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特開2024-176282支援システム、支援方法および支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176282
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】支援システム、支援方法および支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20241212BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241212BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094733
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】貝原 慎一
(72)【発明者】
【氏名】山村 晃一
(72)【発明者】
【氏名】平松 信希
(72)【発明者】
【氏名】奈木野 豪秀
(72)【発明者】
【氏名】石井 岳史
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L049CC15
5L050CC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】計器による測定値のみから想定される事象の原因を特定する場合、コンピュータに負担がかかるとともに、演算に時間を要する場合がある。
【解決手段】生産設備において予め想定される事象が検出された場合における、事象に係る現在ログ情報であって、一または複数の参加者の発言が記録された現在ログ情報と、事象に係る過去ログ情報とに基づいて、事象の原因を推定する推定部を備える支援システム100であって、現在ログ情報は、事象の原因の推定に関する参加者の発言を含み、一または複数の参加者の少なくとも一は、生産設備の現場の者である。推定部は、発言の進行に応じて、過去ログ情報の検索を更新する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産設備において予め想定される事象が検出された場合における、前記事象に係る現在ログ情報であって、一または複数の参加者の発言が記録された現在ログ情報と、前記事象に係る過去ログ情報とに基づいて、前記事象の原因を推定する推定部を備える、支援システム。
【請求項2】
前記現在ログ情報は、前記事象の原因の推定に関する前記参加者の発言を含む、請求項1に記載の支援システム。
【請求項3】
前記一または複数の参加者の少なくとも一は、前記生産設備の現場の者である、請求項1または2に記載の支援システム。
【請求項4】
前記推定部は、前記発言の進行に応じて、前記過去ログ情報の検索を更新する、請求項1から3のいずれか一項記載の支援システム。
【請求項5】
前記推定部は、前記現在ログ情報に基づいて、前記事象の原因を推定するための追加情報を特定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の支援システム。
【請求項6】
前記推定部は、前記追加情報に基づく現在ログ情報と、前記過去ログ情報とに基づいて、前記事象の原因を推定する、請求項5に記載の支援システム。
【請求項7】
前記過去ログ情報には、前記事象と、前記事象の複数の原因とが対応付けられ、
前記事象が検出された場合において、前記推定部は、前記事象と前記複数の原因との対応関係に基づいて、前記複数の原因の少なくとも一を、前記事象の原因と推定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の支援システム。
【請求項8】
前記事象が検出された場合において、前記推定部は、前記原因の候補として少なくとも二つの前記原因を特定し、特定した少なくとも二つの前記原因に基づいて、原因推定用事象を少なくとも二つの前記原因のそれぞれについて特定し、前記原因推定用事象は、前記過去ログ情報において少なくとも二つの前記原因に共通して対応付けられていない他の前記事象であり、
前記推定部は、前記現在ログ情報と、特定した他の前記事象とに基づいて、少なくとも二つの前記原因の少なくとも一を、前記事象の原因と推定する、
請求項7に記載の支援システム。
【請求項9】
前記推定部は、少なくとも二つの前記原因を、前記事象の原因の重要度に基づいて特定する、請求項8に記載の支援システム。
【請求項10】
前記推定部は、少なくとも二つの前記原因に共通して対応付けられていない他の前記事象を、前記事象の発生頻度に基づいて特定する、請求項8または9に記載の支援システム。
【請求項11】
前記過去ログ情報は、複数の前記生産設備のそれぞれに対応付けられ、
前記推定部は、複数の前記生産設備のうち一の前記生産設備に対応付けられた前記過去ログ情報に基づいて、他の前記生産設備における前記事象の原因を推定する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の支援システム。
【請求項12】
前記現在ログ情報および前記過去ログ情報は、前記生産設備における複数の状態のそれぞれに対応付けられ、
前記推定部は、前記複数の状態のうち一の状態に対応付けられた前記過去ログ情報に基づいて、前記現在ログ情報における一の状態の前記事象の原因を推定する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の支援システム。
【請求項13】
前記推定部は、前記生産設備における対象物の更新時期に基づいて、前記過去ログ情報を検索する検索対象期間を決定する、請求項1から12のいずれか一項に記載の支援システム。
【請求項14】
前記推定部は、前記対象物の種類に応じて、前記検索対象期間を決定する、請求項13に記載の支援システム。
【請求項15】
前記過去ログ情報は、複数の種類の前記対象物におけるそれぞれの更新時期からの経過時間に対応付けられ、
前記推定部は、前記複数の種類のうち一の種類の前記対象物に対応付けられた前記過去ログ情報に基づいて、前記一の種類の前記対象物における前記検索対象期間を決定する、
請求項13または14に記載の支援システム。
【請求項16】
複数の前記生産設備のそれぞれが、異なる工場に備えられ、
前記過去ログ情報は、複数の前記工場において共通の共通ログ情報と、複数の前記工場ごとの個別ログ情報とを含み、
前記推定部は、一の前記工場に備えられた前記生産設備において前記事象が検出された場合における、前記現在ログ情報と、前記共通ログ情報および一の前記工場の前記個別ログ情報とに基づいて、一の前記工場に備えられた前記生産設備における前記事象の原因を推定する、
請求項1から15のいずれか一項に記載の支援システム。
【請求項17】
プログラムが記憶された記憶部と、プロセッサを有する処理部とを備え、前記プログラムは前記プロセッサに、推定部が、生産設備において予め想定される事象が検出された場合における、前記事象に係る現在ログ情報であって、一または複数の参加者の発言が記録された現在ログ情報と、前記事象に係る過去ログ情報とに基づいて、前記事象の原因を推定することを実行させる、支援システム。
【請求項18】
生産設備において予め想定される事象が検出された場合における、前記事象に係る現在ログ情報であって、一または複数の参加者の発言が記録された現在ログ情報と、前記事象に係る過去ログ情報とに基づいて、推定部が、前記事象の原因を推定するステップを備える、支援方法。
【請求項19】
コンピュータを、請求項1から16のいずれか一項に記載の支援システムとして機能させるための支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援システム、支援方法および支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「作業機械の新たなトラブル事例に基づいて、FT図を更新する」と記載されている(段落0001)。
特許文献2には、「各ログファイルのログの解析にかかる時間と手間を軽減する」と記載されている(段落0007)。
特許文献3には、「様々なデータソースから収集されるデータを逐次的に処理して起こり得る事象を把握(検知)し」と記載されている(段落0004)。
特許文献4には、「ネットワーク装置が障害となる前に、状況に応じた監視情報を収集し」と記載されている(要約書)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特許第6667701号
[特許文献2] 特許第4901442号
[特許文献3] 特許第6315905号
[特許文献4] 特開2005-285040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンピュータにより制御される生産設備に予め想定される事象が発生した場合において、計器による測定値のみから当該事象の原因を特定する場合、コンピュータは多数の原因の候補の全てについて、真因かについての演算をする場合がある。このため、計器による測定値のみから想定される事象の原因を特定する場合、コンピュータに負担がかかるとともに、演算に時間を要する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、支援システムを提供する。支援システムは、生産設備において予め想定される事象が検出された場合における、事象に係る現在ログ情報であって、一または複数の参加者の発言が記録された現在ログ情報と、事象に係る過去ログ情報とに基づいて、事象の原因を推定する推定部を備える。
【0005】
現在ログ情報は、事象の原因の推定に関する参加者の発言を含んでよい。
【0006】
上記いずれかの支援システムにおいて、一または複数の参加者の少なくとも一は、生産設備の現場の者であってよい。
【0007】
上記いずれかの支援システムにおいて、推定部は、発言の進行に応じて、過去ログ情報の検索を更新してよい。
【0008】
上記いずれかの支援システムにおいて、推定部は、現在ログ情報に基づいて、事象の原因を推定するための追加情報を特定してよい。
【0009】
上記いずれかの支援システムにおいて、推定部は、追加情報に基づく現在ログ情報と、過去ログ情報とに基づいて、事象の原因を推定してよい。
【0010】
上記いずれかの支援システムにおいて、過去ログ情報には、事象と、事象の複数の原因とが対応付けられていてよい。事象が検出された場合において、推定部は、事象と複数の原因との対応関係に基づいて、複数の原因の少なくとも一を、事象の原因と推定してよい。
【0011】
上記いずれかの支援システムにおいて、事象が検出された場合において、推定部は、原因の候補として少なくとも二つの原因を特定し、特定した少なくとも二つの原因に基づいて、過去ログ情報において少なくとも二つの原因に共通して対応付けられていない他の事象を、少なくとも二つの原因のそれぞれについて特定してよい。推定部は、現在ログ情報と、特定した他の事象とに基づいて、少なくとも二つの原因の少なくとも一を、事象の原因と推定してよい。
【0012】
上記いずれかの支援システムにおいて、推定部は、少なくとも二つの原因を、事象の原因の重要度に基づいて特定してよい。
【0013】
上記いずれかの支援システムにおいて、推定部は、少なくとも二つの原因に共通して対応付けられていない他の事象を、事象の発生頻度に基づいて特定してよい。
【0014】
上記いずれかの支援システムにおいて、過去ログ情報は、複数の生産設備のそれぞれに対応付けられていてよい。推定部は、複数の生産設備のうち一の生産設備に対応付けられた過去ログ情報に基づいて、他の生産設備における事象の原因を推定してよい。
【0015】
上記いずれかの支援システムにおいて、現在ログ情報および過去ログ情報は、生産設備における複数の状態のそれぞれに対応付けられていてよい。推定部は、複数の状態のうち一の状態に対応付けられた過去ログ情報に基づいて、現在ログ情報における一の状態の事象の原因を推定してよい。
【0016】
上記いずれかの支援システムにおいて、推定部は、生産設備における対象物の更新時期に基づいて、過去ログ情報を検索する検索対象期間を決定してよい。
【0017】
上記いずれかの支援システムにおいて、推定部は、対象物の種類に応じて、検索対象期間を決定してよい。
【0018】
上記いずれかの支援システムにおいて、過去ログ情報は、複数の種類の対象物におけるそれぞれの更新時期からの経過時間に対応付けられていてよい。推定部は、複数の種類のうち一の種類の対象物に対応付けられた過去ログ情報に基づいて、一の種類の対象物における検索対象期間を決定してよい。
【0019】
上記いずれかの支援システムにおいて、複数の生産設備のそれぞれが、異なる工場に備えられていてよい。過去ログ情報は、複数の工場において共通の共通ログ情報と、複数の工場ごとの個別ログ情報とを含んでよい。推定部は、一の工場に備えられた生産設備において事象が検出された場合における、現在ログ情報と、共通ログ情報および一の工場の個別ログ情報とに基づいて、一の工場に備えられた生産設備における事象の原因を推定してよい。
【0020】
本発明の第2の態様においては、支援システムを提供する。支援システムは、プログラムが記憶された記憶部と、プロセッサを有する処理部とを備える。プログラムはプロセッサに、推定部が、生産設備において予め想定される事象が検出された場合における、事象に係る現在ログ情報であって、一または複数の参加者の発言が記録された現在ログ情報と、事象に係る過去ログ情報とに基づいて、事象の原因を推定することを実行させる。
【0021】
本発明の第3の態様においては、支援方法を提供する。支援方法は、生産設備において予め想定される事象が検出された場合における、事象に係る現在ログ情報であって、一または複数の参加者の発言が記録された現在ログ情報と、事象に係る過去ログ情報とに基づいて、推定部が、事象の原因を推定するステップを備える。
【0022】
本発明の第4の態様においては、支援プログラムを提供する。支援プログラムは、コンピュータを支援システムとして機能させる。
【0023】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一つの実施形態に係る、支援システム100による生産設備200の支援の一例を示す図である。
図2】本発明の一つの実施形態に係る支援システム100の一例を示すブロック図である。
図3】生産設備200における事象220の一例を示す図である。
図4】現在ログ情報110の一例を示す図である。
図5】現在ログ情報110の一例を示す図である。
図6】過去ログ情報120の一例を示す図である。
図7】過去ログ情報120の一例を示す図である。
図8】推定部10により推定された、事象220の原因の一例を示す図である。
図9】過去ログ情報120の他の一例を示す図である。
図10】過去ログ情報120の他の一例を示す図である。
図11】事象220の原因の推定フローの一例を示す図である。
図12】支援システム100、生産設備200および端末260の間におけるデータ送受信等の動作の一例を示す図である。
図13】生産設備200における事象220の他の一例を示す図である。
図14】生産設備200における事象220の他の一例を示す図である。
図15】本発明の一つの実施形態に係る支援方法の一例を示すフローチャートである。
図16図15における過去ログ情報検索ステップS94および推定ステップS100の詳細の一例を示す図である。
図17】本発明の一つの実施形態に係る支援システム100が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0026】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る、支援システム100による生産設備200の支援の一例を示す図である。生産設備200は、工業製品を生産するための設備である。生産設備200は、工業製品を量産可能な設備であってよい。工業製品は、化学系の工業製品であってよく、金属系の工業製品であってもよく、機械系の工業製品であってもよく、食料品であってもよく、繊維製品であってもよい。本例においては、生産設備200は電解装置である。
【0027】
支援システム100は、生産設備200の運転を支援する。支援システム100は、推定部10を備える。支援システム100は、生産設備200の現場に配置されていなくてよく、配置されていてもよい。本例においては、生産設備200の現場に配置されていない。
【0028】
生産設備200の支援には、一または複数の参加者300が参加している。本例においては、生産設備200の支援には四人の参加者300(参加者300-1~参加者300-4)が参加している。一または複数の参加者300の少なくとも一は、生産設備200の現場の者であってよい。本例においては、参加者300-1~参加者300-3は現場の者であり、参加者300-4は支援システム100の管理者である。当該管理者は、生産設備200の現場の者でなくてよく、現場の者であってもよい。参加者300は人間であってよく、人工知能を有するロボットであってもよい。
【0029】
生産設備200の現場には、コンピュータ290が配置されていてよい。コンピュータ290は、制御部280を備えてよい。制御部280は、当該コンピュータのCPU(Central Processing Unit)であってよい。本例において、制御部280は生産設備200の運転を制御している。
【0030】
生産設備200には、生産設備200の運転状況をモニタリングするための計器270が備えられている。計器270は、例えば流量計、圧力計、液漏れを検知するセンサ等である。本例おいては、制御部280は、生産設備200に備えられた計器270の情報を取得し、取得した計器270の情報を支援システム100に送信する。制御部280は、計器270の情報をインターネット回線等の無線回線により送信してよい。
【0031】
参加者300は、参加者300の発言310(後述)を取得する端末260を備えてよい。端末260は、例えばスマートフォン、タブレット等である。本例においては、参加者300-1~参加者300-4のそれぞれが端末260を備えている。本例においては、参加者300-1~参加者300-3のそれぞれの端末260により取得された参加者300-1~参加者300-3の発言310(後述)は、インターネット回線等の無線回線により支援システム100に送信される。参加者300-4の端末260により取得された参加者300-4の発言310(後述)は、無線回線により支援システム100に送信されてよく、有線回線により送信されてもよい。
【0032】
図2は、本発明の一つの実施形態に係る支援システム100の一例を示すブロック図である。支援システム100は、推定部10を備える。支援システム100は、取得部20、表示部30、記憶部40および制御部90を備えてよい。取得部20は、コンピュータ290(図1参照)により送信された計器270の情報、および、端末260により取得された参加者300の発言310(後述)を取得する。表示部30は、例えばディスプレイ、モニタ等である。
【0033】
支援システム100の一部または全体は、コンピュータにより実現されてよい。制御部90は、当該コンピュータのCPUであってよい。制御部90および推定部10が、当該コンピュータのCPUであってもよい。支援システム100がコンピュータにより実現される場合、当該コンピュータには、当該コンピュータを支援システム100として機能させるための支援プログラムがインストールされていてよく、後述する支援方法を実行させるため支援プログラムがインストールされていてもよい。
【0034】
図3は、生産設備200における事象220の一例を示す図である。生産設備200には、予め想定される事象220が発生する場合がある。予め想定される事象220とは、生産設備200の正常ではない状態に係る事象である。正常ではない状態には、トラブルのほか、トラブルには至っていないが正常ではない状態が含まれる。予め想定される事象220とは、例えば、生産設備200における計器270の測定データが異常値を示す事象、測定データの時間変化が正常でない振舞いを示す事象、生産設備200における液漏れまたはガス漏れ、等の事象220である。
【0035】
事象220には、検索キーワード222、現場キーワード224、場所情報Ipおよび属性情報Iaが対応付けられていてよい。事象220、および、当該事象220に対応付けられた検索キーワード222、現場キーワード224、場所情報Ipおよび属性情報Iaは、記憶部40に記憶されてよい。
【0036】
現場キーワード224は、計器キーワード225および目視キーワード226を含んでよい。計器キーワード225および目視キーワード226は、過去ログ情報120(後述)に含まれてよく、現在ログ情報110(後述)に含まれてよい。
【0037】
計器キーワード225は、計器270に係るキーワードである。計器キーワード225は、計器270の種類、形式等に関するキーワードを含んでよい。生産設備200が複数の計器270を備える場合において、計器キーワード225は、当該複数の計器270のうちいずれの計器270かを特定するためのキーワードであってもよい。計器キーワード225は、計器270により自動で取得可能なキーワードであってよい。
【0038】
目視キーワード226は、生産設備200の現場の参加者300(本例においては参加者300-1~参加者300-3)が計器270を目視することにより取得したキーワードである。生産設備200の現場の参加者300が計器270を目視することにより計器270に係る発言310(後述)をした場合において、目視キーワード226は、当該発言310(後述)に含まれるキーワードであってよい。目視キーワード226は、計器270により自動で取得困難なキーワードであってよい。
【0039】
場所情報Ipは、生産設備200におけるいずれの箇所に正常ではない状態が発生したかを示す情報である。生産設備200における箇所とは、生産設備200が電解装置の場合、例えば電解槽、イオン交換膜、電極、入口配管、出口配管等を指す。本例においては、場所情報Ipは、一つの生産設備200において、いずれの箇所に正常ではない状態が発生したかを示す情報である。
【0040】
属性情報Iaは、生産設備200におけるいずれの箇所の担当かを示す、参加者300の情報であってよい。属性情報Iaは、生産設備200が複数の場合において、いずれの生産設備200の担当かを示す、参加者300の情報であってもよい。本例においては、参加者300-1は電解槽Aの担当であり、参加者300-2は入口配管の担当であり、参加者300-3は電解槽Bの担当である。
【0041】
図4は、現在ログ情報110の一例を示す図である。現在ログ情報110は、生産設備200において事象220が検出された場合における、事象220に係るログ情報である。生産設備200において予め想定される事象220が検出された場合、参加者300は、生産設備200の正常ではない状態を正常な状態に戻すための会話をする場合がある。現在ログ情報110には、参加者300の発言310が記録されている。現在ログ情報110には、参加者300の発言310が逐次記録されてよい。
【0042】
推定部10(図2参照)は、事象220が検出された場合、現在ログ情報110を記録するための掲示板130を立ち上げてよい。推定部10は、事象220が検出された後に掲示板130を立ち上げてよい。推定部10は、事象220が検出された場合に、現在ログ情報110の記録を開始してよい。図4は、現在ログ情報110を記録するための掲示板130の一例である。図4の例では、複数の参加者300の発言310が、掲示板130に逐次記録されている。掲示板130には、複数の参加者300による会話形式のコミュニケーション情報が記録されてよい。会話形式のコミュニケーションとは、例えばチャットである。掲示板130は、表示部30(図1図2参照)に表示されてよい。
【0043】
図5は、現在ログ情報110の一例を示す図である。現在ログ情報110は、状態情報Is1をさらに含んでよい。状態情報Is1は、計器270(図1参照)により取得された情報であってよい。生産設備200の状態を、状態Sとする。状態情報Is1においては、生産設備200に正常ではない状態S1が発生した日付、時刻および状態S1の内容が対応付けられていてよい。対応付けられた日付、時刻および状態S1は、記憶部40に記憶されてよい。状態情報Is1は、表示部30(図1図2参照)に表示されてよい。
【0044】
図6は、過去ログ情報120の一例を示す図である。過去ログ情報120は、生産設備200において事象220が検出された場合における、事象220に係る過去のログ情報である。過去ログ情報120は、生産設備200において現在の事象220が検出される前に生成されたログ情報である。過去ログ情報120は、過去の事象220が検出されたときに生成された、過去の時点での現在ログ情報110であってよい。図5は、過去ログ情報120が記録された掲示板130の一例である。過去ログ情報120は、過去の事象220に対して作成された報告書であってもよい。過去ログ情報120は、表示部30(図1図2参照)に表示されてよい。
【0045】
図7は、過去ログ情報120の一例を示す図である。過去ログ情報120は、状態情報Is2をさらに含んでよい。状態情報Is2は、状態情報Is1と同様、計器270(図1参照)により取得された情報であってよい。状態情報Is2においては、状態情報Is1と同様、生産設備200に正常ではない状態S2が発生した日付、時刻および状態S2の内容が対応付けられていてよい。状態情報Is2は、表示部30(図1図2参照)に表示されてよい。
【0046】
推定部10は、過去ログ情報120に基づいて、現場キーワード224(図3参照)を生成してよい。過去ログ情報120は、記憶部40に記憶されていてよい。推定部10は、過去ログ情報120に基づいて、計器キーワード225および目視キーワード226を生成してよい。
【0047】
現在ログ情報110および過去ログ情報120は、文字であってよく、音声であってもよく、画像であってもよい。現在ログ情報110および過去ログ情報120が画像の場合、当該画像は動画であってよく、静止画であってもよい。当該画像は、端末260(図1参照)により取得されてよい。本例においては、現在ログ情報110および過去ログ情報120は、文字である。
【0048】
図8は、推定部10により推定された、事象220の原因の一例を示す図である。推定部10(図2参照)は、現在ログ情報110と過去ログ情報120とに基づいて、事象220の原因を推定する。本例においては、推定部10は二つの原因を推定している。本例においては、推定された原因と、当該原因を推定した根拠情報Ieと、当該原因が真因である蓋然性の高さを示す有力度とが対応付けられている。
【0049】
上述したとおり、現在ログ情報110および過去ログ情報120は、事象220に係るログ情報である。このため、推定部10は、現在ログ情報110と過去ログ情報120とに基づいて、事象220の原因を推定できる。生産設備200の現場の参加者300-1~参加者300-3は、推定された当該原因に基づいて、当該原因が真の原因かを検証してよい。
【0050】
推定部10は、事象220の原因を推定し、且つ、事象220の原因を推定した根拠情報Ieを特定してよい。推定部10は、過去ログ情報120に基づいて、根拠情報Ieを特定してよい。推定された事象220の原因および根拠情報Ieは、表示部30(図1図2参照)に表示されてよい。
【0051】
推定部10は、生産設備200に設けられた計器270の情報と、現在ログ情報110と、過去ログ情報120とに基づいて、事象220を推定してよい。計器270の情報には、計器270により自動で取得可能な情報が含まれてよい。
【0052】
生産設備200に予め想定される事象220が発生した場合において、計器270による測定値のみから事象220の原因を特定する場合、制御部90(図2参照)は、多数の原因の候補の全てについて、真因かについての演算をする場合がある。このため、計器270による測定値のみから事象220の原因を特定する場合、制御部90に過剰の負担がかかるとともに、演算に時間を要する場合がある。このため、推定部10が、計器270による測定値のみから事象220の原因を特定することは、困難であり得る。
【0053】
過去ログ情報120には、事象220に係る発言310であって、事象220の原因を特定するための発言310が含まれ得る。生産設備200の現場の参加者300の発言310には、生産設備200の現場の参加者300でなければ取得が困難な情報(例えば、アナログの計器270を目視することに取得した目視キーワード226)が含まれ得る。現場の参加者300でなければ取得が困難な情報は、事象220の原因を特定するのに有効な情報であり得る。支援システム100においては、制御部90(図2参照)は、原因の候補の全てのうち、事象220の真因の蓋然性が高い候補を選択し、選択した候補について真因かについての演算をする。このため、制御部90への負担が軽減されるとともに、演算に要する時間が短縮され得る。これにより、推定部10は、事象220の原因を効率的に推定できる。
【0054】
推定部10(図2参照)は、現在ログ情報110に基づいて、事象220に係る過去ログ情報120を検索してよく、事象220に係る過去ログ情報120を特定してよい。推定部10は、現在ログ情報110に基づいて、検索キーワード222(図3参照)を生成してよい。検索キーワード222は、過去ログ情報120を検索するためのキーワードである。
【0055】
現在ログ情報110が文字の場合、推定部10(図2参照)は、当該文字に基づいて検索キーワード222(図3参照)を生成してよい。現在ログ情報110が画像の場合、推定部10は当該画像を解析し、解析した当該画像に基づいて計器270を判定してよい。計器270を判定することには、計器270の種類(圧力計、流量計等)を判定すること、および、計器270による測定値を取得することが含まれてよい。現在ログ情報110が画像の場合、推定部10は、当該画像における現象を取得してもよい。当該画像における現象とは、例えば、生産設備200における液漏れ等である。推定部10は、計器270の判定結果に基づいて、検索キーワード222(図3参照)を生成してよい。
【0056】
現在ログ情報110および過去ログ情報120が画像の場合、推定部10は、現在ログ情報110の画像に基づく計器270と同種の計器270が含まれる、過去ログ情報120の画像を判定してよく、過去ログ情報120の画像における同種の計器270の測定値を取得してもよく、過去ログ情報120の画像における現象を取得してもよい。推定部10は、現在ログ情報110の画像における現象と同じ現象が含まれる、過去ログ情報120の画像を判定してもよい。
【0057】
現在ログ情報110および過去ログ情報120は、参加者300による事象220の発言310-1、および、事象220の原因の推定に関する参加者300の発言310-2を含んでよい。事象220の発言310-1とは、事象220が生じているという事実に関する発言である。図4の例では、参加者300による「・・・ガス差圧に差があります」、「・・・ガス差圧に差はありません」、「厚みが薄くなっています」、「液漏れはありません」、「・・・経時的な電圧上昇が見られます」、「・・・液流れに異常があります」、「流量が極端に少ないです」との発言310が、事象220の発言310-1である。
【0058】
事象220の原因の推定に関する発言310-2とは、事象220をもたらしている原因を推定する発言であって、真の原因かが未だ検証されていない事象220に関する発言である。図4の例では、参加者300による「・・・圧力センサに触れているかも」、「塩水入口ホースの詰まりかもしれません」との発言310が、事象220の原因の推定に関する発言310-2である。発言310-2は、事象220の原因を特定するための発言であってよく、事象220を改善または解決するための発言であってよく、事象220の原因についての仮説を含む発言であってよい。当該仮説は、事象220の原因とは合致していない場合があってよい。
【0059】
参加者300の発言310には、少なくとも一の参加者300による、事象220の原因の推定に関する複数回の発言310-2が含まれてよい。図3の例では、発言310には、参加者300-4による、事象220の原因の推定に関する二回の発言310-2が含まれる。
【0060】
推定部10は、発言310-2を含む現在ログ情報110に基づいて、検索キーワード222(図3参照)を生成してよい。推定部10は、当該検索キーワード222により過去ログ情報120を検索してよく、当該過去ログ情報120を検索することにより現場キーワード224を生成してよい。推定部10は、生成した当該現場キーワード224に基づいて、事象220の原因を推定してよい。
【0061】
発言310の種類と発言310の内容とは、対応付けられていてよい。発言310の種類とは、事象220の発言310-1か、または、事象220の原因の推定に関する発言310-2かを指してよい。発言310の種類と、当該種類に対応付けられた発言310の内容とは、記憶部40に記憶されていてよい。
【0062】
現在ログ情報110(図4参照)は、属性情報Ia(図3参照)を含んでよい。推定部10は、現在ログ情報110に含まれる属性情報Iaと同じ属性情報Iaの参加者300を、過去ログ情報120において特定してよく、過去ログ情報120における当該参加者300の発言310に基づいて、現場キーワード224(図3参照)を生成してよい。参加者300の属性情報Ia(図3参照)と、当該参加者300の発言310の内容とは、対応付けられていてよい。参加者300の属性情報Iaと、当該属性情報Iaに対応付けられた発言310の内容とは、記憶部40に記憶されていてよい。
【0063】
推定部10は、現在ログ情報110における発言310の進行に応じて、過去ログ情報120の検索を更新してよい。推定部10は、現在ログ情報110における発言310の進行に応じて、事象220に係る過去ログ情報120の検索を更新してよく、事象220に係る過去ログ情報120を特定してよい。推定部10は、現在ログ情報110における発言310の進行に応じて、検索キーワード222(図3参照)を更新してよい。推定部10は、更新した当該検索キーワード222により過去ログ情報120の検索を更新してよく、更新した過去ログ情報120を検索することにより現場キーワード224を生成してよい。これにより、事象220の原因の、推定部10による推定のプロセスが明確になる。
【0064】
推定部10による、過去ログ情報120の検索における更新の履歴は、記憶部40(図2参照)に記憶されてよい。推定部10は、現在ログ情報110と、過去ログ情報120の検索における更新の履歴とに基づいて、事象220の原因を推定してよい。これにより、推定部10は、事象220の原因を迅速且つ的確に推定しやすくなる。
【0065】
推定部10は、現在ログ情報110に基づいて、事象220の原因を推定するための追加情報Ifを特定してよい。追加情報Ifとは、事象220の原因を推定するために追加されることが好ましい情報を指す。追加情報Ifは、過去ログ情報120に含まれてよい。当該現在ログ情報110は、事象220の原因の推定に関する参加者300の発言310を含んでよい。推定部10は、発言310の進行に応じて、追加情報Ifの特定を更新してもよい。
【0066】
追加情報Ifは、過去ログ情報120における現場キーワード224(図3参照)を含む情報であってよい。追加情報Ifは、生産設備200の現場の参加者300が生産設備200を手動で調査するための情報であってよい。追加情報Ifは、表示部30(図2参照)に表示されてよい。
【0067】
推定部10は、追加情報Ifに基づく現在ログ情報110と、過去ログ情報120とに基づいて、事象220の原因を推定してよい。追加情報Ifが、生産設備200の現場の参加者300が生産設備200を手動で調査するための情報である場合、追加情報Ifに基づく現在ログ情報110とは、生産設備200の現場の参加者300が、追加情報Ifに基づいて生産設備200を手動で調査する経過における発言310であってよく、手動で調査した結果に係る発言であってもよい。
【0068】
推定部10は、追加情報Ifに基づく現在ログ情報110と、過去ログ情報120とに基づいて、検索キーワード222(図3参照)を生成してよい。推定部10は、追加情報Ifに基づく現在ログ情報110と、過去ログ情報120とに基づいて、既存の検索キーワード222に新たな検索キーワード222を追加してよく、既存の検索キーワードの一部を削除し、且つ、新たな検索キーワード222を追加してもよい。
【0069】
図9は、過去ログ情報120の他の一例を示す図である。事象220と、事象220の原因とが対応付けられていてよい。図9の例では、過去ログ情報120には、複数の事象220の原因のそれぞれと、少なくとも一つの事象220とが対応付けられている。図9の例では、原因Aと三つの事象220(事象220-1~事象220-3)が対応付けられ、原因Bと二つの事象220(事象220-2および事象220-4)が対応付けられ、原因Cと二つの事象220(事象220-1および事象220-5)が対応付けられている。過去ログ情報120には、複数の事象220の原因のそれぞれと、当該原因の内容と、当該原因の重要度Dがさらに対応付けられていてよい。重要度Dとは、生産設備200にとっての、事象220の原因を解決することの重要性である。本例においては、重要度Dとは、生産設備200における電解槽にとっての、事象220の重大度を指す。図9に示される過去ログ情報120は、記憶部40に記憶されてよい。
【0070】
図9に示される複数の事象220の原因は、過去の時点において推定部10が推定した原因であってよく、当該原因に基づいて、生産設備200の現場の参加者300により真の原因と検証された原因であってよい。現在の時点において推定部10が事象220の原因を推定する場合、図9に示される複数の原因は、原因の候補である。当該原因の候補を、原因候補Cpとする。
【0071】
図10は、過去ログ情報120の他の一例を示す図である。図10は、図9の過去ログ情報120における事象220の詳細を示す図である。過去ログ情報120には、複数の事象220のそれぞれと、事象220の確認方法と、事象220の確認対象Sbと、事象220の内容と、事象220の発生頻度Qとが対応付けられていてよい。発生頻度Qは、複数のレベルに段階分けされていてよい。例えば、一か月に一回の頻度で発生した事象220がレベル3(大)とされ、三か月に一回の頻度で発生した事象220がレベル2(中)とされ、一年に一回の頻度で発生した事象220がレベル1(小)とされてよい。図10に示される過去ログ情報120は、記憶部40に記憶されてよい。
【0072】
図11は、事象220の原因の推定フローの一例を示す図である。図11には、図9および図10の例の場合における推定フローが合わせて示されている。図11の例では、計器270が、各対電圧が平均電圧よりも50mV以上高いことを検知したことに基づき、事象220-2の発生が検出される。対(つい)とは、生産設備200が電解槽の場合において、当該電解槽における陽極室と陰極室との対を指す。当該陽極室と当該陰極室との間には、イオン交換膜が配置される。対電圧とは、当該陽極室における陽極と、当該陰極室における陰極との間の電圧を指す。
【0073】
生産設備200において事象220が検出された場合において、推定部10は、事象220と複数の原因との対応関係に基づいて、複数の原因の少なくとも一を、事象220の原因と推定してよい。事象220と複数の原因との対応関係とは、例えば、図9に示される、事象220と、事象220の原因との対応関係である。
【0074】
生産設備200において事象220が検出された場合において、推定部10は、検出された事象220に対応付けられた少なくとも二つの原因を特定してよい。本例では、推定部10は、事象220-2に対応付けられた原因Aおよび原因B(図9参照)を原因として特定する。
【0075】
推定部10は、少なくとも二つの原因を、事象220の原因の重要度D(図9参照)に基づいて特定してよい。推定部10は、少なくとも二つの原因を、事象220の原因の重要度Dの大きい順に特定してよい。推定部10は、重要度Dの最も大きい事象220に対応付けられた、少なくとも二つの原因の一つを、原因に特定してよい。図9および図10の例では、原因Aの重要度は原因Bの重要度よりも大きい。このため、図9および図10の例では、推定部10は原因Bを原因に特定してもよい。
【0076】
過去ログ情報120において少なくとも二つの原因に共通して対応付けられていない他の事象220を、原因推定用事象221とする。推定部10は、特定した少なくとも二つの原因に基づいて、原因推定用事象221を、少なくとも二つの原因のそれぞれについて特定してよい。本例では、推定部10は、原因として特定した原因Aおよび原因Bに共通して対応付けられていない原因推定用事象221として、原因Aについて事象220-1および事象220-3を特定し、原因Bについて事象220-4を特定する。
【0077】
推定部10は、原因推定用事象221を、事象220の発生頻度Q(図10参照)に基づいて特定してよい。推定部10は、原因推定用事象221を発生頻度Qの大きい順に特定してよい。推定部10は、発生頻度Qの最も大きい原因推定用事象221を特定してよい。
【0078】
推定部10は、現在ログ情報110と、特定した原因推定用事象221とに基づいて、少なくとも二つの原因の一を、事象220の原因と推定してよい。推定部10は、特定した原因推定用事象221に基づいて検索キーワード222または現場キーワード224(図3参照)を生成してよい。推定部10は、特定した原因推定用事象221に対応付けられた確認対象Sb(図10参照)を、検索キーワード222または現場キーワード224として生成してよい。図9および図10の例では、推定部10は、事象220-1に基づいて、現場キーワード224として「塩水出口pH計」を生成し、事象220-4に基づいて、現場キーワード224として「塩水入口pH計」を生成する。
【0079】
推定部10は、生成した検索キーワード222または現場キーワード224と、現在ログ情報110とに基づいて、事象220の原因を推定してよい。推定部10は、生成した検索キーワード222または現場キーワード224で現在ログ情報110を検索することにより、事象220の原因を推定してよい。図9および図10の例では、推定部10は、現場キーワード224「塩水出口pH計」で現在ログ情報110を検索することにより、塩水出口pH値が5であることを取得し、現場キーワード224「塩水入口pH計」で現在ログ情報110を検索することにより、塩水入口pH値が10であることを取得する。推定部10は、現在ログ情報110における、参加者300の検索キーワード222または現場キーワード224に係る発言310に基づいて、検索キーワード222または現場キーワード224に係る計器270の測定値を取得してよく、検索キーワード222または現場キーワード224に係る計器270の測定値を直接取得してもよい。
【0080】
推定部10は、取得した計器270の測定値に基づいて、発生している事象220を特定してよい。推定部10は、生成した検索キーワード222または現場キーワード224に基づいて、発生している事象220を特定するための追加情報Ifを特定してよい。図10の例では、追加情報Ifは、「事象220の内容」である。
【0081】
推定部10は、取得した計器270の測定値と、追加情報Ifとに基づいて、発生している事象220を特定してよい。図9および図10の例では、推定部10は、塩水出口pH値が5であり、塩水入口pH値が10であることを取得している。図10の例では、塩水出口pH値に係る追加情報Ifは「pH値4を超える」であり、塩水入口pH値に係る追加情報Ifは「pH値9未満」である。図10より、塩水出口pH値が5であることは異常と判断され、塩水入口pH値が10であることは正常と判断される。このため、図9および図10の例では、推定部10は事象220-1が発生し、事象220-4が発生していないと推定する。これにより、推定部10は、事象220-1に対応付けられた原因Aが発生していると推定できる。
【0082】
推定部10が、生成した検索キーワード222または現場キーワード224で現在ログ情報110を検索した場合において、当該検索キーワード222および当該現場キーワード224のいずれもが検索されなかった場合、推定部10は、当該検索キーワード222および当該現場キーワード224を除く一の検索キーワード222または一の現場キーワード224を、追加情報Ifとして特定してよい。表示部30は、当該追加情報Ifを得ることを促す情報を表示してよい。推定部10は、追加情報Ifを得ることを促す情報を掲示板130に記録することにより、追加情報Ifを得ることを参加者300に促してよい。追加情報Ifを得ることを促す情報とは、例えば、「塩水出口pH計の値を確認してください」)とのメッセージである。
【0083】
推定部10が、生成した検索キーワード222または現場キーワード224で現在ログ情報110を検索した場合において、当該検索キーワード222および当該現場キーワード224のいずれもが検索されなかった場合、推定部10は、現在ログ情報110の検索を停止してよい。推定部10は、現在ログ情報110の検索を停止してから一定時間経過後に、生成した検索キーワード222または現場キーワード224に基づいて、現在ログ情報110の検索を再度、実施してもよい。当該一定時間は、支援システム100または生産設備200のユーザにより、予め定められてよい。表示部30は、検索キーワード222または現場キーワード224が検索されなかった時点で推定される一または複数の原因候補Cpを提示してもよい。
【0084】
図12は、支援システム100、生産設備200および端末260の間におけるデータ送受信等の動作の一例を示す図である。本例において、生産設備200に備えられた計器270はデータを計測し、制御部280(図1参照)は計器270の当該データを取得し、取得した計器270の当該データを支援システム100の制御部90(図2参照)に送信し、制御部90は当該データを取得する。本例において、支援システム100の推定部10は、取得した計器270の情報に基づいて計器キーワード225を生成し、掲示板130を立ち上げる。
【0085】
本例において、推定部10は、過去ログ情報120における計器キーワード225および現場キーワード224を検索する。本例において、推定部10は、当該過去ログ情報120と、事象220に係る現在ログ情報110とに基づいて、事象220の原因を推定する。当該現在ログ情報110には、参加者300-1~参加者300-4の発言310が記録されている。参加者300-1~参加者300-3は、現場の参加者300である。参加者300-4は、支援システム100の管理者である参加者300である。推定部10は、事象220の原因の候補を複数、推定してよい。
【0086】
本例において、制御部90(図2参照)は、事象220の原因を推定した後、追加情報Ifを端末260に送信する。端末260を備えた現場の参加者300-1~参加者300-3は、追加情報Ifに基づいて生産設備200の調査を実施する。当該調査は、現場の参加者300により手動で実施されてよい。
【0087】
本例において、推定部10は、追加情報Ifに基づく現在ログ情報110と、過去ログ情報120とに基づいて、事象220の原因を推定する。推定部10は、追加情報Ifに基づく現在ログ情報110と、過去ログ情報120とに基づいて検索キーワード222(図3参照)を生成し、生成した検索キーワード222に基づいて事象220の原因を推定してよい。追加情報Ifに基づく当該現在ログ情報110は、現場の参加者300-1~参加者300-3が生産設備200の調査を実施中または実施した後の現在ログ情報110である。
【0088】
本例において、推定部10が事象220の原因を特定した場合、制御部90(図2参照)は、特定された事象220の原因を解決するための制御信号を制御部280(図1参照)に送信する。本例において、コンピュータ290(図1参照)は、当該制御信号に基づいて、生産設備200を制御する。
【0089】
図13は、生産設備200における事象220の他の一例を示す図である。本例は、複数の生産設備200における事象220の一例である。複数の生産設備200は、同じ工場に備えられていてよい。同じ工場とは、複数の生産設備200のそれぞれの配管等が相互に共有されていることにより、一の生産設備200が、他の生産設備200の影響を受け得る状態を指してよい。生産設備200が複数の場合において、場所情報Ipは、いずれの生産設備200に正常ではない状態が発生したかを示す情報であってよい。本例においては、生産設備200-1の電解槽が差圧の異常および圧力の異常を示し、生産設備200-2の入口配管が流量の異常を示し、生産設備200-3の電解槽が槽電圧の異常を示している。
【0090】
過去ログ情報120は、複数の生産設備200のそれぞれに対応付けられていてよい。対応付けられた、生産設備200と過去ログ情報120との関係は、記憶部40(図3参照)に記憶されてよい。推定部10は、複数の生産設備200のうち一の生産設備200に対応付けられた過去ログ情報120に基づいて、他の生産設備200における事象220の原因を推定してよい。例えば、推定部10は、一の生産設備200-1に対応付けられた過去ログ情報120に基づいて、他の生産設備200-2における事象220の原因を推定してよい。一の生産設備200-1に対応付けられた過去ログ情報120は、他の生産設備200-2における事象220の原因の推定に有益であり得る。
【0091】
一の生産設備200-1に対応付けられた過去ログ情報120を、過去ログ情報120-1とする。他の生産設備200-2に対応付けられた過去ログ情報120を、過去ログ情報120-2とする。推定部10が、過去ログ情報120-1を検索キーワード222で検索することにより、現場キーワード224を生成できない場合において、推定部10は、過去ログ情報120-2を当該検索キーワード222で検索することにより、現場キーワード224を生成してよい。推定部10は、生成した当該現場キーワード224に基づいて、一の生産設備200-1における事象220の原因を推定してよい。推定部10が過去ログ情報120-1を検索キーワード222で検索することにより、現場キーワード224を生成できない場合とは、当該検索キーワード222に対応付けられた現場キーワード224(図3参照)が存在しない場合を指す。
【0092】
一の生産設備200-1と他の生産設備200-2とは、同種の生産設備200であってよい。同種の生産設備200とは、生産物が同種の生産設備200を指してよい。同種の生産設備200とは、例えば、一の生産設備200-1および他の生産設備200-2が電解槽の場合である。推定部10は、複数の生産設備200のうち一の生産設備200-1に対応付けられた過去ログ情報120に基づいて、当該一の生産設備200-1における事象220の原因を推定してもよい。
【0093】
推定部10は、現在ログ情報110と、生産設備200における複数の状態S1(図5参照)のそれぞれとを対応付けてよい。推定部10は、現在ログ情報110における参加者300の発言310のそれぞれを、複数の状態S1(図5参照)のそれぞれと対応付けてよい。
【0094】
過去ログ情報120は、生産設備200における複数の状態S2(図7参照)のそれぞれに対応付けられていてよい。過去ログ情報120における参加者300の発言310は、生産設備200における複数の状態S2(図7参照)のそれぞれに対応付けられていてよい。例えば、図6の過去ログ情報120における参加者300-3の「#A電解槽の圧力に異常があります」との発言310-1が、図7における2023年1月16日13時15分付の「aaa電圧High」という状態S2に対応付けられていてよい。
【0095】
推定部10は、複数の状態S2のうち一の状態S2に対応付けられた過去ログ情報120に基づいて、現在ログ情報110における一の状態S1の事象220の原因を推定してよい。例えば、推定部10は、図7における2023年1月16日13時15分付の「aaa電圧High」という状態S2に対応付けられ過去ログ情報120に基づいて、図5の現在ログ情報110における2023年2月13日17時58分付の「bbb電圧High」という状態S1における事象220の原因を推定してよい。一の状態S2に対応付けられた過去ログ情報120は、一の状態S1における事象220の原因の推定に有益であり得る。
【0096】
図14は、生産設備200における事象220の他の一例を示す図である。本例は、複数の生産設備200のそれぞれが異なる工場に備えられている場合の事象220の一例である。異なる工場とは、地理的場所が異なる工場を指してよく、地理的場所が同じ工場において複数の工場がそれぞれ独立している場合を指してもよい。複数の工場が独立しているとは、例えば、一の工場の配管と他の工場の配管とが独立していることにより、当該一の工場に備えられた生産設備200が、当該他の工場に備えられた生産設備200の影響を受けない状態を指してよい。複数の生産設備200のそれぞれが異なる工場に備えられている場合において、場所情報Ipは、いずれの工場における生産設備200かを示す情報であってよい。
【0097】
過去ログ情報120は、複数の工場において共通の共通ログ情報Icと、複数の工場ごとの個別ログ情報Idとを含んでよい。図14の例において、共通ログIcの一例が太い破線で囲われ、個別ログ情報Idの一例が太い一点鎖線で囲われている。図14の例では、共通ログ情報Icは、工場Aおよび工場Bにおいて共通のログ情報であって、電解槽の差圧に関するログ情報である。図14の例において、工場Aの電解槽と工場Bの電解槽とは、同じ形式、型番等であってよい。図14の例では、個別ログ情報Idは、工場Aおよび工場Bごとのログ情報であって、ホースに関するログ情報である。図14の例において、工場Aのホースと工場Bのホースとは、異なる形式、型番等であってよい。
【0098】
推定部10は、一の工場に備えられた生産設備200において事象220が検出された場合における現在ログ情報110と、共通ログ情報Icおよび当該一の工場の個別ログ情報Idとに基づいて、当該一の工場に備えられた生産設備200における事象220の原因を推定してよい。図14の例では、推定部10は、例えば、工場Aの生産設備200において事象220が検出された場合の現在ログ情報110と、工場Aおよび工場Bに共通の共通ログ情報Ic(図14における太い破線部)および工場Aの個別ログ情報Id(図14の太い一点鎖線における工場Aのホースに係る個別ログ情報Id)とに基づいて、工場Aに備えられた生産設備200における原因を推定する。共通ログ情報Icは、複数の工場において共通であるので、一の工場に備えられた生産設備200における事象220の原因の推定に有益であり得る。
【0099】
共通ログ情報Icおよび個別ログ情報Idは、記憶部40(図2参照)に記憶されてよい。推定部10は、事象220の原因の推定に使用された個別ログ情報Idの回数をカウントしてよい。制御部90(図2参照)は、記憶部40に記憶された個別ログ情報Idのうち、事象220の原因の推定に使用された回数が閾値未満の個別ログ情報Idを消去してよい。これにより、過去ログ情報120の記憶量が、記憶部40の記憶容量を超えにくくなる。
【0100】
推定部10は、生産設備200における対象物の更新時期に基づいて、過去ログ情報120を検索する検索対象期間を決定してよい。生産設備200における対象物を、対象物Obとする。対象物Obとは、生産設備200の構成部品であってよく、定期的な更新が推奨される構成部品であってよい。生産設備200が電解装置の場合、対象物Obは、例えばイオン交換膜、電極等である。対象物Obの更新とは、対象物Obの交換を指してよく、対象物Obの更生を指してもよい。対象物Obの更生とは、対象物Obを交換せずに対象物Obの機能を回復させることを指す。対象物Obがイオン交換膜の場合、対象物Obの更生とは、イオン交換膜を洗浄する等により、イオン交換膜のイオン交換機能を回復させることを指す。
【0101】
生産設備200において事象220が発生しやすい時期は、対象物Obによって異なり得る。このため、推定部10が、対象物Obの更新時期に基づいて、過去ログ情報120を検索する検索対象期間を決定することにより、推定部10は事象220の原因を推定しやすくなる。
【0102】
推定部10は、対象物Obの種類に応じて検索対象期間を決定してよい。推定部10は、対象物Obの種類に応じて、対象物Obの更新時期以前の期間を検索対象期間として決定するか、または、更新時期以後の期間を検索対象期間として決定してよい。例えば、生産設備200が電解装置であり対象物Obがイオン交換膜およびガスケットの場合、イオン交換膜の交換から一定期間経過後に、イオン交換膜を支えるガスケットに異常が生じやすい。対象物Obがイオン交換膜の場合、イオン交換膜の交換前には、イオン交換膜の破損等の異常が生じやすい。このような例の場合、推定部10は、ガスケットの異常の場合における検索対象期間をイオン交換膜の交換から一定期間経過後の期間とし、イオン交換膜の異常の場合における検索対象期間をイオン交換膜の交換前の期間とする。推定部10が、対象物Obの種類に応じて、過去ログ情報120を検索する検索対象期間を決定することにより、推定部10は事象220の原因を推定しやすくなる。
【0103】
過去ログ情報120は、複数の種類の対象物Obにおけるそれぞれの更新時期からの経過時間に対応付けられていてよい。推定部10は、複数の種類のうち一の種類の対象物Obに対応付けられた過去ログ情報120に基づいて、当該一の種類の対象物Obにおける検索対象期間を決定してよい。生産設備200において、対象物Obの更新後、事象220が発生する時期は、対象物Obの種類によって異なり得る。生産設備200が電解装置の場合、イオン交換膜の交換直後にはガスケットに異常が生じやすく、イオン交換膜の交換後、一定時間が経過した後にはイオン交換膜の破損等の異常が生じやすい。推定部10が、一の種類の対象物Obに対応付けられた過去ログ情報120に基づいて、当該一の種類の対象物Obにおける検索対象期間を決定することで、推定部10は、対象物Obの種類ごとに最適な検索対象期間を決定できる。これにより、推定部10は、事象220の原因を迅速且つ的確に推定しやすくなる。
【0104】
図15は、本発明の一つの実施形態に係る支援方法の一例を示すフローチャートである。本発明の一つの実施形態に係る支援方法を、図1および図2に示される支援システム100を例に説明する。支援方法は、推定ステップS100を備える。支援方法は、計器情報取得ステップS80、掲示板立上げステップS82、現在ログ情報取得ステップS90、検索キーワード生成ステップS92、過去ログ情報検索ステップS94、判断ステップS102、判断ステップS104、制御信号送信ステップS106および判断ステップS108を備えてよい。
【0105】
推定ステップS100は、推定部10が、現在ログ情報110と過去ログ情報120とに基づいて、生産設備200において予め想定される事象220の原因を推定するステップである。現在ログ情報110は、事象220が検出された場合における、事象220に係るログ情報であり、且つ、一または複数の参加者300の発言310が記録されたログ情報である。過去ログ情報120は、事象220に係る過去のログ情報である。
【0106】
計器情報取得ステップS80は、制御部280が、生産設備200に備えられた計器270の情報を取得し、取得した計器270の情報を支援システム100に送信するステップである。掲示板立上げステップS82は、推定部10が、事象220が検出された場合、現在ログ情報110を記録するための掲示板130を立ち上げるステップである。掲示板立上げステップS82は、推定部10が、事象220が検出された後に掲示板130を立ち上げるステップであってよい。
【0107】
現在ログ情報取得ステップS90は、推定部10が、現在ログ情報110を取得するステップである。現在ログ情報取得ステップS90は、推定部10が、現在ログ情報110の記録を開始するステップであってよい。
【0108】
過去ログ情報検索ステップS94は、推定部10が、現在ログ情報110に基づいて事象220に係る過去ログ情報120を検索するステップである。検索キーワード生成ステップS92は、推定部10が、現在ログ情報110に基づいて、検索キーワード222を生成するステップである。過去ログ情報検索ステップS94は、検索キーワード222により過去ログ情報120を検索するステップであってよい。
【0109】
過去ログ情報検索ステップS94は、現場キーワード生成ステップS95を有してよい。現場キーワード生成ステップS95は、推定部10が、過去ログ情報120に基づいて、現場キーワード224を生成するステップである。現場キーワード生成ステップS95は、計器キーワード生成ステップS96および目視キーワード生成ステップS97を含んでよい。計器キーワード生成ステップS96は、推定部10が、計器270の情報に基づいて計器キーワード225を生成するステップである。目視キーワード生成ステップS97は、推定部10が、過去ログ情報120に基づいて目視キーワード226を生成するステップである。
【0110】
推定ステップS100は、推定部10が、発言310の進行に応じて、過去ログ情報120の検索を更新するステップであってよい。過去ログ情報120が複数の生産設備200のそれぞれに対応付けられている場合において、推定ステップS100は、推定部10が、複数の生産設備200のうち一の生産設備200に対応付けられた過去ログ情報120に基づいて、他の生産設備200における事象220の原因を推定するステップであってよい。現在ログ情報110および過去ログ情報120が生産設備200における複数の状態Sのそれぞれに対応付けられている場合において、推定ステップS100は、推定部10が、複数の状態Sのうち一の状態Sに対応付けられた過去ログ情報120に基づいて、現在ログ情報110における当該一の状態Sにおける事象220の原因を推定するステップであってよい。
【0111】
推定ステップS100は、推定部10が、生産設備200における対象物Obの更新時期に基づいて、過去ログ情報120を検索する検索対象期間を決定するステップであってよい。推定ステップS100は、推定部10が、対象物Obの種類に応じて、過去ログ情報120を検索する検索対象期間を決定するステップであってもよい。推定ステップS100は、推定部10が、対象物Obの種類に応じて、対象物Obの更新時期以前の期間を検索対象期間として決定するか、または、当該更新時期以後の期間を検索対象期間として決定するステップであってもよい。
【0112】
過去ログ情報120が、複数の種類の対象物Obにおけるそれぞれの更新時期からの経過時間に対応付けられている場合において、推定ステップS100は、推定部10が、複数の種類のうち一の種類の対象物Obに対応付けられた過去ログ情報120に基づいて、当該一の種類の対象物Obにおける検索対象期間を決定するステップであってよい。
【0113】
複数の生産設備200のそれぞれが異なる工場に備えられている場合において、過去ログ情報120は、複数の当該工場において共通の共通ログ情報Icと、複数の当該工場ごとの個別ログ情報Idとを含んでよい。推定ステップS100は、推定部10が、一の工場に備えられた生産設備200において事象220が検出された場合における現在ログ情報110と、共通ログ情報Icおよび当該一の工場の個別ログ情報Ifとに基づいて、当該一の工場に備えられた生産設備200における事象220の原因を推定するステップであってよい。
【0114】
判断ステップS102は、推定部10が、現在ログ情報110に基づいて事象220の原因を推定するための追加情報Ifを特定するかを、制御部90が判断するステップである。追加情報Ifを特定すると判断された場合、支援方法は、現在ログ情報取得ステップS90に戻る。追加情報Ifを特定すると判断されない場合、支援方法は判断ステップS104に移る。
【0115】
支援方法が推定ステップS100から現在ログ情報取得ステップS90に戻った場合において、現在ログ情報取得ステップS90は、推定部10が、追加情報Ifに基づく現在ログ情報110を取得するステップであってよい。推定ステップS100は、追加情報Ifに基づく現在ログ情報110と、過去ログ情報120とに基づいて、事象220の原因を推定するステップであってよい。
【0116】
判断ステップS104は、推定部10が、事象220の原因を特定したかを、制御部90が判断するステップである。事象220の原因が特定されないと判断された場合、支援方法は現在ログ情報取得ステップS90に戻る。事象220の原因が特定されないと判断された場合、支援方法は制御信号送信ステップS106に移る。
【0117】
制御信号送信ステップS106は、制御部90が、特定された事象220の原因を解決するための制御信号を制御部280に送信するステップである。コンピュータ290は、当該制御信号に基づいて生産設備200を制御してよい。
【0118】
判断ステップS104は、制御部90が、事象220の原因が特定されたかを判断するステップである。事象220の原因が特定されないと判断された場合、支援方法は、現在ログ情報取得ステップS90に戻る。事象220の原因が特定されたと判断された場合、支援方法は終了される。
【0119】
図16は、図15における過去ログ情報検索ステップS94および推定ステップS100の詳細の一例を示す図である。過去ログ情報検索ステップS94は、原因特定ステップS942、事象特定ステップS944、キーワード生成ステップS946を備えてよい。図16の過去ログ情報検索ステップS94および推定ステップS100を、図9および図10の例に基づいて説明する。
【0120】
原因特定ステップS942は、生産設備200において事象220が検出された場合において、推定部10が、事象220と複数の原因との対応関係に基づいて、複数の原因の少なくとも一を、事象220の原因と推定するステップである。原因特定ステップS942は、生産設備200において事象220が検出された場合において、推定部10が、検出された事象220に対応付けられた少なくとも二つの原因を特定するステップであってよい。原因特定ステップS942は、推定部10が、少なくとも二つの原因を、事象220の原因の重要度Dに基づいて特定するステップであってよい。
【0121】
事象特定ステップS944は、推定部10が、原因候補Cpとして少なくとも二つの原因を特定し、特定した少なくとも二つの原因に基づいて、原因推定用事象221を、少なくとも二つの原因のそれぞれについて特定するステップである。事象特定ステップS944は、推定部10が、原因推定用事象221を、事象220の発生頻度Qに基づいて特定するステップであってよい。
【0122】
キーワード生成ステップS946は、検索キーワード生成ステップS9462および現場キーワード生成ステップS95を含んでよい。検索キーワード生成ステップS9462は、事象推定ステップS944において特定された他の事象220に基づいて、推定部10が検索キーワード222を生成するステップである。
【0123】
推定ステップS100は、推定部10が、現在ログ情報110と、事象推定ステップS944において特定された他の事象220とに基づいて、少なくとも二つの原因の一を、事象220の原因と推定するステップであってよい。推定ステップS100は、推定部10が、検索キーワード生成ステップS9462において生成された検索キーワード222、または、現場キーワード生成ステップS95において生成された現場キーワード224と、現在ログ情報110とに基づいて、事象220の原因を推定するステップであってよい。
【0124】
図17は、本発明の一つの実施形態に係る支援システム100が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の一例を示す図である。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る支援システム100に関連付けられる操作、または、支援システム100の一または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該一または複数のセクションを実行させることができ、またはコンピュータ2200に、本発明の方法に係る各段階(図12図15および図16参照)を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ2200に本明細書に記載されたフローチャート(図12図15および図16参照)およびブロック図(図2)におけるブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0125】
コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200が生成する仮想コンピュータに、本発明の実施形態に係る支援システム100に関連付けられる操作をさせてよく、当該仮想コンピュータを支援システム100の一または複数のセクションとして機能させてよく、または、当該仮想コンピュータに当該操作または当該一または複数のセクションを実行させてよく、本発明の方法に係る各段階(図12図15および図16参照)を実行させてもよい。コンピュータ2200が生成する仮想コンピュータは、クラウド上に存在してよい。
【0126】
コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る支援システム100に関連付けられる操作をさせることができるプログラムは、記憶部40(図2照)に記憶されていてもよい。制御部90(図2参照)は、プロセッサを有してよい。当該プロセッサは、例えばCPU2212である。コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る支援システム100に関連付けられる操作をさせることができるプログラムは、制御部90が有するプロセッサに、推定部10が、生産設備200において予め想定される事象220が検出された場合における、事象220に係る現在ログ情報110であって、一または複数の参加者300の発言310が記録された現在ログ情報110と、事象220に係る過去ログ情報120とに基づいて、事象220の原因を推定することを実行させる。
【0127】
本発明の一つの実施形態に係るコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216およびディスプレイデバイス2218を含む。CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216およびディスプレイデバイス2218は、ホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200は、通信インターフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226およびICカードドライブ等の入出力ユニットをさらに含む。通信インターフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226およびICカードドライブ等は、入出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータは、ROM2230およびキーボード2242等のレガシの入出力ユニットをさらに含む。ROM2230およびキーボード2242等は、入出力チップ2240を介して入出力コントローラ2220に接続されている。
【0128】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作することにより、各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはRAM2214の中に、CPU2212によって生成されたイメージデータを取得することにより、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0129】
通信インターフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、読み取ったプログラムまたはデータを、RAM2214を介してハードディスクドライブ2224に提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取るか、または、プログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0130】
ROM2230は、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、または、コンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ2240は、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ2220に接続してよい。
【0131】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い、情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0132】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0133】
CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにしてよい。CPU2212は、RAM2214上のデータに対し、様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は、次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0134】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理されてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示に記載された、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索または置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は、結果をRAM2214に対しライトバックしてよい。
【0135】
CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、第2の属性値を読み取ることにより、予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0136】
上述したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能である。プログラムは、当該記録媒体によりコンピュータ2200に提供されてよい。
【0137】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0138】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0139】
10・・・推定部、20・・・取得部、30・・・表示部、40・・・記憶部、90・・・制御部、100・・・支援システム、110・・・現在ログ情報、120・・・過去ログ情報、130・・・掲示板、200・・・生産設備、220・・・事象、221・・・原因推定用事象、222・・・検索キーワード、224・・・現場キーワード、225・・・計器キーワード、226・・・目視キーワード、260・・・端末、270・・・計器、280・・・制御部、290・・・コンピュータ、300・・・参加者、310・・・発言、2200・・・コンピュータ、2201・・・DVD-ROM、2210・・・ホストコントローラ、2212・・・CPU、2214・・・RAM、2216・・・グラフィックコントローラ、2218・・・ディスプレイデバイス、2220・・・入出力コントローラ、2222・・・通信インターフェース、2224・・・ハードディスクドライブ、2226・・・DVD-ROMドライブ、2230・・・ROM、2240・・・入出力チップ、2242・・・キーボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17