(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176265
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】露光装置、及び物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094701
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】田實 慎也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆行
(72)【発明者】
【氏名】木村 仁
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剛
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA10
2H197AB02
2H197CD15
2H197DB05
2H197DC02
2H197DC14
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
(57)【要約】
【課題】繋ぎ領域における露光量のばらつきを抑制しつつスループットの低下を抑制することができる露光装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る露光装置は、原版及び基板を走査方向に走査しながら原版のパターンの像を基板の基板面上に投影し、基板を露光する露光装置であって、基板に対して繋ぎ露光を行う際に基板の基板面上の繋ぎ領域内の少なくとも一つの位置における露光量の計測結果と、第1のトレランス値とを互いに比較することによって、非走査方向に配列される第1の非繋ぎ領域と繋ぎ領域とを含む第1の露光領域、及び非走査方向に配列される繋ぎ領域と第2の非繋ぎ領域とを含む第2の露光領域を露光するか判定する制御部を備え、少なくとも一つの位置は、第1の非繋ぎ領域及び第2の非繋ぎ領域における露光量の計測結果から決定される第2のトレランス値と、繋ぎ領域における露光量の計測結果とを互いに比較することで決定されることを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原版及び基板を走査方向に走査しながら前記原版のパターンの像を前記基板の基板面上に投影し、前記基板を露光する露光装置であって、
前記基板を保持しながら前記走査方向と前記基板面内において前記走査方向に垂直な非走査方向とに移動可能な基板ステージと、
該基板ステージによって保持されている前記基板の前記基板面上の所定の位置における露光量を計測する計測部と、
前記露光を制御する制御部と、
を備え、
前記基板面上の第1の露光領域は、前記非走査方向に配列される第1の非繋ぎ領域と第1の繋ぎ領域とを含み、
前記基板面上の第2の露光領域は、前記非走査方向に配列される前記第1の繋ぎ領域に重なる第2の繋ぎ領域と第2の非繋ぎ領域とを含み、
前記制御部は、前記第1の繋ぎ領域及び前記第2の繋ぎ領域内の少なくとも一つの位置における前記計測部による前記露光量の計測結果と、第1のトレランス値とを互いに比較することによって前記第1の露光領域及び前記第2の露光領域を露光するか判定する判定工程を行い、
前記少なくとも一つの位置は、前記第1の非繋ぎ領域及び前記第2の非繋ぎ領域における前記計測部による前記露光量の計測結果から決定される第2のトレランス値と、前記第1の繋ぎ領域及び前記第2の繋ぎ領域における前記計測部による前記露光量の計測結果とを互いに比較することで決定されることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記第2のトレランス値は、前記第1の露光領域を露光する際の前記露光装置の第1の構成において前記基板ステージ上の前記第1の露光領域に対応する第1の領域を露光させる第1の露光の間に前記第1の領域において計測される前記露光量を積算することによって取得される積算露光量と、前記第2の露光領域を露光する際の前記露光装置の第2の構成において前記基板ステージ上の前記第2の露光領域に対応する第2の領域を露光させる第2の露光の際に前記第2の領域において取得される前記積算露光量とのうち、前記第1の非繋ぎ領域及び前記第2の非繋ぎ領域に対応する第3の領域において取得される前記積算露光量の最大値である第2のプラス側トレランス値と、前記第3の領域において取得される前記積算露光量の最小値である第2のマイナス側トレランス値とを含むことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの位置は、前記非走査方向において互いに連続すると共に、それぞれにおける合算積算露光量が前記第2のプラス側トレランス値を上回る複数の位置のうち該合算積算露光量が最も大きい位置と、前記非走査方向において互いに連続すると共に、それぞれにおける前記合算積算露光量が前記第2のマイナス側トレランス値を下回る複数の位置のうち該合算積算露光量が最も小さい位置とを含み、
前記合算積算露光量は、前記第1の露光の際に取得される第1の積算露光量と、前記第2の露光の際に取得される第2の積算露光量とを合算することで取得されることを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記判定工程は、
前記第1の構成において前記少なくとも一つの位置を露光させる第3の露光を行うことで前記少なくとも一つの位置における第1の積算露光量を取得する工程と、
前記第2の構成において前記少なくとも一つの位置を露光させる第4の露光を行うことで前記少なくとも一つの位置における第2の積算露光量を取得する工程と、
前記少なくとも一つの位置における前記第1の積算露光量及び前記第2の積算露光量の合算積算露光量と前記第1のトレランス値とを互いに比較する工程とを含むことを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項5】
前記第1のトレランス値は、前記露光装置の露光性能に基づいて決定されると共に、前記第2のプラス側トレランス値より大きい第1のプラス側トレランス値と、前記露光性能に基づいて決定されると共に、前記第2のマイナス側トレランス値より小さい第1のマイナス側トレランス値とを含み、
前記判定工程は、前記少なくとも一つの位置における前記合算積算露光量が前記第1のプラス側トレランス値以下であり、且つ前記第1のマイナス側トレランス値以上である場合に前記制御部によって前記第1の露光領域及び前記第2の露光領域を露光させる工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記判定工程は、前記少なくとも一つの位置における前記合算積算露光量が前記第1のプラス側トレランス値を上回っているか、若しくは前記第1のマイナス側トレランス値を下回っている場合に前記露光装置の構成を調整する調整工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
前記調整工程は、前記第1の繋ぎ領域及び前記第2の繋ぎ領域に対応する第4の領域内の複数の位置それぞれにおける前記合算積算露光量の最大値と前記第3の領域における前記積算露光量の平均値との間の差の絶対値、及び前記複数の位置それぞれにおける前記合算積算露光量の最小値と該平均値との間の差の絶対値が小さくなるように前記露光装置の構成を調整する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記複数の位置は、前記少なくとも一つの位置であることを特徴とする請求項7に記載の露光装置。
【請求項9】
前記判定工程は、前記第1の露光領域を露光する際の前記露光装置の第1の構成において前記基板ステージ上の前記第1の露光領域に対応する第1の領域を露光させる第1の露光の間に前記第1の繋ぎ領域及び前記第2の繋ぎ領域に対応する第4の領域において計測される前記露光量を積算することによって取得される第1の積算露光量と、前記第2の露光領域を露光する際の前記露光装置の第2の構成において前記基板ステージ上の前記第2の露光領域に対応する第2の領域を露光させる第2の露光の際に前記第4の領域において取得される第2の積算露光量との合算積算露光量と、前記第2のトレランス値とを互いに比較することで前記少なくとも一つの位置を決定する決定工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項10】
前記第2のトレランス値は、前記第1の露光の際に前記第1の領域において取得される前記積算露光量と、前記第2の露光の際に前記第2の領域において取得される前記積算露光量とのうち、前記第1の非繋ぎ領域及び前記第2の非繋ぎ領域に対応する第3の領域において取得される前記積算露光量の最大値である第2のプラス側トレランス値と、前記第3の領域において取得される前記積算露光量の最小値である第2のマイナス側トレランス値とを含み、
前記決定工程は、前記第4の領域内において、前記非走査方向に互いに連続すると共に、それぞれにおける前記合算積算露光量が前記第2のプラス側トレランス値を上回る複数の位置のうち前記合算積算露光量が最も大きい位置と、前記非走査方向に互いに連続すると共に、それぞれにおける前記合算積算露光量が前記第2のマイナス側トレランス値を下回る複数の位置のうち前記合算積算露光量が最も小さい位置とを決定する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の露光装置。
【請求項11】
前記決定工程は、
前記第1の露光及び前記第2の露光を行う工程と、
前記第1の領域における前記積算露光量及び前記第2の領域における前記積算露光量を取得する工程と、
前記第4の領域における前記合算積算露光量を取得する工程と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の露光装置。
【請求項12】
前記決定工程は、前記第2のプラス側トレランス値及び前記第2のマイナス側トレランス値をそれぞれ、前記第3の領域における前記積算露光量の最大値及び最小値として決定する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の露光装置。
【請求項13】
前記決定工程は、
前記合算積算露光量が前記第2のプラス側トレランス値を上回る第1の位置が検出されるか判定する工程と、
該第1の位置が検出されないと判定された際に、前記第4の領域における前記露光量が増大するように前記第1の構成及び前記第2の構成を調整する工程と、
該調整された第1の構成において前記第1の露光を行うことで前記第4の領域における前記第1の積算露光量を取得する工程と、
該調整された第2の構成において前記第2の露光を行うことで前記第4の領域における前記第2の積算露光量を取得する工程と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の露光装置。
【請求項14】
前記決定工程は、
前記合算積算露光量が前記第2のマイナス側トレランス値を下回る第2の位置が検出されるか判定する工程と、
該第2の位置が検出されないと判定された際に、前記第4の領域における前記露光量が減少するように前記第1の構成及び前記第2の構成を調整する工程と、
該調整された第1の構成において前記第1の露光を行うことで前記第4の領域における前記第1の積算露光量を取得する工程と、
該調整された第2の構成において前記第2の露光を行うことで前記第4の領域における前記第2の積算露光量を取得する工程と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の露光装置。
【請求項15】
光を射出する光源と、該光源からの前記光が通過する開口が形成されている遮光部とを含み、露光光を前記原版に導光する照明光学系を備え、
前記決定工程は、前記決定された少なくとも一つの位置と、前記光源の種類、前記光源のモード及び前記非走査方向における前記開口に対する前記第4の領域の相対位置のうち少なくとも一つとを互いに対応付けて前記制御部によって記憶させる工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の露光装置。
【請求項16】
前記非走査方向に移動することによって露光光の少なくとも一部を遮光することで、前記第1の繋ぎ領域及び前記第2の繋ぎ領域における前記露光量を調整する露光量調整部を含み、前記原版を通過した前記露光光を前記基板に導光する投影光学系を備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の露光装置によって基板を露光する工程と、
露光された前記基板を現像する工程と、
を含むことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項18】
基板を保持しながら該基板の基板面に平行な走査方向と該基板面内において該走査方向に垂直な非走査方向とに移動可能な基板ステージと、該基板ステージによって保持されている前記基板の前記基板面上の所定の位置における露光量を計測する計測部とを備える露光装置において原版及び前記基板を前記走査方向に走査しながら前記原版のパターンの像を前記基板面上に投影し、前記基板を露光する露光方法であって、
前記基板面上の第1の露光領域は、前記非走査方向に配列される第1の非繋ぎ領域と第1の繋ぎ領域とを含み、
前記基板面上の第2の露光領域は、前記非走査方向に配列される前記第1の繋ぎ領域に重なる第2の繋ぎ領域と第2の非繋ぎ領域とを含み、
前記露光方法は、前記第1の繋ぎ領域及び前記第2の繋ぎ領域内の少なくとも一つの位置における前記計測部による前記露光量の計測結果と、第1のトレランス値とを互いに比較することによって前記第1の露光領域及び前記第2の露光領域を露光するか判定する判定工程を含み、
前記少なくとも一つの位置は、前記第1の非繋ぎ領域及び前記第2の非繋ぎ領域における前記計測部による前記露光量の計測結果から決定される第2のトレランス値と、前記第1の繋ぎ領域及び前記第2の繋ぎ領域における前記計測部による前記露光量の計測結果とを互いに比較することで決定されることを特徴とする露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、及び物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、露光装置においては基板上の隣接する露光領域を互いに部分的に重複させながら複数の当該露光領域それぞれに対して露光を行うことで、当該基板上の大きい領域にパターンを形成する、いわゆる繋ぎ露光が行われている。
そしてそのような繋ぎ露光を行う際には、隣接する露光領域において重複することで形成される繋ぎ領域における露光量のばらつきを抑制することが求められる。
【0003】
特許文献1は、照明光学系と原版との間に設けられた露光光が通過する可変スリットの開口の形状を調整することで、繋ぎ領域における露光量のばらつきを抑制する露光装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、露光装置において繋ぎ露光を行う際に繋ぎ領域における露光量のばらつきを抑制するためには、当該繋ぎ領域における当該露光量を計測する必要がある。
このとき、繋ぎ領域内の多数の位置において露光量の計測を行うと当該計測に要する時間が増大することでスループットが低下してしまう。
【0006】
そこで本発明は、繋ぎ領域における露光量のばらつきを抑制しつつスループットの低下を抑制することができる露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る露光装置は、原版及び基板を走査方向に走査しながら原版のパターンの像を基板の基板面上に投影し、基板を露光する露光装置であって、基板を保持しながら走査方向と基板面内において走査方向に垂直な非走査方向とに移動可能な基板ステージと、基板ステージによって保持されている基板の基板面上の所定の位置における露光量を計測する計測部と、露光を制御する制御部とを備え、基板面上の第1の露光領域は、非走査方向に配列される第1の非繋ぎ領域と第1の繋ぎ領域とを含み、基板面上の第2の露光領域は、非走査方向に配列される第1の繋ぎ領域に重なる第2の繋ぎ領域と第2の非繋ぎ領域とを含み、制御部は、第1の繋ぎ領域及び第2の繋ぎ領域内の少なくとも一つの位置における計測部による露光量の計測結果と、第1のトレランス値とを互いに比較することによって第1の露光領域及び第2の露光領域を露光するか判定する判定工程を行い、少なくとも一つの位置は、第1の非繋ぎ領域及び第2の非繋ぎ領域における計測部による露光量の計測結果から決定される第2のトレランス値と、第1の繋ぎ領域及び第2の繋ぎ領域における計測部による露光量の計測結果とを互いに比較することで決定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、繋ぎ領域における露光量のばらつきを抑制しつつスループットの低下を抑制することができる露光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態に係る露光装置の模式的断面図。
【
図2】第一実施形態に係る露光装置において行われる繋ぎ露光を説明する上面図。
【
図3】第一実施形態に係る露光装置での繋ぎ露光による積算露光量及び合算積算露光量の非走査方向位置依存性を示した図。
【
図4】第一実施形態に係る露光装置において繋ぎ露光を行う際の可変スリット及び露光量調整板と露光領域との間の配置関係を示す上面図。
【
図5】第一実施形態に係る露光装置での繋ぎ露光による合算積算露光量の非走査方向位置依存性を示した図。
【
図6】第一実施形態に係る露光装置において繋ぎ領域の露光量を調整するか判定する処理、及び当該判定する処理の際に積算露光量が計測される特徴点を決定する処理を示すフローチャート。
【
図7】第二実施形態に係る露光装置での繋ぎ露光による合算積算露光量の非走査方向位置依存性を示した図。
【
図8】第二実施形態に係る露光装置において繋ぎ領域の露光量を調整するか判定する際に積算露光量が計測される特徴点を決定する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本実施形態に係る露光装置を添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお以下に示す図面は、本実施形態を容易に理解できるようにするために、実際とは異なる縮尺で描かれている。
また以下では、投影光学系4の光軸に平行な方向をZ方向とする。また当該Z方向に垂直な断面内(基板面内)において、原版3及び基板16それぞれの走査方向をY方向、当該Y方向に直交する非走査方向をX方向と定義する。
【0011】
[第一実施形態]
従来、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイや半導体デバイス等の製造においては、原版と感光剤が塗布された基板とを互いに同期移動させながら投影光学系を介して当該原版のパターンの像を当該基板に投影する露光装置が用いられる。
また近年、基板の大型化に伴う露光領域の増大に対応するために、一回の走査露光によって原版のパターン(部分パターン)が転写される基板上の領域(部分領域)より大きい領域にパターンを形成することが求められている。
【0012】
そして、基板上の走査方向に直交する非走査方向において互いに部分的に重複する複数の部分領域それぞれに対して露光を行うことで、当該基板上の大きい領域にパターンを形成する、いわゆる繋ぎ露光が提案されている。
ここで、そのような繋ぎ露光を行う際には、隣接する部分領域において重複することで形成される繋ぎ領域における露光量のばらつきを抑制することが重要である。
【0013】
そして従来、照明光学系と原版との間に設けられた露光光が通過する可変スリットの開口の形状を調整することで、そのような繋ぎ領域における露光量のばらつきを抑制している露光装置が提案されている。
また従来、投影光学系の光軸に平行な方向における基板ステージの位置を周期的に変動させることによって露光領域における露光量の分布を変化させることで、繋ぎ領域に対する複数回の露光における露光量の間の差を低減している露光装置が提案されている。
また従来、露光光の照明領域の大きさを変化させるための遮光板を回転移動させることで繋ぎ領域における露光量を調整している露光装置が提案されている。
【0014】
一方、露光装置においてそのような繋ぎ露光を行う際に繋ぎ領域における露光量のばらつきを抑制するためには、当該繋ぎ領域における当該露光量を定期的に計測する必要がある。
しかしながら、繋ぎ領域内の多数の位置において露光量の計測を行うと当該計測に要する時間が増大することで露光装置におけるスループットが低下してしまう。
一方、当該計測の間隔を増大させることで露光装置におけるスループットの低下を抑制することもできるが、この場合繋ぎ領域における露光量のばらつきが十分に検出されないことで繋ぎ露光の精度が低下してしまう虞がある。
【0015】
そこで本実施形態は、繋ぎ領域における露光量のばらつきの抑制における精度を維持しつつスループットの低下を抑制することができる露光装置を提供することを目的としている。
図1は、第一実施形態に係る露光装置100の模式的断面図を示している。
【0016】
本実施形態に係る露光装置100は、半導体デバイスやフラットパネルディスプレイ(FPD)等のデバイスを製造する工程に含まれるフォトリソグラフィ工程において用いられるリソグラフィ装置である。
具体的に本実施形態に係る露光装置100は、パターンが形成された原版面を有する原版3を介して基板16を露光することによって当該パターンの像を基板16の基板面上に投影することで、原版3の当該パターンを基板16に転写する露光処理を行う。
【0017】
本実施形態に係る露光装置100は、照明光学系1、アライメントスコープ2、原版ステージ27、投影光学系4、露光量調整板19(露光量調整部)、基板ステージ17及び制御部20を備えている。
照明光学系1は、原版3に露光光を導光するように構成されており、光源5、コンデンサレンズ6及び8、フライアイレンズ7、可変スリット9(遮光部)、結像光学系10及び平面鏡11を有している。
【0018】
光源5は、水銀ランプ及び楕円ミラーを含んでおり、光を射出するように構成されている。
可変スリット9は、光源5と原版3との間に設けられており、光源5から出射した光のうち開口9pに入射した光のみを透過(通過)させることで、基板16の基板面上における照明範囲を規定する。
【0019】
結像光学系10は、可変スリット9を通過した光を原版3に結像させるように配置されている複数のミラーを含んでいる。
平面鏡11は、照明光学系1において光源5から出射した光の光路を折り曲げるように配置されている。
【0020】
アライメントスコープ2は、原版3及び基板16それぞれに形成されているアライメントマークを検出することで、原版3と基板16との間の位置合わせを行う。
投影光学系4は、原版ステージ27によって保持されている原版3のパターンの像を基板ステージ17によって保持されている基板16の基板面上に投影する。
【0021】
具体的に投影光学系4では、原版3を通過した露光光が、第1の平行平板13a、平面鏡14、凹面鏡12、凸面鏡15、凹面鏡12、平面鏡14、第2の平行平板13bの順に透過する又は反射されることで、基板16上に導光される。
これにより、原版3に形成されているパターンの像が基板16の基板面上に投影されることで転写される。
なお投影光学系4は、原版3のパターンの像を基板16の基板面上に等倍で投影する等倍結像光学系でもよく、拡大結像光学系や縮小結像光学系であっても構わない。
【0022】
原版ステージ27は、原版3の原版面が投影光学系4の物体面の位置に配置されるように原版3を保持しながら走査方向及び非走査方向に移動可能に構成されている。
基板ステージ17は、基板16の基板面が投影光学系4の像面の位置に配置されるように基板16を保持しながら走査方向及び非走査方向に移動可能に構成されている。
【0023】
また基板ステージ17には、基板16の基板面上に導光される露光光の光量を計測する光量センサ18(計測部)が設けられている。
具体的に光量センサ18は、基板ステージ17上に基板16が載置された際の基板16の基板面と略同一な高さの所定の位置における露光光の光量を計測することができる。
【0024】
露光量調整板19は、例えば金属で形成されており、投影光学系4を通過した露光光の一部を遮光するように投影光学系4と基板16との間に設けられている。
具体的に露光量調整板19は、少なくとも非走査方向(X方向)に移動するための機構を有しており、遮光する露光光の光量を調整することで基板16における露光量を調整することができる。
【0025】
制御部20は、CPUやメモリ等を含んでおり、露光装置100全体の制御を行うように構成されている。
具体的に制御部20は、例えば後述する繋ぎ露光を行う際の露光量調整板19の駆動を制御するように構成されている。
【0026】
本実施形態に係る露光装置100は、基板16に対して繋ぎ露光を行うことができるように構成されている。
図2(a)乃至(c)は、本実施形態に係る露光装置100において行われる繋ぎ露光を説明するための図を示している。
【0027】
具体的に
図2(a)は、基板16における第1の露光領域22aを露光する第1の露光での動作を示している基板16の上面図である。
第1の露光では、原版3と基板16とを互いに同期させて走査方向(Y方向)に移動させながら、露光光23によって第1の露光領域22aを露光している。
【0028】
図2(b)は、第1の露光領域22aが露光された後の動作を示している基板16の上面図である。
具体的に
図2(b)では、原版3と基板16とを互いに同期させて非走査方向(X方向)に移動させており、この際、基板16に対して露光は行われない。
なお、この際に原版3及び基板16を非走査方向へ移動させる移動量は、第1の露光領域22aと第2の露光によって露光される第2の露光領域22bとの間に露光されない領域が形成されないように、すなわち双方の一部が互いに重なるように決定される。
【0029】
図2(c)は、基板16における第2の露光領域22bを露光する第2の露光での動作を示している基板16の上面図である。
第2の露光では、原版3と基板16とを互いに同期させて走査方向(Y方向)に移動させながら、露光光23によって第2の露光領域22bを露光している。
ここで、第2の露光領域22bは第1の露光領域22aと一部が重なるように露光されているため、第1の露光領域22aと第2の露光領域22bとの間において互いに部分的に重複する繋ぎ領域24(繋ぎ露光によって重複して露光される領域)が形成される。
【0030】
すなわち第1の露光領域22aは、非走査方向に配列される第1の非繋ぎ領域25aと第1の繋ぎ領域24とを含んでいる(
図3)。
また第2の露光領域22bは、非走査方向に配列される、第1の繋ぎ領域24に重なる第2の繋ぎ領域24と第2の非繋ぎ領域25bとを含んでいる(
図3)。
なお、本実施形態に係る露光装置100では第1の露光領域22a及び第2の露光領域22bに対する二回の走査露光が行われているが、これに限らず三回以上の走査露光が行われても構わない。
【0031】
図3は、本実施形態に係る露光装置100での第1の露光領域22a及び第2の露光領域22bの繋ぎ露光による積算露光量及び合算積算露光量それぞれの非走査方向における位置依存性を示している。
ここで、所定の位置における積算露光量とは当該所定の位置に対して行われた一回の走査露光における露光量の積算値である。
また、所定の位置における合算積算露光量とは当該所定の位置に対して行われた各走査露光における露光量の積算値を合算したものである。
また
図3では、第1の露光領域22aを露光した際の第1の非繋ぎ領域25aの積算露光量が100パーセントの一定値を示すと共に、第2の露光領域22bを露光した際の第2の非繋ぎ領域25bの積算露光量が100パーセントの一定値を示すとしている。
【0032】
具体的に
図3には、第1の露光による第1の露光領域22aにおける積算露光量の非走査方向位置依存性26aと、第2の露光による第2の露光領域22bにおける積算露光量の非走査方向位置依存性26bとが示されている。
また
図3には、第1の露光による第1の露光領域22aにおける積算露光量(第1の積算露光量)と、第2の露光による第2の露光領域22bにおける積算露光量(第2の積算露光量)との合算積算露光量の非走査方向位置依存性26が示されている。
なお
図3に示されている積算露光量の非走査方向位置依存性26a及び26bはそれぞれ、走査方向については互いに同一の所定の位置となっている。
【0033】
繋ぎ領域24は、第1の露光領域22aに対する第1の露光及び第2の露光領域22bに対する第2の露光によって重複して露光される。
そのため、第1の露光領域22a及び第2の露光領域22bの全体にわたって合算積算露光量を均一にするためには、繋ぎ領域24における合算積算露光量を調整する必要がある。
【0034】
具体的には、第1の非繋ぎ領域25aでは積算露光量が略100パーセントになる一方で、繋ぎ領域24では積算露光量が第1の非繋ぎ領域25aとは反対側の端部で0パーセントに減少するように、第1の露光による第1の露光領域22aの積算露光量を調整する。
また、第2の非繋ぎ領域25bでは積算露光量が略100パーセントになる一方で、繋ぎ領域24では積算露光量が第2の非繋ぎ領域25bとは反対側の端部で0パーセントに減少するように、第2の露光による第2の露光領域22bの積算露光量を調整する。
これにより、第1の非繋ぎ領域25a、繋ぎ領域24及び第2の非繋ぎ領域25bそれぞれにおける合算積算露光量を互いに略同一にすることができる。
【0035】
次に、本実施形態に係る露光装置100において繋ぎ領域24の合算積算露光量を調整する具体的な方法について説明する。
【0036】
図4(a)は、本実施形態に係る露光装置100において第1の露光領域22aを露光する際の可変スリット9に形成されている開口9p及び露光量調整板19aと第1の露光領域22aとの間の配置関係(第1の構成)を示す上面図である。
本実施形態に係る露光装置100では、露光量調整板19として露光量調整板19a及び露光量調整板19bを設けている。
【0037】
そして本実施形態に係る露光装置100では、第1の露光の際に
図4(a)に示されているように投影光学系4と基板16との間の露光光の光路、すなわち可変スリット9の開口9pの一部を遮蔽するように露光量調整板19aを非走査方向(X方向)に挿入させる。
これにより、第1の露光によって第1の露光領域22aを露光する際の繋ぎ領域24における露光量を低下させることができる。
【0038】
図4(b)は、本実施形態に係る露光装置100において第2の露光領域22bを露光する際の可変スリット9に形成されている開口9p及び露光量調整板19bと第2の露光領域22bとの間の配置関係(第2の構成)を示す上面図である。
本実施形態に係る露光装置100では、第2の露光の際に
図4(b)に示されているように投影光学系4と基板16との間の露光光の光路、すなわち可変スリット9の開口9pの一部を遮蔽するように露光量調整板19bを非走査方向(X方向)に挿入させる。
これにより、第2の露光によって第2の露光領域22bを露光する際の繋ぎ領域24における露光量を低下させることができる。
【0039】
すなわち本実施形態に係る露光装置100では、第1の露光及び第2の露光それぞれでの繋ぎ領域24における露光量を露光量調整板19a及び19bの駆動の大きさによって調整することができる。
具体的に露光量調整板19a及び19bはそれぞれ、走査方向に対して交差する方向、すなわち走査方向及び非走査方向それぞれに対して非平行な方向に延びたエッジにより、繋ぎ領域24における積算露光量を各非繋ぎ領域における積算露光量と同程度にできる。
【0040】
そして基板16の基板面上における積算露光量は、基板ステージ17に設けられている光量センサ18によって計測することができる。
具体的に光量センサ18は、第1の露光については、
図4(a)に示されている第1の計測範囲9aにおいて第1の露光領域22aのうち繋ぎ領域24と第1の非繋ぎ領域25aの一部とのそれぞれの積算露光量を計測する。
より具体的に光量センサ18は、第1の露光については、繋ぎ領域24に対応する領域(第4の領域)と、第1の非繋ぎ領域25aの一部に対応する領域(第3の領域)とのそれぞれにおける積算露光量を計測する。
【0041】
すなわち、光量センサ18によって第1の計測範囲9aにおける積算露光量を計測する際には、
図4(a)に示されるように繋ぎ領域24での非走査方向における露光量分布が0乃至100パーセントの間で連続的となるように予め露光量調整板19aを挿入する。
そして、走査方向においては所定の位置であり、且つ非走査方向においては繋ぎ領域24の第1の非繋ぎ領域25aとは反対側の端部に光量センサ18が配置されるように基板ステージ17を駆動した後、光量センサ18によって当該端部の積算露光量を計測する。
【0042】
次に、上記端部から非走査方向の第1の非繋ぎ領域25a側に所定の距離だけ離隔した位置に光量センサ18が配置されるように基板ステージ17を非走査方向にステップ駆動させた後、光量センサ18によって当該位置の積算露光量を計測する。
そして、光量センサ18が第1の計測範囲9aの第1の非繋ぎ領域25a側端部に配置されるまで上記のステップ駆動及び計測を繰り返すことで、第1の計測範囲9aにおける積算露光量を計測することができる。
【0043】
また光量センサ18は、第2の露光については、
図4(b)に示されている第2の計測範囲9bにおいて第2の露光領域22bのうち繋ぎ領域24と第2の非繋ぎ領域25bの一部とのそれぞれの積算露光量を計測する。
より具体的に光量センサ18は、第2の露光については、繋ぎ領域24に対応する領域と、第2の非繋ぎ領域25bの一部に対応する領域とのそれぞれにおける積算露光量を計測する。
【0044】
すなわち、光量センサ18によって第2の計測範囲9bにおける積算露光量を計測する際には、
図4(b)に示されるように繋ぎ領域24での非走査方向における露光量分布が0乃至100パーセントの間で連続的となるように予め露光量調整板19bを挿入する。
そして、走査方向においては所定の位置であり、且つ非走査方向においては繋ぎ領域24の第2の非繋ぎ領域25bとは反対側の端部に光量センサ18が配置されるように基板ステージ17を駆動した後、光量センサ18によって当該端部の積算露光量を計測する。
【0045】
次に、上記端部から非走査方向の第2の非繋ぎ領域25b側に所定の距離だけ離隔した位置に光量センサ18が配置されるように基板ステージ17を非走査方向にステップ駆動させた後、光量センサ18によって当該位置の積算露光量を計測する。
そして、光量センサ18が第2の計測範囲9bの第2の非繋ぎ領域25b側端部に配置されるまで上記のステップ駆動及び計測を繰り返すことで、第2の計測範囲9bにおける積算露光量を計測することができる。
【0046】
図5は、本実施形態に係る露光装置100での第1の計測範囲9a及び第2の計測範囲9bにおいて計測された合算積算露光量の非走査方向における位置依存性を示している。
そして
図6(a)は、本実施形態に係る露光装置100において繋ぎ領域24の露光量を調整するか判定する際に積算露光量が計測される特徴点を決定する処理を示すフローチャートである。
なお、当該フローチャートにおける各ステップは、制御部20によって実行される。
【0047】
まず処理が開始されると、第1の露光領域22aを露光する構成において第1の露光領域22aに対応する領域(第1の領域)を露光させながら光量センサ18によって第1の計測範囲9aの積算露光量を計測する(ステップS11)。
またステップS11では、第2の露光領域22bを露光する構成において第2の露光領域22bに対応する領域(第2の領域)を露光させながら光量センサ18によって第2の計測範囲9bの積算露光量を計測する。
【0048】
次に、繋ぎ領域24の露光量を調整するか判定する際に積算露光量が計測される特徴点を決定するためのトレランス値を決定する(ステップS12)。
具体的にステップS12では、第1の非繋ぎ領域25a及び第2の非繋ぎ領域25bそれぞれにおいて計測された積算露光量(合算積算露光量)から上記トレランス値を決定する。
【0049】
より具体的にステップS12では、まず
図5に示されているように、第1の非繋ぎ領域25aにおいて計測された積算露光量と第2の非繋ぎ領域25bにおいて計測された積算露光量とのうちの最大値を第1のプラス側トレランス値T
1+に設定する。
なお、例えば当該最大値に対して当該最大値の0.5%の値を加算した値、換言すると当該最大値の1.005倍の値を第1のプラス側トレランス値T
1+(第2のプラス側トレランス値、第2のトレランス値)に設定しても構わない。
【0050】
また、第1の非繋ぎ領域25aにおいて計測された積算露光量と第2の非繋ぎ領域25bにおいて計測された積算露光量とのうちの最小値を第1のマイナス側トレランス値T1-(第2のマイナス側トレランス値、第2のトレランス値)に設定する。
なお、例えば当該最小値から当該最小値の0.5%の値を減算した値、換言すると当該最小値の0.995倍の値を第1のマイナス側トレランス値T1-に設定しても構わない。
【0051】
また第1のプラス側トレランス値T1+及び第1のマイナス側トレランス値T1-は、上記のように露光装置100において計測された第1の非繋ぎ領域25a及び第2の非繋ぎ領域25bにおける積算露光量から決定されることが好ましいが、これに限られない。
すなわち、他の装置において取得された所定の計測値を用いて第1のプラス側トレランス値T1+及び第1のマイナス側トレランス値T1-を決定しても構わない。
【0052】
次に、繋ぎ領域24において計測された合算積算露光量からプラス側特徴点を決定する(ステップS13、決定工程)。
具体的にステップS13では、
図5に示されているように、計測された繋ぎ領域24の合算積算露光量において第1のプラス側トレランス値T
1+を上回るプラス側特徴点30a及び30bを決定する。
なお
図5に示されているように、互いに連続する複数の位置における合算積算露光量が第1のプラス側トレランス値T
1+を上回っている場合には、当該複数の位置のうち合算積算露光量が最も大きい位置をプラス側特徴点に設定すればよい。
【0053】
次に、繋ぎ領域24において計測された合算積算露光量からマイナス側特徴点を決定する(ステップS14、決定工程)。
具体的にステップS14では、
図5に示されているように、計測された繋ぎ領域24の合算積算露光量において第1のマイナス側トレランス値T
1-を下回るマイナス側特徴点31aを決定する。
なお
図5に示されているように、互いに連続する複数の位置における合算積算露光量が第1のマイナス側トレランス値T
1-を下回っている場合には、当該複数の位置のうち合算積算露光量が最も小さい位置をマイナス側特徴点に設定すればよい。
【0054】
そしてプラス側特徴点30a、30bとマイナス側特徴点31aとを、第1の露光領域22a及び第2の露光領域22bを露光した際の開口9pにおける繋ぎ領域24に対応する位置と照明光学系1の設定とに対応付けて保存(記憶)する(ステップS15)。その後、処理を終了する。
具体的に開口9pにおける繋ぎ領域24に対応する位置とは、非走査方向における開口9pに対する繋ぎ領域24の相対位置とすることができる。
【0055】
またここでいう照明光学系1の設定には、例えば光源5の種類、及び光源5から射出される光の光量を調整するフィルターの数や組み合わせ等の光源5のモードが含まれる。
このようにして、第1の計測範囲9a及び第2の計測範囲9bにおいて計測された合算積算露光量が露光装置100における繋ぎ位置の情報と関連付けられて制御部20によって管理される。
【0056】
そして本実施形態に係る露光装置100では、上記において決定されたプラス側特徴点30a、30b及びマイナス側特徴点31a(少なくとも一つの位置)のような特徴点における合算積算露光量を計測することで繋ぎ領域24の露光量を調整するか判定する。
図6(b)は、本実施形態に係る露光装置100において繋ぎ領域24の露光量を調整するか判定する処理を示すフローチャートである。
【0057】
まず、露光装置100において第1の露光領域22aを露光する構成で繋ぎ領域24のプラス側特徴点及びマイナス側特徴点それぞれを露光する(第3の露光)。そして、繋ぎ領域24のプラス側特徴点及びマイナス側特徴点それぞれにおける積算露光量を光量センサ18によって計測させる(ステップS21)。
次に、露光装置100において第2の露光領域22bを露光する構成で繋ぎ領域24のプラス側特徴点及びマイナス側特徴点それぞれを露光する(第4の露光)。そして、繋ぎ領域24のプラス側特徴点及びマイナス側特徴点それぞれにおける積算露光量を光量センサ18によって計測させる(ステップS22)。
【0058】
そして、上記のように計測された繋ぎ領域24のプラス側特徴点における二つの積算露光量の合算積算露光量が第2のプラス側トレランス値T2+(第1のプラス側トレランス値、第1のトレランス値)を上回っているか判定する(ステップS23、比較工程)。
なお当該第2のプラス側トレランス値T2+は、第1の非繋ぎ領域25a及び第2の非繋ぎ領域25bの合算積算露光量と比較した際に繋ぎ領域24の合算積算露光量において求められる精度に応じて決定することができる。
換言すると当該第2のプラス側トレランス値T2+は、第1のプラス側トレランス値T1+より大きく、露光装置100の繋ぎ露光において求められる露光性能に応じて決定することができる。
【0059】
もし、当該プラス側特徴点における合算積算露光量が第2のプラス側トレランス値T2+を上回っていない場合には(ステップS23のNo)、ステップS24に移行する。
一方、当該プラス側特徴点における合算積算露光量が第2のプラス側トレランス値T2+を上回っている場合には(ステップS23のYes)、繋ぎ領域24の露光量の調整が必要であると判定し(ステップS25、判定工程)、処理を終了する。
【0060】
次にステップS24では、上記のように計測された繋ぎ領域24のマイナス側特徴点における二つの積算露光量の合算積算露光量が第2のマイナス側トレランス値T2-を下回っているか判定する(比較工程)。
なお当該第2のマイナス側トレランス値T2-は、第1の非繋ぎ領域25a及び第2の非繋ぎ領域25bの積算露光量と比較した際に繋ぎ領域24の合算積算露光量において求められる精度に応じて決定することができる。
換言すると当該第2のマイナス側トレランス値T2-(第1のマイナス側トレランス値、第1のトレランス値)は、第1のマイナス側トレランス値T1-より小さく、露光装置100の繋ぎ露光において求められる露光性能に応じて決定することができる。
【0061】
もし、当該マイナス側特徴点における合算積算露光量が第2のマイナス側トレランス値T2-を下回っていない場合には(ステップS24のNo)、ステップS21に移行した後、処理を継続する。
一方、当該マイナス側特徴点における合算積算露光量が第2のマイナス側トレランス値T2-を下回っている場合には(ステップS24のYes)、繋ぎ領域24の露光量の調整が必要であると判定し(ステップS25)、処理を終了する。
【0062】
そしてプラス側特徴点の合算積算露光量が第2のプラス側トレランス値T2+以下であると共にマイナス側特徴点の合算積算露光量が第2のマイナス側トレランス値T2-以上である時、第1の露光領域22a及び第2の露光領域22bに対する繋ぎ露光が行われる。
すなわち、本実施形態に係る露光装置100における繋ぎ領域24の露光量の調整が必要であるか判定する処理は、露光装置100において繋ぎ露光を行う度に当該繋ぎ露光の直前に行ってもよい。
また当該判定する処理は、製品レイアウトが変更された際に行ってもよく、所定の時間が経過する度に行っても構わない。
【0063】
また、繋ぎ領域24の露光量の調整(調整工程)は、繋ぎ領域24内の複数の位置それぞれにおける合算積算露光量の最大値と、第1の非繋ぎ領域25a及び第2の非繋ぎ領域25bにおける積算露光量の平均値との間の差の絶対値を小さくするように行われる。
加えて当該調整は、繋ぎ領域24内の複数の位置それぞれにおける合算積算露光量の最小値と、第1の非繋ぎ領域25a及び第2の非繋ぎ領域25bにおける積算露光量の平均値との間の差の絶対値を小さくするように行われる。
【0064】
すなわち当該調整では、上記の差が小さくなるように露光装置100の構成、具体的には第1の露光領域22a及び第2の露光領域22bを露光する際の可変スリット9に形成されている開口9pと露光量調整板19a及び19bとのそれぞれの位置が調整される。
なお当該調整における繋ぎ領域24内の合算積算露光量の計測位置の数は、当該調整の精度に応じて決定してもよく、当該調整を繋ぎ領域24内の上記プラス側特徴点及び上記マイナス側特徴点において計測された合算積算露光量を用いて行っても構わない。
【0065】
以上のように本実施形態に係る露光装置100では、まず上記のように決定された第1のプラス側トレランス値T1+及び第1のマイナス側トレランス値T1-に基づいて繋ぎ領域24におけるプラス側特徴点及びマイナス側特徴点を含む特徴点を決定する。
具体的に本実施形態に係る露光装置100では、第1の非繋ぎ領域25a及び第2の非繋ぎ領域25bにおける光量センサ18による積算露光量の計測結果から第1のプラス側トレランス値T1+及び第1のマイナス側トレランス値T1-が決定される。
そして、当該決定された第1のプラス側トレランス値T1+及び第1のマイナス側トレランス値T1-と、繋ぎ領域24における光量センサ18による合算積算露光量の計測結果とを互いに比較することで、繋ぎ領域24における特徴点を決定する。
【0066】
また本実施形態に係る露光装置100では、当該決定された特徴点における光量センサ18による合算積算露光量の計測結果と、第2のプラス側トレランス値T2+及び第2のマイナス側トレランス値T2-とを互いに比較する。
そして、当該比較に基づいて繋ぎ領域24の露光量の調整が必要であるか判定する。
【0067】
このように本実施形態に係る露光装置100では、当該判定を行う際の繋ぎ領域24内の合算積算露光量の計測位置の数が低減されることによって計測時間が低減することでスループットを向上させることができる。
すなわち本実施形態によれば、繋ぎ領域24の合算積算露光量の計測における精度及び処理時間の双方において有利な露光装置を提供することができる。
【0068】
[第二実施形態]
図7(a)は、第二実施形態に係る露光装置での第1の計測範囲9a及び第2の計測範囲9bにおいて計測された合算積算露光量の非走査方向における位置依存性を示している。
なお本実施形態に係る露光装置は、第一実施形態に係る露光装置100と同一の構成を有しているため、同一の部材には同一の符番を付し、説明を省略する。
【0069】
本実施形態に係る露光装置は、計測された繋ぎ領域24の合算積算露光量において第1のプラス側トレランス値T
1+を上回るプラス側特徴点及び第1のマイナス側トレランス値T
1-を下回るマイナス側特徴点が取得されない場合に以下の処理を行う。
図8は、本実施形態に係る露光装置において繋ぎ領域24の露光量を調整するか判定する際に積算露光量が計測される特徴点を決定する処理を示すフローチャートである。
なお、当該フローチャートにおける各ステップは、制御部20によって実行される。
【0070】
まず処理が開始されると、第一実施形態に係る露光装置100におけるステップS11と同様に、第1の計測範囲9a及び第2の計測範囲9bにおける合算積算露光量を計測する(ステップS31)。
次に、繋ぎ領域24の露光量を調整するか判定する際に積算露光量が計測されるプラス側特徴点を決定するための第1のプラス側トレランス値T1+を決定する(ステップS32)。
【0071】
すなわちステップS32では、第1の非繋ぎ領域25aにおいて計測された積算露光量と第2の非繋ぎ領域25bにおいて計測された積算露光量とのうちの最大値を第1のプラス側トレランス値T1+に設定する。
なお、例えば当該最大値に対して当該最大値の0.5%の値を加算した値、換言すると当該最大値の1.005倍の値を第1のプラス側トレランス値T1+に設定しても構わない。
【0072】
次に、計測された繋ぎ領域24の合算積算露光量において第1のプラス側トレランス値T
1+を上回るプラス側特徴点(第1の位置)が有るか、すなわち当該プラス側特徴点が決定可能か判定する(ステップS33)。
もし、当該プラス側特徴点が有る場合には(ステップS33のYes)、第一実施形態に係る露光装置100におけるステップS13と同様にプラス側特徴点を決定し(ステップS34)、ステップS36に移行する。
一方、
図7(a)に示されているように当該プラス側特徴点が無い場合には(ステップS33のNo)、ステップS35に移行する。
【0073】
ステップS35では、
図4(a)及び(b)に示すような露光量調整板19a及び19bの位置を、可変スリット9の開口9pによる露光領域において遮光されている領域を低減させるように非走査方向に所定の距離だけシフトさせた後、ステップS31に戻る。
これにより、繋ぎ領域24における合算積算露光量を増大させることができる。
【0074】
図7(b)は、ステップS35における露光量調整板19a及び19bの位置の非走査方向におけるシフトを少なくとも一回行った後の第1の計測範囲9a及び第2の計測範囲9bにおいて計測された合算積算露光量の非走査方向における位置依存性を示している。
図7(b)に示されているように、
図7(a)に示されている場合に比べて、繋ぎ領域24における合算積算露光量が全体的に増大していることがわかる。
そして、
図7(b)に示されているような繋ぎ領域24の合算積算露光量の非走査方向における位置依存性からステップS34においてプラス側特徴点30a及び30bを決定することができる。
【0075】
次にステップS36では、ステップS31と同様に第1の計測範囲9a及び第2の計測範囲9bにおける合算積算露光量を計測する。
次に、繋ぎ領域24の露光量を調整するか判定する際に積算露光量が計測されるマイナス側特徴点を決定するための第1のマイナス側トレランス値T1-を決定する(ステップS37)。
【0076】
すなわちステップS37では、第1の非繋ぎ領域25aにおいて計測された積算露光量と第2の非繋ぎ領域25bにおいて計測された積算露光量とのうちの最小値を第1のマイナス側トレランス値T1-に設定する。
なお、例えば当該最小値から当該最小値の0.5%の値を減算した値、換言すると当該最小値の0.995倍の値を第1のマイナス側トレランス値T1-に設定しても構わない。
【0077】
次に、計測された繋ぎ領域24の合算積算露光量において第1のマイナス側トレランス値T
1-を下回るマイナス側特徴点(第2の位置)が有るか、すなわち当該マイナス側特徴点が決定可能か判定する(ステップS38)。
もし、当該マイナス側特徴点が有る場合には(ステップS38のYes)、第一実施形態に係る露光装置100におけるステップS14と同様にマイナス側特徴点を決定し(ステップS39)、ステップS41に移行する。
一方、
図7(a)に示されているように当該マイナス側特徴点が無い場合には(ステップS38のNo)、ステップS40に移行する。
【0078】
ステップS40では、
図4(a)及び(b)に示すような露光量調整板19a及び19bの位置を、可変スリット9の開口9pによる露光領域において遮光されている領域を増大させるように非走査方向に所定の距離だけシフトさせた後、ステップS36に戻る。
これにより、繋ぎ領域24における合算積算露光量を低減させることができる。
【0079】
図7(c)は、ステップS40における露光量調整板19a及び19bの位置の非走査方向におけるシフトを少なくとも一回行った後の第1の計測範囲9a及び第2の計測範囲9bにおいて計測された合算積算露光量の非走査方向における位置依存性を示している。
図7(c)に示されているように、
図7(a)に示されている場合に比べて、繋ぎ領域24における合算積算露光量が全体的に低減されていることがわかる。
そして、
図7(c)に示されているような繋ぎ領域24の合算積算露光量の非走査方向における位置依存性からステップS39においてマイナス側特徴点31aを決定することができる。
【0080】
最後にステップS41において、プラス側特徴点30a及び30bとマイナス側特徴点31aとを、第1の露光領域22a及び第2の露光領域22bを露光した際の開口9pにおける繋ぎ領域24に対応する位置と照明光学系1の設定とに対応付けて保存する。その後、処理を終了する。
そして本実施形態に係る露光装置においても、第一実施形態に係る露光装置100と同様にステップS21乃至S25を行うことで、繋ぎ領域24の露光量の調整が必要であるか判定する。
【0081】
以上のように本実施形態に係る露光装置では、まず上記のように決定された第1のプラス側トレランス値T1+及び第1のマイナス側トレランス値T1-に基づいて繋ぎ領域24におけるプラス側特徴点及びマイナス側特徴点を含む特徴点を決定する。
そして、当該決定された特徴点において計測された合算積算露光量と、第2のプラス側トレランス値T2+及び第2のマイナス側トレランス値T2-とを互いに比較することで、繋ぎ領域24の露光量の調整が必要であるか判定する。
これにより、当該判定を行う際の繋ぎ領域24における合算積算露光量の計測時間が低減することでスループットを向上させることができる。
【0082】
また本実施形態に係る露光装置では、上記のようにプラス側特徴点及びマイナス側特徴点を含む特徴点を決定することができない場合に、当該特徴点を決定することができるように露光量調整板19の位置をシフトさせることで繋ぎ領域24の露光量を調整している。
これにより、様々な繋ぎ露光に対応させながら繋ぎ領域24の露光量の調整が必要であるか判定することができる。
【0083】
なお本実施形態に係る露光装置では、上記のように第1のマイナス側トレランス値T1-に基づいて繋ぎ領域24におけるマイナス側特徴点を決定できない場合に、繋ぎ領域24の非走査方向における中央位置をマイナス側特徴点に設定しても上記の効果が得られる。
また本実施形態において、第1の非繋ぎ領域25a及び第2の非繋ぎ領域25bにおける積算露光量はほぼ一定となるよう露光が行われる。
【0084】
以上、好ましい実施形態について説明したが、これらの実施形態に限られず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
また本実施形態には、上記の第一実施形態及び第二実施形態のいずれかに係る露光装置に加えて、上記に示した処理を行う露光方法も含まれる。
【0085】
[物品の製造方法]
次に、本実施形態に係る露光装置を用いた物品の製造方法について説明する。
【0086】
ここで製造される物品としては、半導体デバイス、表示デバイス、カラーフィルタ、光学部品及び微小電気機械システム(MEMS)等が含まれる。
例えば半導体デバイスは、ウエハに回路パターンを作るための前工程と、前工程で作られた回路チップを製品として完成させるための加工工程を含む後工程とを経ることにより製造される。
【0087】
前工程は、本実施形態に係る露光装置を使用して感光剤が塗布されたウエハを露光する露光工程と、当該露光工程によって露光された感光剤を現像する現像工程とを含む。
そして、ウエハに対して現像された感光剤のパターンをマスクとしてエッチング工程やイオン注入工程等を行うことで、当該ウエハ上に回路パターンが形成される。
【0088】
これらの露光、現像及びエッチング等の工程を繰り返して、ウエハ上に複数の層からなる回路パターンが形成される。
後工程では、回路パターンが形成されたウエハ上に対してダイシングを行い、チップのマウンティング、ボンディング及び検査工程が行われる。
【0089】
表示デバイスは、透明電極を形成する工程を経ることにより製造される。
透明電極を形成する工程は、透明導電膜が蒸着されたガラスウエハ上に感光剤を塗布する工程と、本実施形態に係る露光装置を使用して当該感光剤が塗布されたガラスウエハを露光する工程と、当該露光された感光剤を現像する工程とを含む。
【0090】
本実施形態に係る物品の製造方法によれば、従来よりも高品位且つ高生産性の物品を製造することができる。
【0091】
本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)原版及び基板を走査方向に走査しながら原版のパターンの像を基板の基板面上に投影し、基板を露光する露光装置であって、基板を保持しながら走査方向と基板面内において走査方向に垂直な非走査方向とに移動可能な基板ステージと、基板ステージによって保持されている基板の基板面上の所定の位置における露光量を計測する計測部と、露光を制御する制御部とを備え、基板面上の第1の露光領域は、非走査方向に配列される第1の非繋ぎ領域と第1の繋ぎ領域とを含み、基板面上の第2の露光領域は、非走査方向に配列される第1の繋ぎ領域に重なる第2の繋ぎ領域と第2の非繋ぎ領域とを含み、制御部は、第1の繋ぎ領域及び第2の繋ぎ領域内の少なくとも一つの位置における計測部による露光量の計測結果と、第1のトレランス値とを互いに比較することによって第1の露光領域及び第2の露光領域を露光するか判定する判定工程を行い、少なくとも一つの位置は、第1の非繋ぎ領域及び第2の非繋ぎ領域における計測部による露光量の計測結果から決定される第2のトレランス値と、第1の繋ぎ領域及び第2の繋ぎ領域における計測部による露光量の計測結果とを互いに比較することで決定されることを特徴とする露光装置。
(構成2)第2のトレランス値は、第1の露光領域を露光する際の露光装置の第1の構成において基板ステージ上の第1の露光領域に対応する第1の領域を露光させる第1の露光の間に第1の領域において計測される露光量を積算することによって取得される積算露光量と、第2の露光領域を露光する際の露光装置の第2の構成において基板ステージ上の第2の露光領域に対応する第2の領域を露光させる第2の露光の際に第2の領域において取得される積算露光量とのうち、第1の非繋ぎ領域及び第2の非繋ぎ領域に対応する第3の領域において取得される積算露光量の最大値である第2のプラス側トレランス値と、第3の領域において取得される積算露光量の最小値である第2のマイナス側トレランス値とを含むことを特徴とする構成1に記載の露光装置。
(構成3)少なくとも一つの位置は、非走査方向において互いに連続すると共に、それぞれにおける合算積算露光量が第2のプラス側トレランス値を上回る複数の位置のうち合算積算露光量が最も大きい位置と、非走査方向において互いに連続すると共に、それぞれにおける合算積算露光量が第2のマイナス側トレランス値を下回る複数の位置のうち合算積算露光量が最も小さい位置とを含み、合算積算露光量は、第1の露光の際に取得される第1の積算露光量と、第2の露光の際に取得される第2の積算露光量とを合算することで取得されることを特徴とする構成2に記載の露光装置。
(構成4)判定工程は、第1の構成において少なくとも一つの位置を露光させる第3の露光を行うことで少なくとも一つの位置における第1の積算露光量を取得する工程と、第2の構成において少なくとも一つの位置を露光させる第4の露光を行うことで少なくとも一つの位置における第2の積算露光量を取得する工程と、少なくとも一つの位置における第1の積算露光量及び第2の積算露光量の合算積算露光量と第1のトレランス値とを互いに比較する工程とを含むことを特徴とする構成2または3に記載の露光装置。
(構成5)第1のトレランス値は、露光装置の露光性能に基づいて決定されると共に、第2のプラス側トレランス値より大きい第1のプラス側トレランス値と、露光性能に基づいて決定されると共に、第2のマイナス側トレランス値より小さい第1のマイナス側トレランス値とを含み、判定工程は、少なくとも一つの位置における合算積算露光量が第1のプラス側トレランス値以下であり、且つ第1のマイナス側トレランス値以上である場合に制御部によって第1の露光領域及び第2の露光領域を露光させる工程を含むことを特徴とする構成4に記載の露光装置。
(構成6)判定工程は、少なくとも一つの位置における合算積算露光量が第1のプラス側トレランス値を上回っているか、若しくは第1のマイナス側トレランス値を下回っている場合に露光装置の構成を調整する調整工程を含むことを特徴とする構成5に記載の露光装置。
(構成7)調整工程は、第1の繋ぎ領域及び第2の繋ぎ領域に対応する第4の領域内の複数の位置それぞれにおける合算積算露光量の最大値と第3の領域における積算露光量の平均値との間の差の絶対値、及び複数の位置それぞれにおける合算積算露光量の最小値と平均値との間の差の絶対値が小さくなるように露光装置の構成を調整する工程を含むことを特徴とする構成6に記載の露光装置。
(構成8)複数の位置は、少なくとも一つの位置であることを特徴とする構成7に記載の露光装置。
(構成9)判定工程は、第1の露光領域を露光する際の露光装置の第1の構成において基板ステージ上の第1の露光領域に対応する第1の領域を露光させる第1の露光の間に第1の繋ぎ領域及び第2の繋ぎ領域に対応する第4の領域において計測される露光量を積算することによって取得される第1の積算露光量と、第2の露光領域を露光する際の露光装置の第2の構成において基板ステージ上の第2の露光領域に対応する第2の領域を露光させる第2の露光の際に第4の領域において取得される第2の積算露光量との合算積算露光量と、第2のトレランス値とを互いに比較することで少なくとも一つの位置を決定する決定工程を含むことを特徴とする構成1乃至8のいずれか一項に記載の露光装置。
(構成10)第2のトレランス値は、第1の露光の際に第1の領域において取得される積算露光量と、第2の露光の際に第2の領域において取得される積算露光量とのうち、第1の非繋ぎ領域及び第2の非繋ぎ領域に対応する第3の領域において取得される積算露光量の最大値である第2のプラス側トレランス値と、第3の領域において取得される積算露光量の最小値である第2のマイナス側トレランス値とを含み、決定工程は、第4の領域内において、非走査方向に互いに連続すると共に、それぞれにおける合算積算露光量が第2のプラス側トレランス値を上回る複数の位置のうち合算積算露光量が最も大きい位置と、非走査方向に互いに連続すると共に、それぞれにおける合算積算露光量が第2のマイナス側トレランス値を下回る複数の位置のうち合算積算露光量が最も小さい位置とを決定する工程を含むことを特徴とする構成9に記載の露光装置。
(構成11)決定工程は、第1の露光及び第2の露光を行う工程と、第1の領域における積算露光量及び第2の領域における積算露光量を取得する工程と、第4の領域における合算積算露光量を取得する工程とを含むことを特徴とする構成10に記載の露光装置。
(構成12)決定工程は、第2のプラス側トレランス値及び第2のマイナス側トレランス値をそれぞれ、第3の領域における積算露光量の最大値及び最小値として決定する工程を含むことを特徴とする構成11に記載の露光装置。
(構成13)決定工程は、合算積算露光量が第2のプラス側トレランス値を上回る第1の位置が検出されるか判定する工程と、第1の位置が検出されないと判定された際に、第4の領域における露光量が増大するように第1の構成及び第2の構成を調整する工程と、調整された第1の構成において第1の露光を行うことで第4の領域における第1の積算露光量を取得する工程と、調整された第2の構成において第2の露光を行うことで第4の領域における第2の積算露光量を取得する工程とを含むことを特徴とする構成12に記載の露光装置。
(構成14)決定工程は、合算積算露光量が第2のマイナス側トレランス値を下回る第2の位置が検出されるか判定する工程と、第2の位置が検出されないと判定された際に、第4の領域における露光量が減少するように第1の構成及び第2の構成を調整する工程と、調整された第1の構成において第1の露光を行うことで第4の領域における第1の積算露光量を取得する工程と、調整された第2の構成において第2の露光を行うことで第4の領域における第2の積算露光量を取得する工程とを含むことを特徴とする構成12または13に記載の露光装置。
(構成15)光を射出する光源と、光源からの光が通過する開口が形成されている遮光部とを含み、露光光を原版に導光する照明光学系を備え、決定工程は、決定された少なくとも一つの位置と、光源の種類、光源のモード及び非走査方向における開口に対する第4の領域の相対位置のうち少なくとも一つとを互いに対応付けて制御部によって記憶させる工程を含むことを特徴とする構成9乃至14のいずれか一項に記載の露光装置。
(構成16)非走査方向に移動することによって露光光の少なくとも一部を遮光することで、第1の繋ぎ領域及び第2の繋ぎ領域における露光量を調整する露光量調整部を含み、原版を通過した露光光を基板に導光する投影光学系を備えることを特徴とする構成1乃至15のいずれか一項に記載の露光装置。
(方法1)構成1乃至16のいずれか一項に記載の露光装置によって基板を露光する工程と、露光された基板を現像する工程とを含むことを特徴とする物品の製造方法。
(方法2)基板を保持しながら基板の基板面に平行な走査方向と基板面内において走査方向に垂直な非走査方向とに移動可能な基板ステージと、基板ステージによって保持されている基板の基板面上の所定の位置における露光量を計測する計測部とを備える露光装置において原版及び基板を走査方向に走査しながら原版のパターンの像を基板面上に投影し、基板を露光する露光方法であって、基板面上の第1の露光領域は、非走査方向に配列される第1の非繋ぎ領域と第1の繋ぎ領域とを含み、基板面上の第2の露光領域は、非走査方向に配列される第1の繋ぎ領域に重なる第2の繋ぎ領域と第2の非繋ぎ領域とを含み、露光方法は、第1の繋ぎ領域及び第2の繋ぎ領域内の少なくとも一つの位置における計測部による露光量の計測結果と、第1のトレランス値とを互いに比較することによって第1の露光領域及び第2の露光領域を露光するか判定する判定工程を含み、少なくとも一つの位置は、第1の非繋ぎ領域及び第2の非繋ぎ領域における計測部による露光量の計測結果から決定される第2のトレランス値と、第1の繋ぎ領域及び第2の繋ぎ領域における計測部による露光量の計測結果とを互いに比較することで決定されることを特徴とする露光方法。
【符号の説明】
【0092】
3 原版
16 基板
17 基板ステージ
18 光量センサ(計測部)
20 制御部
22a 第1の露光領域
22b 第2の露光領域
24 第1の繋ぎ領域、第2の繋ぎ領域
25a 第1の非繋ぎ領域
25b 第2の非繋ぎ領域
30a、30b、31a 特徴点(少なくとも一つの位置)
100 露光装置