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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176215
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】車載用電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20241212BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H05K7/20 A
H01L23/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094597
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】咸 元俊
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB01
5E322EA10
5E322FA02
5E322FA04
5F136BA03
5F136DA25
5F136DA43
5F136EA02
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】
【課題】車載用電子機器が備える回路基板に半田付けされているフラッシュメモリを、コストの増加やスペースの増大を抑制しつつ長寿命化すること。
【解決手段】車載用電子機器(データ中継装置1)であって、筐体10と、筐体10に収容されている回路基板11であって、フラッシュメモリ32と、フラッシュメモリ32より発熱量が多いCPU30とが半田付けされている回路基板11と、金属製の放熱部材12であって、回路基板11から離間している放熱部17と、放熱部17から延びており、CPU30に接触している第1の延伸部18と、を有する放熱部材12と、を備え、フラッシュメモリ32が放熱部材12に接触していない、車載用電子機器。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用電子機器であって、
筐体と、
前記筐体に収容されている回路基板であって、フラッシュメモリと、前記フラッシュメモリより発熱量が多い第1の電子部品とが半田付けされている回路基板と、
金属製の放熱部材であって、前記回路基板から離間している放熱部と、前記放熱部から延びており、前記第1の電子部品に接触している第1の延伸部と、を有する放熱部材と、
を備え、
前記フラッシュメモリが前記放熱部材に接触していない、車載用電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用電子機器であって、
前記フラッシュメモリがシート状の断熱材で覆われている、車載用電子機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車載用電子機器であって、
前記第1の延伸部の外周面にシート状の断熱材が巻かれている、車載用電子機器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の車載用電子機器であって、
前記放熱部と前記回路基板との間にシート状の断熱材が配されている、車載用電子機器。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の車載用電子機器であって、
前記第1の電子部品は演算処理用の集積回路である、車載用電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の車載用電子機器であって、
前記演算処理用の集積回路は、イーサネット通信のための演算処理を行うイーサネット通信用の集積回路である、車載用電子機器。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の車載用電子機器であって、
前記回路基板に前記第1の電子部品より発熱量が少ない第2の電子部品が半田付けされており、
前記放熱部材は、前記放熱部から延びている第2の延伸部であって、前記第2の電子部品に接触している第2の延伸部を有する、車載用電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、車載用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体と、筐体に収容されている回路基板とを備える電子機器は、何らかの熱対策が求められることがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の電子機器は、天板とシールドケースとの間にスポンジ状部材からなる枠体を配置して風洞を構成し、ファンから導かれたシールドケース内の空気を、天板に開けた放熱孔まで導くようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-323878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器の中には車両に搭載されるものがある。車両に搭載される電子機器(以下、車載用電子機器という)は、回路基板にフラッシュメモリが搭載されていることがある。回路基板にフラッシュメモリを搭載する場合、回路基板に設けたコネクタにフラッシュメモリを差し込むことによって搭載することも可能である。しかしながら、車載用電子機器の場合は車両の振動によってフラッシュメモリがコネクタから外れることが懸念されるため、一般に半田付けによって回路基板に固定されている。
【0005】
フラッシュメモリは高温になるほど寿命が短くなることが知られている。フラッシュメモリがコネクタに差し込まれている場合はフラッシュメモリが寿命に至っても交換が容易であるが、車載用電子機器の場合はフラッシュメモリが半田付けされているので交換が容易ではない。
このため、車載用電子機器の場合は、フラッシュメモリの交換を不要にするために、フラッシュメモリに熱対策を施して長寿命化することが望まれる。この場合、前述した特許文献1に記載の電子機器のように筐体内にファンを設置することも考えられるが、一般に車載用電子機器はコストやスペースなどの観点でファンが搭載されていないことが多い。車両内には空気の流れが生じ難いので、車両内の空気の流れによってフラッシュメモリを冷却することも難しい。
【0006】
本明細書では、車載用電子機器が備える回路基板に半田付けされているフラッシュメモリを、コストの増加やスペースの増大を抑制しつつ長寿命化する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る車載用電子機器は、車載用電子機器であって、筐体と、前記筐体に収容されている回路基板であって、フラッシュメモリと、前記フラッシュメモリより発熱量が多い第1の電子部品とが半田付けされている回路基板と、金属製の放熱部材であって、前記回路基板から離間している放熱部と、前記放熱部から延びており、前記第1の電子部品に接触している第1の延伸部と、を有する放熱部材と、を備え、前記フラッシュメモリが前記放熱部材に接触していない。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車載用電子機器が備える回路基板に半田付けされているフラッシュメモリを、コストの増加やスペースの増大を抑制しつつ長寿命化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係るデータ中継装置の斜視図である。
図2図2は、データ中継装置の断面図である。
図3図3は、回路基板の斜視図である。
図4図4は、放熱部材を下から見た斜視図である。
図5図5は、実施形態2に係るデータ中継装置の断面図である。
図6図6は、実施形態3に係るデータ中継装置の断面図である。
図7図7は、比較例に係る車載用電子機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0011】
(1)本開示に係る車載用電子機器は、筐体と、前記筐体に収容されている回路基板であって、フラッシュメモリと、前記フラッシュメモリより発熱量が多い第1の電子部品とが半田付けされている回路基板と、金属製の放熱部材であって、前記回路基板から離間している放熱部と、前記放熱部から延びており、前記第1の電子部品に接触している第1の延伸部と、を有する放熱部材と、を備え、前記フラッシュメモリが前記放熱部材に接触していない。
【0012】
上記(1)に記載の車載用電子機器の効果を、図7に示す比較例を参照しつつ説明する。比較例に係る車載用電子機器401は金属製の放熱部材412を備えている。放熱部材412は回路基板411から離間して配されている放熱部417と、放熱部417から延びており、電子部品430に接触している延伸部418と、を有している。電子部品430はフラッシュメモリ432より発熱量が多い部品である。そして、比較例に係る車載用電子機器401では更に放熱部417からフラッシュメモリ432に向かって延伸部418が延びており、延伸部418がフラッシュメモリ432に接触している。
【0013】
比較例に係る車載用電子機器401では、電子部品430の熱とフラッシュメモリ432の熱とが放熱部材412によって平準化される。言い換えると、電子部品430とフラッシュメモリ432との間で温度の負担を分担することにより、電子部品430の温度が大きく上昇することを抑制できる。この場合、電子部品430の温度は低下するが、フラッシュメモリ432の温度は上昇するという課題がある。
【0014】
これに対し、上記(1)に記載の車載用電子機器によると、第1の電子部品は第1の延伸部を介して放熱部材に接触する一方、フラッシュメモリは放熱部材に接触しないので、第1の電子部品とフラッシュメモリとを放熱部材に接触させて温度を平準化する場合に比べ、フラッシュメモリの温度の上昇を抑制できる。このため、車載用電子機器が備える回路基板に半田付けされているフラッシュメモリを、コストの増加やスペースの増大を抑制しつつ長寿命化できる。
【0015】
(2)上記(1)に記載の車載用電子機器であって、前記フラッシュメモリがシート状の断熱材で覆われていてもよい。
【0016】
上記(2)に記載の車載用電子機器によると、フラッシュメモリがシート状の断熱材で覆われているので、第1の延伸部からの輻射熱によってフラッシュメモリの温度が上昇することを抑制できる。
【0017】
(3)上記(1)又は(2)に記載の車載用電子機器であって、前記第1の延伸部の外周面にシート状の断熱材が巻かれていてもよい。
【0018】
第1の延伸部に断熱材が巻かれていないと第1の延伸部からの輻射熱によってフラッシュメモリの温度が上昇する可能性がある。
上記(3)に記載の車載用電子機器によると、第1の延伸部の外周面に断熱材が巻かれているので、第1の延伸部からの輻射熱によってフラッシュメモリの温度が上昇することを抑制できる。
【0019】
(4)上記(1)又は(2)に記載の車載用電子機器であって、前記放熱部と前記回路基板との間にシート状の断熱材が配されていてもよい。
【0020】
放熱部と回路基板との間にシート状の断熱材が配されていないと、放熱部の熱によって筐体内の温度が上昇し、それによりフラッシュメモリの温度が上昇する可能性がある。
上記(4)に記載の車載用電子機器によると、放熱部と回路基板との間にシート状の断熱材が配されているので、筐体内の温度が上昇し難くなる。これによりフラッシュメモリの温度の上昇をより抑制できる。
【0021】
(5)上記(1)又は(2)に記載の車載用電子機器であって、前記第1の電子部品は演算処理用の集積回路であってもよい。
【0022】
一般に演算処理用の集積回路(IC:Integrated Circuit)は高温になる。
上記(5)に記載の車載用電子機器によると、演算処理用の集積回路は放熱部材に接触する一方、フラッシュメモリは放熱部材に接触しないので、フラッシュメモリの温度の上昇を抑制できる。
【0023】
(6)上記(5)に記載の車載用電子機器であって、前記演算処理用の集積回路は、イーサネット(登録商標)通信のための演算処理を行うイーサネット通信用の集積回路であってもよい。
一般にイーサネット通信用の集積回路は高温になる。
上記(6)に記載の車載用電子機器によると、イーサネット通信用の集積回路は放熱部材に接触する一方、フラッシュメモリは放熱部材に接触しないので、フラッシュメモリの温度の上昇を抑制できる。
【0024】
(7)上記(1)又は(2)に記載の車載用電子機器であって、前記回路基板に前記第1の電子部品より発熱量が少ない第2の電子部品が半田付けされており、前記放熱部材は、前記放熱部から延びている第2の延伸部であって、前記第2の電子部品に接触している第2の延伸部を有してもよい。
【0025】
上記(7)に記載の車載用電子機器によると、第1の電子部品より発熱量が少ない第2の電子部品が第2の延伸部を介して放熱部材に接触しているので、第1の電子部品と第2の電子部品との間で温度が平準化されることにより、第1の電子部品の温度が大きく上昇することを抑制できる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0026】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図4によって説明する。以降の説明において上下方向、前後方向及び左右方向とは図1に示す上下方向、前後方向及び左右方向を基準とする。
【0027】
図1を参照して、実施形態1に係る車載用電子機器としてのデータ中継装置1について説明する。データ中継装置1は通信プロトコルが異なる複数の車載ネットワーク間でデータを中継する装置である。データ中継装置1は例えばCGW-ECU(Central Gateway - Electronic Control Unit)と称されている。
複数の車載ネットワークとしてはCAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、車載イーサネットなどが例示される。実施形態1に係るデータ中継装置1には少なくとも車載イーサネットが接続される。
【0028】
図1に示すように、データ中継装置1は概ね箱状である。図2に示すように、データ中継装置1は筐体10と、筐体10に収容されている回路基板11と、放熱部材12とを備えている。
筐体10は樹脂製であり、上側が開口している箱状のケース部13と、ケース部13の上側に固定されている蓋部14とを有している。ケース部13は上側から見て矩形状の底壁部15と、底壁部15の外周縁部から環状に立ち上がっている側壁部16とを有している。
【0029】
図2及び図3を参照して、回路基板11の一例について説明する。図2に示すように、回路基板11は底壁部15と平行な姿勢で筐体10に収容されている。図3に示すように、回路基板11の上面にはCPU30、RAM(ランダムアクセスメモリ)31、及び、フラッシュメモリ32が半田付けによって搭載されている。回路基板11には他の部品も搭載されているが、他の部品は省略している。
CPU30はフラッシュメモリより発熱量が多い第1の電子部品、演算処理用の集積回路、及び、イーサネット通信用の集積回路の一例である。RAM31は第1の電子部品より発熱量が少ない第2の電子部品の一例である。
【0030】
CPU30はイーサネット通信のための演算処理を行うイーサネット通信用のCPUである。一般に車載イーサネットは通信速度が速いため、イーサネット通信用のCPU30は単位時間当たりの演算処理量が多い。このため、一般にイーサネット通信用のCPU30はフラッシュメモリ32より発熱量が多い。
RAM31はCPU30が各種のプログラムを実行するための主記憶装置である。
【0031】
フラッシュメモリ32は書き換え可能な不揮発性の半導体メモリである。フラッシュメモリ32にはCPU30によって実行される各種のプログラムやデータが記憶されている。フラッシュメモリ32としてはNAND型のフラッシュROM、NOR型のフラッシュROMなどが例示される。NAND型のフラッシュROMにはeMMC(embedded Multi Media Card)も含まれる。
【0032】
図2を参照して、放熱部材12について説明する。放熱部材12は筐体10の蓋部14にネジやボルトなどで固定されている。放熱部材12はアルミや銅などの金属製であり、回路基板11から離間している放熱部17と、放熱部17から延びている第1の延伸部18とを有している。放熱部17は平板状の基板部19と、基板部19に一体に形成されている複数の放熱フィン20とを有している。複数の放熱フィン20は基板部19の上面から互いに平行に立ち上がっている。
【0033】
図2及び図4に示すように、第1の延伸部18は上側から見てCPU30と重なる位置に設けられている。図2に示すように、筐体10の蓋部14には第1の延伸部18に対応する位置に開口21が形成されている。第1の延伸部18は蓋部14の開口21を通過して筐体10の内部に挿入されており、下面がCPU30の上面に接触している。このためCPU30の熱が第1の延伸部18を介して放熱部17に伝達される。
【0034】
第1の延伸部18の外周面にはシート状の断熱材22が巻かれている。断熱材22は例えばフレキシブルエアロゲルである。シート状の断熱材22は断熱性を有するものであればフレキシブルエアロゲルに限定されず、適宜に選択可能である。
【0035】
放熱部17と回路基板11との間にはシート状の断熱材23が配されている。断熱材23は放熱部17の基板部19の下面(具体的には基板部19の下面のうち第1の延伸部18が形成されていない部分)に貼り付けられている。断熱材23は基板部19の下面ではなく蓋部14の上面に貼り付けられていてもよい。あるいは、断熱材23は基板部19の下面及び蓋部14の上面のどちらにも貼り付けられておらず、基板部19の下面と蓋部14の上面とに挟持されているだけでもよい。第1の延伸部18に巻かれている断熱材22と基板部19の下面に貼り付けられている断熱材23とは種類が異なってもよい。
【0036】
放熱部17は、上側から見てフラッシュメモリ32と重なる位置に延伸部が設けられていない。このためフラッシュメモリ32は放熱部材12に接触していない。
図2及び図3に示すように、フラッシュメモリ32はシート状の断熱材24で上から覆われている。断熱材24は上側から見てフラッシュメモリ32の形状よりも一回り大きい形状である。断熱材24の種類も断熱材22や断熱材23と異なっていてもよい。
【0037】
(2)実施形態の効果
実施形態1に係るデータ中継装置1によると、CPU30は第1の延伸部18を介して放熱部材12に接触する一方、フラッシュメモリ32は放熱部材12に接触しないので、CPU30とフラッシュメモリ32とを放熱部材12に接触させて温度を平準化する場合に比べ、フラッシュメモリ32の温度の上昇を抑制できる。このため、データ中継装置1が備える回路基板11に半田付けされているフラッシュメモリ32を、コストの増加やスペースの増大を抑制しつつ長寿命化できる。
【0038】
データ中継装置1によると、フラッシュメモリ32がシート状の断熱材24で覆われているので、第1の延伸部18からの輻射熱によってフラッシュメモリ32の温度が上昇することを抑制できる。
【0039】
データ中継装置1によると、第1の延伸部18の外周面に断熱材22が巻かれているので、第1の延伸部18からの輻射熱によってフラッシュメモリ32の温度が上昇することを抑制できる。
【0040】
データ中継装置1によると、放熱部17と回路基板11との間にシート状の断熱材23が配されているので、筐体10内の温度が上昇し難くなる。これによりフラッシュメモリ32の温度の上昇をより抑制できる。
【0041】
データ中継装置1によると、フラッシュメモリ32より発熱量が多い第1の電子部品はCPU30である。データ中継装置1によると、CPU30は放熱部材12に接触する一方、フラッシュメモリ32は放熱部材12に接触しないので、フラッシュメモリ32の温度の上昇を抑制できる。
【0042】
データ中継装置1によると、CPU30はイーサネット通信用のCPUである。データ中継装置1によると、イーサネット通信用のCPU30は放熱部材12に接触する一方、フラッシュメモリ32は放熱部材12に接触しないので、フラッシュメモリ32の温度の上昇を抑制できる。
【0043】
<実施形態2>
図5を参照して、実施形態2に係るデータ中継装置201について説明する。データ中継装置201の放熱部材212は、放熱部17から延びている第2の延伸部218を有している。第2の延伸部218の下面はRAM31に接触している。第2の延伸部218の外周面にもシート状の断熱材22が巻かれている。
実施形態2に係るデータ中継装置201はその他の点において実施形態1に係るデータ中継装置1と実質的に同一である。
【0044】
実施形態2に係るデータ中継装置201によると、CPU30より発熱量が少ないRAM31が第2の延伸部218に接触しているので、CPU30とRAM31との間で温度が平準化されることにより、CPU30の温度が大きく上昇することを抑制できる。一般にRAM31は高温になっても寿命が短くなり難いので、平準化によってRAM31の温度が上昇してもRAM31の寿命は短くなり難い。
【0045】
<実施形態3>
図6を参照して、実施形態3に係るデータ中継装置301について説明する。データ中継装置301は実施形態1の蓋部14を備えていない。実施形態3に係るデータ中継装置301はその他の点において実施形態1に係るデータ中継装置1と実質的に同一である。
【0046】
実施形態3に係るデータ中継装置1によると、蓋部14を備えていないのでデータ中継装置1の構成を簡素にできる。
【0047】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0048】
(1)上記実施形態では車載用電子機器としてデータ中継装置1(CGW-ECU)を例示したが、車載用電子機器はこれに限定されない。例えば、車載用電子機器はエンジン制御用のECUでもよいし、変速制御用のECUでもよいし、ブレーキ制御用のECUでもよい。車載用電子機器はECU以外の電子機器であってもよい。
【0049】
(2)上記実施形態では演算処理用の集積回路としてCPU30を例示したが、演算処理用の集積回路はFPGA(Field Programmable Gate Array)でもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)でもよいし、マイクロコンピュータ(所謂マイコン)でもよい。マイコンはCPU、RAM、フラッシュメモリなどが1チップ化された集積回路である。一般にマイコンのフラッシュメモリは小容量であるので、マイコンとは別に大容量のフラッシュメモリが回路基板11に搭載されることが多い。その場合はマイコンを放熱部材12に接触させる一方、マイコンとは別に搭載されているフラッシュメモリは放熱部材12に接触させないことにより、マイコンとは別に搭載されているフラッシュメモリを長寿命化できる。
【0050】
(3)上記実施形態では第1の延伸部18の下面がCPU30に直に接触している場合を例示した。これに対し、第1の延伸部18の下面はサーマルパッド、熱伝導グリス、熱伝導性を有する接着剤(例えば熱伝導性を有する二液接着剤)などを介して間接的にCPU30に接触してもよい。
【0051】
(4)上記実施形態では放熱部17が基板部19と複数の放熱フィン20とを有している場合を例示したが、放熱部17は放熱フィン20を有していなくてもよい。すなわち放熱部17は基板部19だけで構成されてもよい。
【0052】
(5)上記実施形態では筐体10が樹脂製である場合を例示したが、筐体10は金属製であってもよい。
【0053】
(6)上記実施形態では第2の電子部品としてRAM31を例示したが、第2の電子部品は第1の電子部品より発熱量が少ない電子部品であればRAM31に限定されない。例えば、第2の電子部品は電源ICでもよいし、FET(Field Effect Transistor)でもよい。
【0054】
(7)上記実施形態では第1の延伸部18や第2の延伸部218が回路基板11に向かって真っ直ぐ伸びている場合を例示したが、これらは曲がりながら延びていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1: データ中継装置(車載用電子機器の一例)
10: 筐体
11: 回路基板
12: 放熱部材
13: ケース部
14: 蓋部
15: 底壁部
16: 側壁部
17: 放熱部
18: 第1の延伸部
19: 基板部
20: 放熱フィン
21: 開口
22: 断熱材
23: 断熱材
24: 断熱材
30: CPU(第1の電子部品、演算処理用の集積回路、及び、イーサネット通信用の集積回路の一例)
31: RAM(第2の電子部品の一例)
32: フラッシュメモリ
201: データ中継装置
212: 放熱部材
218: 第2の延伸部
301: データ中継装置
401: 車載用電子機器
411: 回路基板
412: 放熱部材
417: 放熱部
418: 延伸部
430: 電子部品
432: フラッシュメモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7