(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176296
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20241212BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20241212BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20241212BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20241212BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20241212BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20241212BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20241212BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/531
H01M50/548 101
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/474
H01M10/058
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094751
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 直也
【テーマコード(参考)】
5H011
5H021
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011CC06
5H011FF02
5H021AA02
5H021EE04
5H028AA07
5H028BB04
5H028CC08
5H028CC12
5H029AJ03
5H029AK03
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H043AA05
5H043BA11
5H043CA04
5H043CA12
5H043DA13
5H043HA32E
(57)【要約】
【課題】二次電池のエネルギー密度を向上させる。
【解決手段】二次電池の製造方法は、第1開口と、第1開口と対向する第2開口とを有するケース本体を準備する工程と、第1電極と、第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に第1電極に接続された第1電極タブを有し、第1端部に対して逆側の第2端部に第2電極に接続された第2電極タブを有する電極体を作製する工程と、第1封口板に設けられた第1電極端子と第1電極タブとを電気的に接続する工程と、第1電極端子と第1電極タブとを電気的に接続した後、第1開口を介して、電極体を第2端部側からケース本体に挿入する工程と、電極体をケース本体に挿入した後、第2封口板に設けられた第2電極端子と第2電極タブとを電気的に接続する工程と、電極体をケース本体に挿入した後、第1封口板により第1開口を封口する工程と、第2電極端子と第2電極タブとを電気的に接続した後、第2封口板により第2開口を封口する工程とを備える。
【選択図】
図28
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口と、前記第1開口と対向する第2開口とを有するケース本体を準備する工程と、
第1電極と、前記第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に前記第1電極に接続された第1電極タブを有し、前記第1端部に対して逆側の第2端部に前記第2電極に接続された第2電極タブを有する電極体を作製する工程と、
第1封口板に設けられた第1電極端子と前記第1電極タブとを電気的に接続する工程と、
前記第1電極端子と前記第1電極タブとを電気的に接続した後、前記第1開口を介して、前記電極体を前記第2端部側から前記ケース本体に挿入する工程と、
前記電極体を前記ケース本体に挿入した後、第2封口板に設けられた第2電極端子と前記第2電極タブとを電気的に接続する工程と、
前記電極体を前記ケース本体に挿入した後、前記第1封口板により前記第1開口を封口する工程と、
前記第2電極端子と前記第2電極タブとを電気的に接続した後、前記第2封口板により前記第2開口を封口する工程とを備えた、二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記第1封口板と前記電極体との間にスペーサを配置する工程をさらに備え、
前記第1封口板により前記スペーサを介して前記電極体を押圧することにより前記電極体を前記ケース本体に挿入する、請求項1に記載の二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記電極体を前記ケース本体に挿入する工程において、前記スペーサは、前記電極体の前記第1端部における前記第1電極タブと離間した位置に当接する、請求項2に記載の二次電池の製造方法。
【請求項4】
前記スペーサを配置する工程は、前記第1封口板に前記スペーサを固定することを含む、請求項2または請求項3に記載の二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記スペーサを配置する工程は、前記電極体に前記スペーサを固定することを含む、請求項2または請求項3に記載の二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記ケース本体に挿入される前の前記電極体を絶縁性の電極体ホルダで覆う工程をさらに備えた、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記第1封口板と前記電極体との間にスペーサを配置する工程をさらに備え、
前記電極体を保持して前記電極体の一部を前記ケース本体に挿入した後、前記第1封口板により前記スペーサを介して前記電極体を押圧することにより、前記第1封口板が前記ケース本体に当接するまで前記電極体を前記ケース本体に挿入する、請求項1に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第4537353号公報(特許文献1)には、両端に開口部(14a,14b)を有するケース(14)に電極群(25)が収納され、開口部(14a,14b)を封口するキャッププレート(33,33’)に電極端子(21,23)を各々取り付けた角形の二次電池が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池のエネルギー密度のさらなる向上が求められている。エネルギー密度の向上という観点から、特許文献1に記載の電池には、さらなる改良の余地がある。
【0005】
本技術の目的は、エネルギー密度が高い二次電池が得られる二次電池の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、以下の二次電池の製造方法を提供する。
【0007】
[1]第1開口と、第1開口と対向する第2開口とを有するケース本体を準備する工程と、第1電極と、第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に第1電極に接続された第1電極タブを有し、第1端部に対して逆側の第2端部に第2電極に接続された第2電極タブを有する電極体を作製する工程と、第1封口板に設けられた第1電極端子と第1電極タブとを電気的に接続する工程と、第1電極端子と第1電極タブとを電気的に接続した後、第1開口を介して、電極体を第2端部側からケース本体に挿入する工程と、電極体をケース本体に挿入した後、第2封口板に設けられた第2電極端子と第2電極タブとを電気的に接続する工程と、電極体をケース本体に挿入した後、第1封口板により第1開口を封口する工程と、第2電極端子と第2電極タブとを電気的に接続した後、第2封口板により第2開口を封口する工程とを備えた、二次電池の製造方法。
【0008】
[2]第1封口板と電極体との間にスペーサを配置する工程をさらに備え、第1封口板によりスペーサを介して電極体を押圧することにより電極体をケース本体に挿入する、[1]に記載の二次電池の製造方法。
【0009】
[3]電極体をケース本体に挿入する工程において、スペーサは、電極体の第1端部における第1電極タブと離間した位置に当接する、[2]に記載の二次電池の製造方法。
【0010】
[4]スペーサを配置する工程は、第1封口板にスペーサを固定することを含む、[2]または[3]に記載の二次電池の製造方法。
【0011】
[5]スペーサを配置する工程は、電極体にスペーサを固定することを含む、[2]または[3]に記載の二次電池の製造方法。
【0012】
[6]ケース本体に挿入される前の電極体を絶縁性の電極体ホルダで覆う工程をさらに備えた、[1]から[5]のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【0013】
[7]第1封口板と電極体との間にスペーサを配置する工程をさらに備え、電極体を保持して電極体の一部をケース本体に挿入した後、第1封口板によりスペーサを介して電極体を押圧することにより、第1封口板がケース本体に当接するまで電極体をケース本体に挿入する、[1]に記載の二次電池の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本技術によれば、互いに対向する第1開口および第2開口を有するケース本体に電極体を挿入し、第1開口および第2開口を各々封口する第1封口板および第2封口板に第1電極端子および第2電極端子を各々設けることにより、二次電池の高さを低減し、二次電池の車両への搭載性を高めることができる。さらに、第1電極端子と第1電極タブとを電気的に接続した後、第1開口を介して、電極体を第2端部側からケース本体に挿入する、すなわち、ケース本体に電極体を挿入する前に第1封口板を第1電極タブに取り付けることにより、ケース本体に電極体を挿入した後に第1封口板を第1電極タブに取り付ける場合と比較して、第1電極タブの長さを比較的短く形成することが可能となる。この結果、ケース本体内の空間において電極体が占める体積を大きくすることができるので、二次電池のエネルギー密度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図1に示す二次電池を矢印II方向からみた状態を示す図である。
【
図3】
図1に示す二次電池を矢印III方向からみた状態を示す図である。
【
図4】
図1に示す二次電池を矢印IV方向からみた状態を示す図である。
【
図6】負極板が成形される前の負極原板を示す正面図である。
【
図7】
図6に示す負極原板のVII-VII断面図である。
【
図8】負極原板から形成された負極板を示す正面図である。
【
図9】正極板が成形される前の正極原板を示す正面図である。
【
図10】
図9に示す正極原板のX-X断面図である。
【
図11】正極原板から形成された正極板を示す正面図である。
【
図12】二次電池から取り出した電極体と集電体とを示す図である。
【
図13】負極タブ群と負極集電体との接続構造を示す図である。
【
図16】電極体をケース本体に挿入する工程を示す図である。
【
図17】封口板と電極体との間にスペーサを配置する工程を示す図である。
【
図18】封口板と電極体との間にスペーサを配置した状態を示す断面図である。
【
図20】封口板およびスペーサを介して電極体を押圧する機構の一例を示す図である。
【
図21】
図20に示す機構をZ軸方向から見た状態を示す図である。
【
図22】スペーサの変形例を示す図(その1)である。
【
図23】スペーサの変形例を示す図(その2)である。
【
図24】スペーサの変形例を示す図(その3)である。
【
図25】スペーサの変形例を示す図(その4)である。
【
図26】スペーサの変形例を示す図(その5)である。
【
図27】スペーサの変形例を示す図(その6)である。
【
図28】二次電池の製造方法の各工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0017】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0018】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0019】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0020】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0021】
(電池の全体構成)
図1は、本実施の形態に係る二次電池1の正面図である。
図2ないし
図4は、各々、
図1に示す二次電池1を矢印II方向、矢印III方向、矢印IV方向からみた状態を示す図である。
図5は、
図1に示す二次電池1の正面断面図である。
【0022】
二次電池1は、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、およびハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)などに搭載可能である。ただし、二次電池1の用途は、車載用に限定されるものではない。
【0023】
図1ないし
図5に示すように、二次電池1は、外装体100と、電極体200と、集電体300とを含む。外装体100は、ケース本体110と、封口板121(第1封口板)と、封口板122(第2封口板)とを含む。
【0024】
本願明細書においては、
図1ないし
図5に示すX軸方向(第1の方向)を二次電池1ないしケース本体110の「幅方向」と称し、同じくY軸方向(第2の方向)を二次電池1ないしケース本体110の「厚み方向」と称し、同じくZ軸方向(第3の方向)を二次電池1ないしケース本体110の「高さ方向」と称する場合がある。
【0025】
二次電池1を含む組電池を構成するときは、複数の二次電池1が、それらの厚み方向に積層される。積層された二次電池1は、拘束部材により積層方向(Y軸方向)に拘束されて電池モジュールとされてもよいし、拘束部材を用いることなく、電池パックのケースの側面に組電池が直接的に支持されてもよい。
【0026】
ケース本体110は、筒状、好ましくは角筒状の部材からなる。これにより、角形の二次電池1が得られる。ケース本体110は、金属製である。具体的には、ケース本体110は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0027】
図1,
図2に示すように、ケース本体の両端部に封口板121,122が各々設けられる。ケース本体110は、たとえば、曲げ加工を施した板状部材の端辺どうしを当接させ(
図2に例示する接合部110A)、互いに接合(たとえばレーザ溶接)することで、角筒状に形成され得る。「角筒状」の角部はR形状を有してもよい。
【0028】
本実施の形態において、ケース本体110は、二次電池1の幅方向(X軸方向)において、二次電池1の厚み方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)よりも長く形成される。ケース本体110のX軸方向の寸法(幅)は、好ましくは30cm以上程度である。これにより、比較的大型(高容量)の二次電池1を構成することができる。ケース本体110のZ軸方向の寸法(高さ)は、好ましくは20cm以下程度であり、より好ましくは15cm以下程度であり、さらに好ましくは10cm以下程度である。これにより、比較的高さの低い(低ハイト)の二次電池1を構成することができ、たとえば車両への搭載性が向上する。
【0029】
図3に示すように、ケース本体110の一方の端部には開口111(第1開口)が設けられる。開口111は、封口板121により封口される。封口板121には、負極端子131(第1電極端子)と、注液孔141と、ガス排出弁151とが設けられる。負極端子131、注液孔141およびガス排出弁151の位置は適宜変更され得る。開口111および封口板121は、Y軸方向が短手方向、Z軸方向が長手方向となる略矩形形状を有する。
【0030】
図4に示すように、ケース本体110の一方の端部には開口112(第2開口)が設けられる。開口112は、封口板122により封口される。封口板122には、正極端子132(第2電極端子)と、注液孔142と、ガス排出弁152とが設けられる。正極端子132、注液孔142およびガス排出弁152の位置は適宜変更され得る。開口112および封口板122は、Y軸方向が短手方向、Z軸方向が長手方向となる略矩形形状を有する。
【0031】
封口板121,122は、金属製である。具体的には、封口板121,122は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0032】
負極端子131は、電極体200の負極と電気的に接続される。正極端子132は、電極体200の正極と電気的に接続される。
【0033】
負極端子131は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえば銅または銅合金などにより構成され得る。負極端子131の外側表面部分にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる部分ないし層を設けてもよい。
【0034】
正極端子132は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などにより構成され得る。
【0035】
注液孔141,142は、封止部材(図示せず)により封止される。封止部材としては、たとえばブラインドリベットおよびその他の金属部材を用いることができる。
【0036】
ガス排出弁151,152は、外装体100内の圧力が所定値以上になったときに破断し、外装体100内のガスを外部に排出する。
【0037】
電極体200は、後述する正極板および負極板を有する扁平形状の電極体である。具体的には、電極体200は、図示しない帯状のセパレータを介して帯状の正極板および帯状の負極板がともに巻回された巻回型電極体である。ただし、本明細書において「電極体」は巻回型電極体に限定されず、複数枚の正極板と複数枚の負極板とが交互に積層された積層型電極体であってもよい。電極体が複数の正極板と複数の負極板を含み、各正極板に設けられた正極タブが積層されて正極タブ群を構成してもよく、各負極板に設けられた負極タブが積層されて負極タブ群を構成してもよい。
【0038】
図5に示すように、外装体100は、電極体200を収容する。電極体200は、その巻回軸がX軸方向と平行になるように外装体100内に収容される。
【0039】
具体的には、外装体100内に配置された後述の絶縁シート600の内側に、単数または複数の巻回型電極体が図示しない電解液(電解質)とともに収容されている。電解液(非水電解液)としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジエチルカーボネート(DEC)とを、体積比(25℃)30:30:40の割合で混合した非水溶媒に、LiPF6を1.2モル/Lの濃度で溶解させたものを用いることができる。なお、電解液に代えて、固体電解質が用いられてもよい。
【0040】
電極体200は、封口板121側の端部(第1端部)に設けられた負極タブ群210A(第1電極タブ群)と、封口板122側の端部(第2端部)に設けられた正極タブ群220A(第2電極タブ群)とを含む。負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aは、電極体200の負極および正極に各々接続される。負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aは、電極体200の本体部分(正極板と負極板とがセパレータを介して積層された部分)から各々封口板121,122に向かって突出するように形成される。
【0041】
集電体300は、負極集電体310(第1集電体)と正極集電体320(第2集電体)とを含む。負極集電体310および正極集電体320は、各々板状部材からなる。電極体200は、集電体300を介して負極端子131および正極端子132と電気的に接続される。
【0042】
負極集電体310は、樹脂製の絶縁部材410を介して、封口板121上に配置されている。負極集電体310は、負極タブ群210Aおよび負極端子131と電気的に接続される。負極集電体310は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえば銅または銅合金などにより構成され得る。
【0043】
正極集電体320は、樹脂製の絶縁部材420を介して、封口板122上に配置されている。正極集電体320は、正極タブ群220Aおよび正極端子132と電気的に接続される。正極集電体320は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などにより構成され得る。なお、正極タブ群220Aは、直接、または正極集電体320を介して封口板122に電気的に接続されてもよい。この場合、封口板122が正極端子132を兼ねてもよい。
【0044】
(電極体200の構成)
図6は、負極板210(第1電極)が成形される前の負極原板210Sを示す正面図であり、
図7は、
図6に示す負極原板210SのVII-VII断面図であり、
図8は、負極原板210Sから形成された負極板210を示す正面図である。
【0045】
負極板210は、負極原板210Sを加工することにより製造される。
図6および
図7に示すように、負極原板210Sは、負極芯体211と、負極活物質層212とを含む。負極芯体211は、銅箔または銅合金箔である。
【0046】
負極芯体211には、両面の一方側の端部を除いて負極活物質層212が形成されている。負極活物質層212は、負極活物質層スラリーをダイコータによって塗布することにより形成される。
【0047】
負極活物質層スラリーは、負極活物質としての黒鉛、結着材としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)、および、分散媒としての水を、黒鉛:SBR:CMCの質量比が約98:1:1となるように混練することによって作製される。
【0048】
負極活物質層スラリーが塗布された負極芯体211を乾燥させ、負極活物質層スラリーに含まれる水を除去することにより、負極活物質層212が形成される。さらに、負極活物質層212を圧縮することにより、負極芯体211および負極活物質層212を含む負極原板210Sが形成される。負極原板210Sを所定の形状に切断することにより、負極板210が成形される。負極原板210Sは、エネルギー線の照射によるレーザ加工、金型加工、または、カッター加工などにより切断することができる。
【0049】
図8に示すように、負極原板210Sから成形された負極板210の幅方向の一方端部には、負極芯体211からなる負極タブ210Bが複数設けられている。負極板210を巻回したとき、複数の負極タブ210Bが積層されて負極タブ群210Aとなる。複数の負極タブ210Bの各々の位置および突出方向の長さは、負極タブ群210Aが負極集電体310に接続される状態を考慮して適宜調整される。なお、負極タブ210Bの形状は
図8に例示するものに限定されない。
【0050】
図9は、正極板220(第2電極)が成形される前の正極原板220Sを示す正面図であり、
図10は、
図9に示す正極原板220SのX-X断面図であり、
図11は、正極原板220Sから形成された正極板220を示す正面図である。
【0051】
正極板220は、正極原板220Sを加工することにより製造される。
図9および
図10に示すように、正極原板220Sは、正極芯体221と、正極活物質層222と、正極保護層223とを含む。正極芯体221は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔である。
【0052】
正極芯体221には、両面の一方側の端部を除いて正極活物質層222が形成されている。正極活物質層222は、正極活物質層スラリーをダイコータによって塗布することにより正極芯体221上に形成される。
【0053】
正極活物質層スラリーは、正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電材としての炭素材料、および、分散媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物:PVdF:炭素材料の質量比が約97.5:1:1.5となるように混練することによって作製される。
【0054】
正極保護層223は、正極芯体221に接し、正極活物質層222の幅方向の一方側の端部に形成されている。正極保護層223は、正極保護層スラリーをダイコータによって塗布することにより正極芯体221上に形成される。正極保護層223は、正極活物質層222の電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する。
【0055】
正極保護層スラリーは、アルミナ粉末、導電材としての炭素材料、結着材としてのPVdF、および、分散媒としてのNMPを、アルミナ粉末:炭素材料:PVdFの質量比が約83:3:14となるように混練することによって作製される。
【0056】
正極活物質層スラリーおよび正極保護層スラリーが塗布された正極芯体221を乾燥させ、正極活物質層スラリーおよび正極保護層スラリーに含まれるNMPを除去することにより、正極活物質層222および正極保護層223が形成される。さらに、正極活物質層222を圧縮することにより、正極芯体221、正極活物質層222および正極保護層223を含む正極原板220Sが形成される。正極原板220Sを所定の形状に切断することにより、正極板220が成形される。正極原板220Sは、エネルギー線の照射によるレーザ加工、金型加工、または、カッター加工などにより切断することができる。
【0057】
図11に示すように、正極原板220Sから成形された正極板220の幅方向の一方端部には、正極芯体221からなる正極タブ220Bが複数設けられている。正極板220を巻回したとき、複数の正極タブ220Bが積層されて正極タブ群220Aとなる。複数の正極タブ220Bの各々の位置および突出方向の長さは、正極タブ群220Aが正極集電体320に接続される状態を考慮して適宜調整される。なお、正極タブ220Bの形状は
図11に例示するものに限定されない。
【0058】
複数の正極タブ220Bの各々の根元には、正極保護層223が設けられている。正極タブ220Bの根元に必ずしも正極保護層223が設けられていなくてもよい。
【0059】
典型的な例では、負極タブ210B(1枚)の厚みは、正極タブ220B(1枚)の厚みよりも小さい。この場合、負極タブ群210Aの厚みは、正極タブ群220Aの厚みよりも小さい。
【0060】
(電極体200と集電体300との接続構造)
図12は、二次電池1から取り出した電極体200と集電体300とを示す図である。
図12に示すように、電極体200は、各々が巻回型電極体である2つの電極体201,202を重ねることによって形成されている。
図12に示す例では、2つの巻回型電極体を重ねる構造を示しているが、電極体200は1つの巻回型電極体により構成されてもよいし、3つ以上の巻回型電極体により構成されてもよいし、積層型電極体により構成されてもよい。
【0061】
負極タブ群210Aは、接合部310Aにおいて負極集電体310と接合され、正極タブ群220Aは、接合部320Aにおいて正極集電体320と接合される。接合部310A,320Aは、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により形成し得る。接合部310A,320Aは、負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aと負極端子131および正極端子132との間の導電経路を構成する。
【0062】
図13は、負極タブ群210Aと負極集電体310との接続構造を示す図である。
図14,
図15は、各々、
図13に示す接続構造の正面図および断面図である。
【0063】
図13ないし
図15に示すように、負極集電体310は、電極体200と封口板121との間において負極端子131と接続されている。負極集電体310は、第1導電部材311と、第2導電部材312とを含む。第1導電部材311と第2導電部材312とは、接合部313において接合される。
【0064】
負極タブ群210Aは、接合部310Aにおいて負極集電体310の第1導電部材311と接合される。第1導電部材311は、接合部313において第2導電部材312と接続される。接合部313は、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により形成し得る。
【0065】
第1導電部材311および第2導電部材312は、樹脂製の絶縁部材410を介して封口板121の内面側に取り付けられる。
【0066】
負極端子131は、樹脂製の絶縁部材410Aを介して封口板121に取り付けられる。負極端子131は、封口板121の外側に露出し、かつ、封口板121の内面側に設けられた負極集電体310の第2導電部材312に達するように設けられる。負極端子131と第2導電部材312とは、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により接続され得る。本実施の形態では、第2導電部材312に貫通孔を設け、負極端子131を当該貫通孔に挿入し、負極端子131を第2導電部材312上でカシメた後、カシメ部分と第2導電部材312とを接合部131Aにおいて溶接することによって負極端子131と第2導電部材312とが接続される。
【0067】
各部品の組み付け手順としては、まず、負極端子131および第2導電部材312が、絶縁部材410,410Aとともに封口板121に取り付けられる。続いて、電極体200に接続された第1導電部材311が第2導電部材312に取り付けられる。このとき、第1導電部材311の一部が第2導電部材312と重なるように第1導電部材311が絶縁部材410上に配置される。続いて、接合部313において第1導電部材311と第2導電部材312とが溶接接続される。なお、絶縁部材410,410Aは一部材から構成されてもよい。
【0068】
ただし、負極端子131は封口板121と電気的に接続されていてもよい。また、封口板121が負極端子131の役割を果たしてもよい。
【0069】
なお、
図13ないし
図15においては、2つの部品(第1導電部材311および第2導電部材312)からなる負極集電体310を例示したが、負極集電体310は、1つの部品から構成されていてもよい。
【0070】
図13ないし
図15においては負極側の接続構造について示したが、正極側についても、基本的な接続構造は負極側と同様である。
【0071】
(電極体200の挿入工程)
図16は、電極体200をケース本体110に挿入する工程を示す図である。
図16に示すように、電極体200とケース本体110の間には樹脂製の絶縁シート600(電極体ホルダ)が配置される。
【0072】
絶縁シート600は、たとえば樹脂により構成し得る。より具体的には、絶縁シート600の材質は、たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)またはポリオレフィン(PO)である。
【0073】
絶縁シート600は、必ずしも電極体200の全面を覆う必要はない。絶縁シート600は、好ましくは電極体の外表面の50%以上程度、より好ましくは70%以上程度の面積を覆う。絶縁シート600は、略直方体状(扁平形状)の電極体200の6面のうち、少なくとも負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aが各々形成された2面以外の4面の全体を覆うことが好ましい。
【0074】
図17は、封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置する工程を示す図である。
図18は、封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置した状態を示す断面図である。
【0075】
図17,
図18に示すように、電極体200から封口板121に向かう負極タブ群210Aは、封口板121のY軸方向の中央部から端部に向かい、その後、逆向きに折り返して中央部に向かうように湾曲させられる。湾曲した負極タブ群210A(湾曲部)を収納するようにスペーサ510が配置される。
【0076】
スペーサ510は、第1スペーサ511と、第2スペーサ512とを含む。第1スペーサ511および第2スペーサ512は、各々、封口板121の端部側から中央側に向かうようにY軸方向に沿ってスライドさせることにより、互いに係合する。これにより、スペーサ510は、絶縁部材410を介して封口板121に固定され、スペーサ510の位置の安定性が増す。
【0077】
図18に示すように、スペーサ510は、負極集電体310を収納する内部空間を形成し、負極タブ群210Aの先端部分もスペーサ510の内部空間に収納される。スペーサ510は、負極タブ群210Aを通過させる孔部を有する。
【0078】
スペーサ510の素材は特に限定されないが、樹脂などの絶縁性素材を用いることが好ましい。より具体的には、ポリオレフィン(PO)製のシートを用いることが好ましい。また、スペーサ510と電極体200との間に絶縁シート600を介在させてもよい。
【0079】
再び
図16を参照して、本実施の形態に係る二次電池1の製造方法においては、負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続した後に、開口111を介して、電極体200を正極タブ群220A側の端部側からケース本体110に挿入している。電極体200をケース本体110の所定の位置まで挿入したとき、正極タブ群220Aはケース本体110の開口112からケース本体110の外部に突出する。これにより、電極体200をケース本体110に挿入した後、正極端子132と正極タブ群220Aとの接続を行うことができる。
【0080】
ケース本体110に電極体200を挿入した後に、封口板121に取り付けられた負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続する場合には、ケース本体110に収納された電極体200の負極タブ群210Aがケース本体110の外部に十分に突出する長さが負極タブ群210Aに求められる。ケース本体110に電極体200を挿入する前に、封口板121に取り付けられた負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続することにより、ケース本体110に電極体200を挿入した後に接続する場合と比較して、負極タブ群210Aの長さを縮小することができる。結果として、ケース本体110の内部空間における負極板210および正極板220の体積占有率を増大させることができる。
【0081】
また、
図16の例では、負極タブ群210Aの湾曲部を収納するスペーサ510を配置した後に電極体200をケース本体110に挿入している。このようにすることで、電極体200の挿入工程における負極タブ群210Aの湾曲部の保護を図ることができる。
【0082】
また、
図16の例では、電極体200が絶縁シート600により覆われた状態で電極体200をケース本体110に挿入している。これにより、ケース本体110への挿入時の電極体200の損傷を抑制することができる。
【0083】
電極体200の挿入工程時に、ケース本体110を所定の角度に保持することができる。一例として、X軸方向(ケース本体110の幅方向)が水平方向に対して±45°以下程度の角度で交差するようにケース本体110を保持した状態で電極体200を挿入することが好ましい。たとえば、鉛直方向において、電極体200が挿入される開口111の上端部が、開口112の上端部よりも上方に位置するよう、ケース本体110を傾けた状態とし、ケース本体110に電極体200を挿入することができる。
【0084】
電極体200の挿入工程は、開口111側から電極体200を押し込む態様に限定されず、たとえば、開口112側から電極体200を引っ張る態様であってもよい。
【0085】
図19は、スペーサ510の変形例を示す図である。
図16ないし
図18の例では、封口板121の高さ方向(Z軸方向)の一部にスペーサ510が配置されているが、
図19に示すように、封口板121の高さ方向の略全域にわたってスペーサ510が配置されてもよい。このとき、スペーサ510は、負極タブ群210AからZ軸方向に離間した位置(第1領域)において、負極タブ群210Aの近傍(第2領域)よりも電極体200側に突出する部分を有してもよい。第1領域と第2領域との境界に段差(好ましくは1mm以上程度の段差)が形成されてもよい。このようにすることで、電極体200のケース本体110への挿入時における負極タブ群210Aの損傷を抑制することができる。
【0086】
(電極体を押圧する機構)
図20は、封口板121およびスペーサ510Aを介して電極体200を押圧する機構の一例を示す図である。
図21は、
図20に示す機構をZ軸方向から見た状態を示す図である。スペーサ510Aは、上述したスペーサ510の変形例である。
【0087】
図20,
図21に示すように、スペーサ510Aは、封口板121および電極体200の高さ方向(Z軸方向)において、負極タブ群210Aおよび負極集電体310を避けた位置(負極タブ群210Aおよび負極集電体310から離間した位置)に配置される。より具体的には、スペーサ510Aは、Z軸方向において負極タブ群210Aを挟むように2箇所に分かれて配置される。スペーサ510Aは、電極体200において、負極タブ群210Aが設けられていない部分を押圧することが好ましい。特に、負極板210の端部よりもセパレータが突出した部分を押圧することが好ましい。スペーサ510Aは、Z軸方向において負極タブ群210Aの片側にのみ設けられてもよい。スペーサ510Aは、たとえば接着、溶着、テープ貼り付けなどの方法により封口板121および/または電極体200に固定し得る。なお、スペーサ510Aが負極タブ群210Aに接触してもよい。
【0088】
スペーサ510Aにおいて注液孔141が対向する位置には、貫通孔、切り欠き、スリット等を設けることが好ましい。また、スペーサ510Aにおいてガス排出弁151が対向する位置には、貫通孔、切り欠き、スリット等を設けることが好ましい。これにより、注液孔141あるいはガス排出弁151の機能をより確実に確保できる。
【0089】
図20,
図21の例では、スペーサ510Aを介して電極体200を押圧することにより電極体200がケース本体110に挿入される。電極体200の挿入工程の初期には電極体200を保持して電極体200の一部がケース本体110に挿入された状態とした後、スペーサ510Aを介して電極体200を押圧することにより電極体200をさらに挿入してもよい。
【0090】
次に、
図22ないし
図27を用いて、スペーサ510Aのさらなる変形例について説明する。
【0091】
図22に示すスペーサ510Bは、2つの突出部510B1を有する。2つの突出部510B1は、先端に向かってY軸方向の幅が縮小するテーパ形状を各々有する。2つの突出部510B1の先端は、各々、電極体201,202とケース本体110の内面との間に挿入される。電極体200の挿入工程において、突出部510B1を介して、電極体201,202をケース本体110の内部へ押圧することが可能である。
【0092】
図23に示すスペーサ510Cは、突出部510C1を有する。突出部510C1は、先端に向かってY軸方向の幅が縮小するテーパ形状を有する。突出部510C1の先端は、電極体201,202の間に挿入される。電極体200の挿入工程において、突出部510C1を介して、ケース本体110の内部へ電極体201,202を押圧することが可能である。
【0093】
突出部510B1,510C1の形状は適宜変更可能である。たとえば、突出部510B1,510C1の先端が曲線形状(R形状)を有していてもよい。
【0094】
図24に示すスペーサ510Dは、接合部510D1において、絶縁シート600に固定されている。接合部510D1は、たとえば、熱溶着、接着、嵌合、テープ貼り付けなどにより構成され得る。電極体200の挿入工程において、スペーサ510Dおよび絶縁シート600を介して、ケース本体110の内部へ電極体201,202を押圧することが可能である。
【0095】
図24の例では、絶縁シート600がスペーサ510Dを部分的に覆う構造を示したが、絶縁シート600がスペーサ510Dを完全に覆う構造であってもよい。また、スペーサ510Dと絶縁シート600との接合部510D1に代えて、または接合部510D1に加えて、絶縁シート600どうしの接合部を設けてもよい。
【0096】
図25に示すスペーサ510Eは、負極集電体310と封口板121との間を絶縁する絶縁部を兼ねる。当該構成により、電極体200の挿入工程において、スペーサ510Eでより安定的に電極体200を押圧することができる。なお、スペーサ510Eを封口板121に設けられた凹部121Aに嵌合することができる。
【0097】
スペーサ510F(
図26)は、負極集電体310の両側に分離して2つ配置されている。また、絶縁部材410は、負極端子131と封口板121との間に設けられる第1絶縁部材411(ガスケット)と、負極集電体310と封口板121との間に設けられる第2絶縁部材412とを含む。スペーサ510Fは、封口板121に設けられた凹部121Aに嵌合している。
【0098】
図25,
図26に例示する構造においては、スペーサ510E,510Fと封口板121との凹凸嵌合によりスペーサ510E,510Fが封口板121に固定され得る。この凹凸嵌合に代えて、または凹凸嵌合に加えて、他の固定手段(接着、溶着、テープ貼り付けなど)を用いてもよい。また、ラッチ固定が用いられてもよい。
【0099】
図27に示すスペーサ510Gは、負極タブ群210Aの湾曲部をZ軸方向に横切るように配置される。電極体200の挿入工程において、スペーサ510Gを介して、電極体200をケース本体110の内部へ押圧することが可能である。
【0100】
上述した各スペーサに代えて、電極体200に固定されたスペーサを配置してもよい。電極体200へのスペーサの固定は、たとえば、テープ貼り付けなどにより行われる。
【0101】
(二次電池1の製造工程)
図28は、二次電池1の製造方法の各工程を示すフロー図である。
図28に示すように、S10において、ケース本体110を準備する。次に、S20において、電極体200を作製する。S30において、封口板121,122に設けられた電極端子と電極体200の電極タブ群とを電気的に接続する。このとき、まず負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続し(S31)、その後に負極側の封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置し(S40)、さらに電極体200をケース本体110に挿入する(S50)。このとき、正極タブ群220Aは、ケース本体110の開口112からケース本体110の外側に突出する。電極体200がケース本体110に挿入された後に、正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続する(S32)。
【0102】
本実施の形態においては、負極端子131と負極タブ群210Aとの接続(S31)、電極体200の挿入(S50)、正極端子132と正極タブ群220Aとの接続(S32)の順で行う例について説明したが、本技術の範囲はこれに限定されず、正極端子132と正極タブ群220Aとの接続(S32)、電極体200の挿入(S50)、負極端子131と負極タブ群210Aとの接続(S31)の順で行う場合もある。
【0103】
電極端子と電極タブ群との接続(S30)が完了した後、封口板121,122により開口111,112を各々封口する(S60)。封口板121,122による封口工程は、たとえばレーザ溶接により行われる。
【0104】
負極側の封口板121により開口111を封口する工程(S61)は、電極体200をケース本体110に挿入する工程(S50)の後であればよく、正極側の封口板122により開口112を封口する工程(S62)は、正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続する工程(S32)の後であればよい。
【0105】
したがって、たとえば、封口板121により開口111を封口する工程(S61)を、正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続する工程(S32)の前に行ってもよいし、封口板121により開口111を封口する工程(S61)を、封口板122により開口112を封口する工程(S62)の後に行ってもよい。さらに、封口板121,122による封口を行う工程(S61,S62)の少なくとも一部を同時進行で行うことも可能である。
【0106】
(要約)
本実施の形態に係る二次電池1の製造方法について、上述した内容を要約すると、以下のとおりである。
【0107】
二次電池1の製造方法は、
図28に示すように、開口111と、開口111と対向する開口112とを有するケース本体110を準備する工程(S10)と、負極板210と正極板220とを含み、一方の端部に負極板210に接続された負極タブ210Bを含む負極タブ群210Aを有し、他方の端部に正極板220に接続された正極タブ220Bを含む正極タブ群220Aを有する電極体200を作製する工程(S20)と、封口板121に設けられた負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続する工程(S31)と、負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続した後、開口111を介して、電極体200を正極タブ群220A側の端部側からケース本体110に挿入する工程(S50)と、電極体200をケース本体110に挿入した後、封口板122に設けられた正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続する工程(S32)と、電極体200をケース本体110に挿入した後、封口板121により開口111を封口する工程(S61)と、正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続した後、封口板122により開口112を封口する工程(S62)とを備える。
【0108】
一例に係る二次電池1の製造方法は、ケース本体110に挿入される前の電極体200を絶縁シート600で覆うようにしてもよい。ただし、本技術において、電極体200を覆う絶縁シート600は必ずしも必須ではない。
【0109】
一例に係る二次電池1の製造方法は、封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置する工程(S40)をさらに備える。ただし、本技術において、スペーサ510を配置する工程(S40)は必ずしも必須ではない。
【0110】
スペーサ510を配置することにより、スペーサ510を介して電極体200を押圧することにより電極体200をケース本体110に挿入することができる。スペーサ510を介して電極体200を押圧するとき、封口板121をX軸方向から押圧することにより、スペーサ510を介して電極体200を押圧してもよいし、封口板121を保持(Y軸方向に挟持)しながら電極体200側に移動させることにより、スペーサ510を介して電極体200を押圧してもよい。
【0111】
二次電池1の製造方法において、電極体200を保持して電極体200の一部をケース本体110に挿入した後、封口板121によりスペーサ510を介して電極体200を押圧することにより、封口板121がケース本体110に当接するまで電極体200をケース本体110に挿入することができる。これにより、少なくとも電極体200において正極タブ群220Aを除く部分の全体がケース本体110内に配置される。
【0112】
一例に係る二次電池1では、電極体200をケース本体110に挿入する工程(S50)において、スペーサ510は、電極体200の封口板121側の端部における負極タブ群210Aと離間した位置に当接する。なお、スペーサ510は、電極体200に含まれるセパレータが露出した部分を直接または絶縁シート600等を介して間接的に押圧することが好ましい。ただし、スペーサ510が電極体200に当接する位置は適宜変更される。また、スペーサ510は、必ずしも電極体200に当接しなくてもよい。
【0113】
本実施の形態においては、負極側に配置されるスペーサについて説明したが、正極側に同様のスペーサを配置してもよい。負極側および正極側の両方にスペーサを配置してもよいし、負極側および正極側の一方にのみスペーサを配置してもよい。
【0114】
(作用効果)
本実施の形態に係る二次電池1によれば、互いに対向する開口111,112を有するケース本体110に電極体200を挿入し、開口111,112を各々封口する封口板121,122に負極端子131および正極端子132を各々設ける構造とすることにより、二次電池1の高さを低減し、二次電池1の車両への搭載性を高めることができる。さらに、負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続した後、開口111を介して、電極体200を正極タブ群220A側からケース本体110に挿入する、すなわち、ケース本体110に電極体200を挿入する前に封口板121を負極タブ群210Aに取り付けることにより、ケース本体110に電極体200を挿入した後に封口板121を負極タブ群210Aに取り付ける場合と比較して、負極タブ群210Aの長さを比較的短く形成することが可能となる。この結果、ケース本体110内の空間において電極体200が占める体積を大きくすることができるので、二次電池1のエネルギー密度を向上させることができる。
【0115】
また、上述の例では、封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置し、スペーサを介して電極体200を押圧することで電極体200をケース本体110に挿入している。これにより、電極体200の挿入工程において負極タブ群210Aに過度の負荷が加わることを抑制し、負極タブ群210Aの損傷を抑制することができる。したがって、二次電池1をより効率的、安定的に製造することができる。
【0116】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0117】
1 二次電池、100 外装体、110 ケース本体、110A 接合部、111,112 開口、121,122 封口板、121A 凹部、131 負極端子、131A 接合部、132 正極端子、141,142 注液孔、151,152 ガス排出弁、200,201,202 電極体、210 負極板、210A 負極タブ群、210B 負極タブ、210S 負極原板、211 負極芯体、212 負極活物質層、220 正極板、220A 正極タブ群、220B 正極タブ、220S 正極原板、221 正極芯体、222 正極活物質層、223 正極保護層、300 集電体、310 負極集電体、310A 接合部、311 第1導電部材、312 第2導電部材、313 接合部、320 正極集電体、320A 接合部、410,410A 絶縁部材、411 第1絶縁部材、412 第2絶縁部材、510,510A,510B,510C,510D,510E,510F,510G スペーサ、510B1,510C1 突出部、510D1 接合部、511 第1スペーサ、512 第2スペーサ、600 絶縁シート。