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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176300
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】二次電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/169 20210101AFI20241212BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/538 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/474 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20241212BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20241212BHJP
【FI】
H01M50/169
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/538
H01M50/548 101
H01M50/474
H01M10/04 W
H01M10/04 Z
H01M10/058
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094755
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立花 将吾
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
(72)【発明者】
【氏名】今西 裕明
【テーマコード(参考)】
5H011
5H021
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011BB03
5H011DD13
5H011EE04
5H011FF03
5H011GG09
5H021AA02
5H028AA07
5H028BB05
5H028CC12
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029CJ05
5H029DJ02
5H043AA19
5H043BA16
5H043BA17
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043DA08
5H043EA06
5H043EA35
(57)【要約】
【課題】ケース本体と封口板とを接合する接合部の信頼性を向上させる。
【解決手段】ケース本体110は、外周面部116と、第1端面117と、第2端面118とを有する。外周面部116は、第1の方向の軸周りに延びる。第1端面117は、第1の側の端部に位置し、第1の方向に交差する方向に延びる。第2端面118は、第2の側の端部に位置し、第1の方向に交差する方向に延びる。第1封口板120は、第1被覆部127を有する。第1被覆部127は、第1端面117の少なくとも一部を第1の方向から覆う。第2封口板130は、第2被覆部137を有する。第2被覆部137は、第2端面118の少なくとも一部を第1の方向から覆う。外周面部116と第1被覆部127とに跨るように第1接合部140が形成されている。外周面部116と第2被覆部137とに跨るように第2接合部141が形成されている。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、前記第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含む電極体と、
前記電極体を収容するケースとを備え、
前記ケースは、
第1の方向における第1の側の端部に位置する第1開口部、および前記第1の方向における前記第1の側と反対側の第2の側の端部に位置する第2開口部を有するケース本体と、
前記第1開口部を封口する第1封口板と、
前記第2開口部を封口する第2封口板とを含み、
前記ケース本体は、前記第1の方向の軸周りに延びる外周面部と、前記第1の側の端部に位置し、前記第1の方向に交差する方向に延びる第1端面と、前記第2の側の端部に位置し、前記第1の方向に交差する方向に延びる第2端面とを有し、
前記第1封口板は、前記第1端面の少なくとも一部を前記第1の方向から覆う第1被覆部を有し、
前記第2封口板は、前記第2端面の少なくとも一部を前記第1の方向から覆う第2被覆部を有し、
前記外周面部と前記第1被覆部とに跨るように第1接合部が形成され、
前記外周面部と前記第2被覆部とに跨るように第2接合部が形成されている、二次電池。
【請求項2】
前記ケース本体は、前記外周面部上を前記第1の方向に延びる接合部を有する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記電極体は、
本体部と、
前記第1電極に電気的に接続され、前記本体部に対して前記第1の側に位置する第1電極タブ群と、
前記第2電極に電気的に接続され、前記本体部に対して前記第2の側に位置する第2電極タブ群とを含む、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記第1電極に電気的に接続され、前記第1封口板に取り付けられた第1電極端子と、
前記第2電極に電気的に接続され、前記第2封口板に取り付けられた第2電極端子とを備える、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電極体と前記第1封口板との間にある第1スペーサと、
前記電極体と前記第2封口板との間にある第2スペーサとを備える、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
【請求項6】
前記ケース本体は、前記第1の方向に軸周りに延びる内周面部を有し、
前記第1封口板は、前記第1開口部よりも前記ケース本体の内部に入り込み、前記ケース本体の前記内周面部に対向する第1部分を有し、
前記第2封口板は、前記第2開口部よりも前記ケース本体の内部に入り込み、前記ケース本体の前記内周面部に対向する第2部分を有し、
前記第1接合部および前記第2接合部は、溶接部である、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
【請求項7】
第1の方向における第1の側の端部に位置する第1開口部と、前記第1の方向における前記第1の側と反対側の第2の側の端部に位置する第2開口部と、前記第1の方向の軸周りに延びる外周面部と、前記第1の側の端部に位置し、前記第1の方向に交差する方向に延びる第1端面と、前記第2の側の端部に位置し、前記第1の方向に交差する方向に延びる第2端面とを有するケース本体を準備する工程と、
第1電極と、前記第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含む電極体を前記ケース本体の内部に挿入する工程と、
前記第1の方向から前記第1端面の少なくとも一部を覆うように第1封口板を前記第1端面に当接させ、前記第1の方向の軸周りの外周側から接合処理を施して前記第1封口板と前記ケース本体の前記外周面部とに跨るように接合部を形成することにより前記第1開口部を封口する工程と、
前記第1の方向から前記第2端面の少なくとも一部を覆うように第2封口板を前記第2端面に当接させ、前記第1の方向の軸周りの外周側から接合処理を施して前記第2封口板と前記ケース本体の前記外周面部とに跨るように接合部を形成することにより前記第2開口部を封口する工程とを備える、二次電池の製造方法。
【請求項8】
前記ケース本体は、板状部材を筒状に折り曲げ、筒状に折り曲げられた前記板状部材の両端を互いに接合されたものである、請求項7に記載の二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記板状部材の両端を互いに接合することは、エネルギー線を複数回に分けて照射して溶接することを含む、請求項8に記載の二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記板状部材の両端を互いに接合することは、エネルギー線を複数回に分けて照射して溶接することを含み、
前記エネルギー線を複数回に分けて照射して溶接することは、
前記ケース本体の前記第1の側の端部を含む第1領域を溶接することと、
前記ケース本体の前記第2の側の端部を含む第2領域を溶接することとを有し、
前記第1領域および前記第2領域の溶接において、前記第1の側の端部および前記第2の側の端部は溶接の始点または終点となり、
前記第1の側の端部が溶接の始点のときは、前記第2の側の端部が溶接の始点となり、
前記第1の側の端部が溶接の終点のときは、前記第2の側の端部が溶接の終点となる、請求項8に記載の二次電池の製造方法。
【請求項11】
前記第1開口部を封口する工程において、前記接合部を形成することは、エネルギー線を複数回に分けて照射して溶接することを含む、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項12】
エネルギー線を複数回に分けて照射して溶接されることによって、前記第1封口板と前記ケース本体とが複数の前記接合部により接合され、
複数の前記接合部のうちの隣り合う接合部どうしは、前記隣り合う接合部どうしの各々の一部が重なるように形成されている、請求項11に記載の二次電池の製造方法。
【請求項13】
前記第1開口部を封口する工程および前記第2開口部を封口する工程のうちの少なくとも一方の工程は、前記ケース本体を前記第1の方向の軸まわりに回転させる工程を含む、請求項7または請求項8に記載の二次電池の製造方法。
【請求項14】
前記第1開口部を封口する工程および前記第2開口部を封口する工程のうちの少なくとも一方の工程は、前記ケース本体が変形するまで押圧し、前記ケース本体によって前記電極体を挟持することを含む、請求項13に記載の二次電池の製造方法。
【請求項15】
前記第1開口部を封口する工程の前に、前記第1封口板と前記ケース本体とを仮接合する工程と、
前記第2開口部を封口する工程の前に、前記第2封口板と前記ケース本体とを仮接合する工程とを備える、請求項13に記載の二次電池の製造方法。
【請求項16】
前記第1開口部を封口する工程および前記第2開口部を封口する工程の少なくとも一部が同時に行なわれる、請求項7または請求項8に記載の二次電池の製造方法。
【請求項17】
前記ケース本体は、前記第1の方向に軸周りに延びる内周面部を有し、
前記第1封口板は、前記第1開口部よりも前記ケース本体の内部に入り込み、前記ケース本体の前記内周面部に対向する第1部分を有し、
前記第2封口板は、前記第2開口部よりも前記ケース本体の内部に入り込み、前記ケース本体の前記内周面部に対向する第2部分を有し、
前記第1開口部を封口する工程および前記第2開口部を封口する工程において、前記第1の方向の軸周りの外周側からエネルギー線を照射することによって、前記第1封口板と前記ケース本体とが溶接され、前記第2封口板と前記ケース本体とが溶接される、請求項7または請求項8に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、二次電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の構成を開示した先行技術文献として、特許第4537353号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された二次電池は、電極体と、ケースと、キャッププレートとを備える。電極体は、ケースに内蔵される。ケースは、電極群を挿入するための開口部が両端部に設けられている。キャッププレートは、開口部に結合される。キャッププレートは、ケースの内側に配置されて開口部を密閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4537353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された二次電池においては、ケース本体に対する封口板の位置決めができず、ケース本体と封口板とを接合する接合部が安定的に形成されない可能性がある。このため、当該接合部の信頼性を向上させる余地がある。
【0005】
本技術は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ケース本体と封口板とを接合する接合部の信頼性を向上させることができる二次電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、以下の二次電池を提供する。
[1]
第1電極と、前記第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含む電極体と、
前記電極体を収容するケースとを備え、
前記ケースは、
第1の方向における第1の側の端部に位置する第1開口部、および前記第1の方向における前記第1の側と反対側の第2の側の端部に位置する第2開口部を有するケース本体と、
前記第1開口部を封口する第1封口板と、
前記第2開口部を封口する第2封口板とを含み、
前記ケース本体は、前記第1の方向の軸周りに延びる外周面部と、前記第1の側の端部に位置し、前記第1の方向に交差する方向に延びる第1端面と、前記第2の側の端部に位置し、前記第1の方向に交差する方向に延びる第2端面とを有し、
前記第1封口板は、前記第1端面の少なくとも一部を前記第1の方向から覆う第1被覆部を有し、
前記第2封口板は、前記第2端面の少なくとも一部を前記第1の方向から覆う第2被覆部を有し、
前記外周面部と前記第1被覆部とに跨るように第1接合部が形成され、
前記外周面部と前記第2被覆部とに跨るように第2接合部が形成されている、二次電池。
[2]
前記ケース本体は、前記外周面部上を前記第1の方向に延びる接合部を有する、[1]に記載の二次電池。
[3]
前記電極体は、
本体部と、
前記第1電極に電気的に接続され、前記本体部に対して前記第1の側に位置する第1電極タブ群と、
前記第2電極に電気的に接続され、前記本体部に対して前記第2の側に位置する第2電極タブ群とを含む、[1]または[2]に記載の二次電池。
[4]
前記第1電極に電気的に接続され、前記第1封口板に取り付けられた第1電極端子と、
前記第2電極に電気的に接続され、前記第2封口板に取り付けられた第2電極端子とを備える、[1]から[3]のいずれか1つに記載の二次電池。
[5]
前記電極体と前記第1封口板との間にある第1スペーサと、
前記電極体と前記第2封口板との間にある第2スペーサとを備える、[1]から[4]のいずれか1つに記載の二次電池。
[6]
前記ケース本体は、前記第1の方向に軸周りに延びる内周面部を有し、
前記第1封口板は、前記第1開口部よりも前記ケース本体の内部に入り込み、前記ケース本体の前記内周面部に対向する第1部分を有し、
前記第2封口板は、前記第2開口部よりも前記ケース本体の内部に入り込み、前記ケース本体の前記内周面部に対向する第2部分を有し、
前記第1接合部および前記第2接合部は、溶接部である、[1]から[5]のいずれか1つに記載の二次電池。
【0007】
本技術は、以下の二次電池の製造方法を提供する。
[7]
第1の方向における第1の側の端部に位置する第1開口部と、前記第1の方向における前記第1の側と反対側の第2の側の端部に位置する第2開口部と、前記第1の方向の軸周りに延びる外周面部と、前記第1の側の端部に位置し、前記第1の方向に交差する方向に延びる第1端面と、前記第2の側の端部に位置し、前記第1の方向に交差する方向に延びる第2端面とを有するケース本体を準備する工程と、
第1電極と、前記第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含む電極体を前記ケース本体の内部に挿入する工程と、
前記第1の方向から前記第1端面の少なくとも一部を覆うように第1封口板を前記第1端面に当接させ、前記第1の方向の軸周りの外周側から接合処理を施して前記第1封口板と前記ケース本体の前記外周面部とに跨るように接合部を形成することにより前記第1開口部を封口する工程と、
前記第1の方向から前記第2端面の少なくとも一部を覆うように第2封口板を前記第2端面に当接させ、前記第1の方向の軸周りの外周側から接合処理を施して前記第2封口板と前記ケース本体の前記外周面部とに跨るように接合部を形成することにより前記第2開口部を封口する工程とを備える、二次電池の製造方法。
[8]
前記ケース本体は、板状部材を筒状に折り曲げ、筒状に折り曲げられた前記板状部材の両端を互いに接合されたものである、[7]に記載の二次電池の製造方法。
[9]
前記板状部材の両端を互いに接合することは、エネルギー線を複数回に分けて照射して溶接することを含む、[8]に記載の二次電池の製造方法。
[10]
前記板状部材の両端を互いに接合することは、エネルギー線を複数回に分けて照射して溶接することを含み、
前記エネルギー線を複数回に分けて照射して溶接することは、
前記ケース本体の前記第1の側の端部を含む第1領域を溶接することと、
前記ケース本体の前記第2の側の端部を含む第2領域を溶接することとを有し、
前記第1領域および前記第2領域の溶接において、前記第1の側の端部および前記第2の側の端部は溶接の始点または終点となり、
前記第1の側の端部が溶接の始点のときは、前記第2の側の端部が溶接の始点となり、
前記第1の側の端部が溶接の終点のときは、前記第2の側の端部が溶接の終点となる、[8]に記載の二次電池の製造方法。
[11]
前記第1開口部を封口する工程において、前記接合部を形成することは、エネルギー線を複数回に分けて照射して溶接することを含む、[7]から[10]のいずれか1つに記載の二次電池の製造方法。
[12]
エネルギー線を複数回に分けて照射して溶接されることによって、前記第1封口板と前記ケース本体とが複数の前記接合部により接合され、
複数の前記接合部のうちの隣り合う接合部どうしは、前記隣り合う接合部どうしの各々の一部が重なるように形成されている、[11]に記載の二次電池の製造方法。
[13]
前記第1開口部を封口する工程および前記第2開口部を封口する工程のうちの少なくとも一方の工程は、前記ケース本体を前記第1の方向の軸まわりに回転させる工程を含む、[7]から[12]のいずれか1つに記載の二次電池の製造方法。
[14]
前記第1開口部を封口する工程および前記第2開口部を封口する工程のうちの少なくとも一方の工程は、前記ケース本体が変形するまで押圧し、前記ケース本体によって前記電極体を挟持することを含む、[13]に記載の二次電池の製造方法。
[15]
前記第1開口部を封口する工程の前に、前記第1封口板と前記ケース本体とを仮接合する工程と、
前記第2開口部を封口する工程の前に、前記第2封口板と前記ケース本体とを仮接合する工程とを備える、[13]または[14]に記載の二次電池の製造方法。
[16]
前記第1開口部を封口する工程および前記第2開口部を封口する工程の少なくとも一部が同時に行なわれる、[7]から[15]のいずれか1つに記載の二次電池の製造方法。
[17]
前記ケース本体は、前記第1の方向に軸周りに延びる内周面部を有し、
前記第1封口板は、前記第1開口部よりも前記ケース本体の内部に入り込み、前記ケース本体の前記内周面部に対向する第1部分を有し、
前記第2封口板は、前記第2開口部よりも前記ケース本体の内部に入り込み、前記ケース本体の前記内周面部に対向する第2部分を有し、
前記第1開口部を封口する工程および前記第2開口部を封口する工程において、前記第1の方向の軸周りの外周側からエネルギー線を照射することによって、前記第1封口板と前記ケース本体とが溶接され、前記第2封口板と前記ケース本体とが溶接される、[7]から[16]のいずれか1つに記載の二次電池の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、ケース本体と封口板とを接合する接合部の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本技術の一実施の形態に係る二次電池の構成を示す正面図である。
図2図1に示す二次電池を矢印II方向からみた状態を示す図である。
図3図1に示す二次電池を矢印III方向からみた状態を示す図である。
図4図1に示す二次電池を矢印IV方向からみた状態を示す図である。
図5図1に示す二次電池の正面断面図である。
図6】負極板が成形される前の負極原板を示す正面図である。
図7図6に示す負極原板のVII-VII断面図である。
図8】負極原板から形成された負極板を示す正面図である。
図9】正極板が成形される前の正極原板を示す正面図である。
図10図9に示す正極原板のX-X断面図である。
図11】正極原板から形成された正極板を示す正面図である。
図12】二次電池から取り出した電極体と集電体とを示す図である。
図13】負極タブ群と負極集電体との接続構造の正面図である。
図14】負極タブ群と負極集電体との接続構造の断面図である。
図15】電極体をケース本体に挿入する工程を示す図である。
図16】封口板と電極体との間にスペーサを配置する工程を示す図である。
図17】一実施の形態に係る二次電池が備えるケースの接合部を示す断面図である。
図18】比較例に係る二次電池が備えるケース本体と第1封口板との接合状態を示す斜視図である。
図19】一実施の形態に係る二次電池の製造方法を示すフローチャートである。
図20】ケース本体を成形する際の接合方法を示す下面図である。
図21】一実施の形態の第1変形例に係るケース本体を成形する際の接合方法を示す下面図である。
図22】一実施の形態に係る二次電池が備えるケース本体と第1封口板との接合方法を示す斜視図である。
図23】ケース本体と第1封口板との接合を開始した直後の状態を示す側面図である。
図24】ケース本体と第1封口板とを回転させながら短辺部分を接合する状態を示す側面図である。
図25】ケース本体と第1封口板とを回転させながら長辺部分を接合する状態を示す側面図である。
図26】ケース本体と第1封口板とを接合する際の接合経路を示す下面図である。
図27】変形例に係るケース本体と第1封口板とを接合する際の第1溶接経路を示す下面図である。
図28】変形例に係るケース本体と第1封口板とを接合する際の第2溶接経路を示す下面図である。
図29】変形例に係るケース本体と第1封口板とを接合する際の第3溶接経路を示す下面図である。
図30】一実施の形態の第2変形例に係る二次電池が備えるケース本体と第1封口板との接合状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0011】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0012】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0013】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0014】
本明細書において、「二次電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の二次電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。
【0015】
なお、図面においては、二次電池が備える電極体の巻回軸に沿う方向を第1の方向としてのX方向、第1の方向に直交し、かつ第1の方向から見て電極体の短手方向を第2の方向としてのY方向、第1の方向に直交し、かつ第1の方向から見て電極体の長手方向を第3の方向としてのZ方向とする。また、発明の理解を容易にするため、図面における各構成の寸法は実寸法から変更して示している箇所がある。
【0016】
本願明細書においては、第1の方向(X方向)を二次電池ないしケース本体の「幅方向」と称し、同じく第2の方向(Y方向)を二次電池ないしケース本体の「厚み方向」と称し、同じく第3の方向(Z方向)を二次電池ないしケース本体の「高さ方向」と称する場合がある。
【0017】
(電池の全体構成)
図1は、本実施の形態に係る二次電池1の正面図である。図2ないし図4は、各々、図1に示す二次電池1を矢印II方向、矢印III方向、矢印IV方向からみた状態を示す図である。図5は、図1に示す二次電池1の正面断面図である。
【0018】
二次電池1は、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、およびハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)などに搭載可能である。ただし、二次電池1の用途は、車載用に限定されるものではない。
【0019】
図1ないし図5に示すように、二次電池1は、ケース100と、電極体200と、電極端子300と、集電体400とを含む。ケース100は、ケース本体110と、第1封口板120と、第2封口板130とを含む。
【0020】
二次電池1を含む組電池を構成するときは、複数の二次電池1が、それらの厚み方向に積層される。積層された二次電池1は、拘束部材により積層方向(Y方向)に拘束されて電池モジュールとされてもよいし、拘束部材を用いることなく、電池パックのケースの側面に組電池が直接的に支持されてもよい。
【0021】
ケース本体110は、筒状、好ましくは角筒状の部材からなる。これにより、角形の二次電池1が得られる。ケース本体110は、金属製である。具体的には、ケース本体110は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0022】
図1図2に示すように、ケース本体の両端部に第1封口板120および第2封口板130が各々設けられる。ケース本体110は、たとえば、曲げ加工を施した板状部材の端辺どうしを当接させ(図2に例示する接合部115)、互いに接合(たとえばレーザ溶接)することで、角筒状に形成され得る。「角筒状」の角部はR形状を有してもよい。本実施の形態における接合部115は、ケース本体110の外周面部上を第1の方向(X方向)に延びている。
【0023】
本実施の形態において、ケース本体110は、二次電池1の幅方向(X方向)において、二次電池1の厚み方向(Y方向)および高さ方向(Z方向)よりも長く形成される。ケース本体110のX方向の寸法(幅)は、好ましくは30cm以上程度である。これにより、比較的大型(高容量)の二次電池1を構成することができる。ケース本体110のZ方向の寸法(高さ)は、好ましくは20cm以下程度であり、より好ましくは15cm以下程度であり、さらに好ましくは10cm以下程度である。これにより、比較的高さの低い(低ハイト)の二次電池1を構成することができ、たとえば車両への搭載性が向上する。
【0024】
ケース本体110は、一対の第1側面部111と、一対の第2側面部112とを含む。一対の第1側面部111は、ケース100の側面の一部を構成している。一対の第2側面部112は、ケース100の底面部および上面部を構成している。一対の第1側面部111および一対の第2側面部112の各々は、互いに交差するように設けられている。一対の第1側面部111および一対の第2側面部112は、各々の端部において接続されている。一対の第1側面部111の各々は、一対の第2側面部112の各々より面積が大きいことが望ましい。
【0025】
図3に示すように、ケース本体110の第1の方向(X方向)における第1の側の端部には、第1開口部113が設けられている。第1開口部113は、第1封口板120により封口される。第1開口部113および第1封口板120は、Y方向が短手方向、Z方向が長手方向となる略矩形形状を有する。
【0026】
第1封口板120上には、負極端子301(第1電極端子)と、注液孔124と、ガス排出弁125とが設けられる。負極端子301、注液孔124およびガス排出弁125の位置は適宜変更され得る。
【0027】
図4に示すように、ケース本体110の第1の方向(X方向)における第1の側と反対側の第2の側の端部には、第2開口部114が設けられる。第2開口部114は、第2封口板130により封口される。第2開口部114および第2封口板130は、Y方向が短手方向、Z方向が長手方向となる略矩形形状を有する。
【0028】
第2封口板130上には、正極端子302(第2電極端子)と、注液孔134と、ガス排出弁135とが設けられる。正極端子302、注液孔134およびガス排出弁135の位置は適宜変更され得る。
【0029】
第1封口板120および第2封口板130は、金属製である。具体的には、第1封口板120および第2封口板130は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0030】
本実施の形態において、第1封口板120および第2封口板130の各々の厚みは、ケース本体110の厚み(板厚)より厚い。これにより、占有体積がケース本体110と比較して小さい第1封口板120および第2封口板130において、後述する第1接合部140および第2接合部141を形成する際の熱影響を緩和し、接合時の穴あきなどを抑制することができる。
【0031】
負極端子301は、電極体200の負極と電気的に接続される。負極端子301は、第1封口板120、すなわちケース100に取り付けられる。
【0032】
正極端子302は、電極体200の正極と電気的に接続される。正極端子302は、第2封口板130、すなわちケース100に取り付けられる。
【0033】
負極端子301は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえば銅または銅合金などにより構成され得る。負極端子301の外側表面部分にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる部分ないし層を設けてもよい。
【0034】
正極端子302は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などにより構成され得る。
【0035】
注液孔124,134は、封止部材(図示せず)により封止される。封止部材としては、たとえばブラインドリベットおよびその他の金属部材を用いることができる。
【0036】
ガス排出弁125,135は、ケース100内の圧力が所定値以上になったときに破断し、ケース100内のガスを外部に排出する。
【0037】
電極体200は、後述する正極板および負極板を有する扁平形状の電極体である。具体的には、電極体200は、図示しない帯状のセパレータを介して帯状の正極板および帯状の負極板がともに巻回された巻回型電極体である。ただし、本明細書において「電極体」は巻回型電極体に限定されず、複数枚の正極板と複数枚の負極板とが交互に積層された積層型電極体であってもよい。帯状のセパレータは、たとえばポリオレフィン性の微多孔膜により構成することができる。電極体が複数の正極板と複数の負極板を含み、各正極板に設けられた正極タブが積層されて正極タブ群を構成してもよく、各負極板に設けられた負極タブが積層されて負極タブ群を構成してもよい。
【0038】
図5に示すように、ケース100は、電極体200を収容する。電極体200は、その巻回軸がX方向と平行になるようにケース100内に収容される。
【0039】
具体的には、ケース100内に配置された後述の絶縁シート700の内側に、単数または複数の巻回型電極体が図示しない電解液(電解質)とともに収容されている。電解液(非水電解液)としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジエチルカーボネート(DEC)とを、体積比(25℃)30:30:40の割合で混合した非水溶媒に、LiPFを1.2モル/Lの濃度で溶解させたものを用いることができる。なお、電解液に代えて、固体電解質が用いられてもよい。
【0040】
電極体200は、本体部(正極板と負極板とがセパレータを介して積層された部分)と、負極タブ群220(第1電極タブ群)と、正極タブ群250(第2電極タブ群)とを含む。
【0041】
本体部は、後述する負極板210および正極板240により構成されている。負極タブ群220は、本体部に対して第1の方向(X方向)における電極体200の第1の側の端部に位置する。本実施の形態における第1の側は、第1封口板120側である。正極タブ群250は、本体部に対して第1の方向(X方向)における第2の側の端部に位置する。本実施の形態における第2の側は、第2封口板130側である。
【0042】
負極タブ群220および正極タブ群250は、電極体200の中央部分から各々第1封口板120または第2封口板130に向かって突出するように形成される。
【0043】
集電体400は、負極集電体410(第1集電体)と正極集電体420(第2集電体)とを含む。負極集電体410および正極集電体420は、各々板状部材からなる。電極体200は、集電体400を介して負極端子301および正極端子302と電気的に接続される。
【0044】
負極集電体410は、樹脂製の絶縁部材を介して、第1封口板120上に配置されている。負極集電体410は、負極タブ群220および負極端子301と電気的に接続される。負極集電体410は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえば銅または銅合金などにより構成され得る。
【0045】
正極集電体420は、樹脂製の絶縁部材を介して、第2封口板130上に配置されている。正極集電体420は、正極タブ群250および正極端子302と電気的に接続される。正極集電体420は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などにより構成され得る。なお、正極タブ群250を直接、または正極集電体420を介して第2封口板130に電気的に接続してもよい。この場合、第2封口板130が正極端子302の役割を果たしてもよい。
【0046】
(電極体200の構成)
図6は、負極板210(第1電極)が成形される前の負極原板210Sを示す正面図であり、図7は、図6に示す負極原板210SのVII-VII断面図であり、図8は、負極原板210Sから形成された負極板210を示す正面図である。
【0047】
負極板210は、負極原板210Sを加工することにより製造される。図6および図7に示すように、負極原板210Sは、負極芯体211と、負極活物質層212とを含む。負極芯体211は、銅箔または銅合金箔である。
【0048】
負極芯体211には、両面の一方側の端部を除いて負極活物質層212が形成されている。負極活物質層212は、負極活物質層スラリーをダイコータによって塗布することにより形成される。
【0049】
負極活物質層スラリーは、負極活物質としての黒鉛、結着材としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)、および、分散媒としての水を、黒鉛:SBR:CMCの質量比が約98:1:1となるように混練することによって作製される。
【0050】
負極活物質層スラリーが塗布された負極芯体211を乾燥させ、負極活物質層スラリーに含まれる水を除去することにより、負極活物質層212が形成される。さらに、負極活物質層212を圧縮することにより、負極芯体211および負極活物質層212を含む負極原板210Sが形成される。負極原板210Sを所定の形状に切断することにより、負極板210が成形される。負極原板210Sは、エネルギー線の照射によるレーザ加工、金型加工、または、カッター加工などにより切断することができる。
【0051】
図8に示すように、負極原板210Sから成形された負極板210の幅方向の一方端部には、負極芯体211からなる負極タブ230が複数設けられている。負極板210を巻回したとき、複数の負極タブ230が積層されて負極タブ群220となる。これにより、負極タブ群220は、負極板210(第1電極)に接続された状態となる。複数の負極タブ230の各々の位置および突出方向の長さは、負極タブ群220が負極集電体410に接続される状態を考慮して適宜調整される。なお、負極タブ230の形状は図8に例示するものに限定されない。
【0052】
図9は、正極板240(第2電極)が成形される前の正極原板240Sを示す正面図であり、図10は、図9に示す正極原板240SのX-X断面図であり、図11は、正極原板240Sから形成された正極板240を示す正面図である。
【0053】
第2電極である正極板240は、第1電極である負極板210と異なる極性を有している。正極板240は、正極原板240Sを加工することにより製造される。図9および図10に示すように、正極原板240Sは、正極芯体241と、正極活物質層242と、正極保護層243とを含む。正極芯体241は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔である。
【0054】
正極芯体241には、両面の一方側の端部を除いて正極活物質層242が形成されている。正極活物質層242は、正極活物質層スラリーをダイコータによって塗布することにより正極芯体241上に形成される。
【0055】
正極活物質層スラリーは、正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電材としての炭素材料、および、分散媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物:PVdF:炭素材料の質量比が約97.5:1:1.5となるように混練することによって作製される。
【0056】
正極保護層243は、正極芯体241に接し、正極活物質層242の幅方向の一方側の端部に形成されている。正極保護層243は、正極保護層スラリーをダイコータによって塗布することにより正極芯体241上に形成される。正極保護層243は、正極活物質層242の電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する。
【0057】
正極保護層スラリーは、アルミナ粉末、導電材としての炭素材料、結着材としてのPVdF、および、分散媒としてのNMPを、アルミナ粉末:炭素材料:PVdFの質量比が約83:3:14となるように混練することによって作製される。
【0058】
正極活物質層スラリーおよび正極保護層スラリーが塗布された正極芯体241を乾燥させ、正極活物質層スラリーおよび正極保護層スラリーに含まれるNMPを除去することにより、正極活物質層242および正極保護層243が形成される。さらに、正極活物質層242を圧縮することにより、正極芯体241、正極活物質層242および正極保護層243を含む正極原板240Sが形成される。正極原板240Sを所定の形状に切断することにより、正極板240が成形される。正極原板240Sは、エネルギー線の照射によるレーザ加工、金型加工、または、カッター加工などにより切断することができる。
【0059】
図11に示すように、正極原板240Sから成形された正極板240の幅方向の一方端部には、正極芯体241からなる正極タブ260が複数設けられている。正極板240を巻回したとき、複数の正極タブ260が積層されて正極タブ群250となる。これにより、正極タブ群250は、正極板240(第2電極)に接続された状態となる。複数の正極タブ260の各々の位置および突出方向の長さは、正極タブ群250が正極集電体420に接続される状態を考慮して適宜調整される。なお、正極タブ260の形状は図11に例示するものに限定されない。
【0060】
複数の正極タブ260の各々の根元には、正極保護層243が設けられている。正極タブ260の根元に必ずしも正極保護層243が設けられていなくてもよい。
【0061】
典型的な例では、負極タブ230(1枚)の厚みは、正極タブ260(1枚)の厚みよりも小さい。この場合、負極タブ群220の厚みは、正極タブ群250の厚みよりも小さい。
【0062】
(電極体200と集電体400との接続構造)
図12は、二次電池1から取り出した電極体200と集電体400とを示す図である。図12に示すように、電極体200は、各々が巻回型電極体である2つの電極体201,202を重ねることによって形成されている。図12に示す例では、2つの巻回型電極体を重ねる構造を示しているが、電極体200は1つの巻回型電極体により構成されてもよいし、3つ以上の巻回型電極体により構成されてもよいし、積層型電極体により構成されてもよい。
【0063】
負極タブ群220は、接合箇所434において負極集電体410と接合され、正極タブ群250は、接合箇所454において正極集電体420と接合される。
【0064】
図13は、負極タブ群と負極集電体との接続構造の正面図である。図14は、負極タブ群と負極集電体との接続構造の断面図である。
【0065】
図13および図14に示すように、負極集電体410は、負極端子301と負極タブ群220とを電気的に接続する。本実施の形態における負極集電体410は、電極体200と第1封口板120との間において負極端子301と接続されている。
【0066】
負極集電体410は、第1導電部材430と、第2導電部材440とを含む。第1導電部材430と第2導電部材440とは、接合箇所433において接合される。第1導電部材430と第2導電部材440とは、たとえばレーザ溶接によって接合される。
【0067】
第1導電部材430は、接合箇所434において負極タブ群220と接合される。接合箇所434は、たとえば超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により形成し得る。本実施の形態において、第1導電部材430と負極タブ群220とは、たとえば超音波接合により接合される。
【0068】
第2導電部材440は、接合箇所441において負極端子301に接続されている。接合箇所441は、たとえば超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により形成し得る。本実施の形態において、負極端子301と第2導電部材440との接合は、たとえば第2導電部材440に貫通孔を設け、負極端子301を当該貫通孔に挿入し、負極端子301を第2導電部材440上でカシメた後、カシメ部分と第2導電部材440とを溶接することによって行なわれる。
【0069】
第1導電部材430は、第1平面部431と、第2平面部432とを有する。第1平面部431は、第2導電部材440に接続される。第2平面部432は、負極タブ群220に接続される。第2平面部432は、第1封口板120に沿うように配置されている。
【0070】
第1平面部431と第2平面部432との間には、段差部435が設けられている。段差部435は、二次電池1が組み立てられた後の状態で、第1平面部431と第2平面部432との第1の方向(X方向)における位置を異ならせる。これにより、第1平面部431と第2平面部432とは一方向に並んで配置することができる。段差部435は、第3の方向(Z方向)に沿って延びている。
【0071】
負極端子301と第1封口板120との間には、第1絶縁部材510(樹脂部材)が配置される。第1封口板120と第1導電部材430および第2導電部材440との間には、第2絶縁部材520(樹脂部材)が配置される。なお、第1絶縁部材510と第2絶縁部材520とは一体部品であってもよい。
【0072】
負極端子301は、第1絶縁部材510を介して第1封口板120に取り付けられる。負極端子301は、第1封口板120の外側に露出し、かつ、第1封口板120の内面側に設けられた負極集電体410の第2導電部材440に達するように設けられる。
【0073】
各部品の組み付け手順としては、まず、第1封口板120に負極端子301および第2導電部材440を、第1絶縁部材510および第2絶縁部材520とともに取り付ける。続いて、電極体200に電気的に接続された第1導電部材430が第2導電部材440に取り付けられる。このとき、第1導電部材430の一部が第2導電部材440と重なるように第1導電部材430が第1絶縁部材510上に配置される。続いて、接合箇所434において第1導電部材430と第2導電部材440とが溶接接続される。
【0074】
ただし、負極端子301は第1封口板120と電気的に接続されていてもよい。また、第1封口板120が負極端子301の役割を果たしてもよい。
【0075】
なお、図13および図14においては、2つの部品(第1導電部材430および第2導電部材440)からなる負極集電体410を例示したが、負極集電体410は、1つの部品から構成されていてもよい。
【0076】
図13および図14においては負極側の接続構造について示したが、正極側についても、基本的な接続構造は負極側と同様である。
【0077】
(電極体200の挿入工程)
図15は、電極体200をケース本体110に挿入する工程を示す図である。図15に示すように、電極体200とケース本体110の間には樹脂製の絶縁シート700(電極体ホルダ)が配置される。
【0078】
絶縁シート700は、たとえば樹脂により構成し得る。より具体的には、絶縁シート700の材質は、たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)またはポリオレフィン(PO)である。
【0079】
絶縁シート700は、必ずしも電極体200の全面を覆う必要はない。絶縁シート700は、好ましくは電極体の外表面の50%以上程度、より好ましくは70%以上程度の面積を覆う。絶縁シート700は、略直方体状(扁平形状)の電極体200の6面のうち、少なくとも負極タブ群220および正極タブ群250が各々形成された2面以外の4面の全体を覆うことが好ましい。
【0080】
図16は、第1封口板120と電極体200との間に第1スペーサ600を配置する工程を示す図である。
【0081】
図16に示すように、電極体200から第1封口板120に向かって配置される負極タブ群220は、第1封口板120のY方向の中央部から端部に向かい、その後、逆向きに折り返して中央部に向かうように湾曲させられる。負極タブ群220の湾曲した部分を収納するように第1スペーサ600が設けられる。第1スペーサ600は、電極体200と第1封口板120との間に配置される。
【0082】
第1スペーサ600は、第1部品610と、第2部品620とを含む。第1部品610および第2部品620は、各々、第1封口板120の端部側から中央側に向かうようにY方向に沿ってスライドさせることにより、係合部630a,630bによって互いに係合する。これにより、第1スペーサ600は、第2絶縁部材520を介して第1封口板120に固定され、第1スペーサ600の位置の安定性が増す。
【0083】
本実施の形態に係る二次電池1は、図示しない第2スペーサを備える。第2スペーサは、電極体と第2封口板との間に配置される。第2スペーサは、第1スペーサ600と同様の構造をとり得る。また第1スペーサ600および第2スペーサは、互いに形状が異なっていてもよい。
【0084】
(ケース本体110と封口板120,130との接合構造)
図17は、一実施の形態に係る二次電池が備えるケースの接合部を示す断面図である。なお、図17においては、発明の理解を容易にするため、ケース100以外の構成は省略している。
【0085】
図17に示すように、ケース本体110は、外周面部116と、第1端面117と、第2端面118とを有する。
【0086】
外周面部116は、第1の方向(X方向)の軸周りに延びている。また、外周面部116は、第1の方向(X方向)に沿って延びている。なお、外周面部116は、第1の方向(X方向)に略平行に延びているが、ケース本体110の製造時の加工誤差などにより第1の方向(X方向)から傾斜し得る。また、外周面部116の表面に凹凸や段差が形成されていてもよい。
【0087】
第1端面117は、第1の方向(X方向)における第1の側の端部に位置している。第1端面117は、第1の方向(X方向)に交差する方向に延びている。本実施の形態においては、第1端面117は、第1の方向(X方向)に略直交する方向に延びている。第1端面117が第1の方向(X方向)に略直交する方向に延びていることによって、第1封口板120が当接しやすい。
【0088】
第2端面118は、第1の方向(X方向)における第2の側の端部に位置している。第2端面118は、第1の方向(X方向)に交差する方向に延びている。本実施の形態においては、第2端面118は、第1の方向(X方向)に略直交する方向に延びている。第2端面118が第1の方向(X方向)に略直交する方向に延びていることによって、第2封口板130が当接しやすい。
【0089】
第1封口板120は、第1被覆部127を有する。第1被覆部127は、第1端面117の少なくとも一部を第1の方向(X方向)から覆っている。このため、第1封口板120がケース本体110に対して安定して位置決めしやすい。本実施の形態における第1被覆部127は、第1端面117の全面を第1の方向(X方向)から覆っている。
【0090】
第2封口板130は、第2被覆部137を有する。第2被覆部137は、第2端面118の少なくとも一部を第1の方向(X方向)から覆っている。このため、第2封口板130がケース本体110に対して安定して位置決めしやすい。本実施の形態における第2被覆部137は、第2端面118の全面を第1の方向(X方向)から覆っている。
【0091】
外周面部116と第1被覆部127とに跨るように第1接合部140が形成されている。第1接合部140により、第1端面117と第1被覆部127が接合されている。外周面部116と第2被覆部137とに跨るように第2接合部141が形成されている。第2接合部141により、第2端面118と第2被覆部137が接合されている。第1接合部140および第2接合部141は、たとえばレーザ溶接によって形成されている。なお、第1接合部140および第2接合部141は、レーザ溶接に限定されず、超音波溶接または抵抗溶接などの接合方法であってもよい。
【0092】
第1接合部140および第2接合部141はケース本体110の外周面部116に位置するため、封口板全体がケース本体の内部側に挿入され、かつ封口板の外周面とケース本体の端面との間において接合部が形成される場合と比較して、電極端子300と封口板120,130との間に設けられる樹脂製の絶縁部材から離れた場所に配置できる。これにより、接合時の絶縁部材への熱影響を低減することができる。
【0093】
以下、比較例に係る二次電池について説明する。本比較例に係る二次電池は、ケースの構造が本技術の一実施の形態に係る二次電池1と異なるため、本技術の一実施の形態に係る二次電池1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0094】
図18は、比較例に係る二次電池が備えるケース本体と第1封口板との接合状態を示す斜視図である。
【0095】
図18に示すように、比較例に係る二次電池9は、ケース900を備える。ケース900は、ケース本体910と、第1封口板920とを含む。
【0096】
ケース本体910は、第1端面917と、内周面部919とを有する。第1端面917は、第1の方向(X方向)における第1の側の端部に位置している。内周面部919は、ケース本体910の第1の方向(X方向)の軸周り、かつケース本体910の内側に延びている。
【0097】
第1封口板920は、第1開口部913を覆っている。第1封口板920は、その外周部がケース本体910の内周面部919に接している。内周面部919と第1封口板920の外周部とが第1接合部940により接合されている。第1接合部940は、第1封口板920の外面とケース本体910の端面に跨るように形成されている。
【0098】
第1接合部940を形成する際、第1封口板920をケース本体910の内部に挿入する際、第1封口板920は第1の方向(X方向)のいずれの位置にも配置し得るため、第1の方向(X方向)における第1封口板920の位置が決まりにくい。
【0099】
一方、図17に示すように、本実施の形態においては、ケース本体110に対して、第1封口板120の第1被覆部127をケース本体110の第1端面117に当接させることができるため、ケース本体110に対して第1封口板120を位置決めしやすい。これにより、ケース本体110と第1封口板120とを接合し易い。このため、第1接合部140を安定的に形成することができる。
【0100】
以下、本実施の形態に係る二次電池の製造方法について説明する。図19は、一実施の形態に係る二次電池の製造方法を示すフローチャートである。図20は、ケース本体を成形する際の接合方法を示す下面図である。なお、図20における溶接経路は、溶接経路を分かりやすくするため、実際に溶接される部分から位置をずらして示している。
【0101】
図19に示すように、本実施の形態に係る二次電池1の製造方法としては、まず、ケース本体を準備する(S1工程)。ケース本体110を準備する工程(S1工程)において、板状部材を筒状に折り曲げ、筒状に折り曲げられた板状部材の両端を互いに接合することによりケース本体110を構成する角筒状部材を形成する。
【0102】
この板状部材の両端の接合において、エネルギー線を複数回に分けて照射して板状部材の両端を溶接することができる。なお、必ずしも複数回に分ける必要はない。本実施の形態においては、レーザを2回に分けて照射して板状部材の両端を溶接する。これにより、接合部115が形成される。
【0103】
具体的には、まず、1回目のレーザ照射において、図示しないレーザが図20中の溶接経路115aを矢印方向に通過し、ケース本体110の第1の側の端部を含む第1領域R1が溶接される。次に、2回目のレーザ照射において、レーザが図20中の溶接経路115bを矢印方向に通過し、ケース本体110の第2の側の端部を含む第2領域R2が溶接される。
【0104】
第1領域R1および第2領域R2の溶接において、第1の側の端部および第2の側の端部は溶接の始点または終点となる。本実施の形態においては、第1の側の端部および第2の側の端部は、溶接の終点となる。
【0105】
2回に分けたレーザ溶接は、一方の溶接距離が他方の溶接距離に比べて長くすることができる。本実施の形態においては、第2領域R2を溶接する溶接経路115bが第1領域R1を溶接する溶接経路115aより長い。これにより、溶接経路115aの終点から溶接経路115bの始点まで移動する距離を、互いの溶接距離を同じにした場合と比較して短くすることができる。これにより、レーザを照射していない距離を短くすることができるため、溶接時間全体を短くすることができる。
【0106】
図21は、一実施の形態の第1変形例に係るケース本体を成形する際の接合方法を示す下面図である。
【0107】
本変形例における1回目のレーザ照射において、図示しないレーザが図21中の溶接経路115cを矢印方向に通過し、ケース本体110Aの第2の側の端部を含む第2領域R2が溶接される。次に、2回目のレーザ照射において、レーザが図21中の溶接経路115dを矢印方向に通過し、ケース本体110Aの第1の側の端部を含む第1領域R1が溶接される。これにより、接合部115Aが形成される。
【0108】
本変形例に係る二次電池のケース本体の接合方法においては、第1の側の端部および第2の側の端部が溶接の始点となる。これにより、溶接時の溶融部がケース本体110Aの開口部側に流れ、封口板との当接が不安定になることをより効果的に抑制することができる。
【0109】
次に、図19に示すように、第1電極端子と電極体とを電気的に接続する(S2工程)。本実施の形態においては、第1封口板120に設けられた負極端子301(第1電極端子)に、負極集電体410を介して電極体200の負極タブ群220を電気的に接続する。
【0110】
次に、電極体200の正極タブ群250を、正極集電体420の第1導電部材430に接続する。なお、当該工程は後述のS3工程の後に行ってもよい。
【0111】
次に、電極体200をケース本体110の内部に挿入する(S3工程)。図15に示すように、電極体200は、正極集電体420を第1開口部113から挿入することにより、ケース本体110の内部に挿入する。
【0112】
次に、第2電極端子と電極体とを接続する(S4工程)。本実施の形態においては、第2封口板130に設けられた正極端子302(第2電極端子)に、正極集電体420を介して電極体200の正極タブ群250を電気的に接続する。
【0113】
第1スペーサ600および第2スペーサは、上述の工程における任意のタイミングで、電極タブを折り曲げた後、電極体200と封口板120,130との間に配置される。
【0114】
次に、図19に示すように、ケース本体110と封口板120,130とを仮接合する(S5工程)。
【0115】
第1開口部113を封口する工程の前に、第1開口部113の第1端面117の少なくとも一部を覆う部分(第1被覆部127)と第1端面117とを仮接合する。仮接合は、接合箇所のうち、点状に接合して封口板とケース本体とを仮止めする。本実施の形態における仮接合は、たとえば一対の第1側面部111および一対の第2側面部112の4つの辺に対して各1点ずつ点状に接合することによって形成される。なお、仮接合は、例えば比較的短い(例えば、1cm未満)線状であってもよい。また、仮接合は必ずしも行なわれなくてもよい。
【0116】
図22は、一実施の形態に係る二次電池が備えるケース本体と第1封口板との接合方法を示す斜視図である。
【0117】
次に、図22に示すように、第1開口部113を封口する(S6工程)。また、第2開口部114を封口する(S6工程)。
【0118】
第1開口部113を封口する工程および第2開口部114を封口する工程の少なくとも一部が同時に行なわれる。本実施の形態においては、第1開口部113を封口する工程および第2開口部114を封口する工程は、開始と終了が略同じになるように行なわれる。
【0119】
なお、第1開口部113を封口する工程および第2開口部114を封口する工程は、これらの工程の一部が重複していてもよい。また、これらの工程は、同時に開始して、終了が同時でなくてもよいし、開始が同時でなく、終了が同時であってもよい。これらの工程の一部が重複する場合、第1開口部113の封口および第2開口部114の封口のどちらが先に行なわれてもよい。
【0120】
第1の方向(X方向)から第1端面117の少なくとも一部を覆うように第1封口板120を第1端面117に当接させ、第1の方向(X方向)の軸周りの外周側から接合処理を施して第1封口板120とケース本体110の外周面部116とに跨るように接合部を形成することによって、第1開口部113を封口する。
【0121】
第1封口板120の接合と同様に、第2開口部114を封口する工程の前に、第2開口部114の第2端面118の少なくとも一部を覆う部分と第2端面118とを仮接合する。第1の方向(X方向)から第2端面118の少なくとも一部を覆うように第2封口板130を第2端面118に当接させ、第1の方向(X方向)の軸周りの外周側から接合処理を施して第2封口板130とケース本体110の外周面部116とに跨るように接合部を形成することにより、第2開口部114を封口する。なお、仮接合は必ずしも行なわれなくてもよい。
【0122】
図23は、ケース本体と第1封口板との接合を開始した直後の状態を示す側面図である。図24は、ケース本体と第1封口板とを回転させながら短辺部分を接合する状態を示す側面図である。図25は、ケース本体と第1封口板とを回転させながら長辺部分を接合する状態を示す側面図である。図26は、ケース本体と第1封口板とを接合する際の接合経路を示す下面図である。図23図25においては、ケース本体のみを示している。また、図23図26においては、負極側の接合を例示し、正極側の接合においても同様の接合方法をとり得る。なお、図26における溶接経路は、溶接経路を分かりやすくするため、実際に溶接される部分から位置をずらして示している。
【0123】
図22図25に示すように、第1開口部113を封口する工程および第2開口部114を封口する工程のうちの少なくとも一方の工程は、ケース本体110を第1の方向(X方向)の軸まわりに回転(図22中、r1方向に回転)させて接合処理を施すことができる。本実施の形態においては、第1開口部113を封口する工程および第2開口部114を封口する工程のうちの両方の工程において、ケース本体110を回転させ、レーザ3による溶接が施される。レーザ3は、パルス型でもよく、連続発振型でもよい。
【0124】
ケース本体110は、弾性変形するまで図示しない把持装置によって押圧される。これにより、ケース本体110によって電極体200が挟持される。ケース本体110は、第2側面部112より面積が大きい第1側面部111において把持装置によって押圧される。なお、ケース本体110の変形は、弾性変形に限定されない。また、ケース本体110と電極体200の間に絶縁シート700が介在してもよい。
【0125】
本実施の形態においては、ケース本体110は連続的に回転しながら接合処理が施される。レーザ3の焦点距離は、接合装置2が移動することによって、ケース本体110の連続的な回転に合わせて調整される。
【0126】
図26に示すように、外周面部116と第1被覆部127との境界から第1の方向(X方向)にずれた位置P1からレーザ溶接を開始する。レーザは、第1の方向(X方向)に交差する方向から見て、第1端面117に対して45°以上傾斜した溶接経路116aを通過する。その後、溶接経路116aから連続して外周面部116と第1被覆部127との境界にレーザを照射する。外周面部116と第1被覆部127との境界にある溶接経路116bを通過してケース100の第1の方向(X方向)の全周を溶接する。溶接経路116bが一部重複するまで溶接した後、レーザを溶接経路116bから第1の方向(X方向)にずれた位置P2まで溶接経路116cを通過して移動させ、レーザ照射を停止する。このような順番でレーザ溶接を施すことによって、第1端面117に沿った溶接経路116bにおいては、溶接の始点と終点とが含まれないため、ケース本体110と第1封口板120との接合において安定した入熱が可能となる。
【0127】
なお、本実施の形態においては、位置P1は外周面部116と第1被覆部127との境界から第1の方向(X方向)のケース本体110側にずれているが、第1封口板120側にずれていてもよい。また、本実施の形態の接合経路は、溶接の始点および終点が外周面部116と第1被覆部127との境界に含まれない場合を例示したが、この構成に限定されない。接合経路は、溶接の始点および終点の少なくとも一方が外周面部116と第1被覆部127との境界にある構成でもよい。
【0128】
次に、レーザ溶接による接合処理の変形例について説明する。図27ないし図29は、変形例に係るケース本体と第1封口板とを接合する際の第1~3溶接経路を示す下面図である。図27図29においては、第2側面部112に第1接合部140が形成される状態を例示する。
【0129】
変形例に係る第1接合部140は、レーザを8回に分けて照射して溶接する。具体的には、外周面部116のうち、一対の第1側面部111および一対の第2側面部112の4つの平面部、およびこれらの間にある4つの角部の各々を個別にレーザ溶接する。なお、レーザを複数回に分けて照射することは、レーザの走査が複数回であることを意味し、パルス型のレーザの振幅の1つずつを意味するものではない。
【0130】
図27に示すように、第1溶接経路116dによって第1接合部140の一部が形成される。第1溶接経路116dは、ケース本体110の回転を停止した状態で、外周面部116と第1被覆部127との境界にレーザを走査した後、第1の方向(X方向)にずれた位置でレーザ照射を停止する経路である。
【0131】
次に、図28に示すように、ケース本体110を回転させて停止させた後、第2溶接経路116eによって第1接合部140の一部が形成される。第2溶接経路116eは、ケース本体110の回転を停止した状態で、外周面部116と第1被覆部127との境界に対して第1の方向(X方向)にずれた位置からレーザ照射を開始し、外周面部116と第1被覆部127との境界にレーザを走査した後、第1の方向(X方向)にずれた位置でレーザ照射を停止する経路である。
【0132】
次に、図29に示すように、ケース本体110を回転させて停止させた後、第3溶接経路116fによって第1接合部140の一部が形成される。第3溶接経路116fは、ケース本体110の回転を停止した状態で、外周面部116と第1被覆部127との境界に対して第1の方向(X方向)にずれた位置からレーザ照射を開始し、外周面部116と第1被覆部127との境界にレーザを走査する経路である。
【0133】
上述したように、ケース本体110の回転を停止した状態でレーザ溶接を施し、その後、ケース本体110を回転させ、ケース本体110の回転を停止した状態で次のレーザ溶接を施す。これらの動作を8回繰り返して、第1接合部140が形成される。レーザ溶接を施す際、ケース本体110は、第1の方向(X方向)から見て、4つの平面部または4つの角部が接合装置の直下に位置するように45°ずつ回転する。レーザ溶接の焦点距離は、ケース本体110を回転させるごとに変更して調整される。なお、ケース本体110の回転を停止した状態で、外周面部116の一対の第1側面部111および一対の第2側面部112の4つの平面部をレーザ溶接し、ケース本体110を回転させながら、4つの角部の各々をレーザ溶接することもできる。
【0134】
本実施の形態における上述の溶接経路と同様に、本変形例における複数回に分けたレーザ溶接の始点と終点とは第1の方向(X方向)からずれている。複数回に分けたレーザ溶接の接合経路は、第1端面117に沿う方向においてその一部が重複する。本変形例においては、たとえば、第1溶接経路116dと第2溶接経路116eとの一部どうしが重複し、第2溶接経路116eと第3溶接経路116fとの一部どうしが重複している。
【0135】
このように、エネルギー線(レーザ)を複数回に分けて照射して溶接されることによって、第1封口板120とケース本体110の外周面部116とが複数の接合部により接合される。複数の接合部のうちの隣り合う接合部どうしは、隣り合う接合部どうしの各々の一部が重なるように形成されているため、ケース100の第1の方向(X方向)の全周が確実に接合される。
【0136】
上述の工程を経た後、ケース100の内部に注液孔から電解液を注液する等を行ない、二次電池1が完成する。
【0137】
以下、一実施の形態の第2変形例に係る二次電池について説明する。本変形例に係る二次電池は、ケース本体と封口板との接合構造が本技術の一実施の形態に係る二次電池1と異なるため、本技術の一実施の形態に係る二次電池1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0138】
図30は、一実施の形態の第2変形例に係る二次電池が備えるケース本体と第1封口板との接合状態を示す斜視図である。
【0139】
本変形例に係る二次電池1Bは、ケース100Bを備える。ケース100Bは、ケース本体110Bと、第1封口板120Bとを含む。
【0140】
ケース本体110Bは、内周面部119Bを有する。内周面部119Bは、第1の方向(X方向)に軸周りに延びている。
【0141】
第1封口板120Bは、第1被覆部127Bと、第1部分128Bとを有する。第1被覆部127Bは、ケース本体110Bの第1の側の端部を第1の方向(X方向)から覆っている。第1部分128Bは、第1開口部113からケース本体110Bの内部に入り込み、ケース本体110Bの内周面部119Bに対向している。第1接合部140Bが、第1封口板120Bと外周面部116Bとに跨るように形成されている。
【0142】
第1接合部140Bは、レーザ溶接により形成される溶接部である。第1開口部113Bを封口する工程において、第1の方向(X方向)の軸周りの外周側(図30においては、DR1方向)からレーザを照射することによって、第1封口板120Bとケース本体110Bの第1端面117とが溶接される。
【0143】
第1部分128Bがケース本体110Bの内周面部119Bに嵌合するように配置されるため、ケース本体110Bに対して第1封口板120Bの位置がより安定化する。その結果、安定的にレーザ溶接をすることができる。
【0144】
第1封口板120Bには、外表面に凸部129Bが設けられている。凸部129Bは、第1被覆部127Bに隣接して設けられている。これにより、第1封口板120Bの第1被覆部127B周辺がレーザ溶接時に過度に溶融し、外表面側に溶接ダレなどが生ずることを抑制することができる。
【0145】
なお、図30においては、負極側の構成について示したが、正極側についても、負極側と同様の構造をとり得る。また、第2封口板も、第1封口板120Bと同様の構成をとり得る。具体的には、第2封口板は、図示しない第2部分を有する。第2部分は、第2開口部からケース本体の内部に入り込み、ケース本体の内周面部119Bに対向している。第2接合部は、レーザ溶接により形成される溶接部である。第2封口板とケース本体110Bの外周面部116Bとが溶接される。
【0146】
第1接合部140Bおよび第2接合部がレーザ溶接によって形成される際、第1の方向(X方向)の軸周りの外周側(図30においては、DR1方向)からレーザがケース本体110Bの内周面部119Bに入り込んでも第1部分128Bによってレーザを受け止めることができるため、レーザ溶接時のレーザ抜けを抑制することができる。
【0147】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1およびその製造方法においては、第1封口板120をケース本体110の第1端面117に当接するように配置して、ケース本体110と第1封口板120とを接合することによって、ケース本体の内周側に第1封口板を挿入してケース本体と封口板とを接合する場合と比較して、第1の方向(X方向)において第1封口板120をケース本体110に対して安定的に位置決めすることができ、接合部の接合状態を安定化することができる。これにより、ケース本体110と第1封口板120とを接合する第1接合部140の信頼性を向上させることができる。第2封口板130側においても第1封口板120と同様の構成をとることによって、第2接合部141の信頼性を向上させることができる。
【0148】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1においては、ケース本体110を第1の方向(X方向)に延びる接合部115により接合することによって、1枚の金属板を折り曲げ、折り曲げた端部同士を接合できるため、ケース本体110を効率的に製造することができる。また、接合部115、第1接合部140および第2接合部141の各々をケース本体110の外周側に配置することによって、1つの接合装置によってケース本体110の外周側から接合部115を形成することができるため、効率的にケース100を接合することができる。
【0149】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1においては、電極体200の負極タブ群220(第1電極タブ群)および正極タブ群250(第2電極タブ群)を設けることによって、電極体200のエネルギー密度を向上させることができるため、出力特性に優れた二次電池を構成することができる。
【0150】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1においては、第1封口板120および第2封口板130に負極端子301(第1電極端子)および正極端子302(第2電極端子)を各々設けることによって、ケース本体110の周面部の一部を底面として二次電池1を載置する場合に、二次電池を低背化することができる。
【0151】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1においては、第1スペーサ600および第2スペーサによって、電極体200と第1封口板120および第2封口板130とを近づけすぎないように構成することができる。これにより、封口板120,130とケース本体110との接合位置の直下に電極体200を配置しない構成にすることができるため、仮に封口板120,130とケース本体110との間からケース100の内部にレーザが入っても電極体200が損傷することを抑制することができる。
【0152】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1の変形例においては、封口板にケース本体110Bの内周面部119Bと対向する部分(第1部分128Bおよび第2部分)を設けることによって、封口板とケース本体110Bとの溶接時のレーザが溶接位置からケース本体110Bの内周面部119B側に通り抜けても封口板の第1部分128Bおよび第2部分がレーザを受け止めることができるため、溶接時のレーザ抜けを防止することができる。
【0153】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1の製造方法においては、接合部115、第1接合部140および第2接合部141の各々を第1の方向(X方向)の軸方向の外周側から形成することができるため、ケース100を効率的に製造することができる。
【0154】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1の製造方法においては、ケース本体110と封口板120,130とを接合するレーザを複数回に分け、ケース本体110に対する入熱を分散させて、ケース本体110への熱影響を少なくすることができる。また、レーザを複数回に分けると、レーザのストロークが短くできるので、接合装置を小型化することができる。
【0155】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1の製造方法においては、複数回に分けてレーザを照射し、接合部115の第1の端部および第2の端部の両方を溶接の始点または終点とする。これにより、接合部115が一度の接合によって形成され、接合部115における第1の端部および第2の端部が溶接の始点または終点で接合状態が統一されない構成となる場合と比較して、第1の端部および第2の端部の接合状態を統一して接合部115を安定的に形成することができる。
【0156】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1の製造方法においては、ケース本体110を回転させながら第1接合部140および第2接合部141を形成することができるため、ケース本体110を静止させ、かつ接合装置がケース本体110の周りを移動する構成と比較して、接合装置2を小型化でき、効率的に二次電池1を製造することができる。
【0157】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1の製造方法においては、ケース本体110で電極体200を挟持できる程度にケース本体110を製造装置で把持することによって、ケース本体110を回転させて接合を行なう際に、ケース本体110の内部において電極体200が動かないようにすることができるため、電極体200の損傷を抑制することができる。
【0158】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1の製造方法においては、ケース本体110と封口板120,130との接合前に仮接合を行なうことによって、ケース本体110を回転させて接合を行なう際に、ケース本体110と封口板120,130との位置ずれを抑制することができる。
【0159】
本技術の一実施の形態に係る二次電池1の製造方法においては、第1接合部140および第2接合部141を同時に形成することによって、効率的に二次電池1を製造することができる。
【0160】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0161】
1,1B,9 二次電池、2 接合装置、100,100B,900 ケース、110,110B,910 ケース本体、111 第1側面部、112 第2側面部、113,113B,913 第1開口部、114 第2開口部、115,115A 接合部、115a,115b,115c,115d,116a,116b,116c,116d 溶接経路、116,116B 外周面部、116d 第1溶接経路、116e 第2溶接経路、116f 第3溶接経路、117,917 第1端面、118 第2端面、119B,919 内周面部、120,120B,920 第1封口板(封口板)、124,134 注液孔、125,135 ガス排出弁、127,127B 第1被覆部、128B 第1部分、129B 凸部、130 第2封口板(封口板)、137 第2被覆部、140,140B,940 第1接合部、141 第2接合部、200,201,202 電極体、210 負極板、210S 負極原板、211 負極芯体、212 負極活物質層、220 負極タブ群、230 負極タブ、240 正極板、240S 正極原板、241 正極芯体、242 正極活物質層、243 正極保護層、250 正極タブ群、260 正極タブ、300 電極端子、301 負極端子、302 正極端子、400 集電体、410 負極集電体、420 正極集電体、430 第1導電部材、431 第1平面部、432 第2平面部、433,434,441,454 接合箇所、435 段差部、440 第2導電部材、510 第1絶縁部材、520 第2絶縁部材、600 第1スペーサ、610 第1部品、620 第2部品、630a,630b 係合部、700 絶縁シート、P1,P2 位置、R1 第1領域、R2 第2領域。
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