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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176203
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/10 20060101AFI20241212BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20241212BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20241212BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20241212BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C09K5/10 F ZAB
B01D15/00 L
B01J20/18 B
B01J20/26 D
H05K7/20 M
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094572
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】児玉 康朗
【テーマコード(参考)】
4D017
4G066
5E322
【Fターム(参考)】
4D017AA04
4D017BA01
4D017CA05
4D017CA13
4D017CB01
4D017CB10
4D017DA01
4G066AA61B
4G066AC01B
4G066AC12B
4G066AC13B
4G066AC16B
4G066AC17B
4G066AC21B
4G066AC35B
4G066CA43
4G066DA09
5E322AA05
5E322DA01
5E322DA03
5E322DA04
5E322EA10
5E322EA11
5E322FA01
(57)【要約】
【課題】本開示は、循環エネルギーロスを抑制しつつ、絶縁冷却液の絶縁性を高く維持することが可能な冷却システムを提供することを主目的とする。
【解決手段】本開示においては、非水系の絶縁冷却液を循環させる循環経路と、上記循環経路に設けられ、上記絶縁冷却液を貯留する冷却液貯留部と、を有する冷却システムであって、上記絶縁冷却液の比重は水より小さく、上記冷却液貯留部が、その内部に水分除去部を有し、その上面の少なくとも一部が上記絶縁冷却液と直に接触するように、上記水分除去部が上記冷却液貯留部に固定されている、冷却システムを提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水系の絶縁冷却液を循環させる循環経路と、
前記循環経路に設けられ、前記絶縁冷却液を貯留する冷却液貯留部と、を有する冷却システムであって、
前記絶縁冷却液の比重は水より小さく、
前記冷却液貯留部が、その内部に水分除去部を有し、
その上面の少なくとも一部が前記絶縁冷却液と直に接触するように、前記水分除去部が前記冷却液貯留部に固定されている、冷却システム。
【請求項2】
前記水分除去部の少なくとも一部が、前記冷却液貯留部の底面に固定されている、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記水分除去部が、水分吸収体として多孔質ゼオライトまたは吸水性樹脂を含有する、請求項1または請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記吸水性樹脂が、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体の中和物、デンプン-アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物、イソブチレン-無水マレイン酸共重合架橋体、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、アクリル酸塩-アクリルアミド共重合架橋体、ポリビニルアルコール架橋体、変性ポリエチレンオキサイド架橋体、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸塩共重合架橋体、(メタ)アクリロイルアルカンスルホン酸塩共重合架橋体、架橋カルボキシメチルセルロース塩、および、カチオン性モノマーの架橋重合体からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記吸水性樹脂が、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、または、デンプン-アクリル酸グラフト重合体の中和物である、請求項4に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷却液を循環させ、バッテリなどの電気関連部品を冷却する冷却システムにおいては、用いられる冷却液に高い絶縁性が求められる。冷却液に水分が混入すると、上記水分によって電気関連部品の端子相互間が短絡されてしまう、部品が腐食されてしまうなどの不具合が生じる可能性がある。冷却液の導電率の増加を防止するために、例えば特許文献1には、非水系の絶縁冷却液を用いた冷却システムの循環経路に、水分除去のためのフィルタを設置する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、冷却液の循環経路に設けられる冷却液収納タンクの冷却液吐出部をふさぐように、水分除去用フィルタが配置された冷却装置が開示されている。特許文献3には、水と反応して冷媒中の水分を捕獲することの可能な水分捕獲材を設けた電気電子部品の液冷装置が開示されている。特許文献4にはメッシュ構造の金網内に粒状の吸水性ポリマーを封入した除水器が、特許文献5には樹脂製の網袋に封入された吸水性樹脂の粉末を用いてオイル相中に分散した水を除去する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-158432号公報
【特許文献2】特開2001-050624号公報
【特許文献3】特開平02-216855号公報
【特許文献4】特開2022-097321号公報
【特許文献5】特開2017-104817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷却液の循環経路をふさぐ形で水分除去部を設置すると、流路抵抗が大きくなり、冷却液の流量が低下して冷却性が大きく低下するため、流量を確保するための圧送ポンプの出力を高める必要がある。また、油などの非水系の冷却液中においては、水分が凝集し、大きな水滴として存在していることが多いため、メッシュ内に吸水性樹脂が封入されていると、水滴がメッシュを通過できず、吸水性樹脂まで到達できない場合がある。
【0006】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、循環エネルギーロスを抑制しつつ、絶縁冷却液の絶縁性を高く維持することが可能な冷却システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]
非水系の絶縁冷却液を循環させる循環経路と、上記循環経路に設けられ、上記絶縁冷却液を貯留する冷却液貯留部と、を有する冷却システムであって、上記絶縁冷却液の比重は水より小さく、上記冷却液貯留部が、その内部に水分除去部を有し、その上面の少なくとも一部が上記絶縁冷却液と直に接触するように、上記水分除去部が上記冷却液貯留部に固定されている、冷却システム。
【0008】
[2]
上記水分除去部の少なくとも一部が、上記冷却液貯留部の底面に固定されている、[1]に記載の冷却システム。
【0009】
[3]
上記水分除去部が、水分吸収体として多孔質ゼオライトまたは吸水性樹脂を含有する、[1]または[2]に記載の冷却システム。
【0010】
[4]
上記吸水性樹脂が、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体の中和物、デンプン-アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物、イソブチレン-無水マレイン酸共重合架橋体、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、アクリル酸塩-アクリルアミド共重合架橋体、ポリビニルアルコール架橋体、変性ポリエチレンオキサイド架橋体、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸塩共重合架橋体、(メタ)アクリロイルアルカンスルホン酸塩共重合架橋体、架橋カルボキシメチルセルロース塩、および、カチオン性モノマーの架橋重合体からなる群から選択される少なくとも一種である、[3]に記載の冷却システム。
【0011】
[5]
上記吸水性樹脂が、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、または、デンプン-アクリル酸グラフト重合体の中和物である、[3]または[4]に記載の冷却システム。
【発明の効果】
【0012】
本開示における冷却システムは、循環エネルギーロスを抑制しつつ、絶縁冷却液の絶縁性を高く維持することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示における冷却システムの一例を示す概略構成図である。
図2】本開示における冷却液貯留部の一例を示す概略断面図である。
図3】本開示における冷却液貯留部の例を示す概略断面図である。
図4】本開示における冷却液貯留部の他の例を示す概略断面図である。
図5】従来の水分除去部が配置された冷却液貯留部の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示における冷却システムについて、詳細に説明する。
【0015】
図1は、本開示における冷却システムの一例を示す概略構成図である。図1に例示する冷却システム100は、非水系の絶縁冷却液を循環させる循環経路1と、上記循環経路1に設けられて上記絶縁冷却液を貯留する冷却液貯留部2とを有する。循環経路1内の絶縁冷却液の流れは、ポンプ10などを用いることにより、形成することができる。本開示の冷却システム100は、例えば車両に搭載することができ、循環経路1に直列に設けられたインバータ11、オイルクーラ12、バッテリ13などの発熱機器を冷却するために用いることができる。循環経路1内にラジエータ14を設けて外気との熱交換を行うことで、発熱機器を冷却して昇温した絶縁冷却液を冷却することができる。
【0016】
図2は、本開示における冷却液貯留部の一例を示す概略断面図である。上記冷却液貯留部2には上記水分除去部4が、その上面の少なくとも一部が上記絶縁冷却液3と直に接触するように固定されている。本開示において用いられる絶縁冷却液3の比重は水より小さいため、絶縁冷却液3に混入した水分は冷却液貯留部2内で沈み、凝集して液滴21となり、水分除去部4(水分吸収体5)により吸収され、絶縁冷却液3から除去される。
【0017】
本開示の冷却システムにおいては、その上面の少なくとも一部が上記絶縁冷却液と直に接触するように、上記水分除去部が上記冷却液貯留部に固定されていることにより、循環経路内の絶縁冷却液の流れを滞らせることなく、効率よく絶縁冷却液中の水分を除去することができる。したがって、循環エネルギーロスを抑制しつつ、絶縁冷却液の絶縁性を高く維持することができる。
【0018】
全ての冷却液が、くまなく水分除去部を通過するように、冷却液の循環経路や冷却液貯留部の入り口や出口をふさぐ形で水分除去部を設置すると、流路抵抗が大きくなり、冷却液の流量が低下して冷却性が大きく低下する。そのため、圧送ポンプの出力を高めて流量を確保する必要がある。一方、上述したように本開示においては、水よりも比重が小さい絶縁冷却液が用いられているため、絶縁冷却液に混入した水分は冷却液貯留部内で沈み、冷却液貯留部の底部に集まってくる。したがって、冷却液貯留部の水滴が集まる場所に水分除去部を配置して水分を吸収することで、圧送ポンプの出力を高めることなく、絶縁冷却液から水分を除去することができる。
【0019】
また、油などの非水系の冷却液中では、メッシュ構造の袋などに水分吸収体が封入されていると、凝集した大きな水滴がメッシュを通過できず、吸水性樹脂まで到達できない場合がある。一方、本開示においては、その上面の少なくとも一部が上記絶縁冷却液と直に接触するように、上記水分除去部が上記冷却液貯留部に固定されているため、水分除去部の水分吸収体と、絶縁冷却液との間に介在するメッシュ袋などの構造体に阻まれることなく、円滑かつ迅速に水滴を吸収することができる。
【0020】
本開示における冷却システムは、絶縁冷却液を循環させる循環経路と、上記絶縁冷却液を貯留する冷却液貯留部と、を有する。以下、本開示における冷却システムの各構成について説明する。
【0021】
1.絶縁冷却液
本開示において用いられる絶縁冷却液は、比重が水よりも小さく、非水系かつ絶縁性の液体であれば特に限定されるものではない。例えば、芳香族系炭化水素、パラフィン系炭化水素、ナフテン(シクロアルカン)系炭化水素などの炭化水素化合物を含む鉱物油等を用いることができる。
【0022】
2.循環経路
本開示の冷却システムにおける循環経路は、上記絶縁冷却液を循環させる経路である。循環経路は、絶縁冷却液が被冷却体および冷却液貯留部間を循環するための配管を有するものであれば特に限定されるものではなく、潤滑油などを循環させるための配管と同様の、一般的な配管を用いることができる。
【0023】
3.冷却液貯留部
冷却液貯留部は、上記循環経路に設けられ、上記絶縁冷却液を貯留する。冷却液貯留部は、その内部に絶縁冷却液を貯留することができるものであれば、材質、形状、寸法等は特に限定されるものではない。例えば、樹脂や金属から構成される、直方体や円柱形状の容器など、冷却液貯留部が配置される場所の形状や、その内部に貯留される絶縁冷却液の量などに応じて適宜設定することができる。
【0024】
冷却液貯留部の種類は特に限定されるものではなく、例えば、ラジエータの加圧型リザーブタンクの様な1つ口の容器(図3(a)参照)を用いることができる。また、図3(b)に例示するような2つ口の容器を用いてもよい。2つ口の容器の場合、大気開放型リザーブタンクのように、一方の口は大気に開放されており、もう一方の口から絶縁冷却液が流入/排出されるものでもよく、また、一方の口から絶縁冷却液が流入し、もう一方の口から排出される循環型のものでもよい。
【0025】
冷却液貯留部の内部には、水分除去部が固定されている。冷却液貯留部内での水分除去部の配置位置は、絶縁冷却液の流れを妨げない位置であれば特に限定されるものではなく、絶縁冷却液の流入口および吐出口を塞がないように、冷却液貯留部の底面や側面に配置することができる。中でも、水分除去部の少なくとも一部は、冷却液貯留部の底面に配置されていることが好ましい。比重差により冷却液貯留部の底面に沈んできた水滴を効率的に吸収することができるからである。この際、水分除去部は、冷却液貯留部の底面の一部のみに配置されていても、上記底面の全面に配置されていてもよい。
【0026】
水分除去部の冷却液貯留部への固定は、水分除去部の水分吸収体を直接、または、間接的に冷却液貯留部に固定することにより、行うことができる。例えば、水分除去部の水分吸収体が5mm以上の大きさのペレット状またはブロック状の物質である場合は、図2に例示するように、水分吸収体5のみから構成される水分除去部4を冷却液貯留部2の底面などに直に接着固定することにより、行うことができる。水分吸収体のペレットまたはブロックのサイズが小さい場合は、表面積が大きいため、高い吸水性能を発揮することができる。一方、水分吸収体のペレットまたはブロックのサイズが大きい場合は、高い接着性を発揮することができる。そのため、水分吸収体のサイズは、安定した接着性を発揮できる程度に小さいことが好ましく、水分除去部に要求される特性などにより、適宜選択して用いることができる。
【0027】
また、水分吸収体が5mmに満たない大きさの粉末状または粒子状の物質である場合は、図4に例示するように、上記水分吸収体5を樹脂片(樹脂埋め部6)内に分散配置し、上記水分吸収体5を含有する樹脂埋め部6を冷却液貯留部2の底面などに接着固定することにより、水分吸収体5を間接的に冷却液貯留部2に固定することもできる。水分除去部が水分吸収体および樹脂埋め部を有するものである場合、水分吸収体の表面の少なくとも一部が樹脂埋め部の表面(上面)に露出するように、水分吸収体を配置する。このような水分除去部を絶縁冷却液に浸漬するように配置することにより、上記水分吸収体を絶縁冷却液と直に接触させることができる。
【0028】
上記水分吸収体としては、例えば、モレキュラーシーブなどの多孔質ゼオライト、および、吸水性樹脂を挙げることができる。吸水性樹脂としては例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体の中和物、デンプン-アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物、イソブチレン-無水マレイン酸共重合架橋体、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、アクリル酸塩-アクリルアミド共重合架橋体、ポリビニルアルコール架橋体、変性ポリエチレンオキサイド架橋体、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸塩共重合架橋体、(メタ)アクリロイルアルカンスルホン酸塩共重合架橋体、架橋カルボキシメチルセルロース塩、および、カチオン性モノマーの架橋重合体などを挙げることができ、中でも、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、および、デンプン-アクリル酸グラフト重合体の中和物を好適に用いることができる。
【0029】
上記樹脂埋め部に用いる樹脂は、絶縁冷却液への耐性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド-シアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂などを用いることができる。
【0030】
4.冷却システム
本開示の冷却システムの用途は、特に限定されないが、例えば、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、電気自動車(BEV)、ガソリン自動車、ディーゼル自動車等の車両のバッテリ、インバータ、オイルクーラ等の冷却に用いることができる。また、本開示の冷却システムは、車両以外の移動体(例えば、鉄道、船舶、航空機)工作機器、情報処理装置等の電気関連部品の冷却に用いられてもよい。
【0031】
冷却システム内には、絶縁冷却液の循環流を生み出すための圧送ポンプや、被冷却体を冷却した後の絶縁冷却液の温度を下げるための、ラジエータなどの熱交換器が配置されていてもよい。また、循環経路内には、絶縁冷却液の温度、導電率、水分量などを測定するセンサ、測定値が閾値を超えた場合に周囲にその旨を知らせる報知部、それらの部品を制御する制御部などが設けられていてもよい。
【0032】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【実施例0033】
[実施例1]
図2に例示するような、水分吸収体5である吸水性樹脂が冷却液貯留部2の底面に接着固定された水分除去部4を有する冷却液貯留部2に、非水系の絶縁冷却液3を満たし、水滴21を添加し、一定時間静置した。
【0034】
[実施例2]
図4に例示するような、樹脂埋め部6の上面に、水分吸収体5である吸水性樹脂が露出している水分除去部4が、その底面に固定された冷却液貯留部2に、非水系の絶縁冷却液3を満たし、水滴21を添加し、一定時間静置した。
【0035】
[比較例]
図5に例示するような、冷却液貯留部2の底面に、水分吸収体23である吸水性樹脂が、1mm程度の網目のメッシュ袋24に封入された水分除去部25を有する冷却液貯留部2に、非水系の絶縁冷却液3を満たし、水滴21を添加し、一定時間静置した。
【0036】
[評価]
実施例1および実施例2においては、比重差により水滴が沈んで水分除去部の上面に到達し、水分吸収体に吸収され、絶縁冷却液中の水分が除去された。一方、比較例においては、実施例1および実施例2と同様に水滴が水分除去部の上面に到達したが、水滴が水分除去部上に留まり、水分除去部に吸収されず、絶縁冷却液中の水分を除去することができなかった。これは、水滴が自重でメッシュ袋内に沈降する力よりも表面張力が強く、水滴がメッシュ構造を通過できず、メッシュ袋内の水分吸収体の表面に到達できなかったためであると推測される。
【符号の説明】
【0037】
1…循環経路
2…冷却液貯留部
3…絶縁冷却液
4…水分除去部
5…水分吸収体
100 …冷却システム
図1
図2
図3
図4
図5