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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176258
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】電気融着継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 47/03 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F16L47/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094692
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】寺地 信治
(72)【発明者】
【氏名】市原 幸治
(72)【発明者】
【氏名】松阪 淳
(72)【発明者】
【氏名】青山 航大
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019GA03
3H019GA12
(57)【要約】
【課題】インジケータを設けつつ、電気融着継手としての性能を確保する。
【解決手段】接続相手の樹脂管80が挿入される熱可塑性の樹脂管10の内周面に螺旋状で形成された切欠き溝に電熱線21が挿入された融着部20を備える電気融着継手1であって、融着部20は、電気融着継手1の軸方向の少なくとも一方の端部側に、電熱線21に通電可能に設けられ、融着部20において、電気融着継手1の開口部側から開口部の逆側の開口部側への往路方向へ螺旋が進行する往路と往路方向と逆方向の復路とが1本の電熱線21で形成され、樹脂管10の外周面には、インジケータ40が設けられ、インジケータ40は、樹脂管10のうち、融着部20が設けられた範囲のうち、樹脂管10の管軸O方向において、範囲の中央よりも樹脂管10の端面11d側に配置されている、電気融着継手1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続相手の樹脂管が挿入される熱可塑性の樹脂管の内周面に螺旋状で形成された切欠き溝に電熱線が挿入された融着部を備える電気融着継手であって、
前記融着部は、前記電気融着継手の軸方向の少なくとも一方の端部側に、前記電熱線に通電可能に設けられ、
前記融着部において、前記電気融着継手の開口部側から前記開口部の逆側の開口部側への往路方向へ螺旋が進行する往路と前記往路方向と逆方向の復路とが1本の電熱線で形成され、
前記樹脂管の外周面には、インジケータが設けられ、
前記インジケータは、前記樹脂管のうち、前記融着部が設けられた範囲のうち、前記樹脂管の管軸方向において、前記範囲の中央よりも前記樹脂管の端面側に配置されている、電気融着継手。
【請求項2】
前記樹脂管には、前記電熱線の両端それぞれ接続される2つのターミナルが設けられ、
前記2つのターミナルは、前記管軸方向に並んで配置され、
前記インジケータは、前記管軸方向において前記2つのターミナルの間に配置されている、請求項1に記載の電気融着継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気融着継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に記載の電気融着継手が知られている。この電気融着継手は、接続相手の樹脂管が挿入される熱可塑性の樹脂管の内周面に螺旋状で形成された切欠き溝に電熱線が挿入された融着部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第93/14342号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の電気融着継手において、インジケータを設けつつ、電気融着継手としての性能を確保することが望まれている。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、インジケータを設けつつ、電気融着継手としての性能を確保することができる電気融着継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係る電気融着継手は、接続相手の樹脂管が挿入される熱可塑性の樹脂管の内周面に螺旋状で形成された切欠き溝に電熱線が挿入された融着部を備える電気融着継手であって、前記融着部は、前記電気融着継手の軸方向の少なくとも一方の端部側に、前記電熱線に通電可能に設けられ、前記融着部において、前記電気融着継手の開口部側から前記開口部の逆側の開口部側への往路方向へ螺旋が進行する往路と前記往路方向と逆方向の復路とが1本の電熱線で形成され、前記樹脂管の外周面には、インジケータが設けられ、前記インジケータは、前記樹脂管のうち、前記融着部が設けられた範囲のうち、前記樹脂管の管軸方向において、前記範囲の中央よりも前記樹脂管の端面側に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気融着継手では、インジケータを設けつつ、電気融着継手としての性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る電気融着継手の断面図である。
図2図1の矢視II方向からみた正面図である。
図3図1の矢視III方向からみた正面図である。
図4図1のIV-IV線に沿って破断した断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る電気融着継手の製造方法を説明するフローチャートである。
図6】電気融着継手の製造方法における継手セット工程で第1固定部と第2固定部との間隔を広げて樹脂管を配置可能にする説明図である。
図7】継手セット工程において樹脂管を第1固定部に仮止めする説明図である。
図8】継手セット工程において樹脂管を第1固定部と第2固定部とに固定する説明図である。
図9】電気融着継手の製造方法におけるワイヤー埋込部切削埋込工程で用いる電熱線埋め込み部の説明図である。
図10】ワイヤー埋込部切削埋込工程において第1樹脂管部の内周面に第1電熱線を埋め込む説明図である。
図11】電気融着継手における変形例1(1)の側面図である。
図12】変形例1(1)の第1樹脂管部に第1固定痕を設ける説明図である。
図13】電気融着継手における変形例1(2)の側面図である。
図14】電気融着継手における変形例2の側面図である。
図15図14の矢視XV方向からみた平面図である。
図16】電気融着継手における変形例3(1)の第1電熱線を示す正面図である。
図17】電気融着継手における変形例3(2)の第1電熱線を示す正面図である。
図18】電気融着継手における変形例3(3)の第1電熱線を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る電気融着継手および電気融着継手の製造方法の一実施形態を、図1から図18を参照しながら説明する。
【0010】
<電気融着継手>
図1に示すように、電気融着継手1は、接続相手の樹脂管が挿入される熱可塑性の樹脂管の内周面に融着部を備えている。融着部は、樹脂管の内周面に螺旋状で形成された切欠き溝に電熱線が挿入されている。具体的には、電気融着継手1は、熱可塑性の樹脂管10と、第1融着部(融着部)20と、2つの第1ターミナル(ターミナル)30,31と、第1インジケータ(インジケータ)40と、第2融着部(融着部)50と、2つの第2ターミナル(ターミナル)60,61と、第2インジケータ(インジケータ)70と、を備えている。
【0011】
熱可塑性の樹脂管10は、中空円筒形状に形成されている。樹脂管10を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリエステル(熱可塑性ポリエチレンテレフタレート等)等を例示できる。中でも、耐震性をより高め、耐久性をより高める観点から、樹脂管10を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
オレフィン系樹脂管は硬質塩化ビニル管に比べてJIS K 6815-1,JIS
K 6815-3に従って測定される引張破断伸びが高い。硬質塩化ビニル管の引張破断伸びが50~150%であるのに対して、オレフィン系樹脂管の引張破断伸びは350%以上である。特に、ISO/TR9080に規定する外挿方法で、PE100の高密度ポリエチレンの管は、引張破断伸びが500%以上となるため、地震によって損傷するのをより良好に抑制することができる。
ポリオレフィン系樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリブテン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリαオレフィン等が好適である。
【0012】
熱可塑性樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、特に限定されないが、例えば、0.1~25g/10分が好ましく、0.1~10g/10分がより好ましく、0.29~1.00g/10分がさらに好ましい。
MFRは、JIS K 7210:1999に従い、試験温度220℃、試験荷重10kgで測定できる。
【0013】
熱可塑性樹脂の比重は、特に限定されないが、例えば、942~953kg/m3である。
熱可塑性樹脂の比熱は、特に限定されないが、例えば、1.9~2.3kJ/kg・[K]である。
熱可塑性樹脂の熱伝導率は、特に限定されないが、例えば、0.46~0.5W/m・Kである。
【0014】
熱可塑性樹脂は、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を含む組成物でもよい。
【0015】
熱可塑性樹脂の融点(即ち、樹脂管10の溶融温度)は、特に限定されないが、125~260℃が好ましく、125~150℃がより好ましい。
【0016】
樹脂管10は、外周面及び内周面の少なくとも一方に表層を有する多層構造でもよい。例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂を含有する表層を有することで、樹脂管10は、空調用、給湯用、ガス用又は燃料用としてより好適である。エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂を含有する表層とすることで、水素や酸素、プロパン、ブタン等のガスや、ガソリンやベンゼン等の炭化水素を透過しにくくなるためである。
表層は、例えば、無機繊維及び有機繊維の少なくとも一方を含んでもよい。無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン・チタン・炭素複合繊維、ボロン繊維、又は金属繊維等が挙げられる。有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、又はポリアミド繊維等が挙げられる。表層が、これらの繊維を含むと、樹脂管10の引張強度を高め、熱膨張をより抑制できる。また、表層は、フッ素樹脂を含んでもよい。表層がフッ素を含むことで、酸やアルカリ等に対する耐性(耐薬品性)を高められる。
また、上記表層と同様の層を樹脂管10の壁内に設けてもよい。
【0017】
樹脂管10を成形する方法としては、押出成形や射出成形が挙げられる。特に、押出成形は、樹脂管10を長尺や大口径に成形しやすい。そのため、例えば、樹脂管10の管軸O方向の長さを2m以上の長尺に成形する場合や、樹脂管10の外径を300mm以上などの大口径にする場合、押出成形で樹脂管10を成形することが好ましい。また押出成形の場合、成形される樹脂管10の内径が樹脂管10の一端から他端まで同径となるため、電気融着継手1を製造する際の内面切削(寸法だし)工程S3を省略したり、内面切削(寸法だし)工程S3により廃棄される樹脂を少なくすることができる。特に、射出成形では成形が困難となる外径が400mm以上の大口径の電気融着継手1を製造する場合、押出成形により外径が400mm以上で2m以上の長尺の樹脂管10を成形し、長尺の樹脂管10を適当な長さに切断し、内面に融着部を設けることにより電気融着継手1とすることができる。また、長尺の樹脂管10の一端を受口となるように拡径加工することで、射出成形では成形が困難な2m以上の長尺の電気融着継手1を製造することができる。
【0018】
熱可塑性の樹脂管10は、第1樹脂管部11と、第2樹脂管部12と、第3の樹脂管部13と、を有する。第1樹脂管部11、第2樹脂管部12、および第3の樹脂管部13は、樹脂管10の管軸O方向に沿って設けられている。以下、樹脂管10の管軸O方向を「管軸O方向」と略記することがある。また、管軸Oに対する径方向を「径方向」と略記することがある。さらに、管軸Oに対する周方向を「周方向」と略記することがある。
【0019】
第1樹脂管部11は、電気融着継手1において、管軸O方向の一端側に設けられている。第2樹脂管部12は、電気融着継手1において、管軸O方向の他端側に設けられている。第1樹脂管部11は、第2樹脂管部12に対して大口径に形成されている。第1樹脂管部11および第2樹脂管部12は、管軸O方向に沿って一端側と他端側とに間隔をあけて配置され、第3の樹脂管部13により接続されている。第3の樹脂管部13は、第1樹脂管部11から第2樹脂管部12に向かうに従って徐々に小口径になるように傾斜状に形成されている。
【0020】
第1樹脂管部11には、接続相手の樹脂管として第1樹脂管80が管軸O方向の一端側から挿入される。第2樹脂管部12には、接続相手の樹脂管として第2樹脂管81が管軸O方向の他端側から挿入される。第1樹脂管部11および第2樹脂管部12は、いずれも受口部として機能する。
【0021】
ただし、樹脂管10は上記形態(いわゆるインクリーザーやレデューサー)に限定されない。例えば、樹脂管10の外径が一定であってもよく、いわゆるソケットであってもよい。例えば、樹脂管10が管軸O方向の中央において曲がっていてもよく、いわゆるエルボであってもよい。例えば、樹脂管10が分岐管を有していてもよく、いわゆるチーズであってもよい。例えば、樹脂管10が十分に長く、単なる継手としてではなく、一般的な管材としても利用可能であってもよい。このような樹脂管10としては、管端のみが拡径されている管材が挙げられる。より具体的には、一端が、拡径されるとともに融着部20が設けられた受口とされ、他端は、他の管材の受口に挿入される差口とされ、受口と差口との間(一端と他端との間)が、例えば2m以上などの長尺の樹脂管とされている管材が挙げられる。
【0022】
第1樹脂管部11の内周面11aには、第1融着部20が設けられている。すなわち、第1融着部20は、電気融着継手1における管軸O方向の一端側に設けられている。第1融着部20は、第1樹脂管部11の内周面11aに螺旋状で形成された第1切欠き溝(切欠き溝)に第1電熱線(電熱線)21が挿入されている。第1切欠き溝において第1樹脂管部11の内周面11aに開口する開口部分は、例えば、管軸Oを中心軸とし、中心軸から内周面11aまでの距離を半径とした螺旋状をなしてもよい。
【0023】
2つの第1ターミナル30,31は、第1樹脂管部11において、受口部の端部付近11bに周方向へ間隔をあけて設けられている(図2参照)。第1ターミナル30は、第1ワイヤー引出孔33に配置されて第1電熱線21の一端に接続されている。第1ターミナル31は、第1ワイヤー引出孔34に配置されて第1電熱線21の他端に接続されている。2つの第1ワイヤー引出孔33,34は、第1樹脂管部11において受口部の端部付近11bに径方向を向けて貫通されている。2つの第1ターミナル30,31は、接続相手の第1樹脂管80を第1融着部20に電気融着する際に、第1電熱線21に通電する。
【0024】
第1インジケータ40は、例えば第1樹脂管部11の外周面11cに設けられた第1凹部41に埋め込まれている。第1インジケータ40は、第1電熱線21に2つの第1ターミナル30,31を経由して第1電熱線21に電力を供給した電気融着時に第1凹部41から径方向外側に隆起する。第1インジケータ40が隆起することにより、第1融着部20が接続相手の第1樹脂管80に電気融着されていることを確認できる。
第1インジケータ40は、樹脂管10と同一材料で一体に成形されていてもよく、樹脂管10と別材料であった樹脂管10に組付けられていてもよい。樹脂管10と同一材料で一体に成形されている場合、例えば、樹脂管10に第1インジケータ40および第1凹部41を同時に後加工することができる。具体的には、第1凹部41内に第1インジケータ40となる部分が残る形状となるように、第1インジケータ40となる部分を残しながら第1凹部41をドリル等で切削(中ぐり加工)し、樹脂管10に第1インジケータ40および第1凹部41を同時に成形してもよい。
【0025】
第2樹脂管部12の内周面12aには、第2融着部50が設けられている。すなわち、第2融着部50は、電気融着継手1における管軸O方向の他端側に設けられている。第2融着部50は、第2樹脂管部12の内周面12aに螺旋状で形成された第2切欠き溝(切欠き溝)に第2電熱線(電熱線)51が挿入されている。第2切欠き溝において第2樹脂管部12の内周面12aに開口する開口部分は、例えば、管軸Oを中心軸とし、中心軸から内周面12aまでの距離を半径とした螺旋状をなしてもよい。
【0026】
第2融着部50は、第1融着部20と略同様に構成されている。
なお、第1電熱線21や第2電熱線51がなす螺旋の巻き方向は特に限定されない。例えば、前記巻き方向は、電気融着継手1における一方の受口部の開口部側から見て右巻きの場合、他方の受口部の開口部側から見た場合には左巻きとなる。すなわち、前記巻き方向は、電気融着継手1における一方の受口部の開口部側から見て右巻き又は左巻きとなり、他方の受口部の開口部側から見た場合には、一方の受口部から見た場合とは逆巻きとなる。
ここで、第1電熱線21を第1樹脂管部11の開口部側(一方の受口部の開口部側)から見た巻き方向(以下、第1巻き方向ともいう)と、第2電熱線51を第2樹脂管部12の開口部側(他方の受口部の開口部側)から見た巻き方向(以下、第2巻き方向ともいう)と、は、同じ巻き方向であってもよく、違う巻き方向であってもよい。例えば、第1巻き方向と第2巻き方向とが、右巻きで共通していてもよく、左巻きで共通していてもよい。さらに、第1巻き方向および第2巻き方向のうちの一方が右巻きで、他方が左巻きであってもよい。
【0027】
なお、実施形態では、電気融着継手1の一端側に第1融着部20を設け、電気融着継手1の他端側に第2融着部50を設ける例について説明するが、これに限らない。その他の例として、電気融着継手1において少なくとも一方の端部側に融着部を設けてもよい。
ここで、融着部が一方の端部(受口部)側だけの場合には、電熱線の巻き方向は、受口部の開口部側から見て右巻きであってもよく、左巻きであってもよい。
【0028】
2つの第2ターミナル60,61は、第2樹脂管部12において、受口部の端部付近12bに周方向へ間隔をあけて設けられている(図3参照)。第2ターミナル60は、第2電熱線51の一端部に第2ワイヤー引出孔63を介して接続されている。第2ターミナル61は、第2電熱線51の他端部に第2ワイヤー引出孔64を介して接続されている。2つの第2ワイヤー引出孔63,64は、第2樹脂管部12において受口部の端部付近12bに径方向を向けて貫通されている。2つの第2ターミナル60,61は、接続相手の第2樹脂管81を第2融着部50に電気融着する際に、第2電熱線51に通電する。2つの第2ターミナル60,61は、2つの第1ターミナル30,31と略同様に構成されている。
【0029】
第2インジケータ70は、例えば第2樹脂管部12の外周面12cに設けられた第2凹部71に埋め込まれている。第2インジケータ70は、第2電熱線51に2つの第2ターミナル60,61を経由して第2電熱線51に電力を供給した電気融着時に第2凹部71から径方向外側に隆起する。第2インジケータ70が隆起することにより、第2融着部50が接続相手の第2樹脂管81に電気融着されていることを確認できる。
第2インジケータ70は、樹脂管10と同一材料で一体に成形されていてもよく、樹脂管10と別材料であった樹脂管10に組付けられていてもよい。第2インジケータ70は、第1インジケータ40と略同様に構成されている。
【0030】
以上説明したように、第2融着部50は、第1融着部20と略同様に構成されている。また、第2ターミナル60,61は、第1ターミナル30,31と略同様に構成されている。さらに、第2インジケータ70は、第1インジケータ40と略同様に構成されている。よって、以下、樹脂管10、第1融着部20、第1ターミナル30,31、および第1インジケータ40について詳しく説明して、その他の構成の説明を省略する。
なお本実施形態では、第1融着部20および第2融着部50の2つが設けられているが、第1融着部20および第2融着部50の一方のみが設けられていてもよい。すなわち、電気融着継手1において、一方の端部のみが電気融着可能な構成であってもよい。
【0031】
<樹脂管>
図1図2に示すように、第1樹脂管部11のうち、管軸O方向において、第1融着部20よりも第1樹脂管部11の端面11d側に位置する第1部分に、複数の第1固定痕(固定痕)15が設けられている。実施形態では、第1樹脂管部11の端面11d側に位置する第1部分を、第1樹脂管部11の端面11dとして説明する。また、実施形態では、複数の第1固定痕15として、4つの第1固定痕15が第1樹脂管部11の端面11dにおいて周方向に等間隔に設けられている例について説明する。ただし、第1固定痕15は等間隔に設けられていなくてもよい。
【0032】
4つの第1固定痕15は、例えば、後述する第1の装置102(図6参照)に備えた4つの第1針部106が接することで形成される窪みである。4つの第1針部106が第1樹脂管部11の端面11dに接することで、第1樹脂管部11の端面11dが第1の装置102で支持される。実施形態では、複数の第1固定痕15として4つを例に説明するが、複数の第1固定痕15は2つ以上から任意に選択可能である。
また、第1固定痕15を設ける箇所は、第1樹脂管部11の端面11dに限らない。第1固定痕15を設ける箇所は、第1樹脂管部11の端面11d側に位置する第1部分であればよい。なお、第1樹脂管部11の端面11dを除いた第1部分の変形例については図11から図13の変形例1で詳しく説明する。
【0033】
図1図3に示すように、第2樹脂管部12のうち、管軸O方向において、第2融着部50よりも第2樹脂管部12の端面12d側に位置する第1部分に、複数の第2固定痕(固定痕)16が設けられている。実施形態では、第2樹脂管部12の端面12d側に位置する第1部分を、第2樹脂管部12の端面12dとして説明する。また、実施形態では、複数の第2固定痕16として、4つの第2固定痕16が第2樹脂管部12の端面12dにおいて周方向に等間隔に設けられている例について説明する。ただし、第2固定痕16は等間隔に設けられていなくてもよい。
【0034】
4つの第2固定痕16は、例えば、後述する第1の装置102(図6参照)に備えた4つの第2針部107が接することで形成される窪みである。4つの第2針部107が第2樹脂管部12の端面12dに接することで、第2樹脂管部12の端面12dが第1の装置102で支持される。よって、第1樹脂管部11の端面11dおよび第2樹脂管部12の端面12dが第1の装置102で支持される。これにより、樹脂管10が第1の装置102で位置決めされた状態に支持される。実施形態では、複数の第2固定痕16として4つを例に説明するが、複数の第2固定痕16は2つ以上から任意に選択可能である。
また、第2固定痕16を設ける箇所は、第2樹脂管部12の端面12dに限らない。第2固定痕16を設ける箇所は、第2樹脂管部12の端面12d側に位置する第1部分であればよい。なお、第2樹脂管部12の端面12dを除いた第1部分の変形例については図11から図13の変形例1で詳しく説明する。
【0035】
なお、第1固定痕15と第2固定痕16とは、図2図3のように周方向にずれて配置されていてもよいし、周方向に同じ位置に配置されていてもよい。また、第1固定痕15の数と第2固定痕16の数とが、図2図3のように同じでもよいし、異なっていても良い。
【0036】
<電熱線>
図1図4に示すように、第1電熱線21は、第1融着部20において、第1樹脂管部11の内周面11aに螺旋状で形成された第1切欠き溝(切欠き溝)に挿入されている。第1電熱線21は、第1融着部20において、往路の電熱線21aと、折り返し部分21bと、復路の電熱線21cと、を有する。以下、往路の電熱線21aを「往路部21a」ということがある。また、復路の電熱線21cを「復路部21c」ということがある。
【0037】
往路部21aは、第1ワイヤー引出孔33から引き出され、第1樹脂管部11の開口部側から第2樹脂管部12の開口部側への往路方向へ螺旋が進行することにより形成されている。ここで、第1樹脂管部11の開口部側は、「電気融着継手1の一方の開口部側」である。第2樹脂管部12の開口部側は、「電気融着継手1の他方の開口部側(一方の開口部とは反対の開口部側)」である。図1図4において、往路部21aを実線で示す。
【0038】
折り返し部分21bは、第1電熱線21において往路部21aと復路部21cとを連結する。折り返し部分21bは、折り返し部分21bを第1樹脂管部11の径方向の内側から見た正面視において、湾曲している。なお、折り返し部分21bの変形例については図16から図18の変形例3で詳しく説明する。
【0039】
復路部21cは、往路部21aが折り返された折り返し部分21bから往路方向と逆方向の復路方向へ螺旋が進行することにより形成されている。復路部21cは、第1樹脂管部11の開口部側において、第1ワイヤー引出孔34まで進行する。すなわち、第1電熱線21は、往路方向の往路部21a、折り返し部分21b、および往路部21aに対する逆方向の復路部21cが1本の電熱線で形成されている。第1電熱線21の直径は、0.2mm以上1.5mm以下である。
【0040】
第1電熱線21のヤング率は、例えば、65kN/mm以上150kN/mm以下である。第1電熱線21の材質としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などが使用される。以下、各種材料のヤング率を例示する。銅のヤング率は117kN/mmである。銅合金のうち、銅ニッケル30のヤング率は127.5kN/mm、銅ニッケル49のヤング率は147.1kN/mm、銅ニッケル69のヤング率は147.1kN/mm、リン青銅(C5102)のヤング率は110kN/mm、黄銅(C2600)のヤング率は110kN/mmである。アルミニウムのヤング率は69kN/mmである。アルミニウム合金(A2024)のヤング率は74kN/mmである。この他、第1電熱線21の材質として、ニクロム、鉄クロム合金、銅ニッケル合金、銅マンガン合金、鉄ニッケル合金、マンガン、銅ニッケルマンガン合金、ニッケルクロム合金、クロメル等を使用してもよい。
【0041】
第1電熱線21は被覆されていてもよく、被覆されていなくてもよい。第1電熱線21が被覆されている場合であっても、第1電熱線21のヤング率は、被覆されていない素線状態の電熱線と実質的に同一であるとみなすことができる。
第1電熱線21が被覆されている場合、第1電熱線21の被覆樹脂として、ポリウレタン、変性ポリエステル、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミドイミドの材質が使用される。ポリウレタンの耐熱温度は130℃、変性ポリエステルの耐熱温度は155~180℃、ポリエステルの耐熱温度は155℃、ポリエステルイミドの耐熱温度は180℃、ポリアミドイミドの耐熱温度は220℃である。なお、第1電熱線21は、好ましくはイミド系の被覆樹脂が使用され、より好ましくは耐熱性に優れるポリアミドイミドが使用される。
【0042】
なお第1電熱線21のヤング率は、電気融着継手1から折り返し部分21bを取り出し、折り返し部分21bをサンプルとして測定することができる。測定方法は、例えば、JIS C 2532:1999に基づく。例えば、JIS C 2532:1999における「8.2.3 引張試験」に記載のJIS Z 2241によって試験を行い、ヤング率を測定する。
【0043】
<ターミナル>
第1樹脂管部11において、受口部の端部付近11bに周方向へ間隔をあけて2つの第1ワイヤー引出孔33,34、2つの第1ターミナル30,31が設けられている。この状態において、第1電熱線21は、往路部21aの端部21a1が第1ターミナル30に接続されている。また、第1電熱線21は、復路部21cの端部21c1が第1ターミナル31に接続されている。第1電熱線21は、2つの第1ターミナル30,31により通電可能である。
【0044】
実施形態では、2つの第1ターミナル30,31を第1樹脂管部11において周方向へ間隔をあけて設ける例について説明するが、これに限らない。例えば、樹脂管10の外面に1つの突部(例えば、直方体状の突部)が設けられていて、この1つの突部に、2つの第1ターミナル30,31が配置されていてもよい。この場合、1つの突部に、2つの第1ターミナル30,31が周方向に隣り合って(隣接して)配置されていてもよい。さらに例えば、2つの第1ターミナル30,31を管軸O方向へ間隔をあけて設けてもよい。2つの第1ターミナル30,31を管軸O方向へ間隔をあけて設ける変形例については図14図15の変形例2で詳しく説明する。
【0045】
<インジケータ>
第1インジケータ40は、第1樹脂管部11の外周面11cに設けられている。第1インジケータ40の周方向の位置、管軸O方向の位置は、それぞれ以下の通りである。
【0046】
(インジケータの周方向の位置)
基準となる平面Xおよび平面Yを規定する。管軸Oは、平面Xおよび平面Yいずれの平面上も通る。言い換えると、平面Xおよび平面Yは、管軸Oにおいて交差している。平面Xは、管軸Oに加えて、2つの第1ターミナル30,31を周方向に結ぶ線分の周方向における中点を通る。一方、平面Yは、管軸Oに加えて、第1インジケータ40を通る。
そして第1インジケータ40は、平面Xと平面Yとが周方向に成す角度が±90°以下となるよう、第1ターミナル30,31に対して配置される。ただし、第1インジケータ40の周方向の位置はこれに限られない。
【0047】
(インジケータの管軸方向の位置)
第1インジケータ40は、第1融着部20が設けられた管軸O方向の範囲Eのうち、管軸O方向において、範囲Eの中央よりも第1樹脂管部11の端面11d側に配置されている。ここで、管軸O方向の範囲Eとは、第1電熱線21における管軸O方向の一方側の端から他方側の端までが存在する管軸O方向の範囲をいう。範囲Eの中央とは、範囲Eにおける管軸O方向の中間点をいう。
実施形態では、第1インジケータ40を第1融着部20の範囲Eにおいて中央よりも第1樹脂管部11の端面11d側に配置する例について説明するが、これに限らない。例えば、第1インジケータ40を管軸O方向において2つの第1ターミナルの間に配置してもよい。第1インジケータ40を管軸O方向において2つの第1ターミナルの間に配置する変形例については図14図15の変形例で詳しく説明する。
【0048】
<電気融着継手の製造方法>
つぎに、電気融着継手1の製造方法を図5のフローチャートに加えて図1から図4図6から図10に基づいて説明する。なお、電気融着継手1の製造方法においては、第1樹脂管部11の内周面11aに第1融着部20を形成する例について説明して、第2樹脂管部12の内周面12aに第2融着部50を形成する説明を省略する。
図6から図10に示すように、電気融着継手1は、電熱線敷設装置100により樹脂管10に第1電熱線21(図1図4参照)を埋め込む。電熱線敷設装置100は、第1の装置102と、第2の装置103と、を備えている。第1の装置102は、第1固定部104と、第2固定部105とを備えている。第2の装置103は、不図示の切削部と、電熱線埋め込み部110と、ならし切削部(図示せず)と、を備えている。
【0049】
図5に示すように、電気融着継手1を製造する際に、まず、ピン位置孔開け工程S1において、電気融着継手1(完成品としての電気融着継手1ではなく中空円筒形状の樹脂管10)に2つの第1ワイヤー引出孔33,34(図4参照)をあける。
【0050】
つぎに、図5図6に示すように、継手セット工程(第1工程)S2において、第1の装置102に備えた第2固定部105を第1固定部104に対して退避させて、第1固定部104と第2固定部105との間隔を広げる。これにより、第1固定部104と第2固定部105との間隔に樹脂管10を配置可能となる。
図5図7に示すように、継手セット工程S2を継続して、第1固定部104と第2固定部105との間隔に樹脂管10を配置する。配置した樹脂管10の一端面(すなわち、第1樹脂管部11の端面11d)を第1固定部104の4つの第1針部106に接触させた状態において樹脂管10を仮止めする。樹脂管10を仮止めした後、第2固定部105を樹脂管10の他端面(すなわち、第2樹脂管部12の端面12d)に向けて矢印Aの如く移動する。
なお図示の例では、樹脂管10が横置きされているが、樹脂管10が縦置きされるように第1の装置102が構成されていてもよい。
【0051】
図5図8に示すように、継手セット工程S2を引き続き継続して、第2固定部105の4つの第2針部107を第2樹脂管部12の端面12dに接触させる。これにより、継手セット工程S2において、樹脂管10を第1の装置102の第1固定部104と第2固定部105とに固定する。この状態において、樹脂管10は、第1の装置102で管軸Oを中心にして矢印B(図9参照)の如く自転(回転)可能にセットされる。
【0052】
このように、継手セット工程S2において、樹脂管10のうち、樹脂管10の管軸O方向において、第1樹脂管部11の端面11dが、第1固定部104の第1針部106に接する(押圧される)。これにより、第1樹脂管部11の端面11dに4つの第1固定痕15(図2参照)が設けられる。また、樹脂管10のうち、樹脂管10の管軸O方向において、第2樹脂管部12の端面12dが、第2固定部105の第2針部107に接する(押圧される)。これにより、第2樹脂管部12の端面12dに4つの第2固定痕16(図3参照)が設けられる。
【0053】
樹脂管10を第1の装置102にセットした後、内面切削(寸法出し)工程S3において、第1の装置102で樹脂管10を矢印Bの如く自転させた状態において、不図示の切削部を管軸O方向に移動させて、切削部に備えた切削刃で樹脂管10の内周面を切削する。これにより、樹脂管10における内周面の寸法出しをおこなう。樹脂管10における内周面の寸法出しをおこなった後、樹脂管10の自転を停止する。樹脂管10の自転を停止させた後、ピン位置からワイヤー引き出し工程(1)S4において、図4に示す第1ワイヤー引出孔33から第1電熱線21の往路部21a(具体的は、往路部21aの端部21a1)を引き出す。
【0054】
つぎに、図5図9図10に示すように、ワイヤー埋込部切削埋込工程(第2工程)S5において、第2の装置103に備えた電熱線埋め込み部110を用いて第1樹脂管部11の内周面11aに第1電熱線21を埋め込む。電熱線埋め込み部110は、カッター等の切削手段111と、電熱線誘導手段112と、封じ込め手段113とを有する。カッター等の切削手段111は、第1樹脂管部11の内周面11aに第1切欠き溝を形成する。切削手段111は、第1電熱線21を第1切欠き溝内に誘導する貫通孔等を備えている。電熱線誘導手段112は、第1電熱線21を第1切欠き溝に誘導する。電熱線誘導手段112は、第1電熱線21が切削手段111を通って切込みに進入するように配置されている。封じ込め手段113は、第1切欠き溝を閉じることにより第1電熱線21を第1切欠き溝内に封じ込める。
【0055】
図4図9図10に示すように、電熱線敷設装置100で第1樹脂管部11の内周面11aに第1電熱線21を敷設する。この際には、樹脂管10を第1の装置102で矢印Bの如く自転させた状態において、電熱線敷設装置100を第1樹脂管部11の端面11d側から第2樹脂管部12の端面12d側へ向けて管軸O方向に移動する。これにより、電熱線敷設装置100の切削手段111を用いて第1樹脂管部11の内周面11aに第1切欠き溝を切削しつつ第1切欠き溝に第1電熱線21の往路部21aを挿入する。つづいて、第1切欠き溝を封じ込め手段113で閉じて往路部21aを第1樹脂管部11の内周面11aに埋め込む。
【0056】
第1樹脂管部11の内周面11aに往路部21aを埋め込んだ後、切削手段111の回転角度を反転する方向に調整することで、往路部21aを折り返して折り返し部分21bを第1樹脂管部11の内周面11aに埋め込む。切削手段111を反転させた後、電熱線敷設装置100を第1樹脂管部11の端面11d側へ向けて管軸O方向に移動することで、往路部21aと同様に、第1電熱線21の復路部21cを第1樹脂管部11の内周面11aに埋め込む。よって、第1電熱線21を往路部21aおよび復路部21cにより2重螺旋を描くように第1樹脂管部11の内周面11aに埋め込むことができる。これにより、第1樹脂管部11の内周面11aに第1融着部20を形成できる。
【0057】
図4図5に示すように、第1樹脂管部11の内周面11aに第1融着部20を形成した後、ピン位置からワイヤー引き出し工程(2)S6において、樹脂管10の自転を停止する。樹脂管10の自転を停止した後、第1ワイヤー引出孔34から復路部21cの端部21c1を引き出す。
つぎに、ワイヤー埋込部の樹脂ならし薄膜切削工程S7において、第1の装置102で樹脂管10を矢印Bの如く自転させた状態において、不図示の埋込部ならし部を管軸O方向に移動させる。これにより、埋込部ならし部でワイヤー埋込部を樹脂ならしするとともに、樹脂ならし箇所を埋込部ならし部に備えた切削刃で薄膜切削する。樹脂ならし箇所を薄膜切削することにより、第1電熱線21を埋設した第1樹脂管部11の内周面11aの寸法出しをおこなう。
【0058】
第1樹脂管部11の内周面11aに対する寸法出しの後、継手取り出し工程S8において、第1の装置102に備えた第2固定部105を樹脂管10から退避させて、第1電熱線21を埋設した樹脂管10を第1の装置102から取り出す。
図1図4図5に示すように、樹脂管10を第1の装置102から取り出した後、インジケータ工程S9において、第1樹脂管部11の外周面11cに第1インジケータ40を形成する。第1インジケータ40が樹脂管10と一体の場合、インジケータ工程S9では、円筒状のドリルを用いて外周面11cに、第1インジケータ40となる突起が残された窪みを切削することで、第1インジケータ40を形成することができる。第1インジケータ40が樹脂管10と別部材の場合、外周面11cに貫通孔、または、窪み(非貫通の凹部)を形成した後、その貫通孔や窪みに第1インジケータ40となる部材を組付けることで、第1インジケータ40を形成することができる。
【0059】
第1樹脂管部11の外周面11cに第1インジケータ40を形成した後、ターミナルピン位置工程S10において、第1樹脂管部11に2つの第1ターミナル30,31を設ける。第1ターミナル30に往路部21aの端部21a1を接続する。また、第1ターミナル31に復路部21cの端部21c1を接続する。
このように、S1からS10の工程を実施することにより、電気融着継手1を製造でき、電気融着継手1の製造方法が完了する。なお、製造方法はこれに限られない。例えば、実施形態のように、継手取り出し工程S8の後に、インジケータ工程S9、および、ターミナルピン位置工程S10の両方を実施してもよく、継手取り出し工程S8の前に、インジケータ工程S9、および、ターミナルピン位置工程S10のうちの少なくとも一方を実施してもよい。
【0060】
以上説明したように実施形態の電気融着継手1によれば、図1から図3図8に示すように、第1樹脂管部11の端面11dに4つの第1固定痕15が設けられている。また、第2樹脂管部12の端面12dに4つの第2固定痕16が設けられている。第1固定痕15および第2固定痕16は、第1樹脂管部11に第1融着部20を備えるとともに、第2樹脂管部12に第2融着部50を備える際に、樹脂管10に第1の装置102の第1針部106および第2針部107が接することで設けられる。このように、樹脂管10を管軸O方向から第1の装置102で挟み込むことにより、樹脂管10に第1の装置102の第1針部106および第2針部107が接する。よって、樹脂管10を第1の装置102で精度よく位置決めできる。これにより、電気融着継手1としての成形精度を高めることができる。
【0061】
また、第1固定痕15を第1樹脂管部11の端面11dに設けるようにした。さらに、第2固定痕16を第2樹脂管部12の端面12dに設けるようにした。これにより、樹脂管10を第1の装置102で位置決めした状態において、第1樹脂管部11に第1融着部20を備えるとともに、第2樹脂管部12に第2融着部50を備えるワイヤー埋込部切削埋込工程を第1の装置102で妨げるおそれがない。
【0062】
また、実施形態における電気融着継手1の製造方法によれば、図1から図3図8に示すように、第1樹脂管部11の端面11dに第1の装置102の第1針部106が接することで第1樹脂管部11の端面11dに4つの第1固定痕15を設けるようにした。また、第2樹脂管部12の端面12dに第2の装置103の第2針部107が接することで第2樹脂管部12の端面12dに4つの第2固定痕16を設けるようにした。よって、樹脂管10を第1の装置102で精度よく位置決めできる。これにより、電気融着継手1としての成形精度を高めることができる。
【0063】
また、第1樹脂管部11の端面11dに4つの第1固定痕15を設けるようにした。さらに、第2樹脂管部12の端面12dに4つの第2固定痕16を設けるようにした。
これにより、樹脂管10を第1の装置102で位置決めした状態において、第2の装置103を用いて第1切欠き溝に第1電熱線21を挿入するワイヤー埋込部切削埋込工程S5を第1の装置102で妨げるおそれがない。
【0064】
ここで、図4に示すように、第1電熱線21は、螺旋の進行を往路方向(すなわち、往路部21a)から復路方向(すなわち、復路部21c)に切り換えるために折り返し部分21bで折り返される。折り返し部分21bは、例えば管軸O方向における電熱線21のピッチP等を考慮して、第1電熱線21の折り返し精度を確保することが好ましい。
そこで、第1電熱線21のヤング率を150kN/mm以下とした。よって、電熱線の剛性を好適に低く抑えることができる。これにより、折り返し部分21bの折り返し精度を確保でき、電気融着継手1の成形精度を高めることができる。
【0065】
また、第1電熱線21の剛性が低すぎる場合、第1電熱線21を折り返す際に、第1電熱線21が破断することが考えられる。そこで、第1電熱線21のヤング率を65kN/mm以上とした。これにより、第1電熱線21を折り返す際に、第1電熱線21が折り返し部分21bで破断することを防止できる。
【0066】
さらに、第1電熱線21の直径を0.2mm以上1.5mm以下とすることにより、第1電熱線21を折り返す際に、第1電熱線21の折り返し精度を確保するとともに第1電熱線21の破断を防止できる。
【0067】
加えて、第1電熱線21の折り返し部分21bを湾曲に折り返すことにより、第1電熱線21を折り返し部分21bで円滑に折り返して第1電熱線21を破断し難くできる。
【0068】
また、図1図4に示すように、第1インジケータ40は、例えば第1樹脂管部11の外周面11cに設けられた第1凹部41に埋め込まれている。第1インジケータ40は、第1電熱線21に2つの第1ターミナル30,31を経由して電力を供給した電気融着時に、第1凹部41から径方向外側に隆起する。第1インジケータ40が隆起することにより、電気融着継手1が接続相手の第1樹脂管80に電気融着されていることを確認できる。
【0069】
ここで、第1樹脂管部11は、電気融着時に、第1融着部20において管軸O方向の中央部11eが径方向外側に比較的大きく膨張することが考えられる。よって、例えば、第1樹脂管部11の外周面11cにおいて、第1融着部20の中央に第1インジケータ40を設けた場合、融着時に樹脂漏れが発生したり、融着時に第1インジケータ40が突出しすぎたりすることが考えられる。このため、第1インジケータ40を第1樹脂管部11の外周面11cに設けつつ、電気融着継手1としての性能を確保することが望まれている。
【0070】
そこで、第1インジケータ40を、管軸O方向において、第1融着部20が設けられた管軸O方向の範囲Eの中央よりも第1樹脂管部11の端面11d側に配置した。よって、電気融着継手1が接続相手の第1樹脂管80に電気融着されていることを第1インジケータ40で確認できる。これにより、電気融着継手1に第1インジケータ40を設けつつ、電気融着継手1としての性能を確保できる。
【0071】
<変形例>
つぎに、実施形態の変形例1、変形例2、変形例3を図11から図18に基づいて説明する。なお、変形例1、変形例2、変形例3において実施形態の電気融着継手1と同一、類似構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0072】
<変形例1>
実施形態における第1固定痕15および第2固定痕16について変形例1を図11から図13に基づいて説明する。
図11図12に示すように、変形例1(1)において、複数の第1固定痕(固定痕)201は、第1融着部20よりも第1樹脂管部11の端面11d側に位置する第1部分として、第1樹脂管部11の外周面(周面)11cに設けられている。複数の第1固定痕201として4つを例に説明する。第1固定痕201は、第1固定部205の第1針部206が接することにより設けられている。
変形例1では、複数の第1固定痕201として4つを例に説明するが、複数の第1固定痕201は2つ以上から任意に選択可能である。
【0073】
また、変形例1(1)において、複数の第2固定痕(固定痕)202は、第2融着部50よりも第2樹脂管部12の端面12d側に位置する第1部分として、第2樹脂管部12の外周面(周面)12cに設けられている。複数の第2固定痕202として4つを例に説明する。第2固定痕202は、不図示の第2固定部の第2針部が接することにより設けられている。
変形例1では、複数の第2固定痕202として4つを例に説明するが、複数の第2固定痕202は2つ以上から任意に選択可能である。
【0074】
図11図12に示す変形例1(1)によれば、4つの第1固定痕201を第1樹脂管部11の外周面11cに設け、4つの第2固定痕202を第2樹脂管部12の外周面12cに設けた。よって、樹脂管10の径方向外側から樹脂管10を支持することにより樹脂管10を精度よく位置決めできる。これにより、第1樹脂管部11の内周面11aに第1融着部20を備え、第2樹脂管部12の内周面12aに第2融着部50を備える製造工程を第1固定部205や第2固定部で妨げることなく、電気融着継手1としての成形精度を高めることができる。
なお、第1固定痕201と第2固定痕202とは、図11図12のように周方向にずれて配置されていてもよいし、周方向に同じ位置に配置されていてもよい。また、第1固定痕201の数と第2固定痕202の数とが、図11図12のように同じでもよいし、異なっていても良い。
【0075】
また、図13に示すように、変形例1(2)において、複数の第1固定痕(固定痕)211は、不図示の第1チャックが接する(押圧する、把持する、挟持する)ことにより設けられている。複数の第1固定痕211として4つを例に説明するが、複数の第1固定痕211は2つ以上から任意に選択可能である。さらに、複数の第2固定痕(固定痕)212は、不図示の第2チャックが接することにより設けられている。複数の第2固定痕212として4つを例に説明するが、複数の第2固定痕212は2つ以上から任意に選択可能である。
【0076】
図13に示す変形例1(2)によれば、樹脂管10を第1チャックおよび第1チャックで樹脂管10の径方向外側または内側から支持することにより、樹脂管10を精度よく位置決めできる。これにより、第1樹脂管部11の内周面11aに第1融着部20を備え、第2樹脂管部12の内周面12aに第2融着部50を備える製造工程を第1チャックや第2チャックで妨げることなく、電気融着継手1としての成形精度を高めることができる。
なお、第1固定痕211と第2固定痕212とは、図13のように周方向にずれて配置されていてもよいし、周方向に同じ位置に配置されていてもよい。また、第1固定痕211の数と第2固定痕212の数とが、図13のように同じでもよいし、異なっていても良い。
【0077】
<変形例2>
実施形態における第1インジケータ40および第2インジケータ70について変形例2を図14図15に基づいて説明する。
図14図15に示すように、変形例2において、第1樹脂管部11の外周面11cに2つの第1ターミナル(ターミナル)221,222が設けられている。2つの第1ターミナル221,222は、第1樹脂管部11の外周面11cにおいて管軸O方向に互いに間隔を空けて配置されている。2つの第1ターミナル221,222は、第1電熱線21の両端にそれぞれ接続されている。
【0078】
第1電熱線21は、折り返し部分21b(図4参照)で折り返されている。よって、第1電熱線21の両端は、第1樹脂管部11において、第1融着部20の範囲Eの中央よりも端面11d側に位置する。これにより、2つの第1ターミナル221,222は、第1融着部20の範囲Eの中央よりも第1樹脂管部11の端面11d側に位置する。
そこで、第1インジケータ(インジケータ)224を、管軸O方向において2つの第1ターミナル221,222の間に配置した。これにより、第1インジケータ224を、第1融着部20の範囲Eの中央よりも第1樹脂管部11の端面11d側に配置できる。
【0079】
よって、図14図15に示す変形例2の第1インジケータ224によれば、電気融着継手1が接続相手の第1樹脂管80に電気融着されていることを第1インジケータ224で確認できる。これにより、電気融着継手1に第1インジケータ224を設けつつ、電気融着継手1としての性能を確保できる。
【0080】
また、図14に示すように、第2樹脂管部12の外周面12cに2つの第2ターミナル(ターミナル)231,232が設けられている。2つの第2ターミナル231,232は、2つの第1ターミナル221,222と同様に、第2電熱線51の両端にそれぞれ接続されている。
2つの第2ターミナル231,232の間には、管軸O方向において第2インジケータ(インジケータ)234が配置されている。すなわち、第2インジケータ234は、第1インジケータ224と同様に配置されている。
これにより、図14に示す変形例2の第2インジケータ234によれば、電気融着継手1に第2インジケータ234を設けつつ、電気融着継手1としての性能を確保できる。
【0081】
なお、2つの第1ターミナル221,222の周方向の位置同士が、互いに一致していなくてもよく、2つの第2ターミナル231,232の周方向の位置同士が、互いに一致していなくてもよい。言い換えると、2つの第1ターミナル221,222が、管軸O方向に並んで配置されていなくてもよく、2つの第2ターミナル231,232が、管軸O方向に並んで配置されていなくてもよい。
例えば、2つの第1ターミナル221,222が、周方向に互いに間隔をあけて配置され、かつ、管軸O方向にも間隔をあけて配置されていてもよい。この場合、第1インジケータ224の管軸O方向における位置は、管軸O方向における2つの第1ターミナル221,222の間に配置される。
例えば、2つの第2ターミナル231,232が、周方向に互いに間隔をあけて配置され、かつ、管軸O方向にも間隔をあけて配置されていてもよい。この場合、第2インジケータ234の管軸O方向における位置は、管軸O方向における2つの第2ターミナル231,232の間に配置される。
【0082】
<変形例3>
実施形態における第1電熱線21の折り返し部分21bついて変形例3を図16から図18に基づいて説明する。
図16に示すように、変形例3(1)において、第1電熱線21の折り返し部分21b1は、正面視において、異なる曲率を有する複数の円弧を含む形状である。折り返し部分21b1は、複数の円弧として2つの第1円弧Ca1および第2円弧Ca2を備えている。
【0083】
第1円弧Ca1は、曲率半径R1により半円以上で折り返されている。第1円弧Ca1の曲率中心C1は、折り返し部分21b1の内側に位置する。第2円弧Ca2は、曲率半径R2で折り返されている。第2円弧Ca2の曲率中心C2は、折り返し部分21b1の外側に位置する。すなわち、第1円弧Ca1の曲率中心C1および第2円弧Ca2の曲率中心C2は、正面視において、折り返し部分21b1を間に挟んだ反対側に位置している。
【0084】
変形例3(1)の折り返し部分21b1によれば、折り返し部分21b1を、異なる曲率を有する2つの第1円弧Ca1および第2円弧Ca2を含む形状とした。これにより、第1電熱線21を折り返し部分21b1で円滑に折り返して第1電熱線21を破断し難くできる。
【0085】
また、第1円弧Ca1の曲率中心C1および第2円弧Ca2の曲率中心C2を、正面視において、折り返し部分21b1を間に挟んだ反対側に位置させた。よって、折り返し部分21b1で折り返した復路部21cを、管軸O方向において往路部21aに近づけることができる。これにより、折り返し部分21b1は、往路部21aと復路部21cとのピッチPを変えることなく往路部21aを復路部21cに折り返すことができる。
【0086】
図17に示すように、変形例3(2)において、第1電熱線21の折り返し部分21b2は、正面視において、異なる曲率を有する複数の円弧を含む形状である。折り返し部分21b2は、複数の円弧として4つの第1円弧Ca3、第2円弧Ca4、第3円弧Ca5、および第4円弧Ca6を備えている。
【0087】
第1円弧Ca3、第2円弧Ca4、および第3円弧Ca5は、折り返し部分21b2の凸角部を角丸形状に折り返している。第1円弧Ca3の曲率中心C3、第2円弧Ca4の曲率中心C4、および第3円弧Ca5の曲率中心C5は、折り返し部分21b2の内側に位置する。第4円弧Ca6は、曲率半径R6で折り返されている。第4円弧Ca6の曲率中心C6は、折り返し部分21b2の外側に位置する。すなわち、第1円弧Ca3の曲率中心C3、第2円弧Ca4の曲率中心C4、および第3円弧Ca5の曲率中心C5と、第4円弧Ca6の曲率中心C6とは、正面視において、折り返し部分21b2を間に挟んだ反対側に位置している。
【0088】
変形例3(2)の折り返し部分21b2によれば、折り返し部分21b2を、異なる曲率を有する4つの第1円弧Ca3、第2円弧Ca4、第3円弧Ca5、および第4円弧Ca6を含む形状とした。これにより、第1電熱線21を折り返し部分21b2で円滑に折り返して第1電熱線21を破断し難くできる。
【0089】
また、第1円弧Ca3の曲率中心C3、第2円弧Ca4の曲率中心C4、および第3円弧Ca5の曲率中心C5と、第4円弧Ca6の曲率中心C6とを、正面視において、折り返し部分21b2を間に挟んだ反対側に位置させた。よって、折り返し部分21b2で折り返した復路部21cを、管軸O方向において往路部21aに近づけることができる。これにより、折り返し部分21b2は、往路部21aと復路部21cとのピッチPを変えることなく往路部21aを復路部21cに折り返すことができる。
【0090】
図18に示すように、変形例3(3)において、第1電熱線21の折り返し部分21b3は、正面視において、異なる曲率を有する複数の円弧を含む形状である。折り返し部分21b3は、複数の円弧として2つの第1円弧Ca7および第2円弧Ca8を備えている。第1円弧Ca7は、曲率半径R7により折り返されている。第1円弧Ca7の曲率中心C7は、折り返し部分21b3の内側に位置する。第2円弧Ca8は、曲率半径R8で折り返されている。第2円弧Ca8の曲率中心C8は、折り返し部分21b3の内側に位置する。
【0091】
ここで、往路部21aの連結端部(端部)21a2および復路部21cの連結端部(端部)21c2は、いずれも、正面視において、管軸O方向に対して傾斜する直線状をなしている。連結端部21a2は、折り返し部分21b3に連結されている。連結端部21c2は、折り返し部分21b3に連結されている。さらに、往路部21aの連結端部21a2が管軸O方向に対してなす傾斜角度θ1と、復路部21cの連結端部21c2が管軸O方向に対してなす傾斜角度θ2と、は異なる。ただし、傾斜角度θ1と傾斜角度θ2とは同じでもよい。
連結端部21a2が管軸O方向に対してなす傾斜角度θ1は、管軸Oに対して直交する仮想線Vlに対する連結端部21a2の角度を示す。連結端部21c2が管軸O方向に対してなす傾斜角度θ2は、管軸Oに対して直交する仮想線Vlに対する連結端部21c2の角度を示す。
【0092】
変形例3(3)の折り返し部分21b3によれば、折り返し部分21b3を、異なる曲率を有する2つの第1円弧Ca7および第2円弧Ca8を含む形状とした。これにより、第1電熱線21を折り返し部分21b3で円滑に折り返して第1電熱線21を破断し難くできる。
また、往路部21aの連結端部21a2が管軸O方向に対してなす傾斜角度θ1と、復路部21cの連結端部21c2が管軸O方向に対してなす傾斜角度θ2と、を異ならせた。よって、折り返し部分21b3で折り返した復路部21cを、管軸O方向において往路部21aに近づけることができる。これにより、折り返し部分21b3は、往路部21aと復路部21cとのピッチPを変えることなく往路部21aを復路部21cに折り返すことができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
【0094】
例えば、固定痕がなくてもよい。
例えば、電熱線のヤング率が65kN/mm未満でもよく、150kN/mm超であってもよい。
例えば、インジケータは、融着部が設けられた管軸方向の範囲のうち、管軸方向において、範囲の中央よりも樹脂管の端面側に配置されていなくてもよい。
【0095】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、本実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 電気融着継手
10 樹脂管
20 第1融着部(融着部)
21 第1電熱線(電熱線)
50 第2融着部(融着部)
51 第2電熱線(電熱線)
80 第1樹脂管(接続相手の樹脂管)
81 第2樹脂管(接続相手の樹脂管)
O 管軸
図1
図2
図3
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