は、運転席で端末装置を検知するまで端末装置との無線接続を順に試行して、ドライバの端末装置を決定する。そのため、当初からドライバの端末装置に接続できるとは限らず、ドライバの端末装置を使用できるまでに時間がかかりやすい。附言するに、従来の無線通信制御装置が端末装置の位置を検知できるのは、既にその端末装置が接続された後である。従来の無線通信制御装置が接続前にドライバの端末装置を特定することは難しい。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑み、無線接続前に、移動体内にある特定の端末装置を優先接続先として決定し、できるだけ速やかに、ユーザが自分の端末装置を使用した機能の利用を開始できるようにする無線通信制御装置および無線通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る無線通信制御装置は、移動体内にある端末装置と無線通信を行う無線通信部と、複数の端末装置の各々について無線通信部と無線接続されたときの状況に関する第1情報を記憶する情報記憶部と、現在の状況および情報記憶部に記憶された第1情報に基づいて複数の端末装置の優先順位を決定する接続決定部と、接続決定部で決定された優先順位の高い端末装置から順に無線通信部との無線接続を試みる接続制御部と、無線通信部と無線接続された端末装置の位置を取得する位置取得部と、位置取得部で取得された位置に基づいて情報記憶部を更新する情報更新部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、無線接続前に、移動体内にある特定の端末装置を優先接続先として決定し、できるだけ速やかに、ユーザが自分の端末装置を使用した機能の利用を開始できるようにする無線通信制御装置および無線通信制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る車載器が設置された車両を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車載器の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る車載器が備える接続状況DB(Database)に記憶された情報の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る車載器が備える接続状況DBに記憶された情報の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る車載器の機能ブロック図である。
図6】本発明の一実施形態において車載器のメインECU(Engine Control Unit)により実行される無線接続処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、本発明の一実施形態に係る無線通信制御装置、無線通信制御方法および無線通信制御プログラムに関する。なお、共通の又は対応する要素については、同一又は類似の符号を付して、重複する説明を適宜簡略又は省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る車載器1が設置された車両A(一例として右ハンドル車)を模式的に示す図である。図1は、運転席、助手席、後部座席(右、左)に、それぞれ、ユーザU1、U2、U3、U4が着座した状態を示す。図1において、運転席には、ユーザU1の端末装置D1が位置している。助手席には、ユーザU2の端末装置D2が位置している。後部座席には、ユーザU3の端末装置D3、ユーザU4の端末装置D4が位置している。車載器1と各端末装置D1~D4はペアリング済みである。
【0013】
車載器1は、移動体の一例である車両Aの車室内にある端末装置と無線通信することが可能な無線通信部15(後述)を制御する無線通信制御装置の一例である。無線通信部15と無線接続される端末装置(図1の例では、端末装置D1~D4)は、例えば、スマートフォン、フィーチャフォン、タブレット端末、ノートPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、PND(Portable Navigation Device)、携帯ゲーム機などの各種モバイル装置である。
【0014】
本実施形態において、無線通信部15と端末装置は、Bluetooth(登録商標)などの無線通信プロトコルで接続される。
【0015】
車載器1は、本発明の一実施形態に係る無線通信制御方法および無線通信制御プログラムを実行するコンピュータの一例である。車載器1は、独立した車載器であってもよく、また、ナビゲーション装置やIVI(In-Vehicle Infotainment)の一部をなす装置であってもよい。
【0016】
図2は、車載器1の構成を示すブロック図である。
【0017】
図2に示されるように、車載器1は、メインECU10、記憶部11、操作部12、表示部13、音声部14、無線通信部15、ナビゲーション部20を含む。
【0018】
メインECU10は、例えば、LSI(Large Scale Integration)として構成されており、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを備える。
【0019】
メインECU10は、RAMのワークエリアに展開されたプログラムを実行する。メインECU10により実行されるプログラムには、メインECU10に組み込まれた無線通信制御プログラム100が含まれる。
【0020】
メインECU10は、例えばシングルプロセッサまたはマルチプロセッサであり、少なくとも1つのCPUを含む。複数のCPUを含む構成とした場合、メインECU10は、単一の装置としてパッケージ化されたものであってもよく、車載器1内で物理的に分離した複数の装置で構成されてもよい。
【0021】
記憶部11は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置やフラッシュメモリである。記憶部11には、無線通信制御プログラム100を含む、メインECU10により実行される様々なプログラムデータ113のほか、地図データ111、接続状況DB112が記憶される。
【0022】
接続状況DB112は、複数の端末装置の各々について無線通信部15と無線接続されたときの状況に関する情報D(第1情報の一例)を記憶する情報記憶部の一例である。接続状況DB112は、車載器1の起動時に無線通信部15と無線接続される端末装置を決定するための情報Dを蓄積する。
【0023】
図3図4は、接続状況DB112に記憶された情報Dの一例を示す。図3は、情報Dの一例である情報リストL1を示す。図4は、情報Dの一例である情報リストL2を示す。図3図4に示されるように、接続状況DB112に記憶された情報Dは、端末装置が無線通信部15と無線接続されたときの状況(図3では時間帯、図4では曜日)、その状況に対応する端末装置(言い換えると、端末装置IDまたはユーザ)毎のスコアおよび位置の情報を含む。
【0024】
情報Dに含まれるスコアは、各ユーザの端末装置のそれぞれの優先度をポイントで評価した指標であり、端末装置に対応付けられたスコアが高いほどその状況において当該端末装置の持ち主がドライバである可能性が高いことを示す。例えば情報リストL1(図3参照)において、7:00~9:00の時間帯では、ユーザU2が車両Aを運転する可能性が最も高い。この時間帯では、ユーザU2、U1、U4、U3の順で車両Aを運転する可能性が高い。このスコアは、後述する優先順位を決定するために使用される。
【0025】
情報Dに含まれる位置は、運転中にドライバが置く端末装置の位置を示す。本実施形態では、ドライバが自身の端末装置を運転席に置くことを想定している。そのため、情報Dに含まれる位置は、初期的には運転席となっている。但し、ドライバが端末装置を運転席に置くとは限らない。例えば端末装置を鞄に入れて助手席や後部座席に置く癖を持つドライバもいる。そのため、この位置は、必要に応じて運転席から別の座席に更新され得る。
【0026】
情報Dに含まれる状況は、時間帯と曜日に限らない。情報Dに含まれる状況は、例えば、ドライバの端末装置が無線通信部15と無線接続される接続頻度、持続的な接続時間、ドライバの端末装置と無線通信部15との無線接続時の、車両Aの総走行距離、総走行時間、走行開始位置、車両Aの目的地(ナビゲーション部20で設定された目的地)などであってもよい。車両Aの総走行距離、総走行時間、走行開始位置、車両Aの目的地は、例えばナビゲーションECU21により取得される。
【0027】
すなわち、各状況に対応する、より多くの情報リストが、接続状況DB112に記憶されてもよい。
【0028】
操作部12は、メカニカル方式、静電容量無接点方式、メンブレン方式等のスイッチ、ボタン、ノブ、ホイール等の操作子を含む。ユーザは、操作部12を介して車載器1を操作することができる。
【0029】
表示部13は、各種画面を表示する装置であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)などのディスプレイを含む。表示部13は、タッチパネルを含む構成としてもよい。ユーザは、タッチパネルを介して車載器1を操作することができる。この場合、タッチパネルが操作部12の一部をなす。
【0030】
音声部14は、例えばスピーカ等の出力部を含む。音声部14は、例えばナビゲーション用の音声を出力する。
【0031】
無線通信部15は、例えばBluetoothレシーバであり、Bluetooth規格に準拠した無線通信を行う。無線通信部15は、トランスミッタ機能とレシーバ機能を兼ね備えたBluetooth送受信機であってもよい。
【0032】
ナビゲーション部20は、ナビゲーションECU21、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部22、車両情報取得部23を含む。
【0033】
GNSS受信部22は、複数のGNSS衛星より受信したGNSS信号に基づいて、無線通信部15を含む車両の現在位置を測定するモジュールである。GNSS受信部22は、所定の時間間隔(例えば1秒間毎)で現在位置を測定し、測定結果をナビゲーションECU21に出力する。GNSSの代表的な例としては、GPS(Global Positioning System)が挙げられる。
【0034】
このように、GNSS受信部22は、無線通信部15を搭載した車載器1の現在位置を検知する位置検知部の一例である。
【0035】
ナビゲーションECU21は、メインECU10と協働して、記憶部11に記憶された地図データ111をレンダリングして地図を表示部13に表示させるとともにGNSS受信部22より測定された現在位置を取得し、自車位置を示すマークを、取得された現在位置であって、表示部13に表示されている地図の道路上の位置に重ねる(マップマッチングする)。
【0036】
車両情報取得部23は、例えば、車両の水平面における方位に関する角速度を計測するジャイロセンサ、車両の左右の駆動輪の回転速度を検出する車速センサなどのDR(Dead Reckoning)センサを含む。車両情報取得部23は、ナビゲーション部20ではなく他の車載装置に設けられてもよい。車両情報取得部23は、他の車載装置から車両の通信インタフェースを介して、車速情報やセンサデータを取得してもよい。
【0037】
ナビゲーションECU21は、車両情報取得部23より取得される情報から現在位置を推定することもできる。ナビゲーションECU21は、GNSS受信部22より取得される現在位置と、車両情報取得部23より取得される情報に基づいて推定された現在位置の両方を比較したうえで、最終的な現在位置を決定してもよい。
【0038】
ナビゲーションECU21は、地図データ111にアクセスして、現在位置からユーザ操作により設定された目的地までの経路を例えばダイクストラ法で探索し、探索された経路を設定する。ナビゲーションECU21は、経路案内の実行時、表示部13に表示されている地図内の経路を強調表示させる。ナビゲーションECU21は、現在位置を定期的に取得し、取得された現在位置とマッチする地図を表示部13に表示させるとともに、経路案内用の音声信号を音声部14で適時に再生させる。現在位置が経路から外れた場合、ナビゲーションECU21は、経路の再探索および再設定を行う。
【0039】
ナビゲーション部20は、1つの車載器1の一部となっているが、1つの別の装置として構成されてもよい。この場合、地図データ111もナビゲーション部20に設けられた記憶部に置かれる。メインECU10は、別途設けられた通信手段およびナビゲーションECU21を介して地図データ111にアクセスすることになる。
【0040】
車載器1は、図1に示されていない他の構成を備えていてもよい。また、図1の例では、メインECU10とナビゲーションECU21が別個独立したECUとして構成されるが、別の実施形態では、メインECU10とナビゲーションECU21は、単一のECUとして構成されてもよい。また、ナビゲーション部20は、そこで実行されるプログラムを記憶する記憶部(図示しない)を有する。この記憶部は、ナビゲーションECU21内にあってもよい。すなわち、無線通信制御装置の一例である車載器1の態様には自由度があり、各種の設計変更が可能である。
【0041】
無線通信制御プログラム100は、現在の状況および接続状況DB112(情報記憶部の一例)に記憶された情報D(第1情報の一例)に基づいて複数の端末装置の優先順位を決定し、決定された優先順位の高い端末装置から順に無線通信部15との無線接続を試み、無線通信部15と無線接続された端末装置の位置を取得し、取得された位置に基づいて接続状況DB112の情報Dを更新する、という一連の処理を、コンピュータの一例である車載器1に実行させる。これにより、例えば車載器1の起動時などの無線接続前に、車室内にある特定の端末装置(例えばドライバの端末装置)を優先接続先として決定し、できるだけ速やかに、ドライバが自分の端末装置を使用した機能(例えばハンズフリー通話)の利用を開始することができるようになる。
【0042】
図5は、車載器1の機能ブロック図である。車載器1は、図5に示されるように、機能ブロックとして、接続決定部200、接続制御部210、位置取得部220、情報更新部230、問合せ部240を含む。各機能ブロックは、メインECU10が記憶部11から読み出した無線通信制御プログラム100(プログラムデータ113に含まれる)を実行することにより実現される。各機能ブロックは、一部または全部が専用の論理回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0043】
接続決定部200は、現在の状況および接続状況DB112(情報記憶部の一例)に記憶された情報D(第1情報の一例)に基づいて複数の端末装置の優先順位を決定する。情報Dは、複数の端末装置の各々について無線通信部15と無線接続されたときの状況に関する情報である。接続決定部200は、接続状況DB112のなかから現在の状況に対応する情報Dを取得し、取得された情報Dに含まれる各端末装置のスコアに基づいて優先順位を決定し、その優先順位に従って最初に接続を試みる接続先の端末装置を決定する。
【0044】
接続制御部210は、接続決定部200で接続先として決定された優先順位の高い端末装置から順に無線通信部15との無線接続を試みる。すなわち、最初に接続を試みた端末装置との間で無線接続が確立できない場合、接続決定部200は、次に優先順位の高い端末装置を接続先として決定する。接続制御部210は、接続先として決定された次に優先順位の高い端末装置との無線接続を試みる。接続制御部210は、何れかの端末装置との間で無線接続が確立するまで、この試行を繰り返す。なお、上記においては、接続決定部200が試行する端末装置をも決定する構成としたが、接続制御部210が、接続決定部200が決定した優先順位に基づいて試行する端末装置を決定する構成としてもよい。
【0045】
位置取得部220は、無線通信部15と無線接続された端末装置の位置を取得する。例示的には、位置取得部220は、Bluetoothの方位角検知機能(AoA(Angle of Arrival)、AoD(Angle of Departure)など)を用いて、端末装置の位置を検知する。
【0046】
例えば右ハンドル車である場合、位置取得部220は、車載器1から見て左側の所定の第1の角度範囲内で端末装置を検知すると、これを、運転席に置かれた端末装置として検知する。また、位置取得部220は、車載器1から見て右側の所定の第2の角度範囲内で端末装置を検知すると、これを、助手席に置かれた端末装置として検知する。また、位置取得部220は、車載器1から見て左側の所定の第3の角度範囲内で端末装置を検知すると、これを、運転席後方の座席に置かれた端末装置として検知する。また、位置取得部220は、車載器1から見て右側の所定の第4の角度範囲内で端末装置を検知すると、これを、助手席後方の座席に置かれた端末装置として検知する。
【0047】
情報更新部230は、位置取得部220で取得された端末装置の位置に基づいて接続状況DB112の情報Dを更新する。具体的には、位置取得部220で取得された端末装置の位置が特定の座席位置(例えば運転席)の場合、情報更新部230は、現在の状況に対応する情報Dにおいて、特定の座席位置に位置する端末装置に対応するスコアを上げる。
【0048】
問合せ部240は、位置取得部220で取得された位置が特定の座席位置以外(例えば運転席以外)の場合、複数の端末装置のなかで何れの端末装置が運転席に着座したユーザの端末装置であるかをユーザに問合せる。
【0049】
この問合せは、例えば表示部13に表示される。ユーザは、例えば問合せ画面に表示されたユーザ名の何れかをタッチすることで、何れの端末装置がドライバの端末装置であるかを回答することができる。
【0050】
図6は、本発明の一実施形態において車載器1のメインECU10により実行される無線接続処理のフローチャートを示す。例えば車載器1が起動すると、図6に示される無線接続処理の実行が開始される。
【0051】
車載器1は、接続状況DB112のなかから、適用する情報リストを選択する(ステップS101)。車載器1は、例えばデフォルトで設定された情報リストを選択する。車載器1は、過去の接続結果に基づいて、ドライバの推定率が最も高い情報リストを選択してもよい。選択される情報リストは1つに限らない。車載器1は、複数の情報リストを選択してもよい。
【0052】
車載器1は、ステップS101で選択された情報リストに基づいて複数の端末装置(本実施形態では端末装置D1~D4)の優先順位を決定し、その優先順位に従って最初に接続を試みる接続先の端末装置を決定する(ステップS102)。
【0053】
具体的には、車載器1は、ステップS101で選択された情報リストのなかから現在の状況に対応する情報を取得し、取得された情報に含まれる各端末装置のスコアに基づいて各端末装置の優先順位を決定する。車載器1は、決定された接続順位に従って最初に接続を試みる端末装置を決定する。ステップS101で複数の情報リストが選択される場合、車載器1は、それら複数の情報リストから得られる複数のスコアに基づいて(例えば、各端末装置について各情報リストから得られるスコアを合計して)各端末装置の優先順位を決定する。
【0054】
一例として、ステップS101で情報リストL1が選択され、且つ現在時刻が6:00である場合を説明する。この場合、車載器1は、情報リストL1のなかから時間帯「5:00~7:00」の情報を取得し、取得された情報のなかでスコアが最も高いユーザをドライバとして推定し、優先順位の最上位とする。図3の例では、車載器1は、最も高いスコア90のユーザU1をドライバとして推定し、優先順位の最上位とする。
【0055】
他の例として、ステップS101で情報リストL1およびL2が選択され、現在の曜日が日曜日で且つ時刻が6:00である場合を説明する。この場合、車載器1は、情報リストL1のなかから時間帯「5:00~7:00」の情報を取得するとともに、情報リストL2のなかから「日曜日」の情報を取得し、取得された情報のなかでスコアの合計が最も高いユーザをドライバとして推定し、優先順位の最上位とする。
【0056】
図3および図4に示されるように、ユーザU1のスコアの合計が210(=90+120)であり、ユーザU1~U4のなかで最も高い。そのため、車載器1は、ユーザU1をドライバとして推定し、優先順位の最上位とする。
【0057】
車載器1は、ステップS102で決定された端末装置と無線通信部15との無線接続を試行する(ステップS103)。
【0058】
ステップS102で決定された端末装置と無線通信部15との無線接続が確立できない場合(ステップS104:NO)、この端末装置のユーザが車両Aに乗車していない可能性が高い。そのため、車載器1は、次に優先順位の高い接続先の端末装置、すなわち、時間帯「5:00~7:00」の情報のなかでスコアが次に高いユーザの端末装置を接続先として決定し(ステップS102)、決定された端末装置と無線通信部15との無線接続を試行する(ステップS103)。
【0059】
車載器1は、端末装置と無線通信部15との無線接続が確立できるまで、ステップS102~S104の処理を繰り返す。なお、本フローチャートでは、無線接続が確立した場合に無線接続の試行を中止しているが(ステップS104:YES)、優先順位に従ってその後も無線接続の試行を繰り返し、複数の端末装置と無線接続を確立するようにしてもよい。
【0060】
このように、車載器1は、現在の状況および接続状況DB112(情報記憶部の一例)に記憶された情報D(第1情報の一例)に基づいて複数の端末装置の優先順位を決定する接続決定部200として動作する。
【0061】
また、車載器1は、接続決定部200で決定された優先順位の高い端末装置から順に無線通信部15との無線接続を試みる接続制御部210として動作する。
【0062】
ステップS102で決定された端末装置と無線通信部15との無線接続が確立すると(ステップS104:YES)、車載器1は、この端末装置の位置を検知する(ステップS105)。位置検知には、例えば上述したように、Bluetoothの方位角検知機能が用いられる。
【0063】
このように、車載器1は、無線通信部15と無線接続された端末装置の位置を取得する位置取得部220として動作する。
【0064】
車載器1は、無線通信部15と無線接続された端末装置がドライバの端末装置であるか否かを確認するため、ステップS105で検知された位置が特定の座席位置か否かを判定する(ステップS106)。
【0065】
特定の座席位置は、運転中にドライバが置く端末装置の位置を示す。接続状況DB112に記憶された位置は、この特定の座席位置を示す。
【0066】
例えば、ステップS101で情報リストL1が選択され、且つ現在時刻が6:00であり、無線通信部15とユーザU1の端末装置D1との無線接続が確立した場合を説明する。この場合、情報リストL1の時間帯「5:00~7:00」の情報のなかで、ユーザU1に対応付けられた運転席が、特定の座席位置となる。
【0067】
また、例えば、ステップS101で情報リストL1が選択され、且つ現在時刻が6:00であり、ユーザU1およびU4が乗車しておらず、無線通信部15とユーザU2の端末装置D2との無線接続が確立した場合を説明する。この場合、情報リストL1の時間帯「5:00~7:00」の情報のなかで、ユーザU2に対応付けられた助手席が、特定の座席位置となる。
【0068】
ステップS105で検知された位置が特定の座席位置の場合(ステップS106:YES)、無線通信部15との無線接続が確立した端末装置のユーザがドライバであると推定される。車載器1は、この推定結果に基づいてスコアを更新する(ステップS107)。
【0069】
例示的には、車載器1は、時間帯「5:00~7:00」においてユーザU1(無線通信部15との無線接続が確立した端末装置のユーザであり、ドライバと推定されるユーザ)に対応付けられたスコア(図3では90)に所定値を加算する。また、車載器1は、時間帯「5:00~7:00」において他のユーザU2~U4に対応付けられたスコア(図3ではそれぞれ、50、30、10)から所定値を減算する。
【0070】
このように、車載器1は、位置取得部220で取得された位置に基づいて接続状況DB112を更新する情報更新部230として動作する。附言するに、情報更新部230として動作する車載器1は、位置取得部220で取得された位置が特定の座席位置(例えば運転席)の場合、現在の状況に対応する情報D(第1情報の一例)において、特定の座席位置に位置する端末装置に対応するスコアを上げる。
【0071】
本実施形態では、ドライバのものと推定される端末装置が最初の接続先として速やかに決定される。無線通信部15との無線接続が確立した端末装置の位置が検知されて、ドライバの端末装置であることが裏付けられると、ドライバと推定されたユーザのスコアが他のユーザのスコアに対して増加する。図6に示される無線接続処理が繰り返し実行されてスコアが更新されるほど、ドライバの可能性が高いユーザのスコアが相対的に増加するため、ドライバの推定精度が向上する。そのため、車載器1は、より確実に、無線通信部15とドライバの端末装置とを速やかに接続できるようになる。
【0072】
ステップS105で検知された位置が特定の座席位置でない場合(ステップS106:NO)、無線通信部15との無線接続が確立した端末装置のユーザがドライバでないと推定される。そこで、車載器1は、ユーザに対して問合せを行う(ステップS108)。
【0073】
具体的には、車載器1は、表示部13を用いて問合せ画面を表示する。問合せ画面には、何れのユーザがドライバであるかを問合せるため、例えばユーザ名がリスト表示される。ユーザは、リスト表示されたユーザ名のなかから、ドライバのユーザ名をタッチすることができる。
【0074】
車載器1は、タッチされたユーザ名を回答結果として取得する(ステップS109)。
【0075】
車載器1は、回答結果で示されるユーザの端末装置と無線通信部15との無線接続を確立させる(ステップS110)。
【0076】
車載器1は、ステップS110で無線接続が確立した端末装置の位置を検知する(ステップS111)。
【0077】
車載器1は、接続状況DB112の情報Dを更新する(ステップS111)。
【0078】
一例として、土曜日に、スコアが最も高いユーザU3の端末装置D3が後部座席で検知され、その後、ドライバがユーザU4であることが回答され、且つユーザU4の端末装置D4が助手席で検知された場合を説明する。この場合、車載器1は、情報リストL2の「土曜日」の情報のなかで、ドライバであると回答されたユーザU4のスコアを他のユーザのスコアに対して上げるとともに、ユーザU4に対応付けられた位置「運転席」を「助手席」に変える。
【0079】
このように、車載器1は、位置取得部220で取得された位置が特定の座席位置以外(例えば運転席以外)の場合、複数の端末装置のなかで何れの端末装置が運転席に着座したユーザの端末装置であるかをユーザに問合せる問合せ部240として動作する。
【0080】
情報更新部230として動作する車載器1は、問合せ部240に対するユーザの回答結果に基づいて接続状況DB112を更新する。また、情報更新部230として動作する車載器1は、接続状況DB112において、ユーザの回答結果で示されるユーザの端末装置と、位置取得部220で取得された位置と、を関連付けて記憶する。
【0081】
このように、車載器1によるドライバの推定が誤っていた場合、車載器1は、ユーザからのフィードバック(回答)を得て情報Dを更新する。これにより、ドライバの推定精度が向上する。
【0082】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
【0083】
上記の実施形態では、車載器1は、無線通信部15との無線接続が確立した端末装置を特定の座席位置で検知すると、この端末装置のユーザをドライバであると推定して、スコアを更新する(図6のステップS106~S107)。ここで、端末装置D1~D4のうち、3つの端末装置で無線接続が確立できず残りの1つの端末装置で無線接続が確立できた場合を考える。この場合、無線接続が確立した残りの1つの端末装置は、ドライバの端末装置である可能性が高い。そこで、この場合、車載器1は、無線接続が確立した時点で当該端末装置のユーザをドライバであると推定して、スコアを更新してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 :車載器
10 :メインECU
11 :記憶部
12 :操作部
13 :表示部
14 :音声部
15 :無線通信部
20 :ナビゲーション部
100 :無線通信制御プログラム
112 :接続状況DB
200 :接続決定部
210 :接続制御部
220 :位置取得部
230 :情報更新部
240 :問合せ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6