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特開2024-176285抄製装置、及び、同抄製装置を有する海苔製造機
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  • 特開-抄製装置、及び、同抄製装置を有する海苔製造機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176285
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】抄製装置、及び、同抄製装置を有する海苔製造機
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20241212BHJP
【FI】
A23L17/60 103B
A23L17/60 103C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094737
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000210241
【氏名又は名称】竹下産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】竹下 政敏
(72)【発明者】
【氏名】平川 式邦
(72)【発明者】
【氏名】吉貝 規
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LE01
4B019LT12
4B019LT23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簀に供給する原料の量を良好に調節できるようにすること。
【解決手段】本発明では、原料(海苔原料)を簀(海苔簀)に供給するための供給口24を有する抄き升体21の内部に、抄き升体の供給口を開閉する開閉弁体22を昇降可能に設け、開閉弁体を昇降させる昇降アーム40を開閉弁体に連動連結して、昇降アームの上昇に伴って開閉弁体を上昇させて抄き升体の供給口を開放させることで原料を簀に供給して簀に原料をシート状に抄製する抄製装置において、昇降アームの上部に当接して開閉弁体の最上昇位置を調節するための調節具35を開閉弁体に上下移動可能に設けるとともに、調節具を上下移動させる調節機構41を調節具に連結して、調節機構で調節具を上下移動させることで開閉弁体の最上昇位置を調節可能とすることにした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を簀に供給するための供給口を有する抄き升体の内部に、抄き升体の供給口を開閉するための開閉弁体を昇降可能に設け、開閉弁体を昇降させるための昇降アームを開閉弁体に連動連結して、昇降アームの上昇に伴って開閉弁体を上昇させて抄き升体の供給口を開放させることで原料を簀に供給して簀に原料をシート状に抄製する抄製装置において、
昇降アームの上部に当接して開閉弁体の最上昇位置を調節するための調節具を開閉弁体に上下移動可能に設けるとともに、調節具を上下移動させるための調節機構を調節具に連結して、調節機構で調節具を上下移動させることで開閉弁体の最上昇位置を調節可能としたことを特徴とする抄製装置。
【請求項2】
前記調節機構を抄き升体で支持するとともに、調節機構と調節具とを相対的に上下摺動可能に連動連結したことを特徴とする請求項1に記載の抄製装置。
【請求項3】
前記請求項1又は請求項2に記載の抄製装置を有し、海苔原藻と水分とからなる原料を簀に抄製することを特徴とする海苔製造機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料を簀に供給して簀に原料をシート状に抄製する抄製装置、及び、同抄製装置を有する海苔製造機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、乾燥海苔や和紙などのように原料を簀に供給して簀に原料をシート状に抄製するために、抄製装置が用いられている。たとえば、乾燥海苔を製造する海苔製造機では、簀となる海苔簀を搬送装置で連続的に搬送する搬送経路上に抄製装置、脱水装置、乾燥装置を順に配置し、抄製装置で海苔簀に原料となる海苔原藻と水分とからなる海苔原料を供給して海苔簀に所定形状の海苔生地を抄製し、その後、脱水装置で海苔生地を脱水した後に、乾燥装置で海苔生地を乾燥させて乾燥海苔を製造している(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この海苔製造機の抄製装置では、原料を簀に供給するための供給口を有する抄き升体の内部に、抄き升体の供給口を開閉するための開閉弁体を昇降可能に設け、開閉弁体を昇降させるための昇降アームを開閉弁体に連動連結している。
【0004】
そして、抄製装置では、昇降アームの上昇に伴って開閉弁体を上昇させて抄き升体の供給口を開放させることで原料を簀に供給して簀に原料をシート状に抄製するようにしている。
【0005】
この従来の抄製装置では、抄き升体への原料の供給量を調節することで、簀に供給される原料の量を調節している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-179532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の抄製装置では、抄き升体への原料の供給量を調節しても、開閉弁体が上昇して抄き升体の供給口が開放している時間が短すぎると全ての原料が簀に供給されずに抄き升体に残存してしまい、所望量の原料を簀に供給することができないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、原料を簀に供給するための供給口を有する抄き升体の内部に、抄き升体の供給口を開閉するための開閉弁体を昇降可能に設け、開閉弁体を昇降させるための昇降アームを開閉弁体に連動連結して、昇降アームの上昇に伴って開閉弁体を上昇させて抄き升体の供給口を開放させることで原料を簀に供給して簀に原料をシート状に抄製する抄製装置において、昇降アームの上部に当接して開閉弁体の最上昇位置を調節するための調節具を開閉弁体に上下移動可能に設けるとともに、調節具を上下移動させるための調節機構を調節具に連結して、調節機構で調節具を上下移動させることで開閉弁体の最上昇位置を調節可能とすることにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記調節機構を抄き升体で支持するとともに、調節機構と調節具とを相対的に上下摺動可能に連動連結することにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、海苔製造機において、前記請求項1又は請求項2に記載の抄製装置を有し、海苔原藻と水分とからなる原料を簀に抄製することにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、原料を簀に供給するための供給口を有する抄き升体の内部に、抄き升体の供給口を開閉するための開閉弁体を昇降可能に設け、開閉弁体を昇降させるための昇降アームを開閉弁体に連動連結して、昇降アームの上昇に伴って開閉弁体を上昇させて抄き升体の供給口を開放させることで原料を簀に供給して簀に原料をシート状に抄製する抄製装置において、昇降アームの上部に当接して開閉弁体の最上昇位置を調節するための調節具を開閉弁体に上下移動可能に設けるとともに、調節具を上下移動させるための調節機構を調節具に連結して、調節機構で調節具を上下移動させることで開閉弁体の最上昇位置を調節可能とすることにしているために、調節機構で調節具を機械的に調節することで、開閉弁体の最上昇位置を容易に調節することができ、開閉弁体が上昇して抄き升体の供給口が開放している時間、すなわち、簀に供給する原料の量を良好に調節することができる。
【0013】
特に、前記調節機構を抄き升体で支持するとともに、調節機構と調節具とを相対的に上下摺動可能に連動連結することにした場合には、開閉弁体が昇降しても調節機構と調節具とを良好に連動連結させた状態を保持することができ、簀に供給する原料の量を良好に調節することができる。
【0014】
また、上記抄製装置を海苔製造機に適用して海苔原藻と水分とからなる原料を簀に抄製することにした場合には、簀に供給する原料の量を良好に調節することができ、製造される乾燥海苔の重量や厚みを良好に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】海苔製造機を示す側面説明図(a)、海苔簀を示す平面説明図(b)。
図2】抄製装置を示す側面断面説明図。
図3】同動作説明図。
図4】抄製装置を示す正面図(a)、側面図(b)。
図5】抄製装置を示す平面図(a)、底面図(b)。
図6】同正面断面図(a)、側面断面図(b)。
図7】同正面拡大断面図(a)、側面拡大断面図(b)、調節具を上方へ移動させた状態の同正面拡大断面図(c)、調節具を上方へ移動させた状態の同側面拡大断面図(d)。
図8】同正面断面動作説明図(a)、側面断面動作説明図(b)。
図9】抄製装置を示す側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る抄製装置及び同抄製装置を有する海苔製造機の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、原料として海苔原藻と水分とからなる海苔原料を用いるとともに簀として海苔簀を用いて乾燥海苔を製造するための海苔製造機に設けられた抄製装置について説明するが、本発明に係る抄製装置は、海苔製造機に設けて乾燥海苔を製造する場合に限られず、乾燥海苔や和紙などのように、原料(たとえば、海藻類や魚介類や麺類や野菜や果物や塩や汚泥など)を簀にシート状に抄製するために用いられる抄製装置に適用することができる。
【0017】
図1に示すように、海苔製造機1は、製造機2と乾燥機3とを前後に並べて配置している。これら製造機2及び乾燥機3には、複数枚の海苔簀(簀)4を左右幅方向に並べて着脱自在に張設した簀枠5を間欠的に搬送するための間欠搬送装置6,7,8が設けられている。
【0018】
海苔簀4は、簀枠5ごと製造機2の間欠搬送装置6で製造機2の上部前端から上部後端まで搬送された後に、製造機2の間欠搬送装置6から乾燥機3の上側の間欠搬送装置7に受け渡される。その後、海苔簀4は、簀枠5ごと乾燥機3の上側の間欠搬送装置7で乾燥機3の上部前端から上部後端まで搬送された後に、乾燥機3の上部後端で下方に折り返され、乾燥機3の中途部後端から中途部前端まで搬送され、乾燥機3の中途部前端で製造機2の間欠搬送装置6を介して乾燥機3の上側の間欠搬送装置7から下側の間欠搬送装置8に受け渡される。その後、海苔簀4は、簀枠5ごと乾燥機3の下側の間欠搬送装置8で乾燥機3の中途部前端から中途部後端まで搬送された後に、乾燥機3の中途部後端で下方に折り返され、乾燥機3の下部後端から下部前端まで搬送され、乾燥機3の下部前端で乾燥機3の下側の間欠搬送装置8から再び製造機2の間欠搬送装置6に受け渡される。その後、海苔簀4は、簀枠5ごと製造機2の間欠搬送装置6で製造機2の下部後端から下部前端まで搬送された後に、製造機2の下部前端で上方に折り返される。これにより、海苔製造機1には、海苔簀4を簀枠5ごと連続して搬送する搬送経路が形成されることになる。
【0019】
この搬送経路上には、製造機2に設けた抄製装置9、脱水装置10、乾燥機3に設けた乾燥装置11、製造機2に設けた剥離装置12が順に配置されている。
【0020】
海苔製造機1は、間欠搬送装置6,7,8、抄製装置9、脱水装置10、乾燥装置11、剥離装置12を駆動装置13によって連動して動作させる。この駆動装置13には、制御装置14が接続されており、制御装置14によって駆動装置13を介して抄製装置9・脱水装置10・乾燥装置11・剥離装置12の駆動が制御されている。
【0021】
そして、海苔製造機1は、複数の海苔簀4を簀枠5ごと搬送経路に沿って搬送していき、抄製装置9で各海苔簀4の上面に海苔原藻と水分とからなる海苔原料(原料)を供給して所定形状(たとえば、正方形)の海苔生地を抄製した後に、脱水装置10で海苔生地の脱水を行い、その後、乾燥装置11で海苔生地を熱風によって強制的に乾燥させて乾燥海苔とした後に、剥離装置12で各海苔簀4から乾燥した乾燥海苔を剥離し、その後、再び海苔簀4を簀枠5ごと抄製装置9に搬送する動作を連続して繰り返し行う。これにより、海苔製造機1は、海苔生地から乾燥海苔を連続して、しかも、複数枚の乾燥海苔を同時に製造する。
【0022】
この海苔製造機1において、抄製装置9は、図2に示すように、搬送経路に沿って間欠搬送装置6で搬送される海苔簀4の上下に海苔生地供給機構15と保水機構16とを対向させて設けている。
【0023】
保水機構16は、製造機2に矩形板状の多孔板17を固定し、多孔板17の下部に可撓性を有する袋状の保水袋18を圧縮及び膨張可能に取付けている。多孔板17は、複数個の上下に貫通する通水孔19を形成している。また、保水袋18は、駆動装置13に連動連結させた昇降体20の上端に中央部が取付けられており、駆動装置13によって昇降体20を昇降させることで内部を圧縮又は膨張するようにしている。
【0024】
海苔生地供給機構15は、製造機2に抄き升体21を固定し、抄き升体21の内部に開閉弁体22を昇降可能に配置するとともに、抄き升体21の下端外周部に上端及び下端を開口させた中空矩形箱枠状の抄き枠23を昇降可能に配置している。抄き升体21は、底部に複数の供給口24を形成している。また、開閉弁体22は、駆動装置13に連動連結させた昇降ロッド25の下端に取付けられており、駆動装置13によって昇降ロッド25を昇降させることで抄き升体21の供給口24を開閉するようにしている。さらに、抄き枠23は、駆動装置13に連動連結した一対の昇降体26,26の間に取付けられており、駆動装置13によって昇降体26を昇降させることで海苔簀4に対して接離移動するようにしている。
【0025】
そして、海苔製造機1は、図3に示すように、制御装置14で駆動装置13を駆動させると、駆動装置13によって間欠搬送装置6,7,8を駆動させて、所定のサイクルタイムで海苔簀4を搬送経路に沿って間欠的に所定距離ごと搬送する(図3(a)参照。)。その後、海苔製造機1は、駆動装置13によって昇降ロッド25を降下させて、抄き枠23の下端開口面を海苔簀4を介して多孔板17の上面に当接させる(図3(b)参照。)。これにより、抄き枠23と多孔板17(保水袋18)とで海苔簀4を挟んだ状態となる。その後、海苔製造機1は、駆動装置13によって昇降体20を上昇させて、保水袋18の下部中央を上方に持ち上げることで保水袋18を圧縮させる(図3(c)参照。)。これにより、保水袋18の内部に貯留しておいた水が多孔板17の通水孔19から海苔簀4を透過して抄き枠23の内部に供給され、海苔簀4の上面が水で満たされた状態となる。その後、海苔製造機1は、駆動装置13によって昇降ロッド25を上昇させて、開閉弁体22を上昇させて抄き升体21の供給口24を開放状態にする(図3(d)参照。)。これにより、抄き升体21の内部に貯留しておいた海苔原料が抄き升体21の供給口24から抄き枠23の内部に供給される。その際に、予め保水袋18から供給された水で抄き枠23の内部が充填されているために、その水によって海苔原料が抄き枠23の内部で分散される。その後、海苔製造機1は、駆動装置13によって昇降ロッド25を降下させて、開閉弁体22を降下させて抄き升体21の供給口24を閉塞状態にする(図3(c)参照。)。これにより、抄き升体21から抄き枠23への海苔原料の供給が停止される。その後、海苔製造機1は、駆動装置13によって昇降体20を降下させて、保水袋18の下部中央を下方に引き下げることで保水袋18を膨張させる(図3(b)参照。)。これにより、海苔簀4の上方において抄き枠23の内部に充填されていた海苔原料と水とが保水袋18によって吸引され、水分が海苔簀4と多孔板17の通水孔19を透過して保水袋18の内部に流入し、一方、固形分(生海苔)が海苔簀4の上面に張り付くことで、海苔原料が海苔簀4で抄かれ、海苔簀4の上面に海苔生地が形成される。その後、海苔製造機1は、駆動装置13によって昇降体26を上昇させて、抄き枠23を上昇させる(図3(a)参照。)。海苔製造機1は、上記動作を制御装置14に予め設定された所定のサイクルタイムで繰返し連続して行う。海苔簀4に抄製される海苔生地の量(ひいては、乾燥海苔の重量や厚み)は、抄き升体21が開放状態となっている時間で決まることになる。
【0026】
海苔製造機1では、海苔生地供給機構15の抄き升体21と開閉弁体22を図4図6に示すように構成している。
【0027】
抄き升体21は、上端を開放させた中空矩形箱型状の抄き升本体27の上部開口に支持体28を着脱自在に取付けている。
【0028】
抄き升本体27には、底部に複数(ここでは、8個)の供給口24を抄き升体21の中心から均等に形成し、前側中途部にオーバーフロー樋29を前側下方へ向けて傾斜状に形成している。なお、海苔原料は、抄き升本体27の内部に貯留され、余分な海苔原料は、オーバーフロー樋29から排出(回収)される。
【0029】
支持体28には、中央(抄き升体21の中央)に上下に貫通する中空円筒状の支持管30を形成し、支持管30に開閉弁体22の昇降ロッド25を昇降自在に挿通させている。
【0030】
開閉弁体22は、昇降ロッド25の下端部に矩形板状の昇降板31の中心部を水平に取付け、昇降板31の四隅に上下に垂直に伸延させた連結体32の上端部を取付け、4本の連結体32の下端部に板状の弁保持板33を水平に取付け、弁保持板33の下部に各供給口24を開閉するための伸縮可能なシリコン製の弁34を着脱自在に取付けている。なお、弁保持板33には、上下貫通孔が中心から均等に形成されている。
【0031】
昇降ロッド25には、上端部に昇降量(抄き升体21の供給口24の開放時間:海苔原料の供給量)を調節するための調節具35を上下移動可能に螺着するとともに、中途部に開閉弁体22の弁34を供給口24へ向けて下方に付勢するための付勢手段36を設けている。
【0032】
付勢手段36は、昇降ロッド25の中途部上側に円板状の押圧板37を昇降ロッド25に沿って上下に摺動自在に設けるとともに、昇降ロッド25の中途部下側に円板状の付勢板38を上下位置調節可能に取付け(固定し)、押圧板37と付勢板38との間に上下に伸縮自在の鶴巻状のバネ39を設けている。
【0033】
調節具35と押圧板37との間には、駆動装置13に連動連結され上下所定範囲に等速に回動する左右一対の昇降アーム40,40の先端部が配設されている。
【0034】
そして、昇降アーム40が下方へ向けて移動することによって、昇降アーム40の先端下部が付勢手段36の押圧板37の上面に当接し、さらに昇降アーム40が下方へ向けて移動することによって、昇降アーム40が押圧板37を下方へ向けて押圧し、これにより、抄き升体21は、付勢手段36のバネ39の伸縮力で開閉弁体22の弁34が抄き升体21の供給口24へ向けて付勢され、供給口24が弁34で閉塞された状態になる。
【0035】
また、昇降アーム40が上方へ向けて移動することによって、昇降アーム40の先端上部が調節具35の下面に当接し、さらに昇降アーム40が上方へ向けて移動することによって、昇降アーム40が調節具35を上方へ向けて押圧し、これにより、抄き升体21は、開閉弁体22の弁34が抄き升体21の供給口24から上昇し、供給口24が開放された状態になる。
【0036】
そのため、海苔生地供給機構15では、昇降アーム40が上昇して先端上部が調節具35の下面に当接した時から供給口24が開放されて海苔原料が海苔簀4に向けて供給される。その後、海苔生地供給機構15では、昇降アーム40が最上昇位置まで上昇し続け、それに伴って開閉弁体22(弁34)が抄き升体21(供給口24)に対して最上昇位置まで上昇し続ける。その後、海苔生地供給機構15では、昇降アーム40が下降し、それに伴って開閉弁体22が下降し、昇降アーム40が下降して先端上部が調節具35の下面から離反した時に開閉弁体22の下降が停止して供給口24が弁34で閉塞されて海苔原料の海苔簀4への供給が停止する。その後、海苔生地供給機構15では、昇降アーム40が下降して先端下部が押圧板37を押圧し、開閉弁体22の弁34で抄き升体21の供給口24を押圧して海苔生地が供給口24から漏出しないようにしている。
【0037】
このように、海苔生地供給機構15では、昇降アーム40が上昇して先端上部が調節具35の下面に当接した時から、開閉弁体22(弁34)が最上昇位置まで上昇した後に昇降アーム40が下降して先端上部が調節具35の下面から離反した時までの時間、抄き升体21が開放状態となって海苔簀4に海苔原料が供給されることになる。そのため、海苔簀4に抄製される海苔生地(海苔簀4に供給される海苔原料)の量(ひいては、乾燥海苔の重量や厚み)は、抄き升体21が開放状態となっている時間、すなわち、開閉弁体22の最上昇位置で決まることになる。
【0038】
そして、海苔生地供給機構15では、昇降アーム40の最上昇位置が一定であるために、開閉弁体22の調節具35を昇降ロッド25に沿って上方へ移動させると、開閉弁体22(弁34)の最上昇位置が低くなり、抄き升本体27が開放状態となる時間が短くなって、海苔簀4に抄製される海苔生地(海苔簀4に供給される海苔原料)の量が減少し、一方、開閉弁体22の調節具35を昇降ロッド25に沿って下方へ移動させると、開閉弁体22(弁34)の最上昇位置が高くなり、抄き升本体27が開放状態となる時間が長くなって、海苔簀4に抄製される海苔生地(海苔簀4に供給される海苔原料)の量が増加する。
【0039】
この調節具35を上下に機械的に移動させるために、海苔生地供給機構15には、調節具35を上下移動させるための調節機構41を調節具35に連動連結しており、調節機構41で調節具35を上下移動させることで開閉弁体22の最上昇位置を調節可能としている。
【0040】
調節機構41は、抄き升体21の支持体28の左右上部それぞれに上下に伸延するブラケット42,42を取付け、左右のブラケット42,42の上部後側間に左右に伸延するモーター保持体43を水平に取付けるとともに、左右のブラケット42,42の上端間に矩形板状のギヤ保持体44を水平に取付けている。
【0041】
モーター保持体43には、駆動源となるモーター45が取付けられており、モーター45の駆動軸46を上方へ向けて突出させ、駆動軸46の先端(上端)に駆動ギヤ47を水平に取付けている。
【0042】
ギヤ保持体44には、中央部に上下に貫通する円形の開口48が形成されており、開口48にベアリング49を介して連結体50を水平に回動自在に取付け、連結体50の下部に従動ギヤ51を水平に取付けている。
【0043】
連結体50には、中央に上下に貫通する円形の開口52が形成されるとともに、その外方に上下に貫通する円形の複数個(ここでは、2個)の挿通孔53,53が中心から均等に(円周方向に均等間隔(180度間隔)で)形成されており、上部にエンコーダー円板54が取付けられ、ギヤ保持体44の上部右側に取付けられたエンコーダーセンサ55でエンコーダー円板54の回動量を検出するようにしている。
【0044】
従動ギヤ51には、駆動ギヤ47が噛合されている。また、従動ギヤ51には、中央部に上下に貫通する円形の開口56が形成されるとともに、その外方に上下に貫通する円形の複数個(ここでは、2個)の挿通孔57,57が中心から均等に(円周方向に均等間隔(180度間隔)で)形成されている。
【0045】
連結体50の挿通孔53,53と従動ギヤ51の挿通孔57,57には、調節具35に取付けた(固定した)上方へ向けて垂直に突出させた円柱状の複数個(ここでは2個)の連動体58,58を上下移動可能に挿通させている。
【0046】
これにより、調節機構41では、モーター45の駆動ギヤ47と従動ギヤ51とが直接連動連結され、従動ギヤ51と調節具35とが連動体58,58を介して上下摺動自在に連動連結されている。
【0047】
なお、調節機構41は、モーター45とエンコーダーセンサ55が制御装置14に接続されており、制御装置14によって駆動が制御されている。
【0048】
そして、調節機構41は、図7(a)及び(b)に示す状態から、平面視でモーター45を右回りに回転させると、従動ギヤ51が左回りに回転し、それに伴って調節具35が左回りに回転して昇降ロッド25に沿って上方に移動して、図7(c)及び(d)に示す状態となる。一方、調節機構41は、図7(c)及び(d)に示す状態から、平面視でモーター45を左回りに回転させると、従動ギヤ51が右回りに回転し、それに伴って調節具35が右回りに回転して昇降ロッド25に沿って下方に移動して、図7(a)及び(b)に示す状態となる。
【0049】
このようにして、調節機構41は、調節具35を上下に機械的に移動させることができ、調節具35が比較的低い位置にある図7(a)及び(b)で示す状態において昇降アーム40を上昇させた場合には、図8(a)に示すように、開閉弁体22の最上昇位置が比較的高くなり、海苔簀4に供給される海苔原料の量を多くすることができ、一方、調節具35が比較的高い位置にある図7(c)及び(d)で示す状態において昇降アーム40を上昇させた場合には、図8(b)に示すように、開閉弁体22の最上昇位置が比較的低くなり、海苔簀4に供給される海苔原料の量を少なくすることができる。
【0050】
なお、開閉弁体22が上昇した際には、昇降ロッド25の上端部が従動ギヤ51の開口56や連結体50の開口52の内側を通過するようにして、昇降する昇降ロッド25と従動ギヤ51や連結体50との衝突を回避するとともに、全体の低背化(小型化)を図っている。
【0051】
上記海苔生地供給機構15では、製造機2に固定される抄き升体21に対して開閉弁体22が昇降可能に配置されており、抄き升体21に対して昇降移動する開閉弁体22に上下移動可能に設けられた調節具35を製造機2に固定される抄き升体21に取付けられた(固定された)調節機構41(駆動源となるモーター45)で調節するために、調節機構41の従動ギヤ51と調節具35とを連動体58を介して調節機構41と調節具35とを相対的に上下摺動可能に連動連結している。
【0052】
このように、調節機構41と調節具35とを相対的に上下摺動可能に連動連結されていればよく、たとえば、図9に示す海苔生地供給機構59のように、調節機構60の駆動源となるモーター61をブラケット62を介して開閉弁体63に取付け、モーター61の駆動軸64に水平に取付けた駆動ギヤ65を開閉弁体63の調節具66の外周に形成したギヤに上下摺動可能に噛合させることで、調節機構60と調節具66とを相対的に上下摺動可能に連動連結させてもよい。なお、図9の海苔生地供給機構59では、上記海苔生地供給機構15と同様の構成の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
以上に説明したように、上記抄製装置9は、原料(海苔原料)を簀(海苔簀4)に供給するための供給口24を有する抄き升体21の内部に、抄き升体21の供給口24を開閉するための開閉弁体22,63を昇降可能に設け、開閉弁体22,63を昇降させるための昇降アーム40を開閉弁体22,63に連動連結して、昇降アーム40の上昇に伴って開閉弁体22,63を上昇させて抄き升体21の供給口24を開放させることで原料(海苔原料)を簀(海苔簀4)に供給して簀(海苔簀4)に原料(海苔原料)をシート状に抄製するように構成している。
【0054】
そして、上記抄製装置9は、昇降アーム40の上部に当接して開閉弁体22,63の最上昇位置を調節するための調節具35,66を開閉弁体22,63に上下移動可能に設けるとともに、調節具35,66を上下移動させるための調節機構41,60を調節具35,66に連結して、調節機構41,60で調節具35,66を上下移動させることで開閉弁体22,63の最上昇位置を調節可能とした構成となっている。
【0055】
そのため、上記構成の抄製装置9では、調節機構41,60で調節具35,66を機械的に調節することで、開閉弁体22,63の最上昇位置を容易に調節することができ、開閉弁体22,63が上昇して抄き升体21の供給口24が開放している時間、すなわち、簀(海苔簀4)に供給する原料(海苔原料)の量を良好に調節することができる。
【0056】
また、上記抄製装置9は、調節機構41,60を抄き升体21又は開閉弁体22,63で支持するとともに、調節機構41,60と調節具35,66とを相対的に上下摺動可能に連動連結した構成となっている。
【0057】
そのため、上記構成の抄製装置9では、開閉弁体22,63が昇降しても調節機構41,60と調節具35,66とを良好に連動連結させた状態を保持することができ、簀(海苔簀4)に供給する原料(海苔原料)の量を良好に調節することができる。
【0058】
また、上記抄製装置9は、海苔製造機1に適用して海苔原藻と水分とからなる原料(海苔原料)を簀(海苔簀4)に抄製する構成となっている。
【0059】
そのため、上記海苔製造機1では、簀(海苔簀4)に供給する原料(海苔原料)の量を良好に調節することができ、製造される乾燥海苔の重量や厚みを良好に調節することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 海苔製造機 2 製造機
3 乾燥機 4 海苔簀
5 簀枠 6,7,8 間欠搬送装置
9 抄製装置 10 脱水装置
11 乾燥装置 12 剥離装置
13 駆動装置 14 制御装置
15,59 海苔生地供給機構 16 保水機構
17 多孔板 18 保水袋
19 通水孔 20 昇降体
21 抄き升体 22,63 開閉弁体
23 抄き枠 24 供給口
25 昇降ロッド 26 昇降体
27 抄き升本体 28 支持体
29 オーバーフロー樋 30 支持管
31 昇降板 32 連結体
33 弁保持板 34 弁
35,66 調節具 36 付勢手段
37 押圧板 38 付勢板
39 バネ 40 昇降アーム
41,60 調節機構 42,62 ブラケット
43 モーター保持体 44 ギヤ保持体
45,61 モーター 46,64 駆動軸
47,65 駆動ギヤ 48 開口
49 ベアリング 50 連結体
51 従動ギヤ 52 開口
53 挿通孔 54 エンコーダー円板
55 エンコーダーセンサ 56 開口
57 挿通孔 58 連動体
図1
図2
図3
図4
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図8
図9