(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176270
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241212BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241212BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G03G21/00 384
G03G15/00 303
B41J29/393 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094709
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】竹村 太一
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061BB10
2C061BB11
2C061CK08
2C061HH03
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HK15
2C061HM00
2C061KK12
2C061KK22
2C061KK25
2C061KK27
2C061KK32
2H270LA14
2H270LA22
2H270MA01
2H270MA08
2H270MA15
2H270MB01
2H270MB14
2H270MB28
2H270MB29
2H270MB31
2H270MB37
2H270PA53
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】複数の目標となる最大画像濃度に応じて、高精度に画像形成条件を補正することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、最大画像濃度の異なるノーマルモードと画像濃度アップモードのそれぞれに応じた画像形成条件で画像を形成することができる。CPU301は、ノーマルモードの第1画像形成条件と画像濃度アップモードの第2画像形成条件との差分値を記憶する。CPU301は、画像濃度調整を行う際に、第1画像形成条件の調整を行うことでノーマルモードの新たな第1画像形成条件を生成し、新たな第1画像形成条件と差分値とにより、新たな第2画像形成条件を生成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大画像濃度の異なる複数の画像形成モードのそれぞれに応じた画像形成条件で画像を形成することができる画像形成手段と、
画像形成条件に応じて、前記画像形成手段に画像を形成させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、第1画像形成モードの第1画像形成条件と第2画像形成モードの第2画像形成条件との差分値を記憶しておき、
前記制御手段は、画像濃度調整を行う際に、前記第1画像形成条件の調整を行うことで前記第1画像形成モードの新たな第1画像形成条件を生成し、前記新たな第1画像形成条件と前記差分値とにより、新たな第2画像形成条件を生成することを特徴とする、
画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段により画像が形成される像担持体と、
前記像担持体に形成された前記画像を検出する画像検出手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1画像形成条件で前記画像形成手段により前記像担持体に最大画像濃度の補正用のパターン画像を形成し、前記画像検出手段による前記パターン画像の検出結果に基づいて決定した前記第1画像形成条件の変更量により前記第1画像形成条件を変更することで前記新たな第1画像形成条件を生成することを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記画像形成手段により前記像担持体に最大画像濃度の補正用の画像濃度が異なる複数のパターン画像を形成し、前記画像検出手段による前記複数のパターン画像のそれぞれの検出結果に基づいて前記第1画像形成モードの目標となる画像濃度と前記第2画像形成モードの目標となる画像濃度とを取得し、それぞれの目標となる画像濃度から前記差分値を生成することを特徴とする、
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、画像濃度の変動に関する値に基づいて、前記第1画像形成条件の変更量を決定する処理を起動することを特徴とする、
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記画像形成手段による画像形成動作の積算回数に基づいて、前記第1画像形成条件の変更量を決定する処理を起動することを特徴とする、
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記画像形成手段により前記像担持体に最大画像濃度の補正用の画像濃度が異なる複数のパターン画像を形成し、前記画像検出手段による前記複数のパターン画像のそれぞれの検出結果に基づいて、前記差分値を生成することを特徴とする、
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成手段は、感光体と、前記感光体を一様に帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像する現像手段と、を備え、
前記画像形成条件は、前記帯電手段が前記感光体を帯電させるための帯電バイアス電圧、前記露光手段による露光量、前記現像手段が現像するための現像バイアス電圧、及び前記帯電バイアス電圧と前記露光量とにより決まる現像コントラスト、の少なくとも一つを含むことを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記差分値として前記第1画像形成条件と前記第2画像形成条件の前記現像コントラストの差分値を算出し、前記新たな第1画像形成条件の現像コントラストを生成し、前記新たな画像形成条件の現像コントラストと前記差分値とにより前記新たな第2画像形成条件の現像コントラストを生成することを特徴とする、
請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1画像形成モードの露光量と前記第2画像形成モードの露光量が同じであることを特徴とする、
請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1画像形成モードの最大画像濃度よりも前記第2画像形成モードの最大画像濃度が高画像濃度であることを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する、プリンタ、複写機、複合機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、家庭用の他に、主にオフィスで使用されるオフィスプリント機や商業分野で使用されるプロダクションプリント機がある。オフィスプリント機とプロダクションプリント機とでは、要求される最大画像濃度等の画質が異なる。近年、オフィスプリント機とプロダクションプリント機との両方で要求される画質を備える画像形成装置が提案されている。このような画像形成装置は、ユーザの用途に応じた画質で印刷することが要求される。例えば、オフィスプリント機として使用する場合には、オフィスプリント用途の画質が要求され、プロダクションプリント機として使用する場合には、プロダクションプリント用途の画質が要求される。
【0003】
このような要求に対して、目標とする最大画像濃度を複数設定可能であり、各最大画像濃度に応じて画像形成条件を変更することが可能な画像形成装置がある。特許文献1には、このような画像形成装置が開示される。この画像形成装置は、ページ間でトナーパターン画像を形成して目標の画像濃度に対する画像形成条件の補正を行い、別の目標の画像濃度に対する画像形成条件をトナーパターン画像を形成せずに補正量を算出して補正する。
【0004】
画像形成装置は、設置環境や構成部品の経年変化によって、画像形成条件を補正しても画像濃度が所定の画像濃度にならない場合がある。そのため画像形成装置は、目標となる画像濃度と実際に印刷された画像の画像濃度との差分を補正するキャリブレーションを実行する。カラー画像を形成する画像形成装置の場合、各色の画像濃度が変動することでカラーバランス(いわゆる色味)が変動する。そのため、各色の画像濃度の変動を抑制することは重要である。特許文献2には、異なる複数の画像形成条件で形成したトナーパターン画像により、最大画像濃度が目標の画像濃度となるように画像形成条件を調整する制御を開示する。画像形成条件には、露光量、帯電バイアス電圧、現像バイアス電圧等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-44740号公報
【特許文献2】特開2018-132544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される技術は、1つの画像形成条件によるトナーパターン画像から複数の目標の画像濃度に対する画像形成条件を決定するために、補正精度が低くなる。特に予め設定されたテーブル等で補正量を補正する場合、画像形成装置の状態変化による画像形成条件と画像濃度との関係の変化に対応できず、補正精度が低下する。
【0007】
特許文献2に開示される技術は、目標とする最大画像濃度毎に、画像形成条件の調整を行う必要がある。例えば、目標とする最大画像濃度が2種類ある場合、各々の画像形成条件を求めるために、画像形成条件の調整制御を2回行う必要がある。同様に、目標とする最大画像濃度が3種類ある場合、画像形成条件の調整制御を3回行う必要がある。このように、目標とする最大画像濃度が増加すると、画像形成条件の調整制御の回数も増加してしまう。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、複数の目標となる最大画像濃度に応じて、高精度に画像形成条件を補正することができる画像形成装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、最大画像濃度の異なる複数の画像形成モードのそれぞれに応じた画像形成条件で画像を形成することができる画像形成手段と、画像形成条件に応じて、前記画像形成手段に画像を形成させる制御手段と、を備え、前記制御手段は、第1画像形成モードの第1画像形成条件と第2画像形成モードの第2画像形成条件との差分値を記憶しておき、前記制御手段は、画像濃度調整を行う際に、前記第1画像形成条件の調整を行うことで前記第1画像形成モードの新たな第1画像形成条件を生成し、前記新たな第1画像形成条件と前記差分値とにより、新たな第2画像形成条件を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の目標となる最大画像濃度に応じて、高精度に画像形成条件を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】自動階調補正制御処理を表すフローチャート。
【
図8】画像濃度値と現像コントラストとの関係例示図。
【
図11】階調補正テーブルの作成処理を表すフローチャート。
【
図17】差分濃度と帯電バイアス変更量との関係の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の画像形成装置の構成図である。本実施形態の画像形成装置100は、中間転写方式でカラー画像を形成する。画像形成装置100は、例えば接触帯電方式及び二成分接触現像方式を採用した電子写真方式で画像を形成するレーザビーム複合機である。
【0014】
画像形成装置100は、4個の画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd、スキャナユニット31、中間転写ベルト11、二次転写部12、及び定着器9を備える。画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、中間転写ベルト11の回転方向に沿って直列に配列される。画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、それぞれ同様の構成を有しており、形成する画像の色が異なるのみである。本実施形態の画像形成部Paは、イエロー(Y)の画像を形成する。本実施形態の画像形成部Pbは、マゼンタ(M)の画像を形成する。本実施形態の画像形成部Pcは、シアン(C)の画像を形成する。本実施形態の画像形成部Pdは、ブラック(K)の画像を形成する。ここでは画像形成部Paの構成を説明し、画像形成部Pb、Pc、Pdの説明は省略する。
【0015】
図2は、画像形成部Paの構成図である。画像形成部Paは、感光ドラム1a、帯電器2a、露光器3a、現像器4a、ドラムクリーナ5a、及び一次転写部7aを有している。符号末尾の「a」は、画像形成部Paの構成部品であることを示す。同様に、符号末尾が「b」の場合は、画像形成部Pbの構成部品であることを示す。符号末尾が「c」の場合は、画像形成部Pcの構成部品であることを示す。符号末尾が「d」の場合は、画像形成部Pdの構成部品であることを示す。各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの感光ドラム1a、1b、1c、1dと一次転写部7a、7b、7c、7dとの間を通るように、中間転写体である中間転写ベルト11が配置されている。
【0016】
露光器3a、3b、3c、3dは、スキャナユニット31内に一体に構成される。スキャナユニット31は、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの下部に配置され、光源32、回転多面鏡33、及び露光窓34を含む。光源32は、各色に対応した数の(ここでは4つ)のレーザ光を出力する。光源32から出力された各レーザ光は、回転多面鏡33の回転により走査される。その走査光の光束は、複数の反射ミラーによって偏向され、fθレンズにより感光ドラム1a、1b、1c、1dの母線上を集光して露光する。
【0017】
光源32は、形成する画像を表す画像信号から生成されたレーザ駆動信号に基づきレーザ光の発光を制御する。画像信号は、各色に対応して用意されている。そのため各色のレーザ光の発光は、対応する色の画像信号に基づいて制御される。これにより、感光ドラム1a、1b、1c、1d上には、画像信号に応じた各色の静電潜像が形成される。
【0018】
現像器4a、4b、4c、4dは、それぞれ異なる色の現像剤が充填される。本実施形態では、現像剤として、非磁性トナーと磁性キャリアとが所定の混合比で混合された二成分現像剤を用いる例を説明する。現像器4aには、イエローの現像剤が充填される。現像器4bには、マゼンタの現像剤が充填される。現像器4cには、シアンの現像剤が充填される。現像器4dには、ブラックの現像剤が充填される。
【0019】
現像器4a、4b、4c、4dは、感光ドラム1a、1b、1c、1dに形成された静電潜像を、対応する色の現像剤で現像してトナー像を形成する。一次転写部7a、7b、7c、7dは、感光ドラム1a、1b、1c、1dの配置と中間転写ベルト11の回転速度とに応じたタイミングで、感光ドラム1a、1b、1c、1dに形成されたトナー像を、順次、中間転写ベルト11に重畳して転写する。中間転写ベルト11は、像担持体として機能し、回転することで、転写された各色のトナー像を二次転写部12へ搬送する。なお、転写後に感光ドラム1a、1b、1c、1dに残留するトナーは、ドラムクリーナ5a、5b、5c、5dにより除去される。
【0020】
画像が印字されるシートSは、給紙カセット14に収容されており、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdのそれぞれの画像形成のタイミングに応じて二次転写部12へ給送される。二次転写部12は、中間転写ベルト11に担持された各色のトナー像をシートSに一括して転写する。二次転写部12は、トナー像が転写されたシートSを定着器9へ搬送する。定着器9は、トナー像が転写されたシートSを加熱及び加圧することで、トナー像をシートSに定着させる。トナー像が定着したシートSは、成果物として画像形成装置100の機外に排出される。
【0021】
なお、中間転写ベルト11の回転方向で、二次転写部12によるトナー像の転写位置(二次転写位置)の下流側には、転写後に中間転写ベルト11に残留するトナーやかぶりトナーを除去するベルトクリーナ13が設けられる。ベルトクリーナ13は、中間転写ベルト11に常時接触して、中間転写ベルト11のクリーニングを行う。中間転写ベルト11の回転方向で、二次転写位置の上流側には、中間転写ベルト11が担持するトナー像を検出するための画像検出センサ50が配置される。
【0022】
このような構成の画像形成装置100の上部には、原稿の画像を読み取る画像読取装置であるドキュメントスキャナ200が配置される。さらに画像形成装置100の上部には、ユーザインタフェースとなる操作部300が配置される。
【0023】
本実施形態の画像形成装置100のプロセススピードは、例えば200[mm/sec]である。画像形成装置100は、このプロセススピードに基づいて画像形成処理を行う。画像形成装置100は、画像形成処理を開始すると、各画像形成部Pa~Pdにより感光ドラム1a~1dにトナー像を形成する。ここでは、
図2を参照して画像形成部Paの動作について説明する。他の画像形成部Pb~Pdは、画像形成部Paと同様の動作によりトナー像を形成する。
【0024】
画像形成部Paは、まず、帯電器2aにより感光ドラム1aの表面を一様に帯電処理する。感光ドラム1aは、表面に感光層を有するドラム形状の感光体であり、画像形成処理中は、ドラム軸を中心に矢印Y方向(
図2参照)に回転する。帯電器2aは、例えばローラ形状であり、芯金の両端部をそれぞれ不図示の軸受部材により回転自在に保持される。帯電器2aは、押圧部材21aにより感光ドラム1aに向かって付勢され、感光ドラム1aの表面に対して所定の押圧力で圧接される。これにより、帯電器2aは、感光ドラム1aの回転に従動して回転する。
【0025】
帯電器2aの芯金には、高圧電源部101aが接続される。高圧電源部101aは、帯電器2aの芯金に所定の条件の帯電バイアス電圧を印加する。これにより、回転する感光ドラム1aの表面が所定の極性で所定の電位に接触帯電処理される。本実施形態では、帯電器2aに印加される帯電バイアス電圧は、直流電圧と交流電圧とを重畳した振動電圧である。例えば、帯電バイアス電圧は、直流電圧に周波数が1.3[kHz]でピーク間電圧Vppが1.5[kV]の正弦波の交流電圧を重畳した振動電圧である。直流電圧が-600[V]の帯電バイアス電圧を印加すると、感光ドラム1aの表面は帯電器2aに印加された直流電圧と同じ-600[V](暗電位)に一様に帯電される。
【0026】
画像形成装置100は、帯電された感光ドラム1aの表面に、上記の通り、露光器3aによりレーザ光を照射することで静電潜像を形成する。画像形成装置100は、上記の通り、現像器4aにより感光ドラム1aの表面上の静電潜像にトナーを供給し、トナー像(現像剤像)を形成する。
【0027】
本実施形態の現像器4aは、非磁性トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤による磁気ブラシを、感光ドラム1aに接触させて現像を行う二成分接触現像方式である。また、本実施形態の非磁性トナーは負極性である。現像器4aは、現像剤担持体としての非磁性の現像スリーブ41aを備えている。現像スリーブ41aは、外周面の一部を現像器4aの外部に露呈し、感光ドラム1aと最近接距離(S-Dギャップ)を260[μm]に保持して、感光ドラム1aに近接対向配設されている。感光ドラム1aと現像スリーブ41aとの対向部分が現像部となる。
【0028】
現像スリーブ41aは、矢印X方向に回転駆動される。現像スリーブ41aには、高圧電源部102aから所定の現像バイアス電圧が印加される。本実施形態では、現像バイアス電圧は、直流電圧と交流電圧とを重畳した振動電圧である。例えば、現像バイアス電圧は、-450[V]の直流電圧に、周波数が8.0[kHz]でピーク間電圧Vppが1.8[kV]の矩形波の交流電圧を重畳した振動電圧である。現像バイアス電圧と、感光ドラム1a表面に形成された静電潜像との電位差によりトナーが静電潜像に付着することで、静電潜像が反転現像される。
【0029】
画像形成装置100は、一次転写部7aにより、感光ドラム1a上に形成されたトナー像を中間転写ベルト11に転写する。本実施形態の一次転写部7aは、ローラにより構成される。一次転写部7aは、感光ドラム1aに所定の押圧力をもって圧接されている。一次転写部7aには、高圧電源部103aからトナーの帯電極性である負極性とは逆極性の正極性の転写バイアス電圧が印加される。本実施形態では、転写バイアス電圧として、例えば+1k[V]の直流電圧が印加される。転写バイアス電圧の印加により、トナーは感光ドラム1aから中間転写ベルト11に転写される。
【0030】
図3は、ドキュメントスキャナ200の構成図である。ドキュメントスキャナ200は、筐体内に、第1ミラーユニット204a、第2ミラーユニット204b、画像センサ205、レンズ215、モータ216、原稿サイズ検知センサ213、及びホームポジションセンサ206を備える。ドキュメントスキャナ200は、筐体上に、原稿Dが載置可能な原稿台ガラス202を備える。原稿サイズ検知センサ213は。原稿台ガラス202に載置された原稿Dのサイズ検知に用いられる。
【0031】
第1ミラーユニット204aは、照明ランプ203及び第1ミラー207aを備える。第2ミラーユニット204bは、第2ミラー207b及び第3ミラー207cを備える。第1ミラーユニット204a及び第2ミラーユニット204bは、モータ216により駆動されてZ方向に移動可能である。
【0032】
原稿読取時には、モータ216に駆動されて、第1ミラーユニット204a及び第2ミラーユニット204bが一旦ホームポジションセンサ206の検知位置であるホームポジションまで移動する。原稿台ガラス202には、1枚の原稿Dが読取面を原稿台ガラス202側に向けて載置され、図示しない圧板やADFユニットにより原稿台ガラス202上に固定される。
【0033】
ドキュメントスキャナ200は、照明ランプ203を点灯して、原稿101の読取面に光を照射する。第1ミラーユニット204a及び第2ミラーユニット204bは、Z方向に移動しながら、第1ミラー207a、第2ミラー207b、及び第3ミラー207cにより、原稿101から反射された反射光(画像光)を偏向してレンズ215に導く。レンズ215は、画像光を画像センサ205の受光面上に結像させる。画像センサ205は、画像光を電気信号に変換する。このように原稿Dの画像が読み取られる。
【0034】
図4は、このような構成の画像形成装置100の動作を制御する制御システムの説明図である。制御システムは、主に、CPU(Central Processing unit)301とコントローラ87とが協働して画像形成装置100の動作を制御する。CPU301には、画像データ生成部302、スキャナ画像処理部305、スキャナ制御部306、モータ制御部91、給紙カセット14、画像検出センサ50、画像処理部84、I/F部85、タイマ90、及び高電圧制御部92が接続される。コントローラ87は、画像情報88が入力される。
【0035】
画像データ生成部302には、レーザ駆動部303a~303dを介して露光器3a~3dが接続される。スキャナ制御部306及びスキャナ画像処理部305には、ドキュメントスキャナ200が接続される。I/F部85には操作部300が接続される。高電圧制御部92には高圧電源部101a~101d、102a~102d、103a~103dが接続される。
【0036】
CPU301は、画像形成装置100内に設けられる各種センサやモータ等を電子写真プロセスに従って動作させるために、各種命令信号の生成や演算処理を実行する。また、CPU301は、内部にデータを記憶するためのメモリが内蔵されている。
【0037】
画像データ生成部302は、CPU301の制御により、画像信号をレーザ制御用のレーザ駆動信号に変換して、レーザ駆動部303a~303dへ送信する。画像データ生成部302には、各種調整用のトナーパターン画像を生成する機能も有する。レーザ駆動部303a~303dは、画像データ生成部302から取得するレーザ駆動信号に基づいて、露光器3a~3dのレーザ素子を駆動し、レーザ光の点灯や光量を制御する。
【0038】
スキャナ制御部306は、CPU301の制御により、ドキュメントスキャナ200の照明ランプ203の点灯制御や、モータ216の駆動制御を行う。スキャナ画像処理部305は、ドキュメントスキャナ200の画像センサ205から取得する電気信号に基づいて画像信号を生成し、CPU301へ送信する。モータ制御部91は、不図示の複数の駆動モータに電気的に接続されており、CPU301の制御により、各駆動モータの駆動タイミングや駆動速度の制御を行う。複数の駆動モータは、例えばシートSの搬送や感光ドラム1a~1dの回転駆動等を行う駆動源である。高電圧制御部92は、帯電バイアス電圧、現像バイアス電圧、転写バイアス電圧といった画像形成プロセスに必要となる各種バイアス電圧の出力を制御する。高電圧制御部92による制御により、高圧電源部101a~101d、102a~102d、103a~103dから出力される各バイアス電圧の出力タイミング、電圧値等が制御される。
【0039】
タイマ90は、CPU301の制御により計時を行う。I/F部85は、操作部300との間の通信インタフェースである。操作部300は、入力インタフェースと出力インタフェースとを有する。入力インタフェースは、例えばキーボタン、タッチパネル等である。出力インタフェース、例えばディスプレイ、スピーカ等である。CPU301は、I/F部85を介して、操作部300から指示等の入力を受け付ける。また、CPU301は、I/F部85を介して、操作部300のディスプレイに各種情報を表示する。なお、操作部300は、画像形成装置100に接続されるパーソナルコンピュータ等の外部装置であってもよい。
【0040】
給紙カセット14は、例えばシートSの有無を検知するセンサを搭載し、該センサの検知結果をCPU301へ送信する。CPU301はこの検知結果により給紙カセット14内のシートSの有無を判断し、シートSが無い場合に操作部300によりシートSの補充を指示する。また、CPU301は、給紙カセット14内のシートSのリフトアップ等の制御を行う。
【0041】
画像処理部84は、画像情報88をコントローラ87からCPU301を介して取得し、CPU301の制御により、画像情報88に含まれる画像信号に所定の画像処理を行う。画像データ生成部302で生成されるレーザ駆動信号は、画像処理部84で処理された画像信号(画像情報88)に基づいて生成される。画像検出センサ50は、CPU301の制御により動作し、中間転写ベルト11に担持されたトナー像を検出する。画像検出センサ50は、トナー像の検出結果をCPU301へ送信する。
【0042】
図5は、画像検出センサ50の構成説明図である。本実施形態の画像検出センサ50は、正反射タイプであり、発光部51、受光部52、及び制御部53を有する。発光部51は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子により構成される。受光部52は、例えばフォトダイオード等の受光素子により構成される。制御部53は、画像検出センサ50の動作をCPU301からの指示により制御する半導体装置である。例えば制御部53は、発光部51の発光量(照射光量)を制御する。
【0043】
発光部51は、中間転写ベルト11のトナー像を担持する面に光を照射する。発光部51は、当該面の法線に対して45度の角度で光を照射するように配置されている。受光部52は、当該面の法線を基準にして発光部51に対して対称となるように配置されている。このような配置により受光部52は、発光部51による光の照射領域を通過する中間転写ベルト11の下地又はトナー像からの正反射光を受光し、その受光結果(反射光レベル)に応じた値を出力する。発光部51による光の照射領域が画像検出センサ50による測定領域となる。
【0044】
図5は、中間転写ベルト11に担持されたトナー像が画像検出センサ50の測定領域を通過する状態を示す。トナー像は、画像濃度を検出するためのトナーパターン画像P1である。画像検出センサ50によるトナーパターン画像P1の検出結果である検出値は、トナーパターン画像P1の画像濃度に応じて変動する。CPU301は、画像検出センサ50によるトナーパターン画像P1の検出値を画像濃度値に変換する。CPU301は、例えば画像処理部84が有する検出値と画像濃度値との変換テーブルにより、画像検出センサ50によるトナーパターン画像P1の検出値から画像濃度値を取得する。変換テーブルは、画像検出センサ50の出力特性に基づいて作成される。なお、検出値の画像濃度値への変換は、制御部53で行われてもよい。この場合、制御部53は、変換した画像濃度値をCPU301へ送信することになる。
【0045】
なお、本実施形態では画像検出センサ50は正反射タイプとして説明したが、乱反射タイプであってもよい。また、画像検出センサ50が正反射タイプと乱反射タイプを組み合わせた構成であってもよい。この場合、画像検出センサ50は、例えば受光部52として正反射光を受光する受光素子及び乱反射光を受光する受光素子を備える。
【0046】
(画像形成モード)
本実施形態の画像形成装置100は、最大画像濃度が異なる複数の画像形成モードを有する。複数の画像形成モードは、最大画像濃度が例えば1.50となるような画像形成条件に基づいて画像形成するノーマルモードと、最大画像濃度が例えば1.60となるような画像形成条件に基づいて画像形成する画像濃度アップモードと、を有する。なお、本実施形態の画像形成装置100は2つの画像形成モードを有する構成について説明されるが、3つ以上の異なる最大画像濃度となるような画像形成条件に制御される画像形成モードを有する構成であってもよい。画像形成装置100は、設定された画像形成モードに基づいて画像を形成することができる。以下に、ノーマルモードと画像濃度アップモードとおける画像調整方法について説明する。
【0047】
ノーマルモードは、例えばオフィスプリント機で出力されるような文書やグラフ等を印字した成果物に対して使用される画像形成モードである。画像濃度アップモードは、例えばプロダクションプリント機で出力されるような写真画像等のイメージ画像を印字した成果物に対して使用される画像形成モードである。ノーマルモードは、画像濃度アップモードと比べてトナーの消費量を軽減できるというメリットがある。一方、画像濃度アップモードは、ノーマルモードと比べて高濃度域の画像品質をプロダクションプリント機相当まで高めることができるというメリットがある。ユーザは、このような画像形成モードを、例えばプリンタドライバや操作部300によりジョブ毎に選択して設定することが可能である。なお、例えば、上記のようなジョブ毎に設定する構成に限定されるものではなく、操作部300からのユーザの指示に基づきジョブと無関係に画像形成モードが切り替えられる構成であってもよい。
【0048】
(画像濃度制御)
本実施形態では、ユーザやサービスマンにより操作部300から画像濃度制御の実行指示が入力された場合や、画像形成動作の積算回数が所定回数以上となった等の条件が満たされる場合に、画像濃度制御が行われる。
【0049】
画像濃度制御を行うために、画像濃度の目標となる画像濃度ターゲットを取得する必要がある。画像濃度制御用の画像濃度ターゲットの取得は、ユーザが操作部300から実行を指示する自動階調補正により行われる。
図6は、最大画像濃度制御処理を含む自動階調補正制御処理を表すフローチャートである。この処理は、画像処理部84のメモリに格納されたコンピュータプログラムをCPU301が実行することで行われる。
【0050】
CPU301は、画像形成部Pa~Pdにより、最大画像濃度制御用のトナーパターン画像P1を中間転写ベルト11上に形成する(S101)。トナーパターン画像P1は、画像濃度が異なる複数のパターン画像を組み合わせて構成される。トナーパターン画像P1の各パターン画像の画像形成条件は、以下のように設定される。ここでは画像形成条件として現像コントラストVc、帯電バイアス電圧Vd、現像バイアス電圧Vdc、及びスキャナユニット31による露光量LPWを設定するが、他の項目が画像形成条件に含まれていてもよい。なお、トナーパターン画像P1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色について、パターン画像が5個ずつ形成される。
DmaxY1、DmaxM1、DmaxC1、DmaxK1:Vc1、Vd1、Vdc1、LPW1
DmaxY2、DmaxM2、DmaxC2、DmaxK2:Vc2、Vd1、Vdc1、LPW2
DmaxY3、DmaxM3、DmaxC3、DmaxK3:Vc3、Vd2、Vdc2、LPW2
DmaxY4、DmaxM4、DmaxC4、DmaxK4:Vc4、Vd3、Vdc3、LPW2
DmaxY5、DmaxM5、DmaxC5、DmaxK5:Vc5、Vd3、Vdc3、LPW3
【0051】
帯電バイアス電圧Vdは、Vd1が-500[V]、Vd2が-600[V]、Vd3が-700[V]である。現像バイアス電圧Vdcは、かぶり取り電位の150[V]を考慮して、Vdc1が-350[V]、Vdc2が-450[V]、Vdc3が-550[V]である。レーザ光の露光量LPWは、感光ドラム1上の面光量が、LPW1が0.16[μJ/cm2]、LPW2が0.24[μJ/cm2]、LPW3が0.32[μJ/cm2]である。なお、本実施形態では、上記5点の条件で出力されたパターン画像を用いて補正制御を行うが、パターン画像の数や画像形成条件はこれに限定されるものではない。
【0052】
現像コントラストVcは、帯電バイアス電圧Vdと露光量LPWとにより決まる。
図7は、現像コントラストVcと帯電バイアス電圧Vd及び露光量LPWとの関係を示す現像コントラスト変換テーブルの例示図である。現像コントラスト変換テーブルは、予め感光ドラムの特性に合わせて作成されて画像処理部84に保存される。本実施形態では、現像コントラストVcは、Vc1が90[V]、Vc2が160[V]、Vc3が231[V]、Vc4が301[V]、Vc5が370[V]となる。
【0053】
CPU301は、画像検出センサ50によるトナーパターン画像P1の検出結果(検出値)を、検出値と画像濃度値との変換テーブルを用いて変換することで、トナーパターン画像P1の各パターン画像の画像濃度を検出する(S102)。CPU301は、検出した画像濃度に基づいて、ノーマルモード時の画像濃度ターゲットTargetAとなる現像コントラストVcAと、画像濃度アップモード時の画像濃度ターゲットTargetBとなる現像コントラストVcBと、を取得する(S103)。TargetAは、例えば「1.50」であり、TargetBは、例えば「1.60」である。
【0054】
図8は、トナーパターン画像P1から検出された画像濃度値と現像コントラストVcとの関係例示図である。CPU301は、
図8に示す関係に基づいて、画像濃度ターゲットTargetAを表す現像コントラストVcAと、画像濃度ターゲットTargetBを表す現像コントラストVcBと、をターゲットを挟む2点での線形補間により算出する。本実施形態では、現像コントラストVcAを129[V]、現像コントラストVcBを171[V]としている。
【0055】
CPU301は、現像コントラストVcAと現像コントラストVcBとの差分値ΔVcdを算出する(S104)。本実施形態では、差分値ΔVcdが171-129=42[V]となる。CPU301は、現像コントラストVcAに対する作像条件A(画像形成条件A)及び現像コントラストVcBに対する作像条件B(画像形成条件B)を決定する(S105)。本実施形態では、一例として現像コントラストVcに対する露光量LPWを0.21[μJ/cm
2]で一定にして、帯電バイアス電圧Vdを変更する方法により、
図7に示す現像コントラスト変換テーブルを用いて作像条件(画像形成条件)を決定する。
【0056】
本実施形態における現像コントラストVcAの作像条件Aは、帯電バイアス電圧VdAが-500[V]、露光量PLWAが0.21[μJ/cm2]となる。現像コントラストVcBの作像条件Bは、帯電バイアス電圧VdAが-575[V]、露光量PLWAが0.21[μJ/cm2]となる。
【0057】
ここでは
図7の現像コントラスト変換テーブルを用いて線形補間により作像条件を取得したが、作像条件の取得方法はこれに限定されるものではない。また、露光量を一定にして現像コントラストを変更する作像条件の決定方法は、電位設定を同じにして露光量を変更させる場合に比べてγ特性の変化が小さいので、好適な一例として記載した。しかし作像条件の決定方法は、これに限定されるものではない。
【0058】
S101~S105の処理が、トナーパターン画像P1の検出結果による最大画像濃度制御処理である。これにより、各画像形成モードによる画像形成時の現像コントラスト、帯電バイアス電圧、露光量等の作像条件(画像形成条件)が決定される。最大画像濃度制御処理後に階調補正制御処理が行われる。
【0059】
CPU301は、画像形成装置100により、階調補正制御に用いる各色64階調のテスト画像をシートSに印字する(S106)。このときの画像形成条件は、ノーマルモード時の作像条件Aである。本実施形態では、作像条件A(画像形成条件A)は、帯電バイアス電圧VdAが-500[V]、露光量LPWAが0.21[μJ/cm2]となる。なお、テスト画像の階調数はこれに限定されるものではない。テスト画像が印字されたシートSは、ドキュメントスキャナ200の原稿台ガラス202に載置される。CPU301は、ドキュメントスキャナ200によりシートSに印字されたテスト画像を読み取り、テスト画像の読取結果に基づいてテスト画像の画像濃度を検出する(S107)。
【0060】
CPU301は、検出したテスト画像の画像濃度に補間処理とスムージング処理を行い、全画像濃度領域のエンジンγ特性(階調特性とも呼ばれる。)を生成する。CPU301は、生成したエンジンγ特性が理想的な階調特性(階調ターゲット)となるように、画像信号を変換するための階調補正テーブル(以後、「初期補正LUT(Look Up Table)」という)を作成する(S108)。
図9は、階調補正テーブルの説明図である。本実施形態では、階調ターゲットに一致するようにエンジンγ特性に逆変換処理を行うことで、階調補正テーブルが作成される。階調補正テーブルにより、シートS上の画像の画像濃度が全画像濃度領域で階調ターゲットに合致するようになる。
【0061】
CPU301は、画像形成部Pa~Pdにより、ターゲット取得用のトナーパターン画像を形成する(S109)。ステップS109においてCPU301は、まず、画像処理部84に階調補正テーブルに基づいてターゲット取得用画像信号を変換させる。次いで、CPU301は変換後のターゲット取得用画像信号を用いて、作像条件A(画像形成条件A)に基づき複数のパターン画像を含むトナーパターン画像を、中間転写ベルト11上に形成する。そして、CPU301は、画像検出センサ50によるトナーパターン画像の検出結果に基づいて画像濃度を検出する(S110)。検出した画像濃度値が、中間転写ベルト11上における補正制御時の画像信号に対するターゲット画像濃度となる。
【0062】
本実施形態では、階調補正テーブルが作成された後に各色5階調(30H、60H、90H、C0H、FFH)のパターン画像を含むトナーパターン画像が中間転写ベルト11上に形成される。CPU301は、画像検出センサ50から、トナーパターン画像の画像濃度値を取得する(S111)。CPU301は、取得した画像濃度値をターゲット画像濃度としてメモリに記憶する(S112)。
図10は、ターゲット画像濃度の説明例示図である。このようにしてターゲット画像濃度の取得処理が完了し、自動階調補正が終了する。
【0063】
なお、作成する階調パターンや階調数は、上記に限定されるものではなく、適宜必要に応じて設定されてよい。例えばエンジンγ特性により画像濃度の変化が大きい中間調領域を重点的に補正するために、中間調部分のパターン画像数を増やしてもよい。また、高画像濃度側を安定的に出力するために、高画像濃度領域のパターン画像数を増やしてもよい。さらに、ハイライト側の階調性を重要視するために、低画像濃度領域のパターン画像数を増やしてもよい。
【0064】
(画像濃度調整)
画像形成装置100は、成果物の画像の画像濃度を安定化するために、定期的に画像濃度調整処理を行う。画像濃度調整処理では、定期的に中間転写ベルト11に画像濃度調整用のトナーパターン画像を形成し、このトナーパターン画像を画像検出センサ50により検出する。画像検出センサ50によるトナーパターン画像の検出結果と上記のターゲット画像濃度を比較し、検出結果の逆変換処理を行うことで階調補正テーブルを修正するための修正テーブルが作成される。画像形成装置100は、階調補正テーブルに修正テーブルを合成することで階調補正テーブルを更新することにより、画像形成装置100により形成される画像の濃度の安定化がはかられる。
【0065】
図11は、階調補正テーブルの作成処理を表すフローチャートである。本実施形態のCPU301は、例えば画像形成動作の積算回数が所定回数以上になることで階調補正テーブルの作成処理を開始する。この処理は、画像処理部84のメモリに格納されたコンピュータプログラムをCPU301が実行することで行われる。なお、階調補正テーブルの作成処理は、この他に、前回の階調補正テーブルの作成処理が終了してからの経過時間や、画像形成装置100の設置環境(温度や湿度)の変動が大きい場合に行われてもよい。前回の階調補正テーブルの作成処理が終了してからの経過時間は、例えばタイマ90により計時される。画像形成装置100の設置環境の変動は、例えば画像形成装置100に温度センサや湿度センサ等の環境センサを設けることで検出することができる。
【0066】
階調補正テーブルの作成処理を開始したCPU301は、画像形成部Pa~Pdにより、作像条件A(画像形成条件A)に基づき階調補正用のトナーパターン画像を中間転写ベルト11に形成する(S201)。このとき、画像処理部84は、階調補正用画像信号を初期補正LUTに基づき変換することで、ステップS201において使用するトナーパターン画像を形成するための画像信号を生成している。CPU301は、トナーパターン画像の画像検出センサ50による検出結果に基づいて、該トナーパターン画像の画像濃度を取得する(S202)。トナーパターン画像は、画像濃度が異なる複数のパターン画像を組み合わせて構成されているために、CPU301は、各パターン画像に対応した複数の画像濃度を取得することになる。
【0067】
CPU301は、取得した複数の画像濃度に基づいて濃度カーブを作成する(S203)。
図12は、濃度カーブの説明図である。CPU301は、取得した画像濃度を階調毎にプロットし、白丸で示される取得した画像濃度に対する濃度カーブ(破線)を作成する。濃度カーブの作成は、例えば近似式を用いる等の一般的な近似方法により行われる。CPU301は、作成した濃度カーブに基づいて修正テーブル(補正LUT)を作成する(S204)。
図13は、補正LUTの説明図である。CPU301は、作成した濃度カーブ(破線)を、ターゲット画像濃度の濃度カーブ(点線)に補正するために逆変換を行うことで、補正LUT(長破線)を作成する。
【0068】
CPU301は、作成した補正LUTと初期補正LUTとにより合成補正LUTを作成する(S205)。
図14は、合成補正LUTの説明図である。CPU301は、作成した補正LUTと初期補正LUTとを掛け合わせて、合成補正LUT(長2点鎖線)を作成し、成果物の画像に反映させて出力する。
【0069】
(成果物の画像形成処理)
本実施形態の画像形成装置100は、画像形成処理中の画像濃度調整により作像条件(画像形成条件)が変化することがある。即ち、シートSへの画像形成処理中に画像調整条件が満たされることで画像濃度調整が行われ、作像条件(画像形成条件)が変化する。そのため画像濃度調整後に新たな作像条件が決定される。次のシートSへの画像形成は、新たな作像条件で行われる。
図15は、画像形成処理中の画像濃度調整処理を表すフローチャートである。この処理は、画像処理部84のメモリに格納されたコンピュータプログラムをCPU301が実行することで行われる。
【0070】
CPU301は、印刷ジョブに応じて、画像形成装置100により、ノーマルモード或いは画像濃度アップモードの画像形成条件でシートSに画像を形成して出力する(S301)。このときの画像形成条件(帯電バイアス電圧Vd、現像バイアス電圧Vdc、露光量LPW)は、上記の自動階調補正制御処理により決定されている。
図16は、画像形成条件の例示図である。この画像形成条件は、自動階調補正制御後且つ画像濃度調整前の初期状態であり、補正LUTは初期補正LUTとなる。また、本実施形態では、ノーマルモード時と画像濃度アップモード時とで同じ補正LUTを使用するものとする。本実施形態では、ノーマルモードと画像濃度アップモードとで、露光量LPWを一定にして帯電バイアス電圧Vdを変更する。そのため、最大画像濃度が変化したときの階調性の変化は、露光量LPWを変更するときに比較して小さくなり、同じ補正LUTを使用しても階調性は崩れにくくなる。
【0071】
CPU301は、画像形成処理中或いは成果物の出力後に、画像濃度調整を実行するための所定の起動条件が満たされたか否かを判断する(S302)。画像濃度調整の起動条件の判断は、例えば画像形成動作の積算回数、前回の画像濃度調整からの経過時間、印字に用いたトナー量、使用したトナーの変動量、トナー補給量、画像形成装置100の環境変化等の、画像濃度の変動に関係する値により行われる。例えば画像形成動作の積算回数の場合、積算回数が所定回数以上となったか否かにより、画像濃度調整の起動条件が満たされたか否かが判断される。
【0072】
画像濃度調整の起動条件が満たされていない場合(S302:N)、CPU301は、引き続き画像形成を行う(S301)。或いは印刷ジョブが終了した場合には、CPU301は、そのまま処理を終了する。画像濃度調整の起動条件が満たされた場合(S302:Y)、CPU301は、画像濃度調整を開始して、画像形成部Pa~Pdにより、最大画像濃度調整用のトナーパターン画像を中間転写ベルト11に形成する(S303)。CPU301は、画像検出センサ50によるトナーパターン画像の検出結果に基づいて、トナーパターン画像の画像濃度を取得する(S304)。
【0073】
本実施形態では、画像濃度調整の開始前の画像形成モードによらず、ノーマルモードの画像形成条件で画像濃度調整を行う。そのためトナーパターン画像は、
図16に示すノーマルモードの画像形成条件(以下では作像条件A1と記述する。)で形成される。本実施形態の最大画像濃度調整は、最大画像濃度である画像濃度100%(FFH)のパターン画像から検出した画像濃度と、最大画像濃度のターゲット画像濃度との差分から変更量を算出する方法を用いる。
【0074】
CPU301は、作像条件A1の画像形成条件で画像形成した最大画像濃度調整用のトナーパターン画像から検出された画像濃度と、最大画像濃度のターゲット画像濃度(1.50)とから、差分濃度ΔDを算出する(S305)。CPU301は、差分濃度ΔDと帯電バイアス変更量との関係に基づいて、画像形成条件の変更量を決定する(S306)。CPU301は、決定した画像形成条件の変更量に基づいて、画像形成条件を変更する(S307)。
【0075】
図17は、差分濃度ΔDと帯電バイアス変更量との関係の説明図である。CPU301は、このような差分濃度ΔDと帯電バイアス変更量との関係を表す情報(テーブル)を予め保持しており、該テーブルに基づいて画像形成条件の変更量を決定する。この場合の画像形成条件の変更量は、帯電バイアス電圧Vdの変更量となる。
【0076】
例えば最大画像濃度のターゲット画像濃度が「1.50」で検出した画像濃度が「1.42」である場合、差分濃度ΔDは「-0.08」である。そのため帯電バイアス電圧Vdの変更量ΔVdは+60[V]となる。これにより画像形成条件(作像条件)である帯電バイアス電圧Vdが、500[V]から560[V]に変更される。
【0077】
画像濃度調整後の画像形成条件は、帯電バイアス電圧VdA1が-500[V]の作像条件A1から、帯電バイアス電圧VdA2が-560[V]の作像条件A2に変更される。また、画像濃度調整後の画像形成条件は、現像コントラストVcA1が129[V]の作像条件A1から、現像コントラストVcA2が163[V]の作像条件A)に変更される。なお、露光量に変更はない。露光量A1は、例えば、0.21[μJ/cm2]である。
【0078】
以上により最大画像濃度調整が終了する。次いでCPU301は、画像形成部Pa~Pdにより、作像条件A2の画像形成条件で階調制御用のトナーパターン画像を中間転写ベルト11に形成する(S308)。CPU301は、画像検出センサ50によるトナーパターン画像の検出結果に基づいて、トナーパターン画像の画像濃度を取得する(S309)。CPU301は、取得した画像濃度と自動階調補正で取得したターゲット画像濃度とを比較する(S310)。
【0079】
CPU301は、比較結果に基づいて上記の逆変換処理を行うことで、新たな合成補正LUTを作成する(S311)。このようにして、画像濃度調整を行う前に使用していた補正LUT(LUT_A1)が新たな補正LUT(LUT_A2)に変更される。CPU301は、各画像形成モードの画像形成条件を決定する(S312)。
【0080】
図18は、
図15の処理により決定された新たな画像形成条件の例示図である。上記のように、ノーマルモードの作像条件A1が、帯電バイアス電圧VdA2が-560[V]、露光量LPWA2が0.21[μJ/cm
2]、現像コントラストVcA2が163[V]の作像条件A2に変更される。この際、画像濃度アップモードにおける作像条件Bもパターン画像を形成することなく決定される。
【0081】
本実施形態では、自動階調補正時に、ノーマルモードと画像濃度アップモードの現像コントラストの差分値ΔVcdを算出している(
図6のS104の処理)。この現像コントラストの差分値ΔVcdをノーマルモードの現像コントラストに付与することによって、画像濃度アップモードの現像コントラストが算出される。
【0082】
ここでは、調整後のノーマルモードの現像コントラストが163[V]であり、自動階調補正時に算出した差分値ΔVcdが42[V]であるため、新たに設定される画像濃度アップモードの現像コントラストは205[V]となる。さらに、上記の処理により、画像濃度アップモードの帯電バイアス電圧VdB2が-635[V]、露光量PLWB2が0.21[μJ/cm2]となる。
【0083】
以上のように画像形成装置100は、画像形成中に画像調整条件を満たすと、画像調整を行って新しい画像形成条件を決定し、決定した画像形成条件で次の画像形成を行う。画像形成装置100は、画像形成モードがノーマルモードと画像濃度アップモードとのどちらであっても、ノーマルモードの画像形成条件で画像調整を行い、各画像形成モードの新たな画像形成条件を決定する。
【0084】
本実施形態の効果について説明する。ここでは、比較例として、画像調整時にノーマルモードと画像濃度アップモードのそれぞれの画像形成条件を、各画像形成モードで算出する方法について説明する。
【0085】
画像形成装置100は、ノーマルモード用のパターン画像の検出結果に基づき、画像濃度アップモード用のパターン画像を形成せずに、ノーマルモード及び画像濃度アップモードの画像形成条件を更新する。そのため、画像形成装置は画像形成中の画像調整にかかる調整時間を大幅に削減している。
【0086】
ノーマルモード、画像濃度アップモード等の画像形成モードを複数設定可能な画像形成装置100では、各画像形成モードの画像形成条件を画像調整により決定する必要がある。本実施形態では、各画像形成モードの画像形成条件の決定を、
図15に示す処理により行っている。すなわち、自動階調補正時に予め各画像形成モードの画像形成条件の差分値を算出しておく。画像調整実行時には、自動階調補正時にターゲット画像濃度を取得した画像形成モード、本実施形態においてはノーマルモードで画像調整を行い、ノーマルモードの画像形成条件と差分値を用いて画像濃度アップモードの画像形成条件が決定される。
【0087】
従って、画像濃度アップモード用の画像調整を別途実行することなく、ノーマルモードと画像濃度アップモードの画像形成条件を補正することができる。なお、自動階調補正時に、画像濃度アップモード用の画像形成条件を決定して、画像濃度アップモード用のターゲット画像濃度を取得している場合は、画像調整時にはノーマルモード動作中であっても画像濃度アップモードの画像形成条件に戻って画像調整する。これにより調整時間が削減される。
【0088】
一方、画像調整時にノーマルモードと画像濃度アップモードのそれぞれの画像形成条件を、画像形成モード毎に算出する場合は、以下のようになる。この場合、
図15に示す処理を複数回行うことになる。本実施形態では、上記したようにノーマルモード時と画像濃度アップモード時では、露光量ではなく帯電バイアス電圧を変更する。そのため、最大画像濃度が変化したときの階調性の変化は、露光量を変更するときに比較して小さくなる。よって、ノーマルモード時と画像濃度アップモード時で同じLUTが使用される。
【0089】
このため、画像濃度アップモード用の補正LUTを作成する必要はないが、少なくとも画像濃度アップモード用の現像コントラストを決定する必要があり、最大画像濃度調整用のパターン画像の形成及び検出による補正演算処理を行う必要がある。以上のことから画像形成モード毎の画像形成条件の調整は、本実施形態と比較して、時間が長くなってしまう。
【0090】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置100は、目標とする最大画像濃度を複数持ち、各目標とする最大画像濃度に応じて画像形成条件を変更することができる。この画像形成装置100は、画像形成中の画像形成条件にも関わらず、制御時間を増加することなく複数の最大画像濃度に対応する複数の画像形成条件への補正制御を行うことが可能になる。