IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧

<>
  • 特開-消火システム 図1
  • 特開-消火システム 図2
  • 特開-消火システム 図3
  • 特開-消火システム 図4
  • 特開-消火システム 図5
  • 特開-消火システム 図6
  • 特開-消火システム 図7
  • 特開-消火システム 図8
  • 特開-消火システム 図9
  • 特開-消火システム 図10
  • 特開-消火システム 図11
  • 特開-消火システム 図12
  • 特開-消火システム 図13
  • 特開-消火システム 図14
  • 特開-消火システム 図15
  • 特開-消火システム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176289
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】消火システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/16 20060101AFI20241212BHJP
   A62C 3/06 20060101ALI20241212BHJP
   A62C 2/24 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A62C3/16 C
A62C3/06 Z
A62C2/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094744
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 健悟
(72)【発明者】
【氏名】中谷 仁紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 誉幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 悟
(57)【要約】
【課題】火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることを可能とする。
【解決手段】消火システム1は、電池10と、電池10が内部に収容されたコンテナ12と、コンテナ12の内部に火災が発生したことを検知可能な火災検知センサ14と、コンテナ12の内部の空間に連通し、末端部に排気口32を有する排気流路16と、排気流路16に設けられ、コンテナ12の内部の空気を、排気流路16を通じて吸引して排気口32から排出可能なポンプ18と、火災が検知された場合、ポンプ18を動作させることで、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる制御装置22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池が内部に収容されたコンテナと、
前記コンテナの内部に火災が発生したことを検知可能な火災検知センサと、
前記コンテナの内部の空間に連通し、末端部に排気口を有する排気流路と、
前記排気流路に設けられ、前記コンテナの内部の空気を、前記排気流路を通じて吸引して前記排気口から排出可能なポンプと、
前記火災が検知された場合、前記ポンプを動作させることで、前記火災が検知される前と比べ前記コンテナの内部の酸素濃度を低下させる制御装置と、
を備える、消火システム。
【請求項2】
前記排気流路に設けられ、前記火災の発生により生じる環境負荷物質を捕集するフィルタ、をさらに備える、請求項1に記載の消火システム。
【請求項3】
前記コンテナの内部の空間に連通し、前記コンテナの外部の空気を取得可能な取得口を有する給気流路と、
前記給気流路を開閉可能な給気バルブと、
をさらに備え、
前記制御装置は、
前記火災が検知されていない場合、前記給気バルブを開状態にさせ、前記ポンプを動作させることで、前記取得口から取得される空気を前記電池の周囲に流動させ、
前記火災が検知された場合、前記給気バルブを閉状態にさせ、前記ポンプを動作させることで、前記火災が検知される前と比べ前記コンテナの内部の酸素濃度を低下させる、請求項1に記載の消火システム。
【請求項4】
前記排気流路における前記コンテナと前記ポンプとの間に設けられ、前記排気流路を開閉可能な排気バルブと、
前記排気流路における前記排気バルブと前記ポンプとの間の部分に連通し、前記コンテナの外部の空気を取得可能な吸気口を有する吸気流路と、
前記吸気流路を開閉可能な吸気バルブと、
空冷の対象となる装置である空冷対象装置と、
前記排気流路における前記ポンプと前記排気口との間の部分に連通し、前記空冷対象装置に空気を供給可能な供給流路と、
前記供給流路が前記排気流路に接続される部分に設けられる切替バルブと、
をさらに備え、
前記切替バルブは、前記切替バルブに対して前記ポンプ側の前記排気流路と前記供給流路とが繋がる第1切替状態と、前記切替バルブに対して前記ポンプ側の前記排気流路と前記切替バルブに対して前記排気口側の前記排気流路とが繋がる第2切替状態と、を切替可能な構成となっており、
前記制御装置は、
前記火災が検知されていない場合、前記切替バルブを前記第1切替状態にさせ、前記排気バルブを閉状態にさせ、前記吸気バルブを開状態にさせ、前記ポンプを動作させることで、前記吸気口から取得される空気を前記空冷対象装置に流動させ、
前記火災が検知された場合、前記切替バルブを前記第2切替状態にさせ、前記吸気バルブを閉状態にさせ、前記排気バルブを開状態にさせ、前記ポンプを動作させることで、前記火災が検知される前と比べ前記コンテナの内部の酸素濃度を低下させる、請求項1に記載の消火システム。
【請求項5】
前記排気流路における前記コンテナと前記ポンプとの間に設けられ、内部に空間を有するタンクと、
前記排気流路における前記コンテナと前記タンクとの間に設けられ、前記排気流路における前記コンテナと前記タンクとの間の流路を開閉可能な中間バルブと、
をさらに備え、
前記制御装置は、
前記火災が検知されていない場合、前記中間バルブを閉状態にさせ、前記ポンプを動作させることで、前記タンクの内部を負圧にし、
前記火災が検知された場合、前記中間バルブを開状態にさせることで、前記コンテナの内部の空気を前記タンクに吸引させ、前記火災が検知される前と比べ前記コンテナの内部の酸素濃度を低下させる、請求項1に記載の消火システム。
【請求項6】
前記コンテナの内部の空間に連通し、前記コンテナの外部の空気を取得可能な取得口を有する給気流路と、
前記給気流路を開閉可能な給気バルブと、
前記排気流路における前記コンテナと前記ポンプとの間に設けられ、内部に空間を有するタンクと、
前記排気流路における前記コンテナと前記タンクとの間に設けられ、前記排気流路における前記コンテナと前記タンクとの間の流路を開閉可能な中間バルブと、
一方の端部が、前記排気流路における前記コンテナと前記中間バルブとの間の部分に連通し、他方の端部が、前記排気流路における前記タンクと前記ポンプとの間の部分に連通する副流路と、
前記副流路を開閉可能な補助バルブと、
をさらに備え、
前記制御装置は、
前記火災が検知されていない場合、前記給気バルブを開状態にさせ、前記補助バルブを開状態にさせ、前記中間バルブを閉状態にさせ、前記ポンプを動作させることで、前記取得口から取得される空気を前記電池の周囲に流動させるとともに、前記タンクの内部を負圧にし、
前記火災が検知された場合、前記給気バルブを閉状態にさせ、前記補助バルブを閉状態にさせ、前記中間バルブを開状態にさせることで、前記コンテナの内部の空気を前記タンクに吸引させ、前記火災が検知される前と比べ前記コンテナの内部の酸素濃度を低下させる、請求項1に記載の消火システム。
【請求項7】
前記排気流路における前記コンテナと前記ポンプとの間に設けられ、内部に空間を有するタンクと、
前記排気流路における前記コンテナと前記タンクとの間に設けられ、前記排気流路における前記コンテナと前記タンクとの間の流路を開閉可能な中間バルブと、
前記排気流路における前記タンクと前記ポンプとの間の部分に連通し、前記コンテナの外部の空気を取得可能な吸気口を有する吸気流路と、
前記吸気流路を開閉可能な吸気バルブと、
空冷の対象となる装置である空冷対象装置と、
前記排気流路における前記ポンプと前記排気口との間の部分に連通し、前記空冷対象装置に空気を供給可能な供給流路と、
前記供給流路が前記排気流路に接続される部分に設けられる切替バルブと、
をさらに備え、
前記切替バルブは、前記切替バルブに対して前記ポンプ側の前記排気流路と前記供給流路とが繋がる第1切替状態と、前記切替バルブに対して前記ポンプ側の前記排気流路と前記切替バルブに対して前記排気口側の前記排気流路とが繋がる第2切替状態と、を切替可能な構成となっており、
前記制御装置は、
前記火災が検知されていない場合、前記切替バルブを前記第1切替状態にさせ、前記中間バルブを閉状態にさせ、前記吸気バルブを開状態にさせ、前記ポンプを動作させることで、前記吸気口から取得される空気を前記空冷対象装置に流動させるとともに、前記タンクの内部を負圧にし、
前記火災が検知された場合、前記切替バルブを前記第2切替状態にさせ、前記吸気バルブを閉状態にさせ、前記中間バルブを開状態にさせることで、前記コンテナの内部の空気を前記タンクに吸引させ、前記火災が検知される前と比べ前記コンテナの内部の酸素濃度を低下させる、請求項1に記載の消火システム。
【請求項8】
前記排気流路における前記ポンプよりも前記コンテナ側に設けられ、前記排気流路を流通する空気から、前記排気流路を流通する空気に含まれる水分を分離する気水分離器、をさらに備える、請求項1に記載の消火システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、火災を消火する消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、消火剤や水を電池パックの内部に供給することで、電池パックの内部の火災を消火する消火システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7085169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、火災の消火が行われると電池パックの内部に消火剤や水が充満することになるため、消火後において電池パックの内部の状態を火災前の状態に復旧させる際、時間を要してしまう。
【0005】
本開示は、火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることが可能な消火システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る消火システムは、電池と、電池が内部に収容されたコンテナと、コンテナの内部に火災が発生したことを検知可能な火災検知センサと、コンテナの内部の空間に連通し、末端部に排気口を有する排気流路と、排気流路に設けられ、コンテナの内部の空気を、排気流路を通じて吸引して排気口から排出可能なポンプと、火災が検知された場合、ポンプを動作させることで、火災が検知される前と比べコンテナの内部の酸素濃度を低下させる制御装置と、を備える。
【0007】
また、消火システムは、排気流路に設けられ、火災の発生により生じる環境負荷物質を捕集するフィルタ、をさらに備えるようにしてもよい。
【0008】
また、消火システムは、コンテナの内部の空間に連通し、コンテナの外部の空気を取得可能な取得口を有する給気流路と、給気流路を開閉可能な給気バルブと、をさらに備え、制御装置は、火災が検知されていない場合、給気バルブを開状態にさせ、ポンプを動作させることで、取得口から取得される空気を電池の周囲に流動させ、火災が検知された場合、給気バルブを閉状態にさせ、ポンプを動作させることで、火災が検知される前と比べコンテナの内部の酸素濃度を低下させるようにしてもよい。
【0009】
また、消火システムは、排気流路におけるコンテナとポンプとの間に設けられ、排気流路を開閉可能な排気バルブと、排気流路における排気バルブとポンプとの間の部分に連通し、コンテナの外部の空気を取得可能な吸気口を有する吸気流路と、吸気流路を開閉可能な吸気バルブと、空冷の対象となる装置である空冷対象装置と、排気流路におけるポンプと排気口との間の部分に連通し、空冷対象装置に空気を供給可能な供給流路と、供給流路が排気流路に接続される部分に設けられる切替バルブと、をさらに備え、切替バルブは、切替バルブに対してポンプ側の排気流路と供給流路とが繋がる第1切替状態と、切替バルブに対してポンプ側の排気流路と切替バルブに対して排気口側の排気流路とが繋がる第2切替状態と、を切替可能な構成となっており、制御装置は、火災が検知されていない場合、切替バルブを第1切替状態にさせ、排気バルブを閉状態にさせ、吸気バルブを開状態にさせ、ポンプを動作させることで、吸気口から取得される空気を空冷対象装置に流動させ、火災が検知された場合、切替バルブを第2切替状態にさせ、吸気バルブを閉状態にさせ、排気バルブを開状態にさせ、ポンプを動作させることで、火災が検知される前と比べコンテナの内部の酸素濃度を低下させるようにしてもよい。
【0010】
また、消火システムは、排気流路におけるコンテナとポンプとの間に設けられ、内部に空間を有するタンクと、排気流路におけるコンテナとタンクとの間に設けられ、排気流路におけるコンテナとタンクとの間の流路を開閉可能な中間バルブと、をさらに備え、制御装置は、火災が検知されていない場合、中間バルブを閉状態にさせ、ポンプを動作させることで、タンクの内部を負圧にし、火災が検知された場合、中間バルブを開状態にさせることで、コンテナの内部の空気をタンクに吸引させ、火災が検知される前と比べコンテナの内部の酸素濃度を低下させるようにしてもよい。
【0011】
また、消火システムは、コンテナの内部の空間に連通し、コンテナの外部の空気を取得可能な取得口を有する給気流路と、給気流路を開閉可能な給気バルブと、排気流路におけるコンテナとポンプとの間に設けられ、内部に空間を有するタンクと、排気流路におけるコンテナとタンクとの間に設けられ、排気流路におけるコンテナとタンクとの間の流路を開閉可能な中間バルブと、一方の端部が、排気流路におけるコンテナと中間バルブとの間の部分に連通し、他方の端部が、排気流路におけるタンクとポンプとの間の部分に連通する副流路と、副流路を開閉可能な補助バルブと、をさらに備え、制御装置は、火災が検知されていない場合、給気バルブを開状態にさせ、補助バルブを開状態にさせ、中間バルブを閉状態にさせ、ポンプを動作させることで、取得口から取得される空気を電池の周囲に流動させるとともに、タンクの内部を負圧にし、火災が検知された場合、給気バルブを閉状態にさせ、補助バルブを閉状態にさせ、中間バルブを開状態にさせることで、コンテナの内部の空気をタンクに吸引させ、火災が検知される前と比べコンテナの内部の酸素濃度を低下させるようにしてもよい。
【0012】
また、消火システムは、排気流路におけるコンテナとポンプとの間に設けられ、内部に空間を有するタンクと、排気流路におけるコンテナとタンクとの間に設けられ、排気流路におけるコンテナとタンクとの間の流路を開閉可能な中間バルブと、排気流路におけるタンクとポンプとの間の部分に連通し、コンテナの外部の空気を取得可能な吸気口を有する吸気流路と、吸気流路を開閉可能な吸気バルブと、空冷の対象となる装置である空冷対象装置と、排気流路におけるポンプと排気口との間の部分に連通し、空冷対象装置に空気を供給可能な供給流路と、供給流路が排気流路に接続される部分に設けられる切替バルブと、をさらに備え、切替バルブは、切替バルブに対してポンプ側の排気流路と供給流路とが繋がる第1切替状態と、切替バルブに対してポンプ側の排気流路と切替バルブに対して排気口側の排気流路とが繋がる第2切替状態と、を切替可能な構成となっており、制御装置は、火災が検知されていない場合、切替バルブを第1切替状態にさせ、中間バルブを閉状態にさせ、吸気バルブを開状態にさせ、ポンプを動作させることで、吸気口から取得される空気を空冷対象装置に流動させるとともに、タンクの内部を負圧にし、火災が検知された場合、切替バルブを第2切替状態にさせ、吸気バルブを閉状態にさせ、中間バルブを開状態にさせることで、コンテナの内部の空気をタンクに吸引させ、火災が検知される前と比べコンテナの内部の酸素濃度を低下させるようにしてもよい。
【0013】
また、消火システムは、排気流路におけるポンプよりもコンテナ側に設けられ、排気流路を流通する空気から、排気流路を流通する空気に含まれる水分を分離する気水分離器、をさらに備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係る消火システムの構成を示す概略ブロック図である。
図2図2は、第1実施形態の消火制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図3図3は、第2実施形態に係る消火システムの構成を示すブロック図である。
図4図4は、第2実施形態の消火制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図5図5は、第3実施形態に係る消火システムの構成を示すブロック図である。
図6図6は、第4実施形態に係る消火システムの構成を示すブロック図である。
図7図7は、第4実施形態の消火制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図8図8は、第5実施形態に係る消火システムの構成を示すブロック図である。
図9図9は、第5実施形態の消火制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図10図10は、第6実施形態に係る消火システムの構成を示すブロック図である。
図11図11は、第6実施形態の消火制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図12図12は、第7実施形態に係る消火システムの構成を示すブロック図である。
図13図13は、第7実施形態の消火制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図14図14は、第8実施形態に係る消火システムの構成を示すブロック図である。
図15図15は、第8実施形態の消火制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図16図16は、第9実施形態に係る消火システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る消火システム1の構成を示す概略ブロック図である。消火システム1は、電池10、コンテナ12、火災検知センサ14、排気流路16、ポンプ18、ユーザーインターフェース20および制御装置22を備える。
【0018】
電池10は、例えば、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、ニッケルカドミウム電池など、既知の任意の組成の電池であってもよい。電池10は、充放電が可能な二次電池であってもよいし、放電のみが可能な一次電池であってもよい。電池10は、1つの電池モジュールであってもよいし、複数の電池モジュールを含んでもよい。
【0019】
電池10は、例えば、発電施設などに設置され、発電装置により発電された電力を蓄電する。なお、電池10の適用例は、例示したものに限らない。例えば、電池10は、電気自動車などに搭載され、モータジェネレータに電力を供給してもよい。また、消火システム1の電池10は、使用している状態に限らず、例えば、運搬されている状態であってもよい。
【0020】
コンテナ12は、内部が中空の容器である。コンテナ12は、コンテナ12の内部に電池10を収容可能な空間を形成する。コンテナ12の内部には、電池10が収容されている。図1では、1つの電池10がコンテナ12の内部に収容されている例を示しているが、コンテナ12の内部に収容される電池10の数は、1つに限らず、2つ以上の任意の数であってもよい。
【0021】
なお、電池10がコンテナ12に直接的に収容される態様に限らない。例えば、電池10が電池パックの内部に収容され、電池10が収容された電池パックがコンテナ12の内部に収容されてもよい。また、電池10が電池パックの内部に収容され、電池10が収容された電池パックが、消火システム1のコンテナ12として機能してもよい。
【0022】
ところで、何等かの不具合や異常により、コンテナ12の内部の電池10が発火し、コンテナ12の内部に火災が発生するおそれがある。消火システム1は、コンテナ12の内部の火災、換言すると、電池10の火災を消火する。以後、電池10が収容されているコンテナ12の内部の空間を、消火対象空間という場合がある。
【0023】
火災検知センサ14は、消火対象空間に設けられる。火災検知センサ14は、コンテナ12の内部に火災が発生したことを検知可能な構成となっている。
【0024】
火災検知センサ14は、例えば、赤外線を利用して電池10の輻射熱を検出してもよい。火災検知センサ14は、検出した輻射熱が所定閾値以上となった場合、あるいは、検出した輻射熱の時間に対する変化量が所定変化量以上となった場合に、火災が発生したと判定することで、火災の発生を検知してもよい。また、火災検知センサ14は、例えば、消火対象空間の温度を検出してもよい。火災検知センサ14は、検出した温度が所定閾値以上となった場合、あるいは、検出した温度の時間に対する変化量が所定変化量以上となった場合に、火災が発生したと判定することで、火災の発生を検知してもよい。なお、火災検知センサ14は、例示した方法に限らず、火災の検知に関する既知の技術を適用して火災の発生を検知してもよい。
【0025】
コンテナ12の壁面には、所定の位置において、第1連通孔30が設けられている。コンテナ12は、第1連通孔30以外の部分が密閉されている。換言すると、仮に、第1連通孔30を閉じれば、コンテナ12の内部が完全に閉塞された状態となる。
【0026】
排気流路16は、例えば、管状に形成されている。排気流路16は、排気流路16の内部を空気が流通可能な構成となっている。排気流路16は、コンテナ12の第1連通孔30の周辺部において、コンテナ12の壁面の外面に接続されている。排気流路16は、第1連通孔30を通じてコンテナ12の内部の空間に連通している。
【0027】
排気流路16における第1連通孔30とは反対側の末端部には、排気口32が形成されている。排気口32は、コンテナ12の外部の空間に開口している。
【0028】
ポンプ18は、排気流路16に設けられる。ポンプ18は、動作することで、コンテナ12の内部の空気を、排気流路16を通じて吸引して排気口32から排出可能な構成となっている。すなわち、ポンプ18は、動作することで、コンテナ12の内部の空間の気圧を大気圧より低くすることができる。その結果、ポンプ18は、コンテナ12の内部の空間の酸素濃度を、ポンプ18を停止させているときよりも低下させることができる。
【0029】
消火システム1は、後述するが、ポンプ18によってコンテナ12の内部の空気を吸い出すことで、コンテナ12の内部の空間の酸素濃度を実質的に低下させる。火が燃えるには所定濃度以上の酸素が必要であるため、消火システム1は、酸素濃度を実質的に低下させることで、火災を消火することができる。
【0030】
ポンプ18は、例えば、電源34から供給される電力を消費して動作する電動ポンプである。なお、ポンプ18は、電動ポンプに限らず、例えば、機械的に動作するポンプなど、コンテナ12の内部の空間の気圧を低下することが可能な既知のポンプであってもよい。
【0031】
ポンプ18に電力を供給する電源34は、コンテナ12の外部の電力系統、または、コンテナ12の外部に設けられた他の電池である。コンテナ12の外部の電源34の電力によってポンプ18が動作するため、火災によってコンテナ12の内部の電池10の性能が低下しても、ポンプ18を確実に動作させることができる。
【0032】
なお、ポンプ18に電力を供給する電源34として、コンテナ12の内部の電池10を利用してもよい。この態様では、コンテナ12の内部の電池10の電圧が、ポンプ18の動作に必要な電圧未満に低下するまでは、ポンプ18を動作させることができ、火災の程度を抑制することができる。
【0033】
ユーザーインターフェース20は、例えば、タッチパネルなど、ユーザーの入力操作を受け付ける任意の入力装置を含む。ユーザーインターフェース20は、例えば、液晶ディスプレイなど、各種の情報を表示可能な出力装置を含む。
【0034】
制御装置22は、1つまたは複数のプロセッサ40と、プロセッサ40に接続される1つまたは複数のメモリ42とを備える。メモリ42は、プログラム等が格納されたROM、および、ワークエリアとしてのRAMを含む。プロセッサ40は、メモリ42に含まれるプログラムと協働して、消火システム1全体を制御する。プロセッサ40は、プログラムを実行することで、消火制御部44としても機能する。
【0035】
消火制御部44は、火災検知センサ14の検知結果を取得する。消火制御部44は、火災が検知された場合、ポンプ18を動作させることで、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、消火制御部44は、コンテナ12の内部の火災を消火する。
【0036】
図2は、第1実施形態の消火制御部44の動作の流れを説明するフローチャートである。消火制御部44は、所定の周期で訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに、図2の一連の処理を繰り返し実行する。
【0037】
所定の割込みタイミングが到来すると、消火制御部44は、火災検知センサ14により火災が検知されたか否かを判定する(S10)。
【0038】
火災が検知されていない場合(S10におけるNO)、消火制御部44は、ポンプ18を停止させ(S11)、一連の処理を終了する。なお、前回の割込みタイミングのときに火災が検知されておらず、今回の割込みタイミングのときにも火災が検知されていない場合には、ポンプ18の停止が維持される。
【0039】
火災が検知された場合(S10におけるYES)、消火制御部44は、ポンプ18を動作させる(S12)。これにより、コンテナ12の内部の空気がポンプ18によってコンテナ12の外部に吸い出され、コンテナ12の内部の酸素濃度が低下する。コンテナ12の内部の酸素濃度が、火災が継続可能な酸素濃度未満となると、コンテナ12の内部の火災が消火される。
【0040】
ここで、例えば、消火作業者が火災の消火を確認すると、消火作業者は、ユーザーインターフェース20を通じて、ポンプ18を停止させる停止指示を入力する。消火制御部44は、ポンプ18を停止させる停止指示を受けたかを判定する(S13)。
【0041】
停止指示を受けていない場合(S13におけるNO)、消火制御部44は、一連の処理を終了する。この場合、ポンプ18の動作が継続される。ポンプ18の動作が継続されることで、コンテナ12の内部の酸素濃度が低下し続ける。その結果、コンテナ12の内部の火災を適切に消火することができる。
【0042】
停止指示を受けた場合(S13におけるYES)、消火制御部44は、ポンプ18を停止して(S14)、一連の処理を終了する。なお、停止指示は、例えば、コンテナ12の内部が火災前の状態に復旧され、火災の検知がクリアされるまで維持される。
【0043】
以上のように、第1実施形態の消火システム1の消火制御部44は、火災が検知された場合、ポンプ18を動作させることで、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。
【0044】
これにより、第1実施形態の消火システム1では、消火剤や水を用いることなく、コンテナ12の内部の火災を消火することができる。このため、第1実施形態の消火システム1では、消火後に消火剤や水を除去する必要がなく、火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることが可能となる。
【0045】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る消火システム1Aの構成を示すブロック図である。第2実施形態の消火システム1Aは、気圧センサ50および排気バルブ52を有する点、および、消火制御部44の具体的な制御内容に関して第1実施形態の消火システム1と異なる。その他の構成要素については、第1実施形態の消火システム1と同様の構成となっている。ここでは、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について詳述する。
【0046】
気圧センサ50は、消火対象空間に設けられる。気圧センサ50は、コンテナ12の内部の気圧を検出可能な構成となっている。
【0047】
排気バルブ52は、排気流路16に設けられる。排気バルブ52は、図3の例では、排気流路16におけるコンテナ12とポンプ18との間の部分に設けられているが、排気流路16の任意の部分に設けられてもよい。排気バルブ52は、排気流路16を開閉可能な構成となっている。
【0048】
図4は、第2実施形態の消火制御部44の動作の流れを説明するフローチャートである。消火制御部44は、所定の周期で訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに、図4の一連の処理を繰り返し実行する。
【0049】
所定の割込みタイミングが到来すると、消火制御部44は、火災検知センサ14により火災が検知されたか否かを判定する(S20)。
【0050】
火災が検知されていない場合(S20におけるNO)、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S21)、ポンプ18を停止させ(S22)、一連の処理を終了する。
【0051】
火災が検知された場合(S20におけるYES)、消火制御部44は、気圧センサ50の検出結果を取得し、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下であるか否かを判定する(S23)。ここでの所定気圧は、例えば、大気圧の1000分の1に設定されるが、火災が適切に消火可能な程度に酸素濃度が低くなる任意の気圧に設定されてもよい。
【0052】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧より大きい場合(S23におけるNO)、消火制御部44は、排気バルブ52を開状態にさせ(S24)、ポンプ18を動作させ(S25)、一連の処理を終了する。つまり、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下となるまで、ポンプ18によって、コンテナ12の内部の空気が吸い出される。
【0053】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下となると、コンテナ12の内部の酸素濃度が、火災が適切に消火可能な程度にまで低下されるため、コンテナ12の内部の火災が消火されることになる。
【0054】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下である場合(S23におけるYES)、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S26)、ポンプ18を停止させ(S27)、一連の処理を終了する。つまり、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下で維持され、コンテナ12の内部の状態が、火災が消火された状態で適切に維持されることになる。
【0055】
以上のように、第2実施形態の消火システム1Aの消火制御部44は、第1実施形態と同様に、コンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。このため、第2実施形態の消火システム1Aでは、第1実施形態と同様に、消火後に消火剤や水を除去する必要がなく、火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることが可能となる。
【0056】
また、第2実施形態の消火システム1Aでは、消火作業者による停止指示の入力を受けることなく、火災が消火されると自動的にポンプ18を停止することができ、消火作業者の労力を低減することができる。
【0057】
また、第2実施形態の消火システム1Aでは、コンテナ12の内部の状態を、火災が消火された状態で適切に維持するとともに、ポンプ18の動作を無駄に継続させないため、安全性を確保しつつ、ポンプ18を動作させるエネルギーを抑制することができる。
【0058】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る消火システム1Bの構成を示すブロック図である。第3実施形態の消火システム1Bは、フィルタ60を有する点に関して第1実施形態の消火システム1と異なる。その他の構成要素については、第1実施形態の消火システム1と同様の構成となっている。ここでは、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について詳述する。
【0059】
フィルタ60は、排気流路16に設けられる。フィルタ60は、図5の例では、排気流路16におけるコンテナ12とポンプ18との間の部分に設けられているが、排気流路16の任意の部分に設けられてもよい。
【0060】
フィルタ60は、火災の発生により生じる環境負荷物質を捕集する。環境負荷物質は、環境に負荷を与えるおそれがある物質である。例えば、電池10がリチウムイオン電池の場合、環境負荷物質としては、フッ化水素(HF)などが挙げられる。電池10の種類によって環境負荷物質が異なるため、フィルタ60は、電池10の種類ごとに、環境負荷物質を適切に捕集可能な構成となっている。
【0061】
第3実施形態の消火システム1Bでは、ポンプ18の動作によって、コンテナ12の内部の空気が排気流路16を通じて排気口32から排出される際、コンテナ12の内部において生じる環境負荷物質がフィルタ60によって捕集される。
【0062】
以上のように、第3実施形態の消火システム1Bでは、環境負荷物質がフィルタ60によって捕集されるため、環境負荷物質がコンテナ12の外部の空間に排出されることを抑制することができる。
【0063】
また、第3実施形態の消火システム1Bの消火制御部44は、第1実施形態と同様に、コンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。このため、第3実施形態の消火システム1Bでは、第1実施形態と同様に、消火後に消火剤や水を除去する必要がなく、火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることが可能となる。
【0064】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態に係る消火システム1Cの構成を示すブロック図である。第4実施形態の消火システム1Cは、第1実施形態の消火システム1に、第2実施形態と同様の気圧センサ50および排気バルブ52、および、第3実施形態と同様のフィルタ60が付加されている。さらに、第4実施形態の消火システム1Cは、給気流路70および給気バルブ72を有し、消火制御部44の具体的な制御内容に関して第1実施形態の消火システム1と異なる。その他の構成要素については、第1実施形態の消火システム1と同様の構成となっている。ここでは、第1~第3実施形態と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について詳述する。
【0065】
第4実施形態の消火システム1Cにおいて、排気バルブ52は、排気流路16におけるコンテナ12とポンプ18との間の部分に設けられている。フィルタ60は、排気流路16におけるコンテナ12と排気バルブ52との間の部分に設けられる。なお、第4実施形態において、排気バルブ52およびフィルタ60は省略されてもよい。
【0066】
コンテナ12の壁面には、第1連通孔30とは異なる位置において、第2連通孔74が設けられている。第2連通孔74は、例えば、コンテナ12における第1連通孔30が設けられている壁面とは反対側の壁面に設けられる。コンテナ12は、第1連通孔30および第2連通孔74以外の部分が密閉されている。換言すると、仮に、第1連通孔30および第2連通孔74を閉じれば、コンテナ12の内部が完全に閉塞された状態となる。
【0067】
給気流路70は、例えば、管状に形成されている。給気流路70は、給気流路70の内部を空気が流通可能な構成となっている。給気流路70は、コンテナ12の第2連通孔74の周辺部において、コンテナ12の壁面の外面に接続されている。給気流路70は、第2連通孔74を通じてコンテナ12の内部の空間に連通している。
【0068】
給気流路70における第2連通孔74とは反対側の先端部には、取得口76が形成されている。取得口76は、コンテナ12の外部の空間に開口している。取得口76は、コンテナ12の外部の空気を給気流路70の内部に取得可能となっている。給気流路70は、取得口76を通じて取得された空気をコンテナ12の内部の空間に供給可能な構成となっている。
【0069】
給気バルブ72は、給気流路70に設けられる。給気バルブ72は、給気流路70を開閉可能な構成となっている。
【0070】
第4実施形態の消火制御部44は、火災が検知されていない場合、給気バルブ72および排気バルブ52の両方を開状態にさせ、ポンプ18を動作させる。なお、排気バルブ52を省略する態様では、消火制御部44は、火災が検知されていない場合、給気バルブ72を開状態にさせ、ポンプ18を動作させる。そうすることで、消火制御部44は、取得口76から取得される空気を電池10の周囲に流動させる。電池10の周囲に空気が流動すると、電池10と空気との熱交換が促進されて電池10が冷却される。すなわち、電池10が空冷される。
【0071】
第4実施形態の消火制御部44は、火災が検知された場合、給気バルブ72を閉状態にさせ、排気バルブ52を開状態にさせ、ポンプ18を動作させる。なお、排気バルブ52を省略する態様では、消火制御部44は、火災が検知された場合、給気バルブ72を閉状態にさせ、ポンプ18を動作させる。そうすることで、消火制御部44は、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。
【0072】
図7は、第4実施形態の消火制御部44の動作の流れを説明するフローチャートである。消火制御部44は、所定の周期で訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに、図7の一連の処理を繰り返し実行する。
【0073】
所定の割込みタイミングが到来すると、消火制御部44は、火災検知センサ14により火災が検知されたか否かを判定する(S30)。
【0074】
火災が検知されていない場合(S30におけるNO)、消火制御部44は、給気バルブ72を開状態にさせ(S31)、排気バルブ52を開状態にさる(S32)。これにより、取得口76から排気口32までの流路が、実質的に連通することになる。
【0075】
消火制御部44は、この状態においてポンプ18を動作させ(S33)、一連の処理を終了する。これにより、コンテナ12の外部の空気が、取得口76を通じて取得され、取得された空気が、給気流路70、コンテナ12、排気流路16、排気口32の順に流通する。そうすると、取得口76から排気口32までの空気の流通経路の途中に存在する電池10が、取得口76を通じて取得された空気によって空冷される。
【0076】
火災が検知された場合(S30におけるYES)、消火制御部44は、まず、吸気バルブを閉状態にさせる(S34)。これにより、給気流路70が遮断され、取得口76を通じた空気の取得がされないようになる。つまり、電池10の空冷が中断される。
【0077】
次に、消火制御部44は、気圧センサ50の検出結果を取得し、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下であるか否かを判定する(S35)。ここでの所定気圧は、例えば、大気圧の1000分の1に設定されるが、火災が適切に消火可能な程度に酸素濃度が低くなる任意の気圧に設定されてもよい。
【0078】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下ではない場合(S35におけるNO)、消火制御部44は、排気バルブ52を開状態にさせ(S36)、ポンプ18を動作させ(S37)、一連の処理を終了する。つまり、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下となるまで、ポンプ18によって、コンテナ12の内部の空気が吸い出される。
【0079】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下となると、コンテナ12の内部の酸素濃度が、火災が適切に消火可能な程度にまで低下されるため、コンテナ12の内部の火災が消火されることになる。
【0080】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下である場合(S35におけるYES)、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S38)、ポンプ18を停止させ(S39)、一連の処理を終了する。つまり、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下で維持され、コンテナ12の内部の状態が、火災が消火された状態で適切に維持されることになる。
【0081】
以上のように、第4実施形態の消火システム1Cの消火制御部44は、火災が検知されていない場合には、ポンプ18を動作させて電池10を空冷する。さらに、第4実施形態の消火システム1Cの消火制御部44は、火災が検知された場合には、電池10の空冷を中断し、ポンプ18を動作させて、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させて火災を消火する。つまり、第4実施形態の消火システム1Cでは、火災を消火するために利用するポンプ18を、火災が検知されていない場合においても電池10の空冷のために利用している。
【0082】
このため、第4実施形態の消火システム1Cでは、火災の消火時だけでなく、火災が発生していない通常時においてもポンプ18を電池10の冷却に用いて有効活用することができ、ポンプ18の存在意義を向上させることができる。
【0083】
また、第4実施形態の消火システム1Cでは、火災が発生していない通常時において電池10を空冷するため、電池10が発火することを抑制することができ、コンテナ12の内部の火災を未然に防止することができる。
【0084】
また、第4実施形態の消火システム1Cの消火制御部44は、第1実施形態と同様に、コンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。このため、第4実施形態の消火システム1Cでは、第1実施形態と同様に、消火後に消火剤や水を除去する必要がなく、火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることが可能となる。
【0085】
(第5実施形態)
図8は、第5実施形態に係る消火システム1Dの構成を示すブロック図である。第5実施形態の消火システム1Dは、第1実施形態の消火システム1に、第2実施形態と同様の気圧センサ50および排気バルブ52、および、第3実施形態と同様のフィルタ60が付加されている。さらに、第5実施形態の消火システム1Dは、吸気流路80、吸気バルブ82、空冷対象装置84、供給流路86および切替バルブ88を有し、消火制御部44の具体的な制御内容に関して第1実施形態の消火システム1と異なる。その他の構成要素については、第1実施形態の消火システム1と同様の構成となっている。ここでは、第1~第3実施形態と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について詳述する。なお、第5実施形態の消火システム1Dは、第4実施形態の消火システム1Cの変形例である。
【0086】
第5実施形態の消火システム1Dにおいて、排気バルブ52は、排気流路16におけるコンテナ12とポンプ18との間の部分に設けられる。排気バルブ52は、排気流路16におけるコンテナ12とポンプ18との間の流路を開閉可能な構成となっている。フィルタ60は、排気流路16におけるコンテナ12と排気バルブ52との間の部分に設けられる。なお、第5実施形態において、フィルタ60は省略されてもよい。
【0087】
吸気流路80は、例えば、管状に形成されている。吸気流路80は、吸気流路80の内部を空気が流通可能な構成となっている。吸気流路80は、排気流路16における排気バルブ52とポンプ18との間の部分に連通している。
【0088】
吸気流路80における排気流路16とは反対側の先端部には、吸気口90が形成されている。吸気口90は、コンテナ12の外部の空間に開口している。吸気口90は、コンテナ12の外部の空気を吸気流路80の内部に取得可能となっている。吸気流路80は、吸気口90を通じて取得された空気を、排気流路16における排気バルブ52とポンプ18との間の流路に送入することが可能な構成となっている。
【0089】
吸気バルブ82は、吸気流路80に設けられる。吸気バルブ82は、吸気流路80を開閉可能な構成となっている。
【0090】
空冷対象装置84は、空冷の対象となる装置であり、コンテナ12の外部に位置する。空冷対象装置84は、コンテナ12の内部の電池10とは異なる装置である。第4実施形態では、電池10が空冷の対象となっていたが、第5実施形態では、空冷対象装置84が空冷の対象となる。
【0091】
空冷対象装置84は、例えば、空気調和装置や任意の熱交換器など、冷却が望まれる任意の装置であってもよい。また、空冷対象装置84は、電池10の温度を調節する回路の熱媒体と熱交換する熱交換器であってもよい。
【0092】
供給流路86は、例えば、管状に形成されている。供給流路86は、供給流路86の内部を空気が流通可能な構成となっている。供給流路86は、排気流路16におけるポンプ18と排気口32との間の部分に連通している。供給流路86における排気流路16とは反対側の端部は、空冷対象装置84に接続されている。供給流路86は、排気流路16から送入された空気を空冷対象装置84に供給可能な構成となっている。
【0093】
切替バルブ88は、供給流路86が排気流路16に接続される部分に設けられる。切替バルブ88は、第1切替状態と第2切替状態とを切替可能な構成となっている。
【0094】
切替バルブ88における第1切替状態は、切替バルブ88に対してポンプ18側の排気流路16と供給流路86とが繋がる状態である。すなわち、第1切替状態では、ポンプ18から空冷対象装置84に向かう流れが許可され、ポンプ18から排気口32に向かう流れが遮断される。
【0095】
切替バルブ88における第2切替状態は、切替バルブ88に対してポンプ18側の排気流路16と排気口32側の排気流路16とが繋がる状態である。すなわち、第2切替状態では、ポンプ18から排気口32に向かう流れが許可され、ポンプ18から空冷対象装置84に向かう流れが遮断される。
【0096】
第5実施形態の消火制御部44は、火災が検知されていない場合、切替バルブ88を第1切替状態にさせ、排気バルブ52を閉状態にさせ、吸気バルブ82を開状態にさせ、ポンプ18を動作させる。そうすることで、消火制御部44は、吸気口90から取得される空気を空冷対象装置84に流動させる。空冷対象装置84に空気が流動すると、空冷対象装置84と空気との熱交換が促進されて空冷対象装置84が冷却される。すなわち、空冷対象装置84が空冷される。
【0097】
第5実施形態の消火制御部44は、火災が検知された場合、切替バルブ88を第2切替状態にさせ、吸気バルブ82を閉状態にさせ、排気バルブ52を開状態にさせ、ポンプ18を動作させる。そうすることで、消火制御部44は、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。
【0098】
図9は、第5実施形態の消火制御部44の動作の流れを説明するフローチャートである。消火制御部44は、所定の周期で訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに、図9の一連の処理を繰り返し実行する。
【0099】
所定の割込みタイミングが到来すると、消火制御部44は、火災検知センサ14により火災が検知されたか否かを判定する(S50)。
【0100】
火災が検知されていない場合(S50におけるNO)、消火制御部44は、まず、切替バルブ88を第1切替状態にする(S51)。これにより、ポンプ18から空冷対象装置84に向かう流れが許可される。
【0101】
次に、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S52)、吸気バルブ82を開状態にさせる(S53)。これにより、吸気口90から空冷対象装置84までの流路が、実質的に連通することになるとともに、コンテナ12の内部の空間が、吸気口90および空冷対象装置84から遮断されることになる。
【0102】
消火制御部44は、この状態においてポンプ18を動作させ(S54)、一連の処理を終了する。これにより、コンテナ12の外部の空気が、吸気口90を通じて取得され、取得された空気が、吸気流路80、排気流路16、供給流路86、空冷対象装置84の順に流通する。そうすると、空冷対象装置84が、吸気口90を通じて取得された空気によって空冷される。この際、排気バルブ52が閉状態であるため、取得された空気は、コンテナ12の内部には送入されない。
【0103】
火災が検知された場合(S50におけるYES)、消火制御部44は、まず、切替バルブ88を第2切替状態にする(S55)。これにより、ポンプ18から排気口32に向かう流れが許可される。
【0104】
次に、消火制御部44は、吸気バルブ82を閉状態にさせる(S56)。これにより、吸気流路80が遮断され、吸気口90を通じた空気の取得がされないようになる。つまり、空冷対象装置84の空冷が中断される。
【0105】
次に、消火制御部44は、気圧センサ50の検出結果を取得し、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下であるか否かを判定する(S57)。ここでの所定気圧は、例えば、大気圧の1000分の1に設定されるが、火災が適切に消火可能な程度に酸素濃度が低くなる任意の気圧に設定されてもよい。
【0106】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下ではない場合(S57におけるNO)、消火制御部44は、排気バルブ52を開状態にさせ(S58)、ポンプ18を動作させ(S59)、一連の処理を終了する。つまり、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下となるまで、ポンプ18によって、コンテナ12の内部の空気が吸い出される。
【0107】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下となると、コンテナ12の内部の酸素濃度が、火災が適切に消火可能な程度にまで低下されるため、コンテナ12の内部の火災が消火されることになる。
【0108】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下である場合(S57におけるYES)、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S60)、ポンプ18を停止させ(S61)、一連の処理を終了する。つまり、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下で維持され、コンテナ12の内部の状態が、火災が消火された状態で適切に維持されることになる。
【0109】
以上のように、第5実施形態の消火システム1Dの消火制御部44は、火災が検知されていない場合には、ポンプ18を動作させて空冷対象装置84を空冷する。さらに、第5実施形態の消火システム1Dの消火制御部44は、火災が検知された場合には、空冷対象装置84の空冷を中断し、ポンプ18を動作させて、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させて火災を消火する。つまり、第5実施形態の消火システム1Dでは、火災を消火するために利用するポンプ18を、火災が検知されていない場合においても空冷対象装置84の空冷のために利用している。
【0110】
このため、第5実施形態の消火システム1Dでは、火災の消火時だけでなく、火災が発生していない通常時においてもポンプ18を空冷対象装置84の冷却に用いて有効活用することができ、ポンプ18の存在意義を向上させることができる。
【0111】
また、第5実施形態の消火システム1Dの消火制御部44は、第1実施形態と同様に、コンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。このため、第5実施形態の消火システム1Dでは、第1実施形態と同様に、消火後に消火剤や水を除去する必要がなく、火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることが可能となる。
【0112】
(第6実施形態)
図10は、第6実施形態に係る消火システム1Eの構成を示すブロック図である。第6実施形態の消火システム1Eは、第1実施形態の消火システム1に、第2実施形態と同様の気圧センサ50および排気バルブ52が付加されている。さらに、第6実施形態の消火システム1Eは、タンク100、気圧センサ102および中間バルブ104を有し、消火制御部44の具体的な制御内容に関して第1実施形態の消火システム1と異なる。その他の構成要素については、第1実施形態の消火システム1と同様の構成となっている。ここでは、第1~第2実施形態と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について詳述する。
【0113】
第6実施形態の消火システム1Eにおいて、タンク100は、内部が中空の容器であり、内部に空間を有する。タンク100は、コンテナ12の内部の隙間の容積と同等以上の容積を有することが好ましい。
【0114】
タンク100の壁面には、所定の位置において、第1開口部110が設けられている。また、タンク100の壁面には、第1開口部110とは異なる位置において、第2開口部112が設けられている。第2開口部112は、例えば、タンク100における第1開口部110が設けられている壁面とは反対側の壁面に設けられる。タンク100は、第1開口部110および第2開口部112以外の部分が密閉されている。換言すると、仮に、第1開口部110および第2開口部112を閉じれば、タンク100の内部が完全に閉塞された状態となる。
【0115】
タンク100は、排気流路16におけるコンテナ12とポンプ18との間の部分に設けられる。タンク100の内部の空間は、第1開口部110を通じて、排気流路16におけるコンテナ12側に連通している。タンク100の内部の空間は、第2開口部112を通じて、排気流路16におけるポンプ18側に連通している。
【0116】
気圧センサ102は、タンク100の内部の空間に設けられる。気圧センサ102は、タンク100の内部の気圧を検出可能な構成となっている。
【0117】
中間バルブ104は、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間の部分に設けられる。中間バルブ104は、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間の流路を開閉可能な構成となっている。
【0118】
排気バルブ52は、排気流路16におけるタンク100とポンプ18との間の部分に設けられる。排気バルブ52は、排気流路におけるタンク100とポンプ18との間の流路を開閉可能な構成となっている。なお、第6実施形態において、排気バルブ52は省略されてもよい。
【0119】
第6実施形態の消火制御部44は、火災が検知されていない場合、中間バルブ104を閉状態にさせ、排気バルブ52を開状態にさせ、ポンプ18を動作させる。なお、排気バルブ52を省略する態様では、消火制御部44は、火災が検知されていない場合、中間バルブ104を閉状態にさせ、ポンプ18を動作させる。そうすることで、消火制御部44は、タンク100の内部を負圧にする。つまり、消火制御部44は、火災が検知される前に予めタンク100の内部を負圧にしておく。
【0120】
第6実施形態の消火制御部44は、火災が検知された場合、中間バルブ104を開状態にさせることで、コンテナ12の内部の空気をタンク100に吸引させ、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。
【0121】
第6実施形態の消火システム1Eでは、コンテナ12の内部の空気がタンク100に適切に吸引されるように、タンク100は、コンテナ12の内部の隙間の容積と同等以上の容積を有することが好ましい。
【0122】
図11は、第6実施形態の消火制御部44の動作の流れを説明するフローチャートである。消火制御部44は、所定の周期で訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに、図11の一連の処理を繰り返し実行する。
【0123】
所定の割込みタイミングが到来すると、消火制御部44は、火災検知センサ14により火災が検知されたか否かを判定する(S70)。
【0124】
火災が検知されていない場合(S70におけるNO)、消火制御部44は、まず、中間バルブ104を閉状態にさせる(S71)。これにより、コンテナ12の内部の空間がタンク100から遮断される。
【0125】
次に、消火制御部44は、気圧センサ102の検出結果を取得し、タンク100の内部の気圧が所定気圧以下であるか否かを判定する(S72)。ここでの所定気圧は、例えば、大気圧の1000分の1に設定されるが、火災が適切に消火可能な程度に酸素濃度が低くなる任意の気圧に設定されてもよい。また、ここでの所定気圧は、タンク100の容積を考慮して設定されてもよい。
【0126】
タンク100の内部の気圧が所定気圧以下ではない場合(S72におけるNO)、消火制御部44は、排気バルブ52を開状態にさせ(S73)、ポンプ18を動作させ(S74)、一連の処理を終了する。つまり、タンク100の内部の気圧が所定気圧以下となるまで、ポンプ18によって、タンク100の内部の空気が吸い出される。これにより、タンク100の内部の空間が所定気圧以下の負圧となる。
【0127】
タンク100の内部の気圧が所定気圧以下である場合(S72におけるYES)、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S75)、ポンプ18を停止させ(S76)、一連の処理を終了する。これにより、火災が検知されていない通常時において、タンク100の内部の気圧が予め負圧で維持されることになる。
【0128】
火災が検知された場合(S70におけるYES)、消火制御部44は、気圧センサ50の検出結果を取得し、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下であるか否かを判定する(S77)。ここでの所定気圧は、例えば、大気圧の1000分の1に設定されるが、火災が適切に消火可能な程度に酸素濃度が低くなる任意の気圧に設定されてもよい。
【0129】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下ではない場合(S77におけるNO)、消火制御部44は、中間バルブ104を開状態にさせる(S78)。ここで、タンク100の内部の気圧が負圧となっているため、コンテナ12の内部の空気は、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間の流路を通じて、タンク100の内部の空間に吸引される。そうすると、コンテナ12の内部の酸素濃度が低下する。そして、コンテナ12の内部の酸素濃度が、火災が適切に消火可能な程度にまで低下されると、コンテナ12の内部の火災が消火されることになる。
【0130】
中間バルブ104を開状態にさせた後、消火制御部44は、さらにポンプ18を動作させる(S79)。
【0131】
ここで、ポンプ18の動作の開始直後では、ポンプ18の運転状態が安定していないことがある。運転状態が安定していない状態では、運転状態が安定している状態と比べ、ポンプ18の吸引性能が低下することがある。仮に、ポンプ18の吸引性能が低下している状態で排気バルブ52が開状態となると、ポンプ18は、負圧となっているタンク100の内部から空気を適切に吸い出すことができないおそれがある。
【0132】
これを踏まえ、ポンプ18を動作させた後、消火制御部44は、ポンプ18の運転状態が安定しているか否かを判定する(S80)。例えば、消火制御部44は、ポンプ18の運転開始時点から、運転状態が安定するまでにかかる所定時間が経過した場合、ポンプ18の運転状態が安定していると判定してもよい。なお、ポンプ18の運転状態が安定しているかを判定する具体的な方法は、例示した態様に限らず、ポンプ18の運転状態が安定していることを適切に判定可能な任意の方法を用いてもよい。
【0133】
ポンプ18の運転状態が安定していないと判定した場合(S80におけるNO)、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S81)、一連の処理を終了する。この場合、コンテナ12の内部の空気がタンク100に吸引されるが、タンク100とポンプ18との間の流路が遮断されているため、タンク100に吸引された空気はタンク100の内部に保持される。
【0134】
ポンプ18の運転状態が安定していると判定した場合(S80におけるYES)、消火制御部44は、排気バルブ52を開状態にさせ(S82)、一連の処理を終了する。これにより、タンク100がポンプ18と連通することになるため、タンク100に吸引された空気は、ポンプ18によって吸い出され、排気口32から排出される。
【0135】
また、ポンプ18は、タンク100を通じてコンテナ12の内部の空気も吸い出す。タンク100による吸引とポンプ18による吸い出しとの両方によって、コンテナ12の内部の空気が減少するため、コンテナ12の内部の酸素濃度を、より確実に低下させることができる。
【0136】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下となると、コンテナ12の内部の酸素濃度が、火災が適切に消火可能な程度にまで低下されるため、コンテナ12の内部の火災が消火されることになる。
【0137】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下である場合(S77におけるYES)、消火制御部44は、中間バルブ104を閉状態にさせる(S83)。そして、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S84)、ポンプ18を停止させ(S85)、一連の処理を終了する。つまり、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下で維持され、コンテナ12の内部の状態が、火災が消火された状態で適切に維持されることになる。
【0138】
以上のように、第6実施形態の消火システム1Eの消火制御部44は、火災が検知されていない通常時に、ポンプ18によってタンク100の内部を負圧にする。そして、第6実施形態の消火システム1Eの消火制御部44は、火災が検知されると、予め負圧されたタンク100によってコンテナ12の内部の空気を吸引させ、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させて火災を消火する。
【0139】
予め負圧とされたタンク100による空気の吸引は、ポンプ18による空気の吸い出しと比べ、コンテナ12の内部の空気、換言すると、コンテナ12の内部の酸素濃度を、早期に減少させることができる。
【0140】
このため、第6実施形態の消火システム1Eでは、コンテナ12の内部の酸素濃度をより早期に低下させることができる。その結果、第6実施形態の消火システム1Eでは、コンテナ12の内部の火災を、より早期に消火することが可能となる。
【0141】
また、第6実施形態の消火システム1Eの消火制御部44は、第1実施形態と同様に、コンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。このため、第6実施形態の消火システム1Eでは、第1実施形態と同様に、消火後に消火剤や水を除去する必要がなく、火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることが可能となる。
【0142】
なお、第6実施形態の消火システム1Eに、第3実施形態で示したフィルタ60を設けてもよい。その場合、フィルタ60は、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間よりも、排気流路16におけるタンク100よりも排気口32側に設けることが好ましい。仮に、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間にフィルタ60を設けた場合、タンク100がコンテナ12の内部の空気を吸引する際の吸引力が、フィルタ60の圧損によって低下するおそれがある。しかし、排気流路16におけるタンク100よりも排気口32側にフィルタ60を設けることで、タンク100がコンテナ12の内部の空気を吸引する際の吸引力の低下を回避することができる。
【0143】
(第7実施形態)
図12は、第7実施形態に係る消火システム1Fの構成を示すブロック図である。第7実施形態の消火システム1Fは、第4実施形態の消火システム1Cと第6実施形態の消火システム1Eとを組み合わせたものに大凡相当する。さらに、第7実施形態の消火システム1Fは、副流路120および補助バルブ122を有し、消火制御部44の具体的な制御内容に関して第4実施形態の消火システム1Cおよび第6実施形態の消火システム1Eと異なる。その他の構成要素については、第4実施形態の消火システム1Cおよび第6実施形態の消火システム1Eと同様の構成となっている。ここでは、第4実施形態および第6実施形態と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について詳述する。
【0144】
第7実施形態の消火システム1Fにおいて、給気流路70は、第2連通孔74を通じてコンテナ12の内部の空間に連通している。給気流路70は、コンテナ12の外部の空気を取得可能な取得口76を有する。給気バルブ72は、給気流路70に設けられる。給気バルブ72は、給気流路70を開閉可能な構成となっている。
【0145】
タンク100は、排気流路16におけるコンテナ12とポンプ18との間の部分に設けられる。タンク100は、内部に空間を有する。
【0146】
中間バルブ104は、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間の部分に設けられる。中間バルブ104は、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間の流路を開閉可能な構成となっている。
【0147】
排気バルブ52は、排気流路16におけるタンク100とポンプ18との間の部分に設けられる。排気バルブ52は、排気流路16におけるタンク100とポンプ18との間の流路を開閉可能な構成となっている。なお、第7実施形態において、排気バルブ52は省略されてもよい。
【0148】
副流路120は、例えば、管状に形成されている。副流路120は、副流路120の内部を空気が流通可能な構成となっている。副流路120の2つの端部のうち一方の端部は、排気流路16におけるコンテナ12と中間バルブ104との間の部分に連通している。副流路120の2つの端部のうち他方の端部は、排気流路16におけるタンク100とポンプ18との間の部分に連通している。より詳細には、副流路120の2つの端部のうち他方の端部は、排気流路16における排気バルブ52とポンプ18との間の部分に連通している。つまり、副流路120は、中間バルブ104、タンク100および排気バルブ52を迂回するように、排気流路16に接続されている。
【0149】
補助バルブ122は、副流路120に設けられる。補助バルブ122は、副流路120を開閉可能な構成となっている。
【0150】
第7実施形態の消火制御部44は、火災が検知されていない場合、給気バルブ72を開状態にさせ、補助バルブ122を開状態にさせ、中間バルブ104を閉状態にさせ、排気バルブ52を開状態にさせ、ポンプ18を動作させる。なお、排気バルブ52を省略する態様では、消火制御部44は、火災が検知されていない場合、給気バルブ72を開状態にさせ、補助バルブ122を開状態にさせ、中間バルブ104を閉状態にさせ、ポンプ18を動作させる。そうすることで、消火制御部44は、取得口76から取得される空気を電池10の周囲に流動させるとともに、タンク100の内部を負圧にする。つまり、消火制御部44は、電池10を空冷するとともに、火災が検知される前に予めタンク100の内部を負圧にしておく。
【0151】
第7実施形態の消火制御部44は、火災が検知された場合、給気バルブ72を閉状態にさせ、補助バルブ122を閉状態にさせ、中間バルブ104を開状態にさせる。それにより、消火制御部44は、コンテナ12の内部の空気をタンク100に吸引させ、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。
【0152】
図13は、第7実施形態の消火制御部44の動作の流れを説明するフローチャートである。消火制御部44は、所定の周期で訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに、図13の一連の処理を繰り返し実行する。
【0153】
所定の割込みタイミングが到来すると、消火制御部44は、火災検知センサ14により火災が検知されたか否かを判定する(S90)。
【0154】
火災が検知されていない場合(S90におけるNO)、消火制御部44は、給気バルブ72を開状態にさせ(S91)、補助バルブ122を開状態にさせ(S92)、中間バルブ104を閉状態にさせる(S93)。これにより、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間の流路が遮断されるとともに、取得口76から排気口32までの流路が、副流路120を通じて実質的に連通することになる。
【0155】
消火制御部44は、この状態においてポンプ18を動作させる(S94)。これにより、コンテナ12の外部の空気が、取得口76を通じて取得される。取得された空気は、給気流路70、コンテナ12、排気流路16のうちコンテナ12と中間バルブ104との間の流路、副流路120、排気流路16のうち排気バルブ52と排気口32との間の流路、排気口32の順に流通する。そうすると、取得口76から排気口32までのまでの空気の流通経路の途中に存在する電池10が、取得口76を通じて取得された空気によって空冷される。
【0156】
次に、消火制御部44は、気圧センサ102の検出結果を取得し、タンク100の内部の気圧が所定気圧以下であるか否かを判定する(S95)。ここでの所定気圧は、例えば、大気圧の1000分の1に設定されるが、火災が適切に消火可能な程度に酸素濃度が低くなる任意の気圧に設定されてもよい。また、ここでの所定気圧は、タンク100の容積を考慮して設定されてもよい。
【0157】
タンク100の内部の気圧が所定気圧以下ではない場合(S95におけるNO)、消火制御部44は、排気バルブ52を開状態にさせ(S96)、一連の処理を終了する。つまり、タンク100の内部の気圧が所定気圧以下となるまで、ポンプ18によって、タンク100の内部の空気が吸い出される。これにより、タンク100の内部の空間が所定気圧以下の負圧となる。
【0158】
タンク100の内部の気圧が所定気圧以下である場合(S95におけるYES)、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S97)、一連の処理を終了する。これにより、火災が検知されていない通常時において、タンク100の内部の気圧が予め負圧で維持されることになる。
【0159】
火災が検知された場合(S90におけるYES)、消火制御部44は、まず、給気バルブ72を閉状態にさせ(S98)、補助バルブ122を閉状態にさせる(S99)。これにより、給気流路70が遮断され、取得口76を通じた空気の取得がされないようになるとともに、副流路120が遮断される。つまり、電池10の空冷が中断される。
【0160】
次に、消火制御部44は、気圧センサ50の検出結果を取得し、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下であるか否かを判定する(S100)。ここでの所定気圧は、例えば、大気圧の1000分の1に設定されるが、火災が適切に消火可能な程度に酸素濃度が低くなる任意の気圧に設定されてもよい。
【0161】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下ではない場合(S100におけるNO)、消火制御部44は、中間バルブ104を開状態にさせる(S101)。ここで、タンク100の内部の気圧が負圧となっているため、コンテナ12の内部の空気は、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間の流路を通じて、タンク100の内部の空間に吸引される。そうすると、コンテナ12の内部の酸素濃度が低下する。そして、コンテナ12の内部の酸素濃度が、火災が適切に消火可能な程度にまで低下されると、コンテナ12の内部の火災が消火されることになる。
【0162】
中間バルブ104を開状態にさせた後、消火制御部44は、ポンプ18を動作させる(S102)。なお、火災が検知されていない通常時に、空冷のためにポンプ18が動作しているため、火災が検知されて中間バルブ104が開状態にされたときには、ポンプ18の動作が継続されることになる。
【0163】
消火制御部44は、ポンプ18の運転状態が安定しているか否かを判定する(S103)。なお、通常時においてもポンプ18が動作していることを踏まえると、中間バルブ104が開状態にされたときには、基本的には、ポンプ18の運転が安定していると想定される。ステップS103は、念のためポンプ18の運転状態が安定しているかを確認するものである。
【0164】
ポンプ18の運転状態が安定していないと判定した場合(S103におけるNO)、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S104)、一連の処理を終了する。この場合、コンテナ12の内部の空気がタンク100に吸引されるが、タンク100とポンプ18との間の流路が遮断されているため、タンク100に吸引された空気はタンク100の内部に保持される。
【0165】
ポンプ18の運転状態が安定していると判定した場合(S103におけるYES)、消火制御部44は、排気バルブ52を開状態にさせ(S105)、一連の処理を終了する。これにより、タンク100がポンプ18と連通することになるため、タンク100に吸引された空気は、ポンプ18によって吸い出され、排気口32から排出される。
【0166】
また、ポンプ18は、タンク100を通じてコンテナ12の内部の空気も吸い出す。タンク100による吸引とポンプ18による吸い出しとの両方によって、コンテナ12の内部の空気が減少するため、コンテナ12の内部の酸素濃度を、より確実に低下させることができる。
【0167】
なお、ステップS103の処理は省略されてもよい。その場合、ポンプ18の動作(S102)後、排気バルブ52を開状態にさせる(S105)。
【0168】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下となると、コンテナ12の内部の酸素濃度が、火災が適切に消火可能な程度にまで低下されるため、コンテナ12の内部の火災が消火されることになる。
【0169】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下である場合(S100におけるYES)、消火制御部44は、中間バルブ104を閉状態にさせる(S106)。そして、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S107)、ポンプ18を停止させ(S108)、一連の処理を終了する。つまり、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下で維持され、コンテナ12の内部の状態が、火災が消火された状態で適切に維持されることになる。
【0170】
以上のように、第7実施形態の消火システム1Fの消火制御部44は、火災が検知されていない通常時に、ポンプ18によってタンク100の内部を負圧にする。そして、第7実施形態の消火システム1Fの消火制御部44は、火災が検知されると、予め負圧されたタンク100によってコンテナ12の内部の空気を吸引させ、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させて火災を消火する。
【0171】
予め負圧とされたタンク100による空気の吸引は、ポンプ18による空気の吸い出しと比べ、コンテナ12の内部の空気、換言すると、コンテナ12の内部の酸素濃度を、早期に減少させることができる。
【0172】
このため、第7実施形態の消火システム1Fでは、コンテナ12の内部の酸素濃度をより早期に低下させることができる。その結果、第7実施形態の消火システム1Fでは、コンテナ12の内部の火災を、より早期に消火することが可能となる。
【0173】
また、第7実施形態の消火システム1Fの消火制御部44は、火災が検知されていない場合には、ポンプ18を動作させて電池10を空冷する。さらに、第7実施形態の消火システム1Fの消火制御部44は、火災が検知された場合には、電池10の空冷を中断し、ポンプ18により予め負圧とされたタンク100による吸引によって、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させて火災を消火する。つまり、第7実施形態の消火システム1Fでは、ポンプ18を、タンク100を負圧にすることと電池10の空冷とで兼用している。
【0174】
このため、第7実施形態の消火システム1Fでは、火災の消火のためだけでなく、電池10の空冷のためにもポンプ18を有効活用することができ、ポンプ18の存在意義を向上させることができる。
【0175】
また、第7実施形態の消火システム1Fでは、火災が発生していない通常時において電池10を空冷するため、電池10が発火することを抑制することができ、コンテナ12の内部の火災を未然に防止することができる。
【0176】
また、第7実施形態の消火システム1Fの消火制御部44は、第1実施形態と同様に、コンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。このため、第7実施形態の消火システム1Fでは、第1実施形態と同様に、消火後に消火剤や水を除去する必要がなく、火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることが可能となる。
【0177】
(第8実施形態)
図14は、第8実施形態に係る消火システム1Gの構成を示すブロック図である。第8実施形態の消火システム1Gは、第5実施形態の消火システム1Dと第6実施形態の消火システム1Eとを組み合わせたものに大凡相当する。さらに、第8実施形態の消火システム1Gは、消火制御部44の具体的な制御内容に関して第5実施形態の消火システム1Dおよび第6実施形態の消火システム1Eと異なる。その他の構成要素については、第5実施形態の消火システム1Dおよび第6実施形態の消火システム1Eと同様の構成となっている。ここでは、第5実施形態および第6実施形態と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について詳述する。なお、第8実施形態の消火システム1Gは、第7実施形態の消火システム1Fの変形例である。
【0178】
第8実施形態の消火システム1Gにおいて、タンク100は、排気流路16におけるコンテナ12とポンプ18との間の部分に設けられる。タンク100は、内部に空間を有する。
【0179】
中間バルブ104は、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間の部分に設けられる。中間バルブ104は、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間の流路を開閉可能な構成となっている。
【0180】
排気バルブ52は、排気流路16におけるコンテナ12とポンプ18との間の部分に設けられる。排気バルブ52は、排気流路16におけるコンテナ12とポンプ18との間の流路を開閉可能な構成となっている。なお、第8実施形態において、排気バルブ52は省略されてもよい。
【0181】
吸気流路80は、排気流路16におけるタンク100とポンプ18との間の部分に連通している。より詳細には、吸気流路80は、排気流路16における排気バルブ52とポンプ18との間の部分に連通している。吸気流路80は、コンテナ12の外部の空気を吸気流路80の内部に取得可能な吸気口90を有する。吸気バルブ82は、吸気流路80に設けられる。吸気バルブ82は、吸気流路80を開閉可能な構成となっている。
【0182】
供給流路86は、排気流路16におけるポンプ18と排気口32との間の部分に連通している。供給流路86における排気流路16とは反対側の端部は、空冷対象装置84に接続されている。供給流路86は、排気流路16から送入された空気を空冷対象装置84に供給可能な構成となっている。
【0183】
切替バルブ88は、供給流路86が排気流路16に接続される部分に設けられる。切替バルブ88は、ポンプ18から空冷対象装置84に向かう流れを許可する第1切替状態と、ポンプ18から排気口32に向かう流れを許可する第2切替状態とを切替可能な構成となっている。
【0184】
第8実施形態の消火制御部44は、火災が検知されていない場合、切替バルブ88を第1切替状態にさせ、中間バルブ104を閉状態にさせ、吸気バルブ82を開状態にさせ、排気バルブ52を開状態にさせ、ポンプ18を動作させる。なお、排気バルブ52を省略する態様では、消火制御部44は、火災が検知されていない場合、切替バルブ88を第1切替状態にさせ、中間バルブ104を閉状態にさせ、吸気バルブ82を開状態にさせ、ポンプ18を動作させる。そうすることで、消火制御部44は、吸気口90から取得される空気を空冷対象装置84に流動させるとともに、タンク100の内部を負圧にする。つまり、消火制御部44は、空冷対象装置84を空冷するとともに、火災が検知される前に予めタンク100の内部を負圧にしておく。
【0185】
第8実施形態の消火制御部44は、火災が検知された場合、切替バルブ88を第2切替状態にさせ、中間バルブ104を開状態にさせる。そうすることで、消火制御部44は、コンテナ12の内部の空気をタンク100に吸引させ、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。
【0186】
図15は、第8実施形態の消火制御部44の動作の流れを説明するフローチャートである。消火制御部44は、所定の周期で訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに、図15の一連の処理を繰り返し実行する。
【0187】
所定の割込みタイミングが到来すると、消火制御部44は、火災検知センサ14により火災が検知されたか否かを判定する(S120)。
【0188】
火災が検知されていない場合(S120におけるNO)、消火制御部44は、切替バルブ88を第1切替状態にさせる(S121)。これにより、ポンプ18から空冷対象装置84に向かう流れが許可される。
【0189】
次に、消火制御部44は、中間バルブ104を閉状態にさせ(S122)、吸気バルブ82を開状態にさせる(S123)。これにより、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間の流路が遮断されるとともに、吸気口90から空冷対象装置84までの流路が実質的に連通することになる。
【0190】
消火制御部44は、この状態においてポンプ18を動作させる(S124)。これにより、コンテナ12の外部の空気が、吸気口90を通じて取得される。取得された空気は、給気流路70、排気流路16のうち排気バルブ52と切替バルブ88との間の流路、供給流路86、空冷対象装置84の順に流通する。そうすると、空冷対象装置84が、吸気口90を通じて取得された空気によって空冷される。
【0191】
次に、消火制御部44は、気圧センサ102の検出結果を取得し、タンク100の内部の気圧が所定気圧以下であるか否かを判定する(S125)。ここでの所定気圧は、例えば、大気圧の1000分の1に設定されるが、火災が適切に消火可能な程度に酸素濃度が低くなる任意の気圧に設定されてもよい。また、ここでの所定気圧は、タンク100の容積を考慮して設定されてもよい。
【0192】
タンク100の内部の気圧が所定気圧以下ではない場合(S125におけるNO)、消火制御部44は、排気バルブ52を開状態にさせ(S126)、一連の処理を終了する。つまり、タンク100の内部の気圧が所定気圧以下となるまで、ポンプ18によって、タンク100の内部の空気が吸い出される。これにより、タンク100の内部の空間が所定気圧以下の負圧となる。
【0193】
タンク100の内部の気圧が所定気圧以下である場合(S125におけるYES)、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S127)、一連の処理を終了する。これにより、火災が検知されていない通常時において、タンク100の内部の気圧が予め負圧で維持されることになる。
【0194】
火災が検知された場合(S120におけるYES)、消火制御部44は、まず、切替バルブ88を第2切替状態にさせる(S128)。これにより、ポンプ18から排気口32に向かう流れが許可される。
【0195】
次に、消火制御部44は、吸気バルブ82を閉状態にさせる(S129)。これにより、吸気流路80が遮断され、吸気口90を通じた空気の取得がされないようになる。つまり、空冷対象装置84の空冷が中断される。
【0196】
次に、消火制御部44は、気圧センサ50の検出結果を取得し、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下であるか否かを判定する(S130)。ここでの所定気圧は、例えば、大気圧の1000分の1に設定されるが、火災が適切に消火可能な程度に酸素濃度が低くなる任意の気圧に設定されてもよい。
【0197】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下ではない場合(S130におけるNO)、消火制御部44は、中間バルブ104を開状態にさせる(S131)。ここで、タンク100の内部の気圧が負圧となっているため、コンテナ12の内部の空気は、排気流路16におけるコンテナ12とタンク100との間の流路を通じて、タンク100の内部の空間に吸引される。そうすると、コンテナ12の内部の酸素濃度が低下する。そして、コンテナ12の内部の酸素濃度が、火災が適切に消火可能な程度にまで低下されると、コンテナ12の内部の火災が消火されることになる。
【0198】
中間バルブ104を開状態にさせた後、消火制御部44は、ポンプ18を動作させる(S132)。なお、火災が検知されていない通常時に、空冷のためにポンプ18が動作しているため、火災が検知されて中間バルブ104が開状態にされたときには、ポンプ18の動作が継続されることになる。
【0199】
消火制御部44は、ポンプ18の運転状態が安定しているか否かを判定する(S133)。なお、通常時においてもポンプ18が動作していることを踏まえると、中間バルブ104が開状態にされたときには、基本的には、ポンプ18の運転が安定していると想定される。ステップS133は、念のためポンプ18の運転状態が安定しているかを確認するものである。
【0200】
ポンプ18の運転状態が安定していないと判定した場合(S133におけるNO)、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S134)、一連の処理を終了する。この場合、コンテナ12の内部の空気がタンク100に吸引されるが、タンク100とポンプ18との間の流路が遮断されているため、タンク100に吸引された空気はタンク100の内部に保持される。
【0201】
ポンプ18の運転状態が安定していると判定した場合(S133におけるYES)、消火制御部44は、排気バルブ52を開状態にさせ(S135)、一連の処理を終了する。これにより、タンク100がポンプ18と連通することになるため、タンク100に吸引された空気は、ポンプ18によって吸い出され、排気口32から排出される。
【0202】
また、ポンプ18は、タンク100を通じてコンテナ12の内部の空気も吸い出す。タンク100による吸引とポンプ18による吸い出しとの両方によって、コンテナ12の内部の空気が減少するため、コンテナ12の内部の酸素濃度を、より確実に低下させることができる。
【0203】
なお、ステップS133の処理は省略されてもよい。その場合、ポンプ18の動作(S132)後、排気バルブ52を開状態にさせる(S135)。
【0204】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下となると、コンテナ12の内部の酸素濃度が、火災が適切に消火可能な程度にまで低下されるため、コンテナ12の内部の火災が消火されることになる。
【0205】
コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下である場合(S130におけるYES)、消火制御部44は、中間バルブ104を閉状態にさせる(S136)。そして、消火制御部44は、排気バルブ52を閉状態にさせ(S137)、ポンプ18を停止させ(S138)、一連の処理を終了する。つまり、コンテナ12の内部の気圧が所定気圧以下で維持され、コンテナ12の内部の状態が、火災が消火された状態で適切に維持されることになる。
【0206】
以上のように、第8実施形態の消火システム1Gの消火制御部44は、火災が検知されていない通常時に、ポンプ18によってタンク100の内部を負圧にする。そして、第8実施形態の消火システム1Gの消火制御部44は、火災が検知されると、予め負圧されたタンク100によってコンテナ12の内部の空気を吸引させ、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させて火災を消火する。
【0207】
予め負圧とされたタンク100による空気の吸引は、ポンプ18による空気の吸い出しと比べ、コンテナ12の内部の空気、換言すると、コンテナ12の内部の酸素濃度を、早期に減少させることができる。
【0208】
このため、第8実施形態の消火システム1Gでは、コンテナ12の内部の酸素濃度をより早期に低下させることができる。その結果、第8実施形態の消火システム1Gでは、コンテナ12の内部の火災を、より早期に消火することが可能となる。
【0209】
また、第8実施形態の消火システム1Gの消火制御部44は、火災が検知されていない場合には、ポンプ18を動作させて空冷対象装置84を空冷する。さらに、第8実施形態の消火システム1Gの消火制御部44は、火災が検知された場合には、空冷対象装置84の空冷を中断し、ポンプ18により予め負圧とされたタンク100による吸引によって、火災が検知される前と比べコンテナ12の内部の酸素濃度を低下させて火災を消火する。つまり、第8実施形態の消火システム1Gでは、ポンプ18を、タンク100を負圧にすることと空冷対象装置84の空冷とで兼用している。
【0210】
このため、第8実施形態の消火システム1Gでは、火災の消火のためだけでなく、空冷対象装置84の空冷のためにもポンプ18を有効活用することができ、ポンプ18の存在意義を向上させることができる。
【0211】
また、第8実施形態の消火システム1Gの消火制御部44は、第1実施形態と同様に、コンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。このため、第8実施形態の消火システム1Gでは、第1実施形態と同様に、消火後に消火剤や水を除去する必要がなく、火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることが可能となる。
【0212】
(第9実施形態)
図16は、第9実施形態に係る消火システム1Hの構成を示すブロック図である。第9実施形態の消火システム1Hは、気水分離器130を有する点に関して第1実施形態の消火システム1と異なる。その他の構成要素については、第1実施形態と同様の構成となっている。ここでは、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について詳述する。
【0213】
ポンプ18は、内部を流通する空気に水分が多く含まれていると、吸引力が低下するおそれがある。そこで、第9実施形態の消火システム1Hでは、気水分離器130を備える。
【0214】
気水分離器130は、排気流路16に設けられる。より詳細には、気水分離器130は、排気流路16におけるポンプ18よりもコンテナ12側の部分に設けられる。
【0215】
気水分離器130は、排気流路16を流通する空気から、排気流路16を流通する空気に含まれる水分を分離可能な構成となっている。換言すると、気水分離器130は、排気流路16を流通する空気から水分を除去可能な構成となっている。
【0216】
第9実施形態の消火システム1Hでは、ポンプ18の動作によって、コンテナ12の内部の空気が排気流路16を通じて排気口32から排出される際、排気流路16を流通する空気に含まれる水分が気水分離器130によって除去される。これにより、水分が除去された空気がポンプ18に供給されることになる。
【0217】
以上のように、第9実施形態の消火システム1Hでは、ポンプ18に供給される空気における水分の含有量を、気水分離器130によって削減することができる。これにより、第9実施形態の消火システム1Hでは、ポンプ18の吸引力が低下することを防止することができる。その結果、第9実施形態の消火システム1Hでは、コンテナ12の内部の空間の空気をポンプ18によってより適切に吸い出すことができ、火災をより適切に消火することができる。
【0218】
また、第9実施形態の消火システム1Hの消火制御部44は、第1実施形態と同様に、コンテナ12の内部の酸素濃度を低下させる。その結果、火災が消火される。このため、第9実施形態の消火システム1Hでは、第1実施形態と同様に、消火後に消火剤や水を除去する必要がなく、火災の消火後において火災前の状態に容易に復旧させることが可能となる。
【0219】
なお、第9実施形態の気水分離器130を、上述の任意の実施形態に適用してもよい。また、タンク100を備える第6~第8実施形態に、第9実施形態の気水分離器130を適用する例では、タンク100に気水分離器130の機能を付加してもよい。
【0220】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0221】
例えば、上記各実施形態の特徴を、適宜組み合わせてもよい。
【0222】
また、上記各実施形態では、コンテナ12の内部の空間の酸素濃度を低下させることで、コンテナ12の内部の火災を消火していた。しかし、コンテナ12の内部の空間の酸素濃度を低下させることに加え、火災を消火する機能を備えた消火剤、あるいは、水をコンテナ12の内部に注入して、コンテナ12の内部の火災を消火してもよい。この態様では、より早期に、かつ、より確実に消火することができる。
【符号の説明】
【0223】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H 消火システム
10 電池
12 コンテナ
14 火災検知センサ
16 排気流路
18 ポンプ
22 制御装置
32 排気口
52 排気バルブ
60 フィルタ
70 給気流路
72 給気バルブ
76 取得口
80 吸気流路
82 吸気バルブ
84 空冷対象装置
86 供給流路
88 切替バルブ
90 吸気口
100 タンク
104 中間バルブ
120 副流路
122 補助バルブ
130 気水分離器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16