IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-送風装置 図1
  • 特開-送風装置 図2
  • 特開-送風装置 図3
  • 特開-送風装置 図4
  • 特開-送風装置 図5
  • 特開-送風装置 図6
  • 特開-送風装置 図7
  • 特開-送風装置 図8
  • 特開-送風装置 図9
  • 特開-送風装置 図10
  • 特開-送風装置 図11
  • 特開-送風装置 図12
  • 特開-送風装置 図13
  • 特開-送風装置 図14
  • 特開-送風装置 図15
  • 特開-送風装置 図16
  • 特開-送風装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176271
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20241212BHJP
   F04D 29/46 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F04D29/44 Q
F04D29/46 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094711
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 雄行
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】村上 千鶴
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB13
3H130AB26
3H130AB45
3H130AB62
3H130AC27
3H130BA71B
3H130BA74B
3H130CA06
3H130CA21
3H130DG03X
3H130EA08B
(57)【要約】
【課題】送風装置から吹き出される空気の風速のばらつきを抑制する。
【解決手段】送風装置(1)は、ケーシング(10)内において吹出口(13)とファン(20)との間に形成される空気通路(14)と、空気通路(14)の空気を吹出口(13)に案内する第1案内部(30)と、空気通路(14)においてファン(20)と第1案内部(30)との間に配置されるとともに空気通路(14)を複数の案内通路(41)に区画する第2案内部(40)とを備える。第2案内部(40)は、案内通路(41)に面し、且つ第1案内部(30)に向けて空気を案内する案内面(42)を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹出口(13)が形成されるケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)に収容されるファン(20)と、
前記ケーシング(10)内において前記吹出口(13)と前記ファン(20)との間に形成される空気通路(14)と、
前記空気通路(14)の空気を前記吹出口(13)に案内する第1案内部(30)と、
前記空気通路(14)において前記ファン(20)と前記第1案内部(30)との間に配置されるとともに、前記空気通路(14)を複数の案内通路(41)に区画する第2案内部(40)と、を備え、
前記第2案内部(40)は、前記案内通路(41)に面し、且つ前記第1案内部(30)に向けて空気を案内する案内面(42)を有する
送風装置。
【請求項2】
複数の前記案内通路(41)は、互いに同じ方向を向く
請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記第2案内部(40)は、前記ファン(20)から吐出された空気を整流する
請求項1又は2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記案内通路(41)の断面形状は、多角形である
請求項3に記載の送風装置。
【請求項5】
前記第1案内部(30)と前記第2案内部(40)とは、第1方向に配列され、
前記案内通路(41)は、前記第1方向に延びる
請求項1に記載の送風装置。
【請求項6】
前記第1案内部(30)と前記第2案内部(40)とは、第1方向に配列され、
前記ファン(20)は、前記第1方向の一端側に配置され、前記第1方向の他端側に向かって空気を吹き出し、
前記案内通路(41)は、前記第1方向に空気を案内する
請求項1に記載の送風装置。
【請求項7】
前記ファン(20)は、遠心ファンであり、
前記案内面(42)は、前記ファン(20)の回転軸方向及び前記第1方向に沿う
請求項5又は6に記載の送風装置。
【請求項8】
前記ファン(20)は、遠心ファンであり、
前記ファン(20)は、前記ファン(20)の吐出方向が前記第1方向になるように傾けて配置される
請求項5に記載の送風装置。
【請求項9】
前記第1案内部(30)は、前記第1方向に配列される複数の平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)を含み、
前記平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)同士の間隔Lは、12cm以下である
請求項5に記載の送風装置。
【請求項10】
前記空気通路(14)における前記ファン(20)と前記第2案内部(40)との間に配置され、前記ファン(20)から吐出された空気を前記第2案内部(40)へ案内する第3案内部(50)を更に備える
請求項1に記載の送風装置。
【請求項11】
前記第3案内部(50)は、前記ファン(20)から吐出された空気の量を分配する風量分配部(50A)を有する
請求項10に記載の送風装置。
【請求項12】
前記第3案内部(50)は、前記ファン(20)から吐出された空気の向きを調節する風向調節部(50B)を有する
請求項10又は11に記載の送風装置。
【請求項13】
前記ファン(20)は、遠心ファンであり、
前記ファン(20)は、前記ファン(20)の回転軸方向が前記吹出口(13)から吹き出される空気の吹出方向と一致するように配置される
請求項1に記載の送風装置。
【請求項14】
前記ファン(20)は、前記空気通路(14)における前記ファン(20)の回転方向の逆側寄りに配置される
請求項13に記載の送風装置。
【請求項15】
前記吹出口(13)に向かい合い、且つ、風速が0.2m/s以上の仮想面(R)において、単位面積あたりの平均運動量が0.05kg/ms2以上且つ0.75kg/ms2以下の範囲の気流を生じさせる
請求項1に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、清浄な空気を吹き出すファンフィルタユニット(送風装置)が開示されている。特許文献1のファンフィルタユニットは、ファンを収容するファンモータユニットと、フィルタが設けられたフィルタユニットとを有する。ファンモータユニットの吹出口とフィルタユニットの吸込口とは対向して配置されるとともに連結されている。この連結部分には、ファンから吹き出された風をフィルタユニット上部に導く誘導部が設けられている。そして、誘導部の通風面には、通風路の中央部を挟んで案内板が設けられている。通風面に案内板を設けることにより、ファンから吹き出された風をフィルタユニットの上流側に均一に供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5343318公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファンから吹き出される空気には、様々な方向に傾いた空気が含まれている。そのため、ファンの吹出空気の風速には、ばらつきが生じている。特許文献1のような送風装置では、このようなファンの吹出し空気における風速のばらつきを考慮していない。そのため、ファンから吹き出されたばらつきのある空気が案内板を通過した後にもこのばらつきが残っている。そして、このようなばらつきの残った空気が送風装置の吹出口から吹き出されると、送風装置から不均一な風が吹き出されるという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、送風装置から吹き出される空気の風速のばらつきを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、送風装置(1)を対象とする。送風装置(1)は、吹出口(13)が形成されるケーシング(10)と、前記ケーシング(10)に収容されるファン(20)と、前記ケーシング(10)内において前記吹出口(13)と前記ファン(20)との間に形成される空気通路(14)と、前記空気通路(14)の空気を前記吹出口(13)に案内する第1案内部(30)と、前記空気通路(14)において前記ファン(20)と前記第1案内部(30)との間に配置されるとともに、前記空気通路(14)を複数の案内通路(41)に区画する第2案内部(40)とを備える。前記第2案内部(40)は、前記案内通路(41)に面し、且つ前記第1案内部(30)に向けて空気を案内する案内面(42)を有する。
【0007】
第1の態様では、空気通路におけるファン(20)と第1案内部(30)との間に第2案内部(40)が配置される。第2案内部(40)は、第1案内部(30)に向けて空気を案内する。そのため、ファン(20)の吐出空気に含まれるばらつきのある空気を第1案内部(30)に向けて方向を整えることができる。これにより、吹出口(13)から吹き出される空気のばらつきを抑制できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、複数の前記案内通路(41)は、互いに同じ方向を向く。
【0009】
第2の態様では、複数の案内通路(41)が互いに同じ方向を向くので、ファン(20)から吐出された空気の流れを一つの方向に揃えることができる。
【0010】
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記第2案内部(40)は、前記ファン(20)から吐出された空気を整流する。
【0011】
第3の態様では、ファン(20)から吐出された空気が第2案内部(40)を通過することにより整流される。これにより、ファン(20)から吐出された空気の乱れを抑制できるので、より吹出口(13)から吹き出される空気のばらつきを抑制できる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様において、前記案内通路(41)の断面形状は、多角形である。
【0013】
第4の態様では、案内通路(41)の断面形状が多角形なので、様々な方向に傾いているファン(20)の吐出空気の乱れを抑制できる。これにより、第1案内部(30)に向かう空気通路(14)の空気の流れを整えることができる。
【0014】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記第1案内部(30)と前記第2案内部(40)とは、第1方向に配列され、前記案内通路(41)は、前記第1方向に延びる。
【0015】
第5の態様では、案内通路(41)が第1方向に延びるので、空気が案内通路(41)を通過することにより、第1案内部(30)に向かって空気の流れを整えることができる。
【0016】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記第1案内部(30)と前記第2案内部(40)とは、第1方向に配列され、前記ファン(20)は、前記第1方向の一端側に配置され、前記第1方向の他端側に向かって空気を吹き出し、前記案内通路(41)は、前記第1方向に空気を案内する。
【0017】
ファン(20)は第1方向の他端側に向かって空気を吹き出しているが、ファン(20)から吹き出される空気の中には、第1方向と僅かに交差する方向に流れる空気が含まれている。第6の態様では、案内通路(41)が第1方向に空気を案内するので、ファン(20)の吐出空気が案内通路(41)を通過することにより、第1方向と交差する方向の気流を第1方向に整えつつ、第1案内部(30)に向けて案内することができる。
【0018】
第7の態様は、第5又は第6の態様において、前記ファン(20)は、遠心ファンであり、前記案内面(42)は、前記ファン(20)の回転軸方向及び前記第1方向に沿う。
【0019】
遠心ファン(20)の吐出空気は、第1方向に対して遠心ファン(20)の回転方向に傾いて流れる。これに対し、第7の態様では、遠心ファン(20)の吐出空気が案内通路(41)を通過する際に、遠心ファン(20)の回転軸方向及び第1方向に沿った案内面(42)に当たる。これにより、遠心ファン(20)の回転方向に傾いていた気流の向きが第1方向に変えられる。その結果、送風装置(1)の吹出口(13)から吹き出される空気のばらつきを抑制できる。
【0020】
第8の態様は、第5~第7のいずれか1つの態様において、前記ファン(20)は、遠心ファンであり、前記ファン(20)は、前記ファン(20)の吐出方向が前記第1方向になるように傾けて配置される。
【0021】
第8の態様では、吐出方向が第1方向になるように遠心ファン(20)が配置されるので、遠心ファン(20)の吐出空気が第2案内部(40)に流入する前に、空気の流れをある程度第1方向に向けることができる。これにより、風速分布がばらついている遠心ファン(20)の吐出空気をより第1方向に整えることができる。
【0022】
第9の態様は、第5~第8のいずれか1つの態様において、前記第1案内部(30)は、前記第1方向に配列される複数の平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)を含み、前記平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)同士の間隔Lは、12cm以下である。
【0023】
第9の態様では、第1案内部(30)の平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)同士の間隔Lが12cm以下であるので、平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)同士の間を通過する空気の減衰を抑えることができ、吹出口(13)から吹出される空気の第1方向における風速のばらつきを低減できる。
【0024】
第10の態様は、第1~第9のいずれか1つの態様において、前記空気通路(14)における前記ファン(20)と前記第2案内部(40)との間に配置され、前記ファン(20)から吐出された空気を前記第2案内部(40)へ案内する第3案内部(50)を更に備える。
【0025】
第10の態様では、送風装置(1)が第3案内部(50)を備えるので、ファン(20)の吐出空気が第2案内部(40)に流入する前にファン(20)の吐出空気を第2案内部(40)の方向に整えることができる。
【0026】
第11の態様は、第10の態様において、前記第3案内部(50)は、前記ファン(20)から吐出された空気の量を分配する風量分配部(50A)を有する。
【0027】
第11の態様では、第3案内部(50)が風量分配部(50A)を有するので、ばらつきがあるファン(20)の吐出空気の風量を均一に分けることができる。
【0028】
第12の態様は、第10又は第11の態様において、前記第3案内部(50)は、前記ファン(20)から吐出された空気の向きを調節する風向調節部(50B)を有する。
【0029】
第12の態様では、第3案内部(50)は風向調節部(50B)を有するので、ファン(20)の吐出空気の向きを所定の方向に調節できる。
【0030】
第13の態様は、第1~第12のいずれか1つの態様において、前記ファン(20)は、遠心ファンであり、前記ファン(20)は、前記ファン(20)の回転軸方向が前記吹出口(13)から吹き出される空気の吹出方向と一致するように配置される。
【0031】
遠心ファン(20)の形状は、その回転軸方向に厚さが薄いのが通常である。第13の態様では、遠心ファン(20)の回転軸方向が吹出方向と一致するように遠心ファン(20)が配置されるので、送風装置(1)を吹出方向に薄型化できる。
【0032】
第14の態様は、第13の態様において、前記ファン(20)は、前記空気通路(14)における前記ファン(20)の回転方向の逆側寄りに配置される。
【0033】
第14の態様では、遠心ファン(20)が空気通路(14)における遠心ファン(20)の回転方向逆側寄りに配置されるので、空気通路(14)における前記回転方向側の端部において、圧力損失の発生を抑制できる。
【0034】
第15の態様は、第1~第14のいずれか1つの態様において、前記吹出口(13)に向かい合い、且つ、風速が0.2m/s以上の仮想面(R)において、単位面積あたりの平均運動量が0.05kg/ms2以上且つ0.75kg/ms2以下の範囲の気流を生じさせる。
【0035】
第15の態様では、送風装置(1)から吹き出された空気が供給される空間の快適性を保つことができるとともに、換気効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、実施形態1の送風装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、図2のII-II線矢視断面図である。
図3図3は、図3のIII-III線矢視断面図である。
図4図4は、ハニカムの横断面図である。
図5図5は、制御部の構成を示すブロック図である。
図6図6は、送風装置から吹き出される空気によって生じる仮想面を示した説明図である。
図7図7は、送風装置の空気の流れを模式的に示した説明図である。
図8図8は、遠心ファンの吐出口の風速分布を示す説明図である。
図9図9は、従来の送風装置における空気通路の風速の様子を説明するための図2に相当する図である。
図10図10は、実施形態1の送風装置における空気通路の風速の様子を説明するための図2に相当する図である。
図11図11は、実施形態2の図2に相当する図である。
図12図12は、実施形態2の変形例1の第3案内部を示すファン周辺の拡大図である。
図13図13は、実施形態2の変形例2の第3案内部を示すファン周辺の拡大図である。
図14図14は、実施形態3の図2に相当する図である。
図15図15は、その他の実施形態のファンの配置を示す図3に相当する図である。
図16図16は、その他の実施形態のファンの配置を示す図1に相当する図である。
図17図17は、その他の実施形態のファンの配置を示す図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0038】
《実施形態1》
実施形態1の送風装置について説明する。
【0039】
(1)送風装置
送風装置(1)は、オフィスや商業施設などの室内空間に配置される。図1図3に示すように、送風装置(1)は、ケーシング(10)と、ファン(20)と、第1案内部(30)と、第2案内部(40)とを備える。ケーシング(10)には、ファン(20)と、第1案内部(30)と、第2案内部(40)とが収容される。
【0040】
以下の説明において用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」は、図1に示すように、送風装置(1)を正面からみたときの方向である。送風装置(1)の正面は、後述する吹出口(13)が設けられたケーシング(10)の側面である。
【0041】
(1-1)ケーシング
図1に示すように、ケーシング(10)は、奥行(前後方向の長さ)が比較的短く、幅(左右方向の長さ)が比較的長い直方体状に形成される。ケーシング(10)は、左右方向に対向して配置される左側板(10a)及び右側板(10b)と、前後方向に対向して配置される前側板(10c)及び後側板(10d)と、上下方向に互いに対向して配置される天板(10e)及び底板(10f)と、を有する。
【0042】
ケーシング(10)は、中板(10g)を有する。中板(10g)は、ケーシング(10)において上下方向の中央部に設けられる。中板(10g)は、天板(10e)及び底板(10f)に沿って左右方向に延びる。図2及び図3に示すように、中板(10g)の後側には、左右方向に長い略矩形状の貫通孔(18)が形成される。貫通孔(18)には、第2案内部(40)が配置される。本実施形態のケーシング(10)は、幅が約150cm、高さが約170cm、奥行が約30cmである。
【0043】
図2及び図3に示すように、ケーシング(10)は、ファン収容室(11)と、吸込口(12)と、吹出口(13)と、空気通路(14)とを有する。
【0044】
ファン収容室(11)には、ファン(20)が収容される。ファン収容室(11)は、ケーシング(10)内の右側に位置する空間である。ファン収容室(11)は、中板(10g)よりも右側に形成される。ファン収容室(11)は、上下方向に長く、前後方向に薄い略直方体状に形成される。ファン収容室(11)には、複数のファン(20)が収容される。本実施形態では、4つのファン(20)がファン収容室(11)に配置される。ここで示すファン(20)の数は、単なる一例である。ファン収容室(11)には、1つのファン(20)が収容されてもよい。
【0045】
吸込口(12)は、室内空間の空気をファン収容室(11)に吸い込むための開口である。吸込口(12)は、ケーシング(10)の前側板(10c)の右側に形成される。吸込口(12)は、中板(10g)よりも右側に形成される。吸込口(12)は、ファン収容室(11)に連通する。吸込口(12)は、上下方向に長い矩形状に形成される。吸込口(12)には、フィルタ(15)が配置される。フィルタ(15)は、吸込口(12)の開口面の全体に亘って設けられる。フィルタ(15)は、室内空間の空気中の塵埃を捕集する。吸込口(12)から流入した室内空間の空気は、フィルタ(15)介してファン収容室(11)に流入した後、ファン(20)に吸い込まれる。
【0046】
吹出口(13)は、ケーシング(10)内を通過した空気を室内空間に吹き出すための開口である。吹出口(13)は、ケーシング(10)の前側板(10c)の左側に形成される。吹出口(13)は、中板(10g)よりも左側に形成される。吹出口(13)は、空気通路(14)に連通する。吹出口(13)は、上下方向に長い矩形状に形成される。吹出口(13)の開口面積は、吸込口(12)の開口面積よりも小さい。
【0047】
吹出口(13)には、整流部材(16)が設けられる。整流部材(16)は、整流部材(16)に流入した空気の流れる方向を所定の方向に整える。整流部材(16)は、吹出口(13)の開口面の全体に亘って配置される。本実施形態の整流部材(16)は、ハニカム構造を有する部材である。整流部材(16)は、六角柱状の微小な孔が隙間なく規則的に並んでいる。整流部材(16)は、整流部材(16)の孔の軸心が前後方向に沿うように配置される。ケーシング(10)内を通過した空気は、整流部材(16)を介して、吹出口(13)から前方に吹き出される。
【0048】
空気通路(14)は、ケーシング(10)内において、吹出口(13)とファン(20)の吐出口(24)との間に形成される。空気通路(14)は、ファン(20)から吐出された空気が通過する空間である。空気通路(14)は、ケーシング(10)の背面に沿って左右方向に延びる。図3に示すように、空気通路(14)の左端は、閉塞板(17)によって閉塞される。空気通路(14)は、第1空間(14a)と第2空間(14b)とを有する。第1空間(14a)と第2空間(14b)とは、中板(10g)の貫通孔(18)を介して連通する。第1空間(14a)は、空気通路(14)における右側の空間である。第2空間(14b)は、空気通路(14)における左側の空間である。
【0049】
第1空間(14a)は、ファン収容室(11)に形成される。第1空間(14a)は、ファン収容室(11)において、ファン(20)の吐出口(24)と中板(10g)の貫通孔(18)との間に形成される。具体的には、第1空間(14a)は、ファン(20)の吐出口(24)と、中板(10g)の貫通孔(18)と、ケーシング(10)の後側板(10d)の一部と、第1仕切板(61)と、第2仕切板(62)と、第3仕切板(63)とによって囲まれた空間である。
【0050】
図2に示すように、第1仕切板(61)は、最も上側に配置されたファン(20)の吐出口(24)の上側縁と、貫通孔(18)の上側縁とを繋ぐ平板である。第2仕切板(62)は、最も下側に配置されたファン(20)の吐出口(24)の下側縁と、貫通孔(18)の下側縁とを繋ぐ平板である。図3に示すように、第3仕切板(63)は、4つのファン(20)の吐出口(24)の前側縁と、貫通孔(18)の前側縁とを繋ぐ平板である。第3仕切板(63)は、ケーシング(10)の後側板(10d)に沿って左右方向に延びる。第3仕切板(63)は、左底が右底よりも短い略台形状に形成される。第1空間(14a)は、略四角柱状に形成される。第1空間(14a)は、左側に向かうに従って、その横断面の面積が小さくなる。
【0051】
第2空間(14b)は、ケーシング(10)内において、吹出口(13)と中板(10g)の貫通孔(18)との間に形成される。具体的には、第2空間(14b)は、吹出口(13)の開口面と、中板(10g)の貫通孔(18)と、閉塞板(17)と、ケーシング(10)の後側板(10d)の一部と、第4仕切板(64)と、第5仕切板(65)とによって囲まれた空間である。
【0052】
図3に示すように、閉塞板(17)は、ケーシング(10)内の左端部に配置される平板である。閉塞板(17)は、ケーシング(10)の左側板(10a)に沿って上下方向に延びる。図2に示すように、第4仕切板(64)は、閉塞板(17)の上側縁と、貫通孔(18)の上側縁とを繋ぐ平板である。第5仕切板(65)は、閉塞板(17)の下側縁と、貫通孔(18)の下側縁とを繋ぐ平板である。第4仕切板(64)及び第5仕切板(65)は、左右方向に延びる。第2空間(14b)は、略直方体状に形成される。吹出口(13)は、第2空間(14b)に連通する。
【0053】
(1-2)ファン
ファン(20)は、空気通路(14)に空気を搬送する。ファン(20)は、空気通路(14)の流入端に配置される。ファン(20)は、底板(10f)の上に配置される。ファン(20)は、ケーシング(10)における右側(左右方向の一端側)に配置される。ファン(20)は、左側(左右方向の他端側)に向かって空気を吹き出す。
【0054】
本実施形態のファン(20)は、シロッコ型の遠心ファンである。ファン(20)は、ターボ型の遠心ファンであってもよい。ファン(20)は、回転軸(21)と、羽根車(22)と、スクロール(23)とを有する。回転軸(21)は、前後方向に沿って配置される。羽根車(22)は、回転軸(21)を中心に回転する。羽根車(22)は、不図示のモータによって駆動される。モータは、ケーシング(10)の後側板(10d)に固定される。スクロール(23)は、羽根車(22)を囲むように設けられる。スクロール(23)は、羽根車(22)の遠心力によって発生する旋回流を所定の方向に整流する。
【0055】
スクロール(23)の先端には、スクロール(23)によって整流された空気が吐出する吐出口(24)が形成される。吐出口(24)は、略矩形状に形成される。吐出口(24)の開口面は、第1案内部(30)に向いている。本実施形態の吐出口(24)の開口面は、鉛直方向に延びる。
【0056】
ここで、遠心ファンの厚さは、その回転軸方向に薄いのが通常である。本実施形態では、ファン(20)の回転軸方向が、吹出口(13)から吹き出される空気の吹出方向と一致する。そのため、送風装置(1)を吹出方向(前後方向)に薄型化できる。
【0057】
(1-3)第1案内部
第1案内部(30)は、空気通路(14)の第2空間(14b)に配置される。第1案内部(30)は、空気通路(14)の空気を吹出口(13)に案内する。第1案内部(30)は、正面視において、吹出口(13)と重なっている。第1案内部(30)は、空気通路(14)の空気が吹出口(13)に向かうように、空気通路(14)の空気の流れる方向を変更する。
【0058】
図2及び図3に示すように、第1案内部(30)は、複数(本実施形態では、7つ)の案内部材(31,32,33,34,35,36,37)を有する。具体的には、第1案内部(30)は、第1~第7案内部材(31,32,33,34,35,36,37)を有する。なお、ここで示す案内部材(31,32,33,34,35,36,37)の数は、単なる一例である。
【0059】
複数の案内部材(31,32,33,34,35,36,37)は、左右方向に配列される。第1案内部材(31)~第7案内部材(37)は、右から左に向かって順に配置される。第1案内部材(31)は、最も右に位置する案内部材である。第7案内部材(37)は、最も左に位置する案内部材である。第7案内部材(37)は、閉塞板(17)によって構成される。すなわち、閉塞板(17)は、空気通路(14)の左端を閉塞する機能と、第7案内部材(37)として空気通路(14)の空気を吹出口(13)に案内する機能とを兼ねている。
【0060】
各案内部材(31,32,33,34,35,36,37)は、吹出口(13)の上下方向の一端から他端に亘って延びる。各案内部材(31,32,33,34,35,36,37)は、平板状の第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)を有する。第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)は、本開示の平面部材に対応する。図3に示すように、第1案内部材(31)~第6案内部材(36)は、縦断面において逆L字状に形成される。第1案内部材(31)~第6案内部材(36)は、第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a)と、平板状の第2平面部材(31b,32b,33b,34b,35b,36b)とを有する。第7案内部材(37)は、第1平面部材(37a)のみを有する。言い換えると、第7案内部材(37)は、第2平面部材を有していない。
【0061】
第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)は、ケーシング(10)の左側板(10a)に対向して配置される。第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)の右側面は、第2案内部(40)を向く。第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)の右側面は、ファン(20)を向く。第2平面部材(31b,32b,33b,34b,35b,36b)は、第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)の後端に接続される。第2平面部材(31b,32b,33b,34b,35b,36b)は、ケーシング(10)の後側板(10d)に対向して配置される。第1案内部材(31)~第6案内部材(36)の各第2平面部材(31b,32b,33b,34b,35b,36b)における左右方向の長さは、互いに同じである。
【0062】
各第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)は、その奥行(前後方向の長さ)が互いに異なる。具体的には、図3に示すように、第1案内部材(31)~第7案内部材(37)の各第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)は、この順に奥行の長さが短くなるよう形成されている。各案内部材(31,32,33,34,35,36,37)は、各第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)の前端が吹出口(13)から同一距離となるように配置される。これにより、各第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)の後端の位置は、前後方向において互いに異なる。言い換えると、各案内部材(31,32,33,34,35,36,37)の第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)の後端の位置は、左に向かうに従って後方にずれる。
【0063】
詳細には、第1案内部材(31)の第1平面部材(31a)の後端は、第2案内部材(32)の第1平面部材(32a)の後端よりも右側に位置する。第2案内部材(32)の第1平面部材(32a)の後端は、第3案内部材(33)の第1平面部材(33a)の後端よりも右側に位置する。第3案内部材(33)の第1平面部材(33a)の後端は、第4案内部材(34)の第1平面部材(34a)の後端よりも右側に位置する。第4案内部材(34)の第1平面部材(34a)の後端は、第5案内部材(35)の第1平面部材(35a)の後端よりも右側に位置する。第5案内部材(35)の第1平面部材(35a)の後端は、第6案内部材(36)の第1平面部材(36a)の後端よりも右側に位置する。第6案内部材(36)の第1平面部材(36a)の後端は、第7案内部材(37)の第1平面部材(37a)の後端よりも右側に位置する。
【0064】
これにより、図7に示すように、第2空間(14b)に流入した空気のうち、第1案内部材(31)の第2平面部材(31b)の前面を通過した空気は、第1案内部材(31)の第1平面部材(31a)の右側面に案内されて、吹出口(13)における右端縁と第1案内部材(31)との間の領域から吹き出される。
【0065】
第1案内部材(31)の第2平面部材(31b)の後面を通過した空気のうち、第2案内部材(32)の第2平面部材(32b)の前面を通過した空気は、第2案内部材(32)の第1平面部材(32a)の右側面に案内されて、吹出口(13)における第1案内部材(31)と第2案内部材(32)との間の領域から吹き出される。
【0066】
同様にして、第3案内部材(33)の第2平面部材(33b)の前面を通過した空気は、第3案内部材(33)の第1平面部材(33a)の右側面に案内される。第4案内部材(34)の第2平面部材(34b)の前面を通過した空気は、第4案内部材(34)の第1平面部材(34a)の右側面に案内される。第5案内部材(35)の第2平面部材(35b)の前面を通過した空気は、第5案内部材(35)の第1平面部材(35a)の右側面に案内される。第6案内部材(36)の第2平面部材(36b)の前面を通過した空気は、第6案内部材(36)の第1平面部材(36a)の右側面に案内される。ケーシング(10)の後側板(10d)の前面を通過した空気は、第7案内部材(37)の第1平面部材(37a)の右側面に案内される。そして、各第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)の右側面に案内された空気は、吹出口(13)において各案内部材(31,32,33,34,35,36,37)に対応する領域から吹き出される。
【0067】
このように、各案内部材(31,32,33,34,35,36,37)は、その第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)の後端の位置が左に向かうに従って後方にずれるように配置されることにより、空気通路(14)を流れる空気は、第1案内部(30)によって複数に分流される。複数に分流された空気は、吹出口(13)から左右方向の流量が均等になるように吹き出される。これにより、吹出口(13)から吹き出される空気の風速を、左右方向において均一化できる。
【0068】
ここで、図3に示すように、本実施形態の第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)同士の左右方向の間隔Lは、12cm以下である。間隔Lが12cmより大きいと、第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)同士の間を通過する空気の流れが減衰してしまう。この気流の減衰に起因して、吹出口(13)から吹き出される空気の風速が左右方向において不均一になってしまう。これに対し、本実施形態の第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)同士の左右方向の間隔Lが12cm以下なので、第1平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)同士の間を通過する気流の減衰を抑制できる。これにより、左右方向において、吹出口(13)から吹き出される空気の風速のばらつきを抑制できる。
【0069】
(1-4)第2案内部
第2案内部(40)は、空気通路(14)において、ファン(20)の吐出口(24)と第1案内部(30)との間に配置される。第2案内部(40)は、第2空間(14b)の右端に配置される。図2に示すように、第2案内部(40)は、貫通孔(18)の上端から下端に亘って隙間なく配置される。図3に示すように、第2案内部(40)は、貫通孔(18)の前端から後端に亘って隙間なく配置される。言い換えると、第2案内部(40)は、空気通路(14)を横断するように配置される。また、第2案内部(40)は、空気通路(14)を第1空間(14a)と第2空間(14b)とを仕切るように配置される。つまり、第1空間(14a)は、第2案内部(40)を介して、第2空間(14b)と連通している。
【0070】
第2案内部(40)は、ファン(20)から搬送された空気を第1案内部(30)に向けて案内する。第2案内部(40)は、左側面からみて、第1案内部(30)と重なっている。第1案内部(30)と第2案内部(40)とは、ケーシング(10)の背面に沿って左右方向に配列される。本実施形態において左右方向が、本開示の第1方向に対応する。
【0071】
図2図4に示すように、第2案内部(40)は、空気通路(14)を複数の案内通路(41)に区画する。具体的には、図4に示すように、第2案内部(40)は、多角柱状の微小な孔が隙間なく規則的に並んでいる。第2案内部(40)は、格子状に形成される。第2案内部(40)の各案内通路(41)は、空気通路(14)に対して微小な通路である。複数の案内通路(41)は、互いに同じ方向を向いている。詳細には、複数の案内通路(41)の全ては、第1案内部(30)を向いている。本実施形態では、案内通路(41)は、左右方向に延びる。案内通路(41)は、左右方向に空気を案内する。
【0072】
また、第2案内部(40)は、ファン(20)から吐出された空気を整流する。本実施形態の第2案内部(40)は、ハニカム構造を有する整流部材である。整流部材は、該整流部材に流入した空気の流れにおける乱れを抑制し、空気の流れる方向を所定の方向に整える。第2案内部(40)は、ファン(20)から吐出された空気の流れる方向を左右方向に整える。
【0073】
案内通路(41)の断面形状は、多角形である。本実施形態の案内通路(41)の断面形状は、六角形である。なお、ここでいう断面は、左右方向(第1方向)に直交する平面で切断したときの断面である。案内通路(41)の断面形状は、三角形や四角形、五角形、八角形などであってもよい。
【0074】
各案内通路(41)を形成する複数の面のうちの一面は、案内面(42)で構成される。言い換えると、案内面(42)は、空気通路(14)に面している。案内面(42)は、第1案内部(30)に向けて空気を案内する。案内面(42)は、ファン(20)の回転軸方向(本実施形態では、前後方向)及び左右方向(第1方向)に沿っている。案内面(42)は、平面で構成される。案内面(42)は、僅かに湾曲していてもよい。
【0075】
(1-5)制御部
図5に示すように、送風装置(1)は、制御部(90)を備える。制御部(90)は、制御プログラムを実行するCPUと、制御プログラムやそれを実行するのに必要なデータ等を記憶するメモリと有する。
【0076】
制御部(90)は、ファン(20)の回転数を制御する。ファン(20)の回転数が制御されることにより、吹出口(13)から吹き出す空気の気流が、所定の運動量の範囲で不規則に変化するように調節される。
【0077】
(2)ファンの制御
本実施形態の送風装置(1)は、吹出口(13)に向かい合う第1面(R1)に向けて送風する。第1面(R1)は、本開示の仮想面(R)に対応する。ファン(20)は、第1面(R1)において、単位面積当たりの平均運動量pが、0.05kg/ms以上、かつ、0.75kg/ms以下の範囲で不規則に変化する気流を生成するように制御される。第1面(R1)は、風速が0.2m/s以上の領域とする。図6を用いて説明すると、第1面(R1)は、中心線CL(吹出口(13)の中心Oから前方へ延びる線)と直交し、かつ、中心線CLを中心に形成される面である。具体的に、第1面(R1)は、中心Oから0.3m離れた中心線CL上の点O1を中心とする幅0.6m、高さ0.5mの矩形の面である。
【0078】
送風装置(1)の吹出口(13)から吹き出された空気による気流の平均運動量pは、平均運動量p[kg/ms]=空気密度ρ[kg/m]×面積A[m]×流速v[m/s]×流速v[m/s]/面積A[m]により求められる。この平均運動量は、向きを持つベクトル量である。ファン(20)は、室内空間の環境が、室温20℃および1atm(標準大気圧)であるときの単位面積当たりの平均運動量pが、0.05kg/ms以上、かつ、0.75kg/ms以下の範囲で不規則に変化する気流を第1面(R1)において生成するように制御される。温度が20℃で、圧力が1atmの空気密度ρは、0.166kg/mである。平均運動量pが、0.05kg/ms以上、かつ、0.75kg/ms以下の範囲の気流とは、風速に置き換えると、0.2[m/s]以上、かつ0.8の[m/s]以下の範囲である。
【0079】
(3)送風装置の空気の流れ
次に、ケーシング(10)内の空気の流れについて、図7を参照しながら説明する。図7中の矢印は、空気が流れる方向を示す。
【0080】
ファン(20)の動作が開始すると、吸込口(12)から室内空間の空気が吸い込まれる。吸込口(12)から吸い込まれた空気は、フィルタ(15)を通過して、ファン収容室(11)に流入する。ファン収容室(11)に流入した空気は、ファン(20)のスクロール(23)の前面から吸い込まれ、吐出口(24)から吐出される。吐出口(24)から吐出された空気は、空気通路(14)の第1空間(14a)に流入する。
【0081】
第1空間(14a)に流入した空気は、第2案内部(40)に向かって左側へ流れる。第2案内部(40)に到達した空気は、第2案内部(40)の案内通路(41)を通過して、第2空間(14b)に流入する。第2空間(14b)に流入した空気は左側へ流れた後、第1案内部(30)の各案内部材(31,32,33,34,35,36,37)に当たる。これにより、第2空間(14b)に流入した空気が分流されるとともに、前方に向きが変更される。そして、前方に向きが変更された空気は、吹出口(13)から前方に吹き出される。
【0082】
(4)遠心ファンの吐出空気
次に、遠心ファン(20)の吐出口(24)から吐出される吐出空気について説明する。
【0083】
図8に示すように、遠心ファン(20)では、回転軸(21)を中心に羽根車(22)が回転することにより回転方向の旋回流が生じる。旋回流は、スクロール(23)によって所定の方向(図8では、上方)に整えられて吐出口(24)から吐出される。
【0084】
ここで、図8に白抜き矢印で示すように、吐出口(24)から吐出される空気は、厳密には、所定の吐出方向(図8では、上下方向)に対して僅かに回転方向に傾いて吐出される。これは、回転方向に旋回する流れを、スクロール(23)によって完全に所定の吐出方向に整えることが難しいからである。
【0085】
また、図8では、吐出口(24)の上部に吐出空気の風速分布の概念図を示している。図8の概念図に示すように、吐出口(24)から吐出された空気は、旋回流の影響により、吐出口(24)の左右両端部では風速が比較的遅く、吐出口(24)の右寄り(回転方向前側寄り)の部分では風速が速くなるような風速分布を形成する。
【0086】
(5)従来の送風装置の課題
図9は、遠心ファン(20)を備える従来の送風装置(100)における空気通路(14)内の風速の様子を示す。図9の白抜き矢印は、第2空間(14b)を通過する空気を模式的に示す。図9の白抜き矢印の太さは、風速の大きさを示す。詳細には、図9では、太い白抜き矢印は風速が速いことを示し、細い白抜き矢印は風速が遅いことを示す。図9の従来の送風装置(100)では、第2案内部(40)を備えおらず、それ以外の構成は本開示の送風装置(1)と同じである。
【0087】
図9に示す従来の送風装置(100)では、ファン(20)は、ファン(20)の回転軸方向が吹出口(13)から吹き出される空気の吹出方向と一致するように配置されている。そのため、図9の白抜き矢印で示すように、空気通路(14)の第2空間(14b)における右下から左上に向かう対角線上の領域では、風速が速くなる。そして、第2空間(14b)における右上隅部の領域、及び第2空間(14b)における左下隅部の領域では、上記の対角線上の領域に比べて風速が遅くなる。このように、第2空間(14b)を流れる空気には、上下方向及び左右方向に風速のばらつきが生じる。
【0088】
左右方向の風速のばらつきは、第1案内部(30)によって左右方向に流れを分流させることにより均一化できる。しかし、第2空間(14b)を流れる空気には、上下方向の風速のばらつきが残る。このように、上下方向に風速のばらつきがある状態で吹出口(13)まで空気が案内されると、吹出口(13)からの吹出空気の風速が不均一になってしまう。
【0089】
これに対し、図10に示すように、本実施形態の送風装置(1)では、第1案内部(30)に空気を案内する第2案内部(40)を備えるので、ファン(20)の吐出空気の流れる方向を第1案内部(30)に向かうように整えることができる。詳細には、ファン(20)から吐出された空気が第2案内部(40)の案内面(42)に当たることにより、空気の流れる方向が左右方向に整えられる。
【0090】
より詳細には、ファン(20)から吐出される空気は、左右方向に対してファン(20)の回転方向に僅かに傾いている。この回転方向に傾いた空気が第2案内部(40)の案内通路(41)を通過する際に、案内面(42)に当たる。案内面(42)は、回転方向及び左右方向に沿っているため、案内面(42)に当たった空気の流れは、左右方向に整えられる。
【0091】
また、第2案内部(40)には、複数の微小な案内通路(41)が形成されているので、風速にばらつきのある流れが第2案内部(40)を通過する際に、上下方向に風速が均一化される。
【0092】
これにより、図10の白抜き矢印で示すように、ファン(20)から吐出された空気は、第2案内部(40)を通過することにより、左右方向に流れが整えられるとともに、上下方向に風速が均一化される。
【0093】
ここで、本実施形態のファン(20)は、空気通路(14)におけるファン(20)の回転方向の逆側寄りに配置される。図10に示すように、本実施形態では、ファンの回転方向が右回り(時計回り)であったとき、4つのファン(20)は、全体的に下側寄りに配置されている。言い換えると、4つのファン(20)の吐出口(24)における上下方向の両端部の中点をM1とし、吹出口(13)の上下方向の中点をM2としたとき、中点M1は中点M2よりも所定の距離だけ下側に位置する。
【0094】
このようにファン(20)を回転方向の逆側寄り配置することにより、吐出口(24)から回転方向に傾いて吐出される空気が、ファン(20)の上端に設けられた第1仕切板(61)に当たりにくくなる。これにより、第1仕切板(61)付近で生じる圧力損失を抑制できる。そして、ファン(20)の吐出空気を円滑に流すことができる。
【0095】
(6)空気通路の圧力
本実施形態の送風装置(1)では、ケーシング(10)内に形成された1つの第1空間(14a)と1つの第2空間(14b)とが、中板(10g)の1つ貫通孔(18)を介して連通している。そして、第1空間(14a)の流出口の大きさと第2空間(14b)の流入口の大きさは、ほぼ同じである。つまり、一方の開口は、他方の開口に対して極端に狭くなっていない。そのため、空気通路(14)の第2空間(14b)の圧力は、第1空間(14a)の圧力とほぼ同じになる。言い換えると、本実施形態の送風装置(1)では、空気通路(14)における貫通孔(18)の前後の圧力差が大きくならない。
【0096】
また、本実施形態の貫通孔(18)に設けられる第2案内部(40)は、微小な孔が隙間なく並んだ部材であるため、開口率の高い部材である。仮に、第2案内部(40)が開口率の低い部材(例えば、所定の間隔を空けて微小な孔が形成されているような部材)や目の非常に細かなフィルタ等であった場合には、第2案内部(40)前後の圧力差が大きくなってしまう。これに対し、本実施形態の第2案内部(40)は開口率の高い部材であるであるため、第2案内部(40)が設けられた貫通孔(18)の前後において、その圧力差が大きくならない。
【0097】
このように、本実施形態の送風装置(1)では、空気通路(14)における貫通孔(18)前後の圧力差が大きくならない。すなわち、空気通路(14)内において圧力損失が生じにくい。
【0098】
更に、本実施形態の送風装置(1)では、第2空間(14b)および吹出口(13)は1つずつ設けられている。第2空間(14b)および吹出口(13)の上下方向の長さはほぼ同じであり、第2空間(14b)および吹出口(13)の左右方向の長さはほぼ同じである。したがって、第2空間(14b)の流出口の大きさと吹出口(13)の大きさは、ほぼ同じである。つまり、一方の開口は、他方の開口に対して極端に狭くなっていない。そのため、空気通路(14)における第2空間の圧力は、ケーシング(10)の外部の圧力とほぼ同じになる。言い換えると、本実施形態の送風装置(1)では、吹出口(13)前後の圧力差も大きくならない。
【0099】
また、本実施形態の吹出口(13)は、1つの大きな開口である。そして、吹出口(13)に設けられる整流部材(16)は、微小な孔が隙間なく並んだ部材であるため、開口率の高い部材である。したがって、整流部材(16)が設けられた吹出口(13)の前後において、その圧力差が大きくならない。
【0100】
このように、本実施形態の送風装置(1)では、吹出口(13)前後の圧力差が大きくならない。すなわち、空気通路(14)内において圧力損失が生じにくい。
【0101】
上述のように、本実施形態の送風装置(1)では、空気通路(14)における貫通孔(18)前後の圧力差および吹出口(13)前後の圧力差が大きくならないので、空気通路(14)内において圧力損失が生じにくい。そのため、ファン(20)の容量を増大させる必要がなく、ファン(20)の大型化を抑制できる。加えて、本実施形態では、空気通路(14)内において圧力損失が生じにくいので、送風効率の低下を抑制できる。
【0102】
ここで、上述のように、空気通路(14)における貫通孔(18)前後の圧力差および吹出口(13)前後の圧力差が大きくならない構造の送風装置(1)において、貫通孔(18)に第2案内部(40)を備えない場合には、ファン(20)の吐出口(24)から吐出された空気は、様々な方向にばらついた空気が含まれた状態で、そのまま吹出口(13)まで流れてしまう。特に、ファン(20)が遠心ファンの場合には、ファン(20)から吐出される空気がファン(20)の回転方向に傾いている。
【0103】
これに対し、本実施形態の送風装置(1)では、中板(10g)の貫通孔(18)に第2案内部(40)を配置することにより、ばらつきのあるファン(20)の吐出空気を第2案内部(40)において整流し、整流した空気を吹出口(13)に流すことができる。
【0104】
これにより、本実施形態の送風装置(1)では、圧力損失の増大を抑制しつつ、吹出口(13)から吹き出される空気のばらつきを抑制できる。その結果、送風効率が高く、且つ、均一な平面状の空気を吹き出すことができる送風装置(1)を提供できる。
【0105】
(7)特徴
(7-1)
送風装置(1)の第2案内部(40)は、空気通路(14)を複数の案内通路(41)に区画する。そして、第2案内部(40)は、第1案内部(30)に向けて空気を案内する案内面(42)を有する。そのため、複数の案内面(42)によって、ファン(20)の吐出空気に含まれるばらつきのある空気を第1案内部(30)に向けて方向を整えることができる。これにより、吹出口(13)から吹き出される空気のばらつきを抑制できる。
【0106】
(7-2)
複数の案内通路(41)は、互いに同じ方向を向いている。そのため、ファン(20)から吐出された空気の流れを一つの方向に揃えることができる。
【0107】
(7-3)
第2案内部(40)は、ファン(20)から吐出された空気を整流する。そのため、ファン(20)から吐出された空気が第2案内部(40)を通過することにより、整流される。これにより、ファン(20)から吐出された空気の乱れを抑制できるので、より吹出口(13)から吹き出される空気のばらつきを抑制できる。
【0108】
(7-4)
案内通路(41)の断面形状は、多角形である。そのため、様々な方向に傾いているファン(20)の吐出空気の乱れを抑制できる。これにより、第1案内部(30)に向かう空気通路(14)の空気の流れを整えることができる。
【0109】
(7-5)
案内通路(41)は、第1案内部(30)と第2案内部(40)とが配列される左右方向に延びる。そのため、空気が案内通路(41)を通過することにより、第1案内部(30)に向かって空気の流れを整えることができる。
【0110】
(7-6)
第1案内部(30)と第2案内部(40)とは、左右方向に配列される。ファン(20)は、左右方向の一端側に配置され、左右方向の他端側に向かって空気を吹き出す。案内通路(41)は、左右方向に空気を案内する。
【0111】
ここで、ファン(20)は左右方向の他端側に向かって空気を吹き出しているが、ファン(20)から吹き出される空気の中には左右方向と僅かに交差する方向を向いて流れる空気が含まれている。本実施形態では、案内通路(41)が第1方向に空気を案内するので、ファン(20)の吐出空気が案内通路(41)を通過することにより、左右方向と交差する方向の気流を左右方向に整えつつ、第1案内部(30)に向けて案内することができる。
【0112】
(7-7)
ファン(20)は、遠心ファンである。案内面(42)は、ファン(20)の回転軸方向及び左右方向に沿う。
【0113】
遠心ファン(20)の吐出空気は、左右方向に対して遠心ファン(20)の回転方向に傾いて流れる。これに対し、本実施形態では、遠心ファン(20)の吐出空気が案内通路(41)を通過する際に、遠心ファン(20)の回転軸方向及び左右方向に沿った案内面(42)に当たる。これにより、遠心ファン(20)の回転方向に傾いていた気流の向きが左右方向に変えられる。その結果、送風装置(1)の吹出口(13)から吹き出される空気のばらつきを抑制できる。
【0114】
(7-8)
第1案内部(30)は、左右方向に配列される複数の平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)を含む。平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)同士の間隔Lは、12cm以下である。そのため、平面部材(31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a)同士の間を通過する空気の減衰を抑えることができ、吹出口(13)から吹出される空気の上下方向における風速のばらつきを低減できる。
【0115】
(7-9)
ファン(20)は、遠心ファンである。ファン(20)は、ファン(20)の回転軸方向が吹出口(13)から吹き出される空気の吹出方向と一致するように配置される。
【0116】
ここで、遠心ファン(20)の形状は、その回転軸方向に厚さが薄いのが通常である。本実施形態では、遠心ファン(20)の回転軸方向が吹出方向と一致するように遠心ファン(20)が配置されるので、送風装置(1)を吹出方向に薄型化できる。
【0117】
(7-10)
ファン(20)は、空気通路(14)におけるファン(20)の回転方向の逆側寄りに配置される。そのため、空気通路(14)における回転方向側の端部において、圧力損失の発生を抑制できる。
【0118】
(7-11)
本実施形態の送風装置(1)では、吹出口(13)に向かい合い、且つ、風速が0.2m/s以上の仮想面(R)において、単位面積あたりの平均運動量が0.05kg/ms2以上且つ0.75kg/ms2以下の範囲の気流を生じさせる。そのため、送風装置(1)から吹き出された空気が供給される空間の快適性を保つことができるとともに、換気効率を向上できる。
【0119】
(8)変形例
上記実施形態については以下のような変形例としてもよい。なお、以下の説明では、原則として上記実施形態と異なる点について説明する。
【0120】
(8-1)変形例1
上記実施形態の送風装置(1)の第2案内部(40)は、複数の円筒によって構成されてもよい。本変形例の円筒は、その軸心が左右方向に延びる。本変形例においても、ファン(20)から吐出された空気が第2案内部(40)を通過する際に、円筒の内面に当たることにより、様々な方向に傾いた気流の向きが左右方向に整えられる。これにより、吹出口(13)から吹き出される空気のばらつきを抑制できる。
【0121】
本変形例では、第2案内部(40)の円筒は、左右方向に短くてもよく、ファン(20)の吐出口(24)から中板(10g)の貫通孔(18)に亘って延びていてもよい。
【0122】
(8-2)変形例2
上記実施形態の空気通路(14)は、1つの第2空間(14b)に代えて、左右方向に延びる複数の第2空間(14b)を有してもよい。言い換えると、上記実施形態の1つの第2空間(14b)は、上下方向に分割されていてもよい。
【0123】
具体的には、隣り合う第2空間(14b)同士は、左右方向に延びる1つの仕切り板を介して、上下方向に配列される。つまり、隣り合う第2空間(14b)同士は、隣接している。隣り合う第2空間(14b)同士の間には、空間が形成されていない。複数の第2空間(14b)は、中板(10g)に形成される複数の貫通孔(18)を介して、1つの第1空間(14a)と連通する。1つの貫通孔(18)は、1つの第2空間(14b)に対応している。複数の第2空間(14b)は、吹出口(13)に連通する。
【0124】
本変形例の送風装置(1)では、隣り合う第2空間(14b)同士の間に空間が形成されていないので、空気通路(14)における貫通孔(18)前後の圧力差が大きくならない。内圧が高くならない。そのため、空気通路(14)内において圧力損失が生じにくい。
【0125】
《実施形態2》
実施形態2の送風装置について説明する。本実施形態の送風装置(1)は、実施形態1の送風装置(1)において、第3案内部(50)を追加したものである。ここでは、本実施形態の送風装置(1)について、実施形態1の送風装置(1)と異なる点を説明する。なお、実施形態1と同一の構成については、その説明を省略するとともに同一の符号を付す。
【0126】
(1)第3案内部
図11に示すように、第3案内部(50)は、空気通路(14)において、ファン(20)と第2案内部(40)との間に配置される。第3案内部(50)は、第1空間(14a)に配置される。第3案内部(50)は、ファン(20)から吐出された空気を第2案内部(40)に案内する。
【0127】
第3案内部(50)は、複数(本実施形態では、12個)のフラップ(51,52,53)を有する。本実施形態では、1つのファン(20)に対して、3つのフラップ(51,52,53)が設けられる。具体的には、1つのファン(20)に対して、下から順に、第1フラップ(51)と、第2フラップ(52)と、第3フラップ(53)とが設けられる。第1フラップ(51)と第2フラップ(52)との間には、第1流路(54)が形成される。第2フラップ(52)と第3フラップ(53)との間には、第2流路(55)が形成される。ここで示すフラップ(51,52,53)の数は、単なる一例である。1つのファン(20)に対応するフラップ(51,52,53)は、1つのファン(20)の左側に配置される。
【0128】
複数のフラップ(51,52,53)は、上下方向に配列される。各フラップ(51,52,53)は、平板で構成される。各フラップ(51,52,53)は、ファン(20)の回転方向を向くように配置される。各フラップ(51,52,53)は、不図示の回転軸を中心に回転する。各フラップ(51,52,53)の回転軸は、前後方向に沿って延びる。回転軸は、不図示のモータによって駆動される。モータは、ケーシング(10)の後側板(10d)に固定される。
【0129】
ファン(20)の吐出口(24)から吐出された空気は、左側に流れて複数のフラップ(51,52,53)の間を通過する。吐出空気はフラップ(51,52,53)同士の間を通過する際に、各第2案内部(40)に向かうように気流の方向が整えられる。気流の方向が整えられた空気は、第2案内部(40)を左側に流れた後、第2空間(14b)に流入する。このように、送風装置(1)が第3案内部(50)を備えることにより、ファン(20)からの吐出空気を第2案内部(40)に向かって気流の方向を整えることができる。
【0130】
第3案内部(50)は、フラップ(51,52,53)同士の間隔を変更することで、ファン(20)から吐出された空気の流量を分配する風量分配部(50A)として機能する。第3案内部(50)では、第1フラップ(51)及び第2フラップ(52)の間隔と、第2フラップ(52)及び第3フラップ(53)の間隔とが異なるように、各フラップ(51,52,53)が可動する。
【0131】
実施形態1で説明したように、遠心ファン(20)の吐出空気は、上下方向に風速のばらつきがある。そのため、フラップ(51,52,53)同士の間隔を変更することにより、第2案内部(40)へ向かう流れの風速を上下方向に均一にできる。また、フラップ(51,52,53)同士の間隔を変更することにより、吹出口(13)の上下方向における所定の領域の風速を上昇させたり下降させたりできる。
【0132】
また、第3案内部(50)は、ファン(20)から吐出された空気の向きを調節する風向調節部(50B)として機能する。第3案内部(50)では、第1流路(54)及び第2流路(55)の流れ方向が変更されるように、各フラップ(51,52,53)が可動する。これにより、ファン(20)の吐出空気の向きを所定の方向に調節できる。
【0133】
このように、吐出空気の方向を調節することにより、吹出口(13)の全体から均一な空気を吹き出すだけでなく、吹出口(13)の一部の領域に強く均一な空気を吹き出すことができる。例えば、各フラップ(51,52,53)の向きを空気通路(14)の中央部に向かうように変更することで、吹出口(13)の中央部分から強く均一な空気を吹き出すことができる。
【0134】
(2)特徴
(2-1)
本実施形態の送風装置(1)は、第3案内部(50)を備える。第3案内部(50)は、空気通路(14)におけるファン(20)と第2案内部(40)との間に配置され、ファン(20)から吐出された空気を第2案内部(40)へ案内する。これにより、ファン(20)の吐出空気が第2案内部(40)に流入する前にファン(20)の吐出空気を第2案内部(40)の方向に整えることができる。
【0135】
(2-2)
第3案内部(50)は、ファン(20)から吐出された空気の量を分配する風量分配部(50A)を有する。これにより、ばらつきがあるファン(20)の吐出空気の風量を均一に分けることができる。
【0136】
(2-3)
第3案内部(50)は、ファン(20)から吐出された空気の向きを調節する風向調節部(50B)を有する。これにより、ファン(20)の吐出空気の向きを所定の方向に調節できる。
【0137】
(3)変形例
上記実施形態については以下のような変形例としてもよい。なお、以下の説明では、原則として上記実施形態と異なる点について説明する。
【0138】
(3-1)変形例1
上記実施形態の第3案内部(50)は、風量分配部(50A)としてのみ機能するように構成されてもよい。具体的には、図12に示すように、フラップ(51,52,53)同士の間隔が異なるように配置される。本変形例では、各フラップ(51,52,53)は固定されている。言い換えると、各フラップ(51,52,53)は可動しない。例えば、遠心ファン(20)の吐出空気が左右方向に均一になるように、予め設定された間隔で各フラップ(51,52,53)が固定されている。
【0139】
(3-2)変形例2
上記実施形態の第3案内部(50)は、風向調節部(50B)としてのみ機能するように構成してもよい。具体的には、図13に示すように、フラップ(51,52,53)同士の間に形成される流路の向きが変更されるように、各フラップ(51,52,53)が可動する。本変形例では、フラップ(51,52,53)同士の間隔は固定される。言い換えると、フラップ(51,52,53)同士の間隔を変更できない。
【0140】
《実施形態3》
実施形態3の送風装置について説明する。本実施形態の送風装置(1)は、実施形態1の送風装置(1)において、ファン(20)の姿勢を変更したものである。ここでは、本実施形態の送風装置(1)について、実施形態1の送風装置(1)と異なる点を説明する。なお、実施形態1と同一の構成については、その説明を省略するとともに同一の符号を付す。
【0141】
(1)ファンの姿勢
図14に示すように、本実施形態では、3つのファン(20)がファン収容室(11)に配置される。ファン(20)は、ファン(20)の吐出方向が左右方向(第1方向)になるように傾けて配置される。詳細には、ファン(20)は、鉛直方向に対してファン(20)の回転方向と逆側に所定の角度だけ傾いて配置される。
【0142】
これにより、ファン(20)の吐出口(24)が、鉛直方向に対して回転方向の逆側に所定の角度だけ傾く。そのため、ファン(20)の吐出口(24)から吐出される空気の向きが左右方向になるので、吹出口(13)の吹出空気の風速が上下方向にばらつきにくくなる。
【0143】
(2)特徴
ファン(20)は、遠心ファンである。ファン(20)は、ファン(20)の吐出方向が左右方向になるように傾けて配置される。これにより、遠心ファン(20)の吐出空気が第2案内部(40)に流入する前に、左右方向にある程度流れを向けることができる。これにより、風速分布がばらついている遠心ファン(20)の吐出空気をより左右方向に整えられる。
【0144】
(3)変形例
上記実施形態では、送風装置(1)が第3案内部(50)を備えてもよい。第3案内部(50)を備えることにより、実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0145】
(4)参考例
上記実施形態の送風装置(1)は、第2案内部(40)を備えていなくてもよい。本参考例の送風装置(1)は、第2案内部(40)以外の構成は、上記実施形態と同様である。言い換えると、送風装置(1)は、ケーシング(10)と、ファン(20)と、第1案内部(30)とを備える。
【0146】
本参考例では、ファン(20)から吐出された空気は左側に向かって流れ、空気通路(14)の第1空間(14a)に流入する。第1空間(14a)に流入した空気は、さらに左側に向かって流れ、中板(10g)の貫通孔(18)を通過して、第2空間(14b)に流入する。その後の空気の流れは、実施形態1と同様である。
【0147】
本参考例では、上記実施形態と同様に、ファン(20)の吐出空気が左右方向になるようにファン(20)が傾いて配置されているので、ファン(20)の吐出口(24)から左側に向かって空気が吐出される。これにより、第2案内部(40)を備えていなくても、ファン(20)の吐出空気が第1案内部(30)に向かって比較的真っ直ぐ左側に流れるので、空気通路(14)における上下方向の風速のばらつきが低減される。その結果、吹出口(13)の吹出空気の風速が上下方向にばらつきにくくなる。
【0148】
《その他の実施形態》
上記実施形態、上記変形例、及び上記参考例については、以下のような構成としてもよい。
【0149】
図15に示すように、上記各実施形態のファン(20)は、ファン(20)の回転軸方向が吹出口(13)から吹き出される空気の吹出方向と直交するように配置されてもよい。この場合においても、ファン(20)の吐出口(24)からの吐出空気は、その風速が前後方向にばらつくとともに、前後方向以外に様々な方向に僅かに傾いた空気が含まれる。送風装置(1)が第2案内部(40)を備えることにより、ファン(20)の吐出空気の流れを左右方向に整えて、第1案内部(30)に向かって流すことができる。
【0150】
上記各実施形態のファン(20)は、ケーシング(10)内の左側に配置されてもよい。この場合においても、空気通路(14)は左右方向に延びる。第1案内部(30)と第2案内部(40)とは、左右方向(第1方向)に配列される。
【0151】
上記各実施形態のファン(20)は、ケーシング(10)内の下側又は上側に配置されてもよい。図16及び図17では、ファン(20)がケーシング(10)内の下側に配置される例を示す。この場合、空気通路(14)は上下方向に延びる。第1案内部(30)と第2案内部(40)とは、上下方向に配列される。本実施形態では上下方向が、本開示の第1方向に対応する。この場合においても、第2案内部(40)によって、ファン(20)の吐出空気の流れを上下方向に整えて、第1案内部(30)に向かって流すことができる。
【0152】
上記各実施形態のファン(20)は、クロスフローファン又はプロペラファンであってもよい。クロスフローファンが用いられる場合には、クロスフローファンは、その回転軸が上下方向に沿うようにファン収容室(11)に配置される。プロペラファンが用いられる場合には、その回転軸が左右方向に沿うようにファン収容室(11)に配置される。クロスフローファン又はプロペラファンにおいても、ファンから吐出される空気には、様々な方向に傾いた気流が含まれる。送風装置(1)が第2案内部(40)を備えることにより、ファン(20)の吐出空気を第1案内部(30)に向かって上方に流すことができる。
【0153】
ファン(20)が生じさせる気流は、単位面積あたりの運動量が0.05kgm/s以上かつ0.75kgm/s以下の範囲であってもよい。
【0154】
ファン(20)は、単位面積あたりの平均運動量が0.05kg/ms以上かつ0.75kg/ms以下の範囲の気流を生じさせればよく、平均運動量を変化させなくてもよい。
【0155】
ファン(20)は、単位面積あたりの平均運動量が平均0.05kg/ms以上かつ0.75kg/ms以下の範囲で規則的に変化する気流を生じさせてもよい。
【0156】
上記各実施形態の送風装置(1)は、空気清浄部を有していてもよい。空気清浄部は、吸込口(12)や中板(10g)の貫通孔(18)に配置される。空気清浄部は、空気に含まれる浮遊物などを除去する他、消臭したり殺菌したりする機能を有していてもよい。例えば、空気清浄部は、UV殺菌灯や、脱臭フィルタ、ストリーマユニット等を有していてもよい。
【0157】
上記各実施形態の整流部材(16)は、布であってもよい。この場合、布の織目から空気が吹き出すことで、吹出口(13)内の位置によらず吹き出し空気の向きや風量を均一化できる。また、整流部材(16)は、ルーバであってもよい。ルーバにより、吹き出し空気の向きや風量を調節できる。
【0158】
上記各実施形態の送風装置(1)では、フィルタ(15)が吹出口(13)に設けられてもよい。フィルタ(15)を通過する空気は整流される。そのため、フィルタ(15)は、空気通路(14)の内の空気清浄と、吹出空気の整流とを兼用できる。これにより、吹出口(13)に整流部材(16)を不要にできる。
【0159】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0160】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0161】
以上説明したように、本開示は、送風装置について有用である。
【符号の説明】
【0162】
1 送風装置
10 ケーシング
13 吹出口
14 空気通路
20 ファン(遠心ファン)
30 第1案内部
31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a 第1平面部材(平面部材)
40 第2案内部
41 案内通路
42 案内面
50 第3案内部
50A 風量分配部
50B 風向調節部
R 仮想面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17