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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176302
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】二次電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/531 20210101AFI20241212BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20241212BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/474 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/586 20210101ALN20241212BHJP
【FI】
H01M50/531
H01M50/548 101
H01M50/176
H01M10/0587
H01M50/593
H01M50/536
H01M50/533
H01M50/474
H01M50/586
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094757
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 駿秋
(72)【発明者】
【氏名】多田 直也
【テーマコード(参考)】
5H011
5H021
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011FF04
5H011KK01
5H021HH03
5H029AJ03
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ13
5H029DJ02
5H029DJ05
5H029HJ04
5H043AA19
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA04
5H043GA22
5H043HA08E
5H043HA17E
5H043JA06E
5H043LA02E
5H043LA21E
(57)【要約】
【課題】エネルギー密度が高く、かつ信頼性の高い二次電池を安定的、効率的に製造することが可能な二次電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】二次電池において、第1電極タブ群は、第1電極タブ群の根元から第1接合部までの第1の長さが互いに異なる複数の第1電極タブを含み、第2電極タブ群は、第2電極タブ群の根元から第2接合部までの第2の長さが互いに異なる複数の第2電極タブを含み、第1電極タブ群における第1の長さの最大値L1と、第2電極タブ群における第2の長さの最大値L2とは、L2/L1>1.2の関係を満たす。
【選択図】図28
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、前記第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に前記第1電極に電気的に接続された第1電極タブ群を有し、前記第1端部に対して逆側の第2端部に前記第2電極に電気的に接続された第2電極タブ群を有する電極体と、
前記電極体を収容するケースと、
前記ケースに設けられた第1電極端子および第2電極端子とを備え、
前記ケースは、
第1開口、および前記第1開口と対向する第2開口を有するケース本体と、
前記第1電極端子が設けられ、前記第1開口を封口する第1封口板と、
前記第2電極端子が設けられ、前記第2開口を封口する第2封口板とを含み、
前記第1電極端子と前記第1電極タブ群とが電気的に接続され、
前記第2電極端子と前記第2電極タブ群とが電気的に接続され、
前記第1電極タブ群は、前記第1電極端子への導電経路を構成するように第1他部品に接合される第1接合部を有し、
前記第2電極タブ群は、前記第2電極端子への導電経路を構成するように第2他部品に接合される第2接合部を有し、
前記第1電極タブ群は、前記第1電極タブ群の根元から前記第1接合部までの第1の長さが互いに異なる複数の第1電極タブを含み、
前記第2電極タブ群は、前記第2電極タブ群の根元から前記第2接合部までの第2の長さが互いに異なる複数の第2電極タブを含み、
前記第1電極タブ群における前記第1の長さの最大値L1と、前記第2電極タブ群における前記第2の長さの最大値L2とは、L2/L1>1.2の関係を満たす、二次電池。
【請求項2】
前記第1他部品は、前記ケースに収容され、前記第1電極と前記第1電極端子とを電気的に接続する第1集電体に含まれ、
前記第2他部品は、前記ケースに収納され、前記第2電極と前記第2電極端子とを電気的に接続する第2集電体に含まれ、
前記第1電極タブ群は第1湾曲部を有し、前記第1電極タブ群における前記第1湾曲部の先端側が前記第1集電体に接合されて前記第1接合部を構成し、
前記第2電極タブ群は第2湾曲部を有し、前記第2電極タブ群における前記第2湾曲部の先端側が前記第2集電体に接合されて前記第2接合部を構成する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記第1集電体における前記第1接合部が位置する領域は、前記第1封口板に沿って配置され、
前記第2集電体における前記第2接合部が位置する領域は、前記第2封口板に沿って配置される、請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記ケース内に電解液が収容され、
前記第2封口板に貫通孔が形成され、前記貫通孔は封止部材により封止され、
前記第1電極は第1活物質層を有し、前記第2電極は第2活物質層を有し、
前記第1封口板と前記第2封口板とを結ぶ方向において、前記第1活物質層の前記第1封口板側の端部から前記第1封口板までの第1の距離D1と、前記第2活物質層の前記第2封口板側の端部から前記第2封口板までの第2の距離D2とは、D2>D1の関係を満たす、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記第1封口板と前記電極体との間に配置された第1スペーサと、
前記第2封口板と前記電極体との間に配置された第2スペーサとをさらに備えた、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記第1電極タブ群における前記第1の長さの最小値L1’と、前記第2電極タブ群における前記第2の長さの最小値L2’とは、L2’/L1’>1.5の関係を満たす、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記複数の第2電極タブの厚みは前記複数の第1電極タブの厚みよりも大きい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項8】
第1開口と、前記第1開口と対向する第2開口とを有するケース本体を準備する工程と、
第1電極と、前記第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に前記第1電極に電気的に接続された第1電極タブ群を有し、前記第1端部に対して逆側の第2端部に前記第2電極に電気的に接続された第2電極タブ群を有する電極体を作製する工程と、
前記電極体を作製した後、前記第1開口を介して、前記電極体を前記第2端部側から前記ケース本体に挿入する工程と、
第1封口板に設けられた第1電極端子と前記第1電極タブ群とを電気的に接続する工程と、
前記第1電極端子と前記第1電極タブ群とを電気的に接続した後、第2封口板上に設けられた第2電極端子と前記第2電極タブ群とを電気的に接続する工程と、
前記第1電極端子と前記第1電極タブ群とを電気的に接続した後、前記第1封口板により前記第1開口を封口する工程と、
前記第2電極端子と前記第2電極タブ群とを電気的に接続した後、前記第2封口板により前記第2開口を封口する工程とを備え、
前記第1電極タブ群は、前記第1電極端子への導電経路を構成するように第1他部品に接合される第1接合部を有し、
前記第2電極タブ群は、前記第2電極端子への導電経路を構成するように第2他部品に接合される第2接合部を有し、
前記第1電極タブ群は、前記第1電極タブ群の根元から前記第1接合部までの第1の長さが互いに異なる複数の第1電極タブを含み、
前記第2電極タブ群は、前記第2電極タブ群の根元から前記第2接合部までの第2の長さが互いに異なる複数の第2電極タブを含み、
前記第1電極タブ群における前記第1の長さの最大値L1と、前記第2電極タブ群における前記第2の長さの最大値L2とは、L2/L1>1.2の関係を満たす、二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記電極体を前記ケース本体に挿入する前に前記第1電極端子と前記第1電極タブ群とを電気的に接続する、請求項8に記載の二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記第1他部品は、前記ケース本体に収容され、前記第1電極と前記第1電極端子とを電気的に接続する第1集電体に含まれ、
前記第2他部品は、前記ケース本体に収納され、前記第2電極と前記第2電極端子とを電気的に接続する第2集電体に含まれる、請求項8または請求項9に記載の二次電池の製造方法。
【請求項11】
前記電極体を前記ケース本体に挿入する前に前記第1他部品と前記第1電極タブ群とを接合するとともに前記第2他部品と前記第2電極タブ群とを接合する、請求項8または請求項9に記載の二次電池の製造方法。
【請求項12】
前記ケース本体に挿入される前の前記電極体を絶縁性の電極体ホルダで覆う工程をさらに備えた、請求項8または請求項9に記載の二次電池の製造方法。
【請求項13】
前記第2封口板に形成された注液孔を介して前記ケース本体内に電解液を注液する工程と、
前記注液孔を封止部材により封止する工程とをさらに備え、
前記第1封口板と前記第2封口板とを結ぶ方向が水平方向に対して交差し、かつ、前記第2封口板が前記第1封口板よりも鉛直方向上方に位置するように前記ケース本体を傾けた状態で前記ケース本体内に前記電解液を注液する、請求項8または請求項9に記載の二次電池の製造方法。
【請求項14】
前記第1封口板と前記電極体との間にスペーサを配置した状態で前記ケース本体内に前記電解液を注液する、請求項13に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、二次電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第4537353号公報(特許文献1)には、両端に開口部(14a,14b)を有するケース(14)に電極群(25)が収納され、開口部(14a,14b)を封口するキャッププレート(33,33’)に電極端子(21,23)を各々取り付けた角形の二次電池が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4537353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信頼性の高い二次電池を安定的、効率的に製造するという観点、およびエネルギー密度の向上という観点から、特許文献1に記載の電池には、さらなる改良の余地がある。
【0005】
本技術の目的は、エネルギー密度が高く、かつ信頼性の高い二次電池を安定的、効率的に製造することが可能な二次電池およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、以下の二次電池およびその製造方法を提供する。
【0007】
[1]第1電極と、第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に第1電極に電気的に接続された第1電極タブ群を有し、第1端部に対して逆側の第2端部に第2電極に電気的に接続された第2電極タブ群を有する電極体と、電極体を収容するケースと、ケースに設けられた第1電極端子および第2電極端子とを備え、ケースは、第1開口、および第1開口と対向する第2開口を有するケース本体と、第1電極端子が設けられ、第1開口を封口する第1封口板と、第2電極端子が設けられ、第2開口を封口する第2封口板とを含み、第1電極端子と第1電極タブ群とが電気的に接続され、第2電極端子と第2電極タブ群とが電気的に接続され、第1電極タブ群は、第1電極端子への導電経路を構成するように第1他部品に接合される第1接合部を有し、第2電極タブ群は、第2電極端子への導電経路を構成するように第2他部品に接合される第2接合部を有し、第1電極タブ群は、第1電極タブ群の根元から第1接合部までの第1の長さが互いに異なる複数の第1電極タブを含み、第2電極タブ群は、第2電極タブ群の根元から第2接合部までの第2の長さが互いに異なる複数の第2電極タブを含み、第1電極タブ群における第1の長さの最大値L1と、第2電極タブ群における第2の長さの最大値L2とは、L2/L1>1.2の関係を満たす、二次電池。
【0008】
[2]第1他部品は、ケースに収容され、第1電極と第1電極端子とを電気的に接続する第1集電体に含まれ、第2他部品は、ケースに収納され、第2電極と第2電極端子とを電気的に接続する第2集電体に含まれ、第1電極タブ群は第1湾曲部を有し、第1電極タブ群における第1湾曲部の先端側が第1集電体に接合されて第1接合部を構成し、第2電極タブ群は第2湾曲部を有し、第2電極タブ群における第2湾曲部の先端側が第2集電体に接合されて第2接合部を構成する、[1]に記載の二次電池。
【0009】
[3]第1集電体における第1接合部が位置する領域は、第1封口板に沿って配置され、第2集電体における第2接合部が位置する領域は、第2封口板に沿って配置される、[2]に記載の二次電池。
【0010】
[4]ケース内に電解液が収容され、第2封口板に貫通孔が形成され、貫通孔は封止部材により封止され、第1電極は第1活物質層を有し、第2電極は第2活物質層を有し、第1封口板と第2封口板とを結ぶ方向において、第1活物質層の第1封口板側の端部から第1封口板までの第1の距離D1と、第2活物質層の第2封口板側の端部から第2封口板までの第2の距離D2とは、D2>D1の関係を満たす、[1]から[3]のいずれか1項に記載の二次電池。
【0011】
[5]第1封口板と電極体との間に配置された第1スペーサと、第2封口板と電極体との間に配置された第2スペーサとをさらに備えた、[1]から[3]のいずれか1項に記載の二次電池。
【0012】
[6]第1電極タブ群における第1の長さの最小値L1’と、第2電極タブ群における第2の長さの最小値L2’とは、L2’/L1’>1.5の関係を満たす、[1]から[3]のいずれか1項に記載の二次電池。
【0013】
[7]複数の第2電極タブの厚みは複数の第1電極タブの厚みよりも大きい、[1]から[3]のいずれか1項に記載の二次電池。
【0014】
[8]第1開口と、第1開口と対向する第2開口とを有するケース本体を準備する工程と、第1電極と、第1電極とは異なる極性を有する第2電極とを含み、第1端部に第1電極に電気的に接続された第1電極タブ群を有し、第1端部に対して逆側の第2端部に第2電極に電気的に接続された第2電極タブ群を有する電極体を作製する工程と、電極体を作製した後、第1開口を介して、電極体を第2端部側からケース本体に挿入する工程と、第1封口板に設けられた第1電極端子と第1電極タブ群とを電気的に接続する工程と、第1電極端子と第1電極タブ群とを電気的に接続した後、第2封口板に設けられた第2電極端子と第2電極タブ群とを電気的に接続する工程と、第1電極端子と第1電極タブ群とを電気的に接続した後、第1封口板により第1開口を封口する工程と、第2電極端子と第2電極タブ群とを電気的に接続した後、第2封口板により第2開口を封口する工程とを備え、第1電極タブ群は、第1電極端子への導電経路を構成するように第1他部品に接合される第1接合部を有し、第2電極タブ群は、第2電極端子への導電経路を構成するように第2他部品に接合される第2接合部を有し、第1電極タブ群は、第1電極タブ群の根元から第1接合部までの第1の長さが互いに異なる複数の第1電極タブを含み、第2電極タブ群は、第2電極タブ群の根元から第2接合部までの第2の長さが互いに異なる複数の第2電極タブを含み、第1電極タブ群における第1の長さの最大値L1と、第2電極タブ群における第2の長さの最大値L2とは、L2/L1>1.2の関係を満たす、二次電池の製造方法。
【0015】
[9]電極体をケース本体に挿入する前に第1電極端子と第1電極タブ群とを電気的に接続する、[8]に記載の二次電池の製造方法。
【0016】
[10]第1他部品は、ケース本体に収容され、第1電極と第1電極端子とを電気的に接続する第1集電体に含まれ、第2他部品は、ケース本体に収納され、第2電極と第2電極端子とを電気的に接続する第2集電体に含まれる、[8]または[9]に記載の二次電池の製造方法。
【0017】
[11]電極体をケース本体に挿入する前に第1他部品と第1電極タブ群とを接合するとともに第2他部品と第2電極タブ群とを接合する、[8]または[9]に記載の二次電池の製造方法。
【0018】
[12]ケース本体に挿入される前の電極体を絶縁性の電極体ホルダで覆う工程をさらに備えた、[8]または[9]に記載の二次電池の製造方法。
【0019】
[13]第2封口板に形成された注液孔を介してケース本体内に電解液を注液する工程と、注液孔を封止部材により封止する工程とをさらに備え、第1封口板と第2封口板とを結ぶ方向が水平方向に対して交差し、かつ、第2封口板が第1封口板よりも鉛直方向上方に位置するようにケース本体を傾けた状態でケース本体内に電解液を注液する、[8]または[9]に記載の二次電池の製造方法。
【0020】
[14]第1封口板と電極体との間にスペーサを配置した状態でケース本体内に電解液を注液する、[13]に記載の二次電池の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本技術に係る二次電池およびその製造方法によれば、第1電極タブ群の根元から第1接合部までの第1の長さの最大値L1と、第2電極タブ群の根元から第2接合部までの第2の長さの最大値L2とが、所定の関係(L2/L1>1.2)を満たし、この結果として、第1電極タブが比較的短く、第2電極タブが比較的長く形成される。
【0022】
第1電極タブが相対的に短く形成されることにより、ケース本体内の空間において電極体が占める体積を大きくすることができるので、二次電池のエネルギー密度を向上させることができる。
【0023】
第2電極タブが比較的長く形成されることにより、電極体を第2端部側からケース本体に挿入したときに、第2開口側において、第2電極タブ群と第2他部品との接合が行いやすい。したがって、二次電池を安定的、効率的に製造することが可能となる。
【0024】
このように、本技術によれば、エネルギー密度が高く、かつ信頼性の高い二次電池を安定的、効率的に製造することが可能な二次電池およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】二次電池の正面図である。
図2図1に示す二次電池を矢印II方向からみた状態を示す図である。
図3図1に示す二次電池を矢印III方向からみた状態を示す図である。
図4図1に示す二次電池を矢印IV方向からみた状態を示す図である。
図5図1に示す二次電池の正面断面図である。
図6】負極板が成形される前の負極原板を示す正面図である。
図7図6に示す負極原板のVII-VII断面図である。
図8】負極原板から形成された負極板を示す正面図である。
図9】正極板が成形される前の正極原板を示す正面図である。
図10図9に示す正極原板のX-X断面図である。
図11】正極原板から形成された正極板を示す正面図である。
図12】二次電池から取り出した電極体と集電体とを示す図である。
図13】負極タブ群と負極集電体との接続構造を示す図である。
図14図13に示す接続構造の正面図である。
図15図13に示す接続構造の断面図である。
図16】電極体をケース本体に挿入する工程を示す図である。
図17】封口板と電極体との間にスペーサを配置する工程を示す図である。
図18】封口板と電極体との間にスペーサを配置した状態を示す断面図である。
図19】正極タブ群と正極集電体との接続構造を示す図である。
図20図19に示す接続構造の断面図である。
図21】封口板と電極体との間に配置されるスペーサの変形例を示す断面図である。
図22図21に示す負極側のスペーサを示す図である。
図23図21に示す正極側のスペーサを示す図である。
図24】負極タブ群に含まれる複数の負極タブの長さの違いを説明するための図である。
図25】負極タブ群の根元から接合部までの負極タブの長さを説明するための図である。
図26】正極タブ群に含まれる複数の正極タブの長さの違いを説明するための図である。
図27】正極タブ群の根元から接合部までの正極タブの長さを説明するための図である。
図28】電極活物質層の封口板側の端部から封口板までの距離を説明するための図である。
図29】二次電池の製造方法の各工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0027】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0028】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0029】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0030】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0031】
(電池の全体構成)
図1は、本実施の形態に係る二次電池1の正面図である。図2ないし図4は、各々、図1に示す二次電池1を矢印II方向、矢印III方向、矢印IV方向からみた状態を示す図である。図5は、図1に示す二次電池1の正面断面図である。
【0032】
二次電池1は、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、およびハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)などに搭載可能である。ただし、二次電池1の用途は、車載用に限定されるものではない。
【0033】
図1ないし図5に示すように、二次電池1は、外装体100と、電極体200と、集電体300とを含む。外装体100は、ケース本体110と、封口板121(第1封口板)と、封口板122(第2封口板)とを含む。
【0034】
本願明細書においては、図1ないし図5に示すX軸方向(第1の方向)を二次電池1ないしケース本体110の「幅方向」と称し、同じくY軸方向(第2の方向)を二次電池1ないしケース本体110の「厚み方向」と称し、同じくZ軸方向(第3の方向)を二次電池1ないしケース本体110の「高さ方向」と称する場合がある。
【0035】
二次電池1を含む組電池を構成するときは、複数の二次電池1が、それらの厚み方向に積層される。積層された二次電池1は、拘束部材により積層方向(Y軸方向)に拘束されて電池モジュールとされてもよいし、拘束部材を用いることなく、電池パックのケースの側面に組電池が直接的に支持されてもよい。
【0036】
ケース本体110は、筒状、好ましくは角筒状の部材からなる。これにより、角形の二次電池1が得られる。ケース本体110は、金属製である。具体的には、ケース本体110は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0037】
図1図2に示すように、ケース本体の両端部に封口板121,122が各々設けられる。ケース本体110は、たとえば、曲げ加工を施した板状部材の端辺どうしを当接させ(図2に例示する接合部110A)、互いに接合(たとえばレーザ溶接)することで、角筒状に形成され得る。「角筒状」の角部はR形状を有してもよい。
【0038】
本実施の形態において、ケース本体110は、二次電池1の幅方向(X軸方向)において、二次電池1の厚み方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)よりも長く形成される。ケース本体110のX軸方向の寸法(幅)は、好ましくは30cm以上程度である。これにより、比較的大型(高容量)の二次電池1を構成することができる。ケース本体110のZ軸方向の寸法(高さ)は、好ましくは20cm以下程度であり、より好ましくは15cm以下程度であり、さらに好ましくは10cm以下程度である。これにより、比較的高さの低い(低ハイト)の二次電池1を構成することができ、たとえば車両への搭載性が向上する。
【0039】
図3に示すように、ケース本体110の一方の端部には開口111(第1開口)が設けられる。開口111は、封口板121により封口される。封口板121には、負極端子131(第1電極端子)と、注液孔141と、ガス排出弁151とが設けられる。負極端子131、注液孔141およびガス排出弁151の位置は適宜変更され得る。開口111および封口板121は、Y軸方向が短手方向、Z軸方向が長手方向となる略矩形形状を有する。
【0040】
図4に示すように、ケース本体110の一方の端部には開口112(第2開口)が設けられる。開口112は、封口板122により封口される。封口板122には、正極端子132(第2電極端子)と、注液孔142と、ガス排出弁152とが設けられる。正極端子132、注液孔142およびガス排出弁152の位置は適宜変更され得る。開口112および封口板122は、Y軸方向が短手方向、Z軸方向が長手方向となる略矩形形状を有する。
【0041】
封口板121,122は、金属製である。具体的には、封口板121,122は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0042】
負極端子131は、電極体200の負極と電気的に接続される。正極端子132は、電極体200の正極と電気的に接続される。
【0043】
負極端子131は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえば銅または銅合金などにより構成され得る。負極端子131の外側表面部分にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる部分ないし層を設けてもよい。
【0044】
正極端子132は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などにより構成され得る。
【0045】
注液孔141,142は、封止部材(図示せず)により封止される。封止部材としては、たとえばブラインドリベットおよびその他の金属部材を用いることができる。
【0046】
ガス排出弁151,152は、外装体100内の圧力が所定値以上になったときに破断し、外装体100内のガスを外部に排出する。
【0047】
電極体200は、後述する正極板および負極板を有する扁平形状の電極体である。具体的には、電極体200は、図示しない帯状のセパレータを介して帯状の正極板および帯状の負極板がともに巻回された巻回型電極体である。ただし、本明細書において「電極体」は巻回型電極体に限定されず、複数枚の正極板と複数枚の負極板とが交互に積層された積層型電極体であってもよい。電極体が複数の正極板と複数の負極板を含み、各正極板に設けられた正極タブが積層されて正極タブ群を構成してもよく、各負極板に設けられた負極タブが積層されて負極タブ群を構成してもよい。
【0048】
図5に示すように、外装体100は、電極体200を収容する。電極体200は、その巻回軸がX軸方向と平行になるように外装体100内に収容される。
【0049】
具体的には、外装体100内に配置された後述の絶縁シート600の内側に、単数または複数の巻回型電極体が図示しない電解液(電解質)とともに収容されている。電解液(非水電解液)としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジエチルカーボネート(DEC)とを、体積比(25℃)30:30:40の割合で混合した非水溶媒に、LiPFを1.2モル/Lの濃度で溶解させたものを用いることができる。なお、電解液に代えて、固体電解質が用いられてもよい。
【0050】
電極体200は、封口板121側の端部(第1端部)に設けられた負極タブ群210A(第1電極タブ群)と、封口板122側の端部(第2端部)に設けられた正極タブ群220A(第2電極タブ群)とを含む。負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aは、電極体200の負極および正極に各々接続される。負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aは、電極体200の本体部分(正極板と負極板とがセパレータを介して積層された部分)から各々封口板121,122に向かって突出するように形成される。
【0051】
集電体300は、負極集電体310(第1集電体)と正極集電体320(第2集電体)とを含む。負極集電体310および正極集電体320は、各々板状部材からなる。電極体200は、集電体300を介して負極端子131および正極端子132と電気的に接続される。
【0052】
負極集電体310は、樹脂製の絶縁部材410を介して、封口板121上に配置されている。負極集電体310は、負極タブ群210Aおよび負極端子131と電気的に接続される。負極集電体310は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえば銅または銅合金などにより構成され得る。
【0053】
正極集電体320は、樹脂製の絶縁部材420を介して、封口板122上に配置されている。正極集電体320は、正極タブ群220Aおよび正極端子132と電気的に接続される。正極集電体320は、導電性素材(より具体的には金属)により構成され、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などにより構成され得る。なお、正極タブ群220Aは、直接、または正極集電体320を介して封口板122に電気的に接続されてもよい。この場合、封口板122が正極端子132を兼ねてもよい。
【0054】
(電極体200の構成)
図6は、負極板210(第1電極)が成形される前の負極原板210Sを示す正面図であり、図7は、図6に示す負極原板210SのVII-VII断面図であり、図8は、負極原板210Sから形成された負極板210を示す正面図である。
【0055】
負極板210は、負極原板210Sを加工することにより製造される。図6および図7に示すように、負極原板210Sは、負極芯体211と、負極活物質層212とを含む。負極芯体211は、銅箔または銅合金箔である。
【0056】
負極芯体211には、両面の一方側の端部を除いて負極活物質層212が形成されている。負極活物質層212は、負極活物質層スラリーをダイコータによって塗布することにより形成される。
【0057】
負極活物質層スラリーは、負極活物質としての黒鉛、結着材としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)、および、分散媒としての水を、黒鉛:SBR:CMCの質量比が約98:1:1となるように混練することによって作製される。
【0058】
負極活物質層スラリーが塗布された負極芯体211を乾燥させ、負極活物質層スラリーに含まれる水を除去することにより、負極活物質層212が形成される。さらに、負極活物質層212を圧縮することにより、負極芯体211および負極活物質層212を含む負極原板210Sが形成される。負極原板210Sを所定の形状に切断することにより、負極板210が成形される。負極原板210Sは、エネルギー線の照射によるレーザ加工、金型加工、または、カッター加工などにより切断することができる。
【0059】
図8に示すように、負極原板210Sから成形された負極板210の幅方向の一方端部には、負極芯体211からなる負極タブ210Bが複数設けられている。負極板210を巻回したとき、複数の負極タブ210Bが積層されて負極タブ群210Aとなる。複数の負極タブ210Bの各々の位置および突出方向の長さは、負極タブ群210Aが負極集電体310に接続される状態を考慮して適宜調整される。なお、負極タブ210Bの形状は図8に例示するものに限定されない。
【0060】
図9は、正極板220(第2電極)が成形される前の正極原板220Sを示す正面図であり、図10は、図9に示す正極原板220SのX-X断面図であり、図11は、正極原板220Sから形成された正極板220を示す正面図である。
【0061】
正極板220は、正極原板220Sを加工することにより製造される。図9および図10に示すように、正極原板220Sは、正極芯体221と、正極活物質層222と、正極保護層223とを含む。正極芯体221は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔である。
【0062】
正極芯体221には、両面の一方側の端部を除いて正極活物質層222が形成されている。正極活物質層222は、正極活物質層スラリーをダイコータによって塗布することにより正極芯体221上に形成される。
【0063】
正極活物質層スラリーは、正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電材としての炭素材料、および、分散媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物:PVdF:炭素材料の質量比が約97.5:1:1.5となるように混練することによって作製される。
【0064】
正極保護層223は、正極芯体221に接し、正極活物質層222の幅方向の一方側の端部に形成されている。正極保護層223は、正極保護層スラリーをダイコータによって塗布することにより正極芯体221上に形成される。正極保護層223は、正極活物質層222の電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する。
【0065】
正極保護層スラリーは、アルミナ粉末、導電材としての炭素材料、結着材としてのPVdF、および、分散媒としてのNMPを、アルミナ粉末:炭素材料:PVdFの質量比が約83:3:14となるように混練することによって作製される。
【0066】
正極活物質層スラリーおよび正極保護層スラリーが塗布された正極芯体221を乾燥させ、正極活物質層スラリーおよび正極保護層スラリーに含まれるNMPを除去することにより、正極活物質層222および正極保護層223が形成される。さらに、正極活物質層222を圧縮することにより、正極芯体221、正極活物質層222および正極保護層223を含む正極原板220Sが形成される。正極原板220Sを所定の形状に切断することにより、正極板220が成形される。正極原板220Sは、エネルギー線の照射によるレーザ加工、金型加工、または、カッター加工などにより切断することができる。
【0067】
図11に示すように、正極原板220Sから成形された正極板220の幅方向の一方端部には、正極芯体221からなる正極タブ220Bが複数設けられている。正極板220を巻回したとき、複数の正極タブ220Bが積層されて正極タブ群220Aとなる。複数の正極タブ220Bの各々の位置および突出方向の長さは、正極タブ群220Aが正極集電体320に接続される状態を考慮して適宜調整される。なお、正極タブ220Bの形状は図11に例示するものに限定されない。
【0068】
複数の正極タブ220Bの各々の根元には、正極保護層223が設けられている。正極タブ220Bの根元に必ずしも正極保護層223が設けられていなくてもよい。
【0069】
典型的な例では、負極タブ210B(1枚)の厚みは、正極タブ220B(1枚)の厚みよりも小さい。この場合、負極タブ群210Aの厚みは、正極タブ群220Aの厚みよりも小さい。
【0070】
(電極体200と集電体300との接続構造)
図12は、二次電池1から取り出した電極体200と集電体300とを示す図である。図12に示すように、電極体200は、各々が巻回型電極体である2つの電極体201,202を重ねることによって形成されている。図12に示す例では、2つの巻回型電極体を重ねる構造を示しているが、電極体200は1つの巻回型電極体により構成されてもよいし、3つ以上の巻回型電極体により構成されてもよいし、積層型電極体により構成されてもよい。
【0071】
負極タブ群210Aは、接合部310Aにおいて負極集電体310と接合され、正極タブ群220Aは、接合部320Aにおいて正極集電体320と接合される。接合部310A,320Aは、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により形成し得る。接合部310A,320Aは、負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aと負極端子131および正極端子132との間の導電経路を構成する。
【0072】
(電極体200と負極集電体310との接続構造)
図13は、負極タブ群210Aと負極集電体310との接続構造を示す図である。図14図15は、各々、図13に示す接続構造の正面図および断面図である。
【0073】
図13ないし図15に示すように、負極集電体310は、電極体200と封口板121との間において負極端子131と接続されている。負極集電体310は、第1導電部材311と、第2導電部材312とを含む。第1導電部材311と第2導電部材312とは、接合部313において接合される。
【0074】
負極タブ群210Aは、接合部310Aにおいて負極集電体310の第1導電部材311と接合される。第1導電部材311は、接合部313において第2導電部材312と接続される。接合部313は、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により形成し得る。
【0075】
第1導電部材311および第2導電部材312は、樹脂製の絶縁部材410を介して封口板121の内面側に取り付けられる。
【0076】
負極端子131は、樹脂製の絶縁部材410Aを介して封口板121に取り付けられる。負極端子131は、封口板121の外側に露出し、かつ、封口板121の内面側に設けられた負極集電体310の第2導電部材312に達するように設けられる。負極端子131と第2導電部材312とは、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により接続され得る。本実施の形態では、第2導電部材312に貫通孔を設け、負極端子131を当該貫通孔に挿入し、負極端子131を第2導電部材312上でカシメた後、カシメ部分と第2導電部材312とを接合部131Aにおいて溶接することによって負極端子131と第2導電部材312とが接続される。
【0077】
各部品の組み付け手順としては、まず、負極端子131および第2導電部材312が、絶縁部材410,410Aとともに封口板121に取り付けられる。続いて、電極体200に接続された第1導電部材311が第2導電部材312に取り付けられる。このとき、第1導電部材311の一部が第2導電部材312と重なるように第1導電部材311が絶縁部材410上に配置される。続いて、接合部313において第1導電部材311と第2導電部材312とが溶接接続される。なお、絶縁部材410,410Aは一部材から構成されてもよい。
【0078】
ただし、負極端子131は封口板121と電気的に接続されていてもよい。また、封口板121が負極端子131の役割を果たしてもよい。
【0079】
なお、図13ないし図15においては、2つの部品(第1導電部材311および第2導電部材312)からなる負極集電体310を例示したが、負極集電体310は、1つの部品から構成されていてもよい。
【0080】
(電極体200の挿入工程)
図16は、電極体200をケース本体110に挿入する工程を示す図である。図16に示すように、電極体200とケース本体110の間には樹脂製の絶縁シート600(電極体ホルダ)が配置される。
【0081】
絶縁シート600は、たとえば樹脂により構成し得る。より具体的には、絶縁シート600の材質は、たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)またはポリオレフィン(PO)である。
【0082】
絶縁シート600は、必ずしも電極体200の全面を覆う必要はない。絶縁シート600は、好ましくは電極体の外表面の50%以上程度、より好ましくは70%以上程度の面積を覆う。絶縁シート600は、略直方体状(扁平形状)の電極体200の6面のうち、少なくとも負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aが各々形成された2面以外の4面の全体を覆うことが好ましい。
【0083】
図17は、封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置する工程を示す図である。図18は、封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置した状態を示す断面図である。
【0084】
図17図18に示すように、電極体200から封口板121に向かう負極タブ群210Aは、封口板121のY軸方向の中央部から端部に向かい、その後、逆向きに折り返して中央部に向かうように湾曲させられる。湾曲した負極タブ群210A(湾曲部)を収納するようにスペーサ510が配置される。
【0085】
スペーサ510は、第1スペーサ511と、第2スペーサ512とを含む。第1スペーサ511および第2スペーサ512は、各々、封口板121の端部側から中央側に向かうようにY軸方向に沿ってスライドさせることにより、互いに係合する。これにより、スペーサ510は、絶縁部材410を介して封口板121に固定され、スペーサ510の位置の安定性が増す。
【0086】
図18に示すように、スペーサ510は、負極集電体310を収納する内部空間を形成し、負極タブ群210Aの先端部分もスペーサ510の内部空間に収納される。スペーサ510は、負極タブ群210Aを通過させる孔部を有する。
【0087】
スペーサ510の素材は特に限定されないが、樹脂などの絶縁性素材を用いることが好ましい。より具体的には、ポリオレフィン(PO)製のシートを用いることが好ましい。また、スペーサ510と電極体200との間に絶縁シート600を介在させてもよい。
【0088】
再び図16を参照して、本実施の形態に係る二次電池1の製造方法においては、電極体200が絶縁シート600により覆われた状態で電極体200をケース本体110に挿入している。これにより、ケース本体110への挿入時の電極体200の損傷を抑制することができる。
【0089】
電極体200の挿入工程時に、ケース本体110を所定の角度に保持することができる。一例として、X軸方向(ケース本体110の幅方向)が水平方向に対して±45°以下程度の角度で交差するようにケース本体110を保持した状態で電極体200を挿入することが好ましい。たとえば、鉛直方向において、電極体200が挿入される開口111の上端部が、開口112の上端部よりも上方に位置するよう、ケース本体110を傾けた状態とし、ケース本体110に電極体200を挿入することができる。
【0090】
電極体200の挿入工程は、開口111側から電極体200を押し込む態様であってもよいし、開口112側から電極体200を引っ張る態様であってもよい。
【0091】
(電極体200と正極集電体320との接続構造)
図19は、正極タブ群220Aと正極集電体320との接続構造を示す図である。図20は、図19に示す接続構造の断面図である。
【0092】
図19および図20に示すように、正極集電体320は、封口板122の内面側に設けられ、電極体200および正極端子132と接続されている。正極集電体320は、第1導電部材321(第1部品)と、第2導電部材322(第2部品)とを含む。第1導電部材321と第2導電部材322とは、接合部323において接合される。第1導電部材321および第2導電部材322は、樹脂製の絶縁部材420を介して封口板122の内面側に取り付けられる。
【0093】
第1導電部材321は段差部321Aを有する。段差部321Aは、矩形状の封口板122の長辺方向(Z軸方向)に延びる。図20に示すように、段差部321Aに対して一方側(図20中の左側)の領域(第1領域)において、第1導電部材321は封口板122に沿うように設けられ、正極タブ群220Aと接合される(接合部320A)。段差部321Aに対して他方側(図20中の右側)の領域(第2領域)において、第1導電部材321は第2導電部材322と重なるように設けられる。これらの構成は、負極側においても同様である(図13ないし図15参照)。
【0094】
図19および図20においては、正極タブ群220Aを湾曲させる前の形状を示しているが、完成した二次電池1において、正極タブ群220Aは、湾曲した状態でケース本体110に収納される。電極体200をケース本体110に収納する前に、正極タブ群220Aを最終形状に近い状態にまで湾曲させる(くせ付け加工する)ことが好ましい。
【0095】
正極タブ群220Aは、接合部320Aにおいて正極集電体320の第1導電部材321と接合される。第1導電部材321は、接合部323において第2導電部材322と接続される。接合部323は、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により形成し得る。
【0096】
正極端子132は、樹脂製の絶縁部材420Aを介して封口板122に取り付けられる。正極端子132は、封口板122の外側に露出し、かつ、封口板122の内面側に設けられた正極集電体320の第2導電部材322に達するように設けられる。正極端子132と第2導電部材322とは、たとえば超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等により接続され得る。本実施の形態では、第2導電部材322に貫通孔を設け、正極端子132を当該貫通孔に挿入し、正極端子132を第2導電部材322上でカシメた後、カシメ部分と第2導電部材322とを接合部132Aにおいて溶接することによって正極端子132と第2導電部材322とが接続される。
【0097】
各部品の組み付け手順としては、まず、正極端子132および第2導電部材322が、絶縁部材420,420Aとともに封口板122に取り付けられる。続いて、電極体200に接続された第1導電部材321が第2導電部材322に取り付けられる。このとき、第1導電部材321の一部が第2導電部材322と重なるように第1導電部材321が絶縁部材420上に配置される。続いて、接合部323において第1導電部材321と第2導電部材322とが溶接接続される。なお、絶縁部材420,420Aは一部材から構成されてもよい。
【0098】
ただし、正極端子132は封口板122と電気的に接続されていてもよい。また、封口板122が正極端子132の役割を果たしてもよい。
【0099】
なお、図19および図20においては、2つの部品(第1導電部材321および第2導電部材322)からなる正極集電体320を例示したが、正極集電体320は、1つの部品から構成されていてもよい。
【0100】
(スペーサの変形例)
図21は、封口板121,122と電極体200との間に配置されるスペーサの変形例を示す図である。図22図23は、各々、図21に示される負極側のスペーサ510および正極側のスペーサ520を示す図である。
【0101】
図21ないし図23に例示されるスペーサ510,520は、注液孔141,142と各々連通する貫通孔510A,520Aと、ガス排出弁151,152と連通する貫通孔510B,520Bと、負極集電体310および正極集電体320との干渉を避けるための凹部510C,520Cと、負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aとの干渉を避けるための凹部510D,520Dとを各々有する。なお、スペーサ510,520は必ずしも同種の構造とする必要はなく、たとえば一方だけに貫通孔ないし凹部を設けてもよいし、互いに異なる素材を用いて構成してもよい。
【0102】
貫通孔510A,510B,520A,520B、および凹部510C,510D,520C,520Dがスペーサ510,520に形成されることにより、ケース本体110の内部において電極体200および集電体300との干渉を避けながら、かつ、注液孔141,142およびガス排出弁151,152の機能を阻害することなく、スペーサ510,520を配置することができる。スペーサ510,520は、たとえば封口板121,122に固定(嵌合、接着、溶着等)されてもよい。
【0103】
貫通孔510A,510B,520A,520B、および凹部510C,510D,520C,520Dの構造は、図21ないし図23に示すものに限定されない。たとえば、貫通孔に代えて切り欠き部やスリット部が設けられてもよい。
【0104】
(電極タブの構造)
次に、図24ないし図27を参照して、負極タブ210Bおよび正極タブ220Bの構造について説明する。
【0105】
図24に示すように、負極タブ群210Aに含まれる複数の負極タブ210Bは各々湾曲させられ、集箔された負極タブ210Bが接合部310Aに達する。したがって、複数の負極タブ210Bの長さは互いに異なる。図24では、負極タブ群210Aにおける最も長い負極タブ210B1と最も短い負極タブ210B2とを模式的に示している。図25では、負極タブ群210Aの根元から接合部310Aまでの負極タブ210B1(最も長い負極タブ210B)の長さL1(第1の長さの最大値)を示している。
【0106】
図25に示すように、正極タブ群220Aに含まれる複数の正極タブ220Bは各々湾曲させられ、集箔された正極タブ220Bが接合部320Aに達する。したがって、複数の正極タブ220Bの長さは互いに異なる。図25では、正極タブ群220Aにおける最も長い正極タブ220B1と最も短い正極タブ220B2とを模式的に示している。図26では、正極タブ群220Aの根元から接合部320Aまでの正極タブ220B1(最も長い正極タブ220B)の長さL2(第2の長さの最大値)を示している。
【0107】
なお、図25および図27に示す長さL1,L2は、負極板210および正極板220を一平面内に延在させ、負極タブ210B1および正極タブ220B1を湾曲させない状態で測定されるものである。換言すると、図25および図27に示す長さL1,L2は、負極タブ210B1および正極タブ220B1に沿った長さであり、負極タブ210B1および正極タブ220B1が湾曲しているときの直線距離とは異なる。
【0108】
本実施の形態において、負極タブ群210Aの根元から接合部310Aまでの負極タブ210B1の長さL1(図25参照)と、正極タブ群220Aの根元から接合部320Aまでの正極タブ220B1の長さL2(図27参照)とは、L2/L1>1.2(より好ましくは、L2/L1>1.5)の関係を満たす。すなわち、複数の負極タブ210Bのうち最も長い負極タブ210B1は、複数の正極タブ220Bのうち最も長い正極タブ220B1よりも短く形成される。
【0109】
また、負極タブ群210Aの根元から接合部310Aまでの負極タブ210B2の長さ値L1’(図25の負極タブ210B1を負極タブ210B2に置換して参照)と、正極タブ群220Aの根元から接合部320Aまでの正極タブ220B2の長さL2’(図27の正極タブ220B1を正極タブ220B2に置換して参照)とは、L2’/L1’>1.5(より好ましくは、L2’/L1’>1.8)の関係を満たす。すなわち、複数の負極タブ210Bのうち最も短い負極タブ210B2は、複数の正極タブ220Bのうち最も短い正極タブ220B2よりも短く形成される。
【0110】
このように、二次電池1においては、負極タブ210Bが相対的に短く、正極タブ220Bが相対的に長く形成される。複数の負極タブ210Bに関する負極タブ群210Aの根元から接合部310Aまでの長さの平均値L10は、複数の正極タブ220Bに関する正極タブ群220Aの根元から接合部320Aまでの長さの平均値L20よりも小さい。
【0111】
(活物質層から封口板までの距離)
図28は、電極活物質層の封口板側の端部から封口板121,122までの距離を説明するための図である。図28を参照して、正極活物質層222の封口板122側の端部から封口板122までの距離D2は、負極活物質層212の封口板121側の端部から封口板121までの距離D1よりも大きい。すなわち、正極側(封口板122側)においては、負極側(封口板121側)よりも大きな空間が活物質層と封口板との間に形成されている。
【0112】
この場合、外装体100内への電解液の注液は、正極側の注液孔142から行うことが好ましい。比較的大きな隙間が形成された正極側から注液を行うことにより、電解液を一時的に溜める空間を大きくすることができるので、注液工程を効率的に行うことができる。また、注液孔142からの電解液の吹き出しを効果的に抑制することができる。また注液孔142を封止する封止部材の一部が封口板122の内側に突出する場合にも、突出した封止部材と電極体200との接触をより効果的に抑制することができる。この封止部材として、樹脂シール部、ゴム部を一部に含む部材を用いてもよい。
【0113】
(二次電池1の製造工程)
図29は、二次電池1の製造方法の各工程を示すフロー図である。図29に示すように、S10において、ケース本体110を準備する。次に、S20において、電極体200を作製する。S30において、封口板121,122上の電極端子と電極体200の電極タブ群とを電気的に接続する。図29の例では、まず負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続し(S31)、その後に正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続する(S32)。
【0114】
より具体的には、負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続(S31)した後、まず、正極集電体320の第1導電部材321と正極タブ群220Aとを接合し(S32A)、次に、負極側の封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置する(S41)。その後に、電極体200をケース本体110に挿入する(S50)。電極体200がケース本体110に挿入された後に、第1導電部材321と第2導電部材322とを接合することで、正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続し(S32B)、正極側の封口板122と電極体200との間にスペーサ520を配置する(S42)。
【0115】
上述の手順で電極端子と電極タブ群との接続(S30)、スペーサ510,520の設置(S40)および電極体200の挿入(S50)がすべて完了した後、封口板121,122により開口111,112を各々封口する(S60)。封口板121,122による封口工程は、たとえばレーザ溶接により行われる。
【0116】
本技術において、電極端子と電極タブ群との接続(S30)、スペーサ510,520の設置(S40)および電極体200の挿入(S50)の順序は、図29の例に限定されず、適宜変更可能である。たとえば、電極体200の挿入(S50)の後、または電極体200の挿入(S50)の途中に負極端子131と負極タブ群210Aとの電気的接続(S31)、およびスペーサ510の設置(S41)を行ってもよい。
【0117】
図29の例では、負極側の封口板121により開口111を封口する工程(S61)を実施した後に、正極側の封口板122により開口112を封口する工程(S62)を実施しているが、封口板121により開口111を封口する工程(S61)を、封口板122により開口112を封口する工程(S62)の後に実施してもよい。さらに、封口板121,122による封口を行う工程(S61,S62)の少なくとも一部を同時進行で行うことも可能である。
【0118】
(要約)
本実施の形態に係る二次電池1およびその製造方法について要約して説明すると、以下のとおりである。ただし、本技術の範囲は必ずしも本実施の形態における例示に限定されない。
【0119】
本実施の形態に係る二次電池1は、負極板210(第1電極)と正極板220(第2電極)とを含み、一方の端部に負極タブ群210A(第1電極タブ群)を有し、他方の端部に正極タブ群220A(第2電極タブ群)を有する電極体200と、電極体200を収容する外装体100(ケース)と、外装体100に設けられた負極端子131(第1電極端子)および正極端子132(第2電極端子)とを備える。
【0120】
外装体100は、開口111(第1開口)、および開口111と対向する開口112(第2開口)を有するケース本体110と、負極端子131が設けられ、開口111を封口する封口板121(第1封口板)と、正極端子132が設けられ、開口112を封口する封口板122(第2封口板)とを含む。負極端子131と負極タブ群210Aとが電気的に接続され、正極端子132と正極タブ群220Aとが電気的に接続される。負極タブ群210Aは、負極端子131への導電経路を構成するように負極集電体310(第1集電体)の第1導電部材311(第1他部品)に接合される接合部310A(第1接合部)を有し、正極タブ群220Aは、正極端子132への導電経路を構成するように正極集電体320(第2集電体)の第1導電部材321(第2他部品)に接合される接合部320A(第2接合部)を有する。なお、電極タブ群は、封口板または電極端子にも接合され得る。
【0121】
本実施の形態に係る二次電池1の製造方法は、図29に示すように、開口111と、開口111と対向する開口112とを有するケース本体110を準備する工程(S10)と、負極板210と正極板220とを含み、一方の端部に負極板210に電気的に接続された負極タブ210Bを含む負極タブ群210A(第1電極タブ群)を有し、他方の端部に正極板220に電気的に接続された正極タブ220B(第2電極タブ群)を含む正極タブ220Bを有する電極体200を作製する工程(S20)と、封口板121に設けられた負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続する工程(S31)と、正極集電体320の第1導電部材321と正極タブ群220Aとを接合する工程(S32A)と、負極側の封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置する工程(S41)と、電極体200をケース本体110に挿入する工程(S50)と、電極体200がケース本体110に挿入された後に、第1導電部材321と第2導電部材322とを接合することで、正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続する工程(S32B)と、正極側の封口板122と電極体200との間にスペーサ520を配置する工程(S42)と、封口板121により開口111を封口する工程(S61)と、封口板122により開口112を封口する工程(S62)とを備える。なお、負極タブ群210Aは、負極タブ群210Aの根元から接合部310Aまでの長さ(第1の長さ)が同じ複数の負極タブ210B1を含んでいてもよい。正極タブ群220Aは、正極タブ群220Aの根元から接合部320Aまでの長さ(第2の長さ)が同じ複数の正極タブ220B1を含んでいてもよい。
【0122】
負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続する工程(S31)は、接合部310Aにおいて負極タブ群210Aを負極集電体310の第1導電部材311に接合することを含む。正極端子132と正極タブ群220Aとを電気的に接続する工程(S32)は、接合部320Aにおいて正極タブ群220Aを正極集電体320の第1導電部材321に接合することを含む。
【0123】
二次電池1において、負極タブ群210Aは、負極タブ群210Aの根元から接合部310Aまでの長さ(第1の長さ)が互いに異なる複数の負極タブ210B(第1電極タブ)を含み、正極タブ群220Aは、正極タブ群220Aの根元から接合部320Aまでの長さ(第2の長さ)が互いに異なる複数の正極タブ220B(第2電極タブ)を含む。最も長い電極タブについて、負極タブ群210Aの根元から接合部310Aまでの負極タブ210B1の長さL1と、正極タブ群220Aの根元から接合部320Aまでの正極タブ220B1の長さL2とは、L2/L1>1.2(より好ましくは、L2/L1>1.5)の関係を満たす。
【0124】
また、最も短い電極タブについて、負極タブ群210Aの根元から接合部310Aまでの負極タブ210B2の長さL1’と、正極タブ群220Aの根元から接合部320Aまでの正極タブ220B2の長さL2’とは、L2’/L1’>1.5(より好ましくは、L2’/L1’>1.8)の関係を満たす。
【0125】
負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aは、それらの湾曲部の先端側が負極集電体310および正極集電体320に接合されて接合部310A,320Aを各々構成する。負極集電体310における接合部310Aが位置する領域は、封口板121に沿って配置され、正極集電体320における接合部320Aが位置する領域は、封口板122に沿って配置される。ただし、負極集電体310および正極集電体320は必ずしも封口板121,122に平行に延在するものではなく、たとえば±30°程度の傾きは許容され得る。
【0126】
封口板121と封口板122とを結ぶ方向(X軸方向)において、負極活物質層212(第1活物質層)の封口板121側の端部から封口板121までの距離D1(第1の距離)と、正極活物質層222(第2活物質層)の封口板122側の端部から封口板122までの距離D2(第2の距離)とは、D2>D1(より好ましくは、D2/D1>1.2、さらに好ましくは、D2/D1>1.5)の関係を満たす。
【0127】
封口板121と電極体200との間、および封口板122と電極体200との間にはスペーサ510(第1スペーサ)およびスペーサ520(第2スペーサ)が各々配置される。スペーサ510,520は、電極体200の負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aが形成されていない領域と当接し得るように形成されることが好ましい。
【0128】
たとえば、負極タブ210B(1枚)の厚みは、5μm以上20μm以下程度であり、正極タブ220B(1枚)の厚みは、5μm以上(好ましくは8μm以上)20μm以下程度である。ここで、複数の負極タブ210Bの各々の厚み(第1の厚み)よりも複数の正極タブ220Bの各々の厚み(第2の厚み)の方が大きいことが好ましい。一例として、正極タブ220B(1枚)の厚みは、負極タブ210B(1枚)の厚みの1.2倍以上程度(より好ましくは1.5倍以上程度)であることが好ましい。
【0129】
負極タブ群210Aを構成する負極タブ210Bの枚数(第1の枚数S1)と、正極タブ群220Aを構成する正極タブ220Bの枚数(第2の枚数S2)は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。一例としては、0.5<S1/S2<1.5(より好ましくは、0.8<S1/S2<1.2)であることが好ましい。
【0130】
本実施の形態においては、電極体200をケース本体110に挿入する工程(S50)よりも前に負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続する工程(S31)を実施しているが、本技術の範囲はこれに限定されない。負極端子131と負極タブ群210Aとを電気的に接続する工程(S31)は、電極体200をケース本体110に挿入する工程(S50)の途中に行ってもよいし、電極体200をケース本体110に挿入する工程(S50)の後に行ってもよい。
【0131】
また、本実施の形態においては、電極体200をケース本体110に挿入する工程(S50)よりも前に、負極集電体310の第1導電部材311と負極タブ群210Aとを接合するとともに正極集電体320の第1導電部材321と正極タブ群220Aとを接合しているが、本技術の範囲はこれに限定されない。
【0132】
ケース本体110に挿入される前の電極体200を絶縁シート600で覆うようにしてもよい。ただし、本技術において、電極体200を覆う絶縁シート600は必ずしも必須ではない。
【0133】
正極側の封口板122に形成された注液孔142を介してケース本体110内に電解液を注液するときは、封口板121,122を結ぶ方向(X軸方向)が水平方向に対して交差し、かつ、正極側の封口板122が負極側の封口板121よりも鉛直方向上方に位置するようにケース本体110を傾けた状態で電解液を注液することが好ましい。このとき、負極側の封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置した状態で電解液を注液することが好ましい。
【0134】
ただし、注液時にケース本体110を傾けることは本技術において必須ではない。また、ケース本体110を傾けて注液する場合の傾斜確度も適宜変更可能であり、一例として、たとえば水平方向に対して封口板121,122を結ぶ方向(X軸方向)を30°以上程度傾斜させることが好ましく、45°以上程度または60°以上程度傾斜させることがさらに好ましく、最も好ましくは、封口板121,122を結ぶ方向(X軸方向)を略鉛直方向とする(水平方向に対して90°に近い角度にまで傾ける)。
【0135】
(作用効果)
本実施の形態に係る二次電池1によれば、互いに対向する開口111,112を有するケース本体110に電極体200を挿入し、開口111,112を各々封口する封口板121,122に負極端子131および正極端子132を各々設ける構造とすることにより、二次電池1の高さを低減し、二次電池1の車両への搭載性を高めることができる。
【0136】
また、負極タブ群210Aの根元から接合部310Aまでの長さの最大値L1と、正極タブ群220Aの根元から接合部320Aまでの長さの最大値L2とが、所定の関係(L2/L1>1.2)を満たす。すなわち、負極タブ210Bが比較的短く、正極タブ220Bが比較的長く形成されている。
【0137】
負極タブ210Bが比較的短く形成されることにより、ケース本体110内の空間において電極体200が占める体積を大きくすることができるので、二次電池1のエネルギー密度を向上させることができる。
【0138】
また、正極タブ220Bが比較的長く形成されることにより、電極体200を正極タブ群220A側からケース本体に挿入したときに、ケース本体110の開口112側において、正極タブ群220Aと正極集電体320の第1導電部材321との接合が行いやすい。
【0139】
また、負極集電体310および正極集電体320における負極タブ群210Aおよび正極タブ群220Aとの接合部310A,320Aが位置する領域を封口板121,122に沿って各々配置することにより、二次電池1のエネルギー密度をさらに向上させることができる。
【0140】
また、比較的短い負極タブ群210Aと負極端子131との電気的接続(S31)を、比較的長い正極タブ群220Aと正極端子132との電気的接続(S32)よりも前に行うことにより、負極タブ群210Aの損傷を効果的に抑制することができる。
【0141】
また、正極側の封口板122が負極側の封口板121よりも鉛直方向上方に位置するようにケース本体110を傾けた状態で電解液を注液するときに、負極側の封口板121と電極体200との間にスペーサ510を配置することにより、スペーサ510に電極体200を保持させ、負極タブ群210Aの損傷を効果的に抑制することができる。
【0142】
このように、本実施の形態に係る二次電池1およびその製造方法によれば、エネルギー密度が高く、かつ信頼性の高い二次電池を安定的、効率的に製造することが可能となる。
【0143】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0144】
1 二次電池、100 外装体、110 ケース本体、110A 接合部、111,112 開口、121,122 封口板、131 負極端子、131A 接合部、132 正極端子、132A 接合部、141,142 注液孔、151,152 ガス排出弁、200,201,202 電極体、210 負極板、210A 負極タブ群、210B 負極タブ、210S 負極原板、211 負極芯体、212 負極活物質層、220 正極板、220A 正極タブ群、220B 正極タブ、220S 正極原板、221 正極芯体、222 正極活物質層、223 正極保護層、300 集電体、310 負極集電体、310A 接合部、311 第1導電部材、312 第2導電部材、313 接合部、320 正極集電体、320A 接合部、321 第1導電部材、321A 段差部、322 第2導電部材、323 接合部、410,410A,420,420A 絶縁部材、510,520 スペーサ、510A,510B,520A,520B 貫通孔、510C,510D,520C,520D 凹部、511 第1スペーサ、512 第2スペーサ、600 絶縁シート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図22
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図24
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図26
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図28
図29