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  • 特開-ヒューズユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176243
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ヒューズユニット
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/165 20060101AFI20241212BHJP
   H01H 85/20 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01H85/165
H01H85/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094657
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直道
(72)【発明者】
【氏名】堀池 公美
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502BC13
(57)【要約】
【課題】ナットの締結に対する回転規制機能を向上することができるヒューズユニットを提供する。
【解決手段】端子が電気的に接続される端子接続部9と、過電流によって溶断する可溶体とを有するバスバ3と、バスバ3と、端子接続部9に配置されナットの締結により端子と端子接続部9とを挟み込んで電気的に接続させるネジ部材とを支持する樹脂材料からなる支持部材5とを備えたヒューズユニットにおいて、端子接続部9に、支持部材5側が開口された孔部31を設け、支持部材5に、支持部材5を成形するときに、孔部31の内部に充填される充填部33を設けた。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子が電気的に接続される端子接続部と、過電流によって溶断する可溶体とを有するバスバと、
前記バスバと、前記端子接続部に配置されナットの締結により前記端子と前記端子接続部とを挟み込んで電気的に接続させるネジ部材とを支持する樹脂材料からなる支持部材と、
を備え、
前記端子接続部には、前記支持部材側が開口された孔部が設けられ、
前記支持部材には、前記支持部材を成形するときに、前記孔部の内部に充填される充填部が設けられているヒューズユニット。
【請求項2】
前記孔部は、前記支持部材から離間する方向に向けて拡径するように形成されている請求項1に記載のヒューズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒューズユニットとしては、端子が電気的に接続される端子接続部と、過電流によって溶断する可溶体とを有するバスバを備えている。また、バスバと、端子接続部に配置されナットの締結により端子と端子接続部とを挟み込んで電気的に接続させるネジ部材とを支持する樹脂材料からなる支持部材としての端子台を備えたものが知られている(特許文献1参照)。このヒューズユニットでは、端子台に、端子接続部に向けて突出する突起部が設けられている。突起部は、ネジ部材にナットを締結したとき、先端が、端子接続部に当接され、ナットの締結による端子接続部の回転を抑制する。このようなヒューズユニットでは、突起部を端子接続部に当接させることにより、平面部を端子接続部に当接させるよりも、大きな摩擦力を得ることができ、端子接続部の回転を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-220415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のヒューズユニットでは、ナットの締結による端子接続部の回転を、突起部と端子接続部との間の摩擦力によって抑制させているが、摩擦力では回転規制機能が不十分となることがある。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、ナットの締結に対する回転規制機能を向上することができるヒューズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係るヒューズユニットは、端子が電気的に接続される端子接続部と、過電流によって溶断する可溶体とを有するバスバと、前記バスバと、前記端子接続部に配置されナットの締結により前記端子と前記端子接続部とを挟み込んで電気的に接続させるネジ部材とを支持する樹脂材料からなる支持部材とを備え、前記端子接続部には、前記支持部材側が開口された孔部が設けられ、前記支持部材には、前記支持部材を成形するときに、前記孔部の内部に充填される充填部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ナットの締結に対する回転規制機能を向上することができるヒューズユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るヒューズユニットに端子を組付けたときの斜視図である。
図2】本実施形態に係るヒューズユニットに端子を組付けるときの斜視図である。
図3】本実施形態に係るヒューズユニットの上面図である。
図4図3の要部拡大図である。
図5図3のV-V断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係るヒューズユニットについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係るヒューズユニット1は、例えば、車両に搭載されたバッテリ(不図示)と、電気部品(不図示)との間に配置される。バッテリと電気部品とは、ヒューズユニット1を介して電気的に接続されている。ヒューズユニット1は、過電流が流れたときに、バッテリから電気部品への電力の供給を遮断し、電気部品を保護する。
【0011】
不図示であるが、バッテリは、例えば、直方体状に形成され、外面から外方に向けて突出されたバッテリポストが設けられている。バッテリポストには、バッテリ端子が電気的に接続されている。バッテリ端子には、ヒューズユニット1が電気的に接続される。
【0012】
図1図5に示すように、ヒューズユニット1は、バスバ3と、支持部材5とを備えている。
【0013】
バスバ3は、導電性材料からなり、バッテリ接続部7と、端子接続部9と、可溶体11とを備えている。
【0014】
バッテリ接続部7は、バスバ3を貫通して形成された孔を有する。バッテリ接続部7には、バッテリ端子に設けられたスタッドボルト(不図示)が孔を挿通して配置される。バッテリ接続部7は、バッテリ端子のスタッドボルトにナット(不図示)を締結することにより、バスバ3がバッテリ端子を介してバッテリに電気的に接続される。
【0015】
端子接続部9は、複数(ここでは2つ)設けられ、それぞれバスバ3を貫通して形成された孔を有する。端子接続部9には、スタッドボルトからなるネジ部材13が孔を挿通して配置される。端子接続部9は、ネジ部材13に、例えば、電気部品に電気的に接続された電線15の端末部に設けられた端子17が挿通される。ネジ部材13に挿通された端子17は、ネジ部材13に、ナット19を締結することにより、ナット19と端子接続部9との間に挟み込まれて、バスバ3と電気的に接続される。端子接続部9に端子17を電気的に接続することにより、バッテリと電気部品とがバスバ3を介して電気的に接続される。なお、ナット19と端子17との間には、ワッシャが配置されている。
【0016】
可溶体11は、バスバ3に対して、バッテリ接続部7と複数の端子接続部9との間に、複数箇所(ここでは2箇所)設けられている。可溶体11は、バスバ3に対して、一対の加締め片を加締めることによって固定されている。可溶体11は、バッテリから電気部品への電力供給において、バスバ3に過電流が入力されると溶断する。可溶体11の溶断により、バッテリから電気部品への電力供給が遮断され、電気部品を保護することができる。
【0017】
支持部材5は、樹脂材料からなり、成形型(不図示)によって、バスバ3の周囲を覆うようにインサート成形される。支持部材5は、バッテリ支持部21と、端子支持部23と、可溶体支持部25とを備えている。
【0018】
バッテリ支持部21は、バスバ3のバッテリ接続部7に対して設けられている。バッテリ支持部21は、バッテリ接続部7の孔の周囲近傍の両面を外部に露出させ、バッテリ接続部7の外縁を覆うように、バスバ3と一体に成形されている。
【0019】
端子支持部23は、バスバ3の複数の端子接続部9に対してそれぞれ対応するように、複数箇所(ここでは2箇所)設けられている。端子支持部23は、端子接続部9の孔の周囲近傍の片面を外部に露出させ、端子接続部9の外縁とネジ部材13の基端側を覆うように、バスバ3及びネジ部材13と一体に成形されている。
【0020】
可溶体支持部25は、バスバ3の複数の可溶体11に対してそれぞれ対応するように、複数箇所(ここでは2箇所)設けられている。可溶体支持部25は、可溶体11を露出させるように、可溶体11近傍に位置するバスバ3と一体に成形されている。なお、可溶体支持部25の開口は、カバー(不図示)が組付けられることによって、閉塞される。
【0021】
支持部材5には、バスバ3が内部に配置された部分の外面に、複数のフィン27が設けられている。フィン27は、外気と接触することにより、バスバ3で発生した熱を放熱し、バスバ3を冷却する。
【0022】
支持部材5の端子支持部23において、バスバ3の端子接続部9との間には、ネジ部材13にナット19を締結したときに、端子接続部9の回転を規制する回転規制部29が設けられている。なお、本実施形態においては、回転規制部29が、一方の端子接続部9のみに設けられているが、他方の端子接続部9に回転規制部29を設けてもよい。回転規制部29は、端子接続部9に設けられた孔部31と、支持部材5に設けられた充填部33とを備えている。
【0023】
孔部31は、端子接続部9のネジ部材13から離間して配置され、バスバ3を厚さ方向に貫通して円形状に形成されている。なお、孔部31は、支持部材5側が開口されていれば、支持部材5と反対側が閉塞されていてもよい。孔部31は、支持部材5側の開口より、支持部材5と反対側の開口が大径となるように、支持部材5から離間する方向に向けて拡径するテーパ面35を有するように形成されている。このため、孔部31の内部は、支持部材5から離間する方向に向けて容積が増大している。
【0024】
充填部33は、端子支持部23の孔部31と対応する位置に配置され、バスバ3に対して、支持部材5を成形するときに、溶融した樹脂が孔部31に充填されることによって形成される。充填部33は、ネジ部材13に対するナット19の締結により、端子接続部9にかかる回転方向の外力を受ける。このとき、充填部33は、孔部31に充填されているので、孔部31の内面の全域に密着しており、広い範囲で外力を受けることができる。このため、ナット19の締結による端子接続部9の回転を安定して規制することができ、ナット19の締結に対する回転規制機能を向上することができる。充填部33は、孔部31が支持部材5から離間する方向に向けて拡径されているので、支持部材5から離れる方向に向けて孔部31の内面と接触する表面積が大きくなる。このため、端子接続部9に、支持部材5から離れる方向に外力が加わったとき、広い範囲で外力を受けることができ、端子接続部9を支持部材5に安定して保持することができる。
【0025】
ここで、例えば、端子接続部9の外縁から外方に張り出す突起を設け、突起が内部に位置するように支持部材5を成形して、端子接続部9の回転の規制と、支持部材5からの浮き上がりを規制したとする。この構造では、突起がバスバ3から張り出すので、バスバ3が大型化すると共に、バスバ3の重量が増大し、バスバ3のコストも増大する。また、支持部材5は、突起が内部に位置するので、突起が位置する部分が外方に向けて張り出し、大型化する。これに対して、孔部31は、端子接続部9の支持部材5との対向面に設けられているので、バスバ3の外縁から張り出す部分がなく、バスバ3の重量も低減され、バスバ3のコストも低減することができる。また、支持部材5の充填部33は、孔部31に充填されるので、支持部材5が大型化することがない。
【0026】
このようなヒューズユニット1では、端子17が電気的に接続される端子接続部9と、過電流によって溶断する可溶体11とを有するバスバ3を備えている。また、バスバ3と、端子接続部9に配置されナット19の締結により端子17と端子接続部9とを挟み込んで電気的に接続させるネジ部材13とを支持する樹脂材料からなる支持部材5を備えている。また、端子接続部9には、支持部材5側が開口された孔部31が設けられている。そして、支持部材5には、支持部材5を成形するときに、孔部31の内部に充填される充填部33が設けられている。
【0027】
充填部33は、孔部31に充填されているので、孔部31の内面の全域に密着しており、ネジ部材13に対するナット19の締結により、端子接続部9にかかる回転方向の外力を、広い範囲で受けることができる。このため、ナット19の締結による端子接続部9の回転を安定して規制することができる。
【0028】
従って、このようなヒューズユニット1では、ナット19の締結に対する回転規制機能を向上することができる。
【0029】
また、孔部31は、支持部材5から離間する方向に向けて拡径するように形成されている。
【0030】
孔部31に充填された充填部33は、支持部材5から離れる方向に向けて孔部31の内面と接触する表面積が大きくなる。このため、端子接続部9に、支持部材5から離れる方向に外力が加わったとき、広い範囲で外力を受けることができ、端子接続部9を支持部材5に安定して保持することができる。
【0031】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0032】
例えば、孔部と充填部とは、端子接続部(バスバ)と支持部材との間に、1つ設けられているが、孔部と充填部とを、端子接続部(バスバ)と支持部材との間に、2つ以上設けてもよい。孔部と充填部とを複数設ける場合には、ネジ部材の周囲に、周方向等間隔に配置することにより、回転方向の外力を、回転方向に均等に受けることができる。
【0033】
また、端子接続部は、バスバに2つ設けられているが、これに限らず、端子接続部を、バスバに1つ、或いは3つ以上設けてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 ヒューズユニット
3 バスバ
5 支持部材
9 端子接続部
11 可溶体
13 ネジ部材
17 端子
19 ナット
31 孔部
33 充填部
図1
図2
図3
図4
図5