(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176276
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ブロックイソシアネート化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 263/00 20060101AFI20241212BHJP
C07C 265/14 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C07C263/00
C07C265/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094718
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】稲田 博
(72)【発明者】
【氏名】小杉 裕士
(72)【発明者】
【氏名】藤原 篤史
(72)【発明者】
【氏名】大西 一広
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC55
4H006BC10
(57)【要約】
【課題】副生成物の生成量増加が少ないブロックイソシアネート化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物と、有機アミンとを反応させる反応工程を含む、ブロックイソシアネート化合物の製造方法。一般式(I)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、1価の有機基である。R
1及びR
2は互いに独立して、炭素-炭素結合、炭素-酸素-炭素結合又は炭素-窒素-炭素結合により環構造を形成していてもよい。R
3は脂肪族炭化水素基又は芳香族基を有する炭化水素基である。
[化1]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される化合物と、有機アミンとを反応させる反応工程を含む、ブロックイソシアネート化合物の製造方法。
【化1】
(一般式(I)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、1価の有機基である。R
1及びR
2は互いに独立して、炭素-炭素結合、炭素-酸素-炭素結合又は炭素-窒素-炭素結合により環構造を形成していてもよい。R
3は脂肪族炭化水素基又は芳香族基を有する炭化水素基である。)
【請求項2】
前記有機アミンは下記一般式(II)で表されるアミン化合物である、請求項1に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。
【化2】
(一般式(II)中、R
21は、1価の有機基である。n21は1以上12以下の整数である。)
【請求項3】
前記一般式(I)中のR
3は、下記一般式(R3)-1で表される基である、請求項1又は2に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。
【化3】
(一般式(R3)-1中、環A
31は、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素環である。R
31は水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、炭素数1以上20以下のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1以上20以下のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6以上20以下のアリール基、炭素数6以上20以下のアリールオキシ基、炭素数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素数7以上20以下のアラルキルオキシ基である。R
31は、環A
31と結合して環構造を形成してもよい。また、n31は0以上10以下の整数である。*は酸素原子との結合箇所を示す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックイソシアネート化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネートは、ポリウレタンフォーム、塗料、接着剤等の製造原料として広く用いられている。イソシアネートの主な工業的製造方法は、アミン化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン法)であり、全世界の生産量のほぼ全量がホスゲン法により生産されている。しかしながら、ホスゲン法には、原料のホスゲン及び副生成物の塩化水素に関して、多くの問題がある。
【0003】
このような背景から、ホスゲンを使用しないイソシアネートの製造方法が望まれている。例えば、特許文献1には、特定の触媒の存在下に、1,6-ヘキサメチレンジカルバミン酸エステルを熱分解して、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを製造する方法が記載されている。また、特許文献2には、アルカリ触媒の存在下、ジアミンとジメチルカーボネートとを反応させてウレタン化合物を合成し、次いでウレタン化合物を触媒存在下で熱分解させて、ジイソシアネート化合物を製造する方法が記載されている。
【0004】
また、イソシアネートは反応性が高く、水等の化合物と容易に反応する。このため安定性を向上させる目的で、ブロックイソシアネートに変換し、使用に際して加熱によりブロック化剤を解離させてイソシアネートを再生させて用いられる場合が有る。ブロックイソシアネートは活性水素化合物との反応性が低く、安定に貯蔵可能で、加えてイソシアネートと比較して毒性も低いことから、一液型塗料、接着剤や成型用コンパウンドとして有用である。
【0005】
また、ブロックイソシアネートは熱分解によってイソシアネートとブロック剤に解離する性質を有する。このため、ブロックイソシアネートを熱分解によりイソシアネートとブロック剤に分解し、得られたイソシアネートとブロック剤を熱分解後、又は熱分解と同時に分離することができる。分離したイソシアネートとブロック剤はイソシアネートを製造する場合の原料としても使用できるため有用である。
【0006】
ブロックイソシアネートの製造方法としては、種々知られている。例えば、イソシアネートとブロック剤を直接反応させてブロックイソシアネートを製造する方法、アミンとホスゲンを反応させて得られるカルバミン酸クロリドとブロック剤を反応させてブロックイソシアネートを製造する方法、カルバミン酸とブロック剤と縮合剤を反応させてブロックイソシアネートを製造する方法、アミンと炭酸誘導体を反応させて炭酸誘導体に由来する化合物を含むブロックイソシアネートを製造する方法、アミンと炭酸誘導体とブロック剤を反応させてブロックイソシアネートを製造する方法が挙げられる。
【0007】
アミンと炭酸誘導体を反応させて炭酸誘導体に由来する化合物を含むブロックイソシアネートを製造する方法では、特許文献3で記述されているように、生じたブロックイソシアネートと残存する原料のアミンが反応し、ウレイレン基を生成する副反応が生じる。そのため、高効率にブロックイソシアネートを製造するためにはこの副反応を抑制することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6-239826号公報
【特許文献2】特開昭64-85956号公報
【特許文献3】特開2022-180170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ウレイレン基を有する副生物の生成を抑制しながら、効率的にブロックイソシアネート化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
【0011】
[1]下記一般式(I)で表される化合物と、有機アミンとを反応させる反応工程を含む、ブロックイソシアネート化合物の製造方法。
【化1】
(一般式(I)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、1価の有機基である。R
1及びR
2は互いに独立して、炭素-炭素結合、炭素-酸素-炭素結合又は炭素-窒素-炭素結合により環構造を形成していてもよい。R
3は脂肪族炭化水素基又は芳香族基を有する炭化水素基である。)
[2]前記有機アミンは下記一般式(II)で表されるアミン化合物である、[1]に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。
【化2】
(一般式(II)中、R
21は、n21価の有機基である。n21は1以上12以下の整数である。)
[3]前記一般式(I)中のR
3は、下記一般式(R3)-1で表される基である、[1]又は[2]に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。
【化3】
(一般式(R3)-1中、環A
31は、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素環である。R
31は水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、炭素数1以上20以下のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1以上20以下のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6以上20以下のアリール基、炭素数6以上20以下のアリールオキシ基、炭素数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素数7以上20以下のアラルキルオキシ基である。R
31は、環A
31と結合して環構造を形成してもよい。また、n31は0以上10以下の整数である。*は酸素原子との結合箇所を示す。)
【発明の効果】
【0012】
上記態様のブロックイソシアネート化合物の製造方法によればウレイレン基を有する副生物の生成を抑制しながら、効率的にブロックイソシアネート化合物を製造する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の本実施形態に限定するものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
【0014】
なお、本明細書において、「活性水素」とは、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子と結合している水素原子、及び、活性メチレン基の水素原子を指す。例えば、-OH基、-C(=O)OH基、-SH基、-NH2基、-NH-基、-C(=O)-C(-H)2-C(=O)-基等の原子団に含まれる水素原子である。
【0015】
<ブロックイソシアネート化合物の製造方法>
本実施形態は、下記一般式(I)で表される化合物と、有機アミンとを反応させる反応工程を含む、ブロックイソシアネート化合物の製造方法である。
以下において、下記一般式(I)で表される化合物を、「化合物(I)」と記載する。
【0016】
【化4】
(一般式(I)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、1価の有機基である。R
1及びR
2は互いに独立して、炭素-炭素結合、炭素-酸素-炭素結合又は炭素-窒素-炭素結合により環構造を形成していてもよい。R
3は脂肪族炭化水素基又は芳香族基を有する炭化水素基である。)
【0017】
本発明者らは、化合物(I)と、有機アミンと、を反応させてブロックイソシアネート化合物を製造することで、ウレイレン基を有する副生物の生成を抑制しながら、効率的にブロックイソシアネート化合物を製造する方法を提供することができる。
以下、本発明の製造方法について説明する。
【0018】
≪反応工程≫
本実施形態に係るブロックイソシアネート化合物の製造方法における反応工程では、化合物(I)と、有機アミンとを反応させて、ブロックイソシアネート化合物を得る。
【0019】
また、第1の反応工程において、化合物(I)及び有機アミンとの添加量の比は、任意に選択可能であるが、質量比で表す場合には、通常、化合物(I)が有機アミンよりも過剰となる量存在することが好ましく、例えば、有機アミンと化合物(I)との添加量が質量比で1:1~1:999とすることができる。
【0020】
反応温度に関しては、特に限定されず、化合物(I)及び有機アミンとの、反応速度、熱変性及び着色の程度に応じて適宜選択される。ブロックイソシアネート化合物の変性を抑制する観点から、反応温度は350℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、260℃以下がさらに好ましい。一方、反応温度が低温の場合、凝縮器の温度を低温に設定する必要を生じ、新たな設備を必要とする場合があるため、その観点からは、50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。
【0021】
また、反応圧力は、用いる化合物の種類や反応温度によって異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常、絶対圧で20Pa以上2×107Pa以下の範囲で行われる。
【0022】
反応工程は酸素の存在下で行われていてもよい。反応工程を酸素存在下で実施する場合は、ブロックイソシアネート化合物の熱変性及び着色が引き起こされることから、ブロックイソシアネート製造装置内の酸素存在量は低減されていることが好ましい。一方、大型の製造設備を考えた場合、ブロックイソシアネート化合物の製造装置内の酸素存在量を下げるためには、製造設備への空気の漏れ込みを低減する必要があり、そのため設備の設計基準がより厳しくなり設備費の増加が引き起こされる。その観点から、反応工程に供給されるガス中の酸素濃度は高い条件で管理することが好ましく、0容積%超で管理することが好ましく、0.0001容積%超で管理することがより好ましく、0.001容積%超で管理することがさらに好ましい。
【0023】
反応工程において、任意の溶媒を任意の割合で用いてもよい。溶媒としては、化合物(I)及び有機アミン等との反応性を有さない不活性溶媒が好ましい。そのような溶媒としては、エステル系溶媒、エ-テル系溶媒、リン酸エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、又は炭酸誘導体系溶媒が好ましい。
【0024】
反応工程において、化合物(I)及び有機アミンを含む反応混合物は、任意の金属を任意の割合で含んでもよい。金属の形態は、錯体であってもよく、或いは、固体であってもよい。金属は、ブロックイソシアネート化合物の熱分解温度を低減し、化合物(I)及び有機アミンの反応を促進する一方で、熱変性、劣化、及び着色を引き起こす場合があることから、有機アミン化合物の質量に対して、金属の含有量は10質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.1質量ppm未満がさらに好ましい。
【0025】
反応工程において、化合物(I)及び有機アミンを含む反応混合物は、有機酸、無機酸、有機塩基、又は無機塩基を含んでいてもよい。これらの酸や塩基は、ブロックイソシアネートの製造工程において触媒として作用し、反応に必要な温度を低減することができ、第1級アミン化合物と炭酸誘導体の反応を促進する。また、第1級アミン化合物と塩形成する有機酸及び/又は無機酸を含むことで、第1級アミン化合物とブロックイソシアネート化合物との反応性を低減し、ウレイレン基の生成を抑制できるためより好ましい。
【0026】
反応工程において、ブロックイソシアネート化合物は、該ブロックイソシアネート化合物を含む組成物(以下、「ブロックイソシアネート組成物」と称する場合がある)として得られる。
【0027】
なお、ブロックイソシアネート組成物とは、ブロックイソシアネート化合物を組成物中に0wt%超100wt%以下含む組成物を意味する。ブロックイソシアネート組成物中には、ブロックイソシアネート化合物が含まれていることを除き、特に制限は無く、溶媒、ブロック剤、イソシアネート、触媒、第一級アミン化合物等を任意の割合で含んでいてもよい。
【0028】
上記のことから、ブロックイソシアネート化合物としてブロックイソシアネート組成物をそのまま用いてもよく、或いは、ブロックイソシアネート組成物からブロックイソシアネート化合物を精製して用いてもよい。
【0029】
(反応装置)
反応装置としては、特に限定されず、公知のブロックイソシアネートの製造装置が使用できる。例えば、凝縮装置及び処理装置からなる群より選ばれる1種以上の装置に接続された容器内に第一級アミン化合物、化合物(I)を含む混合物を添加し、容器を加熱して、ブロックイソシアネート化合物の製造を行い、その後或いは同時に炭酸誘導体に由来する化合物を含む蒸気を凝縮装置又は処理装置に導き、ブロックイソシアネート化合物をバッチ方式で合成する方法や、第一級アミン化合物、化合物(I)を含む混合物を、所定の反応温度に加熱された蒸留塔に連続的に導入し、ブロックイソシアネート化合物を製造すると同時に生成した炭酸誘導体に由来する化合物を含む蒸気を分離し、ブロックイソシアネート化合物を連続的に得る方法を用いることができる。また、第一級アミン化合物及び化合物(I)ブロック剤の存在下又は非存在下で部分的に又は完全に反応させた後、得られた反応物からブロックイソシアネート化合物を製造することも可能である。
【0030】
ブロックイソシアネート化合物の製造装置のうち、有機アミン、化合物(I)、ブロックイソシアネート化合物、その他成分と接触する部位の材質は、有機アミン、化合物(I)、ブロックイソシアネート化合物、その他成分の変性等に悪影響を及ぼさなければ、公知のどのような材質であってもよい。材質として具体的には、例えば、鉄鋼、ステンレス、セラミック、カーボン、及びこれらをライニングした材質が挙げられる。
【0031】
≪化合物(I)≫
化合物(I)は、下記一般式(I)で表される。化合物(I)はカルボニル基を中心として非対称の構造を有しており、有機アミンとの付加脱離反応においてヒドロキシル基を有する化合物が高選択的に脱離し安定なブロックイソシアネート基を形成する。得られたブロックイソシアネート基は有機アミンとの反応性が低いことからウレイレン基の形成が抑制されるという特徴を有する。また、化合物(I)は一般式(I)においてR1、R2のいずれか1つが水素である化合物と比較して、得られるブロックイソシアネート基の有機アミンとの反応性が低いことからウレイレン基の形成が抑制されるという特徴を有する。
【0032】
【化5】
(一般式(I)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、1価の有機基である。R
1及びR
2は互いに独立して、炭素-炭素結合、炭素-酸素-炭素結合又は炭素-窒素-炭素結合により環構造を形成していてもよい。R
3は脂肪族炭化水素基又は芳香族基を有する炭化水素基である。)
【0033】
[R1及びR2]
上記一般式(I)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、1価の有機基である。R1及びR2は互いに独立して、炭素-炭素結合、炭素-酸素-炭素結合又は炭素-窒素-炭素結合により環構造を形成していてもよい。
【0034】
中でも、R1及びR2はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1以上70以下の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0035】
R1及びR2のうち少なくとも1つにおいて、脂肪族炭化水素基を選択した場合、炭素数は1以上70以下が好ましく、1以上20以下がより好ましく、1以上12以下がさらに好ましく、1以上10以下が特に好ましい。
R1及びR2における脂肪族炭化水素基としては、無置換又は置換基を有してもよい、直鎖のアルキル基、分岐のアルキル基、シクロアルキル基等が挙げられる。これらの脂肪族炭化水素基の置換基としては、例えば、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。置換基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0036】
R1及びR2における脂肪族炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基の各異性体、ヘキシル基の各異性体、ヘプチル基の各異性体、オクチル基の各異性体、ノニル基の各異性体、デシル基の各異性体、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。中でも、無置換の、炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基又はイソブチル基が好ましい。
【0037】
R1及びR2のうち少なくとも1つにおいて、芳香族炭化水素基を選択した場合、炭素数は6以上70以下が好ましく、6以上20以下がより好ましく、6以上12以下がさらに好ましく、6以上10以下が特に好ましい。
R1及びR2における芳香族炭化水素基としては、無置換でも置換基を有してもよい、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。これらの芳香族炭化水素基の置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。R1及びR2における芳香族炭化水素基の置換基として選択される脂肪族炭化水素基としては、R1及びR2における脂肪族炭化水素基として例示された基と同じ基が挙げられる。置換基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0038】
R1及びR2における芳香族炭化水素基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントリル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0039】
R1及びR2が互いに結合して環構造を形成する場合、R1及びR2が互いに結合した基は、2価の有機基である。R1及びR2が互いに結合した基としては、置換又は無置換の、エーテル基、カルボニル基、エステル基、イミノ基(-NH-)、アミド基又はイミド基を有してもよい、炭素数1以上70以下の2価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6以上70以下の2価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0040】
[R3]
一般式(I)中、R3は、置換又は無置換の炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基、又は置換又は無置換の炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基である。R3が芳香族炭化水素基の場合、有機アミンと化合物(I)との反応性が向上し、効率的にブロックイソシアネート基を形成することからより好ましい。R3として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基の各異性体、ヘキシル基の各異性体、ヘプチル基の各異性体、オクチル基の各異性体、ノニル基の各異性体、デシル基の各異性体、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基等が挙げられる。
【0041】
一般式(I)中、R3が炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基である場合、置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましい。R3のフェニル基が有していてもよい置換基としては、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基が挙げられ、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数6以上12以下のアリール基又は炭素数7以上12以下のアラルキル基が挙げられる。
ベンゼン環の置換基がエーテル基を有する場合としては、炭素数1以上12以下のアルコキシ基、炭素数6以上12以下のアリールオキシ基又は炭素数7以上12以下のアラルキルオキシ基が挙げられる。ベンゼン環の置換基がカルボニル基を有する場合としては、炭素数1以上12以下のアルキルカルボニル基、炭素数6以上12以下のアリールカルボニル基又は炭素数7以上12以下のアラルキルカルボニル基が挙げられる。
【0042】
ベンゼン環の置換基がエステル基を有する場合としては、炭素数1以上12以下のアルコキシカルボニル基若しくはアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6以上12以下のアリールオキシカルボニル基若しくはアリールカルボニルオキシ基又は炭素数7以上12以下のアラルキルオキシカルボニル基若しくはアラルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0043】
ベンゼン環の置換基として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基の各異性体、ヘキシル基の各異性体、ヘプチル基の各異性体、オクチル基の各異性体、ノニル基の各異性体、デシル基の各異性体、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、クミル基等が挙げられる。中でも、無置換の、炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基又はイソブチル基が好ましい。
【0044】
一般式(I)中、R3は下記一般式(R3)-1で表される基であることが好ましい。
【0045】
【化6】
(一般式(R3)-1中、環A
31は、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素環である。R
31は水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、炭素数1以上20以下のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1以上20以下のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6以上20以下のアリール基、炭素数6以上20以下のアリールオキシ基、炭素数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素数7以上20以下のアラルキルオキシ基である。R
31は、環A
31と結合して環構造を形成してもよい。また、n31は0以上10以下の整数である。*は酸素原子との結合箇所を示す。)
【0046】
環A31は、単環でもよく、縮合環等の多環でもよい。環A31として具体的には、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ナフタセン環、クリセン環、ピレン環、トリフェニレン環、ペンタレン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ビフェニレン環、アセナフチレン環、アセアントリレン環、アセフェナントリレン環等が挙げられる。中でも、環A31としては、ベンゼン環、ナフタレン環、又はアントラセン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
【0047】
R31は、水素原子を除いて、環A31の置換基である。環A31は、一般式(R3)-1に示したとおり、n31個のR31を有する。n31個のR31はそれぞれ独立に、R31において例示された群から互いに異なる基を選択してもよく、同一の基を二つ以上選択してもよい。
【0048】
R31は水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、炭素数1以上20以下のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1以上20以下のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6以上20以下のアリール基、炭素数6以上20以下のアリールオキシ基、炭素数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素数7以上20以下のアラルキルオキシ基である。R31は、環A31と結合して環構造を形成してもよい。
【0049】
一般式(R3)-1で表される基は、以下のR31-1~R31-8のいずれかであることが好ましい。
【0050】
【0051】
化合物(I)としては、次の一般式(I-1)で表される化合物が好ましい。
【0052】
【化8】
[一般式(I-1)中、R
11は、置換又は無置換の炭素数1以上70以下の1価の脂肪族炭化水素基、置換又は無置換の炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基であり、R
12は置換又は無置換の炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基、又は置換又は無置換の炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基である。R
13は、置換又は無置換の炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基、又は置換又は無置換の炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基である。]
【0053】
一般式(I-1)中、R11は、置換又は無置換の炭素数1以上70以下の1価の脂肪族炭化水素基、置換又は無置換の炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基である。R11として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基の各異性体、ヘキシル基の各異性体、ヘプチル基の各異性体、オクチル基の各異性体、ノニル基の各異性体、デシル基の各異性体、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基等が挙げられる。中でも、無置換の、炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基又はイソブチル基が好ましい。
【0054】
一般式(I-1)中、R12は置換又は無置換の炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基、又は置換又は無置換の炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基である。R12として具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基の各異性体、ヘキシル基の各異性体、ヘプチル基の各異性体、オクチル基の各異性体、ノニル基の各異性体、デシル基の各異性体、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基等が挙げられる。中でも、無置換の、炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基又はイソブチル基が好ましい。
【0055】
一般式(I-1)中、R13は、置換又は無置換の炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基、又は置換又は無置換の炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基である。R13としては、置換又は無置換の、炭素数1以上12以下の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上12以下の1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。R13として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基の各異性体、ヘキシル基の各異性体、ヘプチル基の各異性体、オクチル基の各異性体、ノニル基の各異性体、デシル基の各異性体、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基等が挙げられる。中でも、無置換の、炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基又はイソブチル基が好ましい。
【0056】
一般式(I-1)中、R13が炭素数6以上12以下の1価の芳香族炭化水素基である場合、置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましい。R13のフェニル基が有していてもよい置換基としては、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基が挙げられ、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数6以上12以下のアリール基又は炭素数7以上12以下のアラルキル基が挙げられる。
ベンゼン環の置換基がエーテル基を有する場合としては、炭素数1以上12以下のアルコキシ基、炭素数6以上12以下のアリールオキシ基又は炭素数7以上12以下のアラルキルオキシ基が挙げられる。ベンゼン環の置換基がカルボニル基を有する場合としては、炭素数1以上12以下のアルキルカルボニル基、炭素数6以上12以下のアリールカルボニル基又は炭素数7以上12以下のアラルキルカルボニル基が挙げられる。
【0057】
ベンゼン環の置換基がエステル基を有する場合としては、炭素数1以上12以下のアルコキシカルボニル基若しくはアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6以上12以下のアリールオキシカルボニル基若しくはアリールカルボニルオキシ基又は炭素数7以上12以下のアラルキルオキシカルボニル基若しくはアラルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0058】
ベンゼン環の置換基として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基の各異性体、ヘキシル基の各異性体、ヘプチル基の各異性体、オクチル基の各異性体、ノニル基の各異性体、デシル基の各異性体、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、クミル基等が挙げられる。中でも、無置換の、炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基又はイソブチル基が好ましい。
【0059】
化合物(I)としては、次の一般式(I-2)で表される化合物が好ましい。
【0060】
【化9】
[一般式(I-2)中、R
22は置換又は無置換の炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基、又は置換又は無置換の炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基である。R
23は、置換又は無置換の炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基、又は置換又は無置換の炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基である。]
【0061】
一般式(I-2)中、R22は置換又は無置換の炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基、又は置換又は無置換の炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基であり、具体的な説明は前記R12における説明と同様である。
一般式(I-2)中、R22は炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0062】
一般式(I-2)中、R23は置換又は無置換の炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基、又は置換又は無置換の炭素数6以上70以下の1価の芳香族炭化水素基であり、具体的な説明は前記R13における説明と同様である。
一般式(I-2)中、R23は炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。R23が置換基を有するフェニル基である場合、置換基としては、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0063】
≪有機アミン≫
有機アミンは下記一般式(II)で表されるアミン化合物(以下、「第一級アミン化合物(II)」と称する場合がある)が好ましい。
【0064】
【0065】
一般式(II)中、R21は、n21価の有機基である。n21は1以上12以下の整数である。
【0066】
R21は、n21価の有機基である。すなわち、1価以上12価以下の有機基である。中でも、R21としては、炭素原子、酸素原子及び水素原子からなる有機基であることが好ましく、活性水素を有しない有機基であることがより好ましい。
【0067】
R21における脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基若しくはアルカントリイル基、シクロアルキル基、シクロアルキレン基若しくはシクロアルカントリイル基、又は、前記アルキル基、前記アルキレン基若しくは前記アルカントリイル基と、前記シクロアルキル基、前記シクロアルキレン基若しくは前記シクロアルカントリイル基とから構成される基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基若しくはアルカントリイル基、シクロアルキレン基若しくはシクロアルカントリイル基、又は、前記アルキレン基若しくは前記アルカントリイル基と、前記シクロアルキル基、前記シクロアルキレン基若しくは前記シクロアルカントリイル基とから構成される基がより好ましい。
【0068】
直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ペンチレン基、n-ヘキシレン基、デカメチレン基等が挙げられる。
シクロアルキレン基としては、例えば、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキレン基等が挙げられる。
【0069】
直鎖状又は分岐鎖状アルカントリイル基としては、例えば、ヘキサントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基等が挙げられる。
【0070】
シクロアルカントリイル基としては、例えば、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基等が挙げられる。
【0071】
R21における芳香族炭化水素基としては、置換又は無置換の炭素数6以上13以下の芳香環を有する基が好ましい。置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。芳香環としては、芳香族炭化水素環であってもよく、複素芳香族環であってもよく、具体的には、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環等が挙げられる。
【0072】
好ましい第一級アミン化合物としては、単官能第一級アミン化合物、2官能第一級アミン化合物、多官能第一級アミン化合物が挙げられる。
【0073】
単官能第一級アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン(各異性体)、ブチルアミン(各異性体)、ペンチルアミン(各異性体)、ヘキシルアミン(各異性体)、ヘプチルアミン(各異性体)、オクチルアミン(各異性体)、ノニルアミン(各異性体)、デシルアミン(各異性体)、ウンデシルアミン(各異性体)、ドデシルアミン(各異性体)、トリデシルアミン(各異性体)、テトラデシルアミン(各異性体)、ペンタデシルアミン(各異性体)、ヘキサデシルアミン(各異性体)、ヘプタデシルアミン(各異性体)、オクタデシルアミン(各異性体)、ノナデシルアミン(各異性体)、イコシルアミン(各異性体)等の飽和炭化水素基を有する第一級アミン化合物類;アクリル酸2-アミノメチル、アクリル酸2-アミノエチル、アクリル酸2-アミノプロピル(各異性体)、アクリル酸2-アミノブチル(各異性体)、メタクリル酸2-アミノメチル、メタクリル酸2-アミノエチル、メタクリル酸2-アミノプロピル(各異性体)、メタクリル酸2-アミノブチル(各異性体)、フェニルアミン、ベンジルアミン等の不飽和結合を有する第一級アミン化合物類;(S)-2-アミノ-3-ターシャリーブトキシプロピオン酸メチル、(S)(S)-2-アミノ-3-ターシャリーブトキシプロピオン酸エチル、(S)-2-アミノ-3-ターシャリーブトキシプロピオン酸プロピル(各異性体)、(S)-2-アミノ-3-ターシャリーブトキシプロピオン酸ブチル(各異性体)、(S)-2-アミノ-3-タ-シャリ-ブトキシプロピオン酸ペンチル(各異性体)、(S)-2-アミノ-3-ターシャリーブトキシプロピオン酸ヘキシル(各異性体)、(S)-2-アミノ-3-ターシャリーブトキシプロピオン酸ドデシル(各異性体)等のエ-テル基を有する第一級アミン化合物類;フルオロフェニルアミン(各異性体)、クロロフェニルアミン(各異性体)、ブロモフェニルアミン(各異性体)、ヨ-ドフェニルアミン(各異性体)等のハロゲン基を有する第一級アミン化合物類;グリシンメチルエステル、グリシンエチルエステル、グリシンプロピルエステル(各異性体)、グリシンブチルエステル(各異性体)、グリシンペンチルエステル(各異性体)、グリシンヘキシルエステル(各異性体)、グリシンドデシルエステル(各異性体)、ロイシンメチルエステル、ロイシンエチルエステル、ロイシンプロピルエステル(各異性体)、ロイシンブチルエステル(各異性体)、ロイシンペンチルエステル(各異性体)、ロイシンヘキシルエステル(各異性体)、ロイシンドデシルエステル(各異性体)等のカルボニル基を有する第一級アミン化合物類等が挙げられる。
【0074】
2官能第一級アミン化合物としては、例えば、ジメチレンジアミン、トリメチレンジアミン(各異性体)、テトラメチレンジアミン(各異性体)、ペンタメチレンジアミン(各異性体)、ヘキサメチレンジアミン(各異性体)、ヘプタメチレンジアミン(各異性体)、オクタメチレンジアミン(各異性体)、シクロヘキサンジアミン(各異性体)、メチルシクロヘキサンジアミン(各異性体)、イソホロンジアミン(各異性体)、ジシクロヘキシルメタンジアミン(各異性体)、ジメチルプロパンジアミン(各異性体)、ジメチルペンタンジアミン(各異性体)、ジメチルヘキサンジアミン(各異性体)、ジメチルヘプタンジアミン(各異性体)、ジメチルオクタンジアミン(各異性体)、ジメチルノナンジアミン(各異性体)、ジメチルデカンジアミン(各異性体)、メチルエチルプロパンジアミン(各異性体)、メチルエチルブタンジアミン(各異性体)、メチルエチルペンタンジアミン(各異性体)、メチルエチルヘキサンジアミン(各異性体)、メチルエチルヘプタンジアミン(各異性体)、メチルエチルオクタンジアミン(各異性体)、ジエチルプロパンジアミン(各異性体)、ジエチルペンタンジアミン(各異性体)、ジエチルヘキサンジアミン(各異性体)、ジエチルヘプタンジアミン(各異性体)、ジエチルオクタンジアミン(各異性体)、ジエチルノナンジアミン(各異性体)等の飽和炭化水素基を有する第一級アミン化合物類;ジフェニルメタンジアミン(各異性体)、トリレンジアミン(各異性体)、ナフタレンジアミン(各異性体)、キシリレンジアミン(各異性体)、テトラメチルキシリレンジアミン(各異性体)、メチレンビス(ジイソアミル-フェニレン)ジアミン(各異性体)、オキシビス(フェニレンジアミン)(各異性体)、カルボニルビス(フェニレン)ジアミン(各異性体)、ブテンジアミン(各異性体)、ブチニレンジアミン等の不飽和炭化水素基を有する第一級アミン化合物類;リジンメチルエステル、リジンエチルエステル、リジンプロピルエステル(各異性体)、リジンブチルエステル(各異性体)、リジンペンチルエステル(各異性体)、リジンヘキシルエステル(各異性体)等のエステル基を有する第一級アミン化合物類等が挙げられる。
【0075】
多官能性アミンとしては、例えば、プロパントリアミン、ブタントリアミン(各異性体)、ペンタントリアミン(各異性体)、ヘキサントリアミン(各異性体)、ヘプタントリアミン(各異性体)、オクタントリアミン(各異性体)、ノナントリアミン(各異性体)、デカントリアミン(各異性体)、ウンデカントリアミン(各異性体)、ドデカントリアミン(各異性体)、トリデカントリアミン(各異性体)、テトラデカントリアミン(各異性体)、ペンタデカントリアミン(各異性体)、ヘキサデカントリアミン(各異性体)、ヘプタデカントリアミン(各異性体)、オクタデカントリアミン(各異性体)、ノナデカントリアミン(各異性体)、イコサントリアミン(各異性体)等の飽和炭化水素基を有する第一級アミン化合物類;ポリメリックMDA(各異性体)等の不飽和炭化水素基を有する第一級アミン化合物類;2-アミノエチル2,6-ジアミンヘキサノエ-ト等のエステル基を有する第一級アミン化合物類;その他、イソシアヌレ-ト基を有する2官能以上のアミノ基を有する第一級アミン化合物類、ビウレット基を有する2官能以上のアミノ基を有する第一級アミン化合物類、アロファネ-ト基を有する2官能以上のアミノ基を有する第一級アミン化合物類等が挙げられる。
【実施例0076】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、原料として使用した試薬はいずれも精製品を使用した。
【0077】
[実施例1]
500mLのSUS製耐圧容器中にヘキサメチレンジアミン(HDA)10質量部、100質量部の化合物(I)-1(具体的な構造は後述する)、を加え、500mLの耐圧容器内温を150℃に設定し、2時間反応させた。反応後の液を、1H NMR測定した結果、アミノ基8mol%、ウレイレン基0mol%、ブロックイソシアネート基90mol%含まれることが分かった。
【0078】
[実施例2~7]
化合物(I)-1、及びヘキサメチレンジアミンを下記表1に示す材料にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2~7のブロックイソシアネート化合物を得た。
【0079】
[比較例1]
化合物(I)-1をジフェニルカーボネート(DPC)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1のブロックイソシアネート化合物を得た。
【0080】
[比較例2]
アンモニアトラップを備える500mLのSUS製耐圧容器中にヘキサメチレンジアミン(HDA)10質量部、30質量部の尿素、70質量部のジブチルアミン(DBA)を加え、500mL耐圧容器内温を150℃に設定し、2時間反応させた。反応後の液を、1H NMR測定した結果、アミノ基27mol%、ウレイレン基21mol%、ブロックイソシアネート基49mol%含まれることが分かった。
【0081】
表1及び2に、得られたブロックイソシアネート化合物の略号、アミノ基、ウレイレン(-NHCONH-)基、ブロック化されたイソシアネート(BL-NCO)基の含有量を示す。
【0082】
なお、以下の表において、各略称は以下の化合物を意味する。
【0083】
(第一級アミン化合物)
HDA:1,6-ヘキサメチレンジアミン
IPDA:イソホロンジアミン異性体混合物
MDA:ジフェニルメタンジアミン異性体混合物
TDA:トルイレンジアミン異性体混合物
【0084】
(ブロック剤)
DBA:ジブチルアミン
【0085】
(その他)
DPC:ジフェニルカーボネート
【0086】
下記表中、化合物(I)の構造は以下の通りである。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
表1~2から、化合物(I)と有機アミンを反応させた場合、ウレイレン基が増加することなく、ブロックイソシアネート基の収率(NCO基 mol%)が向上した。
【0091】
一方、化合物(I)を存在させることなく、有機アミンを反応させた場合、ウレイレン基の生成量が増加しており、副生成物の生成量が増加することが確認された。