(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176260
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/82 20110101AFI20241212BHJP
H01R 13/193 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01R12/82
H01R13/193
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094694
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】岡村 惇志
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB45
5E223BA04
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB29
5E223CB39
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB23
5E223DB25
(57)【要約】
【課題】安定的な接続を実現する。
【解決手段】コネクタ3は、ハウジング5と、夫々が、固定部62と延伸部63と接続部64とを有し、幅方向Wに配列された複数の端子6と、を備える。各接続部64は、接続基部65と第1腕部66と第2腕部67を備える。第1腕部66は、支持部66bと、第1副腕部66Aと第2副腕部66Bとからなる副腕部66cを有する。第1副腕部66Aは第1接点部66Apを有し、第2副腕部66Bは第2接点部66Bpを有する。第2腕部67は、第1接点部66Apと第2接点部66Bpとの間の所定の位置に向けて突出する押圧部67pを有する。各接続部64は、相手接続体4が、夫々の第1腕部66と第2腕部67との間に挿入された場合に、押圧部67pが相手接続体4を押圧し、第1接点部66Apと、第2接点部66Bpとの内、少なくとも一方の接点部が相手接続体4と導通するように構成されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の相手端子が配列された相手接続体が挿入可能な所定の幅を有する挿入部と、前記挿入部から前記相手接続体が挿入していく方向である挿入方向に、所定長さ離れて位置する基部と、を有するハウジングと、
夫々が、一端が前記基部に固定された固定部と、一端が前記固定部と連接し他端が前記挿入方向の反対方向である逆挿入方向に延設された延伸部と、一端が前記延伸部と連接し他端が前記逆挿入方向に延設されて前記相手端子と導通可能な接続部と、を有し、前記ハウジングの幅の方向である幅方向に配列された、複数の端子と、
を備えたコネクタであって、
前記複数の端子の各接続部は、
前記延伸部の他端から、前記挿入方向と前記幅方向とに交差する交差方向に延設された接続基部と、
前記接続基部の前記交差方向側の一端から前記逆挿入方向に延設された第1腕部と、
前記接続基部の前記交差方向側の他端から前記逆挿入方向に延設された第2腕部と、を備え、
前記第1腕部は、
前記第1腕部の延設側の所定位置から前記第2腕部側に延設された支持部と、
前記支持部の延設側の端部から前記逆挿入方向に延設された第1副腕部と、該端部から前記挿入方向に延設された第2副腕部と、からなる副腕部と、
前記第1副腕部から前記第2腕部側に突出する第1接点部と、
前記第2副腕部から前記第2腕部側に突出する第2接点部と、
を有し、
前記第2腕部は、前記第1接点部と、前記第2接点部との間の所定の位置に向けて突出する押圧部を有しており、
前記複数の端子の各接続部は、前記相手接続体が、前記挿入部を介して、夫々の前記第1腕部と前記第2腕部との間に挿入された場合に、前記押圧部が、前記相手接続体を押圧し、前記第1接点部と、前記第2接点部と、の内、少なくとも一方の接点部が前記相手接続体と導通するように構成されている、
コネクタ。
【請求項2】
前記延伸部は、前記延伸部の少なくとも一部を前記固定部に近づく方向に変位可能とする第1屈曲部と、前記延伸部の少なくとも一部を前記鉛直方向に変位可能とする第2屈曲部と、の内、少なくともいずれか一方の屈曲部を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記延伸部は、前記接続部の前記一端と前記他端との間の位置において、前記接続部と連接する、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記基部から前記逆挿入方向に延設された複数のガイド部を有し、
前記複数のガイド部は、前記幅方向に前記ガイド部と前記端子とが交互となるように配置され、
前記ガイド部の夫々は、前記相手接続体が、前記挿入部を介して、夫々の前記第1腕部と前記第2腕部との間に挿入された場合に、前記相手接続体が挿入可能な切り欠き部を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第2腕部の前記延設側の端部は、前記押圧部を起点に前記逆挿入方向に向かうに従い、前記副腕部から離れていく第1勾配部を有し、少なくとも該端部の一部は、隣り合う前記ガイド部と前記幅方向において重なり合う、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1副腕部における前記延設の長さは、前記第2副腕部における前記延設の長さより短い、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記押圧部は、少なくともその一部が、前記第2副腕部のいずれかの部分と、対向する、請求項1から6のいずれか1つの請求項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第1副腕部は、その端部から、前記第1腕部側に突出する第1突出部を更に有し、
前記第1突出部は、少なくともその一部が、隣り合う前記ガイド部と前記幅方向において重なり合い、かつ、該突出側の端部は、前記第1腕部における前記副腕部側とは反対側の端部よりも、前記副腕部側に位置する、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第2副腕部は、前記延設側の端部から、前記第1腕部に向けて突出する第2突出部を更に有し、
前記第2突出部は、少なくともその一部が、隣り合う前記ガイド部と前記幅方向において重なり合い、前記第1腕部とは所定の距離だけ離れて位置している、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第1腕部は、前記第2突出部と対向する位置に窪み部を有する、
請求項9に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記第1副腕部の延設側の端部は、前記第1接点部を起点に前記逆挿入方向に向かうに従い、前記第1腕部側に傾く第2勾配部を有し、
前記第2副腕部の延設側の端部は、前記第2接点部を起点に前記逆挿入方向に向かうに従い、前記第1腕部側に傾く第3勾配部を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項12】
一方の面と他方の面とに亘って複数の相手端子が千鳥状に配列された相手接続体が挿入可能な所定の幅を有する挿入部と、前記挿入部から前記相手接続体が挿入していく方向である挿入方向に、所定長さ離れて位置する基部と、を有するハウジングと、
夫々が、一端が前記基部に固定された固定部と、一端が前記固定部と連接し他端が前記挿入方向の反対方向である逆挿入方向に延設された延伸部と、一端が前記延伸部と連接し他端が前記逆挿入方向に延設されて前記相手端子と導通可能な接続部と、を有し、前記ハウジングの幅の方向である幅方向に配列された、複数の端子と、
を備えたコネクタであって、
前記複数の端子は、前記幅方向に複数の第1端子と複数の第2端子とが交互に配置されたものであり、
前記複数の第1端子の各接続部は、
前記延伸部の他端から、前記挿入方向と前記幅方向とに交差する交差方向に延設された接続基部と、
前記接続基部の前記交差方向側の一端から前記逆挿入方向に延設された第1腕部と、
前記接続基部の前記交差方向側の他端から前記逆挿入方向に延設された第2腕部と、を備え、
前記第1腕部は、
前記第1腕部の延設側の所定位置から前記交差方向の前記第2腕部側に延設された支持部と、
前記支持部の延設側の端部から前記逆挿入方向に延設された第1副腕部と、該端部から前記挿入方向に延設された第2副腕部と、からなる副腕部と、
前記第1副腕部からの前記第2腕部側に突出する第1接点部と、
前記第2副腕部からの前記第2腕部側に突出する第2接点部と、
を有し、
前記第2腕部は、前記第1接点部と、前記第2接点部との間の所定の位置に向けて突出する押圧部を有し、
前記複数の第2端子の各接続部は、前記第1端子の接続部の構成を有した状態で、前記挿入方向を軸として反転させた状態で前記第2端子の延伸部と接続しており、
前記複数の端子の各接続部は、前記相手接続体が、前記挿入部を介して、夫々の前記第1腕部と前記第2腕部との間に挿入された場合に、前記押圧部が、前記相手接続体を押圧し、前記第1接点部と、前記第2接点部と、の内、少なくとも一方の接点部が前記相手接続体と導通するように構成されている、
コネクタ。
【請求項13】
前記複数の第1端子は、
前記第1接点部の夫々が、前記幅方向に対して重なる位置に配列されており、
前記第2接点部の夫々が、前記幅方向に対して重なる位置に配列されており、
前記押圧部の夫々が、前記幅方向に対して重なる位置に配列されており、
前記複数の第2端子は、
前記第1接点部の夫々が、前記幅方向に対して重なる位置に配列されており、
前記第2接点部の夫々が、前記幅方向に対して重なる位置に配列されており、
前記押圧部の夫々が、前記幅方向に対して重なる位置に配列されている、
請求項12に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタの従来技術として、フィルムワイヤを基板に接続するコネクタをフリップなしに構成し、そのコネクタのハウジングにフィルムワイヤを挿入する際に、最初は小さな力で挿入し、最後にのみ大きな力を入れてフィルムワイヤをコネクタに挿入して固定できるようにするものがある。これにより、フィルムワイヤに構成される接点ピンが傷ついたり破損したりすることを防止すると同時に、フィルムワイヤを端子の正しい位置に挿入し、フィルムワイヤの固定状態を安定させることができる(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、複数の端子がハウジングに挿入されて固定され、そのハウジングの挿入部にフィルムワイヤを挿入すると、フィルムワイヤの接点ピンが端子の接点部に密着するようにしたフィルムワイヤ用コネクタが開示されいる(
図12参照)。前記コネクタの端子は、一側に前記接点部を形成し、その接点部の対向する位置に中心部を中心としてシーソー動作するシーソー部材を端子に一体に形成し、そのシーソー部材がフィルムワイヤによってシーソー動作することで、フィルムワイヤの固定状態を安定させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のコネクタは、シーソー部材は、加圧部を端子の接点部と対向するように形成しており、例えば端子の取り付け誤差など、何らかの影響により加圧部と端子との対向がずれてしまった場合や、こじりなどによりフィルムワイヤの接点ピンと端子の接点部とを離間させる力が生じた場合には、安定的な導通が達成できないおそれがある。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑み、より安定的な接続を実現できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本実施形態に係るコネクタは、複数の相手端子が配列された相手接続体が挿入可能な所定の幅を有する挿入部と、挿入部から相手接続体が挿入していく方向である挿入方向に、所定長さ離れて位置する基部と、を有するハウジングと、夫々が、一端が基部に固定された固定部と、一端が固定部と連接し他端が挿入方向の反対方向である逆挿入方向に延設された延伸部と、一端が延伸部と連接し他端が逆挿入方向に延設されて相手端子と導通可能な接続部と、を有し、ハウジングの幅の方向である幅方向に配列された、複数の端子と、を備える。複数の端子の各接続部は、延伸部の他端から、挿入方向と幅方向とに交差する交差方向に延設された接続基部と、接続基部の交差方向側の一端から逆挿入方向に延設された第1腕部と、接続基部の交差方向側の他端から逆挿入方向に延設された第2腕部と、を備える。第1腕部は、第1腕部の延設側の所定位置から第2腕部側に延設された支持部と、支持部の延設側の端部から逆挿入方向に延設された第1副腕部と、該端部から挿入方向に延設された第2副腕部と、からなる副腕部と、第1副腕部からの第2腕部側に突出する第1接点部と、第2副腕部から第2腕部側に突出する第2接点部と、有し、第2腕部は、第1接点部と、第2接点部との間の所定の位置に向けて突出する押圧部を有しており、複数の端子の各接続部は、相手接続体が、挿入部を介して、夫々の第1腕部と第2腕部との間に挿入された場合に、押圧部が、相手接続体を押圧し、第1接点部と、第2接点部と、の内、少なくとも一方の接点部が相手接続体と導通するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態のコネクタによれば、安定的な接続を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るプリント回路板1と相手接続体4とを示した斜視図であって、Aは、相手接続体4がコネクタ3に挿入される前の状態の図であり、Bは、相手接続体4によるコネクタ3への挿入が完了した状態の図である。
【
図2】
図2は、フレキシブル配線板9を示した図であって、Aは平面図、BはX-X断面図であって、電極9a近傍を拡大して示した図、Cは電極9a側から見た端部の正面図、Dは領域Yの拡大図である。
【
図4】
図4は、プリント回路板1の展開斜視図である。
【
図5】
図5は、端子6とガイド53との位置関係を説明するための図であって、Aは、
図3Bにおける領域Vを拡大した図であり、Bは、幅方向Wの配置を説明するための挿入部51側から見た模式図である
【
図7】
図7は、端子6Aの構成を説明するために形式上の領域を定義した図であって、Aは端子6A全体を構成する要素、Bは接触部61を構成する要素、Cは固定部62を構成する要素、Dは延伸部63を構成する要素、Eは接続部64を構成する要素、Fは第1腕部66を構成する要素を示した図である。
【
図8】
図8は、端子6Aを説明するための図であって、Aは斜視図、Bは平面図である。
【
図9】
図9は、端子6Bを説明するための図であって、Aは斜視図、Bは平面図である。
【
図11】
図11は、複数の端子6を、同一形状に統一して構成した場合の斜視図である。
【
図12】
図12は、コネクタの従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態にについて図面を参照して説明する。なお、以降の説明において、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るプリント回路板1と相手接続体4とを示した斜視図であって、Aは、相手接続体4がコネクタ3に挿入される前の状態の図であり、Bは、相手接続体4によるコネクタ3への挿入が完了した状態の図である。
【0011】
(相手接続体4)
本実施形態に係る相手接続体4は、
図1に示すように、フレキシブル配線板9と、相手挿入部8とから構成されている。
図2は、フレキシブル配線板9を示した図であって、Aは平面図、BはX-X断面図であって、電極9a近傍を拡大して示した図、Cは電極9a側から見た端部の正面図、Dは領域Yの拡大図である。本実施形態のフレキシブル配線板9は、例えばポリイミドを基材とした薄板形状を有する配線板である。フレキシブル配線板9は、例えば、長さ方向の両端部を揃えるように中央部から180度曲げることができる程度、あるいはそれ以上の柔軟性を有する。フレキシブル配線板9は、本実施形態では、
図2Bに示すように、第1層91Aと第2層91Bとから構成され、第1層91Aと第2層91Bは、所定の接着剤により、互いを接合して一体に形成されている。但し、フレキシブル配線板9はこの構成に限られない。例えば、一体ではなく、単純な2枚重ねにより構成してもよい。第1層91Aは、フレキシブル配線板9の幅方向(
図2Aにおける左右方向)に配列された複数の配線9Aを有し、各配線9Aの一端には、コネクタ3と電気的に接続するための細長形状の電極9aが設けられている。配線9Aは絶縁のために絶縁層9Cに覆われている。第2層91Bは、第1層91Aと同様に、フレキシブル配線板9の幅方向に配列された複数の配線9B(
図2B)を有し、各配線9Bの一端には、コネクタ3と電気的に接続するための細長形状の電極9bが設けられている。配線9Bは絶縁のために絶縁層9Dに覆われている。複数の電極9aと9bは、互いに対向する位置からフレキシブル配線板9の幅方向にずれて(シフトして)配置されている。この配置により、複数の端子である電極9aと9bは、
図2Dに示すように、第1層91A側の面と、第2層91B側の面とに亘り、千鳥状の配列構成となっている。電極9a,9bは、相手接続体4の端子としての役割を担うことから、本実施形態では、これらを「相手端子」ともいう。
【0012】
フレキシブル配線板9は、電極9a,9bとは反対側の端部に、他の装置あるいは機器と接続可能な電極を有している。
図1~
図3では、これらの電極は不図示とし、フレキシブル配線板9の長さは一部に限定して図示している。
【0013】
相手接続体4は、
図1Aに示すように、フレキシブル配線板9の電極9a,9b側の端部に、コネクタ3への挿入操作を容易にする相手挿入部8が設けられている。相手挿入部8は、挿入ガイド8aと、爪部8bと、レバー8cと、2次ロック機構8dと、を主たる構成要素としている。
図3は、
図1Aの平面図、BはZ-Z断面図である。挿入ガイド8aは、略箱状の形状を有し、内部に、フレキシブル配線板9が挿入可能な箱型の中空形状を有している。具体的には、挿入ガイド8aは、
図3A,Bに示すように、フレキシブル配線板9の両側面に起立する側壁8a1,8a2と、フレキシブル配線板9の上面及を覆う上カバー8a3と、フレキシブル配線板9の下面を覆う下カバー8a4とを有した略箱状形状を有する。挿入ガイド8aは、電極9a,9bとは反対側に開口部8a5を有し、電極9a,9b側に開口部8a6を有する。側壁8a1,8a2は、フレキシブル配線板9の幅方向の両端を覆うように上カバー8a3、下カバー8a4よりも電極9a,9b側に長く伸長している。これにより、挿入ガイド8aは内部に箱型の中空形状を有することとなり、フレキシブル配線板9が挿入ガイド8aの内部に配置された際に、電極9a,9bの露出を可能としている。挿入ガイド8aは、ハウジング5の挿入部51の開口幅よりもわずかに短く形成された幅長(
図3Aにおける左右方向の長さ)を有する。側壁8a1,8a2の高さは、挿入部51の開口部に挿入できるように挿入部51の高さよりも僅かに短い高さで構成されている。側壁8a1,8a2の挿入側の先端は、コネクタ3への挿入を促進するために先細形状となっている。これにより、挿入ガイド8aは、挿入部51の幅方向及び上下方向(高さ方向)の位置決めを容易にし、相手接続体4のコネクタ3への挿入を容易にする。
【0014】
相手挿入部8は、
図1に示すように、上カバー8a3に、コネクタ3のハウジング5に設けられたロック穴5c1と嵌合(1次係止)するための2つの爪部8bを有する。爪部8bがロック穴5c1に嵌合することにより、コネクタ3と相手接続体4との嵌合の位置ずれが防止される。相手挿入部8は、上カバー8a3に、コネクタ3と相手接続体4との嵌合をより確実にするための2次ロック機構8dを有する。相手接続体4は、プリント回路板1が静止状態であるとすると、
図3Bに示すように、相手接続体4をプリント回路板1のコネクタ3に近づく方向(後述する挿入方向Pと同じ方向)に動かし、相手接続体4の相手挿入部8をコネクタ3の挿入部51に挿入させることにより、コネクタ3と相手接続体4とを嵌合させる。側壁8a1,8a2には、先細側の端部とは反対側の端部の近傍に、位置決め部8e(
図1A)が設けられている。位置決め部8eは、フレキシブル配線板9のコネクタ3への挿入の動きを想定以上に基部52(
図3B)側に移動できないように規制する。これにより、例えば、コネクタ3内の端子6やフレキシブル配線板9の破損を防止する。爪部8bとロック穴5c1との嵌合が完了した後に、2次ロック機構8dを挿入方向Pへ押し込むことにより、2次ロック機構8dの両端部に設けられた凸部(不図示)の一部がレバー8cの下に潜り込む。これにより、レバー8cは下方向(下カバー8a4側)に押し込むことができないようになり、したがって、1次係止を解除できなくなり、2次ロック(2次係止)が完了する。この動きにより、ユーザに対し、コネクタ3と相手接続体4とが確実に嵌合されたことを、機能的だけでなく、視覚的及び意識的に認識させることができる。上カバー8a3には、爪部8bと連接して、レバー8c(
図1)が設けられている。2次ロック機構8dを後述する逆挿入方向P’へ動かすことにより、2次係止が解除され、レバー8cは下方方向(下カバー8a4側)に動作可能となる。レバー8cが下方方向に押すことにより、爪部8bも連動して下方し、爪部8bとロック穴5c1との嵌合(1次係止)が解除される。
【0015】
(プリント回路板1)
図4は、プリント回路板1の展開斜視図である。
図4に示すように、プリント回路板1は、プリント配線板2と、相手接続体4が挿入可能なコネクタ3と、を主たる構成要素としている。
【0016】
(プリント配線板2)
プリント配線板2は、例えばガラスエポキシ樹脂を基材とし、上面2aには相手接続体4の電極9a,9bと電気的接続(以下、「通電」ともいう。)ができるようにプリント配線板2の横長方向(
図3における幅長W3の方向。以下、「幅方向W」ともいう。)に複数の電極21A,21Bがそれぞれ配列されている。複数の電極21Aと電極21Bは、互いに対向する位置から幅方向Wにずれて(シフトして)配置されている。これにより、複数の電極21Aと電極21Bは、プリント配線板2の上面2a上に千鳥状の配列構成となっている。プリント配線板2は、コネクタ3の穴部54を介して固定具7の挿入が可能な2つの穴部22を有する。
【0017】
(コネクタ3)
コネクタ3は、
図4に示すように、ハウジング5と、複数の端子6とを主たる構成要素としている。
【0018】
ハウジング5は、例えばABS等の熱可塑性樹脂を基材とする成形品であり、本実施形態では、プリント配線板2の上面2a上に実装されている。本実施形態のハウジング5は、起立した壁である側壁5a,5bと、これらの一部を覆う上面5c及び下面5dと、を有し、
図4では手前側となる挿入部51と、奥側となる基部52とを有した中空の箱形状を形成している。挿入部51は、ハウジング5の一端に設けられ、相手接続体4が挿入可能な幅長W3(
図3A)を有した矩形の開口部を有する。基部52は、挿入部51の開口部から相手接続体4が挿入していく方向(以下、「挿入方向P」ともいう。)へ長さD3離れた位置に、挿入部51の開口部と同じ幅長W3を有した矩形の開口部を有している。ハウジング5は、中空である箱形状の内部に複数の端子6が挿入されており、端子6は、ハウジング5の下面5dに圧入固定されている。端子6の詳細は後述する。
【0019】
ハウジング5は、上面5cの挿入部51側中央付近に、相手挿入部8の爪部8bが嵌合される2つのロック穴5c1を有している。ハウジング5は、
図3に示すように、中空であるハウジング5の内部に、基部52から挿入部51に向かう方向(以下、「逆挿入方向P’」ともいう。)に延伸するように設けられた(以下、単に「延伸する」ともいう。)複数のガイド部53を有する。
図5は、端子6とガイド53との位置関係を説明するための図であって、Aは、
図3Bにおける領域Vを拡大した図であり、Bは、幅方向Wの配置を説明するための挿入部51側から見た模式図である。構造の理解を促進させるために、
図5Aでは、端子6とガイド部53は1つずつ示している。
図5Bでは、2つの端子6(端子6A,6B)と、上下方向に亘る3つのガイド53と、を示している。
図5Bでは、端子6とガイド53とを識別するために、ガイド部53はハッチングを付して示している。
図5に示すように、ガイド53は薄板状の平板であり、横長状態で起立している。ガイド部53には、相手接続体4が挿入可能な切り欠き部53Aが設けられている。複数のガイド部53は、夫々が同様の構成を有しており、
図5Bに示すように、ハウジング5内の幅方向W(
図5Bにおける左右方向)に、ガイド部53と端子6とが交互となるように配置されている。
【0020】
(端子6)
複数の端子6は、
図4に示すように、コネクタ3の幅方向Wに配列され、電極21Aと導通する複数の端子6Aと、コネクタ3の幅方向Wに配列され、電極21Bと導通する複数の端子6Bとから構成されている。
図6は、端子6の斜視図である。
図6では、複数の端子6として、6つのみを図示し、他の端子6を不図示としている。コネクタ3は、電極21A,21Bの総数と同数の端子6を有する。複数の端子6は、ハウジング5の幅方向Wに端子6Aと端子6Bとが交互に配置されている。
【0021】
(端子6A)
図7は、端子6Aの構成を説明するために形式上の領域を定義した図であって、Aは端子6A全体を構成する要素、Bは接触部61を構成する要素、Cは固定部62を構成する要素、Dは延伸部63を構成する要素、Eは接続部64を構成する要素、Fは第1腕部66を構成する要素を示した図である。
図8は、端子6Aを説明するための図であって、Aは斜視図、Bは平面図である。端子6Aは、
図7Aに示すように、接触部61と、固定部62と、延伸部63と、接続部64とから構成され、互いが連接して、例えば打ち抜き加工によって一体として形成された薄板形状を有している。端子6Aは、例えば銅などの導電性材料を基材としている。
【0022】
接触部61は、
図7Bに示すように、プリント配線板2上の電極21Aと電気的に接合する接合部61aと、接合部61aの一端から逆挿入方向P’(
図7Bにおける右方向)の上方に延伸して接触部61の長さを調整する脚部61bと、脚部61bの延伸の幅長よりも長い所定の高さを有しつつ脚部61bから逆挿入方向P’に延伸する接触端部61cと、から構成されている。
【0023】
固定部62は、
図7Cに示すように、接触部61と連接する薄板状の平板であり、端子6をハウジング5と固定する。固定部62は、固定基部62aと、固定延設部62bとから構成されている。固定基部62aは、略四角形の平板形状を有し、挿入方向P側(
図7Cにおける左側)が接触端部61cと連接し、下端に、ハウジング5の基部52に圧入固定される固定端62a1(
図8B参照)を有する。固定延設部62bは、固定基部62aの上面5c側から、固定基部62aの幅よりも短い幅を有して上面5c側に延伸する略長方形平板を形成している。
【0024】
延伸部63は、
図7Dに示すように、固定部62と連接する薄板状の平板であり、フレキシブル配線板9の挿入により生ずる接続部64への加圧を調整する。延伸部63は、延伸基部63aと、その両端部に設けられた延伸端部63b,63cとを有する。延伸部63は、延伸端部63bが固定部62の固定延設部62bの一端と連接して逆挿入方向P’に延伸する。延伸基部63aは、延伸端部63bの他端から所定長さで下面5dの方向(
図7Dにおける下方方向)に延伸している。延伸端部63cは、延伸基部63aの下面5d側の端部から逆挿入方向P’に所定長さ延伸している。本実施形態では、延伸部63において、延伸基部63aと延伸端部63bとにより延伸の向きが変わった部分の領域を「屈曲部63X」ということとする。また、延伸基部63aと延伸端部63cとにより延伸の向きが変わった部分の領域を「屈曲部63Y」ということとする。延伸部63は、接続部64と連接している。延伸部63は、接続部64に相手接続体4のフレキシブル配線板9が挿入された場合に、以下のように変位する。挿入方向Pの力に対しては、屈曲部63Xを支点として延伸基部63aが回転し(
図8Bにおける時計回り方向に変位し)、この動きに連動して屈曲部63Y及び延伸端部63cが挿入方向P(基部52に近づく方向)に変位し、これに併せて接続部64も変位する。挿入方向P及び幅方向Wの双方に略直交に交差する方向(
図8Bにおける上下方向。以下、「交差方向I」ともいう。)の力に対しては、屈曲部63Yを支点として延伸端部63cが回転する。即ち、交差方向Iの力が上方側(上面5c側)の場合は
図8Bにおける反時計回りに変位し、交差方向Iの力が下方側(下面5d側)の場合は時計回りに変位する。これに併せて接続部64も変位する。したがって、延伸部63は、屈曲部63X,63Yによるばね力により、フレキシブル配線板9による接続部64への加圧を調整する。屈曲部63X,63Yは、例えば、端子6のハウジング5への圧入姿勢によるズレや、端子の製造誤差などによる接点位置および角度ずれに対応することが可能となり、フレキシブル配線板9の接続部64への挿入における挿入力低減を図ることができ、破損防止による信頼性向上に寄与する。
【0025】
接続部64は、一端が延伸部63の延伸端部63cと連接し、他端が逆挿入方向P’に延伸する薄板形状を有する。接続部64は、後述するように、相手接続体4がコネクタ3へ挿入されることにより、相手接続体4と導通可能となるように構成されている。
【0026】
(接続部64)
接続部64は、
図7Eに示すように、接続基部65と、第1腕部66と、第2腕部67とから構成されている。
【0027】
接続基部65は、延伸部63の延伸端部63cから交差方向Iに延伸して略長方形の平板を形成する。
【0028】
第1腕部66は、
図7Fに示すように、主腕部66aと、支持部66bと、副腕部66cとから構成されている。主腕部66aは、接続基部65の交差方向Iの上面5c側から、逆挿入方向P’に直線状に延伸して細長平板を形成する。主腕部66aは、延伸方向に向かうに従い、先細となる形状を有している。支持部66bは、主腕部66aの延伸側の所定位置(
図7Fでは、主腕部66aの端部としているが、端部に限られない。)から交差方向Iの第2腕部67側(下面5d側)に、第1腕部66の延伸長さと比して、わずかの長さで延伸し、副腕部66cのシーソー挙動の支点となる。副腕部66cは、
図7Fに示すように、支持部66bの延伸側の端部から逆挿入方向P’側に延伸する第1副腕部66Aと、支持部66bの延伸側の端部から挿入方向Pに延伸する第2副腕部66Bと、から構成されている。第1副腕部66Aにおける延伸の長さLA(
図8)は、第2副腕部66Bにおける延伸の長さLBより短く構成されている。これにより、第1副腕部66Aよりも第2副腕部66Bの方が、ばね定数が低くなり、フレキシブル配線板9が挿入した際に、第2副腕部66Bの方が第1副腕部66Aよりも、変位量が大きくなる。これによりフレキシブル配線板9の相手接続体4への挿入力の低減を可能としている。
【0029】
第1副腕部66Aは、
図8に示すように、交差方向Iの第2腕部67側(下面5d側)に突出する第1接点部66Apを有する。第1接点部66Apは、相手接続体4がコネクタ3に挿入されることにより、フレキシブル配線板9の電極と電気的に接続可能となるように構成されている。第1副腕部66Aは、挿入部51側の端部から、交差方向Iの第1腕部66側(上面5c側)に突出する第1突出部66Aoを有する。第1突出部66Aoは、少なくともその一部が、隣り合うガイド53と対向しており、所定の間隙を有して幅方向Wにおいて重なり合っている(
図5)。これにより、第1突出部66Aoの幅方向Wへの動きが規制される。第1突出部66Aoの突出側の端部の先端位置は、第1腕部66の交差方向Iにおける上面5c側の位置よりも、長さt1だけ副腕部66c側(下面5d側)に位置している(
図7E)。第1腕部66は、ばね性を有するため、フレキシブル配線板9の挿入により、交差方向Iに移動する。第1腕部66に対して、上方方向(上面5c方向)への力が生じた場合、第1腕部66は上方方向(上面5c方向)に移動する。第1腕部66が、第1突出部66Aoよりも、長さt1だけ上面5c側にあることにより、副腕部66cによるシーソー動作を可能とするクリアランスとして機能する。第1副腕部66Aの延伸側の端部は、第1接点部66Apを起点に逆挿入方向P’に向かうに従い、交差方向Iの第1腕部66側(上面5c側)に傾く勾配部66Asを有する。
【0030】
第2副腕部66Bは、
図8に示すように、交差方向Iの第2腕部67側(下面5d側)に突出する第2接点部66Bpを有する。第2接点部66Bpは、相手接続体4がコネクタ3に挿入されることにより、フレキシブル配線板9の電極と電気的に接続可能となるように構成されている。第2副腕部66Bは、延伸側(基部52側)の端部から、第1腕部66(上面5c側)に向けて突出する第2突出部66Boを有する。第2突出部66Boは、少なくともその一部が、隣り合うガイド部53と対向しており、所定の間隙を有して幅方向Wにおいて重なり合っている(
図5)。これにより、第2突出部66Boの幅方向Wへの動きが規制される。第2突出部66Boと第1腕部66とは、略直交に交差する方向に所定の距離だけ離れて位置している。第1腕部66には、
図8に示すように、第2突出部66Boとの接触を回避するために、第2突出部66Boと対向する位置に窪み部66Hが設けられている。第2副腕部66Bの延伸側(基部52側)の端部は、第2接点部66Bpを起点に逆挿入方向P’に向かうに従い、交差方向Iの第1腕部66側(上面5c側)に傾く勾配部66Bsを有する。
【0031】
第2腕部67は、接続基部65の交差方向Iの下方側(下面5d側)から、逆挿入方向P’側に延伸して細長平板を形成する。第2腕部67は、先細形状を有し、延伸方向の途中の位置までは、逆挿入方向P’方向に延伸し、それよりも延伸側は、逆挿入方向P’へ延伸するに従い、先端が上面5c側に傾くように延伸している。これにより、第2腕部67のばね定数を高めている。なお、第1腕部66は、直線状の主腕部66aと、支持部66b及び副腕部66cによるシーソー構造を有しており、第2腕部67よりもばね定数が低く抑えられている。接続基部65は、延伸端部63c側(
図8Bにおける左側)の端部が延伸端部63cと連接する。この連接の位置は、接続基部65における交差方向Iの上方側(上面5c側)の端部と下方側(下面5d側)の端部と間の所定の位置となっている。
図8では、この位置は中央部に設けているが、これに限定されない。
【0032】
第2腕部67は、
図8Bに示すように、延伸側に押圧部67pを有する。押圧部67pは、副腕部66cにおける、第1接点部66Apと、第2接点部66Bpとの間の所定の位置に向けて突出する。本実施形態における押圧部67pは、第2副腕部66Bのいずれかの部分(G)と対向して位置する。好ましくはこのGの位置は、副腕部66cなどによるシーソー構造や、後述するLApやLBpの長さ(
図7F)や、押圧部67pの位置をも参酌しながら、第1接点部66Apと、第2接点部66Bpとに働くモーメントが釣り合うように決定する。この位置関係により、たとえ、フレキシブル配線板9にこじりが生じて、第1接点部66Apとフレキシブル配線板9の電極とが離間する力が働いた場合であっても、第2接点部66Bpとフレキシブル配線板9の電極との間では、押し付けられる力が働くことになり(接触圧が確保され)、端子6とフレキシブル配線板9との電気的接触が良好に保たれる。Gの位置としては、例えば、第1接点部66Apと第2接点部66Bpとの間の中央の位置よりも、第2接点部66Bp側の位置に設定することなどが考えられる。押圧部67pは、挿入された相手接続体4のフレキシブル配線板9を押圧する。第2腕部67の挿入部51側の端部は、押圧部67pを起点に挿入部51側(逆挿入方向P’側)に向かうに従い、副腕部66cから離れる方向(下面5d側)に傾斜する勾配部67sを有し、少なくとも該端部の一部は、隣り合うガイド部53と対向しており、所定の間隙を有して幅方向Wにおいて重なり合っている(
図5)。これにより、第2腕部67の挿入部51側の端部の幅方向Wへの動きが規制される。押圧部67pと第1接点部66Apとは、交差方向Iに長さt2離れており、押圧部67pと第2接点部66Bpとは、交差方向Iに長さt3離れている(
図7E)。本実施形態では、t2及びt3は、フレキシブル配線板9の挿入を可能とし、押圧部67pによる押圧力、及び、第1接点部66Apと第2接点部66Bpによるフレキシブル配線板9との接触圧を適切に確保すべく、フレキシブル配線板9の厚さよりも僅かに短く確保されている。但し、t2及びt3は、これに限られず、フレキシブル配線板9との接触圧を高めるためであれば他の長さとして設定してもよい。この場合、例えば、t2及びt3は、0(ゼロ)やマイナスとなるように構成してもよい。
【0033】
(端子6B)
図9は、端子6Bを説明するための図であって、Aは斜視図、Bは平面図である。端子6Bは、
図9に示すように、接触部61Bと、固定部62と、延伸部63と、接続部64Bとから構成されている。
【0034】
接触部61Bは、接触部61(
図7B)における脚部61bと接触端部61cに相当する部分は有しておらず、接合部61aに類似する形状から構成され、プリント配線板2上の電極21Bと電気的に接合する。
【0035】
端子6Bの固定部62及び延伸部63は、端子6Aの固定部62及び延伸部63と同一の形状を有する。
【0036】
接続部64Bは、端子6Aの接続部64における構成と同一の構成を有する。但し、接続部64Bは、端子6Aの接続部64と同一の形状を有した状態において、挿入方向Pを軸として反転(180度回転)させた状態で端子6Bの延伸部63と連接して構成されている。この反転により、端子6Bでは上面5c側に押圧部67pを有し、下面5d側に第1接点部66Apと第2接点部66Bpを有する構成となっている。
【0037】
端子6がハウジング5内に挿入されて圧入固定されることにより、コネクタ3の組み立てが完了する。コネクタ3は、各端子6Aにおいて、第1接点部66Apの夫々は、幅方向Wに対して重なる位置に配列されており、第2接点部66Bpの夫々は、幅方向Wに対して重なる位置に配列されており、押圧部67pの夫々は、幅方向Wに対して重なる位置に配列されている。コネクタ3は、各端子6Bにおいて、第1接点部66Apの夫々は、幅方向Wに対して重なる位置に配列されており、第2接点部66Bpの夫々は、幅方向Wに対して重なる位置に配列されており、押圧部67pの夫々は、幅方向Wに対して重なる位置に配列されている。
【0038】
(コネクタ3のプリント配線板2への実装)
コネクタ3をプリント配線板2上に実装してプリント回路板1を得る工程は、例えば以下のステップで行われる(
図4参照)。プリント配線板2の電極21A,21Bにはんだペーストを塗布する。コネクタ3の端子6Aとフレキシブル配線板9の電極21Aとを対向させ、コネクタ3の端子6Bとフレキシブル配線板9の電極21Bとを対向させ、ハウジング5の穴部54とプリント配線板2の穴部22とを位置合わせする。上方(上面5c)から固定具7を挿入してプリント配線板2とコネクタ3とを固定させる。この状態でリフロー炉等を使用して加熱処理を施して、端子6とプリント配線板2との電気的接合を完了して、プリント回路板1が得られる。
【0039】
(相手接続体4のコネクタ3への挿入)
図10は、
図5Aにおいて相手接続体4が挿入された場合の図である。理解を促進するために、
図10では、
図5Aに対してフレキシブル配線板9のイメージ図のみを追加して図示している。コネクタ3を有するプリント回路板1を固定(静止状態)とし、ここに相手接続体4を挿入方向P方向に移動させることにより挿入する場合(
図3Bに示す場合)を例にとり説明する。既述の通り、相手挿入部8の側壁8a1の高さは、挿入部51の高さよりも僅かに短く構成されおり、フレキシブル配線板9の先端は、交差方向Iにおいて、ちょうど第1接点部66Apと押圧部67pとの間の位置に誘導されるように挿入される。仮に、フレキシブル配線板9の先端のいずれかの部分が交差方向Iにおいて、第1接点部66Apと押圧部67pとの間よりもわずかに上方側(上面5c側)あるいは、下方側(下面5d側)に挿入された場合には、フレキシブル配線板9は勾配部(勾配部66As,勾配部67s,勾配部66Bs)を有することから、以下のような挙動となる。フレキシブル配線板9の先端が勾配部66Asと接触する場合、フレキシブル配線版9の先端が、端子6Aと接触する場合は第1腕部66が上方側(上面5c側)に移動し、端子6Bと接触する場合は第1腕部66が下方側(下面5d側)に移動することになる。同時に第2接点部66Bpが第1腕部66から離れるように副腕部66cが傾く(換言すれば、第1接点部66Apが第1腕部66に近づくように副腕部66cが傾く)。フレキシブル配線板9が更に挿入方向P側に挿入され、フレキシブル配線板9の先端が勾配部67sと接触する場合、フレキシブル配線版9の先端が、端子6Aと接触する場合は第2腕部67が下方側(下面5d側)に移動し、端子6Bと接触する場合は第2腕部67が上方側(上面5c側)に移動することになる。フレキシブル配線板9が更に挿入方向P側に挿入され、フレキシブル配線板9の先端が勾配部66Bsと接触する場合、第2接点部66Bpが第1腕部66に近づくように副腕部66cが傾く(換言すれば、第1接点部66Apが第1腕部66から離れるように副腕部66cが傾く)。つまり、フレキシブル配線板9の端子6への挿入時に、端子6の座屈現象が発生しにくい構造となっている。
【0040】
上述した動きにより、
図10に示すように、フレキシブル配線板9の先端は安定的に接続基部65の近傍まで挿入される。ハウジング5のロック穴5c1と相手挿入部8の爪部8bとの間のロック機構や、位置決め部8eによる挿入方向Pへの移動規制を受けて、所定の位置への相手接続体4によるコネクタ3への挿入移動が完了する。2次ロック機構8dを挿入方向Pへ移動させることにより、2次係止を機能させて、相手接続体4の挿入が完了する。
【0041】
本実施形態によるコネクタ3によれば、副腕部66cと第2腕部67との間に相手接続体4が挿入されると、相手接続体4は押圧部67pにより押圧される。これにより、電極9a,9bのそれぞれが、対向する第1接点部66Apと第2接点部66Bpとに接触して押圧力の反力が生ずる。フレキシブル配線板9は、例えば、配線9Aと電極9aなど、1つの配線と電極に注目すれば、一方の面が第1接点部66Apと第2接点部66Bpとにより支持され、他方の面が押圧部67pにより押圧された両端支持はりの構成となる。即ち、押圧部67pが、第1接点部66Apもしくは第2接点部66Bpと対向する位置に設けられていないことから、押圧部67pによる押圧力が一方の接点部に集中してしまうことがない。したがって、フレキシブル配線板9の挿入力の低減を可能としている。これにより、フレキシブル配線板9の損傷を低減でき、第1接点部66Apと電極9aとの接続、及び第2接点部66Bpと9bとの接続の信頼性が高まる。
【0042】
第1腕部66は、支持部66b及び副腕部66cによる、いわゆるシーソー構造を有し、第2腕部67よりもばね定数が低く抑えられている。これは、フレキシブル配線板9の挿入により、第2腕部67側よりも第1腕部66側(副腕部66c側)への変位が大きくなり、このシーソー構造によっても、フレキシブル配線板9における挿入力が低減でき、フレキシブル配線板9の損傷を防止できる。
【0043】
シーソー構造の採用は、接続の信頼性を高める。即ち、第1接点部66Apに掛かる押圧力と、支持部66bから第1接点部66Apまでの長さLAp(
図7F)とによって生じるモーメントと、第2接点部66Bpに掛かる押圧力と、支持部66bから第2接点部66Bpまでの長さLBp(
図7F)とによって生じるモーメントとがつりあう。この場合、仮に、第1接点部66Apと第2接点部66Bpの内、一方の接点部との導通が不十分な場合が生じたとしても、もう一方の接点部による導通が可能であることから、相手接続体4との接続の信頼性向上が見込まれる。
【0044】
第2腕部67の構造により、押圧部67pによる適正な押圧力を確保することにより、第1接点部66Ap,第2接点部66Bpへの接続信頼性は確保できる。したがって、フレキシブル配線板9の電極9a,9bへの接続を確保するために、別途、押圧力を確保するための部品を設ける必要もない。
【0045】
端子6Aと端子6Bが交互に並ぶことにより、幅方向Wから見てフレキシブル配線板9を押圧する方向が上側、下側と交互になされることにより、フレキシブル配線板9にあおりなどの力が作用した場合でも良好な接触が維持される。
【0046】
以上、本開示による実施形態を説明した。上述の構成とすることにより、複数の端子6の各接続部64は、相手接続体4が、挿入部51を介して、夫々の第1腕部66と第2腕部67との間に挿入された場合に、押圧部67pが相手接続体4を押圧し、第1接点部66Apと、第2接点部66Bpと、の内、少なくとも一方の接点部が相手接続体4と導通する。これにより、安定的な接続を実現できる。
【0047】
[変形例]
図11は、複数の端子6を、同一形状に統一して構成した場合の斜視図である。本実施形態のコネクタ3は、
図6で示した端子6Aと端子6Bとから構成される複数の端子6の代わりに、
図11に示したように、一方の端子(
図11では端子6B)のみで構成した複数の端子6’を用いてもよい。この場合、相手接続体4は、
図2における配線9A,B、電極9a,9bの内、例えば配線9Bと電極9bが搭載された相手接続体4を準備する。即ち、一方の面のみに配線と電極が設けられたフレキシブル配線板(図示せぬフレキシブル配線板9’)を備えた相手接続体4を準備する。この場合であっても、相手接続体4は、第1接点部66Ap、第2接点部66Bpを支点とし、押圧部67pによる加圧により、上述した両端支持はりと同様のモーメントのつり合い効果により、相手接続体4には少なくとも第1接点部66Apと第2接点部66Bpとの一方に導通可能な十分な押圧力による反力が生じ、相手接続体4との導通を可能とする。この場合、仮に、第1接点部66Apと第2接点部66Bpの内、一方の接点部との導通が不十分な場合が生じたとしても、もう一方の接点部による導通が可能であることから、相手接続体4との接続の信頼性向上が見込まれる。
【0048】
以上、本開示の実施形態および変形例について説明した。本実施形態における端子6の数は、端子6Aと端子6Bとが同数(それぞれ23個)の場合を例にして説明したが、これらはあくまで一例であり、全体の端子6の枚数は、フレキシブル配線板9の配線との兼ね合いで変更してもよい。また、端子6Aと端子6Bとの数は必ずしも同数である必要はなく、フレキシブル配線板9のレイアウトにより適宜調整してもよい。本実施形態はフレキシブル配線板9がプリント回路板1と略水平に配線される場合を例に説明したが、フレキシブル配線板9がプリント回路板1に対し略垂直に配線される場合はハウジング5がプリント回路板1に略垂直に実装されていても良い。その他、本実施形態で説明した、プリント回路板や、相手接続体は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0049】
1 プリント回路板 2 プリント配線板
2a 上面 2b 下面
21A,21B 電極 22 穴部
3 コネクタ 4 相手接続体
5 ハウジング 5a,5b 側壁
5c 上面 5c1 ロック穴
5d 下面 51 挿入部
52 基部 53 ガイド部
53A 切り欠き部 54 穴部
6,6A,6B 端子 61,61B 接触部
62 固定部 62a 固定基部
62b 固定延設部 62a1,62a2 端部
63 延伸部 63a 延伸基部
63b,63c 延伸端部 63X,63Y 屈曲部
64,64B 接続部 65 接続基部
66 第1腕部 66a 主腕部
66A 第1副腕部 66Ap 第1接点部
66As 勾配部 66Ao 第1突出部
66b 支持部 66B 第2副腕部
66Bp 第2接点部 66Bs 勾配部
66Bo 第2突出部 66c 副腕部
66H 窪み部 67 第2腕部
67p 押圧部 67s 勾配部
7 固定具 8 相手挿入部
8a 挿入ガイド 8a1,8a2 側壁
8a3 上カバー 8a4 下カバー
8a5,8a6 開口部 8b 爪部
8c レバー 8d 2次ロック機構
8e 位置決め部 9,9’ フレキシブル配線板
9a,9b 電極 9A,9B 配線
91A 第1層 91B 第2層
9C,9D 絶縁層
D3,LA,LAp,LB,LBp,t1,t2,t3,W3 長さ
I 交差方向 P 挿入方向
P’ 逆挿入方向 W 幅方向