(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176295
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B43M 3/04 20060101AFI20241212BHJP
B41J 25/20 20060101ALI20241212BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241212BHJP
G01J 5/48 20220101ALI20241212BHJP
G01J 5/00 20220101ALI20241212BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B43M3/04
B41J25/20
B41J29/38 206
G01J5/48 A
G01J5/00 101H
B41J29/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094750
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】楠畑 雅彦
【テーマコード(参考)】
2C061
2G066
【Fターム(参考)】
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AS02
2C061HJ10
2G066AC20
2G066CA02
2G066CA08
(57)【要約】
【課題】印刷物に固有情報を付与することなく封筒内に印刷物が正しく封入されていることを確認することが可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】用紙を印刷する印刷部11と、印刷部11で印刷された印刷物の所望の部位に、熱マーカを付与するマーキング部12と、熱マーカが付与された印刷物を封筒内に封入する封入部13と、印刷物が封入された封筒をプレスするプレス部14と、印刷物が封入された封筒の、熱マーカの位置を検出するマーカ検出部15と、熱マーカの位置に基づいて、封筒内に印刷物が正しく封入されているか否かを判定する判定部16を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷された印刷物の所望の部位に、熱マーカを付与するマーキング部と、
前記熱マーカが付与された印刷物を封筒内に封入する封入部と、
前記印刷物が封入された封筒をプレスするプレス部と、
前記印刷物が封入された封筒の、前記熱マーカの位置を検出するマーカ検出部と、
前記熱マーカの位置に基づいて、前記封筒内に印刷物が正しく封入されているか否かを判定する判定部と、
を備えた印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
封筒及び印刷物を生成し、印刷物を折りたたんで封筒内に封入し、更に封緘する機能を備えた印刷装置が用いられている。このような印刷装置では、封筒内に印刷物が正しく封入されているかを確認する必要があり、例えば特許文献1に開示された封入物の検査方法が知られている。
【0003】
特許文献1では、封入物に、それぞれの種類に対応して識別可能な固有マークを付与し、X線で検出することにより、封筒内に印刷物が正しく封入されているか否かを判定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に開示された技術では、固有マークを付与することにより、印刷物を特定する情報が付与されてしまい、例えば匿名によるアンケートを封入した場合には、個人が特定されてしまうという問題が発生する。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、印刷物に固有情報を付与することなく封筒内に印刷物が正しく封入されていることを確認することが可能な印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願発明に係る印刷装置は、用紙を印刷する印刷部と、前記印刷部で印刷された印刷物の所望の部位に、熱マーカを付与するマーキング部と、前記熱マーカが付与された印刷物を封筒内に封入する封入部と、前記印刷物が封入された封筒をプレスするプレス部と、前記印刷物が封入された封筒の、前記熱マーカの位置を検出するマーカ検出部と、前記熱マーカの位置に基づいて、前記封筒内に印刷物が正しく封入されているか否かを判定する判定部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷物に固有情報を付与することなく封筒内に印刷物が正しく封入されていることを確認することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る印刷装置の、印刷処理の流れを模式的に示す説明図である。
【
図3】
図3は、封筒内に1枚の印刷物を封入、封緘し、印刷物を検査するまでの流れを示すフロー図である。
【
図4】
図4は、封筒内に2枚の印刷物を封入、封緘し、印刷物を検査するまでの流れを示すフロー図である。
【
図5】
図5は、印刷物に付与した熱マーカを封筒に転写することにより、封筒表面に生じる高温領域を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る印刷装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る印刷装置100は、印刷部11と、マーキング部12と、封入部13と、プレス部14と、マーカ検出部15と、判定部16を備えている。
【0011】
印刷部11は、無地の印刷用紙を印刷する。以下では、印刷後の印刷用紙を「印刷物」という。印刷部11はまた、封筒専用紙を印刷し、更に折り曲げることにより封筒を作成する。
【0012】
マーキング部12は、印刷部11で印刷された印刷物の所望の部位に、熱マーカを付与する。熱マーカは、一定の領域の表面温度が高くなるように熱を加えたマーカである。具体的にマーキング部12は、熱したインク、サーマルヘッド、レーザ、赤外線照射器、加熱部材の押し当て、ヒートガン、などを用いることにより、熱マーカを付与する。
【0013】
例えば、高温で透明なインクを塗布することで印刷物に熱マーカを付与することができる。この場合には、例えば印刷装置に用いるグレーインクの代わりに熱マーカ用のインクを用いることにより、既存の印刷装置の機能を用いて印刷物に熱マーカを付与することが可能である。印刷物に付与された熱マーカは、時間経過に伴って放熱し一定時間が経過すると常温に戻る。なお、本実施形態では、高温となる熱マーカを付与する例について説明するが、冷却した熱マーカを付与してもよい。
【0014】
封入部13は、熱マーカが付与された印刷物を封筒内に封入する。
【0015】
プレス部14は、印刷物が封入された封筒をプレスする。封筒をプレスすることにより、印刷物と封筒とが一定の圧力で接する。このため、印刷物に付与されている熱マーカは、封筒表面に転写される。即ち、封筒における所定の領域を高温領域とすることができる。
【0016】
マーカ検出部15は、封筒の表面温度分布を測定する機能を備えている。マーカ検出部15は、印刷物が封入された封筒の高温領域を検出することにより、印刷物に付与されている熱マーカの有無、及び熱マーカの位置を検出する。マーカ検出部15として、サーモカメラ、赤外線カメラなどを用いることができる。
【0017】
判定部16は、マーカ検出部15で検出された熱マーカの位置に基づいて、封筒内に印刷物が正しく封入されているか否かを判定する。即ち、封筒内に印刷物が正しく封入されている場合には、封筒表面の所定の領域に印刷物の熱マーカから転写された高温領域が存在するはずである。従って、封筒表面の高温領域を測定することにより、印刷物が封筒内に正しく封入されているか否かを判定することができる。
【0018】
また、封筒内に複数枚の印刷物を封入する場合においては、印刷物ごとに、熱マーカを付与する位置を変化させる。例えば2枚の印刷物を1つの封筒内に封入する場合には、各印刷物が封筒内に封入された際に、熱マーカの位置が異なるように設定する。判定部16は、2つの位置に高温領域が検出された際に、封筒内に2枚の印刷物が正しく封入されているものと判定する。
【0019】
図2は、実施形態に係る印刷装置による処理の流れを模式的に示す説明図であり、以下
図2に示すフロー図を参照して、印刷から判定までの概略的な処理の流れについて説明する。初めに
図2に示す封筒専用紙1を印刷して封筒を作成する(P1)。
【0020】
また、トレイ2A内に充填されている無地の印刷用紙2を印刷し、封筒内に封入する印刷物を生成する(P2)。
【0021】
次いで、印刷物に熱マーカを付与し、更に印刷物を封筒内に封入可能な大きさに折り曲げる。この際、熱マーカが外側の面に位置するように折り曲げる(P3)。
【0022】
その後、印刷物を封筒内に封入し、且つ封緘する。封緘後の封筒を、プレス部14によりプレスし、プレス後の封筒の表面からマーカ検出部15により高熱領域を検出する(P4)。封筒表面における所定の領域にて高熱領域が検出された場合に、封筒内に印刷物が正しく封入されているものと判定することができる。
【0023】
図3は、封筒内に1枚の印刷物を封入する場合の、処理の流れを示すフロー図である。初めに印刷工程において印刷部11は、封筒専用紙を印刷する。次いで、折り曲げ工程において、印刷後の封筒専用紙を折り曲げて封筒を作成する。
【0024】
また、印刷工程において印刷部11は、無地の印刷用紙を印刷し、マーキング工程においてマーキング部12は、印刷物の所定の部位に熱マーカr1を付与する。折り曲げ工程において、熱マーカが付与された印刷物を封筒内に封入できる大きさに折り曲げる。この際前述したように、折り曲げた際の外面に熱マーカr1が位置するように折り曲げる。
【0025】
封入工程において封入部13は、印刷物を封筒内に封入し、更に封緘工程において、印刷物挿入後の封筒を封緘する。
【0026】
プレス工程においてプレス部14は、封緘後の封筒に一定の圧力を加える。封筒に圧力を加えることにより、印刷物に付与されている熱マーカr1と封筒が一定の圧力にて接することになり、熱マーカr1による熱が封筒表面に転写される。その結果、封筒表面の所望の位置に高温となる領域が形成される。
【0027】
検査工程においてマーカ検出部15は、封筒表面における高温領域を測定する。判定部16は、マーカ検出部15による測定結果に基づいて、封筒内に印刷物が正しく封入されているか否かを判定する。具体的には、封筒表面の所望の位置に熱マーカr1から転写された高温領域が存在する場合には、封筒内に印刷物が正しく封入されていると判定する。
【0028】
このように、実施形態に係る印刷装置では、印刷物に熱マーカr1を付与し、印刷物を封筒に封入した後に、マーカ検出部15により高温領域の有無、及び位置を検出する。そして、この検出結果に基づいて、封筒内に正しく印刷物が封入されているか否かを判定することができる。
【0029】
熱マーカは時間が経過することにより放熱するので、熱マーカを付与したことの痕跡が残らない。このため、封筒に封入されている印刷物が特定されることを回避できる。
【0030】
また、封筒表面から熱マーカr1が付与される印刷物まで距離(介在する用紙の厚さ)に応じて熱マーカr1の温度を変化させることも可能である。例えば、封筒を作成する封筒専用紙が厚い場合、或いは印刷物に付与した熱マーカr1と封筒との間に他の用紙などが介在する場合など、熱マーカr1からの熱が封筒表面に伝達され難い場合には、より高い温度で熱マーカr1を付与する。こうすることにより、封筒の所定領域に確実に高温領域を転写させることが可能になる。例えば、熱マーカr1を付与する時間を長く設定することにより、熱マーカr1の温度を高くすることが可能になる。
【0031】
次に、封筒内に2枚の印刷物を封入する場合の処理手順について説明する。
図4は、封筒内に2枚の印刷物を封入する場合の、処理の流れを示すフロー図である。初めに印刷工程において印刷部11は、封筒専用紙を印刷する。次いで、折り曲げ工程において、印刷後の封筒専用紙を折り曲げて封筒を作成する。
【0032】
また、印刷工程において印刷部11は、無地の印刷用紙を印刷し2枚の印刷物を作成する。マーキング工程においてマーキング部12は、各印刷物に熱マーカr1、r2を付与する。この際、各印刷物の熱マーカr1、r2の位置が異なる位置となるようにする。折り曲げ工程において、熱マーカr1、r2が付与された各印刷物を封筒内に封入できる大きさに折り曲げる。
【0033】
封入工程において封入部13は、2枚の印刷物を封筒内に封入し、封緘工程において、印刷物挿入後の封筒を封緘する。
【0034】
プレス工程においてプレス部14は、封緘後の封筒に一定の圧力を加える。封筒に圧力を加えることにより、2枚の印刷物に付与されている熱マーカr1、r2と封筒が一定の圧力にて接することになり、熱マーカr1、r2による熱が封筒表面に転写される。
【0035】
封筒内には2枚の印刷物が封入されており、且つ、このうち第1の印刷物は封筒に直接接しており、第2の印刷物は第1の印刷物を挟んで封筒に接することになる。従って、第1の印刷物の熱マーカr1により封筒に転写される高温領域は、第2の印刷物の熱マーカr2により封筒に転写される高温領域よりも温度が高くなる。
【0036】
図5は、封筒表面をマーカ検出部15で検出したときの熱分布画像D1を示す説明図である。
図5に示すように、熱分布画像D1における符号p1に示す領域は第1の印刷物の熱マーカr1から転写された高熱領域を示し、符号p2に示す領域は第2の印刷物の熱マーカr2から転写された高温領域を示している。
図5に示すように、領域p1は領域p2よりも高温であることが判る。
【0037】
検査工程においてマーカ検出部15は、封筒表面における高温領域を測定する。即ち、
図5に示すように、封筒表面における高温領域p1、p2を測定する。判定部16は、マーカ検出部15による測定結果に基づいて、封筒内に2枚の印刷物が正しく封入されているか否かを判定する。具体的には、封筒表面の所望の2つの位置に熱マーカr1、r2から転写された高温領域が存在する場合には、封筒内に印刷物が正しく封入されていると判定する。
【0038】
このように、封筒内に複数枚の印刷物を挿入する場合には、各印刷物に付与する熱マーカr1、r2の位置を変更することにより、封筒内に正しく封入されているか否かを高精度に検出することが可能になる。なお、上記した実施形態では、1枚及び2枚の印刷物を封筒内に封入する例について説明したが、3枚以上の印刷物を封入する場合においても適用することが可能である。
【0039】
また、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0040】
[付記1]
用紙を印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷された印刷物の所望の部位に、熱マーカを付与するマーキング部と、
前記熱マーカが付与された印刷物を封筒内に封入する封入部と、
前記印刷物が封入された封筒をプレスするプレス部と、
前記印刷物が封入された封筒の、前記熱マーカの位置を検出するマーカ検出部と、
前記熱マーカの位置に基づいて、前記封筒内に印刷物が正しく封入されているか否かを判定する判定部と、
を備えた印刷装置。
【符号の説明】
【0041】
11 印刷部
12 マーキング部
13 封入部
14 プレス部
15 マーカ検出部
16 判定部
100 印刷装置
D1 熱分布画像
r1、r2 熱マーカ