(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176269
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】フラット電線、ワイヤーハーネス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 7/08 20060101AFI20241212BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20241212BHJP
H01B 13/012 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01B7/08
H01B7/00 301
H01B13/012 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094707
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】岡野 賢一郎
【テーマコード(参考)】
5G309
5G311
【Fターム(参考)】
5G309AA02
5G311CA01
5G311CB01
5G311CB02
5G311CC07
5G311CD03
5G311CF03
(57)【要約】
【課題】複数の電線間の接続のための専用部品を不要とすることにより、製造工程数の増加及び製造コストの増加を抑制することができるフラット電線、ワイヤーハーネス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】フラット電線1は、並列に配設される複数の第1導体2と、複数の第1導体2と共に格子状の導電パターンを形成するように並列に配設され、複数の第1導体2間を電気的に接続する複数の第2導体3とを備える。フラット電線1は、第1導体2の一端及び他端が露出するように、複数の第1導体2及び複数の第2導体3を被覆する絶縁体4を備える。絶縁体4から露出された第1導体2の一端には、第1端子5が電気的に接続され、絶縁体4から露出された第1導体2の他端には、第2端子6が電気的に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配設される複数の第1導体と、
複数の前記第1導体と共に格子状の導電パターンを形成するように並列に配設され、複数の前記第1導体間を電気的に接続する複数の第2導体と、
前記第1導体の一端及び他端が露出するように、複数の前記第1導体及び複数の前記第2導体を被覆する絶縁体と、
前記絶縁体から露出された前記第1導体の一端に電気的に接続される第1端子と、
前記絶縁体から露出された前記第1導体の他端に電気的に接続される第2端子と、を備える、
フラット電線。
【請求項2】
前記第1端子及び前記第2端子の内の所定の端子が切除され、残余の端子と複数の前記第1導体と複数の前記第2導体とにより導電経路が形成されている、請求項1に記載のフラット電線。
【請求項3】
複数の前記第1導体及び複数の前記第2導体の所定部位が前記絶縁体と共に切除され、複数の前記第1導体及び複数の前記第2導体の残余の部位と前記第1端子と前記第2端子とにより導電経路が形成されている、請求項1に記載のフラット電線。
【請求項4】
前記第2導体の一端及び他端の少なくとも一方が前記絶縁体から露出され、前記絶縁体から露出された前記第2導体の一端又は他端には、第3端子が電気的に接続されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のフラット電線。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載のフラット電線を備え、
前記フラット電線の前記絶縁体は、丸められた状態又は折り畳まれた状態とされ、その状態が維持されるように前記絶縁体の所定部位同士が接合されている、
ワイヤーハーネス。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載のフラット電線を備え、
複数の前記フラット電線の前記絶縁体同士が重ね合わされている、
ワイヤーハーネス。
【請求項7】
請求項1に記載のフラット電線を備えるワイヤーハーネスを製造する方法であって、
前記第1端子及び前記第2端子の内の所定の端子と、複数の前記第1導体及び複数の前記第2導体の所定部位と、の内の少なくとも1つを切除することにより、残余の端子と導体とにより導電経路を形成する工程を備える、
ワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項8】
前記第1端子及び前記第2端子の内の所定の端子を切除することにより、残余の端子と複数の前記第1導体と複数の前記第2導体とにより前記導電経路が形成される、請求項7に記載のワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項9】
複数の前記第1導体及び複数の前記第2導体の所定部位を前記絶縁体と共に切除することにより、複数の前記第1導体及び複数の前記第2導体の残余の部位と前記第1端子と前記第2端子とにより前記導電経路が形成される、請求項7に記載のワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項10】
前記フラット電線の前記絶縁体を、丸められた状態又は折り畳まれた状態とし、その状態が維持されるように前記絶縁体の所定部位同士を接合する工程をさらに備える、請求項7から9のいずれか一項に記載のワイヤーハーネスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラット電線、ワイヤーハーネス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電線間の接続は、一般的に、端子、コネクタ及びバスバー等を介して行われる(例えば、特許文献1参照)。特にコネクタ及びバスバー等は、接続が必要な電線の本数、接続パターン毎に専用の部品を設定することが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電線間の接続のためには、接続が必要な電線の本数、接続パターン毎に、コネクタ及びバスバー等を専用の部品として個別に用意して、それらの専用の部品を複数の電線間に組み付ける必要があり、製造工程数の増加及び製造コストの増加を招いていた。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、複数の電線間の接続のための専用部品を不要とすることにより、製造工程数の増加及び製造コストの増加を抑制することができるフラット電線、ワイヤーハーネス及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るフラット電線は、並列に配設される複数の第1導体と、複数の第1導体と共に格子状の導電パターンを形成するように並列に配設され、複数の第1導体間を電気的に接続する複数の第2導体と、第1導体の一端及び他端が露出するように、複数の第1導体及び複数の第2導体を被覆する絶縁体と、絶縁体から露出された第1導体の一端に電気的に接続される第1端子と、絶縁体から露出された第1導体の他端に電気的に接続される第2端子と、を備える。
【0007】
本発明の態様に係るワイヤーハーネスは、上述のフラット電線を備え、フラット電線の絶縁体は、丸められた状態又は折り畳まれた状態とされ、その状態が維持されるように絶縁体の所定部位同士が接合されている。
【0008】
本発明の他の態様に係るワイヤーハーネスは、上述のフラット電線を備え、複数のフラット電線の絶縁体同士が重ね合わされている。
【0009】
本発明の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法は、上述のフラット電線を備えるワイヤーハーネスを製造する方法であって、第1端子及び第2端子の内の所定の端子と、複数の第1導体及び複数の第2導体の所定部位と、の内の少なくとも1つを切除することにより、残余の端子と導体とにより導電経路を形成する工程を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の電線間の接続のための専用部品を不要とすることにより、製造工程数の増加及び製造コストの増加を抑制することができるフラット電線、ワイヤーハーネス及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るフラット電線の一例を示す概略的な平面図である。
【
図4A】フラット電線の絶縁体を丸めてワイヤーハーネスを形成した状態を示す概略的な断面図である。
【
図4B】フラット電線の絶縁体を折り畳んでワイヤーハーネスを形成した状態を示す概略的な断面図である。
【
図5A】本実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法の一例を示す概略的な平面図である。
【
図5B】本実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法の一例を示す概略的な平面図である。
【
図5C】本実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法の一例を示す概略的な平面図である。
【
図6A】本実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法の別の例を示す概略的な平面図である。
【
図6B】本実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法の別の例を示す概略的な平面図である。
【
図6C】本実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法の別の例を示す概略的な平面図である。
【
図7】本実施形態に係るフラット電線の別の例を示す概略的な平面図である。
【
図8】本実施形態に係るフラット電線の別の例を示す概略的な平面図である。
【
図9】本実施形態に係るワイヤーハーネスの別の例を示す概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本実施形態に係るフラット電線、ワイヤーハーネス及びその製造方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0013】
図1から
図3に示すように、フラット電線1は、複数の第1導体2と、複数の第2導体3と、絶縁体4と、第1端子5と、第2端子6とを備える。
【0014】
複数の第1導体2は、並列に配設されている。すなわち、複数の第1導体2は、互いに対して平行に延在している。図示例では4本の第1導体2が並列に配設されているが、これに限定はされず、2本以上の第1導体2が配列されていればよい。第1導体2は、導電性の金属材料から形成され、例えば複数の素線を撚り合わせて構成される。また、第1導体2が、後述する接点7、第1端子5との接続箇所及び第2端子6との接続箇所を除いて、樹脂からなる絶縁被覆によって被覆されていてもよい。
【0015】
複数の第2導体3は、複数の第1導体2と共に格子状の導電パターンを形成するように並列に配設され、複数の第1導体2間を電気的に接続する。すなわち、複数の第2導体3は、互いに対して平行に延在している。図示例では6本の第2導体3が並列に配設されている。第2導体3は、導電性の金属材料から形成され、例えば複数の素線を撚り合わせて構成される。また、第2導体3が、後述する接点7を除いて、樹脂からなる絶縁被覆によって被覆されていてもよい。
【0016】
本実施形態では、複数の第2導体3が半数ずつの導体群(第1の導体群31、第2の導体群32)に分けられている。3本の第2導体3を含む第1の導体群31が、絶縁体4の長辺方向中間位置Cよりも第1導体2の一端側(第1端子5側)寄りに配置されている。その一方、残りの3本の第2導体3を含む第2の導体群32が、絶縁体4の長辺方向中間位置Cよりも第1導体2の他端側(第2端子6側)寄りに配置されている。そして、各第2導体3が接点7を介して各第1導体2に電気的に接続されて、複数の第2導体3が複数の第1導体2と共に格子状の導電パターンを形成している。
【0017】
絶縁体4は、第1導体2の一端及び他端が露出するように、複数の第1導体2及び複数の第2導体3を被覆する。この絶縁体4は、一対の絶縁性樹脂被覆層41,42(
図2及び
図3参照)を有して構成されており、これら一対の絶縁性樹脂被覆層41,42の間には、前述の複数の第1導体2、複数の第2導体3及び接点7が配置されている。絶縁体4(絶縁性樹脂被覆層41,42)は、第1導体2の延在方向に沿って帯状又はテープ状に延在しており、平面視において矩形状に形成されている(
図1参照)。
【0018】
第1端子5は、絶縁体4から露出された第1導体2の一端(
図1中の左側端)に電気的に接続される。その一方、第2端子6は、絶縁体4から露出された第1導体2の他端(
図1中の右側端)に電気的に接続される。すなわち、絶縁体4から露出された第1導体2の一端には、第1端子5が電気的に接続され、絶縁体4から露出された第1導体2の他端には、第2端子6が電気的に接続される。第1端子5及び第2端子6の種類は、特に限定はされない。
【0019】
フラット電線1は、
図2に示すフラットの状態でワイヤーハーネスとして使用してもよく、
図4A及び
図4Bに示すように、ワイヤーハーネスに搭載できる形状に加工して使用してもよい。なお、
図4A及び
図4Bにおいては、フラット電線1の絶縁体4を1枚のシートとして概略的に示しており、また、複数の第1導体2等は図示省略している。
【0020】
図4Aに示すワイヤーハーネス10Aは、フラット電線1を備え、フラット電線1の絶縁体4が丸められた状態とされ、その状態が維持されるように絶縁体4の所定部位同士が圧着等により接合されている。すなわち、絶縁体4の外縁を含む所定部位が接合部11Aを介して接合されている。
【0021】
図4Bに示すワイヤーハーネス10Bは、フラット電線1を備え、フラット電線1の絶縁体4が2つに折り畳まれた状態とされ、その状態が維持されるように絶縁体4の所定部位同士が圧着等により接合されている。すなわち、絶縁体4の外縁を含む所定部位が接合部11Bを介して接合されている。
【0022】
以下、ワイヤーハーネスの製造方法の一例を説明する。
【0023】
図5Aに示すように、フラット電線1における使用しない端末の部分を、例えば自動機を用いてカット(切除)する。
図5Aにおいては、図中下側の3本の第1導体2の露出している部分を絶縁体4の端末と共に切除するものとする。切除した第1導体2及び絶縁体4はまとめて回収し、溶解する等して再利用することが可能である。なお、当該工程において切除するフラット電線1の端末の領域を、
図5A中に符号A1Aで示す。
【0024】
図5Bに示すように、導電パターンにおける接続に不要な部分を、例えば自動機を用いてカット(切除)する。
図5Bにおいては、第1の導体群31における第2導体3の第1導体2間の接続箇所(図中最も上側)を絶縁体4と共に切除するものとする。また、第2の導体群32における第2導体3の第1導体2間の接続箇所(図中上側)を最も第2端子6側寄りの部分を除いて絶縁体4と共に切除し、当該接続箇所よりも図中下側で且つ第2端子6側寄りの第1導体2の第2導体3間の接続箇所を切除する。切除した第1導体2、第2導体3及び絶縁体4はまとめて回収し、溶解する等して再利用することが可能である。なお、当該工程において切除する絶縁体4の領域を、
図5B中に符号A2Aで示す。
【0025】
なお、第1端子5及び第2端子6は、前述の第1導体2、第2導体3及び絶縁体4をカット(切除)する工程の後に第1導体2の端部に接続するようにしてもよい。また、第1導体2及び第2導体3におけるカットした箇所(切断面)に、絶縁処理を施すようにしてもよい。
【0026】
このように、必要な端子数、回路パターン及び電線長等に応じて、第1導体2、第2導体3及び絶縁体4をカット(切除)することにより、
図5Cに示すような導電経路51Aを有するワイヤーハーネス10Aを得ることができる。なお、導電経路51Aは図中に太線で示し、第1導体2、第2導体3及び絶縁体4をカットすることにより生じた貫通孔部は図中に符号HAで示す。この導電経路51Aにおいては、図中最も上側の1本の第1端子5と、4本の第2端子6とを接続する導電経路が形成されている。
【0027】
以下、ワイヤーハーネスの製造方法の別の例を説明する。
【0028】
図6Aに示すように、フラット電線1における使用しない端末の部分を、例えば自動機を用いてカット(切除)する。
図6Aにおいては、図中上下方向中央の2本の第1導体2の露出している部分を絶縁体4の端末と共に切除するものとする。切除した第1導体2及び絶縁体4はまとめて回収し、溶解する等して再利用することが可能である。なお、当該工程において切除するフラット電線1の端末の領域を、
図6A中に符号A1Bで示す。
【0029】
図6Bに示すように、導電パターンにおける接続に不要な部分を、例えば自動機を用いてカット(切除)する。
図6Bにおいては、第1の導体群31における第2導体3の第1導体2間の接続箇所(図中上側及び図中下側)を絶縁体4と共に切除するものとする。また、第2の導体群32における第2導体3の第1導体2間の接続箇所(図中上側及び図中下側)を最も第2端子6側寄りの部分を除いて絶縁体4と共に切除する。さらに、当該接続箇所よりも図中上下方向中間側で且つ第2端子6側寄りの第1導体2及び第2導体3の部分を切除する。切除した第1導体2、第2導体3及び絶縁体4はまとめて回収し、溶解する等して再利用することが可能である。なお、当該工程において切除する絶縁体4の領域を、
図6B中に符号A2Bで示す。
【0030】
なお、第1端子5及び第2端子6は、前述の第1導体2、第2導体3及び絶縁体4をカット(切除)する工程の後に第1導体2の端部に接続するようにしてもよい。また、第1導体2及び第2導体3におけるカットした箇所(切断面)に、絶縁処理を施すようにしてもよい。
【0031】
このように、必要な端子数、回路パターン及び電線長等に応じて、第1導体2、第2導体3及び絶縁体4をカット(切除)することにより、
図6Cに示すような導電経路51Bを有するワイヤーハーネス10Bを得ることができる。なお、導電経路51Bは図中に太線で示し、第1導体2、第2導体3及び絶縁体4をカットすることにより生じた貫通孔部は図中に符号HBで示す。この導電経路51Bにおいては、図中最も上側の1本の第1端子5と、図中上側の2本の第2端子6とを接続する導電経路、並びに、図中最も下側の1本の第1端子5と、図中下側の2本の第2端子6とを接続する導電経路が形成されている。
【0032】
以下、フラット電線及びワイヤーハーネスの別の構成例を説明する。
【0033】
図7及び
図8に示すように、フラット電線1A,1Bが第3端子8をさらに備えていてもよい。
【0034】
図7に示すフラット電線1Aでは、絶縁体4の長手方向中間部に、複数(2本)の第2導体3が並列に配設されており、これら複数の第2導体3が第3の導体群33を形成している。第3の導体群33においても、各第2導体3が接点7を介して各第1導体2に電気的に接続されて、複数の第2導体3が複数の第1導体2と共に格子状の導電パターンを形成している。また、
図7に示すフラット電線1Aでは、第2導体3の一端(図中上側)が絶縁体4から露出され、絶縁体4から露出された第2導体3の一端に、第3端子8が電気的に接続されている。
【0035】
図8に示すフラット電線1Bでは、絶縁体4の長手方向中間部に、複数(2本)の第2導体3が並列に配設されており、これら複数の第2導体3が第3の導体群33を形成している。第3の導体群33においても、各第2導体3が接点7を介して各第1導体2に電気的に接続されて、複数の第2導体3が複数の第1導体2と共に格子状の導電パターンを形成している。また、
図8に示すフラット電線1Bでは、第2導体3の一端(図中上側)及び他端(図中下側)が絶縁体4から露出され、絶縁体4から露出された第2導体3の一端及び他端にそれぞれ、第3端子8が電気的に接続されている。
【0036】
図9に示すように、ワイヤーハーネス20が、複数のフラット電線1,1Bを備え、複数のフラット電線1,1Bの絶縁体4同士が重ね合わされていてもよい。
図9に示すワイヤーハーネス20では、
図1に示されたフラット電線1と、
図8に示されたフラット電線1Bとを有して構成されている。
【0037】
このように、本実施形態の態様に係るフラット電線1は、並列に配設される複数の第1導体2と、複数の第1導体2と共に格子状の導電パターンを形成するように並列に配設され、複数の第1導体2間を電気的に接続する複数の第2導体3とを備える。また、フラット電線1は、第1導体2の一端及び他端が露出するように、複数の第1導体2及び複数の第2導体3を被覆する絶縁体4を備える。さらに、フラット電線1は、絶縁体4から露出された第1導体2の一端に電気的に接続される第1端子5と、絶縁体4から露出された第1導体2の他端に電気的に接続される第2端子6とを備える。
【0038】
フラット電線1では、第1端子5と第2端子6との間に複数の第1導体2及び複数の第2導体3による格子状の導電パターンが形成されている。このため、必要な端子数、回路パターン及び電線長等に応じて、所定の端子及び導体をカット(切除)することにより、所望の導電経路51A,51Bを形成することができる(
図5C、
図6C参照)。
【0039】
以上、本実施形態によれば、複数の電線間の接続のための専用部品を不要とすることにより、製造工程数の増加及び製造コストの増加を抑制することができるフラット電線1を提供することができる。
【0040】
フラット電線1において、第1端子5及び第2端子6の内の所定の端子が切除され、残余の端子と複数の第1導体2と複数の第2導体3とにより導電経路51A.51Bが形成されていてもよい。
【0041】
必要な端子数、回路パターン及び電線長等に応じて、第1端子5及び第2端子6の内の所定の端子をカット(切除)することにより、所望の導電経路51A.51Bを形成することができる(
図5C、
図6C参照)。
【0042】
フラット電線1において、複数の第1導体2及び複数の第2導体3の所定部位が絶縁体4と共に切除され、複数の第1導体2及び複数の第2導体3の残余の部位と第1端子5と第2端子6とにより導電経路51A.51Bが形成されていてもよい。
【0043】
必要な端子数、回路パターン及び電線長等に応じて、複数の第1導体2及び複数の第2導体3の所定部位を絶縁体4と共にカット(切除)することにより、所望の導電経路51A.51Bを形成することができる(
図5C、
図6C参照)。
【0044】
フラット電線1A,1Bにおいて、第2導体3の一端及び他端の少なくとも一方が絶縁体4から露出され、絶縁体4から露出された第2導体3の一端又は他端には、第3端子8が電気的に接続されていてもよい。
【0045】
フラット電線1A,1Bが、第1端子5及び第2端子6に加えて、第3端子8をさらに備えることにより、フラット電線1の接続性を向上させることができる(
図7、
図8参照)。
【0046】
また、本実施形態の態様に係るワイヤーハーネス10A,10Bは、フラット電線1を備え、フラット電線1の絶縁体4は、丸められた状態又は折り畳まれた状態とされ、その状態が維持されるように絶縁体4の所定部位同士が接合されている。
【0047】
このようにフラット電線1を構成することにより、フラット電線1のワイヤーハーネスへの搭載性を向上させることができる(
図4A、
図4B参照)。
【0048】
また、本実施形態の他の態様に係るワイヤーハーネス20は、フラット電線1,1Bを備え、複数のフラット電線1,1Bの絶縁体4同士が重ね合わされている。
【0049】
ワイヤーハーネス20が複数のフラット電線1,1Bを有することにより、ワイヤーハーネス20の接続性を向上させることができる(
図9参照)。
【0050】
以上、本実施形態によれば、複数の電線間の接続のための専用部品を不要とすることにより、製造工程数の増加及び製造コストの増加を抑制することができるワイヤーハーネスを提供することができる。
【0051】
さらに、本実施形態の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法は、フラット電線1を備えるワイヤーハーネスを製造する方法である。当該製造方法は、第1端子5及び第2端子6の内の所定の端子と、複数の第1導体2及び複数の第2導体3の所定部位と、の内の少なくとも1つを切除することにより、残余の端子と導体とにより導電経路51A.51Bを形成する工程を備える。
【0052】
フラット電線1においては、第1端子5と第2端子6との間に複数の第1導体2及び複数の第2導体3による格子状の導電パターンが形成されている。このため、必要な端子数、回路パターン及び電線長等に応じて、フラット電線1の所定箇所をカット(切除)することにより、所望の導電経路51A.51Bを形成することができる(
図5C、
図6C参照)。
【0053】
以上、本実施形態によれば、複数の電線間の接続のための専用部品を不要とすることにより、製造工程数の増加及び製造コストの増加を抑制することができるワイヤーハーネスの製造方法を提供することができる。
【0054】
ワイヤーハーネスの製造方法において、第1端子5及び第2端子6の内の所定の端子を切除することにより、残余の端子と複数の第1導体2と複数の第2導体3とにより導電経路51A.51Bが形成されていてもよい。
【0055】
必要な端子数、回路パターン及び電線長等に応じて、第1端子5及び第2端子6の内の所定の端子をカット(切除)することにより、所望の導電経路51A.51Bを形成することができる(
図5C、
図6C参照)。
【0056】
当該製造方法において、複数の第1導体2及び複数の第2導体3の所定部位を絶縁体4と共に切除することにより、複数の第1導体2及び複数の第2導体3の残余の部位と第1端子5と第2端子6とにより導電経路51A.51Bが形成されていてもよい。
【0057】
必要な端子数、回路パターン及び電線長等に応じて、複数の第1導体2及び複数の第2導体3の所定部位を絶縁体4と共にカット(切除)することにより、所望の導電経路51A.51Bを形成することができる(
図5C、
図6C参照)。
【0058】
ワイヤーハーネスの製造方法は、フラット電線1の絶縁体4を、丸められた状態又は折り畳まれた状態とし、その状態が維持されるように絶縁体4の所定部位同士を接合する工程をさらに備えてもよい。
【0059】
このようにフラット電線1を構成することにより、フラット電線1のワイヤーハーネスへの搭載性を向上させることができる(
図4A、
図4B参照)。
【0060】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,1A,1B フラット電線
2 第1導体
3 第2導体
4 絶縁体
5 第1端子
6 第2端子
8 第3端子
10A,10B ワイヤーハーネス
20 ワイヤーハーネス
51A,51B 導電経路