IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人土木研究所の特許一覧

特開2024-176267動作制御装置、これを備えた動作制御システム、動作制御プログラムおよび動作制御方法
<>
  • 特開-動作制御装置、これを備えた動作制御システム、動作制御プログラムおよび動作制御方法 図1
  • 特開-動作制御装置、これを備えた動作制御システム、動作制御プログラムおよび動作制御方法 図2
  • 特開-動作制御装置、これを備えた動作制御システム、動作制御プログラムおよび動作制御方法 図3
  • 特開-動作制御装置、これを備えた動作制御システム、動作制御プログラムおよび動作制御方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176267
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】動作制御装置、これを備えた動作制御システム、動作制御プログラムおよび動作制御方法
(51)【国際特許分類】
   E01H 10/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
E01H10/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094704
(22)【出願日】2023-06-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】301031392
【氏名又は名称】国立研究開発法人土木研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】大廣 智則
(57)【要約】
【課題】動作条件によって定められた位置で高精度にアクチュエータを動作させることができる動作制御装置、これを備えた動作制御システム、動作制御プログラムおよび動作制御方法を提供する。
【解決手段】車両12に搭載されたアクチュエータ11の動作を制御する動作制御装置1であって、位置情報取得部41と、現在位置特定部42と、走行速度取得部43と、位置情報を取得してからアクチュエータ11が動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得部44と、遅延時間内に車両12が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出部46と、現在位置から遅延距離分だけ前方位置の動作条件を取得する動作条件取得部48と、動作指示信号をアクチュエータ11に出力する動作指示信号出力部49と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御装置であって、
位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定部と、
前記車両の走行速度を取得する走行速度取得部と、
前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得部と、
前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出部と、
前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における動作条件を取得する動作条件取得部と、
前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力部と、
を有する、動作制御装置。
【請求項2】
前記動作指示信号を受信した前記アクチュエータが動作を開始するまでの間において、前記車両ごとに固有に遅延する時間である固有遅延時間に基づいて、前記遅延時間を補正する遅延時間補正部を有している、請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項3】
前記位置検出手段から前記アクチュエータまでのオフセット距離に基づいて、前記遅延距離を補正する遅延距離補正部を有している、請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項4】
前記位置情報取得部による取得周期および前記動作指示信号出力部による出力周期が、2Hz以上に設定されている、請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の動作制御装置と、前記動作制御装置によって制御される前記アクチュエータとを備えた動作制御システム。
【請求項6】
車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御プログラムであって、
位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定部と、
前記車両の走行速度を取得する走行速度取得部と、
前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得部と、
前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出部と、
前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における動作条件を取得する動作条件取得部と、
前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力部としてコンピュータを機能させる、動作制御プログラム。
【請求項7】
車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御方法であって、
位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定ステップと、
前記車両の走行速度を取得する走行速度取得ステップと、
前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得ステップと、
前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出ステップと、
前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における動作条件を取得する動作条件取得ステップと、
前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力ステップと、
を有する、動作制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御装置、これを備えた動作制御システム、動作制御プログラムおよび動作制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたアクチュエータに所定の位置で所定の動作を実行させるための技術が知られている。例えば、特開2015-090037号公報には、位置検出手段から取得した位置情報と、事前に設定された散布条件とに基づいて、凍結防止剤散布車に搭載された凍結防止剤散布装置から凍結防止剤を自動散布させる凍結防止剤自動散布制御装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-090037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明を含め、従来の動作制御技術においては、情報処理やデータ通信にかかる時間に起因して、位置情報を取得してからアクチュエータが実際に動作を開始するまでに数秒程度のタイムラグが存在する。このため、動作条件によって定められた位置では正確に動作せず、車両の走行速度に応じて誤差が発生してしまうという問題がある。
【0005】
また、例えばアクチュエータが凍結防止剤散布装置であれば、凍結防止剤を散布すべき路面に散布し損ねることとなるため、凍結路面に起因する事故を誘発するおそれがある。一方、安全側に動作させるのであれば、散布すべき区間に余裕を持たせて大きめに設定することも考えられる。しかしながら、その場合は凍結防止剤が不要な路面にも散布することとなるため、凍結防止剤にかかる費用が増大してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、動作条件によって定められた位置で高精度にアクチュエータを動作させることができる動作制御装置、これを備えた動作制御システム、動作制御プログラムおよび動作制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る動作制御装置は、動作条件によって定められた位置で高精度にアクチュエータを動作させるという課題を解決するために、車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御装置であって、位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定部と、前記車両の走行速度を取得する走行速度取得部と、前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得部と、前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出部と、前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における動作条件を取得する動作条件取得部と、前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力部と、を有する。
【0008】
また、本発明の一態様として、車両の個体差によらず、正確な遅延時間を設定するという課題を解決するために、前記動作指示信号を受信した前記アクチュエータが動作を開始するまでの間において、前記車両ごとに固有に遅延する時間である固有遅延時間に基づいて、前記遅延時間を補正する遅延時間補正部を有していてもよい。なお、前記固有遅延時間は、車両の走行速度ごとに異なる場合もあれば、走行速度によらず一定の場合もある。
【0009】
さらに、本発明の一態様として、位置検出手段とアクチュエータとの位置関係によらず、正確な遅延距離を設定するという課題を解決するために、前記位置検出手段から前記アクチュエータまでのオフセット距離に基づいて、前記遅延距離を補正する遅延距離補正部を有していてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様として、位置情報の取得や動作指示信号の出力に起因する遅延を防止するという課題を解決するために、前記位置情報取得部による取得周期および前記動作指示信号出力部による出力周期が、2Hz以上に設定されていてもよい。
【0011】
本発明に係る動作制御システムは、動作条件によって定められた位置で高精度にアクチュエータを動作させるという課題を解決するために、上述したいずれかの態様の動作制御装置と、前記動作制御装置によって制御される前記アクチュエータとを備えている。
【0012】
本発明に係る動作制御プログラムは、動作条件によって定められた位置で高精度にアクチュエータを動作させるという課題を解決するために、車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御プログラムであって、位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定部と、前記車両の走行速度を取得する走行速度取得部と、前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得部と、前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出部と、前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における動作条件を取得する動作条件取得部と、前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力部としてコンピュータを機能させる。
【0013】
本発明に係る動作制御方法は、動作条件によって定められた位置で高精度にアクチュエータを動作させるという課題を解決するために、車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御方法であって、位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定ステップと、前記車両の走行速度を取得する走行速度取得ステップと、前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得ステップと、前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出ステップと、前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における動作条件を取得する動作条件取得ステップと、前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、動作条件によって定められた位置で高精度にアクチュエータを動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る動作制御装置およびこれを備えた動作制御システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2】本実施形態における遅延時間の内訳を示す図である。
図3】本実施形態におけるオフセット距離を示す図である。
図4】本実施形態の動作制御装置、動作制御プログラムおよび動作制御方法によって実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る動作制御装置、これを備えた動作制御システム、動作制御プログラムおよび動作制御方法の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
本実施形態の動作制御システム10は、図1に示すように、アクチュエータ11の動作を制御する動作制御装置1と、この動作制御装置1によって動作が制御されるアクチュエータ11とから構成されており、これらが図2および図3に示すような車両12に搭載されている。
【0018】
なお、本実施形態では、アクチュエータ11として凍結防止剤散布車に搭載された凍結防止剤散布装置を用いているが、この構成に限定されるものではなく、作業車等の車両12に搭載され動作制御装置1によって所定の位置で所定の作業・動作を実行するように制御される全てのアクチュエータ11に適用可能である。
【0019】
以上の構成において、本発明者は、上述した本発明の目的を達成するために鋭意研究を行った結果、位置情報を取得してからアクチュエータ11が実際に動作を開始するまでにかかる遅延時間は、図2に示すように、主として下記(1)~(4)の時間から構成されていることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0020】
(1)衛星測位システム(GNNS:Global Navigation Satellite System)からの衛生信号に基づいて位置情報(緯度・経度)を取得し、車両12の現在位置を特定する時間(約2秒)
(2)車載ネットワーク(CAN:Controller Area Network)を介して、現在位置に対応する動作指示信号を動作制御装置1からアクチュエータ11に送信する通信時間(約0~1秒)
(3)動作指示信号を受信したアクチュエータ11が動作を開始するまでの準備時間(約1.5秒)
(4)車両12ごとに固有に遅延する時間である固有遅延時間(約0~1.5秒)
【0021】
本実施形態において、動作制御装置1は、凍結防止剤散布装置に凍結防止剤を自動散布させるための自動散布制御装置であり、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等のコンピュータによって構成されている。また、動作制御装置1は、図1に示すように、主として、位置検出手段2と、記憶手段3と、演算処理手段4とを有している。以下、各構成について説明する。
【0022】
位置検出手段2は、動作制御装置1が搭載された車両12の位置情報を検出するものである。本実施形態において、位置検出手段2は、衛星測位システムからの衛星情報を受信する機能を備えたGNSS受信機から構成されており、当該衛星情報に基づいて位置情報(緯度・経度)を検出するようになっている。
【0023】
記憶手段3は、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段4が演算処理を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。本実施形態において、記憶手段3は、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等で構成されており、図1に示すように、プログラム記憶部31と、位置データ記憶部32と、遅延時間記憶部33と、固有遅延時間記憶部34と、オフセット距離記憶部35と、動作条件記憶部36とを有している。
【0024】
プログラム記憶部31には、本実施形態の動作制御プログラム1aがインストールされている。そして、演算処理手段4が動作制御プログラム1aを実行することにより、動作制御装置1としてのコンピュータを後述する各構成部として機能させるようになっている。
【0025】
なお、動作制御プログラム1aの利用形態は、上記構成に限られるものではない。例えば、SDカード、CFカード、USBメモリ、外付けHDD(Hard Disk Drive)、外付けSSD(Solid State Drive)、CD-ROM、DVD-ROM等のように、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に動作制御プログラム1aを記憶させておき、当該記録媒体から直接読み出して実行してもよい。また、外部サーバ等からクラウドコンピューティング方式やASP(Application Service Provider)方式で動作制御プログラム1aを利用してもよい。
【0026】
位置データ記憶部32は、道路上の位置を特定する情報に対応付けて緯度・経度が設定された位置データを記憶するものである。本実施形態では、国道や高速道路等に設置されたキロポスト(KP)の値(キロポスト値)と、当該キロポスト値に対応する緯度・経度とが位置データとして登録されている。なお、道路上の位置を特定する情報は、キロポスト値に限定されるものではなく、適宜設定してもよい。
【0027】
遅延時間記憶部33は、位置情報を取得してからアクチュエータ11が動作を開始するまでの遅延時間を記憶するものである。本実施形態では、遅延時間を構成する上記(1)~(4)の時間のうち、異なる車両12間でも共通する上記(1)~(3)の時間を事前に計測し、その合計値を遅延時間として遅延時間記憶部33に記憶させている。
【0028】
固有遅延時間記憶部34は、車両12ごとに固有に遅延する時間である固有遅延時間を記憶するものである。ここで、遅延時間を構成する上記(3)の時間(動作指示信号を受信したアクチュエータ11が動作を開始するまでの準備時間)には個体差が存在する。また、当該個体差は車両12の走行速度によらず一定の場合もあれば、走行速度に応じて変動する場合もある。よって、本実施形態では、走行速度に応じた固有遅延時間を車両12ごとに測定し、走行速度と固有遅延時間との対応表または関係式等を固有遅延時間記憶部34に記憶させている。なお、固有遅延時間が常に0秒の車両12については、固有遅延時間を記憶させる必要はない。
【0029】
オフセット距離記憶部35は、位置検出手段2からアクチュエータ11までのオフセット距離を記憶するものである。具体的には、図3に示すように、車両12において、位置検出手段2とアクチュエータ11とが前後方向に間隔を隔てて搭載されている場合、その間隔に応じて動作タイミングに誤差が発生する。そこで、オフセット距離記憶部35には、位置検出手段2からアクチュエータ11までの距離がオフセット距離として記憶されている。なお、本実施形態では、アクチュエータ11として凍結防止剤散布装置を用いているため、位置検出手段2から凍結防止剤散布装置の排出口までの距離がオフセット距離となる。
【0030】
また、本実施形態において、オフセット距離は、位置検出手段2に対してアクチュエータ11が車両12の前方にある場合はプラスの値で登録され、位置検出手段2に対してアクチュエータ11が車両12の後方にある場合はマイナスの値で登録される。なお、オフセット距離がゼロの場合、オフセット距離記憶部35にオフセット距離を記憶させる必要はない。
【0031】
動作条件記憶部36は、アクチュエータ11の動作を定めた動作条件を記憶するものである。本実施形態では、アクチュエータ11として凍結防止剤散布装置を用いているため、動作条件としては、現在位置(キロポスト値)に対応付けて、凍結防止剤を散布するか否か、散布量、湿式割合、散布幅、散布方向等が設定されている。
【0032】
演算処理手段4は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、プログラム記憶部31にインストールされた動作制御プログラム1aを実行することにより、図1に示すように、位置情報取得部41と、現在位置特定部42と、走行速度取得部43と、遅延時間取得部44と、遅延時間補正部45と、遅延距離算出部46と、遅延距離補正部47と、動作条件取得部48と、動作指示信号出力部49として機能する。以下、各構成部についてより詳細に説明する。
【0033】
位置情報取得部41は、位置検出手段2から位置情報を取得するものである。本実施形態において、位置情報取得部41は、位置検出手段2から所定の取得周期で位置情報(緯度・経度)を取得し、現在位置特定部42へ受け渡すようになっている。また、本実施形態において、位置情報取得部41による取得周期は2Hz以上(0.5秒以下)に設定されており、遅延が抑制されている。
【0034】
現在位置特定部42は、位置情報に対応する車両12の現在位置を特定するものである。本実施形態において、現在位置特定部42は、位置情報取得部41で取得された位置情報(緯度・経度)に基づいて、位置データ記憶部32内の位置データを参照し、道路上における車両12の現在位置(キロポスト値)を特定する。
【0035】
走行速度取得部43は、車両12の走行速度を取得するものである。本実施形態において、走行速度取得部43は、車両12から出力される車速パルスや衛星測位システム(GNNS)等から走行速度を取得し、遅延距離算出部46および遅延時間補正部45に受け渡すようになっている。
【0036】
遅延時間取得部44は、位置情報を取得してからアクチュエータ11が動作を開始するまでの遅延時間を取得するものである。本実施形態において、遅延時間取得部44は、遅延時間記憶部33に記憶されている遅延時間を取得し、遅延距離算出部46へ受け渡すようになっている。
【0037】
遅延時間補正部45は、車両12の固有遅延時間に基づいて、遅延時間を補正するものである。本実施形態において、遅延時間補正部45は、走行速度取得部43によって取得された走行速度に応じた固有遅延時間を固有遅延時間記憶部34から取得する。そして、遅延時間補正部45は、当該固有遅延時間を遅延時間に加算することにより、遅延時間を補正する。なお、固有遅延時間記憶部34に固有遅延時間が登録されていない場合、遅延時間補正部45を機能させる必要はない。
【0038】
遅延距離算出部46は、遅延時間内に車両12が走行する遅延距離を算出するものである。本実施形態において、遅延距離算出部46は、走行速度取得部43によって取得された走行速度と、遅延時間取得部44によって取得された遅延時間とを乗算することにより、遅延距離を算出する。また、遅延時間補正部45によって遅延時間が補正された場合、遅延距離算出部46は、当該補正後の遅延時間に基づいて遅延距離を算出する。
【0039】
遅延距離補正部47は、オフセット距離に基づいて、遅延距離を補正するものである。本実施形態において、遅延距離補正部47は、オフセット距離記憶部35に記憶されているオフセット距離を取得し、遅延距離算出部46によって算出された遅延距離に加算することにより、遅延距離を補正する。なお、オフセット距離記憶部35にオフセット距離が登録されていない場合、遅延距離補正部47を機能させる必要はない。
【0040】
動作条件取得部48は、アクチュエータ11の動作条件を取得するものである。本実施形態において、動作条件取得部48は、現在位置特定部42によって特定された現在位置から、遅延距離算出部46によって算出された遅延距離分だけ前方の位置における動作条件を動作条件記憶部36から取得する。また、遅延距離補正部47によって遅延距離が補正された場合、動作条件取得部48は、当該補正後の遅延距離分だけ前方の位置における動作条件を取得する。
【0041】
動作指示信号出力部49は、動作条件を実行させるための動作指示信号をアクチュエータ11に出力するものである。本実施形態において、動作指示信号出力部49は、動作条件取得部48によって取得された動作条件で定められた動作を実行させるための動作指示信号を所定の周期でアクチュエータ11に出力する。また、本実施形態において、動作指示信号出力部49による出力周期は2Hz以上(0.5秒以下)に設定されており、遅延が抑制されている。
【0042】
つぎに、本実施形態の動作制御装置1、これを備えた動作制御システム10、動作制御プログラム1aおよび動作制御方法による作用について説明する。
【0043】
本実施形態の動作制御装置1、動作制御システム10、動作制御プログラム1aおよび動作制御方法を用いて、アクチュエータ11に所定の位置で所定の動作を実行させる場合、まず、位置情報取得部41が位置検出手段2から位置情報を取得する(ステップS1:位置情報取得ステップ)。このとき、本実施形態では、位置情報取得部41が2Hz以上の取得周期で位置情報を取得するため、遅延が抑制される。
【0044】
つぎに、現在位置特定部42が、位置情報に対応する車両12の現在位置を特定するとともに(ステップS2:現在位置特定ステップ)、走行速度取得部43が、車両12の走行速度を取得する(ステップS3:走行速度取得ステップ)。
【0045】
つづいて、遅延時間取得部44が、遅延時間を取得するとともに(ステップS4:遅延時間取得ステップ)、遅延時間補正部45が、車両12の固有遅延時間に基づいて遅延時間を補正する(ステップS5:遅延時間補正ステップ)。これにより、車両12の個体差や走行速度によって異なる遅延を加味した遅延時間が正確に算出される。
【0046】
つぎに、遅延距離算出部46が、遅延時間内に車両12が走行する遅延距離を算出するとともに(ステップS6:遅延距離算出ステップ)、遅延距離補正部47が、オフセット距離を用いて当該遅延距離を補正する(ステップS7:遅延距離補正ステップ)。これにより、位置検出手段2とアクチュエータ11とが離れて搭載されている場合でも、その位置関係によらず正確な遅延距離が算出される。
【0047】
つづいて、動作条件取得部48が、ステップS2で特定された現在位置から、ステップS6で算出された遅延距離またはステップS7で補正された遅延距離の分だけ前方の位置における動作条件を取得する(ステップS8:動作条件取得ステップ)。これにより、遅延時間に応じて遅延する遅延距離分だけ前方の動作条件が先読みされる。
【0048】
つぎに、動作指示信号出力部49が、ステップS8で取得した動作条件を実行させるための動作指示信号をアクチュエータ11に出力する(ステップS9:動作指示信号出力ステップ)。これにより、遅延距離分だけ前方の動作条件に従ってアクチュエータ11が動作するため、動作条件によって定められた位置で高精度にアクチュエータ11が動作する。このとき、本実施形態では、動作指示信号出力部49が2Hz以上の出力周期で動作指示信号を出力するため、遅延が抑制される。
【0049】
その後、アクチュエータ11の動作を継続する限り(ステップS10:NO)、ステップS1からステップS9の処理ステップを繰り返す。そして、アクチュエータ11の動作終了に伴って(ステップS10:YES)、本処理が終了する。
【0050】
以上のような本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1.動作条件によって定められた位置で高精度にアクチュエータ11を動作させることができる。
2.車両12の個体差や走行速度によって異なる遅延を加味した遅延時間を正確に算出することができる。
3.位置検出手段2とアクチュエータ11との位置関係が離れていても、正確な遅延距離を算出することができる。
4.位置情報の取得や動作指示信号の出力に起因する遅延を防止することができる。
5.凍結防止剤散布装置に適用した場合、散布条件で定められた散布区間に正確に凍結防止剤を散布することができる。このため、凍結防止剤が必要な路面には確実に散布して凍結路面に起因する事故を防止する一方、凍結防止剤が不要な路面には確実に散布せず、凍結防止剤にかかる費用を低減することができる。
【0051】
なお、本発明に係る動作制御装置1、これを備えた動作制御システム10、動作制御プログラム1aおよび動作制御方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0052】
例えば、上述した本実施形態では、凍結防止剤散布車に搭載された凍結防止剤散布装置に適用した場合について説明したが、この構成に限定されるものではない。除雪機械に搭載されているプラウやグレーダー、またはロータリー除雪車に搭載されているシュート等もアクチュエータ11によって動作されているため、同様に本発明を適用することができる。
【0053】
具体的には、除雪機械のプラウやグレーダーは、路面に圧をかけながら除雪するものである。しかしながら、道路のジョイント部分では、プラウやグレーダーが引っ掛かって破損するおそれがあるため、圧を緩めるか少し浮かせる必要がある。そこで、本発明を適用することにより、ジョイント部分を通過するときだけ、プラウやグレーダーを上昇させ、それ以外の箇所では下降させるという自動制御を高精度に実現することができる。これにより、ジョイント部分およびプラウやグレーダーの破損を防止することができる。
【0054】
また、ロータリー除雪車のシュートは、盛土区間であれば路外に向けて投雪し、切土区間であれば法面に向けて投雪する。一方、下方にも道路があるような橋梁等では、路外に投雪できないため、トラック等で運搬・排雪する必要がある。そこで、本発明を適用することにより、橋梁の直前までは路外等に向けて投雪させ、橋梁内を通過するときだけ、橋梁内に投雪させるという自動制御を高精度に実現することができる。これにより、高コストな運搬・排雪費用を最小限に抑えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 動作制御装置(自動散布制御装置)
1a 動作制御プログラム
2 位置検出手段
3 記憶手段
4 演算処理手段
10 動作制御システム
11 アクチュエータ(凍結防止剤散布装置)
12 車両(凍結防止剤散布車)
31 プログラム記憶部
32 位置データ記憶部
33 遅延時間記憶部
34 固有遅延時間記憶部
35 オフセット距離記憶部
36 動作条件記憶部
41 位置情報取得部
42 現在位置特定部
43 走行速度取得部
44 遅延時間取得部
45 遅延時間補正部
46 遅延距離算出部
47 遅延距離補正部
48 動作条件取得部
49 動作指示信号出力部
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御装置であって、
所定の走行位置に対応付けて前記アクチュエータの動作を予め定めた動作条件を記憶する動作条件記憶部と、
位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定部と、
前記車両の走行速度を取得する走行速度取得部と、
前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得部と、
前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出部と、
前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における前記動作条件を取得する動作条件取得部と、
前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力部と、
を有する、動作制御装置。
【請求項2】
前記動作指示信号を受信した前記アクチュエータが動作を開始するまでの間において、前記車両ごとに固有に遅延する時間である固有遅延時間に基づいて、前記遅延時間を補正する遅延時間補正部を有している、請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項3】
前記位置検出手段から前記アクチュエータまでのオフセット距離に基づいて、前記遅延距離を補正する遅延距離補正部を有している、請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項4】
車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御装置であって、
位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定部と、
前記車両の走行速度を取得する走行速度取得部と、
前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得部と、
前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出部と、
前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における動作条件を取得する動作条件取得部と、
前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力部と、
前記位置検出手段から前記アクチュエータまでのオフセット距離に基づいて、前記遅延距離を補正する遅延距離補正部と、
を有する、動作制御装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の動作制御装置と、前記動作制御装置によって制御される前記アクチュエータとを備えた動作制御システム。
【請求項6】
車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御プログラムであって、
所定の走行位置に対応付けて前記アクチュエータの動作を予め定めた動作条件を記憶する動作条件記憶部と、
位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定部と、
前記車両の走行速度を取得する走行速度取得部と、
前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得部と、
前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出部と、
前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における前記動作条件を取得する動作条件取得部と、
前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力部としてコンピュータを機能させる、動作制御プログラム。
【請求項7】
車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御方法であって、
動作条件記憶部には、所定の走行位置に対応付けて前記アクチュエータの動作を予め定めた動作条件が記憶されており、
位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定ステップと、
前記車両の走行速度を取得する走行速度取得ステップと、
前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得ステップと、
前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出ステップと、
前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における前記動作条件を取得する動作条件取得ステップと、
前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力ステップと、
を有する、動作制御方法。
【請求項8】
車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御プログラムであって、
位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定部と、
前記車両の走行速度を取得する走行速度取得部と、
前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得部と、
前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出部と、
前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における動作条件を取得する動作条件取得部と、
前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力部と
前記位置検出手段から前記アクチュエータまでのオフセット距離に基づいて、前記遅延距離を補正する遅延距離補正部としてコンピュータを機能させる、動作制御プログラム。
【請求項9】
車両に搭載されたアクチュエータの動作を制御する動作制御方法であって、
位置検出手段から位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報から前記車両の現在位置を特定する現在位置特定ステップと、
前記車両の走行速度を取得する走行速度取得ステップと、
前記位置情報を取得してから前記アクチュエータが動作を開始するまでの遅延時間を取得する遅延時間取得ステップと、
前記走行速度と前記遅延時間とに基づいて、前記遅延時間内に前記車両が走行する遅延距離を算出する遅延距離算出ステップと、
前記現在位置から前記遅延距離分だけ前方の位置における動作条件を取得する動作条件取得ステップと、
前記動作条件を実行させるための動作指示信号を前記アクチュエータに出力する動作指示信号出力ステップと、
前記位置検出手段から前記アクチュエータまでのオフセット距離に基づいて、前記遅延距離を補正する遅延距離補正ステップと、
を有する、動作制御方法。