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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176278
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】アンダーウェア
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/02 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A41B9/02 G
A41B9/02 L
A41B9/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094727
(22)【出願日】2023-06-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年6月6日 金沢大学附属病院泌尿器科における医師から患者への説明による公開
(71)【出願人】
【識別番号】519401332
【氏名又は名称】イントロン・スペース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】今井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】岡部 裕介
(72)【発明者】
【氏名】玉置 俊明
【テーマコード(参考)】
3B128
【Fターム(参考)】
3B128EB11
3B128EB19
3B128KA00
(57)【要約】
【課題】柔軟性及び伸長性を有する筒状の本体部及び本体部に形成された中空部を有する尿収集用具を陰茎に装着した男性着用者の使用に適したアンダーウェアを提供する。
【解決手段】アンダーウェア(1)は、柔軟性及び伸長性を有する筒状の本体部及び本体部に形成された中空部を有する尿収集用具(C)を陰茎に装着した男性用のアンダーウェアであって、着用者の腰の周囲に固定可能なウエスト部(2)と、ウエスト部から下方に延びる前身頃(4)であって、上下方向に延び尿収集用具を出し入れ可能な長さを有するスリット(10)と、スリットの下端に位置し陰茎を挿通可能な通し孔(12)とが形成された、前身頃と、前身頃の外側に配置された尿収集用具を外側から覆った閉状態と、尿収集用具を露出させた開状態との間で開閉可能なカバー部材(14)であって、閉状態において前身頃に固定される、カバー部材と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性及び伸長性を有する筒状の本体部及び前記本体部に形成された中空部を有する尿収集用具を陰茎に装着した男性用のアンダーウェアであって、
着用者の腰の周囲に固定可能なウエスト部と、
前記ウエスト部から下方に延びる前身頃であって、上下方向に延び前記尿収集用具を出し入れ可能な長さを有するスリットと、前記スリットの下端に位置し前記陰茎を挿通可能な通し孔とが形成された、前記前身頃と、
前記前身頃の外側に配置された前記尿収集用具を外側から覆った閉状態と、前記尿収集用具を露出させた開状態との間で開閉可能なカバー部材であって、前記閉状態において前記前身頃に固定される、前記カバー部材と、
を備えるアンダーウェア。
【請求項2】
前記カバー部材の幅方向の両端部は、着脱自在に前記前身頃に取り付けられる、
請求項1に記載のアンダーウェア。
【請求項3】
前記カバー部材の下端部が、前記通し孔の下方において前記前身頃に結合され、
前記カバー部材は、前記下端部を支点として開閉可能となっている、
請求項2に記載のアンダーウェア。
【請求項4】
前記前身頃の外側面又は前記カバー部材の内側面に設けられ、前記前身頃の外側に配置された前記尿収集用具の先端を保持する保持部材を備える、
請求項1から3の何れか1項に記載のアンダーウェア。
【請求項5】
前記カバー部材の内側面に配置された可動生地であって、前記可動生地において前記尿収集用具に接触する部分が前記カバー部材の内側面に対して上下にスライド可能な前記可動生地を備える、
請求項1から3の何れか1項に記載のアンダーウェア。
【請求項6】
前記カバー部材及び前記可動生地は織物であり、
前記カバー部材の内側面と前記可動生地の外側面との間の上下方向の摩擦係数が最も小さくなるように、前記カバー部材を形成する織物の表裏及び方向と、前記可動生地を形成する織物の表裏及び方向とが決定される、
請求項5に記載のアンダーウェア。
【請求項7】
前記カバー部材及び前記可動生地は織物であり、
前記カバー部材を形成する織物の繊維、及び、前記可動生地を形成する織物の繊維に、低摩擦性コーティングが施されている、
請求項5に記載のアンダーウェア。
【請求項8】
前記カバー部材の内側面及び前記可動生地の外側面に、低摩擦性コーティングが施されている、
請求項5に記載のアンダーウェア。
【請求項9】
着用者の股下に位置する股下部と、着用者の背側において前記ウエスト部から下方に延びる後身頃とを備え、
前記股下部及び/又は前記後身頃において着用者の肛門部に対応する位置に、肛門部を露出させるための開口部を備える、
請求項1から3の何れか1項に記載のアンダーウェア。
【請求項10】
前記開口部は、開閉可能である、
請求項9に記載のアンダーウェア。
【請求項11】
着用者の大腿部に固定可能な脚部固定ベルトであって、前記前身頃の下部に連結された脚部固定ベルトを備え、
着用者の肛門部を覆う部材を備えていない、
請求項1から3の何れか1項に記載のアンダーウェア。
【請求項12】
前記ウエスト部と前記脚部固定ベルトとを連結する連結ベルトを備える、
請求項11に記載のアンダーウェア。
【請求項13】
前記カバー部材は、前記尿収集用具の膨張に応じて伸長可能な伸縮性素材により形成されている、
請求項1から3の何れか1項に記載のアンダーウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーウェアに関し、特に柔軟性及び伸長性を有する筒状の本体部及び本体部に形成された中空部を有する尿収集用具を陰茎に装着した男性用のアンダーウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身体の排尿部に装着され尿を収集・保持できるようにした尿収集用具が用いられている。例えば、男性の陰茎に装着される漏斗状の装着部と、装着部の下端に接続された排尿用外筒と、排尿用外筒の下端に接続された貯蔵容器とを備え、装着部内に排泄された尿を排尿用外筒を介して貯蔵容器に収集するようにした男性用尿器が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-110638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の尿収集用具では、排尿用外筒を足に沿わせて貯蔵容器を太ももやひざ下に固定しなければならないため、かさばったり動作の邪魔になったりするなど、アクティブな生活を送れるような装着感が得られるものではない。また、装着部が人体に比べて固いために着用者が違和感を覚えたり、装着部から尿漏れが生じたりする可能性もある。
【0005】
そこで、本願発明者らは、鋭意研究を進めた結果、収集した尿の漏出を抑制することができ、かつ使用性が良好な収集用具を開発した(国際公開第2023/013492号)。この収集用具は、柔軟性かつ伸長性を有する筒状の本体部と、本体部に形成された中空部とを有し、中空部は、本体部の一端側が開口して尿が導入される導入部と、導入部から連続して形成され尿を収容する収集部とを備えている。このように構成された収集用具は、着用者の陰茎に装着されて使用される。従来このような収集用具は存在しなかったので、当然、この収集用具を装着した着用者による使用を想定したアンダーウェアも従来存在していない。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、柔軟性及び伸長性を有する筒状の本体部及び本体部に形成された中空部を有する尿収集用具を陰茎に装着した男性着用者の使用に適したアンダーウェアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明によるアンダーウェアは、柔軟性及び伸長性を有する筒状の本体部及び本体部に形成された中空部を有する尿収集用具を陰茎に装着した男性用のアンダーウェアであって、着用者の腰の周囲に固定可能なウエスト部と、ウエスト部から下方に延びる前身頃であって、上下方向に延び尿収集用具を出し入れ可能な長さを有するスリットと、スリットの下端に位置し陰茎を挿通可能な通し孔とが形成された、前身頃と、前身頃の外側に配置された尿収集用具を外側から覆った閉状態と、尿収集用具を露出させた開状態との間で開閉可能なカバー部材であって、閉状態において前身頃に固定される、カバー部材と、を備える。
【0008】
このように構成された本発明によれば、アンダーウェアの前身頃には、上下方向に延び尿収集用具を出し入れ可能な長さを有するスリットと、スリットの下端に位置し陰茎を挿通可能な通し孔とが形成されているので、尿収集用具を装着した状態でアンダーウェアを容易に脱ぎ着することができ、又は、通し孔を介して陰茎を前身頃の内側から外側に通した状態で尿収集用具を着脱できると共に、アンダーウェアを着用した状態において前身頃の外側に配置された尿収集用具が着用者の身体に接触すること防止できる。また、アンダーウェアのカバー部材は、前身頃の外側に配置された尿収集用具を外側から覆った閉状態と、尿収集用具を露出させた開状態との間で開閉可能であり、閉状態において前身頃に固定されるので、閉状態において尿収集用具をカバー部材と前身頃との間に確実に保持できる。また、カバー部材の開状態においては、尿収集用具を装着したまま、通常の排尿動作と同じようにズボンやアンダーウェアを全て脱ぐことなく立位で尿収集用具に収集された尿を小便器に排出することができ、容易に排出を行うことが可能である。したがって、着用者の負担を軽減しながら、尿収集用具の適切な使用を実現することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、カバー部材の幅方向の両端部は、着脱自在に前身頃に取り付けられる。
【0010】
このように構成された本発明によれば、カバー部材の幅方向の両端部を前身頃から取り外して大きく開くことができ、アンダーウェアを着用して尿収集用具を前身頃のスリットから外側に引き出すときや尿収集用具から尿を排出するときの、尿収集用具の取り回しをより容易にすることができる。また、閉状態においてカバー部材の幅方向の両端部を前身頃に取り付けることで、尿収集用具が左右に倒れたり幅方向に膨張したりしてカバー部材から外に露出することを防止できる。
【0011】
本発明において、好ましくは、カバー部材の下端部が、通し孔の下方において前身頃に結合され、カバー部材は、下端部を支点として開閉可能となっている。
【0012】
このように構成された本発明によれば、容易にカバー部材の開閉を行うことができると共に、アンダーウェアを着用して尿収集用具を前身頃のスリットから外側に引き出すときや尿収集用具から尿を排出するときの、尿収集用具の取り回しをより容易にすることができる。また、立位で尿収集用具に収集された尿を小便器に排出するときに上方から尿収集用具を見る場合の視認性も良好である。
【0013】
本発明において、好ましくは、アンダーウェアは、前身頃の外側面又はカバー部材の内側面に設けられ、前身頃の外側に配置された尿収集用具の先端を保持する保持部材を備える。
【0014】
このように構成された本発明によれば、保持部材により尿収集用具の先端の左右方向の動きが規制され、より安定して尿収集用具を保持することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、アンダーウェアは、カバー部材の内側面に配置された可動生地であって、可動生地において尿収集用具に接触する部分がカバー部材の内側面に対して上下にスライド可能な可動生地を備える。
【0016】
このように構成された本発明によれば、可動生地に接触した尿収集用具が可動生地と共にカバー部材に対して上下にスライドすることができる。したがって、着用者が歩行したり着席・起立動作を行ったりしたときに、カバー部材の動きが直接尿収集用具に伝わることがなく、尿収集用具が陰茎から外れ漏れが発生することを防止できる。
【0017】
本発明において、好ましくは、カバー部材及び可動生地は織物であり、カバー部材の内側面と可動生地の外側面との間の上下方向の摩擦係数が最も小さくなるように、カバー部材を形成する織物の表裏及び方向と、可動生地を形成する織物の表裏及び方向とが決定される。
【0018】
このように構成された本発明によれば、カバー部材と可動生地との接触面が互いに上下方向に滑りやすくなる。これにより、着用者が歩行したり着席・起立動作を行ったりしたときに、カバー部材の動きが直接尿収集用具に伝わることがなく、尿収集用具が陰茎から外れ漏れが発生することをより確実に防止できる。
【0019】
本発明において、好ましくは、カバー部材及び可動生地は織物であり、カバー部材を形成する織物の繊維、及び、可動生地を形成する織物の繊維に、低摩擦性コーティングが施されている。
【0020】
このように構成された本発明によれば、カバー部材と可動生地との接触面が互いに上下方向に滑りやすくなる。これにより、着用者が歩行したり着席・起立動作を行ったりしたときに、カバー部材の動きが直接尿収集用具に伝わることがなく、尿収集用具が陰茎から外れ漏れが発生することをより確実に防止できる。
【0021】
本発明において、好ましくは、カバー部材の内側面及び可動生地の外側面に、低摩擦性コーティングが施されている。
【0022】
このように構成された本発明によれば、カバー部材と可動生地との接触面が互いに上下方向に滑りやすくなる。これにより、着用者が歩行したり着席・起立動作を行ったりしたときに、カバー部材の動きが直接尿収集用具に伝わることがなく、尿収集用具が陰茎から外れ漏れが発生することをより確実に防止できる。
【0023】
本発明において、好ましくは、アンダーウェアは、着用者の股下に位置する股下部と、着用者の背側においてウエスト部から下方に延びる後身頃とを備え、股下部及び/又は後身頃において着用者の肛門部に対応する位置に、肛門部を露出させるための開口部を備える。
【0024】
このように構成された本発明によれば、開口部を介して肛門部を露出させることができるので、尿収集用具を保持しているアンダーウェアを着用したまま開口部を介して排便が可能であり、排便時にアンダーウェアを脱いで尿収集用具を手で押さえたり、尿収集用具を取り外したりする必要がなく、排便時の利便性が向上する。
【0025】
本発明において、好ましくは、開口部は開閉可能である。
【0026】
このように構成された本発明によれば、開口部を開閉可能とすることで、排便時以外はアンダーウェアにより肛門部を覆うことができる。
【0027】
本発明において、好ましくは、アンダーウェアは、着用者の大腿部に固定可能な脚部固定ベルトであって、前身頃の下部に連結された脚部固定ベルトを備え、着用者の肛門部を覆う部材を備えていない。
【0028】
このように構成された本発明によれば、アンダーウェアは着用者の肛門部を覆う部材を備えていないので、尿収集用具を保持しているアンダーウェアを着用したまま排便が可能であり、排便時にアンダーウェアを脱いで尿収集用具を手で押さえたり、尿収集用具を取り外したりする必要がなく、排便時の利便性が向上する。また、アンダーウェアの上におむつを着用することにより、着用者が自分でトイレに行けない場合や、長時間トイレに行けない状況においても、アンダーウェアを着用したままおむつ内に排便が可能である。また、着用者の大腿部に固定された脚部固定ベルトによって前身頃の下部の動きが規制されるので、股下部や後身頃が無くても前身頃の下部を着用者の身体に密着させ、身体の動きに追従させることができる。
【0029】
本発明において、好ましくは、アンダーウェアは、ウエスト部と脚部固定ベルトとを連結する連結ベルトを備える。
【0030】
このように構成された本発明によれば、連結ベルトによってウエスト部と脚部固定ベルトとを連結することにより、脚部固定ベルトの位置を安定させ、脚部固定ベルトに連結された前身頃の下部をより確実に身体の動きに追従させることができる。
【0031】
本発明において、好ましくは、カバー部材は、尿収集用具の膨張に応じて伸長可能な伸縮性素材により形成されている。
【0032】
このように構成された本発明によれば、カバー部材により尿収集用具を圧迫することなく覆って保持することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のアンダーウェアによれば、柔軟性及び伸長性を有する筒状の本体部及び本体部に形成された中空部を有する尿収集用具を陰茎に装着した男性着用者の使用に適したアンダーウェアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、カバー部材が閉じた状態を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、カバー部材が開いた状態を示す図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4】本発明の第1実施形態によるカバー部材14の内側面14Aを示す平面図である。
図5】本発明の第1実施形態によるカバー部材の上面図である。
図6】本発明の第1実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、尿収集用具が尿を収集して貯める前の状態を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、尿収集用具が尿を収集して貯めた後の状態を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、カバー部材が閉じた状態を示す図である。
図9図8のIX-IX断面図である。
図10】本発明の第2実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、カバー部材が開いた状態を示す図である。
図11】本発明の第2実施形態の変形例によるアンダーウェアの正面図であって、カバー部材が閉じた状態を示す図である。
図12図11のXII-XII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるアンダーウェアを説明する。なお、各実施形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、各実施形態及び変形例は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせて、アンダーウェアを構成することを排除するものではない。
【0036】
本実施形態によるアンダーウェアは、国際公開第2023/013492号に記載されているような、本願発明者らが開発した尿収集用具を陰茎に装着した着用者の使用に供するためのものである。
【0037】
尿収集用具は、柔軟性かつ伸長性を有する材料(例えば「JIS K 6253」に準拠したデュロメータタイプEによる硬さが硬度20度以下かつ伸長率が70%以上のエラストマー)により形成された筒状の本体部と、本体部に形成された中空部とを有する。中空部は、本体部の一端側(基端側)が開口して尿が導入される導入部と、導入部から連続して形成され尿を収容する収集部と、収集部から連続して形成され本体部の他端側(先端側)が開口して尿が排出される排出部とを備えている。例えば、本体部の全長は15cm、直径は尿を貯めていない状態で6cmであり、尿が収集部に導入されるとその収集量に応じて本体部が径方向に膨張・変形できるようになっている。また、尿収集用具の先端に、排出部を閉止するための閉止部(例えば本体部の先端を挟むことにより排出部を閉止するピンチ)が設けられている。
【0038】
[第1実施形態]
[アンダーウェアの構成]
次に、図1乃至図7を参照して、本発明の第1実施形態に係るアンダーウェアの構成について、具体的に説明する。図1は、第1実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、カバー部材が閉じた状態(閉状態)を示す図である。図2は、第1実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、カバー部材が開いた状態(開状態)を示す図である。図3は、図1のIII-III断面図であり、第1実施形態によるアンダーウェアの側断面図である。図4は、第1実施形態によるアンダーウェアのカバー部材14の内側面14Aを示す平面図である。図5は、第1実施形態によるカバー部材の上面図である。図6は、第1実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、尿収集用具が尿を収集して貯める前の状態を示す図である。図7は、第1実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、尿収集用具が尿を収集して貯めた後の状態を示す図である。図3、6及び7において、上記のように構成された尿収集用具が男性の着用者の陰茎に装着された状態を、想像線(2点鎖線)により例示している。
【0039】
各図において、アンダーウェアが着用者に着用されたときの着用者の前方をアンダーウェアの前方とし、着用者の後方をアンダーウェアの後方とする。また、アンダーウェアが着用者に着用されたときの着用者の左右方向(アンダーウェアの前後方向に直交する方向)を幅方向というものとする。さらに、アンダーウェアが着用者に着用されたときの身体側の面を内側面といい、身体の外側に向かう面(内側面とは反対側の面)を外側面というものとする。
【0040】
第1実施形態において例示するアンダーウェア1は、ボクサーパンツ型のアンダーウェアである。しかしながら、ブリーフ型、トランクス型、スパッツ型等の他の形状のアンダーウェアにも、本発明を適用することができる。
【0041】
図1乃至図3に示すように、アンダーウェア1は、着用者の腰の周囲に固定可能なウエスト部2と、着用者の腹側においてウエスト部2から下方に延びる前身頃4と、着用者の股下に位置する股下部6と、着用者の背側においてウエスト部2から下方に延びる後身頃8とを備えている。これらの前身頃4、股下部6、後身頃8には、綿等の天然繊維、ポリエステル等の化学繊維、あるいはこれらの混紡の織物を用いることができる。
【0042】
前身頃4の中央には、上下方向に延びるスリット10が形成されている。スリット10は、尿収集用具Cを出し入れ可能な長さを有する。具体的には、スリット10は、少なくとも尿収集用具Cの直径以上の長さを有する。また、尿収集用具Cの全長は尿の収集量によって変化する。具体的には、尿収集用具Cが尿を貯めていない空の状態のときに全長は最も短く、尿を最大限貯めた状態のときに全長は最も長い。したがって、例えば、スリット10は、尿収集用具Cが尿を貯めていない空の状態のときの全長以上の長さを有してもよい。また、尿収集用具Cが尿を貯めることにより幅方向に膨張した場合でも、スリット10を大きく開口して尿収集用具Cを通すことができるように、前身頃4に伸長性の高い素材を用いることが望ましい。また、スリット10の一方の縁部と他方の縁部とが前後に重なり合うように形成されている。これにより、スリット10を通して尿収集用具Cを前身頃4の前方に配置した後にスリット10が閉じられるので、尿収集用具Cが着用者の身体に接触することを確実に防止できる。また、スリット10の重なりがあることで、腹部による伸張で前身頃4の生地が延ばされてもスリット10は開かず、尿収集用具Cが直接皮膚に触れることを防止できる。
【0043】
また、前身頃4においてスリット10の下端には、陰茎を挿通可能な通し孔12が形成されている。通し孔12の直径は、例えば陰茎の外径以上になるように形成されている。
【0044】
前身頃4の前方には、前身頃4の外側に配置された尿収集用具Cを外側から覆った閉状態と、尿収集用具Cを露出させた開状態との間で開閉可能なカバー部材14が設けられている。このカバー部材14により、スリット10を通して前身頃4の前方に配置した尿収集用具Cが保持される。カバー部材14は、略台形に形成され、上端部の幅が、下端部の幅よりも広くなっているが、上端部の幅は、下端部の幅と等しくてもよく、下端部の幅より狭くてもよい。また、カバー部材14の上下方向及び幅方向の大きさは、尿を収集することにより膨張した尿収集用具Cの全体を外側から覆うことが可能な大きさとなっている。カバー部材14は、尿収集用具Cの膨張に応じて伸長可能な伸縮性素材、例えば伸縮性に優れたポリウレタン弾性繊維を含む織物により形成される。さらに、カバー部材14の内側面14Aと後述する可動生地の外側面との間の上下方向の摩擦係数が最も小さくなるように、カバー部材14を形成する織物の表裏及び方向が決定される。
【0045】
カバー部材14の下端部は、通し孔12の下方の縫合部18において前身頃4に結合される。また、カバー部材14の幅方向の両端部において前身頃4と対向する内側面に、面ファスナー16が設けられており、前身頃4の外側面の対応する位置に取り付けられた面ファスナー16に対して着脱自在となっている。これにより、カバー部材14は、下端部を支点として上下に開閉可能となっている。閉状態においてカバー部材14の幅方向両端部を面ファスナー16によって前身頃4に固定することにより、このカバー部材14と前身頃4との間に尿収集用具Cが保持され、尿収集用具Cの左右の動きや幅方向の膨張が左右の面ファスナー16によって規制される。
【0046】
カバー部材14の内側面14Aの上部中央に、前身頃4の外側に配置された尿収集用具Cの先端(排出部)を保持する保持部材20が設けられている。保持部材20は、例えば、カバー部材14を構成する織物の上端を内側に折り返し、中央から左右に所定距離離れた箇所を縫合することにより、下方に開いたポケット状に形成される。図3図6図7に示すように、尿収集用具Cの先端を保持部材20の下方から差し込むことにより、尿収集用具Cの先端の左右の動きが規制され、より安定して尿収集用具Cを保持することができる。
【0047】
また、カバー部材14の内側面14Aにおいて保持部材20の下方に、可動生地22が設けられている。可動生地22は、幅方向の両端がカバー部材14の内側面14Aに固定されており、可動生地22の中央部分、即ち可動生地22において前記尿収集用具Cに接触する部分が、カバー部材14の内側面14Aに対して上下にスライド可能となっている。可動生地22は、カバー部材14と同様に伸縮性素材の織物により形成される。また、可動生地22の外側面22A、即ち可動生地22におけるカバー部材14側の面22Aとカバー部材14の内側面14Aとの間の上下方向の摩擦係数が最も小さくなるように、可動生地22を形成する織物の表裏及び方向が決定される。これにより、カバー部材14と可動生地22との接触面が互いに上下方向に滑りやすくなるので、可動生地22に接触した尿収集用具Cが可動生地22と共にカバー部材14に対して上下にスライドすることができる。したがって、着用者が歩行したり着席・起立動作を行ったりしたときに、カバー部材14の動きが直接尿収集用具Cに伝わることがなく、尿収集用具Cが陰茎から外れ漏れが発生することを防止できる。
【0048】
尿収集用具Cを装着した着用者がアンダーウェア1を着用する場合には、まず、尿収集用具Cを装着した後に、カバー部材14を開いた状態でアンダーウェア1を着用し、スリット10を通して尿収集用具Cを前身頃4の前方に配置すると共に陰茎を前身頃4の通し孔12に通す。また、アンダーウェア1を着用した後に陰茎を前身頃4の通し孔12に通し、その状態で尿収集用具Cを装着してもよい。
【0049】
続いて、カバー部材14を下端部を支点として閉じつつ、尿収集用具Cの先端を保持部材20の下方から差し込み、カバー部材14の両端の面ファスナー16を前身頃4の面ファスナー16に圧着してカバー部材14を固定する(図6の状態)。これにより、尿収集用具Cが前身頃4とカバー部材14との間に確実に保持される。
【0050】
図6に例示した状態において着用者が尿を排泄すると、図7に示すように、尿収集用具Cの中央部の収集部が膨張してその内部に尿を収集・保持する。上述したように、カバー部材14は、尿を収集することにより膨張した尿収集用具Cの全体を外側から覆うことが可能な大きさとなっており、伸縮性も有しているので、尿収集用具Cを圧迫することなく保持することができる。また、カバー部材14の幅方向の両端部が面ファスナー16により前身頃4に固定され、尿収集用具Cの先端が保持部材20に保持されているので、尿収集用具Cが左右に倒れてカバー部材14から外に露出することが防止される。
【0051】
尿収集用具Cに収集された尿を排出する場合には、着用者は小便器の前に立ち、カバー部材14を前方に開き、尿収集用具Cの先端をカバー部材14の保持部から抜き出して小便器に向け、尿収集用具Cの先端に設けられた閉止部を開いて排出部から小便器に尿を排出する。即ち、通常の排尿動作と同じように、ズボンやアンダーウェア1を全て脱ぐことなく立位のまま尿を小便器に排出することができ、極めて容易に排出を行うことが可能である。
【0052】
[第2実施形態]
次に、図8乃至図10を参照して、本発明の第2実施形態に係るアンダーウェアの構成を説明する。図8は、第2実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、カバー部材が閉じた状態(閉状態)を示す図である。図9は、図8のIX-IX断面図であり、第2実施形態によるアンダーウェアの側断面図である。図10は、第2実施形態によるアンダーウェアの正面図であって、カバー部材が開いた状態(開状態)を示す図である。図9において、上記のように構成された尿収集用具が男性の着用者の陰茎に装着された状態を、想像線(2点鎖線)により例示している。
【0053】
第2実施形態において例示するアンダーウェア1は、着用者の腰の周囲に固定可能なウエスト部2と、着用者の腹側においてウエスト部2の中央部から下方に延びる前身頃4とを備えている。前身頃4は、尿を収集することにより膨張した尿収集用具Cの全体と着用者の身体との間を隔てることが可能な大きさとなっている。例えば、図8乃至図10に示すように、前身頃4はカバー部材14よりやや大きい略台形に形成されている。前身頃4の他の構成は、第1実施形態の前身頃4と同様であるので、具体的な説明は省略する。
【0054】
図8乃至図10に示すように、第2実施形態のアンダーウェア1は、第1実施形態のアンダーウェア1とは異なり、着用者の肛門部を覆う部材、例えば股下部や後身頃を備えていない。その代替として、第2実施形態のアンダーウェア1は、前身頃4の下部を着用者の身体の動きに追従させるための脚部固定ベルト30を備えている。
【0055】
具体的には、アンダーウェア1は、着用者の左右の大腿部のそれぞれの周囲に固定可能な脚部固定ベルト30を備えている。脚部固定ベルト30の両端部には面ファスナー32が設けられており、脚部固定ベルト30を大腿部に巻き付けた状態で面ファスナー32により固定することが可能となっている。さらに、脚部固定ベルト30は、連結ベルト34によって前身頃4の下部に連結されている。これにより、着用者の大腿部に固定された脚部固定ベルト30によって前身頃4の下部の動きが規制されるので、股下部や後身頃が無くても前身頃4の下部を着用者の身体に密着させ、身体の動きに追従させることができる。
【0056】
前身頃4の前方には、第1実施形態のカバー部材14と同様に、前身頃4の外側に配置された尿収集用具Cを外側から覆った閉状態と、尿収集用具Cを露出させた開状態との間で開閉可能なカバー部材14が設けられている。
【0057】
カバー部材14の中央には、上下方向に延びるスリット36が形成されている。スリット36は、尿収集用具Cの先端部を出し入れ可能な長さを有する。第2実施形態のアンダーウェア1を、一般的なパンツ、ブリーフ、トランクス等の下着の中に着用している場合に、スリット36から尿収集用具Cの先端部を取り出すことにより、アンダーウェア1を着用しカバー部材14を閉状態としたままで、尿収集用具Cの排出部から尿を排出することが可能となっている。カバー部材14の他の構成は、第1実施形態のカバー部材14と同様であるので、具体的な説明は省略する。
【0058】
第1実施形態と同様に、第2実施形態のアンダーウェア1においても、着用者がまず尿収集用具Cを装着した後にアンダーウェア1を着用し、スリット10を通して尿収集用具Cを前身頃4の前方に配置すると共に陰茎を前身頃4の通し孔12に通してもよく、アンダーウェア1を着用した後に陰茎を前身頃4の通し孔12に通し、その状態で尿収集用具Cを装着してもよい。
【0059】
アンダーウェア1及び尿収集用具Cを着用した後、尿収集用具Cの先端を保持部材20の下方から差し込み、カバー部材14を閉じて面ファスナー16により固定する。これにより、第2実施形態のアンダーウェア1においても、尿収集用具Cが前身頃4とカバー部材14との間に確実に保持される。
【0060】
また、第2実施形態のアンダーウェア1には、股下部及び後身頃が設けられていないので、着用者の肛門部がアンダーウェア1によって覆われていない。したがって、尿収集用具Cを保持しているアンダーウェア1を着用したまま排便が可能であり、排便時にアンダーウェア1を脱いで尿収集用具Cを手で押さえたり、尿収集用具Cを取り外したりする必要がなく、排便時の利便性が向上する。また、第2実施形態のアンダーウェア1の上におむつを着用することにより、着用者が自分でトイレに行けない場合や、長時間トイレに行けない状況においても、アンダーウェア1を着用したままおむつ内に排便が可能である。
【0061】
[変形例]
次に、各実施形態の変形例について説明する。上述した各実施形態では、保持部材20は下方に開いたポケット状に形成されると説明したが、幅方向に延びるベルト状に形成するようにしてもよい。この場合、ベルト状の保持部材20の両端がカバー部材14の内側面14Aに固定されると共に、保持部材20の中央部とカバー部材14との間に間隙が形成される。この間隙に尿収集用具Cの先端を下方から差し込むことにより、保持部材20が尿収集用具Cの左右方向の動きを規制する。
【0062】
また、上述した各実施形態では、保持部材20がカバー部材14の内側面14Aに設けられていると説明したが、前身頃4の上部中央に保持部材20を設けてもよい。
【0063】
また、上述した各実施形態では、カバー部材14は略台形に形成され、下端部が前身頃4に結合されると説明したが、閉状態においてカバー部材14の幅方向の両端部が前身頃4に固定されることによりカバー部材14と前身頃4との間において尿収集用具Cを保持可能であれば、カバー部材14の形状や固定位置を変更してもよい。例えば、カバー部材14の左側端又は右側端の一方が前身頃4に結合され、他方が面ファスナー16によって前身頃4に着脱自在に取り付けられ、カバー部材14が左右に開閉可能となるように構成してもよい。あるいは、カバー部材14の上端部が前身頃4に固定され、カバー部材14が上端部を支点として上下に開閉可能となるように構成してもよい。ただし、尿収集用具Cの保護や着用者の羞恥心への配慮の観点から、カバー部材14により通し孔12や尿収集用具Cを外側から覆うことが望ましい。
【0064】
また、カバー部材14を形成する織物の繊維、及び、可動生地22を形成する織物の繊維に、低摩擦性コーティングを施してもよく、カバー部材14の内側面14A及び可動生地22の外側面22Aに、低摩擦性コーティングを施してもよい。低摩擦性コーティングとしては、例えば、フッ素樹脂コーティングやシリコーンコーティングなどが挙げられる。これにより、カバー部材14と可動生地22との接触面が互いに上下方向に滑りやすくなるので、着用者が歩行したり着席・起立動作を行ったりしたときに、カバー部材14の動きが直接尿収集用具Cに伝わることがなく、尿収集用具Cが陰茎から外れ漏れが発生することをより確実に防止できる。
【0065】
また、上述した第1実施形態では、アンダーウェア1は、ウエスト部2、前身頃4、股下部6、後身頃8を備えていると説明したが、股下部6及び/又は後身頃8において着用者の肛門部に対応する位置に、肛門部を露出させるための開口部を設けてもよい。例えば、股下部6及び/又は後身頃8において着用者の肛門部に対応する位置に、開閉可能なスリットを設けてもよい。あるいは、股下部6及び/又は後身頃8において着用者の肛門部に対応する位置に穴を形成してもよく、さらにその穴を覆った状態と露出させた状態との間で開閉可能なカバーを設けてもよい。これにより、尿収集用具Cを保持しているアンダーウェア1を着用したまま開口部を介して排便が可能であり、排便時にアンダーウェア1を脱いで尿収集用具Cを手で押さえたり、尿収集用具Cを取り外したりする必要がなく、排便時の利便性が向上する。
【0066】
また、上述した第2実施形態では、脚部固定ベルト30を大腿部に巻き付けた状態で面ファスナー32により固定することが可能となっていると説明したが、脚部固定ベルト30をゴムバンド等の弾性材料によって環状に形成し、その弾性によって脚部固定ベルト30が大腿部に固定されるようにしてもよい。
【0067】
また、上述した第2実施形態では、脚部固定ベルト30は、連結ベルト34によって前身頃4の下部に連結されていると説明したが、連結ベルト34を介さずに直接脚部固定ベルト30を前身頃4の下部に連結してもよい。また、ウエスト部2の側部や後部と脚部固定ベルト30とを連結する連結ベルトを追加してもよい。例えば、図11及び12に示すように、ウエスト部2の左右の側部と左右の脚部固定ベルト30の側部とをそれぞれ連結する連結ベルト38を追加してもよい。このように、連結ベルト38によってウエスト部2と脚部固定ベルト30とを連結することにより、脚部固定ベルト30の位置を安定させ、脚部固定ベルト30に連結された前身頃4の下部をより確実に身体の動きに追従させることができる。
【0068】
[作用及び効果]
次に、上述した各実施形態及び変形例に係るアンダーウェア1の作用及び効果について説明する。
【0069】
アンダーウェア1の前身頃4には、上下方向に延び尿収集用具Cを出し入れ可能な長さを有するスリット10と、スリット10の下端に位置し陰茎を挿通可能な通し孔12とが形成されているので、尿収集用具Cを装着した状態でアンダーウェア1を容易に脱ぎ着することができ、又は、通し孔12を介して陰茎を前身頃4の内側から外側に通した状態で尿収集用具Cを着脱でき、アンダーウェア1を着用した状態において前身頃4の外側に配置された尿収集用具Cが着用者の身体に接触すること防止できる。
【0070】
また、アンダーウェア1のカバー部材14は、前身頃4の外側に配置された尿収集用具Cを外側から覆った閉状態と、尿収集用具Cを露出させた開状態との間で開閉可能であり、閉状態において前身頃4に固定されるので、閉状態において尿収集用具Cをカバー部材14と前身頃4との間に確実に保持できる。また、カバー部材14の開状態においては、尿収集用具Cを装着したまま、通常の排尿動作と同じようにズボンやアンダーウェア1を全て脱ぐことなく立位で尿収集用具Cに収集された尿を小便器に排出することができ、容易に排出を行うことが可能である。したがって、着用者の負担を軽減しながら、尿収集用具Cの適切な使用を実現することができる。
【0071】
また、カバー部材14の幅方向の両端部は、着脱自在に前身頃4に取り付けられるので、カバー部材14の幅方向の両端部を前身頃4から取り外して大きく開くことができ、アンダーウェア1を着用して尿収集用具Cを前身頃4のスリット10から外側に引き出すときや尿収集用具Cから尿を排出するときの、尿収集用具Cの取り回しをより容易にすることができる。また、閉状態においてカバー部材14の幅方向の両端部を前身頃4に取り付けることで、尿収集用具Cが左右に倒れたり幅方向に膨張したりしてカバー部材14から外に露出することを防止できる。
【0072】
また、カバー部材14は、下端部を支点として開閉可能となっているので、容易にカバー部材14の開閉を行うことができると共に、アンダーウェア1を着用して尿収集用具Cを前身頃4のスリット10から外側に引き出すときや尿収集用具Cから尿を排出するときの、尿収集用具Cの取り回しをより容易にすることができる。また、立位で尿収集用具Cに収集された尿を小便器に排出するときに上方から尿収集用具Cを見る場合の視認性も良好である。
【0073】
また、前身頃4の外側面又はカバー部材14の内側面14Aに設けられ、前身頃4の外側に配置された尿収集用具Cの先端を保持する保持部材20を備えるので、保持部材20により尿収集用具Cの先端の左右方向の動きが規制され、より安定して尿収集用具Cを保持することができる。
【0074】
また、カバー部材14の内側面14Aに配置され、尿収集用具Cに接触する部分がカバー部材14の内側面14Aに対して上下にスライド可能な可動生地22を備えるので、可動生地22に接触した尿収集用具Cが可動生地22と共にカバー部材14に対して上下にスライドすることができる。したがって、着用者が歩行したり着席・起立動作を行ったりしたときに、カバー部材14の動きが直接尿収集用具Cに伝わることがなく、尿収集用具Cが陰茎から外れ漏れが発生することを防止できる。
【0075】
また、カバー部材14の内側面14Aと可動生地22の外側面22Aとの間の上下方向の摩擦係数が最も小さくなるように、カバー部材14を形成する織物の表裏及び方向と可動生地22を形成する織物の表裏及び方向とが決定されるので、カバー部材14と可動生地22との接触面が互いに上下方向に滑りやすくなる。これにより、着用者が歩行したり着席・起立動作を行ったりしたときに、カバー部材14の動きが直接尿収集用具Cに伝わることがなく、尿収集用具Cが陰茎から外れ漏れが発生することをより確実に防止できる。
【0076】
また、カバー部材14を形成する織物の繊維及び可動生地22を形成する織物の繊維に低摩擦性コーティングが施され、又は、カバー部材14の内側面14A及び可動生地22の外側面22Aに低摩擦性コーティングが施されているので、カバー部材14と可動生地22との接触面が互いに上下方向に滑りやすくなる。これにより、着用者が歩行したり着席・起立動作を行ったりしたときに、カバー部材14の動きが直接尿収集用具Cに伝わることがなく、尿収集用具Cが陰茎から外れ漏れが発生することをより確実に防止できる。
【0077】
また、カバー部材14は、尿収集用具Cの膨張に応じて伸長可能な伸縮性素材により形成されているので、カバー部材14により尿収集用具Cを圧迫することなく覆って保持することができる。
【0078】
また、第1実施形態のアンダーウェア1の股下部6及び/又は後身頃8において着用者の肛門部に対応する位置に、肛門部を露出させるための開口部を設けた場合、開口部を介して肛門部を露出させることができるので、尿収集用具Cを保持しているアンダーウェア1を着用したまま開口部を介して排便が可能であり、排便時にアンダーウェア1を脱いで尿収集用具Cを手で押さえたり、尿収集用具Cを取り外したりする必要がなく、排便時の利便性が向上する。また、開口部を開閉可能とすることで、排便時以外はアンダーウェア1により肛門部を覆うことができる。
【0079】
また、第2実施形態のアンダーウェア1は、着用者の股下部や後身頃等の肛門部を覆う部材を備えていないので、尿収集用具Cを保持しているアンダーウェア1を着用したまま排便が可能であり、排便時にアンダーウェア1を脱いで尿収集用具を手で押さえたり、尿収集用具Cを取り外したりする必要がなく、排便時の利便性が向上する。また、第2実施形態のアンダーウェア1の上におむつを着用することにより、着用者が自分でトイレに行けない場合や、長時間トイレに行けない状況においても、アンダーウェア1を着用したままおむつ内に排便が可能である。また、着用者の大腿部に固定された脚部固定ベルト30によって前身頃4の下部の動きが規制されるので、股下部や後身頃が無くても前身頃4の下部を着用者の身体に密着させ、身体の動きに追従させることができる。
【0080】
また、連結ベルト38によってウエスト部2と脚部固定ベルト30とを連結することにより、脚部固定ベルト30の位置を安定させ、脚部固定ベルト30に連結された前身頃4の下部をより確実に身体の動きに追従させることができる。
【0081】
なお、本発明の実施形態及び変形例は、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。また、上述した実施形態及び変形例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態及び変形例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 アンダーウェア
2 ウエスト部
4 前身頃
6 股下部
8 後身頃
10 スリット
12 通し孔
14 カバー部材
14A カバー部材の内側面
16 面ファスナー
18 縫合部
20 保持部材
22 可動生地
22A 可動生地の外側面(カバー部材側の面)
30 脚部固定ベルト
32 面ファスナー
34 連結ベルト
36 スリット
38 連結ベルト
C 尿収集用具C
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12