(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017620
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電子内視鏡用プロセッサ
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20240201BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61B1/12 542
A61B1/12 540
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120378
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】士方 孝夫
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040CA04
2H040CA05
2H040CA06
2H040CA09
2H040CA11
2H040DA12
2H040GA02
2H040GA05
2H040GA11
4C161GG01
4C161JJ11
4C161NN10
(57)【要約】
【課題】電子内視鏡用プロセッサが光源装置を内蔵する場合に光源装置を効率よく冷却できるようにする。
【解決手段】本発明の一態様は、筐体と、筐体に取り付けられ、筐体の内部空間内の空気を外部に排気する排気ファンと、筐体内に配置され、生体組織の照明のための照明光を出射する光源部と、筐体内において光源部の近傍に設けられ、光源部の周囲にある空気を前記排気ファンに送る送風ファンと、を備えた電子内視鏡用プロセッサである。筐体には、光源部の周囲に向けて外気を導入する吸気孔が形成されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に取り付けられ、前記筐体の内部空間内の空気を外部に排気する排気ファンと、
前記筐体内に配置され、生体組織の照明のための照明光を出射する光源部と、
前記筐体内において前記光源部の近傍に設けられ、前記光源部の周囲にある空気を前記排気ファンに送る送風ファンと、を備え、
前記筐体には、前記光源部の周囲に向けて外気を導入する吸気孔が形成されている、
電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項2】
前記筐体内において前記光源部に連結され、かつ内部空間が形成され、前記光源部が発する熱を伝熱する伝熱構造部を備え、
前記吸気孔から前記伝熱構造部の内部空間に直接外気が導入される、
請求項1に記載された電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項3】
前記送風ファンは、前記伝熱構造部の内部空間の空気を前記排気ファンに送るように前記伝熱構造部に取り付けられている、
請求項2に記載された電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項4】
前記伝熱構造部が前記筐体の底部に配置され、前記吸気孔が前記筐体の底部に形成されている、
請求項2又は3に記載された電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項5】
前記吸気孔は、前記筐体内の前記伝熱構造部以外の他の内部空間から気密されている、
請求項4に記載された電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項6】
前記伝熱構造部は、実質的に、前記吸気孔から前記送風ファンに向かう方向に沿って延びる複数のフィンを有する、
請求項2又は3に記載された電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項7】
前記光源部又は前記伝熱構造部に取り付けられる温度センサと、
前記温度センサの検出値に基づいて前記排気ファン及び/又は前記送風ファンの回転速度を制御する制御部と、を備えた、
請求項2又は3に記載された電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項8】
前記光源部を密閉して収容する収容部を備え、
前記放熱構造部と前記収容部が一体化された構造となっている、
請求項2又は3に記載された電子内視鏡用プロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織の撮像画像を取得して処理するように構成された電子内視鏡用プロセッサに関する。
【背景技術】
【0002】
人体内部の生体組織の観察や治療に電子内視鏡システムが使用されている。電子内視鏡システムは、生体組織を撮像素子で撮像して撮像画像をプロセッサに伝送する電子内視鏡と、撮像画像の信号を信号処理して表示用画像を作成するプロセッサ(電子内視鏡用プロセッサ)を備える。
電子内視鏡用プロセッサには、生体組織を観察するための光源装置をプロセッサに内蔵することがある。その場合、プロセッサ内部の熱源に起因する筐体内温度上昇による光源装置の冷却性能への影響を軽減する方策が必要となる。
【0003】
例えば特許文献1では、下方に延びるフィン付きの台(platform)で筐体を上下の空間に分離し、光学系の部品を気流により汚染する可能性を低減するために、上部空間に光源や光学系を配置し、下部空間にファンを含む冷却系を配置した固体照明システム(solid state illumination system)が記載されている(
図7A~7Dを参照)。下部空間では、ファンの反対側にある開口(aperture)からファンが気流を引き込み、排気することで熱を放出するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開2013/0188388号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された光源装置(上記固体照明システム)では、筐体においてファンの反対側にある開口からファンが気流を引き込み、排気する構成である。そのため、特許文献1に記載された光源装置を電子内視鏡用プロセッサの筐体へ搭載した場合、筐体内部の空気を開口に取り入れることになるが、筐体内部には光源装置以外の熱源があるために室温より高いことから、光源装置を室温より高い温度で冷却することになり冷却効率が悪い。
【0006】
そこで、本発明は、電子内視鏡用プロセッサが光源装置を内蔵する場合に光源装置を効率よく冷却できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、筐体と、
前記筐体に取り付けられ、前記筐体の内部空間内の空気を外部に排気する排気ファンと、
前記筐体内に配置され、生体組織の照明のための照明光を出射する光源部と、
前記筐体内において前記光源部の近傍に設けられ、前記光源部の周囲にある空気を前記排気ファンに送る送風ファンと、を備える電子内視鏡用プロセッサである。
前記筐体には、前記光源部の周囲に向けて外気を導入する吸気孔が形成されている。
【0008】
前記電子内視鏡用プロセッサは、前記筐体内において前記光源部に連結され、かつ内部空間が形成され、前記光源部が発する熱を伝熱する伝熱構造部を備えてもよい。この場合、前記吸気孔から前記伝熱構造部の内部空間に直接外気が導入される。
【0009】
前記送風ファンは、前記伝熱構造部の内部空間の空気を前記排気ファンに送るように前記伝熱構造部に取り付けられてもよい。
【0010】
前記伝熱構造部は、前記筐体の底部に配置され、前記吸気孔が前記筐体の底部に形成されることが好ましい。
【0011】
前記吸気孔は、前記筐体内の前記伝熱構造部以外の他の内部空間から気密されることが好ましい。
【0012】
前記伝熱構造部は、実質的に、前記吸気孔から前記送風ファンに向かう方向に沿って延びる複数のフィンを有してもよい。
【0013】
前記電子内視鏡用プロセッサは、
前記光源部又は前記伝熱構造部に取り付けられる温度センサと、
前記温度センサの検出値に基づいて前記排気ファン及び/又は前記送風ファンの回転速度を制御する制御部と、をさらに備えてもよい。
【0014】
前記電子内視鏡用プロセッサは、前記光源部を密閉して収容する収容部を備えてもよい。この場合、前記放熱構造部と前記収容部が一体化された構造となっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上述の電子内視鏡用プロセッサによれば、電子内視鏡用プロセッサが光源装置を内蔵する場合に光源装置を効率よく冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態の電子内視鏡システムの概略的構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態の電子内視鏡用プロセッサの上面図及び側面図である。
【
図3】一実施形態の電子内視鏡用プロセッサの底面図である。
【
図4】一実施形態の電子内視鏡用プロセッサの内部を上方から見たときの図である。
【
図5】一実施形態の電子内視鏡用プロセッサに搭載される光源装置の斜視図である。
【
図6】一実施形態の電子内視鏡用プロセッサに搭載される光源装置を
図5は別の視点から見た斜視図である。
【
図7】一実施形態の電子内視鏡用プロセッサに搭載される光源装置について
図4のA-Aでの断面を示す図である。
【
図8】
図5の光源装置に含まれる排熱部の斜視図である。
【
図9】一実施形態の電子内視鏡用プロセッサの内部の冷却動作を説明する図である。
【
図10】温度センサを備えた電子内視鏡用プロセッサを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(システム構成)
以下、一実施形態の電子内視鏡システムについて説明する。
一実施形態の電子内視鏡システムは、生体組織の撮像画像を取得する撮像素子を備えた電子内視鏡(電子スコープ)と、電子内視鏡に対して着脱可能に接続される電子内視鏡用プロセッサと、を備える。電子内視鏡用プロセッサは、生体組織の撮像画像を信号処理して表示用画像を作成する電子機器である。
図1に、一実施形態の電子内視鏡システム100の概略的構成を示す。
図1に示すように、電子内視鏡システム100は、電子内視鏡用プロセッサ1、電子スコープ9、及び、モニタ8を備える。電子内視鏡用プロセッサ1と電子スコープ9は、コネクタCONによって接続されている。
【0018】
電子内視鏡用プロセッサ1は、システムコントローラ11を備えている。システムコントローラ11は、メモリ12に記憶された各種プログラムを実行し、電子内視鏡システム100全体を統合的に制御する。また、システムコントローラ11は、操作パネル13に接続されている。システムコントローラ11は、操作パネル13に入力される術者からの指示に応じて、電子内視鏡システム100の各動作及び各動作のためのパラメータを変更する。
【0019】
電子内視鏡用プロセッサ1は、光源装置5を備えている。光源装置5は、体腔内の生体組織等の被写体を照明するための照明光Lを出射する。光源装置5の光源は、例えば、白色の照明光を放射する高輝度ランプ(例えば、キセノンランプ、メタルハライドランプ、水銀ランプ又はハロゲンランプ等)、所定の色の波長帯域の光を出射する複数の発光ダイオード、又はレーザ光源である。光源装置5から出射した照明光Lは、集光レンズ15によりLCB(Light Carrying Bundle)91の入射端面に集光されてLCB91内に入射される。
【0020】
LCB91内に入射された照明光Lは、LCB91内を伝播する。LCB91内を伝播した照明光Lは、電子スコープ9の先端に配置されたLCB91の射出端面から射出され、配光レンズ92を介して被写体に照射される。配光レンズ92からの照明光Lによって照明された被写体からの戻り光は、対物レンズ93を介して固体撮像素子94の受光面上で光学像を結ぶ。
【0021】
固体撮像素子94は、ベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。固体撮像素子94は、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の画像信号を生成して出力する。なお、固体撮像素子94は、CCDイメージセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである場合もある。
【0022】
電子スコープ9の接続部内には、ドライバ信号処理回路95が備えられている。ドライバ信号処理回路95には、固体撮像素子94から被写体の画像信号が所定のフレーム周期で入力される。フレーム周期は、例えば、1/30秒である。ドライバ信号処理回路95は、固体撮像素子94から入力される画像信号に対してA/D変換を含む所定の処理を施して電子内視鏡用プロセッサ1の画像処理部16に出力する。
画像処理部16は、所定の画像処理を行ってビデオフォーマット信号を生成し、モニタ8に出力する。
【0023】
電子内視鏡用プロセッサ1には、画像処理部16から画像信号の輝度情報を取得し、その輝度情報に基づいて光源装置5の照明光の強度を制御する光源制御部17を備える。
光源制御部17は、明るさが少ない場合には光源装置5から照射される照明光の強度が高くなり、明るさが大きい場合には光源装置5から照射される照明光の強度が低くなるように、光源装置5を制御する。それによって、ドライバ信号処理回路95から受信する画像信号の明るさが一定に維持されるように制御される。
【0024】
システムコントローラ11は、電子スコープ9の固有情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ11は、生成された制御信号を用いて、電子内視鏡用プロセッサ1に接続されている電子スコープ9に適した処理がなされるように電子内視鏡用プロセッサ1内の各種回路の動作やタイミングを制御する。
【0025】
(電子内視鏡用プロセッサ1の構造)
次に、電子内視鏡用プロセッサ1の構造について説明する。
電子内視鏡用プロセッサ1において、システムコントローラ11、画像処理部16、及び、光源制御部17は、それぞれCPU(Central Processing Unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field-programmable gate array)等を含む回路基板で構成される。そのため、電子内視鏡用プロセッサ1の筐体内において光源装置5の周囲の雰囲気は室温より高くなっており、光源装置5の周囲の空気では光源装置5を効率的に冷却できない。そこで、一実施形態の電子内視鏡用プロセッサ1では、後述するように、筐体内の光源装置5に対して室温の外気を直接導入するように構成される。
【0026】
図2に、一実施形態の電子内視鏡用プロセッサ1の上面図及び側面図を示す。
図3に、一実施形態の電子内視鏡用プロセッサ1の底面図を示す。
図2に示すように、電子内視鏡用プロセッサ1は、前面部21、後面部22、天板23、底板24(底部の一例)、左側板25L、及び、右側板25Rを有し、直方体形態の外観をなしている。底板24には複数の脚部27が取り付けられる。前面部21には、操作パネル13が配置される。以下の説明では、左側板25L、及び、右側板25Rに共通する事項について言及するときには、「側板25」と表記する。
【0027】
筐体2の後面部22には、2個の排気ファン71,72が設置される。排気ファン71,72は、筐体2内に導入された空気を吸い込み、排出するために設けられている。
なお、以下の説明で参照する各図には、左側板25Lから右側板25Rに向かう方向を+X方向、後面部22から前面部21に向かう方向を+Y方向、底板24から天板23に向かう方向を+Z方向となるように、XYZ座標軸が記載されている。
【0028】
図3に示すように、電子内視鏡用プロセッサ1の底板24には、吸気孔28が形成されている。後述するように、吸気孔28は、光源装置5に対して室温の外気を直接導入するために設けられている。
図2に示したように、底板24には脚部27が取り付けられており、底板24と電子内視鏡用プロセッサ1の載置面との間には隙間が形成されているため、吸気孔28から外気を導入できる。
一実施形態では、吸気孔28は、複数の小さな孔の集合体により構成される。
図3に示す例では、各孔の形状は円形であるが、その限りではなく、扁平した楕円に近い形状、円形、多角形等に設定することができる。
【0029】
図4は、一実施形態の電子内視鏡用プロセッサ1の筐体2の内部を上方から見たときの図である。
図4に示すように、底板24の上には、光源装置5及び複数の発熱部品が配置される。光源装置5は、独立したケースに光源が内蔵されており、ケース内の高熱の気流を排気ファン71に向けて送り出す3個の送風ファン61~63を備える。3個の送風ファン61~63から吐き出される気流を効率良く排気ファン71に向けるために、各送風ファンと排気ファン71の間に部品を配置しないことが好ましい。
図4に示すように、光源装置5が配置される筐体2の底板24には、光源装置5に外気を導入するための吸気孔28(
図3も参照)が形成されている。
【0030】
次に、光源装置5について
図5~
図8を参照して説明する。
図5は、一実施形態の電子内視鏡用プロセッサ1に搭載される光源装置5を上面が見える視点から見た斜視図である。
図6は、光源装置5を底面が見える視点から見た斜視図である。
光源装置5には、複数の光源からなる光源群や複数のレンズを含む光学系がケース(筐体)に内蔵されている。光源装置5は、前方(+Y方向)に向けて光出射部51が向くように、筐体2内に設置される。
光源装置5の後部、すなわち、光出射部51とは反対側には、送風ファン61~63が設けられる。
【0031】
図6に示すように、光源装置5の底部52には、開口53が形成されている。開口53は、光源装置5が筐体2の底板24に配置されたときに吸気孔28と対向し、吸気孔28から導入される外気を光源装置5の内部に導く。
【0032】
図7に、一実施形態の電子内視鏡用プロセッサ1に搭載される光源装置5について
図4のA-Aでの断面を示す。
一実施形態では、光源装置5の内部空間は、隔壁55により下部空間50Lと上部空間50Uとに区画される。上部空間50Uには、光源群81及び光学系82を含む光源部80が配置される。光源装置5のうち上部空間50Uを形成する部分は、光源部80を密閉して収容する収容部である。そのため、上部空間50Uに配置される光学系82の汚染が防止される。光源部80によって生成される光が光出射部51から出射される。
一実施形態では、光源装置5は、伝熱構造部57を含む。伝熱構造部57は、隔壁55を含み、光源部80に連結されている。すなわち、光源部80が収容される収容部と伝熱構造部57が一体化された構造となっている。
【0033】
伝熱構造部57には下部空間50Lが形成され、光源部80が発する熱を伝熱する機能を有する。伝熱構造部57は、例えば、熱伝導率の高い金属(例えばアルミニウム、鉄、銅)によって形成されていることが好ましい。
下部空間50Lには、筐体2の吸気孔28(
図2参照)及び開口53を通して室温の外気が導入される。そのため、伝熱構造部57を通して伝わる光源部80からの熱を室温の外気により効率的に冷却することができる。
【0034】
伝熱構造部57には、光源部80の近傍に設けられて下部空間50L内の空気(光源部80の周囲にある空気)を排気ファン71に送る送風ファン61~63が取り付けられている。これらの送風ファンにより、光源部80からの熱により暖められた空気が、光源装置5の下部空間50Lから排出されて排気ファン71に送られる。そのため、光源部80によって発する熱を効率良く光源装置5から排出できるとともに、排気ファン71により筐体2から排出できる。
【0035】
一実施形態では、伝熱構造部57の伝熱性能をさらに高めるために、伝熱構造部57によって形成される下部空間50L内に排熱部56が設けられる。
排熱部56の構成例を
図8に示す。
図8は、光源装置5に含まれる例示的な排熱部56の斜視図である。排熱部56は、実質的に、吸気孔28及び開口53から送風ファン61~63に向かう方向に沿って延びる複数のフィンからなるヒートシンク561を有する。一実施形態では、排熱部56は、
図8に示すようにヒートパイプ562を有してもよい。ヒートシンク561は、光源部80からの排熱性能を高めるために隔壁55に連結されている。
【0036】
図8には、開口53から導入された空気が送風ファン61~63に向かう空気の流れが矢印で示してある。ヒートシンク561の各フィンは、この空気の流れを妨げない方向に取り付けられている。つまり、送風ファン61~63に向かう空気の流れと板状の各フィンの面が概ね、平行となるようにするのがよい。
排熱部56を設けることで、光源部80に発する熱の排出効率をさらに高められる。
【0037】
図3及び
図7に示した実施形態では、光源装置5の伝熱構造部57が筐体2の底板24に配置され、吸気孔28が筐体2の底板24に形成され、それによって筐体2の底部から外気が伝熱構造部57に導入される。この構成は、外気を光源装置5の下部にある伝熱構造部57に導入するのに都合が良く、実装が容易であるという利点がある。しかしその限りでなく、筐体2の吸気孔を側板25に設け、当該吸気孔に対応する位置に光源装置5の開口を設けることで、筐体2の側部から外気を伝熱構造部57に導入するようにしてもよい。
【0038】
一実施形態では、吸気孔28及び開口53は、筐体2内の伝熱構造部57以外の他の内部空間から気密されている。吸気孔28及び開口53をパッキン等で気密することで、筐体2内の伝熱構造部57以外の他の内部空間にある空気が伝熱構造部57に導入することが避けられる。筐体2内の伝熱構造部57以外の他の内部空間には光源装置5以外の発熱部品があるために、当該内部空間の空気は室温より高い。吸気孔28及び開口53を気密することで、この室温より高い空気が伝熱構造部57に入り込むことが防止され、冷却効率の低下が避けられる。また、吸気孔28及び開口53が気密されていないと、吸気孔28から導入される外気の風速が低下し、冷却効率が低下する可能性がある。
【0039】
次に、
図9を参照して、電子内視鏡用プロセッサ1の冷却動作について説明する。
図9は、一実施形態の電子内視鏡用プロセッサ1の内部の冷却動作を説明する図である。
図9には、電子内視鏡用プロセッサ1の筐体2に導入されて排出される空気の流れを矢印で示している。
【0040】
光源装置5の上部空間50Uには光源部80が配置される。光源装置5は、下部空間50Lが形成された伝熱構造部57を備える。そのため、光源部80が動作することによって発生する熱は伝熱構造部57に伝えられて、下部空間50Lに排熱される。好ましくは、下部空間50Lに排熱部56(
図8参照)が配置され、さらに効率良く排熱が行われる。
【0041】
筐体2の吸気孔28及び光源装置5の開口53を通して室温の外気が下部空間50Lに導入され、送風ファン61~63によって排気ファン71に送られる。そのため、伝熱構造部57により排出された熱によって暖められた外気が送風ファン61~63から排気ファン71に送られ、筐体2の外に排気される。送風ファン61~63と排気ファン71は空気の流れに沿って直列配置されることで吸引力が高くなることから、筐体2の吸気孔28から外気が多く取り込まれる。そのため、吸気孔28から排気ファン71に至る気流の風量、風速が増加し、冷却性能を向上させることができる。気流の風量や風速が増加することで、光源装置5内や光源装置5の外部の筐体2内の埃の堆積や付着を抑制することもできる。
なお、送風ファン及び排気ファンのタイプは問わず、軸流ファンであってもブロアファンであってもよい。
【0042】
一実施形態では、電子内視鏡用プロセッサ1は、光源部80又は伝熱構造部57取り付けられる温度センサ58を設けてもよい。
図10に、温度センサ58の配置例を示す。この例では、温度センサ58が光源部80に取り付けられている。
電子内視鏡用プロセッサ1のシステムコントローラ11(
図1参照;制御部の一例)は、温度センサ58の検出値に基づいて排気ファン71及び/又は送風ファン61~63の回転速度を制御する。温度センサ58による検出値が所定値よりも高い場合、伝熱構造部57を通過する気流による冷却効率が低いと考えられる。その場合、システムコントローラ11は、排気ファン71及び/又は送風ファン61~63の回転速度を増加させることにより冷却効率を改善することができる。
【0043】
以上、本発明の電子内視鏡用プロセッサについて詳細に説明したが、本発明の電子内視鏡用プロセッサは上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0044】
1…電子内視鏡用プロセッサ
11…システムコントローラ
12…メモリ
13…操作パネル
14…光源装置
15…集光レンズ
16…画像処理部
17…光源制御部
2…筐体
21…前面部
22…後面部
23…天板
24…底板
25…側板
25L…左側板
25R…右側板
27…脚部
28…吸気孔
5…光源装置
50U…上部空間
50L…下部空間
51…光出射部
52…底部
53…開口
55…隔壁
56…排熱部
561…ヒートシンク
562…ヒートパイプ
57…伝熱構造部
58…温度センサ
61~63…送風ファン
80…光源部
81…光源群
82…光学系
71,72…排気ファン
8…モニタ
9…電子スコープ
91…LCB
92…配光レンズ
93…対物レンズ
94…固体撮像素子
95…ドライバ信号処理回路
100…電子内視鏡システム