(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176298
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】二次電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20241212BHJP
H01M 50/538 20210101ALI20241212BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20241212BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20241212BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20241212BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20241212BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M50/538
H01M50/536
H01M50/548 101
H01M10/0587
H01M50/15
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094753
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 直也
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA04
5H011AA09
5H011BB03
5H011CC06
5H011DD13
5H028AA07
5H028BB01
5H028BB05
5H028BB07
5H028CC08
5H028CC12
5H028CC24
5H028EE01
5H029AK03
5H029AL07
5H029AM01
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ05
5H029CJ07
5H029DJ05
5H029EJ01
5H043AA17
5H043AA19
5H043BA16
5H043BA17
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043EA07
5H043EA15
5H043EA16
5H043EA35
5H043HA08E
5H043HA16E
5H043HA17E
5H043JA06E
5H043KA08E
5H043KA09E
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エネルギー密度が高く、かつ信頼性の高い二次電池を安定的、効率的に製造することが可能な二次電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】二次電池の製造方法は、第1電極と、第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に第1電極に電気的に接続された第1電極タブ群を有し、第1端部に対して逆側の第2端部に第2電極に電気的に接続された第2電極タブ群を有する電極体を作製する工程と、第1封口板に設けられた第1電極端子と第1電極タブ群とを電気的に接続する工程と、第2電極タブ群を第1導電部材に接合する工程と、第2電極タブ群を第1導電部材に接合した後、第1開口を介して、電極体を第2端部側からケース本体に挿入する工程と、第2封口板に設けられた第2電極端子と第2電極タブ群とを電気的に接続する工程と、電極端子と電極タブ群とを電気的に接続した後、封口板により開口を封口する工程とを備える。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口と、前記第1開口と対向する第2開口とを有するケース本体を準備する工程と、
第1電極と、前記第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に前記第1電極に電気的に接続された第1電極タブ群を有し、前記第1端部に対して逆側の第2端部に前記第2電極に電気的に接続された第2電極タブ群を有する電極体を作製する工程と、
第1封口板に設けられた第1電極端子と前記第1電極タブ群とを電気的に接続する工程と、
前記第2電極タブ群を第1導電部材に接合する工程と、
前記第2電極タブ群を前記第1導電部材に接合した後、前記第1開口を介して、前記電極体を前記第2端部側から前記ケース本体に挿入する工程と、
第2封口板に設けられた第2電極端子と前記第2電極タブ群とを電気的に接続する工程と、
前記第1電極端子と前記第1電極タブ群とを電気的に接続した後、前記第1封口板により前記第1開口を封口する工程と、
前記第2電極端子と前記第2電極タブ群とを電気的に接続した後、前記第2封口板により前記第2開口を封口する工程とを備えた、二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記第2電極端子と前記第2電極タブ群とを電気的に接続する工程は、前記電極体を前記ケース本体に挿入した後に前記第1導電部材と前記第2電極端子とを電気的に接続することを含む、請求項1に記載の二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記第1導電部材と前記第2電極端子とを電気的に接続することは、前記第2封口板に取り付けられた第2導電部材に前記第1導電部材を接合することを含む、請求項2に記載の二次電池の製造方法。
【請求項4】
前記第1電極端子と前記第1電極タブ群とを電気的に接続する工程は、前記電極体を前記ケース本体に挿入する前に前記第1電極タブ群を第3導電部材に接合することを含む、請求項1に記載の二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記第1電極端子と前記第1電極タブ群とを電気的に接続する工程は、前記電極体を前記ケース本体に挿入する前に前記第3導電部材と前記第1電極端子とを電気的に接続することを含む、請求項4に記載の二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記第3導電部材と前記第1電極端子とを電気的に接続することは、前記第1封口板に取り付けられた第4導電部材に前記第3導電部材を接合することを含む、請求項5に記載の二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記第1電極タブ群は湾曲部を有し、前記第1電極タブ群における前記湾曲部よりも先端側が前記第3導電部材に接合され、
前記第3導電部材における前記第1電極タブ群と接合された領域は、前記第1封口板に沿って配置される、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項8】
前記第2電極タブ群は湾曲部を有し、前記第2電極タブ群における前記湾曲部よりも先端側が前記第1導電部材に接合され、
前記第1導電部材における前記第2電極タブ群と接合された領域は、前記第2封口板に沿って配置される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記ケース本体に挿入される前の前記電極体を絶縁性の電極体ホルダで覆う工程をさらに備えた、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項10】
第1電極と、前記第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に前記第1電極に電気的に接続された第1電極タブ群を有し、前記第1端部に対して逆側の第2端部に前記第2電極に電気的に接続された第2電極タブ群を有する電極体と、
前記電極体を収容するケースと、
前記ケースに設けられた第1電極端子および第2電極端子と、
前記ケースに収容され、前記第1電極と前記第1電極端子とを電気的に接続する第1集電体と、
前記ケースに収納され、前記第2電極と前記第2電極端子とを電気的に接続する第2集電体とを備え、
前記ケースは、
第1開口、および前記第1開口と対向する第2開口を有するケース本体と、
前記第1電極端子が設けられ、前記第1開口を封口する第1封口板と、
前記第2電極端子が設けられ、前記第2開口を封口する第2封口板とを含み、
前記第1電極タブ群は第1湾曲部を有し、前記第1電極タブ群における前記第1湾曲部よりも先端側が前記第1集電体に接合され、
前記第2電極タブ群は第2湾曲部を有し、前記第2電極タブ群における前記第2湾曲部よりも先端側が前記第2集電体に接合され、
前記第1集電体における前記第1電極タブ群と接合された領域は、前記第1封口板に沿って配置され、
前記第2集電体における前記第2電極タブ群と接合された領域は、前記第2封口板に沿って配置される、二次電池。
【請求項11】
前記第1封口板は、一対の長辺と、前記一対の長辺よりも短い一対の短辺とからなる略矩形形状を有し、
前記第1集電体は、前記第1電極タブ群と接合される第1部品と、前記第1部品と前記第1電極端子とを電気的に接続する第2部品とを含み、
前記第1部品は、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に前記一対の長辺に沿って形成された段差部とを含み、
前記第1領域に前記第1電極タブ群が接合され、前記第2領域は前記第2部品と重なるように配置される、請求項10に記載の二次電池。
【請求項12】
前記第2封口板は、一対の長辺と、前記一対の長辺よりも短い一対の短辺とからなる略矩形形状を有し、
前記第2集電体は、前記第2電極タブ群と接合される第1部品と、前記第1部品と前記第2電極端子とを電気的に接続する第2部品とを含み、
前記第1部品は、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に前記一対の長辺に沿って形成された段差部とを含み、
前記第1領域に前記第2電極タブ群が接合され、前記第2領域は前記第2部品と重なるように配置される、請求項10に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、二次電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第4537353号公報(特許文献1)には、両端に開口部(14a,14b)を有するケース(14)に電極群(25)が収納され、開口部(14a,14b)を封口するキャッププレート(33,33’)に電極端子(21,23)を各々取り付けた角形の二次電池が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、特許文献1に記載の二次電池を製造するにあたり、両端に開口部(14a,14b)を有するケース(14)に電極群(25)を収納する際、挿入方向の先頭側の電極タブ群が挿入を阻害し得る。また、電極タブ群に意図しない変形が生じ得る。信頼性の高い二次電池を安定的、効率的に製造するという観点から、特許文献1に記載の電池には、さらなる改良の余地がある。
【0005】
上記とは異なる観点では、二次電池のエネルギー密度のさらなる向上が求められている。エネルギー密度の向上という観点からも、特許文献1に記載の電池には、さらなる改良の余地がある。
【0006】
本技術の目的は、エネルギー密度が高く、かつ信頼性の高い二次電池を安定的、効率的に製造することが可能な二次電池およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、以下の二次電池およびその製造方法を提供する。
【0008】
[1]第1開口と、第1開口と対向する第2開口とを有するケース本体を準備する工程と、第1電極と、第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に第1電極に電気的に接続された第1電極タブ群を有し、第1端部に対して逆側の第2端部に第2電極に電気的に接続された第2電極タブ群を有する電極体を作製する工程と、第1封口板に設けられた第1電極端子と第1電極タブ群とを電気的に接続する工程と、第2電極タブ群を第1導電部材に接合する工程と、第2電極タブ群を第1導電部材に接合した後、第1開口を介して、電極体を第2端部側からケース本体に挿入する工程と、第2封口板に設けられた第2電極端子と第2電極タブ群とを電気的に接続する工程と、第1電極端子と第1電極タブ群とを電気的に接続した後、第1封口板により第1開口を封口する工程と、第2電極端子と第2電極タブ群とを電気的に接続した後、第2封口板により第2開口を封口する工程とを備えた、二次電池の製造方法。
【0009】
[2]第2電極端子と第2電極タブ群とを電気的に接続する工程は、電極体をケース本体に挿入した後に第1導電部材と第2電極端子とを電気的に接続することを含む、[1]に記載の二次電池の製造方法。
【0010】
[3]第1導電部材と第2電極端子とを電気的に接続することは、第2封口板上に取り付けられた第2導電部材に第1導電部材を接合することを含む、[2]に記載の二次電池の製造方法。
【0011】
[4]第1電極端子と第1電極タブ群とを電気的に接続する工程は、電極体をケース本体に挿入する前に第1電極タブ群を第3導電部材に接合することを含む、[1]から[3]のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【0012】
[5]第1電極端子と第1電極タブ群とを電気的に接続する工程は、電極体をケース本体に挿入する前に第3導電部材と第1電極端子とを電気的に接続することを含む、[4]に記載の二次電池の製造方法。
【0013】
[6]第3導電部材と第1電極端子とを電気的に接続することは、第1封口板上に取り付けられた第4導電部材に第3導電部材を接合することを含む、[5]に記載の二次電池の製造方法。
【0014】
[7]第1電極タブ群は湾曲部を有し、第1電極タブ群における湾曲部よりも先端側が第3導電部材に接合され、第3導電部材における第1電極タブ群と接合された領域は、第1封口板に沿って配置される、[4]から[6]のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【0015】
[8]第2電極タブ群は湾曲部を有し、第2電極タブ群における湾曲部よりも先端側が第1導電部材に接合され、第1導電部材における第2電極タブ群と接合された領域は、第2封口板に沿って配置される、[1]から[6]のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【0016】
[9]ケース本体に挿入される前の電極体を絶縁性の電極体ホルダで覆う工程をさらに備えた、[1]から[6]のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【0017】
[10]第1電極と、第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に第1電極に電気的に接続された第1電極タブ群を有し、第1端部に対して逆側の第2端部に第2電極に電気的に接続された第2電極タブ群を有する電極体と、電極体を収容するケースと、ケースに設けられた第1電極端子および第2電極端子と、ケースに収容され、第1電極と第1電極端子とを電気的に接続する第1集電体と、ケースに収納され、第2電極と第2電極端子とを電気的に接続する第2集電体とを備え、ケースは、第1開口、および第1開口と対向する第2開口を有するケース本体と、第1電極端子が設けられ、第1開口を封口する第1封口板と、第2電極端子が設けられ、第2開口を封口する第2封口板とを含み、第1電極タブ群は第1湾曲部を有し、第1電極タブ群における第1湾曲部よりも先端側が第1集電体に接合され、第2電極タブ群は第2湾曲部を有し、第2電極タブ群における第2湾曲部よりも先端側が第2集電体に接合され、第1集電体における第1電極タブ群と接合された領域は、第1封口板に沿って配置され、第2集電体における第2電極タブ群と接合された領域は、第2封口板に沿って配置される、二次電池。
【0018】
[11]第1封口板は、一対の長辺と、一対の長辺よりも短い一対の短辺とからなる略矩形形状を有し、第1集電体は、第1電極タブ群と接合される第1部品と、第1部品と第1電極端子とを電気的に接続する第2部品とを含み、第1部品は、第1領域と、第2領域と、第1領域と第2領域との間に一対の長辺に沿って形成された段差部とを含み、第1領域に第1電極タブ群が接合され、第2領域は第2部品と重なるように配置される、[10]に記載の二次電池。
【0019】
[12]第2封口板は、一対の長辺と、一対の長辺よりも短い一対の短辺とからなる略矩形形状を有し、第2集電体は、第2電極タブ群と接合される第1部品と、第1部品と第2電極端子とを電気的に接続する第2部品とを含み、第1部品は、第1領域と、第2領域と、第1領域と第2領域との間に一対の長辺に沿って形成された段差部とを含み、第1領域に第2電極タブ群が接合され、第2領域は第2部品と重なるように配置される、[10]に記載の二次電池。
【発明の効果】
【0020】
本技術に係る二次電池の製造方法によれば、電極体をケース本体に挿入する工程において、予め第2電極タブ群を第1導電部材に接合しておくことにより、電極タブ群の意図しない変形(意図しない折れ曲がり等)を抑制することができる。この結果、二次電池を安定的、効率的に製造することが可能となる。
【0021】
また、本技術に係る二次電池によれば、集電体における電極タブ群と接合された領域を封口板に沿って配置することにより、エネルギー密度を向上させることができる。また、本構造を採用することにより、上述の二次電池の製造方法を実施しやすい。
【0022】
このように、本技術によれば、エネルギー密度が高く、かつ信頼性の高い二次電池を安定的、効率的に製造することが可能な二次電池およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図1に示す二次電池を矢印II方向からみた状態を示す図である。
【
図3】
図1に示す二次電池を矢印III方向からみた状態を示す図である。
【
図4】
図1に示す二次電池を矢印IV方向からみた状態を示す図である。
【
図6】負極板が成形される前の負極原板を示す正面図である。
【
図7】
図6に示す負極原板のVII-VII断面図である。
【
図8】負極原板から形成された負極板を示す正面図である。
【
図9】正極板が成形される前の正極原板を示す正面図である。
【
図10】
図9に示す正極原板のX-X断面図である。
【
図11】正極原板から形成された正極板を示す正面図である。
【
図12】二次電池から取り出した電極体と集電体とを示す図である。
【
図13】負極タブ群と負極集電体との接続構造を示す図である。
【
図16】電極体をケース本体に挿入する工程を示す図である。
【
図17】封口板と電極体との間にスペーサを配置する工程を示す図である。
【
図18】封口板と電極体との間にスペーサを配置した状態を示す断面図である。
【
図19】正極タブ群と正極集電体との接続構造を示す図である。
【
図21】二次電池の製造方法の各工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0025】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0026】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0027】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0028】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0029】
(電池の全体構成)
図1は、本実施の形態に係る二次電池1の正面図である。
図2ないし
図4は、各々、
図1に示す二次電池1を矢印II方向、矢印III方向、矢印IV方向からみた状態を示す図である。
図5は、
図1に示す二次電池1の正面断面図である。
【0030】
二次電池1は、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、およびハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)などに搭載可能である。ただし、二次電池1の用途は、車載用に限定されるものではない。
【0031】
図1ないし
図5に示すように、二次電池1は、外装体100と、電極体200と、集電体300とを含む。外装体100は、ケース本体110と、封口板121(第1封口板)と、封口板122(第2封口板)とを含む。
【0032】
本願明細書においては、
図1ないし
図5に示すX軸方向(第1の方向)を二次電池1ないしケース本体110の「幅方向」と称し、同じくY軸方向(第2の方向)を二次電池1ないしケース本体110の「厚み方向」と称し、同じくZ軸方向(第3の方向)を二次電池1ないしケース本体110の「高さ方向」と称する場合がある。
【0033】
二次電池1を含む組電池を構成するときは、複数の二次電池1が、それらの厚み方向に積層される。積層された二次電池1は、拘束部材により積層方向(Y軸方向)に拘束されて電池モジュールとされてもよいし、拘束部材を用いることなく、電池パックのケースの側面に組電池が直接的に支持されてもよい。
【0034】
ケース本体110は、筒状、好ましくは角筒状の部材からなる。これにより、角形の二次電池1が得られる。ケース本体110は、金属製である。具体的には、ケース本体110は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0035】
図1,
図2に示すように、ケース本体の両端部に封口板121,122が各々設けられる。ケース本体110は、たとえば、曲げ加工を施した板状部材の端辺どうしを当接させ(
図2に例示する接合部110A)、互いに接合(たとえばレーザ溶接)することで、角筒状に形成され得る。「角筒状」の角部はR形状を有してもよい。
【0036】
本実施の形態において、ケース本体110は、二次電池1の幅方向(X軸方向)において、二次電池1の厚み方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)よりも長く形成される。ケース本体110のX軸方向の寸法(幅)は、好ましくは30cm以上程度である。これにより、比較的大型(高容量)の二次電池1を構成することができる。ケース本体110のZ軸方向の寸法(高さ)は、好ましくは20cm以下程度であり、より好ましくは15cm以下程度であり、さらに好ましくは10cm以下程度である。これにより、比較的高さの低い(低ハイト)の二次電池1を構成することができ、たとえば車両への搭載性が向上する。
【0037】
図3に示すように、ケース本体110の一方の端部には開口111(第1開口)が設けられる。開口111は、封口板121により封口される。封口板121には、負極端子131(第1電極端子)と、注液孔141と、ガス排出弁151とが設けられる。負極端子131、注液孔141およびガス排出弁151の位置は適宜変更され得る。開口111および封口板121は、Y軸方向が短手方向、Z軸方向が長手方向となる略矩形形状を有する。
【0038】
図4に示すように、ケース本体110の一方の端部には開口112(第2開口)が設けられる。開口112は、封口板122により封口される。封口板122には、正極端子132(第2電極端子)と、注液孔142と、ガス排出弁152とが設けられる。正極端子132、注液孔142およびガス排出弁152の位置は適宜変更され得る。開口112および封口板122は、Y軸方向が短手方向、Z軸方向が長手方向となる略矩形形状を有する。
【0039】
封口板121,122は、金属製である。具体的には、封口板121,122は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0040】
負極端子131は、電極体200の負極と電気的に接続される。正極端子132は、電極体200の正極と電気的に接続される。
【0041】
負極端子131は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえば銅または銅合金などにより構成され得る。負極端子131の外側表面部分にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる部分ないし層を設けてもよい。
【0042】
正極端子132は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などにより構成され得る。
【0043】
注液孔141,142は、封止部材(図示せず)により封止される。封止部材としては、たとえばブラインドリベットおよびその他の金属部材を用いることができる。
【0044】
ガス排出弁151,152は、外装体100内の圧力が所定値以上になったときに破断し、外装体100内のガスを外部に排出する。
【0045】
電極体200は、後述する正極板および負極板を有する扁平形状の電極体である。具体的には、電極体200は、図示しない帯状のセパレータを介して帯状の正極板および帯状の負極板がともに巻回された巻回型電極体である。ただし、本明細書において「電極体」は巻回型電極体に限定されず、複数枚の正極板と複数枚の負極板とが交互に積層された積層型電極体であってもよい。電極体が複数の正極板と複数の負極板を含み、各正極板に設けられた正極タブが積層されて正極タブ群を構成してもよく、各負極板に設けられた負極タブが積層されて負極タブ群を構成してもよい。
【0046】
図5に示すように、外装体100は、電極体200を収容する。電極体200は、その巻回軸がX軸方向と平行になるように外装体100内に収容される。
【0047】
具体的には、外装体100内に配置された後述の絶縁シート600の内側に、単数または複数の巻回型電極体が図示しない電解液(電解質)とともに収容されている。電解液(非水電解液)としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジエチルカーボネート(DEC)とを、体積比(25℃)30:30:40の割合で混合した非水溶媒に、LiPF6を1.2モル/Lの濃度で溶解させたものを用いることができる。なお、電解液に代えて、固体電解質が用いられてもよい。
【0048】
電極体200は、封口板121側の端部(第1端部)に設けられた負極タブ群210A(第1電極タブ群)と、封口板122側の端部(第2端部)に設けられた正極タブ群220A(第2電極タブ群)とを含む。負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aは、電極体200の負極および正極に各々接続される。負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aは、電極体200の本体部分(正極板と負極板とがセパレータを介して積層された部分)から各々封口板121,122に向かって突出するように形成される。
【0049】
集電体300は、負極集電体310(第1集電体)と正極集電体320(第2集電体)とを含む。負極集電体310および正極集電体320は、各々板状部材からなる。電極体200は、集電体300を介して負極端子131および正極端子132と電気的に接続される。
【0050】
負極集電体310は、樹脂製の絶縁部材410を介して、封口板121上に配置されている。負極集電体310は、負極タブ群210Aおよび負極端子131と電気的に接続される。負極集電体310は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえば銅または銅合金などにより構成され得る。
【0051】
正極集電体320は、樹脂製の絶縁部材420を介して、封口板122上に配置されている。正極集電体320は、正極タブ群220Aおよび正極端子132と電気的に接続される。正極集電体320は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などにより構成され得る。なお、正極タブ群220Aは、直接、または正極集電体320を介して封口板122に電気的に接続されてもよい。この場合、封口板122が正極端子132を兼ねてもよい。
【0052】
(電極体200の構成)
図6は、負極板210(第1電極)が成形される前の負極原板210Sを示す正面図であり、
図7は、
図6に示す負極原板210SのVII-VII断面図であり、
図8は、負極原板210Sから形成された負極板210を示す正面図である。
【0053】
負極板210は、負極原板210Sを加工することにより製造される。
図6および
図7に示すように、負極原板210Sは、負極芯体211と、負極活物質層212とを含む。負極芯体211は、銅箔または銅合金箔である。
【0054】
負極芯体211には、両面の一方側の端部を除いて負極活物質層212が形成されている。負極活物質層212は、負極活物質層スラリーをダイコータによって塗布することにより形成される。
【0055】
負極活物質層スラリーは、負極活物質としての黒鉛、結着材としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)、および、分散媒としての水を、黒鉛:SBR:CMCの質量比が約98:1:1となるように混練することによって作製される。
【0056】
負極活物質層スラリーが塗布された負極芯体211を乾燥させ、負極活物質層スラリーに含まれる水を除去することにより、負極活物質層212が形成される。さらに、負極活物質層212を圧縮することにより、負極芯体211および負極活物質層212を含む負極原板210Sが形成される。負極原板210Sを所定の形状に切断することにより、負極板210が成形される。負極原板210Sは、エネルギー線の照射によるレーザ加工、金型加工、または、カッター加工などにより切断することができる。
【0057】
図8に示すように、負極原板210Sから成形された負極板210の幅方向の一方端部には、負極芯体211からなる負極タブ210Bが複数設けられている。負極板210を巻回したとき、複数の負極タブ210Bが積層されて負極タブ群210Aとなる。複数の負極タブ210Bの各々の位置および突出方向の長さは、負極タブ群210Aが負極集電体310に接続される状態を考慮して適宜調整される。なお、負極タブ210Bの形状は
図8に例示するものに限定されない。
【0058】
図9は、正極板220(第2電極)が成形される前の正極原板220Sを示す正面図であり、
図10は、
図9に示す正極原板220SのX-X断面図であり、
図11は、正極原板220Sから形成された正極板220を示す正面図である。
【0059】
正極板220は、正極原板220Sを加工することにより製造される。
図9および
図10に示すように、正極原板220Sは、正極芯体221と、正極活物質層222と、正極保護層223とを含む。正極芯体221は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔である。
【0060】
正極芯体221には、両面の一方側の端部を除いて正極活物質層222が形成されている。正極活物質層222は、正極活物質層スラリーをダイコータによって塗布することにより正極芯体221上に形成される。
【0061】
正極活物質層スラリーは、正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電材としての炭素材料、および、分散媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物:PVdF:炭素材料の質量比が約97.5:1:1.5となるように混練することによって作製される。
【0062】
正極保護層223は、正極芯体221に接し、正極活物質層222の幅方向の一方側の端部に形成されている。正極保護層223は、正極保護層スラリーをダイコータによって塗布することにより正極芯体221上に形成される。正極保護層223は、正極活物質層222の電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する。
【0063】
正極保護層スラリーは、アルミナ粉末、導電材としての炭素材料、結着材としてのPVdF、および、分散媒としてのNMPを、アルミナ粉末:炭素材料:PVdFの質量比が約83:3:14となるように混練することによって作製される。
【0064】
正極活物質層スラリーおよび正極保護層スラリーが塗布された正極芯体221を乾燥させ、正極活物質層スラリーおよび正極保護層スラリーに含まれるNMPを除去することにより、正極活物質層222および正極保護層223が形成される。さらに、正極活物質層222を圧縮することにより、正極芯体221、正極活物質層222および正極保護層223を含む正極原板220Sが形成される。正極原板220Sを所定の形状に切断することにより、正極板220が成形される。正極原板220Sは、エネルギー線の照射によるレーザ加工、金型加工、または、カッター加工などにより切断することができる。
【0065】
図11に示すように、正極原板220Sから成形された正極板220の幅方向の一方端部には、正極芯体221からなる正極タブ220Bが複数設けられている。正極板220を巻回したとき、複数の正極タブ220Bが積層されて正極タブ群220Aとなる。複数の正極タブ220Bの各々の位置および突出方向の長さは、正極タブ群220Aが正極集電体320に接続される状態を考慮して適宜調整される。なお、正極タブ220Bの形状は
図11に例示するものに限定されない。
【0066】
複数の正極タブ220Bの各々の根元には、正極保護層223が設けられている。正極タブ220Bの根元に必ずしも正極保護層223が設けられていなくてもよい。
【0067】
典型的な例では、負極タブ210B(1枚)の厚みは、正極タブ220B(1枚)の厚みよりも小さい。この場合、負極タブ群210Aの厚みは、正極タブ群220Aの厚みよりも小さい。
【0068】
(電極体200と集電体300との接続構造)
図12は、二次電池1から取り出した電極体200と集電体300とを示す図である。
図12に示すように、電極体200は、各々が巻回型電極体である2つの電極体201,202を重ねることによって形成されている。
図12に示す例では、2つの巻回型電極体を重ねる構造を示しているが、電極体200は1つの巻回型電極体により構成されてもよいし、3つ以上の巻回型電極体により構成されてもよいし、積層型電極体により構成されてもよい。
【0069】
負極タブ群210Aは、接合部310Aにおいて負極集電体310と接合され、正極タブ群220Aは、接合部320Aにおいて正極集電体320と接合される。接合部310A,320Aは、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により形成し得る。接合部310A,320Aは、負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aと負極端子131および正極端子132との間の導電経路を構成する。
【0070】
(電極体200と負極集電体310との接続構造)
図13は、負極タブ群210Aと負極集電体310との接続構造を示す図である。
図14,
図15は、各々、
図13に示す接続構造の正面図および断面図である。
【0071】
図13ないし
図15に示すように、負極集電体310は、電極体200と封口板121との間において負極端子131と接続されている。負極集電体310は、第1導電部材311と、第2導電部材312とを含む。第1導電部材311と第2導電部材312とは、接合部313において接合される。
【0072】
負極タブ群210Aは、接合部310Aにおいて負極集電体310の第1導電部材311と接合される。第1導電部材311は、接合部313において第2導電部材312と接続される。接合部313は、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により形成し得る。
【0073】
第1導電部材311および第2導電部材312は、樹脂製の絶縁部材410を介して封口板121の内面側に取り付けられる。
【0074】
負極端子131は、樹脂製の絶縁部材410Aを介して封口板121に取り付けられる。負極端子131は、封口板121の外側に露出し、かつ、封口板121の内面側に設けられた負極集電体310の第2導電部材312に達するように設けられる。負極端子131と第2導電部材312とは、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により接続され得る。本実施の形態では、第2導電部材312に貫通孔を設け、負極端子131を当該貫通孔に挿入し、負極端子131を第2導電部材312上でカシメた後、カシメ部分と第2導電部材312とを接合部131Aにおいて溶接することによって負極端子131と第2導電部材312とが接続される。
【0075】
各部品の組み付け手順としては、まず、負極端子131および第2導電部材312が、絶縁部材410,410Aとともに封口板121に取り付けられる。続いて、電極体200に接続された第1導電部材311が第2導電部材312に取り付けられる。このとき、第1導電部材311の一部が第2導電部材312と重なるように第1導電部材311が絶縁部材410上に配置される。続いて、接合部313において第1導電部材311と第2導電部材312とが溶接接続される。なお、絶縁部材410,410Aは一部材から構成されてもよい。
【0076】
ただし、負極端子131は封口板121と電気的に接続されていてもよい。また、封口板121が負極端子131の役割を果たしてもよい。
【0077】
なお、
図13ないし
図15においては、2つの部品(第1導電部材311および第2導電部材312)からなる負極集電体310を例示したが、負極集電体310は、1つの部品から構成されていてもよい。
【0078】
(電極体200の挿入工程)
図16は、電極体200をケース本体110に挿入する工程を示す図である。
図16に示すように、電極体200とケース本体110の間には樹脂製の絶縁シート600(電極体ホルダ)が配置される。
【0079】
絶縁シート600は、たとえば樹脂により構成し得る。より具体的には、絶縁シート600の材質は、たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)またはポリオレフィン(PO)である。
【0080】
絶縁シート600は、必ずしも電極体200の全面を覆う必要はない。絶縁シート600は、好ましくは電極体の外表面の50%以上程度、より好ましくは70%以上程度の面積を覆う。絶縁シート600は、略直方体状(扁平形状)の電極体200の6面のうち、少なくとも負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aが各々形成された2面以外の4面の全体を覆うことが好ましい。
【0081】
図17は、封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置する工程を示す図である。
図18は、封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置した状態を示す断面図である。
【0082】
図17,
図18に示すように、電極体200から封口板121に向かう負極タブ群210Aは、封口板121のY軸方向の中央部から端部に向かい、その後、逆向きに折り返して中央部に向かうように湾曲させられる。湾曲した負極タブ群210A(湾曲部)を収納するようにスペーサ510が配置される。
【0083】
スペーサ510は、第1スペーサ511と、第2スペーサ512とを含む。第1スペーサ511および第2スペーサ512は、各々、封口板121の端部側から中央側に向かうようにY軸方向に沿ってスライドさせることにより、互いに係合する。これにより、スペーサ510は、絶縁部材410を介して封口板121に固定され、スペーサ510の位置の安定性が増す。
【0084】
図18に示すように、スペーサ510は、負極集電体310を収納する内部空間を形成し、負極タブ群210Aの先端部分もスペーサ510の内部空間に収納される。スペーサ510は、負極タブ群210Aを通過させる孔部を有する。
【0085】
スペーサ510の素材は特に限定されないが、樹脂などの絶縁性素材を用いることが好ましい。より具体的には、ポリオレフィン(PO)製のシートを用いることが好ましい。また、スペーサ510と電極体200との間に絶縁シート600を介在させてもよい。
【0086】
再び
図16を参照して、本実施の形態に係る二次電池1の製造方法においては、正極タブ群220Aを正極集電体320の第1導電部材321に接合した後に電極体200を正極タブ群220A側の端部側からケース本体110に挿入している。
【0087】
電極体200を開口111を介してケース本体110に挿入するとき、先頭側に位置する正極タブ群220Aに意図しない変形が生じ得る。これに対し、正極タブ群220Aを正極集電体320の第1導電部材321に接合した後に電極体200をケース本体110に挿入することにより、正極タブ群220Aの意図しない変形を抑制することができる。結果として、信頼性の高い二次電池1を安定的、効率的に製造することが可能となる。
【0088】
また、
図16の例では、電極体200が絶縁シート600により覆われた状態で電極体200をケース本体110に挿入している。これにより、ケース本体110への挿入時の電極体200の損傷を抑制することができる。
【0089】
また、
図16の例では、負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続した後に、開口111を介して、電極体200を正極タブ群220A側の端部側からケース本体110に挿入している。ケース本体110に電極体200を挿入した後に、封口板121に取り付けられた負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続する場合には、ケース本体110に収納された電極体200の負極タブ群210Aがケース本体110の外部に十分に突出する長さが負極タブ群210Aに求められる。ケース本体110に電極体200を挿入する前に、封口板121に取り付けられた負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続することにより、ケース本体110に電極体200を挿入した後に接続する場合と比較して、負極タブ群210Aの長さを縮小することができる。結果として、ケース本体110の内部空間における負極板210および正極板220の体積占有率を増大させることができる。
【0090】
電極体200の挿入工程時に、ケース本体110を所定の角度に保持することができる。一例として、X軸方向(ケース本体110の幅方向)が水平方向に対して±45°以下程度の角度で交差するようにケース本体110を保持した状態で電極体200を挿入することが好ましい。たとえば、鉛直方向において、電極体200が挿入される開口111の上端部が、開口112の上端部よりも上方に位置するよう、ケース本体110を傾けた状態とし、ケース本体110に電極体200を挿入することができる。
【0091】
電極体200の挿入工程は、開口111側から電極体200を押し込む態様に限定されず、たとえば、開口112側から電極体200を引っ張る態様であってもよい。
【0092】
(電極体200と正極集電体320との接続構造)
図19は、正極タブ群220Aと正極集電体320との接続構造を示す図である。
図20は、
図19に示す接続構造の断面図である。
【0093】
図19および
図20に示すように、正極集電体320は、封口板122の内面側に設けられ、電極体200および正極端子132と接続されている。正極集電体320は、第1導電部材321(第1部品)と、第2導電部材322(第2部品)とを含む。第1導電部材321と第2導電部材322とは、接合部323において接合される。第1導電部材321および第2導電部材322は、樹脂製の絶縁部材420を介して封口板122の内面側に取り付けられる。
【0094】
第1導電部材321は段差部321Aを有する。段差部321Aは、矩形状の封口板122の長辺方向(Z軸方向)に延びる。
図20に示すように、段差部321Aに対して一方側(
図20中の左側)の領域(第1領域)において、第1導電部材321は封口板122に沿うように設けられ、正極タブ群220Aと接合される(接合部320A)。段差部321Aに対して他方側(
図20中の右側)の領域(第2領域)において、第1導電部材321は第2導電部材322と重なるように設けられる。これらの構成は、負極側においても同様である(
図13ないし
図15参照)。
【0095】
図19および
図20においては、正極タブ群220Aを湾曲させる前の形状を示しているが、完成した二次電池1において、正極タブ群220Aは、湾曲した状態でケース本体110に収納される。電極体200をケース本体110に収納する前に、正極タブ群220Aを最終形状に近い状態にまで湾曲させる(くせ付け加工する)ことが好ましい。
【0096】
正極タブ群220Aは、接合部320Aにおいて正極集電体320の第1導電部材321と接合される。第1導電部材321は、接合部323において第2導電部材322と接続される。接合部323は、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により形成し得る。
【0097】
正極端子132は、樹脂製の絶縁部材420Aを介して封口板122に取り付けられる。正極端子132は、封口板122の外側に露出し、かつ、封口板122の内面側に設けられた正極集電体320の第2導電部材322に達するように設けられる。正極端子132と第2導電部材322とは、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により接続され得る。本実施の形態では、第2導電部材322に貫通孔を設け、正極端子132を当該貫通孔に挿入し、正極端子132を第2導電部材322上でカシメた後、カシメ部分と第2導電部材322とを接合部132Aにおいて溶接することによって正極端子132と第2導電部材322とが接続される。
【0098】
各部品の組み付け手順としては、まず、正極端子132および第2導電部材322が、絶縁部材420,420Aとともに封口板122に取り付けられる。続いて、電極体200に接続された第1導電部材321が第2導電部材322に取り付けられる。このとき、第1導電部材321の一部が第2導電部材322と重なるように第1導電部材321が絶縁部材420上に配置される。続いて、接合部323において第1導電部材321と第2導電部材322とが溶接接続される。なお、絶縁部材420,420Aは一部材から構成されてもよい。
【0099】
ただし、正極端子132は封口板122と電気的に接続されていてもよい。また、封口板122が正極端子132の役割を果たしてもよい。
【0100】
なお、
図19および
図20においては、2つの部品(第1導電部材321および第2導電部材322)からなる正極集電体320を例示したが、正極集電体320は、1つの部品から構成されていてもよい。
【0101】
(二次電池1の製造工程)
図21は、二次電池1の製造方法の各工程を示すフロー図である。
図21に示すように、S10において、ケース本体110を準備する。次に、S20において、電極体200を作製する。S30において、封口板121,122に設けられた電極端子と電極体200の電極タブ群とを電気的に接続する。
図21の例では、まず負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続し(S31)、その後に正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続する(S32)。
【0102】
正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続するにあたり、まず、正極集電体320の第1導電部材321と正極タブ群220Aとを接合し(S32A)、その後に電極体200をケース本体110に挿入する(S40)。電極体200がケース本体110に挿入された後に、第1導電部材311と第2導電部材312とを接合することで、正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続する(S32B)。
【0103】
電極端子と電極タブ群との接続(S30)および電極体200の挿入(S40)が完了した後、封口板121,122により開口111,112を各々封口する(S50)。封口板121,122による封口工程は、たとえばレーザ溶接により行われる。
【0104】
本技術において、負極端子131と負極タブ群210Aとの接続し(S31)、正極端子132と正極タブ群220Aとの接続(S32)、電極体200の挿入(S40)の順序は、
図21の例に限定されず、適宜変更可能である。たとえば、正極端子132と正極タブ群220Aとの接続(S32)を行った後に負極端子131と負極タブ群210Aとの接続(S31)を行う場合もある。
【0105】
図21の例では、負極側の封口板121により開口111を封口する工程(S51)を実施した後に、正極側の封口板122により開口112を封口する工程(S52)を実施しているが、封口板121により開口111を封口する工程(S51)を、封口板122により開口112を封口する工程(S52)の後に実施してもよい。さらに、封口板121,122による封口を行う工程(S51,S52)の少なくとも一部を同時進行で行うことも可能である。
【0106】
(要約)
本実施の形態に係る二次電池1およびその製造方法について、上述した内容を要約すると、以下のとおりである。
【0107】
二次電池1の製造方法は、
図21に示すように、開口111と、開口111と対向する開口112とを有するケース本体110を準備する工程(S10)と、負極板210と正極板220とを含み、一方の端部に負極板210に電気的に接続された負極タブ210Bを含む負極タブ群210Aを有し、他方の端部に正極板220に電気的に接続された正極タブ220Bを含む正極タブ群220Aを有する電極体200を作製する工程(S20)と、封口板121,122に設けられた電極端子と電極体200の電極タブ群とを電気的に接続する工程(S30)と、開口111を介して、電極体200を正極タブ群220A側の端部側からケース本体110に挿入する工程(S40)と、封口板121,122により開口111,112を各々封口する工程(S50)とを備える。ここで、正極タブ群220Aを正極集電体320の第1導電部材321に接合し(S32A)、その後に、開口111を介して、電極体200を正極タブ群220A側の端部側からケース本体110に挿入し(S40)、封口板122上に設けられた正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続する(S32B)。
【0108】
一例に係る二次電池1の製造方法において、正極端子132と正極タブ群220Aとの電気的な接続は、封口板122に設けられた第2導電部材322に第1導電部材321を接合することにより行われる。
【0109】
一例に係る二次電池1の製造方法において、負極端子131と負極タブ群210Aとの電気的な接続は、負極タブ群210Aを負極集電体310の第1導電部材311(第3導電部材)に接合し、その後、封口板121に設けられた第2導電部材312(第4導電部材)に第1導電部材311(第3導電部材)を接合することにより行われる。
【0110】
一例に係る二次電池1の製造方法は、ケース本体110に挿入される前の電極体200を絶縁シート600で覆うようにしてもよい。ただし、本技術において、電極体200を覆う絶縁シート600は必ずしも必須ではない。
【0111】
本実施の形態に係る二次電池1は、封口板121側に負極タブ群210Aが設けられ、封口板122側に正極タブ群220Aが設けられた電極体200と、電極体200を収容する外装体100(ケース)と、外装体100に設けられた負極端子131(第1電極端子)および正極端子132(第2電極端子)と、外装体100に収容され、負極タブ群210Aと負極端子131とを電気的に接続する負極集電体310(第1集電体)と、外装体100に収納され、正極タブ群220Aと正極端子132とを電気的に接続する正極集電体320(第2集電体)とを備える。
【0112】
負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aは湾曲部を各々有する。負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aは、湾曲部よりも先端側に位置する接合部310A,320Aにおいて負極集電体310および正極集電体320に各々接合される。接合部310A,320Aが位置する領域において、負極集電体310および正極集電体320の第1導電部材311,321は、封口板121,122に沿って配置されている。
【0113】
(作用効果)
本実施の形態に係る二次電池1によれば、互いに対向する開口111,112を有するケース本体110に電極体200を挿入し、開口111,112を各々封口する封口板121,122に負極端子131および正極端子132を各々設ける構造とすることにより、二次電池1の高さを低減し、二次電池1の車両への搭載性を高めることができる。
【0114】
さらに、負極集電体310および正極集電体320における負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aとの接合部310A,320Aが位置する領域を封口板121,122に沿って各々配置することにより、二次電池1のエネルギー密度を向上させることができる。
【0115】
本実施の形態に係る二次電池1の製造方法によれば、電極体200をケース本体110に挿入する工程(S40)の前に、正極タブ群220Aを第1導電部材321に接合している(S32A)。このため、電極体200の挿入方向の先頭側に位置する正極タブ群220Aの意図しない変形(意図しない折れ曲がり等)を抑制しながら電極体200の挿入を行うことができる。したがって、二次電池1を安定的、効率的に製造することが可能となる。
【0116】
本実施の形態に係る二次電池1によれば、正極集電体320に含まれる第1導電部材321に正極タブ群220Aを接合するため、電極体200の挿入工程(S40)の前に正極タブ群220Aを集箔する(S32A)という上述の製造方法を実施しやすい。
【0117】
このように、本実施の形態に係る二次電池1およびその製造方法によれば、エネルギー密度が高く、かつ信頼性の高い二次電池を安定的、効率的に製造することが可能となる。
【0118】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0119】
1 二次電池、100 外装体、110 ケース本体、110A 接合部、111,112 開口、121,122 封口板、131 負極端子、131A 接合部、132 正極端子、132A 接合部、141,142 注液孔、151,152 ガス排出弁、200,201,202 電極体、210 負極板、210A 負極タブ群、210B 負極タブ、210S 負極原板、211 負極芯体、212 負極活物質層、220 正極板、220A 正極タブ群、220B 正極タブ、220S 正極原板、221 正極芯体、222 正極活物質層、223 正極保護層、300 集電体、310 負極集電体、310A 接合部、311 第1導電部材、312 第2導電部材、313 接合部、320 正極集電体、320A 接合部、321 第1導電部材、321A 段差部、322 第2導電部材、323 接合部、410,410A,420,420A 絶縁部材、510 スペーサ、511 第1スペーサ、512 第2スペーサ、600 絶縁シート。