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  • 特開-車両用電源システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176216
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】車両用電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/14 20060101AFI20241212BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241212BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H02J7/14 V
H02J7/00 S
B60R16/02 645Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094600
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和也
【テーマコード(参考)】
5G060
5G503
【Fターム(参考)】
5G060AA01
5G060AA06
5G060BA08
5G060DB08
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA14
5G503GB03
(57)【要約】
【課題】ハードウェアを変更することなくバッテリセンサの異常を判定することができる車両用電源システムを提供する。
【解決手段】DCDCコンバータ17によって電圧を変換して補機用バッテリ13へ電力を供給する車両用電源システム10であって、システム起動後からDCDCコンバータ17が起動するまでの間に、バッテリセンサ18によって補機用バッテリ13の充電側電流を検出した場合には、バッテリセンサ18の電流値が異常値であると判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DCDCコンバータによって電圧を変換して補機用バッテリへ電力を供給する車両用電源システムであって、
システム起動後から前記DCDCコンバータが起動するまでの間に、バッテリセンサによって前記補機用バッテリの充電側電流を検出した場合には、前記バッテリセンサの電流値が異常値であると判定する、
車両用電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の補機に電力を供給する車両用電源システムが公知である。車両用電源システムには、エンジンの回転によって発電し、補機に電力を供給するオルタネータと、オルタネータと並列に接続され、駆動用バッテリの電力を補機に供給するために電圧を変換するDCDCコンバータとを備える。補機には、補機系負荷と補機用バッテリとが含まれる。
【0003】
また、車両用電源システムの異常を判定する異常判定装置が公知である。例えば、特許文献1に開示された異常判定装置では、発電機の発電状態とバッテリセンサの充放電電流に基づいて車両用電源システムの電源回路の異常を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-069681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した異常判定装置では、バッテリセンサが異常の場合には、バッテリセンサが検出する電流値も異常であって、車両用電源システムの電源回路の異常を判定することができない。そこで、車両用電源システムでは、バッテリセンサの異常を判定することが望まれている。また、既存の車両用電源装置のハードウェアを変更することなくバッテリセンサの異常を判定することが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、ハードウェアを変更することなくバッテリセンサの異常を判定することができる車両用電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用電源システムは、DCDCコンバータによって電圧を変換して補機用バッテリへ電力を供給する車両用電源システムであって、システム起動後からDCDCコンバータが起動するまでの間に、バッテリセンサによって補機用バッテリの充電側電流を検出した場合には、バッテリセンサの電流値が異常値であると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両用電源システムによれば、ハードウェアを変更することなくバッテリセンサの異常を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の一例である車両用電源システムを示す模式図である。
図2】ECUの構成を示すブロック図である。
図3】異常判定制御の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、方向、数値等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができる。
【0011】
[車両用電源システム]
図1を用いて、車両用電源システム10について説明する。
【0012】
車両用電源システム10は、車両に搭載される。車両は、ガソリンエンジンおよびモータを駆動して走行するHEV(Hybrid Electric Vehicle)である。車両用電源システム10によれば、詳細は後述するが、ハードウェアを変更することなくバッテリセンサ18の異常を判定することができる。
【0013】
車両用電源システム10は、エンジン14の回転によって発電し、補機11に電力を供給するオルタネータ15と、オルタネータ15と並列に接続され、駆動用バッテリ16の電力を補機11に供給するために電圧を変換するDCDCコンバータ17と、詳細は後述するバッテリセンサ異常判定制御を実行する電源ECU(Electronic Control Unit)20とを備える。補機11には、補機系負荷12と、補機用バッテリ13とが含まれる。
【0014】
車両用電源システム10は、通常、DCDCコンバータ17を駆動して、駆動用バッテリ16の電力を補機11に供給し、補機系負荷12の消費電力が所定電力以上の場合には、エンジン14およびオルタネータ15を駆動して補機11に電力を補填する。
【0015】
補機系負荷12は、車両における電装品、電装品を制御する制御装置、走行に関する制御装置、自動運転を制御する制御装置等の電力を消費する機器であって、例えばブレーキモータ、パワーステアリングモータ等である。
【0016】
補機用バッテリ13は、補機系負荷12に電力を供給し、後述する駆動用バッテリ16と比較して低電圧かつ小容量のバッテリである。補機用バッテリ13は、鉛バッテリ、リチウムイオン電池等が好適に用いられる。補機用バッテリ13には、バッテリセンサ18が設けられる。バッテリセンサ18は、補機用バッテリ13の電圧、充電側電流または放電側電流を検出する。
【0017】
オルタネータ15は、エンジン14の回転によって発電する発電機であって、補機11に電力を供給する。オルタネータ15は、エンジン14のクランクシャフトにベルトによって接続されてもよい。オルタネータ15は、補機11に対してDCDCコンバータ17と並列に接続されている。
【0018】
駆動用バッテリ16は、車両を駆動するモータに電力を供給する。駆動用バッテリ16は、リチウムイオン電池等が好適に用いられる。
【0019】
DCDCコンバータ17は、駆動用バッテリ16の直流の高圧電力の電圧を直流の低圧電力の電圧に降圧して補機11に供給する。DCDCコンバータ17は、補機11に対してオルタネータ15と並列に接続されている。
【0020】
[電源ECU]
図2を用いて、電源ECU20について説明する。
【0021】
電源ECU20は、車両用電源システム10がシステム起動(イグニッションオン)してから、DCDCコンバータ17が起動する(レディオン)までの間の補機用バッテリ13の電流値に基づいてバッテリセンサ18の異常を判定する。換言すれば、電源ECU20は、車両用電源システム10のハードウェアを変更することなくバッテリセンサ18の異常を判定することができる
【0022】
電源ECU20は、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部を有し、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。
【0023】
電源ECU20は、エンジン14と、DCDCコンバータ17とに接続されている。電源ECU20は、エンジン14またはDCDCコンバータ17を停止または駆動させる。電源ECU20には、バッテリセンサ18が接続されている。電源ECU20は、バッテリセンサ18によって検出される補機用バッテリ13の電圧、充電側電流または放電側電流を取得する。なお、電源ECU20は、補機用バッテリ13の充電側の電流を+値として取得し、放電側の電流を-値として取得する。
【0024】
電源ECU20は、それぞれ詳細は後述する、バッテリ電圧取得部21と、DCDCコンバータ起動確認部22と、バッテリ電流取得部23と、バッテリセンサ異常判定部24とを有する。バッテリ電圧取得部21、DCDCコンバータ起動確認部22、バッテリ電流取得部23およびバッテリセンサ異常判定部24は、CPUがRОMまたはRAMに格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0025】
バッテリ電圧取得部21は、バッテリセンサ18によって検出された補機用バッテリ13の電圧値を取得する。
【0026】
DCDCコンバータ起動確認部22は、バッテリ電圧取得部21によって取得された補機用バッテリ13の電圧値に基づいて、DCDCコンバータ17が起動しているかどうかを確認する。
【0027】
より具体的には、DCDCコンバータ起動確認部22は、補機用バッテリ13の電圧値が所定値(例えば13V)より大きい場合には、DCDCコンバータ17が起動していると判定する。また、DCDCコンバータ起動確認部22は、補機用バッテリ13の電圧値が所定値以下では、DCDCコンバータ17が未だ起動していないと判定する。なお、所定値は、補機用バッテリ13の満充電時の電圧よりも若干低い電圧値とすることが好ましい。
【0028】
上記理由として、DCDCコンバータ17が起動している場合には、DCDCコンバータ17によって補機用バッテリ13に電力が供給されるため、補機用バッテリ13が充電状態となって満充電時の電圧よりも高い電圧となる。他方、DCDCコンバータ17が起動していない場合には、補機用バッテリ13から補機系負荷12に電力が供給されるため、補機用バッテリ13が放電状態となって満充電時の電圧よりも低い電圧となる。
【0029】
バッテリ電流取得部23は、バッテリセンサ18によって検出された補機用バッテリ13の電流値を取得する。
【0030】
バッテリセンサ異常判定部24は、DCDCコンバータ起動確認部22によって確認されたDCDCコンバータ17が未だ起動していない場合において、バッテリ電流取得部23によって取得された補機用バッテリ13の電流値に基づいて、バッテリセンサ18の異常を判定する。
【0031】
より具体的には、DCDCコンバータ17が未だ起動していない場合において、補機用バッテリ13の電流値が+値(充電側)であれば、バッテリセンサ18の電流値が異常値であって、バッテリセンサ18が異常であると判定する。この理由として、DCDCコンバータ17が未だ起動していない場合には、補機用バッテリ13が補機系負荷12に対して電力を供給するために、補機用バッテリ13の電流値が-値(放電側)になる場合が正常であるためである。
【0032】
[異常判定制御]
図3を用いて、バッテリセンサ異常判定制御の流れについて説明する。
【0033】
バッテリセンサ異常判定制御は、以下の手順に従って上述した電源ECU20の各機能に基づいて、バッテリセンサ18の異常を判定する。
【0034】
ステップS11において、バッテリ電圧取得部21によって、バッテリセンサ18によって検出された補機用バッテリ13の電圧値を取得する。また、バッテリ電流取得部23は、バッテリセンサ18によって検出された補機用バッテリ13の電流値を取得する。
【0035】
ステップS12において、DCDCコンバータ起動確認部22によって、補機用バッテリ13の電圧値が所定値以下かどうかを確認する。補機用バッテリ13の電圧値が所定値以下の場合には、DCDCコンバータ17が未だ起動していないと判定して、ステップS13へ移行する。補機用バッテリ13の電圧値が所定値より大きい場合には、DCDCコンバータ17が起動したと判定して、バッテリセンサ異常判定制御を終了する。
【0036】
ステップS13において、バッテリセンサ異常判定部24によって、補機用バッテリ13の電流値が+値(充電側)であるかどうかを判定する。補機用バッテリ13の電流値が+値(充電側)の場合には、ステップS14へ移行する。補機用バッテリ13の電流値が-値(放電側)の場合には、ステップS11へ移行する。
【0037】
ステップS14において、バッテリセンサ異常判定部24によって、補機用バッテリ13が補機系負荷12に対して電力を供給するために、補機用バッテリ13の電流値が-値(放電側)になる場合が正常であるところ、+値(充電側)であるためバッテリセンサ18の電流値が異常であって、バッテリセンサ18が異常であると判定する。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
10 車両用電源システム、11 補機、12 補機系負荷、13 補機用バッテリ、14 エンジン、15 オルタネータ、16 駆動用バッテリ、17 DCDCコンバータ、18 バッテリセンサ、20 電源ECU、21 バッテリ電圧取得部、22 DCDCコンバータ起動確認部、23 バッテリ電流取得部、24 バッテリセンサ異常判定部
図1
図2
図3