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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176292
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】結束装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/22 20060101AFI20241212BHJP
   B65B 27/10 20060101ALI20241212BHJP
   B65B 13/32 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B65B13/22
B65B27/10 Z
B65B13/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094747
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100166833
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 直子
(72)【発明者】
【氏名】岡部 一也
(72)【発明者】
【氏名】今村 仁
(72)【発明者】
【氏名】栗原 弘樹
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA50
3E052BA03
3E052CA20
3E052CB03
3E052CB05
3E052CB07
3E052DB02
3E052EA01
3E052FA18
3E052GA18
3E052HA02
3E052KA16
3E052LA10
3E052LA14
3E052LA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の物品からなる物品群を結束する結束装置であって、物品群の外形状や物品群を構成する物品の数の変化に柔軟に対応可能な結束装置を提供する。
【解決手段】結束装置100は、搬送手段10と、上側サーボモータ24を有する上側結束帯送り手段23と、下側サーボモータ34を有する下側結束帯送り手段33と、結束位置Nに搬送される物品群XA1を結束する結束手段50と、制御手段60とを備え、制御手段は、物品群毎に上側サーボモータに対して第1トルク指令を出力して上側結束帯送り手段から第1長さの上側結束帯25を送り出し、下側サーボモータに対して第2トルク指令を出力して下側結束帯送り手段から第1長さより短い第2長さの下側結束帯35を送り出し、結束手段による結束期間において下側サーボモータに対して第2トルク指令よりも低いトルクを生じさせる第3トルク指令を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品からなる物品群を搬送路上において移動させる搬送手段と、
第1サーボモータを有し、前記搬送路の途中に設けられる結束位置に第1結束帯を供給する第1結束帯送り手段と、
第2サーボモータを有し、前記結束位置に第2結束帯を供給する第2結束帯送り手段と、
前記結束位置に搬送される前記物品群の周囲に前記第1結束帯および前記第2結束帯を巻き付けて、巻き付けの余長分をシールして該物品群を結束する結束手段と、
制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記物品群毎に、
前記第1サーボモータに対して第1トルク指令を含む第1制御指令を出力して前記第1結束帯送り手段から第1長さの前記第1結束帯を送り出し、
前記第2サーボモータに対して第2トルク指令を含む第2制御指令を出力して前記第2結束帯送り手段から前記第1長さより短い第2長さの前記第2結束帯を送り出し、
前記結束手段による前記シールの開始から完了までの期間(以下、「結束期間」という。)において前記第2サーボモータに対してトルクを低下させる指令を出力する制御を行う、
ことを特徴とする結束装置。
【請求項2】
複数の物品からなる物品群を搬送路上において移動させる搬送手段と、
調整手段を有し、前記搬送路の途中に設けられる結束位置に第1結束帯を供給する第1結束帯送り手段と、
サーボモータを有し、前記結束位置に第2結束帯を供給する第2結束帯送り手段と、
前記結束位置に搬送される前記物品群の周囲に前記第1結束帯および前記第2結束帯を巻き付けて、巻き付けの余長分をシールして該物品群を結束する結束手段と、
制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記物品群毎に、
前記サーボモータに対してトルク指令を含む制御指令を出力して前記第2結束帯送り手段から前記第2結束帯を送り出し、
前記結束手段による前記シールの開始から完了までの期間(以下、「結束期間」という。)において前記サーボモータに対してトルクを低下させる指令を出力する制御を行う、
ことを特徴とする結束装置。
【請求項3】
前記第2長さは、一組の前記物品群の結束周長の2分の1より短い長さである、
ことを特徴とする請求項1に記載の結束装置。
【請求項4】
前記結束期間において、前記物品群の周囲に巻き付いた前記第1結束帯および前記第2結束帯に前記結束手段によるしごきの張力が生じるように構成され、
前記制御手段は、前記トルクを低下させる指令として、前記張力よりも弱いトルクを生じさせる指令を出力する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の結束装置。
【請求項5】
少なくとも前記結束期間において前記第1結束帯の張力を調整する調整手段を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束装置に関し、特に、物品を熱融着可能な結束帯(熱融着性プラスチックフィルム等)により自動的に連続して結束する結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を熱融着可能な結束帯により自動的に連続して結束する結束装置において、結束位置内の所定の位置に物品を正確に位置決めすることにより、物品に巻き付ける結束帯のテンションを一定にして、物品の結束状態をタイトに安定させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4366214号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、位置決め手段によって各物品が常に結束位置内の一定の位置に位置決めされることになるため、結束帯の締め付け具合の調整が困難であった。具体的に、個包装され、比較的柔軟性のある棒状の物品(例えば、魚肉ソーセージ等)が複数集積された物品群を一纏めに結束帯で結束する場合、物品群としては同じ物品数(例えば、5本)であっても物品の集積状態によっては物品群の外形状(物品の長さ方向に交差する方向の断面形状)、すなわち結束帯の巻き付けの形状が必ずしも一定形状とならず、例えば、略菱形、略三角状、略五角形状などとばらつく場合がある。あるいは結束ライン中に、1組の物品群を構成する物品の数が変わる場合(例えば、5本の物品群と4本の物品群が混在するなどの場合)もある。これらいずれの場合も、物品群毎に必要な結束帯の巻き付け長さ(以下、胴周長)が変化してしまう。
【0005】
従来の結束装置では、このように物品群毎に外形状や数のばらつきによって物品群の胴周長が変化した場合に柔軟な対応ができず、結束が緩く物品が脱落する、あるいは結束帯の締め付け過ぎによる物品の品質劣化、または熱融着不良により結束不良が生じる問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、複数の物品からなる物品群を結束する結束装置であって、物品群の外形状や物品群を構成する物品の数の変化に柔軟に対応可能であり、確実な結束が可能な結束装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の物品からなる物品群を搬送路上において移動させる搬送手段と、第1サーボモータを有し、前記搬送路の途中に設けられる結束位置に第1結束帯を供給する第1結束帯送り手段と、第2サーボモータを有し、前記結束位置に第2結束帯を供給する第2結束帯送り手段と、前記結束位置に搬送される前記物品群の周囲に前記第1結束帯および前記第2結束帯を巻き付けて、巻き付けの余長分をシールして該物品群を結束する結束手段と、制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記物品群毎に、前記第1サーボモータに対して第1トルク指令を含む第1制御指令を出力して前記第1結束帯送り手段から第1長さの前記第1結束帯を送り出し、前記第2サーボモータに対して第2トルク指令を含む第2制御指令を出力して前記第2結束帯送り手段から前記第1長さより短い第2長さの前記第2結束帯を送り出し、前記結束手段による前記シールの開始から完了までの期間(以下、「結束期間」という。)において前記第2サーボモータに対してトルクを低下させる指令を出力する制御を行う、ことを特徴とする結束装置に係るものである。
【0008】
また、本発明は、複数の物品からなる物品群を搬送路上において移動させる搬送手段と、調整手段を有し、前記搬送路の途中に設けられる結束位置に第1結束帯を供給する第1結束帯送り手段と、サーボモータを有し、前記結束位置に第2結束帯を供給する第2結束帯送り手段と、前記結束位置に搬送される前記物品群の周囲に前記第1結束帯および前記第2結束帯を巻き付けて、巻き付けの余長分をシールして該物品群を結束する結束手段と、制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記物品群毎に、前記サーボモータに対してトルク指令を含む制御指令を出力して前記第2結束帯送り手段から前記第2結束帯を送り出し、前記結束手段による前記シールの開始から完了までの期間(以下、「結束期間」という。)において前記サーボモータに対してトルクを低下させる指令を出力する制御を行う、ことを特徴とする結束装置に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の物品からなる物品群を結束する結束装置であって、物品群の外形状や物品群を構成する物品の数の変化に柔軟に対応可能であり、確実な結束が可能な結束装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る結束装置の全体構成を説明する正面概要図である。
図2】第1実施形態に係る結束装置の搬送路を説明する平面概要図である。
図3】第1実施形態に係る結束装置の結束帯送り手段を説明する図であり(A)正面概要図、(B)正面概要図、(C)平面概要図である。
図4】第1実施形態に係る結束装置の結束手段を説明する正面概要図である。
図5】第1実施形態に係る結束装置の調整手段を説明する正面概要図である。
図6】第1実施形態に係る結束装置の動作を説明するタイミングチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係る結束装置の全体構成を説明する正面概要図である。
図8】第2実施形態に係る結束装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚み等を適宜誇張して表現する。以下、本実施形態の説明における方向の定義として、物品群XA1が上流から下流(図1では左から右)に移動する第1方向を搬送方向T、搬送方向Tと直交する第2方向を搬送幅方向W、搬送方向Tと搬送幅方向Wに直交する第3方向を搬送高さ方向Hとする。
【0012】
<第1実施形態>
まず本発明の第1実施形態に係る結束装置100について説明する。
<結束装置>
図1は、本実施形態(第1実施形態)に係る結束装置100の一例を示す正面概要図である。本実施形態の結束装置100は、物品群XA1を搬送する搬送手段10と、第1結束帯25を供給する第1結束帯供給装置20と、第2結束帯35を供給する第2結束帯供給装置30と、調整手段40と、上側結束帯25および下側結束帯35により物品群XA1を結束する結束手段50と、制御手段60を有する。
【0013】
図2は、搬送手段10を説明する上面(平面)概要図であり、図3は、第1結束帯送り手段23および第2結束帯送り手段33を説明する正面概要図であり、図4は、結束手段50について説明する正面概要図であり、図5は、調整手段40について説明する正面概要図である。第1結束帯送り手段23は、第1サーボモータ24を有し、第2結束帯送り手段33は第2サーボモータ34を有する。
【0014】
ここで、第1結束帯供給装置20(第1結束帯送り手段23および第1サーボモータ24)は、搬送手段10を挟んで一方側(この例では搬送高さ方向Hの上側)に設けられ、第2結束帯供給装置30(第2結束帯送り手段33および第2サーボモータ34)は、搬送手段10を挟んで他方側(この例では搬送高さ方向Hの下側)に設けられる。以下の説明において、第1結束帯供給装置20、第1結束帯送り手段23、第1サーボモータ24および第1結束帯25をそれぞれ、上側結束帯供給装置20、上側結束帯送り手段23 、上側サーボモータ24および上側結束帯25と称する。また、第2結束帯供給装置30、第2結束帯送り手段33、第2サーボモータ34および第2結束帯35をそれぞれ、下側結束帯供給装置30、下側結束帯送り手段33、下側サーボモータ34および下側結束帯35と称する。
【0015】
図1および図2を参照して、搬送手段10は、搬送路11上に載置した複数の物品XA1´からなる物品群XA1を搬送路11上において移動させる例えばフィンガーコンベアである。搬送路11は、図2に示すように所定の間隔をおいて互いに平行に、かつ各々が水平に設けられる一対の滑り板11Aによって構成され、この一対の滑り板11Aの上部に物品群XA1が所定の間隔ごとに載置される。搬送手段10は、図1に示すように、各滑り板11Aの長手方向の両端部の下方にそれぞれ回転可能に設けられる一対のスプロケット16と、両スプロケット16間に、搬送幅方向Wに離間して掛着され、各滑り板11Aに平行な長円軌道に沿って回転駆動する2本のチェーン13と、何れか一方のスプロケット16を回転駆動させるモータ(図示せず)と、2本のチェーン13にそれぞれ所定の間隔ごとに取り付けられる複数の搬送フィンガー14(前フィンガー14Aおよび後フィンガー14B)を備えている。図1および図2に示すように一方のチェーン13の複数の前フィンガー14Aおよび後フィンガー14Bと、他方のチェーン13の複数の前フィンガー14Aおよび後フィンガー14Bは、各チェーン13の長手方向に同一ピッチで、かつ、搬送幅方向Wに互いに対向するように、各チェーン13に取り付けられている。
【0016】
各搬送フィンガー14は、各滑り板11Aの内側を各滑り板11Aに沿って移動可能に構成されるとともに、各滑り板11Aの上面から上方に突出するように構成される。詳細には、前フィンガー14Aは、チェーン13の取り付け部(下方)よりも搬送高さ方向Hの先端(上方)が搬送方向Tの前方(下流側)に位置するように、滑り板11Aの面に対して傾斜するように立設される。一方後フィンガー14Bは滑り板11Aの面に対して略垂直方向に立設される。
【0017】
そして前後に並ぶ一組の前フィンガー14Aと後フィンガー14Bの突出している部分に挟まれるように、これらの間に一組の物品群XA1が配置される。両チェーン13の回転駆動時に、各物品群XA1は、搬送幅方向Wに対向する一対の前フィンガー14Aと搬送幅方向Wに対向する一対の後フィンガー14Bによって搬送方向T(図1の左から右)へ搬送される。
【0018】
<上側結束帯供給装置および下側結束帯供給装置>
図1および図3を参照して、上側結束帯供給装置20は例えば、上側結束帯25の原反ロール支持部21と、上側結束帯25が掛け渡される複数のローラ22と、搬送路11の途中に設けられる結束位置Nに向かって上側結束帯25を供給する上側結束帯送り手段23を有する。結束位置Nは、後述する結束手段50によって、上側結束帯25と下側結束帯35が結束(シール)される位置である。
【0019】
上側結束帯送り手段23は、上側結束帯25を挟持(ピンチ)する上側送りローラ27と回転軸(不図示)に回転自在に取り付けられた上側抑えローラ26と、上側送りローラ27を回転駆動する上側サーボモータ24を有する。結束装置100の運転中において上側抑えローラ26と上側送りローラ27は、それぞれの位置が固定され、上側結束帯25は、上側送りローラ27と上側抑えローラ26に対して滑ることなくこれらに挟持される。制御手段60から出力される制御指令に基づき上側サーボモータ24が上側送りローラ27を回転駆動することにより、物品群XA1毎に、制御指令に応じた所定量(長さ)の上側結束帯25が結束位置Nに向かって送り出される。本実施形態では、上側結束帯送り手段23は、或る一組の物品群XA1に対して所定量(第1長さL1)の上側結束帯25を送り出した後は、上側送りローラ27の回転を停止する。上側結束帯25は上側送りローラ27と上側抑えローラ26に対して滑ることなくこれらに挟持されており、上側送りローラ27の回転停止により上側結束帯25の供給(送り出し)も停止される。第1長さL1は、物品群XA1の結束に必要な長さであり、例えば、物品群XA1の胴周長さの略1/2の長さである。
【0020】
下側結束帯送り手段33は、下側結束帯35の原反ロール支持部31と、下側結束帯35が掛け渡される複数のローラ32と、搬送路11の途中に設けられる結束位置Nに向かって下側結束帯35を供給する下側結束帯供給装置30を有する。下側結束帯供給装置30は、下側結束帯35を挟持(ピンチ)可能な下側送りローラ36と下側抑えローラ37と、下側送りローラ36を回転駆動する下側サーボモータ34を有する。制御手段60から出力される制御指令に基づき下側サーボモータ34が下側送りローラ36を回転駆動することにより、制御指令に応じた量(長さ)の下側結束帯35が結束位置Nに向かって送り出される。後述するが、本実施形態では、下側結束帯35は、制御手段60から出力される制御指令に基づき、下側送りローラ36と下側抑えローラ37に対して滑ることなくこれらに挟持されて結束位置Nに向かって送り出される場合と、下側送りローラ36と下側抑えローラ37に対して滑りながら結束位置Nに向かって送り出される場合がある。
【0021】
<結束手段>
図4は結束手段50の正面概要図であり、図4(A)および同図(B)が結束の様子を時系列で示す正面概要図であり、図4(C)は同図(A)の、図4(D)は同図(B)の、それぞれ結束手段50付近の拡大図であって上側結束帯25と下側結束帯35の長さについて説明する図である。図4(E)は第1長さL1を説明する図である。図4(D)、同図(E)はシーラー51の図示を略している。
【0022】
図1および図4を参照して、結束手段50は、搬送路11を挟むように、図1の例では上下に配置された一対のシーラー51(例えば上シーラー51Aおよび下シーラー51B)と、シーラー51を搬送路11に対して略垂直方向に近接・離間するように移動させる駆動機構(例えば、エアシリンダなど)52を有する。
【0023】
図4(A)に示すように、シーラー51は、結束位置Nにおいて上シーラー51Aが上側結束帯25と当接してこれを下方に押込み、下シーラー51Bが下側結束帯35と当接してこれを上方に押込みながら互いに近接する。これにより、図4(B)に示すように、結束位置Nに搬送される物品群XA1の周囲に上側結束帯25および下側結束帯35を巻き付ける。そして巻き付けの余長分の上側結束帯25および下側結束帯35をシールして物品群XA1を結束する。
【0024】
図4(C),同図(D)を参照して、結束手段50による上側結束帯25および下側結束帯35の結束(シール)時において、上側結束帯25は、結束に必要な第1長さL1が供給された後、上側結束帯送り手段23は上側結束帯25の送りを停止する。上側結束帯25は、上側送りローラ27と上側抑えローラ26に対して滑ることなくこれらに挟持(ピンチ)される。第1長さL1は、例えば、物品群XA1の胴周長さの略1/2の長さであり、厳密には、図4(E)に示すように、物品群XA1の胴周長さの1/2と同等の長さL1aに、搬送時における搬送方向Tの前後のシール領域L1b,L1cを加えた長さである(以下の説明においては前後のシール領域L1b,L1cの長さについては記載を省略し、「物品群XA1の胴周長さの略1/2の長さ」という)。
【0025】
また、下側結束帯35は、第1長さL1より短い第2長さL2が供給された後、下側結束帯送り手段33は下側結束帯35の送りを停止する。下側結束帯35は、下側送りローラ36と上側抑えローラ37に対して滑ることなくこれらに挟持(ピンチ)される。
【0026】
この時点では、供給された上側結束帯25および下側結束帯35の合計の長さ(L1+L2)は、物品群XA1の結束に必要十分な結束帯全体の長さL3に対して不足している(不足長さLx)。
【0027】
従って、結束手段50が上側結束帯25および下側結束帯35を押込み、これらを結束(シール)すると、上側結束帯25および下側結束帯35は結束手段50によりしごかれる状態となり、上側結束帯25および下側結束帯35が物品群XA1の外形状に沿って密着するとともに、上側結束帯25および下側結束帯35にはしごきの張力が発生する。
【0028】
その後、詳細は後述するが、制御手段60の制御指令により、結束手段50のしごきの張力に応じて下側結束帯送り手段33から不足長さLxが供給される。ここで、物品群XA1の外形状に変動があった場合、物品群XA1の結束に必要十分な結束帯全体の長さL3も変動し、不足長さLxも変動する。本実施形態では、結束手段50のしごきの張力に応じて不足長さLxが供給されるため、物品群XA1の結束に必要十分な結束帯全体の長さL3を供給でき、確実な結束が可能となる。
【0029】
<調整手段>
図1および図5を参照して、例えば上側結束帯送り手段23は調整手段40を含む。調整手段40は、上側送りローラ27の回転停止により上側結束帯25の供給(送り出し)が停止された場合に、上側送りローラ27と結束位置Nの間に存在する上側結束帯25の張力を調整する。調整手段40は、結束装置100(の基台、不図示)に対して固定的に取り付けられた揺動軸41(例えば、上側抑えローラ26の回転軸)と、一端が揺動軸41に揺動自在に取り付けられたアーム42と、アーム42の他端に取り付けられたダンサーローラ43と、ダンサーローラ43に一端が取り付けられた付勢手段(弾性部材、例えば、スプリング)44と、付勢手段44の他端に接続するエアシリンダ45を有する。
【0030】
図5(A)は、上側結束帯25の張力の調整を行わない(不可とする)場合(張力調整期間外)を示している。張力調整期間外ではエアシリンダ45が伸長する。これによりダンサーローラ43へ付勢は開放され、ダンサーローラ43は、図5(A)に示す停止位置に移動する。
【0031】
図5(B)~同図(D)は上側結束帯25の張力を調整する場合(張力調整期間)を示している。張力調整期間では、図5(B)に示すようにエアシリンダ45を圧縮させて、付勢手段44を介してダンサーローラ43を搬送方向Tの後方(上流)側に移動させる(ダンサーローラ43を上流側(図示左側)に移動させる付勢力を付与する)。この状態で、上側結束帯25にかかる張力と付勢手段44の付勢力(例えばばねの弾性力)の大小関係に応じてダンサーローラ43は所定の範囲内で搬送方向Tの前後に移動可能となる(そのように付勢手段44の付勢力が設定されている)。
【0032】
ダンサーローラ43が図5(C)に示す位置にある場合、上側送りローラ27と結束位置Nの間に存在する上側結束帯25の張力は小さくなり、結束手段50のしごきにより上側結束帯25の締め付けが強すぎている場合には、その締め付けが弱められる。一方、ダンサーローラ43が図5(D)に示す位置にある場合、上側送りローラ27と結束位置Nの間に存在する上側結束帯25の張力は大きくなり、上側結束帯25に弛みが生じている場合、当該弛みが吸収される。
【0033】
<制御手段>
制御手段60は、CPU、RAM及びROM等のメモリ、HDDやSDD等の記憶装置などから構成され、結束装置100を統括的に制御する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMおよび/又は記憶装置は、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0034】
本実施形態の制御手段60はまた、図示は省略するが、上側サーボモータ24および下側サーボモータ34それぞれのトルク指令を生成、出力するトルク指令生成部と、位置指令を生成、出力する位置指令生成部と、速度指令を生成、出力する速度指令生成部を有する。これにより、上側サーボモータ24および下側サーボモータ34にそれぞれ制御指令を出力する。制御指令は、トルク指令と、位置指令および/または速度指令を含む。
【0035】
制御手段60は、上側サーボモータ24に対して第1制御指令(第1トルク指令と第1位置指令および/または第1速度指令)を出力して上側結束帯供給装置20(上側結束帯送り手段23)ら第1長さL1の上側結束帯25を結束位置Nに向けて送り出す。ここで、第1長さL1は、一組の物品群XA1を結束するために必要な(予定されている)上側結束帯25の使用量であり、例えば、一組の物品群XA1の結束周長の略2分の1の長さである。
【0036】
また、制御手段60は、少なくとも、結束手段50によって物品群XA1の結束が行われている期間(これを「結束期間」という。)において、上側サーボモータ24に対して第4制御指令を出力する。第4制御指令は、上側サーボモータ24において第1トルク指令に基づくトルクを維持する(第1トルク指令と同じトルク出力を指示する第4トルク指令)とともに上側送りローラ27の回転を停止する指令(第4位置指令および/または第4速度指令を含む指令)である。これにより上側結束帯送り手段23からの上側結束帯25の送り出しが停止される。
【0037】
また、制御手段60は、下側サーボモータ34に対して第2制御指令(第2トルク指令と第2位置指令および/または第2速度指令)を出力して下側結束帯供給装置30(下側結束帯送り手段33)から第2長さL2の下側結束帯35を結束位置Nに向けて送り出す。ここで、第2長さL2は、例えば、一組の物品群XA1の結束周長の2分の1より短い長さである。
【0038】
更に、制御手段60は、結束期間において、下側サーボモータ34に対して第3制御指令(第3トルク指令と第3位置指令および/または第3速度指令)を出力する。この第3トルク指令は、第2トルク指令よりも低いトルクを生じさせる指令である。
【0039】
<制御指令(トルク指令)>
次に、本実施形態の制御指令、特にトルク指令について説明する。例えば上側サーボモータ24の第1制御指令は、上側送りローラ27と上側抑えローラ26によって挟持(ピンチ)された上側結束帯25が、上側送りローラ27と上側抑えローラ26に対して滑ることなく、上側送りローラ27の回転量に一致して送り出される指令である。この場合、上側結束帯25の送り出しが完全に(100%)上側サーボモータ24に主導される。本実施形態ではこのように、上側結束帯25の送り出しが100%、上側サーボモータ24に主導される場合に当該上側サーボモータ24に生じるトルクを基準(100%)とし、当該トルクに対する比率で、トルク指令値を表現する(下側サーボモータ34においても同様)。
【0040】
例えば、結束期間前において上側サーボモータ24は第1制御指令に基づき、第1長さL1の上側結束帯25を送り出す。この第1制御指令は、「トルク100%」の第1トルク指令と、「締結に必要な所定量、つまり第1長さL1(例えば、物品群XA1の胴周長の略1/2の長さ)の上側結束帯25を送り出す回転数」を示す第1位置指令および/または第1速度指令を含む指令である。
【0041】
或る一組の物品群XA1についての結束期間では、上側サーボモータ24は第4制御指令に基づき上側結束帯供給装置20からの上側結束帯25の送り出しを停止する。第4制御指令は、「トルク100%」の第4トルク指令と、「回転数0」を示す第4位置指令および/または第4速度指令を含む指令である。
【0042】
また、結束期間前において下側サーボモータ34は第2制御指令に基づき、第2長さL2の下側結束帯35を送り出す。この第2制御指令は、「トルク100%」の第2トルク指令と、「第2長さL2(例えば、物品群XA1の胴周長の1/2より短い長さ)の下側結束帯35を送り出す回転数」を示す第2位置指令および/または第2速度指令を含む指令である。
【0043】
或る一組の物品群XA1についての結束期間では、下側サーボモータ34は第3制御指令に基づき制御される。第3制御指令は、第2トルク指令より低い、例えば、「トルク10%」の第3トルク指令と、「回転数『0』」を示す第3位置指令および/または第3速度指令を含む指令である。
【0044】
なお、本実施形態では、下側サーボモータ34は、第2長さL2の下側結束帯35の送り出しを終了した後、第3制御指令を受け付けるまでの期間において、第2´制御指令に基づき制御される。第2´制御指令は、第2´トルク指令と、第2´位置指令および/または第2´回転指令を含む。第2´トルク指令は第2トルク指令と同じトルク指令値(100%トルク)であり、第2´位置指令および/または第2´回転指令は、「回転数『0』」を示す指令である。つまり、下側結束帯送り手段33は、第2長さL2の下側結束帯35の送り出しを終了した後、第3制御指令を受け付けるまでの期間、下側結束帯35の送りを停止する。下側結束帯35は、下側送りローラ36と下側抑えローラ37に対して滑ることなくこれらに挟持(ピンチ)される。
【0045】
このような制御により、結束期間前において上側結束帯供給装置20は第1長さL1(一組の物品群XA1の胴周長の2分の1と同等の長さ)の上側結束帯25を供給した後、その供給を停止する。一方、下側結束帯供給装置30は第2長さL2(一組の物品群XA1の胴周長の2分の1より短い長さ)の下側結束帯35を供給した後、その供給を停止する。つまり、図4(D)に示すように物品群XA1の結束に必要十分な結束帯全体の長さL3対して、結束帯の合計長さ(L1+L2)には不足が生じている(不足長さLx)。この状態で結束期間において結束手段50による結束が開始すると、近接する上シーラー51Aと下シーラー51Bにより物品群XA1の周囲に上側結束帯25および下側結束帯35が巻き付くとともに、上側結束帯25および下側結束帯35には結束手段50(上シーラー51Aと下シーラー51B)の近接によるしごきの張力が生じる。
【0046】
制御手段60はこの結束期間において、下側サーボモータ34に対して第3制御指令を出力する。そして第3制御指令に含まれる第3トルク指令は、結束手段50(上シーラー51Aと下シーラー51B)の近接によるしごきの張力よりも弱いトルクを生じさせる指令である。このトルク指令値が具体的には、第2トルク指令より低い例えば「トルク10%」のトルク指令値である。なお第3制御指令には「回転数『0』」を示す第3位置指令および/または第3速度指令が含まれる。
【0047】
つまり、下側結束帯送り手段33では、結束期間において、下側サーボモータ34のトルク出力を「トルク100%」(第2トルク指令)から「トルク10%」に低下させる制御を行う。
【0048】
このような制御により、図4(D)に示すように第3制御指令を受け付けた下側結束帯送り手段33では、しごきの張力に応じて、下側結束帯35の張力が下側サーボモータ34のトルク出力よりも大きくなった場合に上シーラー51Aと下シーラー51Bがシールを完了するまでの間、下側送りローラ36がフィルム繰り出し方向に回転することで不足長さLx分の下側結束帯35が結束位置Nに向かって送り出される(結束手段50によって不足している長さ分の下側結束帯35が引き出されることが許容される)。
【0049】
これにより、物品群XA1に対して緩み(弛み)や締め過ぎの生じない確実な結束が可能となる。
【0050】
図6は、第1実施形態の結束装置100の各構成における動作の一例を示すタイミングチャートである。図6では、1組の物品群XA1について、搬送フィンガー14による搬送の開始から、結束(シール)およびカットによって単独の結束物品(群)として切り離されるまでの結束処理の1サイクルを360°とし、初期状態(結束処理サイクル0°)から結束処理サイクル360°までの動作タイミングを示している。初期状態は例えば、対象となる物品群XA1を搬送する搬送フィンガー14が初期位置P0にある状態である。
【0051】
上方1段目の「トルク制御タイミング」は下側サーボモータ34におけるトルク制御、特に第3トルク指令を含む第3制御指令(トルク指令値「10%トルク」、「回転数『0』」)に基づく制御の実行タイミングであり、「トルク制御オン」は第3トルク指令による制御が行われる期間である。一方、「トルク制御オフ」は第3トルク指令による制御が行われていない期間であり、換言すると第2トルク指令を含む第2制御指令(トルク指令値「100%トルク」、第2長さL2を送り出す回転数)による制御、または、第2´制御指令(トルク指令値「100%トルク」、回転数『0』)による制御が行われている期間である。
【0052】
2段目の「上側サーボ送り出し」は、第1制御指令に基づき、上側サーボモータ24から上側結束帯25が結束位置Nに向けて送り出されている期間を示す。3段目の「下側サーボ送り出し」は、第2制御指令に基づき、下側サーボモータ34から下側結束帯35が結束位置Nに向けて送り出されている期間を示す。上側結束帯25の送り出し(停止)のタイミングと下側結束帯35のそれらのタイミングと略同じであるが、上側結束帯25の送り出し期間は下側結束帯25の送り出し期間よりも長い期間である。
【0053】
4段目の「上側結束帯調整」は調整手段40によって上側結束帯25の張力の調整(ダンサーローラ43の移動)が可能となっている期間を示し、「調整あり」が張力調整期間を示し「調整なし」が張力調整期間外を示している。
【0054】
5段目の「シーラー」は結束手段50のシーラー51の開閉状態を示し、6段目の「フィンガー」は搬送フィンガー14の移動および停止の期間(タイミング)を示す。
【0055】
まず結束処理の初期状態(結束処理サイクル0°)では、対象となる物品群XA1を搬送する搬送フィンガー14が初期位置P0(図1参照)にあり、停止状態から移動を開始する。「トルク制御タイミング」は「トルク制御オフ」、すなわち第3トルク指令による制御が行われず、「下側サーボ送り出し」は、「送り出し」状態となっている。つまり、制御手段60が、下側サーボモータ34に対して第2トルク指令を含む第2制御指令を出力し、下側結束帯供給装置30から第1長さL1より短い第2長さL2の下側結束帯35が結束位置Nに向けて送り出されている。また、制御手段60が、上側サーボモータ24に対して第1トルク指令を含む第1制御指令を出力しており、上側結束帯供給装置20から第1長さL1の上側結束帯35が結束位置Nに向けて送り出されている。
【0056】
また、「上側結束帯調整」は「調整なし」であり調整手段40は張力調整期間外で「オフ」の状態にある。「シーラー」は「開」と「閉」の間で、シーラー51が所定の距離離間された状態にあり、そこから次第に離間するように移動する。結束処理サイクル77°のタイミングでシーラー51は最も開いた状態となり、141°まではその状態が維持される。
【0057】
結束処理サイクル80°のタイミングで「下側サーボ送り出し」は、「停止」となる。つまりこのタイミングで下側サーボモータ34は第2制御指令に基づく第2長さL2の下側結束帯35の送り出しを終了し、第2´制御指令に基づき制御される。つまり、第2トルク指令と同じトルク指令値(100%トルク)を維持した状態で、「回転数『0』」(すなわち、下側結束帯35の送り出しは停止)となる。
【0058】
下側結束帯35の送り出しが停止した後(例えば、85°などのタイミングで)「上側サーボ送り出し」は、「停止」となる。つまりこのタイミングで上側サーボモータ24は第1制御指令に基づく第1長さL1の上側結束帯25の送り出しを終了し、第4制御指令に基づき制御される。第4制御指令は、「トルク100%」の第4トルク指令と、「回転数0」を示す第4位置指令および/または第4速度指令を含む指令であり、これにより上側結束帯25の送り出しは停止となる。
【0059】
結束処理サイクル140°のタイミングで、「上側結束帯調整」が「調整有り」となる。つまり、調整手段40が「オン」(張力調整期間)となり、調整手段40によって上側結束帯25の張力の調整(ダンサーローラ44の移動)が可能となる。
【0060】
結束処理サイクル141°(調整手段40が「オン」になった直後)のタイミングで、上側結束帯25および下側結束帯35をシールするために、上下のシーラー51が互いに近接を開始する。このタイミングは本実施形態の結束期間の開始タイミングである。
【0061】
結束処理サイクル150°(結束期間の開始後)のタイミングで、搬送フィンガー14による物品群XA1の押送が終了(停止)する。
【0062】
搬送フィンガー14による物品群XA1の押送が終了した後、上側サーボモータ24による上側結束帯25の送り出しは停止され、また下側結束帯35の送り出しもトルク100%で停止されており、その状態でシーラー51が次第に近接する。つまり、結束位置Nにおいて上シーラー51Aが上側結束帯25と当接して押込み、下シーラー51Bが下側結束帯35と当接して押込みながら互いに近接する。これにより、結束位置Nに搬送される物品群XA1の周囲に上側結束帯25および下側結束帯35を巻き付ける。
【0063】
ここで、送り出された上側結束帯25と下側結束帯35の合計長さは物品群XA1の胴周長に対して不足しており、シーラー51の近接により上側結束帯25および下側結束帯35には結束手段50(上シーラー51Aと下シーラー51B)の近接によるしごきの張力が生じる。
【0064】
この結束期間において(例えば、結束処理サイクルの180°のタイミングで)制御手段60は、下側サーボモータ34に対して第3トルク指令(を含む第3制御指令)を出力し、「トルク制御タイミング」が「トルク制御オン」となる。第3トルク指令は、結束手段50(上シーラー51Aと下シーラー51B)の近接によるしごきの張力よりも弱いトルク(トルク指令値「10%」)を生じさせる指令である。第3位置指令および/または第3速度指令は、例えば「回転数『0』」を示す指令である。
【0065】
第3制御指令を受け付けた下側結束帯送り手段33では、シーラー51によるしごきの張力に応じて不足長さLx分の下側結束帯35が下側送りローラ36と下側抑えローラ37に対して滑りながら結束位置Nに向かって送り出される(結束手段50によって不足している長さ分の下側結束帯35が引き出されることが許容される、図4(C)、図4(D)参照)。
【0066】
このように、本実施形態では第3トルク指令(10%トルク)が出力されている期間、結束手段50によって下側結束帯35が物品群XA1の外形状と結束手段50のしごきの張力に応じて適宜引き出される。つまり、上側結束帯25の第1長さL1と下側結束帯35の第2長さL2の送り出しが終了した後、第3制御指令に基づき下側結束帯35が引き出されて結束の不足長さLx分を補う。
【0067】
また、少なくとも結束期間において(結束処理サイクル140°以降)、調整手段40がオン状態となっている。そして、調整手段40における付勢手段44の付勢力(例えば、ばねの弾性力)も、結束手段50の近接による上側結束帯25および下側結束帯35のしごきの張力よりも弱い力に設定されている。これにより、上側結束帯供給装置20では、シーラー51によるしごきの張力に応じて、上側結束帯25の張力の調整が行われる。
【0068】
上側結束帯25は原則、第1制御指令により所定の使用量を供給した後、第4制御指令により供給が停止する。しかしながら、物品群XA1の外形状(集積状態のばらつき)や上側結束帯25および/または下側結束帯35の伸びなどにより、所定の使用量が実際の使用量に対して余剰となる、あるいは不足する可能性もある。
【0069】
本実施形態では、結束手段50による上側結束帯25および下側結束帯35のしごきの張力より弱い付勢力がダンサーローラ43に付与されているため、結束期間において結束手段50による上側結束帯25および下側結束帯35のしごきが開始すると、その張力に応じてダンサーローラ43が移動し、その結果上側サーボモータ24より下流側における上側結束帯25の張力が調整される。つまり上側サーボモータ24より下流側において上側結束帯25に弛みが生じていればそれが吸収され(図5(D))、あるいは不足する(締め付け過ぎとなる)ようであればダンサーローラ43の移動による繰り出しが行われる(図5(C))。
【0070】
図6に戻り、結束処理サイクル240°のタイミングで、「トルク制御タイミング」が「トルク制御オフ」になる。つまりこのタイミングで制御手段60は、下側サーボモータ34に対して第3トルク指令(を含む第3制御指令)とは異なる制御指令を出力する。この制御指令は例えば第2´制御指令(100%トルク、回転数『0』)と同じ制御指令である。これにより、下側結束帯35の引き出しが停止される。
【0071】
結束処理サイクル271°のタイミング(「トルク制御オフ」以降のタイミング)で、シーラー51が最も近接し、巻き付けの余長となる上側結束帯25と下側結束帯35のシールを行い、結束処理サイクル307°までの期間(例えば、結束処理サイクル307°のタイミング)に、シール部分のカットを行い、単独の結束済み物品群XA1を切り離す。本実施形態では例えば、結束処理サイクル141°(上下のシーラー51の近接移動開始時点)から、結束処理サイクル271°のタイミング以降(例えば、結束処理サイクル307°のタイミング)のシール部分のカットまでの期間が「結束期間」である。
【0072】
結束処理サイクル280°のタイミングで「上側結束帯調整」が「調整無し」、つまり調整手段40による調整がオフとなる。
【0073】
その後、結束処理サイクル307°のタイミングで上下のシーラー51が互いに離間する方向に移動を開始する。
【0074】
その後、例えば結束処理サイクル315°のタイミングで、「上側サーボ送り出し」が「送り出し有り」つまり、第1制御指令に基づき、次の物品群XA1を結束するため、上側サーボモータ24により第1長さL1の下側結束帯35が結束位置Nに向けて送り出される。
【0075】
「上側サーボ送り出し」が「送り出し有り」になった後の結束処理サイクル320°のタイミングで、「下側サーボ送り出し」が「送り出し有り」つまり、第2制御指令に基づき、下側サーボモータ34により第2長さL2の下側結束帯35が結束位置Nに向けて送り出される。
【0076】
このように本実施形態では、結束期間前において、上側結束帯25は所定の使用量である第1長さL1(例えば、一組の物品群XA1の胴周長の略2分の1の長さ)が供給され、下側結束帯35は第1長さL1より短い第2長さL2が供給されており、物品群XA1の結束には結束帯の不足が生じている。本実施形態では、結束期間において上側結束帯25の供給を停止した状態で、下側サーボモータ34に対して、結束手段50による上側結束帯25および下側結束帯35のしごきの張力よりも弱いトルク(この例では10%の指令値のトルク)を生じさせる制御を行う。
【0077】
これにより、下側サーボモータ34のトルクが上側結束帯25および下側結束帯35のしごきの張力に負けて、上シーラー51Aと下シーラー51Bがシールを完了するまでの間に、不足長さLx分の下側結束帯35が引き出される(補われる)ことが許容される。
【0078】
また、少なくとも結束期間において、調整手段40が機能するように構成されている。調整手段40が機能する(オンになる)と、付勢手段44は、結束手段50による上側結束帯25および下側結束帯35のしごきの張力より弱い付勢力でダンサーローラ43を付勢する。従って、第4制御指令により上側結束帯25の供給が停止した場合であっても、ダンサーローラ43によって、上側サーボモータ24の下流側において上側結束帯25の張力を調整し、上側結束帯25の弛みを吸収、あるいは不足分の繰り出しを行うことができる。
【0079】
この結果、物品群XA1毎に、弛みや締め過ぎが生じない、外形状に沿った確実な結束が可能となる。このように物品群XA1の外形状や本数の変化に柔軟に対応可能な結束装置100を提供できる。
【0080】
なお、上側結束帯25の供給が停止した場合でも、不足長さLx分の下側結束帯35が引き出される(補われる)ことが許容されるため、上記の結束装置100において調整手段40を設けなくてもよい。
【0081】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る結束装置100´について説明する。図7は、第2実施形態に係る結束装置100´の一例を示す正面概要図であり、図8は、第2実施形態に係る結束装置100´の各構成における動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0082】
図7を参照して、結束装置100´の上側結束帯供給装置20´(上側結束帯送り手段23´)において、上側サーボモータ24を省略してもよい。この場合、上側送りローラ27´は回転軸の周りに回転自在に取り付けられ、上側抑えローラ26´は常時回転しないローラとする。また上側送りローラ27´と上側抑えローラ26´は、結束装置100´の運転中において互いに近接、離間する構成とし、両者が近接した場合には上側結束帯25が挟持(ピンチ)される。上側結束帯25は、上側送りローラ27´と上側抑えローラ26´が離間している場合に結束位置Nに向かって供給され、上側送りローラ27´と上側抑えローラ26´に挟持(ピンチ)された場合に、その供給が停止される。つまり、上側送りローラ27´と上側抑えローラ26´は上側結束帯25の供給を抑える「結束帯抑え手段28」として機能する。これ以外の構成は第1実施形態とほぼ同様であり、同一構成要素は図1と同一符号で示している。以下、主に、第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0083】
結束装置100´は、複数の物品XA1´からなる物品群XA1を搬送路11上において移動させる搬送手段10と、調整手段40を有して搬送路11の途中に設けられる結束位置Nに第1(例えば上側)結束帯25を供給する第1(上側)結束帯送り手段23´と、下側サーボモータ34を有し、結束位置Nに第2(下側)結束帯を供給する第2(下側)結束帯送り手段33と、結束位置Nに搬送される物品群XA1の周囲に上側結束帯25および下側結束帯35を巻き付けて、巻き付けの余長分をシールして該物品群XA1を結束する結束手段50と、制御手段60と、を有する。
【0084】
<上側結束帯供給装置および下側結束帯供給装置>
第2実施形態の上側結束帯供給装置20´は、搬送手段10によって結束位置Nに向かって押送される物品群XA1の移動に伴い、上側結束帯25が引き出される(送り出す)構成としており、結束帯抑え手段28(上側送りローラ27´と上側抑えローラ26´)によりその送り出し、および停止が制御される。つまり、上側送りローラ27´と上側抑えローラ26´が離間した状態では上側結束帯25は、結束位置Nの直近上流の物品群XA1の移動に伴って(移動に応じた)第1の長さL1´が引き出される。そして後述するが、結束帯抑え手段28があるタイミングで近接し、上側結束帯25をピンチすると、引き出し(送り出し)が停止する。第1実施形態では、上側サーボモータ24の制御により上側結束帯25の送り出し量(第1の長さL1)が設定されていたが、第2実施形態の場合の上側結束帯25の送り出しの長さ(第1の長さL1´)は、物品群XA1の外形状のばらつきなどにより、物品群XA1毎に異なる(長さがばらつく)場合がある。第1の長さL1´は、概ね、物品群XA1の胴周長さの1/2前後の長さである。
【0085】
下側結束帯送り手段33は、第1実施形態の構成と同様であり、制御手段60から出力される制御指令に基づき下側サーボモータ34が下側送りローラ36を回転駆動することにより、制御指令に応じた量(長さ)の下側結束帯35が結束位置Nに向かって送り出される。下側サーボモータ34による下側結束帯35の供給量は制御指令に基づく所定値(第2の長さL2)である。第2の長さL2は、物品群XA1の胴周長さの1/2よりも短い長さである。下側結束帯35は、制御手段60から出力される制御指令に基づき、下側送りローラ36と下側抑えローラ37に対して滑ることなくこれらに挟持されて結束位置Nに向かって送り出される場合と、下側送りローラ36と下側抑えローラ37に対して滑りながら結束位置Nに向かって送り出される場合がある。
【0086】
<結束手段>
【0087】
図4に示したように、結束手段50による上側結束帯25および下側結束帯35の結束(シール)時において、上側結束帯25は、搬送装置10による物品群XA1の移動量に応じた第1長さL1´が供給された後、結束帯抑え手段28により上側結束帯25の送りが停止される。また、下側結束帯35は、物品群XA1の胴周長さの1/2よりも短い第2長さL2が供給された後、下側結束帯送り手段33が下側結束帯35の送りを停止する。下側結束帯35は、下側送りローラ36と上側抑えローラ37に対して滑ることなくこれらに挟持(ピンチ)される。
【0088】
この時点では、供給された上側結束帯25および下側結束帯35の合計の長さ(L1´+L2)は、物品群XA1の結束に必要十分な結束帯全体の長さL3に対して不足している(不足長さLx´)。
【0089】
従って、結束手段50が上側結束帯25および下側結束帯35を押込み、これらを結束(シール)すると、上側結束帯25および下側結束帯35は結束手段50によりしごかれる状態となり、上側結束帯25および下側結束帯35が物品群XA1の外形状に沿って密着するとともに、上側結束帯25および下側結束帯35にはしごきの張力が発生する。
【0090】
その後、制御手段60の制御指令により、結束手段50のしごきの張力に応じて下側結束帯送り手段33から下側結束帯35が供給される。また場合によって、上側結束帯送り手段23の調整手段40により上側結束帯25が供給され、これらによって不足長さLxが補充される。ここで、物品群XA1を構成する物品XA1´の数や、物品群XA1の外形状に変動があった場合、物品群XA1の結束に必要十分な結束帯全体の長さL3も変動し、不足長さLx´も変動する。本実施形態では、結束手段50のしごきの張力に応じて下側結束帯35、および場合によって上側結束帯25の供給により不足長さLx´が補充されるため、物品群XA1の結束に必要十分な結束帯全体の長さL3を供給でき、確実な結束が可能となる。
【0091】
<調整手段>
図7および図5を参照して、上側結束帯送り手段23´は調整手段40を含む。調整手段40は、結束帯抑え手段28により上側結束帯25の供給(送り出し)が停止された場合に、上側送りローラ27´と結束位置Nの間に存在する上側結束帯25の張力を調整する。つまり第1実施形態と同様に、張力調整期間(図5(B))において、上側結束帯25にかかる張力と付勢手段44の付勢力(例えばばねの弾性力)の大小関係に応じてダンサーローラ43を所定の範囲内で搬送方向Tの前後に移動させる(そのように付勢手段44の付勢力が設定されている)。
【0092】
ダンサーローラ43が図5(C)に示す位置にある場合、上側送りローラ27と結束位置Nの間に存在する上側結束帯25の張力は小さくなり、結束手段50のしごきにより上側結束帯25の締め付けが強すぎている場合には、その締め付けが弱められる。一方、ダンサーローラ43が図5(D)に示す位置にある場合、上側送りローラ27と結束位置Nの間に存在する上側結束帯25の張力は大きくなり、上側結束帯25に弛みが生じている場合、当該弛みが吸収される。
【0093】
<制御手段>
制御手段60は、下側サーボモータ34のトルク指令を生成、出力するトルク指令生成部と、位置指令を生成、出力する位置指令生成部と、速度指令を生成、出力する速度指令生成部を有する。これにより、下側サーボモータ34にそれぞれ制御指令(第2制御指令、第2´制御指令、第3制御指令)を出力する。これらの制御指令の内容は、第1実施形態と同様である。
【0094】
制御手段60は、下側サーボモータ34に対して第2制御指令を出力して下側結束帯供給装置30(下側結束帯送り手段33)から第2長さL2の下側結束帯35を結束位置Nに向けて送り出す。また、制御手段60は、第2長さL2の下側結束帯35を送り出した後、下側サーボモータ34に対して第2´制御指令を出力し、下側結束帯35の送りを停止する。更に制御手段60は、結束期間において、下側サーボモータ34に対して第3制御指令を出力する。この第3トルク指令は、第2トルク指令よりも低いトルクを生じさせる指令である。
【0095】
このような制御により、結束期間前において上側結束帯供給装置20は第1長さL1´(概ね物品群XA1の胴周長の2分の1の長さであるが、物品群XA1毎にばらつきがある)の上側結束帯25を供給した後、その供給を停止する。一方、下側結束帯供給装置30は第2長さL2(一組の物品群XA1の胴周長の2分の1より短い長さ)の下側結束帯35を供給した後、その供給を停止する。つまり、図4(D)に示すように物品群XA1の結束に必要十分な結束帯全体の長さL3対して、結束帯の合計長さ(L1´+L2)には不足が生じている(不足長さLx´)。この状態で結束期間において結束手段50による結束が開始すると、近接する上シーラー51Aと下シーラー51Bにより物品群XA1の周囲に上側結束帯25および下側結束帯35が巻き付くとともに、上側結束帯25および下側結束帯35には結束手段50(上シーラー51Aと下シーラー51B)の近接によるしごきの張力が生じる。
【0096】
制御手段60はこの結束期間において、下側サーボモータ34に対して結束手段50の近接によるしごきの張力よりも弱いトルクを生じさせる指令(第3トルク指令)を含む第3制御指令を出力する。この結果、図4(D)に示すように下側結束帯送り手段33では、しごきの張力に応じて、下側結束帯35の張力が下側サーボモータ34のトルク出力よりも大きくなった場合に上シーラー51Aと下シーラー51Bがシールを完了するまでの間、下側送りローラ36がフィルム繰り出し方向に回転することで不足長さLx´分と同程度の下側結束帯35が結束位置Nに向かって送り出される(結束手段50によって不足している長さ分の下側結束帯35が引き出されることが許容される)。また、場合によって調整手段40により、上側送りローラ27´と結束位置Nの間に存在する上側結束帯25の張力が調整される。これにより、物品群XA1に対して緩み(弛み)や締め過ぎの生じない確実な結束が可能となる。
【0097】
図8を参照して、結束装置100´の各構成における動作の一例を説明する。第2実施形態では、上側結束帯25の送り出し(引き出し)は物品群XA1の移動に依るため結束装置100´(制御手段60)の制御対象外となる。一方、制御手段60は結束帯抑え手段28を制御するため、4段目に「上側結束帯抑え」として結束帯抑え手段28の動作(抑え有り/抑え無し)のタイミングを示している。
【0098】
4段目の「上側結束帯抑え」は「抑え有り」が、上側送りローラ27´と上抑えローラ26´により上側結束帯25がピンチ(挟持)され、送り出しが停止している期間であり、「抑え無し」が上側送りローラ27´と上抑えローラ26´が離間して、物品群XA1の移動に任せて上側結束帯25が送り出し(引き出し)されている期間である。それ以外(1段目から3段目および5、6段目)のタイミングは第1実施形態と同様である。
【0099】
まず結束処理の初期状態(結束処理サイクル0°)では、対象となる物品群XA1を搬送する搬送フィンガー14が初期位置P0(図1参照)にあり、停止状態から移動を開始する。「トルク制御タイミング」は「トルク制御オフ」、すなわち第3トルク指令による制御が行われず、「下側サーボ送り出し」は、「送り出し」状態となっている。つまり、制御手段60が、下側サーボモータ34に対して第2トルク指令を含む第2制御指令を出力する。これにより下側結束帯供給装置30から第2長さL2の下側結束帯35が結束位置Nに向けて送り出されている。また、制御手段60が、結束帯抑え手段28を離間し(「上側結束帯抑え」の「抑え無し」)上側結束帯供給装置20から、物品群XA1の移動に任せて上側結束帯35が結束位置Nに向けて送り出されている。
【0100】
また、「上側結束帯調整」は「調整なし」であり調整手段40は張力調整期間外で「オフ」の状態にある。「シーラー」は「開」と「閉」の間で、シーラー51が所定の距離離間された状態にあり、そこから次第に離間するように移動する。
【0101】
結束処理サイクル77°のタイミングでシーラー51は最も開いた状態となり、141°まではその状態が維持される。
【0102】
結束処理サイクル80°のタイミングで「下側サーボ送り出し」は、「停止」となる。つまりこのタイミングで下側サーボモータ34は第2制御指令に基づく第2長さL2の下側結束帯35の送り出しを終了し、第2´制御指令に基づき制御される。つまり、第2トルク指令と同じトルク指令値(100%トルク)を維持した状態で、「回転数『0』」(すなわち、下側結束帯35の送り出しは停止)となる。
【0103】
結束処理サイクル140°のタイミングで、「上側結束帯調整」が「調整有り」となる。つまり、調整手段40が「オン」(張力調整期間)となり、調整手段40によって上側結束帯25の張力の調整(ダンサーローラ44の移動)が可能となる。
【0104】
結束処理サイクル141°(調整手段40が「オン」になった直後)のタイミングで、上側結束帯25および下側結束帯35をシールするために、上下のシーラー51が互いに近接を開始する。このタイミングは本実施形態の結束期間の開始タイミングである。
【0105】
結束処理サイクル150°(結束期間の開始後)のタイミングで、搬送フィンガー14による物品群XA1の押送が終了(停止)する。
【0106】
結束処理サイクル152°(搬送フィンガー14による物品群XA1の押送が終了後)のタイミングで、「上側結束帯抑え(結束帯抑え手段28)」は「抑え有り」の状態となる。つまり、少なくとも結束期間において制御手段60は、結束帯抑え手段28で上側結束帯25をピンチし、上側結束帯送り手段23からの上側結束帯25の送り出しを停止する。これ以降、上側結束帯25の送り出しが停止され、且つ下側結束帯35の送り出しがトルク100%で停止された状態でシーラー51が次第に近接する。つまり、結束位置Nにおいて上シーラー51Aが上側結束帯25と当接して押込み、下シーラー51Bが下側結束帯35と当接して押込みながら互いに近接する。これにより、結束位置Nに搬送される物品群XA1の周囲に上側結束帯25および下側結束帯35を巻き付ける。
【0107】
ここで、送り出された上側結束帯25と下側結束帯35の合計長さは物品群XA1の胴周長に対して不足しており、シーラー51の近接により上側結束帯25および下側結束帯35には結束手段50(上シーラー51Aと下シーラー51B)の近接によるしごきの張力が生じる。
【0108】
この結束期間において(例えば、結束処理サイクルの180°のタイミングで)制御手段60は、下側サーボモータ34に対して第3トルク指令(を含む第3制御指令)を出力し、「トルク制御タイミング」が「トルク制御オン」となる。第3トルク指令は、結束手段50(上シーラー51Aと下シーラー51B)の近接によるしごきの張力よりも弱いトルク(トルク指令値「10%」)を生じさせる指令である。第3位置指令および/または第3速度指令は、例えば「回転数『0』」を示す指令である。
【0109】
第3制御指令を受け付けた下側結束帯送り手段33では、シーラー51によるしごきの張力に応じて不足長さLx分の下側結束帯35が下側送りローラ36と下側抑えローラ37に対して滑りながら結束位置Nに向かって送り出される(結束手段50によって不足している長さ分の下側結束帯35が引き出されることが許容される、図4(C)、図4(D)参照)。
【0110】
このように、本実施形態では第3トルク指令(10%トルク)が出力されている期間、結束手段50によって下側結束帯35が物品群XA1の外形状と結束手段50のしごきの張力に応じて適宜引き出される。つまり、上側結束帯25の第1長さL1´と下側結束帯35の第2長さL2の送り出しが終了した後、第3制御指令に基づき下側結束帯35が引き出されて結束の不足長さLx´分を補う。
【0111】
また、少なくとも結束期間において(結束処理サイクル140°以降)、調整手段40がオン状態となっている。そして、調整手段40における付勢手段44の付勢力(例えば、ばねの弾性力)も、結束手段50の近接による上側結束帯25および下側結束帯35のしごきの張力よりも弱い力に設定されている。これにより、上側結束帯供給装置20では、シーラー51によるしごきの張力に応じて、上側結束帯25の張力の調整が行われる。
【0112】
上側結束帯25は原則、物品群XA1の移動に任せて任意の量が供給された後、結束帯抑え手段28のピンチにより供給が停止する。しかしながら、物品群XA1の外形状(集積状態のばらつき)や、物品群XA1を構成する物品XA1´の数の変動、あるいは上側結束帯25および/または下側結束帯35の伸びなどにより、上側結束帯25の供給量が実際の使用量に対して余剰となる、あるいは不足する可能性もある。
【0113】
本実施形態では、結束手段50による上側結束帯25および下側結束帯35のしごきの張力より弱い付勢力がダンサーローラ43に付与されているため、結束期間において結束手段50による上側結束帯25および下側結束帯35のしごきが開始すると、その張力に応じてダンサーローラ43が移動し、その結果上側送りローラ27´より下流側における上側結束帯25の張力が調整される。つまり上側送りローラ27´より下流側において上側結束帯25に弛みが生じていればそれが吸収され(図5(D))、あるいは不足する(締め付け過ぎとなる)ようであればダンサーローラ43の移動による繰り出しが行われる(図5(C))。
【0114】
図8に戻り、結束処理サイクル240°のタイミングで、「トルク制御タイミング」が「トルク制御オフ」になる。つまりこのタイミングで制御手段60は、下側サーボモータ34に対して第3トルク指令(を含む第3制御指令)とは異なる制御指令を出力する。この制御指令は例えば第2´制御指令(100%トルク、回転数『0』)と同じ制御指令である。これにより、下側結束帯35の引き出しが停止される。
【0115】
結束処理サイクル271°のタイミング(「トルク制御オフ」以降のタイミング)で、シーラー51が最も近接し、巻き付けの余長となる上側結束帯25と下側結束帯35のシールを行い、結束処理サイクル307°までの期間(例えば、結束処理サイクル307°のタイミング)に、シール部分のカットを行い、単独の結束済み物品群XA1を切り離す。
【0116】
結束処理サイクル280°のタイミングで「上側結束帯調整」が「調整無し」、つまり調整手段40による調整がオフとなる。
【0117】
その後、結束処理サイクル307°のタイミングで上下のシーラー51が互いに離間する方向に移動を開始する。
【0118】
結束処理サイクル320°のタイミングで、「下側サーボ送り出し」が「送り出し有り」つまり、第2制御指令に基づき、下側サーボモータ34により第2長さL2の下側結束帯35が結束位置Nに向けて送り出される。
【0119】
このように本実施形態では、結束期間前において、上側結束帯25は物品群XA1の移動に任せた任意の第1長さL1´(例えば、一組の物品群XA1の胴周長の概ね2分の1の長さ)が供給され、下側結束帯35は胴周長の2分の1より短い第2長さL2が供給されており、物品群XA1の結束には結束帯の不足が生じている。本実施形態では、結束期間において上側結束帯25の供給を停止した状態で、下側サーボモータ34に対して、結束手段50による上側結束帯25および下側結束帯35のしごきの張力よりも弱いトルク(この例では10%の指令値のトルク)を生じさせる制御を行う。
【0120】
これにより、下側サーボモータ34のトルクが上側結束帯25および下側結束帯35のしごきの張力に負けて、上シーラー51Aと下シーラー51Bがシールを完了するまでの間に、不足長さLx´分の下側結束帯35が引き出される(補われる)ことが許容される。
【0121】
また、少なくとも結束期間において、調整手段40が機能するように構成されている。調整手段40が機能する(オンになる)と、付勢手段44は、結束手段50による上側結束帯25および下側結束帯35のしごきの張力より弱い付勢力でダンサーローラ43を付勢する。従って、結束帯抑え手段28により上側結束帯25の供給が停止した場合であっても、ダンサーローラ43によって、上側送りローラ27´の下流側において上側結束帯25の張力を調整し、上側結束帯25の弛みを吸収、あるいは不足分の繰り出しを行うことができる。
【0122】
この結果、物品群XA1毎に、弛みや締め過ぎが生じない、外形状に沿った確実な結束が可能となる。第2実施形態の場合、特に物品群XA1を構成する物品数(例えば、本数)の変化を含む物品群XA1の外形状の変化に柔軟に対応可能な結束装置100を提供できる。
【0123】
上記の実施形態では、上側結束帯25の第1長さL1は、物品群XA1の胴周長さの略1/2の所定量としたが、例えば実際に結束に使用した上側結束帯25の長さのフィードバック制御により、第1制御指令における第1長さL1を都度調整するようにしてもよい。
【0124】
また、結束期間において上側サーボモータ24により結束の不足量(不足長さLx)を補うようにしてもよい。すなわち、結束期間において上側サーボモータ24に対して、結束手段50による上側結束帯25および下側結束帯35のしごきの張力よりも弱いトルク(この例では10%の指令値のトルク)を生じさせる制御を行うようにしてもよい。この場合、下側サーボモータ34は下側結束帯35の供給を停止する構成(上記の実施形態において上下を反転する構成)としてもよいし、下側サーボモータ34も併せて結束の不足量を補うようにしてもよい。またその場合調整手段40は設けなくてもよい。
【0125】
また、上記の実施形態では第1長さL1を物品群XA1の胴周長さの略1/2の長さとしたが、第1長さL1は、結束に必要な所定量であればよく、物品群XA1の胴周長さの略1/2の長さより長くてもよいし短くてもよい。
【0126】
また上記実施形態において、第1結束帯供給装置20が下側結束帯供給装置であり、第2結束帯供給装置30が上側結束帯供給装置であってもよい。また例えば搬送路11を(略)鉛直方向に延在させるように構成し、第1結束帯供給装置20および第2結束帯供給装置30を搬送路11を挟んで左右に配置するようにしてもよい。
【0127】
以上、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0128】
100 結束装置
10 搬送手段
11 搬送路
11A 滑り板
13 チェーン
14 搬送フィンガー
14A 前フィンガー
14B 後フィンガー
16 スプロケット
20 上側結束帯供給装置
21 原反ロール支持部
22 ローラ
23 上側結束帯送り手段
24 上側サーボモータ
25 上側結束帯
30 下側結束帯供給装置
31 原反ロール支持部
33 下側結束帯送り手段
34 下側サーボモータ
35 下側結束帯
40 調整手段
43 ダンサーローラ
44 付勢手段
50 結束手段
51 シーラー
60 制御手段
XA1 物品群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8