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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176291
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】エンジンのエアクリーナ装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/024 20060101AFI20241212BHJP
   F02M 35/04 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F02M35/024 511A
F02M35/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094746
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 和真
(72)【発明者】
【氏名】黒田 惇司
(57)【要約】
【課題】ロアケースから放出される騒音を低減することができるエンジンのエアクリーナ装置を提供すること。
【解決手段】ロアケース31の底面における前後方向中央部に、上方に窪み、かつ、ロアケース31の左右方向に延びる凹部31Hが形成されている。凹部31Hの左右方向中央部に、下方に膨出し、かつ、ロアケース31の前後方向に延びる中央膨出部31Mが配置されている。中央固定部31Gは、中央膨出部31Mの底部に配置されている。ロアケース31の底面における前部に、凹部31Hに対して相対的に下方に膨出し、かつ左右方向に延びる前側膨出部31Jが形成されている。ロアケース31の底面における後部に、凹部31Hに対して相対的に下方に膨出し、かつ左右方向に延びる後側膨出部31Kが形成されている。中央膨出部31Mは、前側膨出部31Jと後側膨出部31Kとにそれぞれ連続している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン本体の上方に配置されたエアクリーナケースと、前記エアクリーナケースの内部に保持されるフィルタエレメントと、を備え、
前記エアクリーナケースは、アッパケースと、前記アッパケースとの間に前記フィルタエレメントを挟み込んだ状態で前記アッパケースの下部に連結されるロアケースと、を有し、
前記ロアケースの外縁部に、前記エンジン本体の上部に固定される外側固定部が設けられ、
前記ロアケースの底面の中央部に、前記エンジン本体の上部に固定される中央固定部が設けられたエンジンのエアクリーナ装置であって、
前記ロアケースの底面における前後方向中央部に、上方に窪み、かつ、前記ロアケースの左右方向に延びる凹部が形成され、
前記凹部の左右方向中央部に、下方に膨出し、かつ、前記ロアケースの前後方向に延びる中央膨出部が配置され、
前記中央固定部は、前記中央膨出部の底部に配置されていることを特徴とするエンジンのエアクリーナ装置。
【請求項2】
前記ロアケースの底面における前部に、前記凹部に対して相対的に下方に膨出し、かつ左右方向に延びる前側膨出部が形成され、
前記ロアケースの底面における後部に、前記凹部に対して相対的に下方に膨出し、かつ左右方向に延びる後側膨出部が形成され、
前記中央膨出部は、前記前側膨出部と前記後側膨出部とにそれぞれ連続していることを特徴とする請求項1に記載のエンジンのエアクリーナ装置。
【請求項3】
前記エンジン本体の上部に、気筒毎の点火コイルが、上方に突出し、かつ左右方向に隣り合って配置され、
前記点火コイルは前記凹部に配置され、
前記中央膨出部は、隣り合う前記点火コイルの間に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジンのエアクリーナ装置。
【請求項4】
前記凹部に、下方に膨出し、かつ、前記中央膨出部と平行に延びる平行膨出部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジンのエアクリーナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのエアクリーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエンジンのエアクリーナ装置として特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、エンジン本体の上方にエアクリーナケースを配置し、エアクリーナケースの外縁部に加えて、エアクリーナケースの底面の中央部をエンジン本体の上部に固定したエアクリーナ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-202635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンジン本体の上部は、点火コイルやブリーザ室等の部品が配置されていることで凹凸形状となっている。そのため、エアクリーナ装置と点火コイル等との干渉を避けながら、エアクリーナ装置を含むエンジンの全体の全高を抑制するために、エアクリーナ装置の底部を上方に窪む凹形状にすることが好ましい。一方、エアクリーナ装置の底部を凹形状にする場合、底部を構成するロアケースが薄型化し、底部の剛性が低下するため、エアクリーナ装置のエアクリーナケースから放射される騒音が大きくなることが考えられる。このため、特許文献1に記載のエアクリーナ装置は、点火コイル等との干渉を回避しながらロアケースから放出される騒音を低減することができるよう、更に改良の余地があった。
【0005】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、ロアケースから放出される騒音を低減することができるエンジンのエアクリーナ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エンジン本体の上方に配置されたエアクリーナケースと、前記エアクリーナケースの内部に保持されるフィルタエレメントと、を備え、前記エアクリーナケースは、アッパケースと、前記アッパケースとの間に前記フィルタエレメントを挟み込んだ状態で前記アッパケースの下部に連結されるロアケースと、を有し、前記ロアケースの外縁部に、前記エンジン本体の上部に固定される外側固定部が設けられ、前記ロアケースの底面の中央部に、前記エンジン本体の上部に固定される中央固定部が設けられたエンジンのエアクリーナ装置であって、前記ロアケースの底面における前後方向中央部に、上方に窪み、かつ、前記ロアケースの左右方向に延びる凹部が形成され、前記凹部の左右方向中央部に、下方に膨出し、かつ、前記ロアケースの前後方向に延びる中央膨出部が配置され、前記中央固定部は、前記中央膨出部の底部に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように上記の本発明によれば、ロアケースから放出される騒音を低減することができるエンジンのエアクリーナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施例に係るエアクリーナ装置を備えるエンジンの平面図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係るエアクリーナ装置を備えるエンジンの左側面図である。
図3図3は、図2に示すエアクリーナ装置のIII-III方向の矢視断面図である。
図4図4は、図3に示すエアクリーナ装置のIV-IV方向の矢視断面図である。
図5図5は、図3に示すエアクリーナ装置のV-V方向の矢視断面図である。
図6図6は、本発明の一実施例に係るエアクリーナ装置の底面を表す斜視図である。
図7図7は、本発明の一実施例に係るエアクリーナ装置の底面を表す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係るエンジンのエアクリーナ装置は、エンジン本体の上方に配置されたエアクリーナケースと、エアクリーナケースの内部に保持されるフィルタエレメントと、を備え、エアクリーナケースは、アッパケースと、アッパケースとの間にフィルタエレメントを挟み込んだ状態でアッパケースの下部に連結されるロアケースと、を有し、ロアケースの外縁部に、エンジン本体の上部に固定される外側固定部が設けられ、ロアケースの底面の中央部に、エンジン本体の上部に固定される中央固定部が設けられたエンジンのエアクリーナ装置であって、ロアケースの底面における前後方向中央部に、上方に窪み、かつ、ロアケースの左右方向に延びる凹部が形成され、凹部の左右方向中央部に、下方に膨出し、かつ、ロアケースの前後方向に延びる中央膨出部が配置され、中央固定部は、中央膨出部の底部に配置されていることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係るエンジンのエアクリーナ装置は、ロアケースから放出される騒音を低減することができる。
【実施例0010】
以下、本発明の一実施例に係るエンジンのエアクリーナ装置について、図面を用いて説明する。図1から図7は、本発明の一実施例に係るエンジンのエアクリーナ装置を示す図である。図1から図7において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態のエンジンのエアクリーナ装置の上下前後左右方向とし、前後方向に対して直交する方向が左右方向、エンジンのエアクリーナ装置の高さ方向が上下方向である。
【0011】
まず、全体構成を説明する。図1図2において、エンジン3は、エンジン本体4と、吸気マニホールド50やエアクリーナ装置30等の各種の部品等とから構成されている。エンジン3は、図示しない車両のエンジンルームに、いわゆる横置きの姿勢で配置されている。横置きとは、エンジン3を、その気筒列方向が車幅方向(左右方向)に一致する姿勢で車両に搭載することをいう。
【0012】
エンジン本体4は、シリンダブロック11と、シリンダブロック11の上部に連結されたシリンダヘッド12と、シリンダヘッド12の上部に連結されたシリンダヘッドカバー13とを備えている。また、エンジン本体4は、シリンダブロック11の下方に、図示しないオイルパンを備えている。
【0013】
シリンダブロック11には図示しない複数の気筒が設けられている。本実施例のエンジン3は、3つの気筒を有する3気筒エンジンから構成されているが、3気筒エンジンに限定されるものではない。気筒には図示しないピストンが収納されており、ピストンは、気筒に対して上下方向に往復運動する。
【0014】
シリンダブロック11の気筒列方向の左端部には図示しない変速機が連結される。シリンダヘッド12には、図示しない複数の吸気ポート、吸気ポートを開閉する複数の吸気バルブ、複数の排気ポートおよび排気ポートを開閉する複数の排気バルブなどが設けられている。
【0015】
エンジン3は、エンジン本体4の他に、エアクリーナ装置30と、吸気マニホールド50とを備えている。
【0016】
エアクリーナ装置30は、上方から見た場合、全体として長方形の箱形に形成されており、シリンダヘッドカバー13の上方に配置されている。エアクリーナ装置30は、図示しない吸気管と連結されており、吸気管から取入れた空気(外気)を濾過する。また、エアクリーナ装置30は、図示しないスロットルボディと、吸気マニホールド50と、エンジン本体4の図示しない吸気ポートとに順次連結されている。エアクリーナ装置30により濾過された空気は、スロットルボディおよび吸気マニホールド50を介して吸気ポートに導入される。
【0017】
吸気マニホールド50は、シリンダヘッド12の後面に連結されている。吸気マニホールド50は、エアクリーナ装置30からスロットルボディを介して導入された空気を気筒毎の吸気ポートに供給する。
【0018】
エアクリーナ装置30の後部の下部には、右方に延びる空気入口管31Aが設けられている。空気入口管31Aの右端部には空気入口31Bが右方を向いて開口している。空気入口管31Aの空気入口31Bには吸気管が接続されている。
【0019】
エアクリーナ装置30の左端部の上部には、左方に延びる空気出口管32Aが設けられている。この空気出口管32Aの左端部には空気出口32Bが左方を向いて開口している。空気出口管32Aの空気出口32Bは、図示しないエアクリーナ出口ホースを介してスロットルボディに接続されている。
【0020】
図2において、エアクリーナ装置30は、エアクリーナケース30Aを備えており、エアクリーナケース30Aは、エンジン本体4の上方に配置されている。エアクリーナケース30Aは、アッパケース32と、アッパケース32との間にフィルタエレメント33を挟み込んだ状態でアッパケース32の下部に連結されるロアケース31と、を有している。
【0021】
ロアケース31とアッパケース32とは、複数のクリップ66を側面に装着することにより、閉じた状態で接合される。空気出口管32Aはアッパケース32に設けられており、空気入口管31Aはロアケース31に設けられている。
【0022】
図4において、エアクリーナ装置30は、フィルタエレメント33を備えている。フィルタエレメント33は、平板状に形成されており、ロアケース31とアッパケース32との接合面30Bに挟まれた状態でエアクリーナケース30Aの内部に保持されている。
【0023】
図6図7において、エアクリーナ装置30のロアケース31の外縁部には、エンジン本体4の上部に固定される前側固定部31C、31Dおよび後側固定部31E、31Fが設けられている。
【0024】
前側固定部31C、31Dおよび後側固定部31E、31Fは、本発明における外側固定部を構成しており、エアクリーナ装置30をエンジン本体4に固定するための固定用脚部として機能する。
【0025】
詳しくは、ロアケース31の前縁部には、左右で一対の前側固定部31C、31Dが設けられている。左側の前側固定部31Cと右側の前側固定部31Dとは、車幅方向に間隔を隔てて設けられている。前側固定部31C、31Dは、ロアケース31の前端から互いに平行に前方に延びている。
【0026】
前側固定部31C、31Dの先端(前端)は、弾性部材からなる防振ブッシュ62を介してエンジン本体4のシリンダヘッドカバー13の上面の前端部にボルト61によって固定されている。
【0027】
ロアケース31の底部の後縁部には、左右で一対の後側固定部31E、31Fが設けられている。左側の後側固定部31Eと右側の後側固定部31Fとは、車幅方向に間隔を隔てて設けられている。
【0028】
後側固定部31E、31Fは、ロアケース31の後端から互いに平行に後方かつ下方に延びている。言い換えれば、後側固定部31E、31Fは、後方の斜め下方に延びている。
【0029】
後側固定部31E、31Fの先端(後端)は、弾性部材からなる防振用のブッシュ63を介して吸気マニホールド50の上部に嵌め込まれている。したがって、後側固定部31E、31Fは、吸気マニホールド50を介してエンジン本体4に固定されている。
【0030】
ロアケース31の底面の中央部には、エンジン本体4の上部に固定される中央固定部31Gが設けられている。中央固定部31Gは、図4に示すように、弾性部材からなる防振用のブッシュ64を介して、エンジン本体4のシリンダヘッドカバー13の上面に嵌め込まれている。
【0031】
シリンダヘッドカバー13の上面には、上方に突出する台座部13Aが形成されており、この台座部13Aに中央固定部31Gが嵌め込まれるようになっている。
【0032】
このようにエアクリーナ装置30は、2つの前側固定部31C、31Dと、2つの後側固定部31E、31Fと、1つの中央固定部31Gと、の5箇所において、エンジン本体4に固定されている。
【0033】
図5に示すように、エンジン本体4の上部には、気筒毎の3つの点火コイル25L、25C、25Rが、上方に突出し、かつ左右方向に隣り合って配置されている。
【0034】
このように、エンジン本体4のシリンダヘッドカバー13の上部は、点火コイル25L、25C、25Rが配置されていることで凹凸形状となっている。そのため、エンジン本体4と点火コイル25L、25C、25Rとの干渉を避けながら、エアクリーナ装置30を含むエンジン3の全体の全高を抑制するために、エアクリーナ装置30の底部を上方に窪む凹形状にすることが好ましい。また、点火コイル25L、25C、25Rとの干渉の回避に限らず、他の理由によりエアクリーナ装置30の底部を上方に窪む凹形状にすることが好ましいことがある。エアクリーナ装置30の底部を凹形状にする場合、底部の薄型化によりエアクリーナケース30Aから放射される騒音が大きくなることが考えられるため、これを防止する必要がある。
【0035】
図4図6図7に示すように、ロアケース31の底面における前後方向中央部には、凹部31Hが形成されており、凹部31Hは、上方に窪み、かつ、ロアケース31の左右方向に延びている。ここで、上方に窪むとは、下方から見たときに奥側(上方)に遠ざかる状態をいう。ロアケース31の後端部には空気入口管31Aが設けられており、この空気入口感31Aは後方かつ下方に膨出している。
【0036】
凹部31Hの左右方向中央部には、中央膨出部31Mが配置されており、この中央膨出部31Mは、下方に膨出し、かつ、ロアケース31の前後方向に延びている。中央固定部31Gは、中央膨出部31Mの底部に配置されている。中央膨出部31Mは、中央固定部31Gがシリンダヘッドカバー13の上面の台座部13Aに嵌め込まれた状態で、台座部13Aにより支持される。
【0037】
ロアケース31の底面における前部には、前側膨出部31Jが形成されており、この前側膨出部31Jは、凹部31Hに対して相対的に下方に膨出し、かつ左右方向に延びている。
【0038】
ロアケース31の底面における後部には、後側膨出部31Kが形成されており、この後側膨出部31Kは、凹部31Hに対して相対的に下方に膨出し、かつ左右方向に延びている。中央膨出部31Mは、前側膨出部31Jと後側膨出部31Kとにそれぞれ連続している。言い換えれば、前側膨出部31Jと後側膨出部31Kとは、中央膨出部31Mによって繋がっている。
【0039】
図5に示すように、エンジン本体4の上部には、気筒毎の3つの点火コイル25L、25C、25Rが、上方に突出し、かつ左右方向に隣り合って配置されている。点火コイル25L、25C、25Rは凹部31Hに配置されている。中央膨出部31Mは、隣り合う点火コイル25C、25Rの間に配置されている。
【0040】
図5図6図7に示すように、凹部31Hには、平行膨出部31Lが形成されており、平行膨出部31Lは、下方に膨出し、かつ、中央膨出部31Mと平行に延びている。平行膨出部31Lは、中央膨出部31Mの左方であって、隣り合う点火コイル25L、25Cの間に配置されている。
【0041】
ここで、中央膨出部31M、前側膨出部31J、後側膨出部31Kおよび平行膨出部31Lは、図4に示すように、ロアケース31とアッパケース32との接合面30Bに平行で、かつ、ロアケース31の底面の後端部を通るように設定された基準線Lよりも下方の部位である。中央膨出部31M、前側膨出部31J、後側膨出部31Kおよび平行膨出部31Lは、補強用のリブとして機能する。
【0042】
以上説明したように、本実施例では、ロアケース31の底面における前後方向中央部に、上方に窪み、かつ、ロアケース31の左右方向に延びる凹部31Hが形成されている。また、凹部31Hの左右方向中央部に、下方に膨出し、かつ、ロアケース31の前後方向に延びる中央膨出部31Mが配置されている。そして、中央固定部31Gは、中央膨出部31Mの底部に配置されている。
【0043】
これにより、ロアケース31は、その底部に凹部31Hを有する分、その深さが浅くなり底部が振動し易くなるが、凹部31Hの左右方向中央部にロアケース31の前後方向に延びる中央膨出部31Mが配置されるため、この中央膨出部31Mによってロアケース31の底部の剛性を高めることができる。
【0044】
そして、ロアケース31の中央部に位置する中央固定部31Gを中央膨出部31Mに配置し、中央固定部31Gをエンジン本体4の上部に固定しているため、ロアケース31の底部の振動を抑制できる。この結果、ロアケース31から放出される騒音を低減することができる。
【0045】
また、本実施例では、ロアケース31の底面における前部に、凹部31Hに対して相対的に下方に膨出し、かつ左右方向に延びる前側膨出部31Jが形成されている。また、ロアケース31の底面における後部に、凹部31Hに対して相対的に下方に膨出し、かつ左右方向に延びる後側膨出部31Kが形成されている。そして、中央膨出部31Mは、前側膨出部31Jと後側膨出部31Kとにそれぞれ連続している。
【0046】
これにより、ロアケース31の底面の前部を補強する前側膨出部31Jと、ロアケース31の底面の後部を補強する後側膨出部31Kとが、ロアケース31の底面の中央部を補強する中央膨出部31Mによって接続されるので、ロアケース31の底部の剛性を更に高めることができ、振動を更に低減できる。
【0047】
また、本実施例では、エンジン本体4の上部に、気筒毎の点火コイル25L、25C、25Rが、上方に突出し、かつ左右方向に隣り合って配置され、点火コイル25L、25C、25Rは凹部31Hに配置されている。また、中央膨出部31Mは、隣り合う点火コイル25C、25Rの間に配置されている。
【0048】
これにより、ロアケース31の底面において、凹部31Hに収納されるように点火コイル25L、25C、25Rが配置されるので、ロアケース31と点火コイル25L、25C、25Rとの干渉を避けることができる。また、ロアケース31と点火コイル25L、25C、25Rとの干渉を避けつつ、ロアケース31の底面に中央膨出部31Mを配置でき、ロアケース31から放射される騒音を低減できる。
【0049】
また、本実施例では、凹部31Hに、下方に膨出し、かつ、中央膨出部31Mと平行に延びる平行膨出部31Lが形成されている。
【0050】
これにより、中央膨出部31Mと平行に延びる平行膨出部31Lにより、ロアケース31の底部の剛性をさらに向上させることができ、ロアケース31から放射される騒音を低減できる。
【0051】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0052】
3...エンジン、4...エンジン本体、13...シリンダヘッドカバー(エンジン本体)、25L,25C,25R...点火コイル、30...エアクリーナ装置、30A...エアクリーナケース、31...ロアケース、31C,31D...前側固定部(外側固定部)、31E,31F...後側固定部(外側固定部)、31G...中央固定部、31H...凹部、31J...前側膨出部、31K...後側膨出部、31L...平行膨出部、31M...中央膨出部、32...アッパケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7