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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176202
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】圧力センサ用細管の接着構造
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G01L19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094568
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】津嶋 鮎美
(72)【発明者】
【氏名】東條 博史
(72)【発明者】
【氏名】三浦 夏琳
(72)【発明者】
【氏名】木田 のぞみ
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB05
2F055CC02
2F055DD04
2F055EE40
2F055FF43
2F055GG12
2F055HH05
(57)【要約】
【課題】接着面の濡れ性にかかわらず接着剤塗布後の状態を均質とし、センサ素子の耐圧性の低下による破損を防ぐとともに特性が一定となる圧力センサ用細管の接着構造を提供する。
【解決手段】圧力センサのセンサ素子13と、センサ素子13に形成された導圧孔17と、導圧孔17に挿入された導圧用細管14と、センサ素子13の導圧孔17が開口する接着面19に導圧用細管14の一部が覆われるように塗布され、導圧用細管14をセンサ素子13に接着する接着剤15とを備える。導圧孔17の周囲に接着剤15が濡れ拡がることを規制する規制部20が形成されている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサのセンサ素子と、
前記センサ素子に形成された導圧孔と、
前記導圧孔に挿入された導圧用細管と、
前記センサ素子の前記導圧孔が開口する接着面に前記導圧用細管の一部が覆われるように塗布され、前記導圧用細管を前記センサ素子に接着する接着剤とを備え、
前記導圧孔の周囲に前記接着剤が濡れ拡がることを規制する規制部が形成されていることを特徴とする圧力センサ用細管の接着構造。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力センサ用細管の接着構造において、
さらに、前記センサ素子は、前記導圧孔を囲む溝を有し、
前記規制部は、前記導圧孔が開口する前記接着面と前記溝との境界になる前記溝の開口縁によって構成されていることを特徴とする圧力センサ用細管の接着構造。
【請求項3】
請求項1に記載の圧力センサ用細管の接着構造において、
さらに、前記センサ素子は、前記接着面が先端面となる凸部を有し、
前記規制部は、前記接着面と前記凸部の側面との境界になる角部によって構成されていることを特徴とする圧力センサ用細管の接着構造。
【請求項4】
請求項1に記載の圧力センサ用細管の接着構造において、
さらに、前記センサ素子は、前記接着面が内側底面となる凹部を有し、
前記規制部は、前記凹部の内壁によって構成されていることを特徴とする圧力センサ用細管の接着構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子に導圧用の細管を接着剤によって接着する際に採る圧力センサ用細管の接着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧力センサとしては、例えば特許文献1に記載されているように、被測定流体の圧力をセンサ素子に伝達するにあたって導圧用の細管を使用するものがある。この導圧用の細管は、センサ素子に形成された導圧孔に挿入され、接着剤によってセンサ素子に接着されている。接着剤は、センサ素子の導圧孔が開口する接着面に導圧用の細管の一部が覆われるように塗布されている。
【0003】
接着剤の塗布は、塗布量、塗布位置を制御するために、ディスペンサーを用いて行われている。ディスペンサーによって接着面に塗布された接着剤は、接着面に濡れ拡がるとともに、導圧用の細管に沿って盛り上がるようになる。接着剤の濡れ性は、センサ素子の表面の処理状況によって変わることが知られている。接着剤の濡れ性を変える原因となる処理状況としては、有機物付着の有無、センサ素子表面の洗浄の有無あるいは洗浄の度合い、粘着テープ貼付け履歴の有無、センサ素子への高温印加の有無などの状況がある。また、接着剤の濡れ性は、センサ素子の処理状況の他に、センサ素子の最終処理からの経過時間が原因で変わることがある。例えば、接着面の有機汚染状況や酸化膜の形成状態が経時的に変化することが原因で濡れ性が変わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-187046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接着面における接着剤の濡れ性が様々な原因で変わるために、接着剤を複数の接着部にディスペンサーによって同一の塗布条件で塗布したとしても、濡れ拡がった接着剤の大きさや形状が複数の接着部で一致することは少なく、接着剤の濡れ拡がりに偏りが生じるという問題があった。例えば、図11(A)に示すように、一つのセンサ素子1に2本の細管2が設けられている場合、細管2毎に塗布された接着剤3が互いに繋がってしまうことがある。また、図11(B)に示す2箇所の接着部4のうち、左側の接着部4のように接着剤3の濡れ拡がりが抑えられる場合と、右側の接着部4のように接着剤3の一部が他の部分より広く濡れ拡がる場合もある。
【0006】
また、導圧用の細管2をセンサ素子1に接着するにあたっては、接着剤3を塗布する際にディスペンサー(図示せず)のノズルを接近させることが可能な箇所が限られているために、接着剤3を細管2に対して同心円が保たれるように塗布することは難しい。このことも接着剤3の塗布範囲に偏りが生じてしまう原因の一つであった。例えば、図12(A),(B)に示すように、接着剤3が細管2と同心円状に濡れ拡がることができず、細管2が接着剤3の盛り上がり部分(フィレット部)3aの中心から外れる場合がある。図12(A)は斜視図、図12(B)は平面図である。
【0007】
このようにセンサ素子1に対する接着剤3の塗布位置や濡れ拡がりの状態が不均一であると、接着剤3が硬化した後に形状も不均一となり、接着剤3が充分に機能しなくなるおそれがある。例えば、センサ素子1と細管2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力や、センサ素子1内が高圧になった際に生じる引張力に対する耐性が低くなり、センサ素子1が破損するおそれがある。また、細管2から接着剤3を介してセンサ素子1に伝わる力の伝達状態が接着部4毎に異なるようになり、センサ素子1の特性がばらついてしまう。
【0008】
本発明の目的は、接着面の濡れ性にかかわらず接着剤塗布後の状態を均質とし、センサ素子の耐圧性の低下による破損を防ぐとともに特性が一定となる圧力センサ用細管の接着構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために本発明に係る圧力センサ用細管の接着構造は、圧力センサのセンサ素子と、前記センサ素子に形成された導圧孔と、前記導圧孔に挿入された導圧用細管と、前記センサ素子の前記導圧孔が開口する接着面に前記導圧用細管の一部が覆われるように塗布され、前記導圧用細管を前記センサ素子に接着する接着剤とを備え、前記導圧孔の周囲に前記接着剤が濡れ拡がることを規制する規制部が形成されているものである。
【0010】
本発明は、前記圧力センサ用細管の接着構造において、さらに、前記センサ素子は、前記導圧孔を囲む溝を有し、前記規制部は、前記導圧孔が開口する前記接着面と前記溝との境界になる前記溝の開口縁によって構成されていてもよい。
【0011】
本発明は、前記圧力センサ用細管の接着構造において、さらに、前記センサ素子は、前記接着面が先端面となる凸部を有し、前記規制部は、前記接着面と前記凸部の側面との境界になる角部によって構成されていてもよい。
【0012】
本発明は、前記圧力センサ用細管の接着構造において、さらに、前記センサ素子は、前記接着面が内側底面となる凹部を有し、前記規制部は、前記凹部の内壁によって構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、接着剤の濡れ拡がる範囲が規制部によって規制され、センサ素子の接着面の濡れ性にかかわらず接着剤塗布後の状態が均質となる。このため、センサ素子の耐圧性の低下による破損を防ぐとともに特性が一定となる圧力センサ用細管の接着構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1の実施の形態による圧力センサ用細管の接着構造を示す斜視図である。
図2図2は、図3におけるセンサ素子のII-II線断面図である。
図3図3は、センサ素子の平面図である。
図4図4は、圧力センサ用細管の接着構造の断面図である。
図5図5は、第2の実施の形態による圧力センサ用細管の接着構造を示す斜視図である。
図6図6は、図7におけるセンサ素子のIV-IV線断面図である。
図7図7は、センサ素子の平面図である。
図8図8は、圧力センサ用細管の接着構造の断面図である。
図9図9は、第3の実施の形態による圧力センサ用細管の接着構造の断面図である。
図10図10は、センサ素子の断面図である。
図11図11は、濡れ性が均等でない接着面に塗布された接着剤の平面形状を示す平面図である。
図12図12は、細管に対して偏って塗布された接着剤を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る圧力センサ用細管の接着構造の一実施の形態を図1図4を参照して詳細に説明する。
図1に示す接着構造11は、圧力センサ12を構成するセンサ素子13に導圧用細管14を接着剤15によって接着する際に採用する接着構造である。センサ素子13は、パッケージ16の中に収容され、パッケージ16とともに圧力センサ12を構成する。
【0016】
センサ素子13には、2本の導圧用細管14が接続されている。このセンサ素子13は、導圧用細管14の中に満たされた圧力伝達媒体(図示せず)を介して伝達された被測定流体の圧力を測るものである。このセンサ素子13は、2本の導圧用細管14を備えていることにより、高圧側の被測定用流体の圧力と、低圧側の被測定用流体との差圧を測ることができる。
【0017】
図2に示すように、センサ素子13には、二つの導圧孔17と、これらの導圧孔17をそれぞれ囲む溝18とが形成されている。導圧孔17は、導圧用細管14が挿入される孔である。導圧孔17の一端は、センサ素子13の一端面13aに開口し、他端は、センサ素子13の内部に設けられた図示していないダイアフラムによって閉塞されている。
導圧孔17を囲む溝18は、図3に示すように、センサ素子13の一端面13aに導圧孔17を中心とする円環状に形成されている。この実施の形態においては、センサ素子13の一端面13aのうち、溝18と導圧孔17との間に形成された一部が接着面19となり、この接着面19に接着剤15が塗布される。この実施の形態によるセンサ素子13には、二つの導圧孔17の周囲にそれぞれ同一の大きさ、同一の形状の溝18が形成されている。
導圧用細管14は、断面形状が円形の管で、導圧孔17に挿入された状態で接着剤15によってセンサ素子13に接着されている。
【0018】
接着剤15は、例えばエポキシ樹脂系のものを使用することができる。この実施の形態による接着剤15は、導圧孔17が開口する接着面19に図示していないディスペンサーによって高い精度で計量されて塗布されている。接着剤15を塗布するにあたっては、図4に示すように、導圧用細管14の一部が接着剤15によって覆われ、接着剤15が表面張力により盛り上がるように行っている。
【0019】
接着面19に塗布された接着剤15は、接着面19と溝18との境界になる溝18の開口縁18aによって濡れ拡がることが規制される。このため、接着剤15は、接着面19の上で塗布量に基づく高さとなるように表面張力によって盛り上がり、導圧用細管14が中心に位置する平面視円形の山形状に塗布される。この実施の形態によれば、開口縁18aが接着剤15の濡れ拡がりを規制する規制部20となる。
【0020】
センサ素子13の2箇所の接着面19は、面積が同一となるように形成されている。このため、2本の導圧用細管14をセンサ素子13に接着するにあたって、2箇所の接着部において、接着剤15が濡れ拡がる範囲、盛り上がる接着剤15の高さなどが一致し、硬化後の接着剤15の形状が略等しくなる。すなわち、接着面19の濡れ性にかかわらず、接着剤塗布後の状態が2箇所の接着部において均質となる。このことは、センサ素子13を大量生産する場合であっても全てのセンサ素子13において接着部の品質が等しくなることを意味する。
【0021】
全ての接着部において接着剤15が均等にかつ充分に塗布されるから、全ての接着部において接着剤15の形状、大きさなどがばらつくことがない。このため、全ての接着部において接着剤15が設計通りとなるように充分機能するから、センサ素子13への熱応力の伝達や耐圧強度のばらつきが抑制されるとともに、導圧用細管14とセンサ素子13との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力や、センサ素子13内が高圧になった際に生じる引張力に対する耐性が向上する。この実施の形態で示すように導圧用細管14を2本備えたセンサ素子13においては、高圧側と低圧側の釣り合いがとれるため、いわゆるキャンセルアウトが可能となる。
したがって、この実施の形態によれば、センサ素子の耐圧性の低下による破損を防ぐとともに特性がばらつくことを抑制可能な圧力センサ用細管の接着構造を提供することができる。
【0022】
この実施の形態においては、溝18の開口縁18aで表面張力が働いて接着剤15が堰き止められるから、接着剤15を少なく塗布した場合と多く塗布した場合とで平面視円形の山形状を呈する接着剤15の外径(フィレット径)が同一となる。このため、接着剤15の塗布量を設定するうえで自由度が高い。
【0023】
(第2の実施の形態)
接着剤の濡れ拡がりを規制する規制部は、図5図8に示すように構成することができる。図5図8において、図1図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図5に示すセンサ素子21は、一端面21aの2箇所にそれぞれ円柱状の凸部22が形成されている。図6および図7に示すように、凸部22の中心部には導圧孔17が形成されている。この導圧孔17に導圧用細管14が挿入され、接着剤15が図示していないディスペンサーによって凸部22の先端面22aに塗布されている。この実施の形態においては、凸部22の先端面22aが接着面19となる。接着剤15は、第1の実施の形態を採るときに用いたものと同一のものを使用することができる。
【0024】
先端面22a(接着面19)に塗布された接着剤15は、先端面22a(接着面19)と凸部22の側面22b(外周面)との境界になる角部22cまで濡れ拡がり、導圧用細管14が中心に位置する平面視円形の山形状に表面張力によって盛り上がる。この実施の形態において、導圧孔17の周囲に接着剤15が濡れ拡がることを規制する規制部20は、角部22cによって構成される。
このため、この実施の形態においても、複数の接着部において接着面19の濡れ性に依存することなく接着剤15が接着面19の全域に均等に塗布されるから、全ての接着部において接着剤15が設計通りとなるように充分機能するようになる。
【0025】
したがって、センサ素子21への熱応力の伝達や耐圧強度のばらつきが抑制されるとともに、導圧用細管14とセンサ素子21との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力や、センサ素子21内が高圧になった際に生じる引張力に対する耐性が向上する。
この結果、この実施の形態においても、センサ素子の耐圧性の低下による破損を防ぐとともに特性がばらつくことを抑制可能な圧力センサ用細管の接着構造を提供することができる。
【0026】
また、この実施の形態においては、凸部22の角部22cで表面張力が働いて接着剤15が堰き止められるから、接着剤15を少なく塗布した場合と多く塗布した場合とで平面視円形の山形状を呈する接着剤15の外径(フィレット径)が同一となる。このため、接着剤15の塗布量を設定するうえで自由度が高い。
【0027】
(第3の実施の形態)
接着剤の濡れ拡がりを規制する規制部は、図9および図10に示すように構成することができる。図9および図10において、図1図8によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0028】
図9に示すセンサ素子31は、導圧用細管14が導出される端部とは反対側の端部に圧力室32を有している。圧力室32は、図10に示すように、導圧孔17が開口する座繰り部33と、座繰り部33に接続された大径穴部34と、大径穴部34を塞ぐセンサダイアフラム35などによって形成されている。導圧孔17と、座繰り部33および大径穴部34は、センサ素子31の一部となる本体部36に形成されている。本体部36における導圧用細管14が導出される端部には、導圧孔17が中心に開口する凹部37が形成されている。
【0029】
凹部37の開口形状は円形である。この実施の形態による導圧用細管14は、凹部37の内側底面37aに開口する導圧孔17に挿入されて先端が座繰り部33内に入る状態で、本体部36に接着剤15によって接着されている。接着剤15は、凹部37から導圧孔17と導圧用細管14との間の隙間を経て座繰り部33に達するように塗布されている。この実施の形態においては、凹部37の内側底面37aが接着面19となる。
導圧孔17が開口する座繰り部33の底部33aは、接着剤15で満たされている。この接着剤15は、第1の実施の形態を採るときに用いたものと同一のものを使用することができる。
【0030】
凹部37に接着剤15を塗布するにあたっては、センサ素子31を凹部37が上方に開口する姿勢とし、図示していないディスペンサーを使用して塗布量が予め定めた量となるように実施する。凹部37に塗布された接着剤15は、凹部37の内側底面37aから凹部37の内壁37bに達するまで濡れ拡がり、導圧用細管14が中心に位置する平面視円形の山形状に表面張力によって盛り上がる。この実施の形態において、導圧孔17の周囲に接着剤15が濡れ拡がることを規制する規制部20は、凹部37の内壁37bによって構成される。
【0031】
このため、この実施の形態においても、接着面19の濡れ性に依存することなく接着剤15が接着面19の全域に均等に塗布されるから、接着剤15が設計通りとなるように充分機能するようになる。したがって、センサ素子31への熱応力の伝達や耐圧強度のばらつきが抑制されるとともに、導圧用細管14とセンサ素子31との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力や、センサ素子31内が高圧になった際に生じる引張力に対する耐性が向上する。
この結果、この実施の形態においても、センサ素子の耐圧性の低下による破損を防ぐとともに特性がばらつくことを抑制可能な圧力センサ用細管の接着構造を提供することができる。
【0032】
この実施の形態によるセンサ素子31においては、圧力室32内の圧力が導圧用細管14の先端面14aに加えられることにより、導圧用細管14に本体部36から出る方向へ圧力が作用する。圧力室32内の圧力が高圧になった際には、導圧用細管14と本体部36とを接着する接着剤15に引張力が加えられる。この実施の形態によれば、図9中に矢印A,Bで示すように、上記の引っ張り力を座繰り部33の底部33a内で硬化した部分15aと、凹部37内で山形状に硬化した部分bとに分散させて受けることができる。このため、圧力に対する耐性が向上し、圧力室32内が高圧状態となった場合でも導圧用細管14が本体部36に接着された初期の状態を確実に維持することができる。
【符号の説明】
【0033】
11…接着構造、12…圧力センサ、17…導圧孔、14…導圧用細管、15…接着剤、18…溝、18a…開口縁、19…接着面、20…規制部、22…凸部、22c…角部、31…センサ素子、37…凹部、37b…内壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12