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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017622
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240201BHJP
   B60P 1/43 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
B60P1/43 A
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120382
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】梅田 洵平
(72)【発明者】
【氏名】土棟 志龍
(72)【発明者】
【氏名】宮地 駿
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA04
5G503DA07
5G503FA03
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】
作業場所および設置場所の融通性が高い給電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
自走する移動体Aに備えた蓄電装置(バッテリ)76に給電可能な給電部Cと、給電部Cの近傍に配置し、移動体Aが載ることが可能な載置部11と、載置部11に収納可能なあゆみ板91と、を備え、あゆみ板91は載置部11に収納可能な第1あゆみ板92と、第1あゆみ板92に収納可能な第2あゆみ板93と、を備え、あゆみ板91は、載置部11に設けた係止部に係止することで載置部11から引き出し不可能にするストッパ94を備えたことを特徴とする給電装置B。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走する移動体に備えた蓄電装置に給電可能な給電部と、
前記給電部の近傍に配置し、前記移動体が載ることが可能な載置部と、
前記載置部に収納可能なあゆみ板と、
を備えたことを特徴とする給電装置。
【請求項2】
前記あゆみ板は前記載置部に収納可能な第1あゆみ板と、
前記第1あゆみ板に収納可能な第2あゆみ板と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記あゆみ板は、前記載置部に設けた係止部に係止することで前記載置部から引き出し不可能にするストッパと、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記あゆみ板の接地する側の先端部には、前記あゆみ板に対して角度を変更可能にされた可動傾斜板部と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の給電装置。
【請求項5】
前記第1あゆみ板および前記第2あゆみ板は、前記第2あゆみ板が前記第1あゆみ板の突出を規制する規制部と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の給電装置。
【請求項6】
自走する移動体に備えた蓄電装置に給電可能な、給電部の近傍に配置し、前記移動体が載ることが可能な載置部に収納可能な構成である、
ことを特徴とするあゆみ板。
【請求項7】
前記あゆみ板は前記載置部に収納可能な第1あゆみ板と、
前記第1あゆみ板に収納可能な第2あゆみ板と、
を備えたことを特徴とする請求項6に記載のあゆみ板。
【請求項8】
前記あゆみ板は、前記載置部に設けた係止部に係止することで前記載置部から引き出し不可能にするストッパと、
を備えたことを特徴とする請求項6または7に記載のあゆみ板。
【請求項9】
前記あゆみ板の接地する側の先端部には、前記あゆみ板に対して角度を変更可能にされた可動傾斜板部と、
を備えたことを特徴とする請求項6または7に記載のあゆみ板。
【請求項10】
前記第1あゆみ板および前記第2あゆみ板は、前記第2あゆみ板が前記第1あゆみ板の突出を規制する規制部と、
を備えたことを特徴とする請求項7に記載のあゆみ板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エリアワイヤ内で作業させ、充電ステーションに帰還することによって充電する作業車が特許文献1に記載されている。特許文献1によれば、充電ステーションをエリアワイヤで囲まれた領域に配置し、作業車はエリアワイヤ内で作業を行う。そして必要都度、作業車が充電ステーションに帰還し、充電を行うとされる。
また、自走する作業車を荷台に搭載するために収納部にあゆみ板を設け、このあゆみ板を出し入れするあゆみ板出入装置を設けた動力運搬車が特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-182634号公報
【特許文献2】実開昭56-103338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、作業場所が複数有する場合は、作業場所の数に応じた複数の作業車と複数の充電ステーションを用意する必要があり、それぞれ複数調達するには多額の資金が必要となる問題がある。また、複数の作業場所のそれぞれに充電ステーションを配置し、1つの作業車で作業をするにしても、やはり、充電ステーションを設置する資金が必要である。1つの作業車と1つの充電ステーションで複数の場所で作業できれば最も利便性が良い。
また、上記の場合、作業場所を変えるために作業車を移動させる必要があるが、この際に、特許文献2にあるような運搬車を用意して、荷台に自走させて積み込む必要がある。しかし、既存の運搬車に特許文献2に提示されたあゆみ板出入装置を搭載するのは容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、
自走する移動体に備えた蓄電装置に給電可能な給電部と、
前記給電部の近傍に配置し、前記移動体が載ることが可能な載置部と、
前記載置部に収納可能なあゆみ板と、
を備えたことを特徴とする給電装置、
に係る。
【0006】
この発明は、更に、
前記あゆみ板は前記載置部に収納可能な第1あゆみ板と、
前記第1あゆみ板に収納可能な第2あゆみ板と、
を備えたことを特徴とする給電装置、
に係る。
【0007】
この発明は、更に、
前記あゆみ板は、前記載置部に設けた係止部に係止することで前記載置部から引き出し不可能にするストッパと、
を備えたことを特徴とする給電装置、
に係る。
【0008】
この発明は、更に
前記あゆみ板の接地する側の先端部には、前記あゆみ板に対して角度を変更可能にされた可動傾斜板部と、
を備えたことを特徴とする給電装置、
に係る。
【0009】
この発明は、更に、
前記第1あゆみ板および前記第2あゆみ板は、前記第2あゆみ板が前記第1あゆみ板の突出を規制する規制部と、
を備えたことを特徴とする給電装置、
に係る。
【0010】
この発明は、
自走する移動体に備えた蓄電装置に給電可能な、給電部の近傍に配置し、前記移動体が載ることが可能な載置部に収納可能な構成である、
ことを特徴とするあゆみ板、
に係る。
【0011】
この発明は、更に、
前記あゆみ板は前記載置部に収納可能な第1あゆみ板と、
前記第1あゆみ板に収納可能な第2あゆみ板と、
を備えたことを特徴とするあゆみ板、
に係る。
【0012】
この発明は、更に、
前記あゆみ板は、前記載置部に設けた係止部に係止することで前記載置部から引き出し不可能にするストッパと、
を備えたことを特徴とするあゆみ板、
に係る。
【0013】
この発明は、更に、
前記あゆみ板の接地する側の先端部には、前記あゆみ板に対して角度を変更可能にされた可動傾斜板部と、
を備えたことを特徴とするあゆみ板、
に係る。
【0014】
この発明は、更に、
前記第1あゆみ板および前記第2あゆみ板は、前記第2あゆみ板が前記第1あゆみ板の突出を規制する規制部と、
を備えたことを特徴とするあゆみ板、
に係る。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、作業場所および設置場所の融通性が高いが給電装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施例に係る給電装置の平面図である。第1あゆみ板、第2あゆみ板は収納状態である。
図2】この発明の実施例に係る給電装置単体の側面図である。第2アームは、格納姿勢の状態を示す。第1あゆみ板、第2あゆみ板は、載置部に対して収納状態である。
図3】この発明の実施例に係る給電装置の正面図である。第2アームは、格納姿勢の状態を示す。第1あゆみ板、第2あゆみ板は、載置部に対して収納状態である。
図4】この発明の実施例に係る給電装置の一部拡大平面図である。第1あゆみ板、第2あゆみ板を載置部に対して展開状態にした一部断面図である。
図5】この発明の実施例に係る給電装置の一部拡大側面図である。第1あゆみ板、第2あゆみ板を載置部に対して展開状態にした断面図である。
図6】この発明の実施例に係る給電装置の一部拡大側面図である。
図7】この発明の実施例に係る給電装置の使用例を示す側面図である。
図8】この発明の実施例に係る給電装置の使用例を示す側面図である。
図9】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。移動体が給電装置の載置部に進入した状態であって、移動体が給電部に向かって載置部上を移動している状態の要部拡大側面をあらわす。移動体の電極カバーは閉鎖状態である。第2アームは格納姿勢あるいは格納状態である。操作部と本体フレーム間に突出片の突起部が位置している。移動体は給電部に向かって進行する。突起片の先端である突出部が、本体フレームと操作部の間に進入する状態をあらわす。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施例に係る移動体Aと、給電装置Bについて図面にしたがって説明する。
給電装置Bの給電に係る構成の概略を説明する。
給電装置Bは、移動体Aが進入可能な載置部11と、移動体Aに給電作業を行う給電部Cと、載置部11の他端側に設けた支柱部21とからなる。
給電部Cは、支柱部21に回動自在に支持された第1アーム31と、同じく支柱部21に回動自在に支持され給電側端子部材42を設けた第2アーム41と、第2アーム41を第1アーム31側に回動する力を与える付勢体35と、第1アーム31が第2アーム41側への近接を規制する規制部33とを備えている。
34は、取付位置調整部である。取付位置調整部34は、第1アーム31に対する規制部33の取り付け位置を調整可能にする部位であり、規制部33の位置を変更することで、第1アーム31が第2アーム41側への近接する距離を規制することができる。
【0018】
載置部11は、給電装置Bに設ける。載置部11は、移動体Aが乗り上げることが可能である。
載置部11の一端側には、移動体Aが給電側端子部材42に向かって進入する進入路12を有するあゆみ板91を載置部11に収納可能である。
移動体Aは、載置部11が有する進入路12から給電部Cに向かって進入するとともに載置部11に乗り上がり、やがて、移動体Aの受電部Dが給電部Cと接触することで給電状態になる。
受電部Dは、給電装置Bにおける給電部Cが有する給電側端子部材42と接触する移動体側端子部材85を含む。
【0019】
載置部11は、平面視においてコ字状あるいはU字状に台状の載置台として設ける。載置部11のコ字状あるいはU字状の凹部中央部に給電部Cを配置する。開口された側の端部には、進入路12を有するあゆみ板91を載置部11に収納可能である。移動体Aは進入路12から、載置部11に乗り上がることができる。走行部71が乗り上がる進入路12は載置部11の一端側である2か所に設けている。
コ字状あるいはU字状からなる載置部11には、給電状態の移動体Aの下方が開放された開放部Eを設ける。載置部11に周囲を覆われる開放部Eは、走行部71が接触する以外の個所は、移動体Aに対して下方に開放される。
開放部Eによって、給電装置Bを設置する際の接地面積を減少させることができる。接地面積の減少は、給電装置Bを設置面に設置する際に安定して接地させる機会を向上させる。実施例の場合、開放部Eによって、給電装置Bを設置する設置面と移動体Aの下方は遮蔽物がない状態となっている。
【0020】
載置部11である載置面間に移動体Aに向かって上方に突出した障害物等が有っても、載置面はこの障害物を跨いで避けるように、設置面に設置することができるので、設置面の状態に影響を受けることを減少させる。また、この障害物の高さは、載置部11に乗り上げた移動体が跨ぐことができる高さである、本体フレーム75の下方近傍に達する高さであってもよい。
開放部Eは必ずしも設置面と移動体の下方に遮蔽物がない状態とは限らない。開放部Eは互いの載置部11間において、設置面と直接接触する部分がなければ、開放部Eには、設置面に接地はしないが、移動体Aの進行方向左右それぞれの載置部11を繋ぐ連繋部材を有していてもよい。この場合、障害物を回避しながらも、連繋部材に給電装置Bの機能を拡張できる機材及び部材を取り付けることができ、有用である。
【0021】
移動体Aが給電状態での載置部11の移動体Aに対する前後方向の距離は、移動体Aの走行部71の軸距である前輪軸と後輪軸の距離より長く設ける。実施例の場合においては、載置部11の移動体Aに対する前後方向の距離は、走行部71の前後接地長より長く設けている。そのため、給電状態での走行部71の全ては、載置部11上に位置することが可能で、移動体Aは給電装置B上への安定した配置が可能である。
【0022】
移動体Aの走行部71を載置部11上に位置する構成とすることで、給電装置Bごと移動体Aを移動させることができる。
例えば、給電装置Bをクレーン装置等で釣り上げたり、給電装置Bの下方からリフト装置等で持ち上げたりすることで、移動体Aを別途支えることなく、給電装置Bと移動体Aとを一体的に移動させることが可能である。
【0023】
移動体Aが進入路12から給電部Cに向かう場合、移動体Aの受電部Dの位置及び向きと、給電部Cの位置及び向きとを合わせながら、互いに正対するように移動体Aを進入させる。すなわち、移動体Aは、本体フレーム75下部の進行方向に対する左右中央部に位置した受電部Dと第2アーム41の位置を合わせながら、第2アーム41の回動軸と交差する方向に後進で第2アーム41側に向かって載置部11に進入させ、さらに給電部Cである第2アーム41に向かって載置部11上を適正に移動させる必要がある。
【0024】
載置部11の下部には、設置面に接触可能に設けるとともに設置高さを調整可能なアジャスタ17を設ける。アジャスタ17は、載置部11の下面から上下方向に出没調整が可能である。
アジャスタ17は、載置部11の下方が凹凸等を有する不整地であっても、給電装置Bが傾いたり揺動したりすることを防いで、移動体Aが容易に載置部11に進入できる。
【0025】
この発明の給電装置Bは、移動体Aが給電装置Bの有する載置台の進入路12から後進して侵入し、給電可能な給電位置に接近することによって、給電側端子部材42が移動体Aに設ける移動体側端子部材85に接触して通電が可能になる。
より詳細には、給電装置Bは、自走する移動体Aが支柱部21に接近するにしたがって、給電側端子部材42を有する倒伏状態の第2アーム41が起立することによって起立状態となって、移動体Aに設ける移動体側端子部材85に接触して移動体Aに給電側端子部材42が給電する。なお、実施例における給電電力は直流であるものとして説明をする。
【0026】
移動体側端子部材85は、移動体Aの一端側である後方部の本体フレーム75の下部に配置する。移動体側端子部材85は平板状の伝導性部材で、面が下方に向くように設ける。また、移動体側端子部材85は、プラス電極とマイナス電極を一対設け、本体フレーム75の進行方向に対する左右中央部に、それぞれを左右並べて配置する。移動体側端子部材85のプラス電極とマイナス電極が、給電側端子部材42のプラス電極とマイナス電極のそれぞれを接触させることで給電が可能な状態になる。
【0027】
第1アーム31は、給電装置Bに、移動体Aの進行に伴って移動体Aに押されることで、移動体Aの進行方向に揺動可能に設ける。
第1アーム31は、上部を移動体Aに寄せるように斜め上方に向けられた長尺状の部材であって、一端側を回動支点軸32を支点にして、他端側である上部が前後に揺動するように支柱部21の下部に、回動自在に支持する。第1アーム31の揺動支点軸は、移動体Aの進行方向と交差する方向に向けている。
第1アーム31は、移動体Aの進行に伴って移動体Aに押されることで、移動体Aの進行方向に揺動可能である。
【0028】
第2アーム41は、長尺状の部材であって、一端側を支柱部21に支持し、他端側が上下動可能に設ける。実施例では、第2アーム41の一端側は、第1アーム31の一端側と同軸の回動支点軸32に設けているが、必ずしもこれに限定はしない。例えば、第2アーム41の一端側の回動支点軸32を、第1アーム31の一端側の支点軸と別な位置且つ平行に設けていてもよい。
第2アーム41の材質は絶縁体で構成され、第2アーム41の他端側先端部に設ける伝導性部材である給電側端子部材42に流れる電気が、第2アーム41を介して給電装置Bの他の部材(例えば、第1アーム31や支柱部21など)に伝わらないようにされている。実施例において、第2アーム41はプラスチック系樹脂で構成しているが、第2アーム41を構成する材質に限定はなく、絶縁の目的を達成できる絶縁体で構成されていればよい。
【0029】
第2アーム41は対を成すように2本設け、互いに平行に対をなすように配置する。第2アーム41は長尺方向をほぼ水平方向に向けて伏せた格納姿勢から、長尺方向を水平方向から起き上がった給電姿勢まで、回動支点軸32を軸にして他端側が上下回動する。なお、2本ある第2アーム41は、それぞれが独立して回動支点軸32周りに回動するとともに、第1アーム31と第2アーム41は、それぞれ独立して回動する。
第2アーム41は、第1アーム31に連動して揺動可能で、第1アーム31が移動体Aに押されることで移動体A側に設ける移動体側端子部材85に近づくとともに移動体側端子部材85に接触可能な給電側端子部材42を有する。
【0030】
付勢体35は、第1アーム31に設ける。付勢体35は、第2アーム41を第1アーム31側に近接する方向に力を与える。
付勢体35は、第1アーム31の中間部と第2アーム41の中間部のそれぞれに架け渡すように設ける。実施例では付勢体35は、弾性体である引張りコイルバネを使用していて、常時、第1アーム31と第2アーム41のそれぞれの他端側が、互いに近接するように付勢力が働いている。付勢体35は、2つの第2アーム41のそれぞれに設ける。
【0031】
規制部33は、実施例では、五角形状の片部材で、第1アーム31の中間部の側部に設けている。規制部33の一辺が第2アーム41に接触することで、第1アーム31及び第2アーム41が互いに近接する方向への回動が規制される。規制部33は、付勢体35による第1アーム31と第2アーム41の過剰な近接を抑止するために設ける。
第1アーム31及び第2アーム41は予め決められた挟み角度以下にならず、互いの他端部の距離が定められた距離以下にならないように規制部33を設けている。これにより、第2アーム41が載置部11と平行に伏せた状態の格納姿勢のときにおいて、第1アーム31の下方への過剰な傾倒を防止できる。規制部33は取付位置調整部34によって第1アーム31に対する取付位置をずらすことが可能に設け、第1アーム31及び第2アーム41の挟み角度を適宜調整が可能にされている。取付位置調整部34によって第1アーム31を適正な姿勢にでき、第1アーム31と移動体Aとの接触位置を適正にすることができる。
【0032】
規制部33は、第1アーム31と第2アーム41との挟み角を調整可能に設けているので、移動体Aが有する走行部71の摩耗(実施例に示す履帯の摩耗や、図示しない実施例であるタイヤ等の摩耗)によって上下する移動体Aの第1アーム31の接触位置を適正な位置に適宜調整が可能になっている。つまり、第1アーム31の同じ位置を移動体Aが押すことができるため、第2アーム41の起き上がるタイミングを、移動体Aの高さによらず同じにすることができる。
【0033】
支柱部21は、第1アーム31の支点側であり、載置台である給電装置Bに設ける載置部11に固定する。支柱部21は、移動体Aによって押されたり衝突されたりしても変形しない程度に、強固に上方に突出させて設ける。
支柱部21は、第1アーム31の移動体Aの進行に伴って押された方向への揺動を規制するとともに、第1アーム31を介して移動体Aの進行を強制的に止める。
支柱部21に対して回動自在な第1アーム31の他端側である上部は、移動体Aが進入路12から侵入して徐々に第1アーム31に近づいた後、移動体Aの先端である側部77が第1アーム31に接触する。さらに、移動体Aを支柱部21側に進行させて、第1アーム31が移動体Aの側部77に押されることで支柱部21側に揺動する。
第1アーム31が支柱部21側に揺動すると、第1アーム31は支柱部21に接触して、それ以上の揺動が規制される。そして、移動体Aは第1アーム31を介した支柱部21によって、これ以上の進行が規制される。
【0034】
22は、スイッチである。スイッチ22は、給電装置Bの支柱部21の上部に設ける。スイッチ22は、移動体Aが第1アーム31を介して、支柱部21側に押すことで操作される。スイッチ22の操作有無の条件が、給電側端子部材42及び移動体側端子部材85を介して、移動体Aに載置する蓄電装置であるバッテリ76に給電をするか否かの判定条件の一つとなっている。
スイッチ22は、第1アーム31の揺動によって操作可能に設け、給電部Cは該操作の完了と移動体側端子部材85と前記給電側端子部材42の接触が完了したことを条件にバッテリ76に給電を開始させる。
【0035】
給電側端子部材42について説明する。
給電側端子部材42は、移動体Aの下方に向かって露出可能な移動体側端子部材85に接触して移動体Aに給電する。
2本ある第2アーム41の他端側の先端部に給電側端子部材42をそれぞれ配置する。給電側端子部材42の一方はプラス電極であり、給電側端子部材42の他方はマイナス電極である。また、移動体A側の受電側端子部材である移動体側端子部材85も、一対設け、移動体側端子部材85の一方はプラス電極であり、他方はマイナス電極となるように設ける。給電側端子部材42が取り付けられる第2アーム41は絶縁体で構成するため、給電側端子部材42に印加される電気が他の部材に漏電することはない。
【0036】
給電側端子部材42のプラス電極と移動体側端子部材85のプラス電極を接触させ、尚且つ、給電側端子部材42のマイナス電極と移動体側端子部材85のマイナス電極を接触させ、さらに、給電装置B側から直流の電圧をかけることで、移動体Aに設けた蓄電装置であるバッテリ76に給電し、充電させることができる。
【0037】
給電側端子部材42の移動体側端子部材85との接触面43は平面に設け、給電側端子部材42は接触面43が第2アーム41に対して、前後方向に傾斜揺動を可能にさせる端子用支点部44を設ける。端子用支点部44の軸方向は、第1アーム31及び第2アーム41の回動支点軸32と平行に設けている。第2アーム41が格納姿勢のときの接触面43は、上方且つやや第2アーム41の他端に向けて傾斜するように配置されている。
給電側端子部材42は第2アーム41側に向けて突出させた規制ピン46を設け、第2アーム41の他端側に設けた孔(図示せず)内に配置する。規制ピン46は孔(図示せず)内を移動可能に設け、給電側端子部材42の端子用支点部44周りの回動を、規制ピン46が孔(図示せず)の縁に接触するまでの範囲内で回動するように規制する。
端子用支点部44は、給電側端子部材42を第2アーム41に対して揺動可能に設ける。
【0038】
給電装置Bが有する給電部Cの側方である第2アーム41の側方に突出片61を設ける。突出片61は給電装置Bの支柱部21側から移動体Aの前方に向けた先端に側面視で嘴状の突起部63を有した部材で、載置台である載置部11に固定されている。突出片61は、給電装置Bに固定するとともに給電側端子部材42より移動体A側に向かって突出する。
実施例での突出片61は板状部材で形成され、第2アーム41に隣接した移動体Aの前進方向に対する左側に設けている。
【0039】
64は、傾斜部である。傾斜部64は、突出片61に、突出片61下部に至る移動体A側の先端部から支柱部21側且つ下方に向かって傾斜させて設ける。
傾斜部64の上部は、側面視において、給電側端子部材42よりも移動体A側に突出して配置され、突起部63の下部に至る。
突起部63の上部は、突出片61の上端から移動体Aの進入路12から支柱部21に向
かう方向に向かうにつれて、徐々に下方に傾斜するように円弧状に設ける。
【0040】
突起部63の尖った先端から移動体Aの進入路12から支柱部21に向かう方向に向かうにつれて下方に円弧状に傾斜するように傾斜部64を設けている。この実施例では傾斜部64は円弧状からなる。そのため、傾斜部64を摺動する部材の動作は円滑となる。
傾斜部64は移動体Aの進入路12から支柱部21に向かう方向且つ下端に向かうにつれて、傾斜角度が徐々に垂直になるように設ける。突出片61の下部に位置した傾斜部64はほぼ垂直になるように設けている。実施例での傾斜部64は円弧状に湾曲させて設けているが、複数の直線部を組み合わせて構成してもよい。
【0041】
突出片61と第2アーム41との位置関係について説明する。
突出片61の突起部63及び傾斜部64は、第2アーム41の一端側から他端側に向かう方向であって、他端側の方向に向かってさらに延長させた位置に配置する。換言すれば、傾斜部64は、側面視において、給電側端子部材42よりも移動体A側に突出して配置される。これによって、第2アーム41が格納姿勢から給電姿勢へ移行する前に、後述する移動体Aに配置する電極カバー81が閉鎖状態から露出状態に向かう回動を開始させることができる。また、上記した突出片61と第2アーム41との位置関係によって、第2アーム41の給電側端子部材42が移動体A側に設ける移動体側端子部材85に向かうまでの間に、第2アーム41と電極カバー81が互いに干渉することを防ぐ。
【0042】
突出片61と移動体Aとの位置関係について説明する。
突出片61は、移動体Aの電極カバー81に設けた後述する操作部82と、移動体Aの進行方向に対する幅方向の位置関係が一致している。さらに、突出片61の上端は移動体Aの本体フレーム75の下面より低くなるように設けている。この構成により、移動体Aが進入路12から載置台である載置部11に進入してきた際に、突出片61が本体フレーム75に干渉することなく、突起部63が操作部82に到達できる。さらに、移動体Aが進入に伴って、突起部63下部の傾斜部64に操作部82が押し当てられることよって、操作部82を下方に移動させる。つまり、突出片61と操作部82との接触によって、電極カバー81が閉鎖状態から露出状態になるように回動させることができる。
【0043】
給電時の突出片61と移動体Aとの位置関係について説明する。
突出片61が有する突起部63から形成される傾斜部64の下部は、移動体Aが給電可能な状態である電極カバー81が完全な露出状態において、移動体側端子部材85よりも移動体Aの前進方向に対する前方に配置されている。つまり、側面視において、移動体Aが給電状態の移動体側端子部材85の前端は、傾斜部64の下部と移動体Aの前後方向と重なり合わない位置に配置される。これによって、操作部82を移動体Aの下方及び前方側に大きく移動させて電極カバー81を大きく開放させることができる。
【0044】
突出片61の分割構成について説明する。
突出片61は分割させて給電装置Bに固定させてもよい。実施例での突出片61は、操作部82を操作する突起部63を有した突出片本体611と、突出片本体611を給電装置Bに固定させるための突出片61の取付部62とに分割させている。突出片61の取付部62と突出片本体611は、互いを固定するためにボルト・ナットからなる締結部材で固定されている。
突出片61の取付部には長孔65を有していて、締結部材での締結位置を長孔65内で調整することで、突出片61の上端の高さ位置を調整が可能である。これにより、移動体Aが有する走行部71(実施例の場合はクローラ)の摩耗で、給電装置Bに対する本体フレーム75の相対高さが変化しても、突出片61本体の上下方向の位置を調整することで、突出片61を本体フレーム75に干渉させること無く、且つ、傾斜部64での操作部82操作を確実に行うことができる。
【0045】
51は、保護カバーである。保護カバー51は、第2アーム41の他端部の周囲を覆うように載置部11に設け、第2アーム41を移動体側端子部材85に向かって出没可能に設けるとともに第2アーム41が通過可能な切欠き部511を有する。
保護カバー51は、第2アーム41が格納姿勢のとき、第2アーム41の他端側及び給電側端子部材42の上部を覆う。保護カバー51は、第2アーム41が格納姿勢と給電姿勢との間の回動によって、第2アーム41の他端部及び給電側端子部材42が通過可能にする切欠き部511を上部に設けている。さらに、切欠き部511を覆うように遮蔽カバー52を設ける。遮蔽カバー52は可撓性部材且つ、不導体である非通電性質の材質を用いている。実施例ではゴム状の板を用いている。
【0046】
遮蔽カバー52は、格納姿勢の第2アーム41の長尺方向に沿う方向に、スリット52を設けている。スリット521は通常状態において閉じられていて、第2アーム41の回動によって、遮蔽カバー52を第2アーム41他端部及び給電側端子部材42が押し退けることで開き、保護カバー51から、第2アーム41他端部及び給電側端子部材42が出没可能にされている。また、遮蔽カバー52のスリット521は、遮蔽カバー52が互いに重なるように配置されていることで形成する。遮蔽カバー52及びスリット521によって、格納姿勢の第2アーム41の上方を覆うことで、給電側端子部材42への異物の付着を防止できる。遮蔽カバー52を重ねて形成したスリット521によって隙間がしっかりと閉じることができるので、異物が容易にスリット521を通過して遮蔽カバー52の下方に侵入しないようにされている。
【0047】
91は、あゆみ板である。あゆみ板91は載置部11に収納可能に設ける。
載置部11は正面方向からの断面視で下方に開放したコ字状に形成し、このコ字状部に収めるようにあゆみ板91を配置する。あゆみ板91は、載置部11のコ字状部内を進入路12方向に出し入れ可能に設け、載置部11に対して出没自在である。あゆみ板91の先端部には、移動体Aが載置部11に向かうための進入路12を有している。つまり、進入路12は載置部11に対して、出没自在であるともいえる。移動体Aは進入路12から進入し、あゆみ板91上の走行を経て載置部11上に位置することができる。
この発明の実施形態でのあゆみ板91は、載置部11に収納可能に設ける第1あゆみ板92と、第1あゆみ板92に収納可能に設ける第2あゆみ板93とからなる。
【0048】
あゆみ板91の搭載に関して、給電装置Bの給電方式(接触給電、非接触給電)や、給電部Cの位置に限定はない。実施例での載置部11は給電部Cの左右2つに分かれて配置しているが1つでもよい。実施例では、給電(充電)可能な給電装置B(充電ステーション)にあゆみ板91を収納可能に配置した。
第1あゆみ板92は、長尺な角パイプ状に構成され、長手方向を載置部11の長手方向に沿うように載置部11内に収納可能にされている。第2あゆみ板93は開放側を下方に向けた断面コ字状の長尺部材からなる。
【0049】
あゆみ板91は載置部11に収納された収納状態と、載置部11から引き出された展開状態に状態の変更が可能である。あゆみ板91は載置部11と移動体Aが作業をする作業場所Jとを連絡することで、移動体Aが載置部11と作業場所Jとの間で往来ができる。
第1あゆみ板92は、図示するように、第1あゆみ板92の長手方向を載置部11に長手方向に対して収納した収納状態と、載置部11に長手方向をさらに延長するように引き出した展開状態を取ることができる。したがって、第1あゆみ板92は使用しないときは載置部11内にコンパクトに収めることができる。第1あゆみ板92は、実施形態のようにパイプ状でなくてもよい。下方を解放した断面コ字形状の長尺部材を用いてもよい。
【0050】
第2あゆみ板93は下方が解放された断面コ字状の長尺部材で、第1あゆみ板92に収納可能に設け、第1あゆみ板92の内部で第1あゆみ板92に対して出没移動可能にされている。
第2あゆみ板93は、第2あゆみ板93の長手方向を第1あゆみ板92の長手方向に収納する収納状態と、第1あゆみ板92の長手方向をさらに延長するように引き出した展開状態を取ることができる。第2あゆみ板93は、第1あゆみ板92長手方向に出没可能にされているので、第2あゆみ板93を使用しないときは第1あゆみ板92内にコンパクトに収めることができる。さらに、第2あゆみ板93を収納した第1あゆみ板92を載置部11内に収めることによって、第2あゆみ板93も載置部11内に収納状態とすることができる。
実施形態での第1あゆみ板92はパイプ状にされているので、パイプの内壁で第2あゆみ板93を覆うことで、展開状態の第1あゆみ板92と第2あゆみ板93とがより強固に一体的になる。
【0051】
94は、ストッパである。
第1あゆみ板92の下部の給電部C側にストッパ94を設ける。ストッパ94は第1あゆみ板92が載置部11に収納状態の時に、進入路12とは反対の端部の下部に、左右の側面を横断するように下方に突出させて設ける。実施例において、ストッパ94は、断面が矩形状の角棒状部材を第1あゆみ板92の下部に横断させている。
ストッパ94は、あゆみ板91に設け、載置部11に設けた係止部97に係止することで載置部11から引き出し不可能にし、あゆみ板91を載置部11から引き出し切ったときに、係止部97に接触することで、あゆみ板91が載置部11から抜けきらないように構成する。
【0052】
97は、係止部である。
係止部97は、載置部11の進入路12付近の下部の開放部を横断するように架け渡した丸棒状の部材であり、第1あゆみ板92を下方から支えるとともに、展開状態の第1あゆみ板92が、載置部11からストッパ94より先の方向に抜けきらないように構成する。
係止部97は、第1あゆみ板92を展開状態から収納状態に移行するときに、第1あゆみ板92の下方をガイドし円滑に載置部11に収納する効果を有する。また、係止部97は、収納状態時において、あゆみ板91を下方に落下させない。係止部97は、第1あゆみ板92が収納状態から展開状態にするときにおいて、係止部97によって、第1あゆみ板92が給電装置Bを設置した接地面から浮かせることができるので、第1あゆみ板92を容易に載置部11から引き出すことを補助する効果がある。
【0053】
展開状態の第1あゆみ板92は、ストッパ94が係止部97に係止することによって、第1あゆみ板92が載置部11からそれ以上に引き出せないようにされている。図5に示す側面視において、断面円形状の係止部97には、第1あゆみ板92の底面とストッパ94の1面の合計2か所が接しているので、第1あゆみ板92は係止部97を中心にして上下に角度変更が可能である。また、第1あゆみ板92は係止部97によって、載置部11からそれ以上の引き出しを不可能にしつつ載置部11からの落下を防止されている。そのため、あゆみ板91の先端部が接地する、移動体Aが作業する作業場所Jの作業面に凹凸等による不整地であったとしても、載置部11に対して係止状態を維持しつつ回動することで、あゆみ板91をしっかりと接地させることができる。
【0054】
第1あゆみ板92の給電部C側の側面には係合孔962a、第1あゆみ板92の進入路12側の側面には係合孔962bを貫通させて設けている。また、第2あゆみ板93の給電部C側の側面には係合孔962cを貫通させて設けている。載置部11に収納状態の第1あゆみ板92および第2あゆみ板93は、図1および図2に示すように、係合孔962a、係合孔962cに載置部11の給電部C側の側面に設けた載置部11側係合孔962dとともに係止ピン98を挿入することができる。収納状態の第1あゆみ板92および第2あゆみ板93は載置部11と一体に固定できる。収納状態では、係合孔962a、係合孔962c、係合孔962dが一致する。
【0055】
96は、あゆみ板規制部である。あゆみ板規制部96は、第1あゆみ板92および第2あゆみ板93に設ける。あゆみ板規制部96は、第2あゆみ板93が第1あゆみ板92から定められた長さ以上の突出を規制する。
あゆみ板規制部96は、第1あゆみ板92の進入路12側の先端部に設けた規制部材961および係合孔962bと、第2あゆみ板93の地面と接する側とは反対側の先端部に設けた規制受部材963および係合孔962cと、を備える。
【0056】
規制部材961は、図1乃至図5に図示するように、第1あゆみ板92の進入路側端部の下面部の中央部を上方に向けて突出させた部材である。規制部材961は、第1あゆみ板92が断面コ字状形に形成されている場合は、第1あゆみ板92の進入路側下部を左右に横断させた部材の中央部を部分的に上方に向けて湾曲あるいは、あるいは上方に向けて突出させた形状をしている。第1あゆみ板92の係合孔962aは給電部C側に設けているため、展開状態では他の係合孔962c,962dとは一致しない。係合孔962bは、第1あゆみ板92の進入路12側に設けていて、第2あゆみ板93を第1あゆみ板92に対して展開状態にした場合に、第2あゆみ板93の給電部C側に設けた係合孔962cと一致する。係合孔962bは、係合孔962cとともに係止ピン98が挿入されることで、第2あゆみ板93の第1あゆみ板92に対する展開状態を維持させることができる。あゆみ板91が載置部11に収納状態の場合、係合孔962bは他の係合孔962c,962dとは一致しない。
【0057】
規制受部材963は、第2あゆみ板93の給電部C側下部の左右に横断させた部材で、実施形態の場合は板状部材を横断させている。第2あゆみ板93の係合孔962cは、規制受部材963より給電部C側に貫通させるように設ける。
【0058】
あゆみ板規制部96は、第2あゆみ板93が第1あゆみ板92に対して突出するようにスライドして展開状態となったときに、規制受部材963の進入路12側に規制部材961の給電部C側が接触することで、第2あゆみ板93が第1あゆみ板92から進入路12側に向けて抜け出すことを阻止する。
規制受部材963に規制部材961が接触したときに、第1あゆみ板92の係合孔962bと第2あゆみ板93の係合孔962cが一致する。このときに、係止ピン98を挿入することで、第2あゆみ板93は第1あゆみ板92と一体的に固定される。
第2あゆみ板93が第1あゆみ板92に対して展開状態の場合、第2あゆみ板93は規制部材961と規制受部材963によって、第2あゆみ板93が第1あゆみ板92から進入路12側への突出を阻止され、係合孔962bと係合孔962cへの係止ピン98の挿入によって、第2あゆみ板93が第1あゆみ板92側への引っ込みと、第1あゆみ板92と第2あゆみ板93に角度差がつくことを防止できる。
実施例において、第1あゆみ板92の係合孔962bは、規制部材961がある先端側から、おおよそ規制受部材963の分の前後間隔をあけて、位置させている。この位置関係によって、展開状態での第1あゆみ板92に挿入される第2あゆみ板93の距離を多くとることができるので、あゆみ板91上を移動する移動体Aによって、あゆみ板規制部96に荷重をかけても係止ピン98に過剰な負担をかけることがない。
また実施例のように、第1あゆみ板92をパイプ状に設けているので、展開状態での係止ピン98にかかる荷重を、第1あゆみ板92の下面部にも分散させて受けることができる。
【0059】
図2に図示するように、第2あゆみ板93の係合孔962cは、第1あゆみ板92が載置部11に収納状態になったときに、第1あゆみ板92の係合孔962aと載置部11の係合孔962dと第2あゆみ板93をすべて一致させ、係止ピン98を挿入することで、第1あゆみ板92と第2あゆみ板93は、載置部11に対して一体的に固定される。
【0060】
あゆみ板91の実施形態における接地部分は、図2に図示するように、傾斜状のスロープ13を有していて、作業場所Jを移動する移動体Aが、作業場所Jからあゆみ板91に容易に乗り上がることができる。
スロープ13部分は、図6に図示するように、上下に回動するようにされた可動傾斜板部95を備えていてもよい。可動傾斜板部95は、あゆみ板91(第2あゆみ板92)の接地する側の先端部に、あゆみ板91(第2あゆみ板92)に対して角度を変更可能に設ける。
可動傾斜板部95はあゆみ板91の長尺方向と交差する軸を支点にして上下に回動ができるため、可動傾斜板部95は、あゆみ板91が接地する面が凹凸を有する不整地であったとしても、上下に回動することによって、可動傾斜板部95の先端部を作業場所Jに沿わせることができる。このように構成することで、あゆみ板91に乗り上がりやすくなる。移動体Aは作業場所Jからあゆみ板91上に容易に移動することができる。
【0061】
あゆみ板91は、可動傾斜板部95の回動と載置部11の係止部97での回動によって、作業場所Jの凹凸の有無や、作業場所Jと給電装置Bが設置される接地面との高さのそれぞれが場所ごとに異なる状況でも、しっかりと載置面12と作業場所Jの作業面をかけ渡すことができる。
【0062】
移動体Aについて説明する。
移動体Aは、この実施例では自走式草刈機である。移動体Aは、遠隔操作を含む人為的操作であるか、自律的な制御による自立走行であるかは問わず、本発明に適用できる。
移動体Aは前後進行及び、前後進行に伴って左右への旋回進行が可能である。移動体Aは、本体フレーム75と、本体フレーム75の進行方向左右先端のそれぞれに走行部71を設ける。
【0063】
実施例の場合の走行部71は履帯を備えたクローラ装置からなり、左右旋回は左右の履帯の速度差によって、移動体Aが前後進行及び旋回動作を行う。走行部71は電動モーターで駆動輪72を駆動することによって、履帯を周回動作させて移動体Aを移動させる。
移動体は後進で給電部Cに接近するように進入する。走行部71は図示するクローラ装置によらず、複数の車輪(好ましくは4輪)を有した走行部71でもよい。
【0064】
クローラ装置の場合は、少なくとも駆動輪72及び遊動輪73を有し、さらに1つ以上の転輪74を有していてもよい。この発明の実施例では、駆動輪72及び遊動輪73及び転輪74のうちのいずれかであって、クローラ装置の接地長を形成する進行方向に対する後進側に位置するものを後輪、進行方向に対する前進側に位置するものを前輪と呼ぶことがある。
実施例では後方側に位置する転輪74を後輪と呼称し、前方側に位置する遊動輪73を前輪と呼称することがある。また、実施例では左右それぞれの後方側に配した駆動輪72にモータ(図示なし)を備え付け、バッテリ76からの電力によって回転駆動する。
【0065】
バッテリ76は、本体フレーム75上に設置する。バッテリ76は、電動モーターの電力源となる蓄電装置である。バッテリ76の電力を消費することによって電動モーターが回転駆動する。移動体Aの一端側である後方部の本体フレーム75の下部には、移動体側端子部材85を設け、給電装置Bに設けた給電側端子部材42が接触することでバッテリ76に給電が可能にされている。このように構成することで、移動体Aから蓄電装置であるバッテリ76を取り外さなくでも、バッテリ76を充電することができる。
【0066】
電極カバー81は、移動体Aに、移動体側端子部材85の周囲である側方及び下方を囲うように設ける。電極カバー81は器型の箱状部材であり、移動体Aの他端側である前方側に回動支点83を配置し、回動自在に設ける。
電極カバー81は、移動体側端子部材85の周囲を覆って異物の侵入を阻止する閉鎖状態と移動体側端子部材85を露出させて給電側端子部材42との接続が可能な状態にさせる露出状態との間で位置変更が可能である。
電極カバー81は突出片61に操作されることによってカバーを閉鎖状態から露出状態に位置変更させる操作部82を備える。
【0067】
電極カバー81は図9に図示するように、移動体側端子部材85の周囲を覆って異物に侵入を阻止する閉鎖状態と、移動体側端子部材85を露出させて、給電側端子部材42との接続が可能な状態にさせる露出状態との間で自由に位置を変更するように回動する。
閉鎖状態における電極カバー81の回動支点83と対になる反対側の側面である後側面のうち、内側の面は、露出状態に移行するにしたがって、徐々に移動体Aの上方に向かう。さらに、電極カバー81が露出状態に向かう回動方向の終端に達すると、前記内側の面は移動体Aの上方且つ後方に向かうように傾斜する。つまり、仮に電極カバー81内に異物等があったとしても、電極カバー81を露出状態に移行することによって、前記内側の面に沿って異物等が自重によって下方に落下することができる。
【0068】
電極カバー81は閉鎖状態から露出状態にすることによって、内側の面を傾斜させ異物等を重力に従って落下可能であるが、露出状態時の操作部82は、移動体側端子部材85に対して前方に位置している。露出状態時の操作部82は、電極カバー81の回動支点83より前方に位置するまで電極カバー81が回動するともいえる。このような位置関係とすることで、電極カバー81の内側の面を確実に傾斜させる。
【0069】
84は、弾性体である。弾性体84は、電極カバー81が閉鎖状態となる側に常時力を与える。弾性体84は、電極カバー81の回動支点83付近に設ける。実施例では弾性体84は、巻きバネを用いていて、回動支点83であるヒンジ部に巻きバネを組み込んだものを使用している。弾性体84は回動自在な電極カバー81を閉鎖状態側に回動するように、常時電極カバー81に力を与える。
【0070】
電極カバー81には、移動体Aの進行方向の後方側である一端側の端部に操作部82を設ける。操作部82は電極カバー81の進行方向に対する左右いずれかの側面から、進行方向に対する左右方向に突出させたピン状部材である。実施例での操作部82は、電極カバー81の進行方向に対する後方側且つ左側面から、進行方向に対する左側面に向かって突出させるように設ける。電極カバー81は操作部82を操作することによって、閉鎖状態から露出状態との間で回動させることができる。操作部82は、露出状態では、側面視において、給電状態の移動体Aが有する移動体側端子部材85に対する上下方向と重なり合わない位置に配置する。つまり、露出状態の操作部82は、移動体側端子部材85より移動体Aの前方側である他端側に位置する。
【0071】
閉鎖状態での操作部82は本体フレーム75の下面との間に間隔を設けて配置している。この間隔内に操作部82を操作する部材である突出片61を侵入させて、電極カバー81を閉鎖状態から露出状態にさせる。
電極カバー81の操作部82が配置される側の側面である後方面は、露出状態において
下方に傾斜するように設け、異物の排出を容易にさせる。
【0072】
この発明の実施例の作用・効果について、実際の作業に即して説明する。移動体Aの載置台である載置部11への進入について説明する。
【0073】
図9に図示するように、移動体Aが給電装置B上に進入し、給電部Cに向かって載置部11上を移動すると、第2アーム41は格納姿勢あるいは格納状態のまま、操作部82と本体フレーム75間に突出片61の突起部63が位置する。
図9では、移動体Aの電極カバー81は閉鎖状態である。移動体Aは給電部Cに向かって進行する。
【0074】
図9に図示する状態から移動体Aが更に、給電装置Bの載置部11上を給電部Cに向かって移動すると、突出片61の傾斜部64によって移動体Aの電極カバー81を押し下げ、移動体Aが第1アーム31に接触し、移動体Aの電極カバー81は操作部82と本体フレーム75間に突出片61によって操作部82を操作して、露出側に向かって回動途中の状態となる。第2アーム41は格納姿勢あるいは格納状態である。
移動体A先端である側部77が第1アーム31の上部に接触した状態のまま、さらに後進を続行すると、第1アーム31は、揺動支点軸を中心に支柱部21側に回動する。
さらに移動体Aを支柱部21側に移動させるに伴って、操作部82が突出片61の傾斜部64に沿って摺動しながら押し下げられることによって、電極カバー81は閉鎖状態から露出状態にする方向に回動する。
【0075】
更に、移動体Aが給電装置Bの給電部Cに向かって載置部11上を移動すると、突出片61の傾斜部64によって移動体Aの電極カバー81を更に押し下げ、且つ、移動体Aによって第1アーム31を後方に押して第2アーム41が浮き上がり、保護カバー51(遮蔽カバー52のスリット521)を通過する。
移動体Aの電極カバー81は、突出片61によって露出側に向かって回動途中の状態である。第1アーム31は移動体A先端である側部77に押されて支柱部21側に揺動し、第2アーム41は第1アーム31に連動して給電姿勢側に向かって回動途中である。
【0076】
第1アーム31の回動を受け、第2アーム41は、付勢体35を介して格納姿勢から起き上がり動作を開始し、第2アーム41は第1アーム31の揺動に連動して徐々に起き上がる。
操作部82が傾斜部64の下端部に差し掛かると、第2アーム41は移動体Aによって支柱部21側に揺動する第1アーム31と連動して、起立するようにして給電姿勢に移行する。この時、電極カバー81は、傾斜部64の下端部によって操作部82を移動体Aの前進方向側に向けて操作されているので、第2アーム41の移動時に電極カバー81と干渉することがない。
【0077】
更に、移動体Aが給電装置B上を給電部Cに向かって移動すると、操作部82が傾斜部64を摺動することによって移動体Aの電極カバー81を露出状態にする方向に更に押し下げ、移動体Aによって第1アーム31を後方である支柱部21側に押して第2アーム41が浮き上がり、給電側端子部材42が移動体側端子部材85(受電部D)に接触して給電姿勢となり、移動体Aの電極カバー81は、突出片61によって露出側に向かって回動し、露出状態となる。第1アーム31は移動体A先端である側部77に押されて更に支柱側に揺動し、給電側端子部材42は移動体側端子部材85に接触した給電姿勢の状態をとる。
第2アーム41の起き上がり動作によって、第2アーム41の他端部及び給電側端子部材42は、保護カバー51のスリット511を押し退けて保護カバー51の上方に位置する。また、移動体Aの後進が進むことによって、移動体側端子部材85は給電側端子部材42の上方に位置し、やがて互いに接触することとなる。
【0078】
給電姿勢について説明する。
更に、移動体Aの後進が進み給電装置B上を移動する。すると、給電側端子部材42と移動体側端子部材85が接触した状態で、移動体Aを更に後方側(支柱部21側)に移動させて移動体A先端である側部77が第1アーム31を揺動させてスイッチ22を操作した状態をとる。
電極カバー81は露出状態であって、突出片61によって更に露出側に向かって回動し、第1アーム31は、移動体A先端である側部77に押されて揺動してスイッチ22を押し、付勢体35が伸長した状態をとる。付勢体35によって給電姿勢となった第2アーム41は、揺動を固定された状態でも第1アーム31が第2アームに対して単独で揺動できる。
第1アーム31を支柱部21側に回動することによって、第2アーム41を上方に回動させ、第2アーム41の給電側端子部材42が移動体側端子部材85に接触し、第2アーム41は給電姿勢になる。
【0079】
移動体Aを支柱部21側に移動させると、傾斜部64の下端部で操作部82を押されて、電極カバー81を回動方向終端部まで回動して露出状態にさせ同時に、第2アーム41が有する給電側端子部材42が移動体側端子部材85に接触し、給電可能な給電姿勢となる。
電極カバー81が回動方向終端部まで回動することによって、電極カバー81後方側の内側の面が傾斜するので、電極カバー81をひっくり返したようにすることができ、電極カバー81内に異物等があった場合は、内側の面に沿って下方に落下させることができる。したがって、電極カバー81内は、給電をするごとに清浄され、常時綺麗な状態を保つことができる。
【0080】
給電側端子部材42は、端子用支点部44周りに端子用付勢体(図示せず)から回転力を付与されながら回動可能な構成なので、接触面43が移動体側端子部材85に面で接触させることを可能にしている。つまり、移動体Aが有する走行部71の摩耗(実施に示す履帯の摩耗や、図示しない実施例であるタイヤ等の摩耗)によって、第2アーム41に対する移動体側端子部材85の上下方向の位置関係や前後の相対角度がずれたとしても、給電側端子部材42が端子用支点部44周りに回動することで、接触面43が移動体側端子部材85に接触する面積を確保できる。そして端子用付勢体(図示せず)によって、この接触を確実に行うことができる。
【0081】
また、一対の第2アーム41はそれぞれが独立して回動可能であり、且つ、それぞれの第2アーム41に付勢体35によって上方側に力が加えられているので、移動体A自体が給電装置Bに対して前後左右に傾斜していても、一対の給電側端子部材42と一対の移動体側端子部材85のそれぞれが互いに確実に接触できる。
【0082】
給電側端子部材42が移動体側端子部材85に接触したとしても、まだ給電は行われない。給電を開始するには、さらに、移動体Aによって第1アーム31を支柱部21側に揺動させる必要がある。移動体Aを、さらに支柱側に後進させると、第1アーム31が支柱部21側に回動する。この一方で、第2アーム41は、給電側端子部材42と移動体側端子部材85とが接触しているので回動はせず、第1アーム31と第2アーム41間に設けた付勢体35が伸長する。第1アーム31と共に移動する規制部33も第2アーム41から離れた状態になる。
【0083】
給電開始操作について説明する。
第1アーム31が回動し、第1アーム31が支柱部21に接触すると、第1アーム31はスイッチ22を操作する。給電装置Bが有する制御部(図示なし)は、スイッチ22を操作されたこと、及び、給電側端子部材42が移動体側端子部材85に接触(正確には、給電側端子部材42と移動体側端子部材85の互いのプラス電極と、給電側端子部材42と移動体側端子部材85の互いのマイナス電極の接触)を受けると、給電側端子部材42と移動体側端子部材85の導通確認工程を経て、給電に際し問題となる異常が無いと判断されると、移動体A側の蓄電装置であるバッテリ76に給電される。なお、給電装置Bは、交流電源を直流電源に変換する変換装置(図示なし)、交流電源及び直流電源の監視・制御する制御部(図示なし)を介して、移動体Aに直流電源を供給し、移動体Aに給電する。
【0084】
給電終了から格納姿勢について説明する。
給電装置Bから移動体Aを移動させたい場合は、移動体Aを給電部Cから進入路12側に前進させる。第2アーム41を格納姿勢にするには、前述の給電開始に至る工程と逆の手順を辿る。移動体Aを前進させると、移動体Aが第1アーム31を支柱部21側に押さえつける力が無くなるので、第1アーム31は支柱部21との接触状態を解除される。つまり、第1アーム31によるスイッチ22の操作が解除されるので、この時点で、制御部は給電動作を終了させる。
【0085】
さらに、前進を進めると、第1アーム31が自重で倒れるように第2アーム41側に回動する。第1アーム31が倒れることによって、第1アーム31は付勢体35に引き寄せられるように、規制部33によって規制されるまで第2アーム41に近接する。移動体Aの前進によって、第1アーム31は下方からの支えが無くなるので、第2アーム41と共に自重で下方に回動する。
【0086】
第2アーム41は、格納姿勢に至る途中で保護カバー51のスリット511を通過し、給電側端子部材42が保護カバー51及び遮蔽カバー52の下方に位置した格納姿勢となる。
保護カバー51及び遮蔽カバー52によって、給電側端子部材42の上方を覆っているので、載置部11上を移動する移動体Aから異物が落下したとしても、容易に異物が給電側端子部材42に付着することがない。また、スリット521も重なり合わせて配置しているので、スリット521が開いて意図せず隙間を形成することがないので、異物がこの隙間から分け入って給電側端子部材42側に落下しない。
【0087】
また、給電側端子部材42の接触面43は、上方且つやや水平方向に向けて傾斜するように配置されているので、接触面43上の異物は傾斜に沿って落下させる。したがって、給電側端子部材42は給電後においても清浄に保つことができるので、次回使用するときもわざわざ異物を除去する作業は必要なく、異物の影響による給電不良を減少させた給電作業を行うことができる。
【0088】
電極カバー81の露出状態から閉鎖状態への移行について説明する。
給電装置Bから移動体Aを移動させたい場合は、移動体Aを前進させる。電極カバー81を露出状態から閉鎖状態にするには、前述の閉鎖状態から露出状態にする工程と逆の手順を辿る。
【0089】
電極カバー81の回動支点83には弾性体84を設けているので、傾斜部64による押し下げが無くなっても、自動的に露出状態から閉鎖状態に向かう方向に電極カバー81を回動させる。移動体Aを前進させるにしたがって、操作部82は傾斜部64及び突起部63を摺動しながら、上方に移動する。操作部82への傾斜部64及び突起部63の支えが無くなると、電極カバー81は完全に閉じた閉鎖状態になる。閉鎖状態での電極カバー81は、移動体側端子部材85を周囲の塵、ゴミ、障害物等の異物から保護し、確実な給電を保証する。
【0090】
本発明の給電装置Bを実際にあゆみ板91使用する場面の一例を、図7図8にしたがって、貨物車Fの荷台に積載したものと想定して説明する。
給電装置Bにはさらに移動体Aが積載されており、一台の給電装置Bと、一台の移動体Aで、複数の作業場所Jに貨物車Fで移動することができる。作業場所Jの境界G付近には、窪みや突起部分等の移動体Aの走行に適さない地形(走行不適地)が形成されており、貨物車Fはこの境界Gの外側に配置したものとして説明する。Hは隆起物である障害物、Iは陥没部分である障害物であり、それぞれ走行不適地である。Kは、作業場所外、作業領域外である。実施例では、境界G付近に存在する走行不適地によって、作業場所外Kと作業場所Jとは移動体Aが直接単体で往来が不可能であるものとして説明する。
さらに、給電装置Bは外部(商用電源または可搬型発電機)から電源を確保できる状態であり、給電装置Bに接続した移動体Aは給電を受けることが可能である。
【0091】
作業場所Jの外側である作業場所外Kの境界G付近に配置した給電装置Bは、収納状態のあゆみ板91を窪みや突起部分等の移動体Aの走行に適さない地形が収納状態のあゆみ板91を展開状態にさせる。このとき、図7に図示するように、給電装置Bが設置される貨物車Fの荷台は作業場所Jの作業面から上方に位置しているので、展開状態のあゆみ板91は走行不適地を跨ぐ恰好で、スロープ13が接地する。このため、移動体Aが給電装置Bから作業場所内に到達するまでに、移動体Aの走行に支障をきたす障害物H,Iがあっても、この障害物H,Iを回避して走行することができる。
【0092】
展開状態にあゆみ板91は、ストッパ94が係止部97に係止されるので、あゆみ板91が載置部11から抜け出すことがない。また、係止部97を中心にして回動自在であるので、あゆみ板91を上下回動させて、あゆみ板91の先端を作業場所Jの作業面に設置させることができる。
あゆみ板91は係止部97で回動自在であるので、貨物車Fの荷台と作業場所Jとで高低差が生じていても、係止部97で回動することで、容易にスロープ13を作業場所Jに到達させて接地させることができる。
【0093】
展開状態にしたあゆみ板91の第1あゆみ板92と第2あゆみ板93は、あゆみ板規制部96で固定されているため、互いに位置関係が変わらない(互いに縮まったり、角度がついたりしない)。あゆみ板規制部96で一体的にされているので、複数のあゆみ板91で構成したあゆみ板91の場合でも、あゆみ板91の耐荷重を確保できる。
【0094】
あゆみ板91を作業場所Jの作業面に接地させたら、移動体Aを給電部Cとの接続を解除して、載置部11上をあゆみ板91方向に向かって移動させる。移動体Aが給電部Cから給電状態であった場合は、連結を解除することにより給電状態は解消される。
【0095】
移動体Aがあゆみ板91側に移動し、さらに、移動体Aがあゆみ板91上を移動する。このとき、あゆみ板91(第1あゆみ板92)は、ストッパ94で係止部97に係止されているので、あゆみ板91が載置部11から離脱することはない。したがって移動体Aは安定して載置部11から作業場所Jの作業面上に移動できる。またあゆみ板規制部96によって一体的に固定されているので、複数のあゆみ板91を有した場合でも互いにばらばらにならずに、安定してあゆみ板91上を移動できる。
【0096】
あゆみ板91上を移動する移動体Aは、走行不適地を直接走行することなく作業場所に到達することができる。
第2あゆみ板93から作業場所に移動する場合は、スロープ13が設けられているので、第2あゆみ板93と作業場所との段差を可能な限り最小にできる。したがって、移動体Aはあゆみ板91から作業場所に容易に移動できる。
あゆみ板91(第2あゆみ板93)の先端部に可動傾斜板部95を設けている場合は、あゆみ板91が接地する作業面に小さな凹凸があっても、さらにこれを減少させることができる。
【0097】
このようにして、移動体Aは給電装置Bから作業場所に到達できる。本発明の給電装置Bは、作業場所Jの作業面に直接設置しないようにすることが可能なので、移動体Aが作業場所外Kから直接作業場所J内に到達できない場合でも、移動体Aを到達させることができる。
また、従来技術では、作業場所J内に給電装置Bを設置する必要があったため、給電装置Bの設置場所は作業が不可能であった。これに対し本発明の給電装置Bは、作業場所外Kに給電装置Bを設置できるので、作業場所J内のすべてを作業することができる。
作業場所Jでの作業中に移動体Aが給電を要した場合は、作業場所外Kに待機した給電装置Bで給電を受けることができる。
【0098】
作業場所Jでの作業が終了したら、作業場所J内の移動体Aを、あゆみ板91を介して作業場所外Kの給電装置Bに帰還させる。そして、あゆみ板91を収納状態にさせて、係止ピン98であゆみ板91を載置部11に固定し、載置部11内に固定する。そして、貨物車Fの荷台上に積載した給電装置Bは移動体Aごと他の作業場所に向かって移動できる。したがって、1台の移動体Aと1台の給電装置Bで複数の作業場所で作業が可能になる。また、貨物車Fに専用のあゆみ板91がなくても、本発明の給電装置Bで移動体Aを作業場所に到達させることができる。
【0099】
一例として、載置面の高さ(荷台の高さ)が作業場所より高いものとして説明したが、図8のように載置面の高さが作業場所Jより低くなっても、あるいは、同じ高さであっても、上記した効果は変わらない。また、貨物車F上に給電装置Bを設置した例で示したが、作業場所外Kの地面に直接給電装置Bを設置してもよい。また、境界G付近に走行不適地の存在がなく、作業場所外Kと作業場所Jとの間で、移動体Aが直接往来可能である場合にも本発明を適用してもよい。あゆみ板91を載置部11に収納可能、且つ、この載置部11から展開可能な構成とすることによって、あゆみ板91ごと給電装置Bを他の場所に移動させることができ、使い勝手の融通性が向上する。あゆみ板91によって、給電装置Bの設置場所を限定することないので、設置場所への融通性を拡大させる。また、載置部11から作業場所Jへの移動体Aのアクセスが向上するので、作業場所を限定させず、作業場所への融通性も向上させることができる。あゆみ板91は収納状態にして載置部11に固定することで、給電装置Bから突出することなく、給電装置Bと一体になってコンパクトに移動させることができる。このため、給電装置Bを他の作業場所に移動させる際や、貨物車Fが変更になった際に、新たにあゆみ板を準備しなくてもよくなり、使い勝手が向上する。
【0100】
あゆみ板91は第1あゆみ板92と第2あゆみ板93で構成したが、第1あゆみ板92のみで構成してもよい。この場合、あゆみ板91部に係る構造がより簡素化され、給電装置B全体として扱い易いものとなる。さらに、第3あゆみ板、第4あゆみ板と、あゆみ板91を連結するようにあゆみ板91を追加してもよい。この場合、給電装置B本体が作業場所に対して高低差があったり、遠いところにあったりした場合に、作業場所Jに容易に到達できる。
【符号の説明】
【0101】
11 載置部
76 蓄電装置(バッテリ)
91 あゆみ板
92 第1あゆみ板
93 第2あゆみ板
94 ストッパ
A 移動体
B 給電装置
C 給電部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9