(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176308
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
H02P 25/22 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H02P25/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094764
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕太
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健宏
(72)【発明者】
【氏名】安藤 晶治
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505CC09
5H505DD06
5H505EE49
5H505GG04
5H505HB01
5H505HB05
5H505JJ03
5H505JJ30
5H505LL22
5H505LL41
5H505LL55
5H505MM12
(57)【要約】
【課題】内部的な通信相手の異常を適切に検出することができる制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、周期パルス信号を生成する制御回路(22,32)と、周期パルス信号の異常が第1の異常判定時間(ΔT
CL)だけ継続するとき、制御回路をリセットさせる2つの電源回路と、を有している。2つの制御回路は、通信相手のリセットに伴い通信相手の異常が検出される場合、異常が検出される時間の合計である積算時間が第2の異常判定時間内に異常確定時間に達したとき、通信相手の異常を確定する。さらに、通信相手の異常が検出されてから通信相手の異常が確定されるまでの時間が、第2の異常判定時間(ΔT
STP)から通信相手の異常が検出されないリセットの完了後の再起動による非検出時間(ΔT
NON)の合計を減算した時間よりも短くなるように、第1の異常判定時間(ΔT
CL)と第2の異常判定時間(ΔT
STP)とが設定される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象を制御するように構成される制御回路であって、自己の正常動作を示す周期パルス信号を生成するように構成される2つの制御回路と、
前記制御回路に供給される電力を管理するように構成される電源回路であって、前記周期パルス信号の異常が第1の異常判定時間だけ継続するとき、前記制御回路をリセットさせるように構成される2つの電源回路と、を有し、
2つの前記制御回路は、互いに通信相手であって、通信相手のリセットに伴い通信相手の異常が検出される場合、異常が検出される時間の合計である積算時間が、第2の異常判定時間内に異常確定時間に達したとき、通信相手の異常を確定するように構成され、
前記第2の異常判定時間は、前記周期パルス信号の異常が検出された前記制御回路のリセットと、リセットされる前記制御回路に対応する前記電源回路よる前記周期パルス信号の異常の確定とが、複数回だけ繰り返すことができる程度の時間に設定され、
さらに、通信相手の異常が検出されてから通信相手の異常が確定されるまでの時間が、前記第2の異常判定時間から通信相手の異常が検出されないリセットの完了後の再起動による非検出時間の合計を減算した時間よりも短くなるように、前記第1の異常判定時間と前記第2の異常判定時間とが設定される制御装置。
【請求項2】
前記第1の異常判定時間は、通信相手の異常が検出されないリセットの完了後の再起動による非検出時間が、通信相手のリセットによって異常が検出される検出時間よりも短くなるように設定される請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
2つの前記制御回路の間で情報を授受するための通信線と、
2つの前記制御回路の間で前記周期パルス信号を授受するための信号線と、を有し、
前記制御回路は、前記通信線を介した通信が不成立、かつ前記信号線を通じて取得される通信相手の前記周期パルス信号が異常であるとき、通信相手の前記制御回路の機能が停止していると判定するように構成される請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
2つの前記制御回路の間で情報を授受するための通信線と、
2つの前記制御回路の間で前記周期パルス信号を授受するための信号線と、を有し、
前記制御回路は、前記通信線を介した通信が不成立、かつ前記信号線を介して取得される通信相手の前記周期パルス信号が正常であるとき、前記通信線を介した通信が異常であると判定するように構成される請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
2つの前記制御回路は、主従関係を有し、2つの前記制御回路の一方がマスターとして機能する一方、2つの前記制御回路の他方がスレーブとして機能するように構成され、
スレーブとして機能する前記制御回路は、前記通信線を介した通信が異常であると判定されるとき、動作を停止するように構成される請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
制御対象は、2系統の巻線群を有するモータであって、
前記制御回路は、自己に対応する系統の前記巻線群に対する給電を独立して制御するように構成されるとともに、通信相手の異常が確定したとき、自己に対応する系統の前記巻線群に対する給電のみを通じて前記モータを駆動させるように構成される請求項1または請求項2の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの制御系統を有する制御装置が存在する。たとえば、特許文献1の制御装置は、第1制御部と、第2制御部とを有している。第1制御部と、第2制御部とは、互いの動作を監視する。第1制御部は、第2制御部との通信を通じて第2制御部の異常を判定する。第2制御部は、第1制御部との通信を通じて第1制御部の異常を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制御装置には、内部的な通信相手の異常を適切に検出することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決し得る制御装置は、制御対象を制御するように構成される制御回路であって、自己の正常動作を示す周期パルス信号を生成するように構成される2つの制御回路と、前記制御回路に供給される電力を管理するように構成される電源回路であって、前記周期パルス信号の異常が第1の異常判定時間だけ継続するとき、前記制御回路をリセットさせるように構成される2つの電源回路と、を有する。2つの前記制御回路は、互いに通信相手であって、通信相手のリセットに伴い通信相手の異常が検出される場合、異常が検出される時間の合計である積算時間が、第2の異常判定時間内に異常確定時間に達したとき、通信相手の異常を確定するように構成される。前記第2の異常判定時間は、前記周期パルス信号の異常が検出された前記制御回路のリセットと、リセットされる前記制御回路に対応する前記電源回路よる前記周期パルス信号の異常の確定とが、複数回だけ繰り返すことができる程度の時間に設定される。さらに、通信相手の異常が検出されてから通信相手の異常が確定されるまでの時間が、前記第2の異常判定時間から通信相手の異常が検出されないリセットの完了後の再起動による非検出時間の合計を減算した時間よりも短くなるように、前記第1の異常判定時間と前記第2の異常判定時間とが設定される。
【0006】
この構成によれば、第2の異常判定時間内に積算される異常の検出時間の合計である積算時間が、第2の異常判定時間内に異常確定時間に達する。すなわち、通信相手の異常が検出されてから通信相手の異常が確定されるまでの時間が、第2の異常判定時間よりも短くなる。したがって、リセットされない制御回路は、内部的な通信相手の異常を適切に検出することができる。
【0007】
上記の制御装置において、前記第1の異常判定時間は、通信相手の異常が検出されないリセットの完了後の再起動による非検出時間が、通信相手のリセットによって異常が検出される検出時間よりも短くなるように設定されるようにしてもよい。
【0008】
たとえば、2つの制御回路のうち、いずれか一方の周期パルス信号の異常が永続的に発生することが考えられる。この場合、周期パルス信号の異常が検出された制御回路のリセットと、リセットされる制御回路に対応する電源回路よる周期パルス信号の異常の確定とが繰り返される。すなわち、リセットされた制御回路がリセットの完了に伴い再起動したとしても、周期パルス信号の異常が再び第1の異常判定時間だけ継続して検出されることによって、再起動した制御回路は再びリセットされる。通信相手の異常が検出されないリセットの完了後の非検出時間は、第1の異常判定時間と同じである。リセットされない制御回路は、通信相手がリセットされる度に、通信相手の異常が検出される時間を積算し、積算された時間である積算時間が第2の異常判定時間内に異常確定時間に達したとき、通信相手の異常を確定する。
【0009】
ただし、第1の異常判定時間の設定によっては、積算時間が第2の異常判定時間内に異常確定時間に達しないおそれがある。たとえば、通信相手の異常が検出されないリセットの完了後の再起動による非検出時間が、通信相手のリセットによって通信相手の異常が検出される検出時間よりも長くなるように設定される場合、積算時間が第2の異常判定時間内に異常確定時間に達しないおそれがある。これは、通信相手の異常が検出されないリセットの完了後の再起動による非検出時間が長いため、第2の異常判定時間内に通信相手の異常が検出される回数が不足するためと考えられる。
【0010】
この点、上記の構成によれば、通信相手の異常が検出されないリセットの完了後の再起動による非検出時間が、通信相手のリセットによって通信相手の異常が検出される検出時間よりも短くなるように設定される。通信相手の異常が検出されないリセットの完了後の再起動による非検出時間が短くなる分、第2の異常判定時間内に通信相手の異常が検出される回数が確保される。このため、第2の異常判定時間内に積算される異常の検出時間の合計である積算時間が、異常確定時間に達しやすくなる。したがって、リセットされない制御回路は、周期パルス信号の異常が永続的に検出される内部的な通信相手の異常を適切に検出することができる。
【0011】
上記の制御装置において、2つの前記制御回路の間で情報を授受するための通信線と、2つの前記制御回路の間で前記周期パルス信号を授受するための信号線と、を有していてもよい。この場合、前記制御回路は、前記通信線を介した通信が不成立、かつ前記信号線を通じて取得される通信相手の前記周期パルス信号が異常であるとき、通信相手の前記制御回路の機能が停止していると判定するように構成されてもよい。
【0012】
通信相手である制御回路の機能が停止した場合、通信線を介した通信が不成立となる。また、機能が停止した通信相手の制御回路により生成される周期パルス信号も異常を示す。したがって、上記の構成によるように、通信線を介した通信が不成立であって、しかも信号線を介して取得される通信相手の周期パルス信号が異常であれば、通信相手の制御回路の機能が停止しているといえる。
【0013】
上記の制御装置において、2つの前記制御回路の間で情報を授受するための通信線と、2つの前記制御回路の間で前記周期パルス信号を授受するための信号線と、を有していてもよい。この場合、前記制御回路は、前記通信線を介した通信が不成立、かつ前記信号線を介して取得される通信相手の前記周期パルス信号が正常であるとき、前記通信線を介した通信が異常であると判定するように構成されてもよい。
【0014】
この構成によるように、通信線を介した通信が不成立である場合であれ、信号線を介して取得される通信相手の周期パルス信号が正常であるときには、通信相手の制御回路は動作しているといえる。このため、通信相手の制御回路は、機能を停止した状態ではなく、通信線を介した通信が異常であることが分かる。
【0015】
上記の制御装置において、2つの前記制御回路は、主従関係を有していてもよい。すなわち、2つの前記制御回路の一方がマスターとして機能する一方、2つの前記制御回路の他方がスレーブとして機能するように構成される。この場合、スレーブとして機能する前記制御回路は、前記通信線を介した通信が異常であると判定されるとき、動作を停止するように構成されてもよい。
【0016】
製品仕様によっては、通信線を介した通信が異常であると判定されるとき、スレーブとして機能する制御回路の動作を停止することが要求されることがある。上記の構成によれば、製品仕様に応じた制御装置を得ることができる。
【0017】
上記の制御装置において、制御対象は、2系統の巻線群を有するモータであってもよい。この場合、前記制御回路は、自己に対応する系統の前記巻線群に対する給電を独立して制御するように構成されるとともに、通信相手の異常が確定したとき、自己に対応する系統の前記巻線群に対する給電のみを通じて前記モータを駆動させるように構成されてもよい。
【0018】
この構成によれば、2つの制御回路のいずれか一方の異常が確定した場合であれ、モータを駆動させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の制御装置によれば、内部的な通信相手の異常を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】制御装置の一実施の形態のブロック図である。
【
図2】制御装置の比較例が起動時に行う処理のタイムチャートである。
【
図3】比較例にかかる通信相手の異常が検出される時間を積算した積算時間の経時的な変化を示すグラフである。
【
図4】制御装置の一実施の形態が起動時に行う処理のタイムチャートである。
【
図5】一実施の形態にかかる通信相手の異常が検出される時間を積算した積算時間の経時的な変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、制御装置の一実施の形態について説明する。
図1に示すように、制御装置11は、モータ12の駆動を制御する。モータ12は、三相のブラシレスモータである。モータ12は、ロータ13、第1の巻線群14、第2の巻線群15、第1の回転角センサ16、および第2の回転角センサ17を有している。第1の巻線群14および第2の巻線群15は、それぞれU相コイル、V相コイル、およびW相コイルを有している。第1の回転角センサ16および第2の回転角センサ17は、モータ12の回転角θ
m1,θ
m2を検出する。モータ12の回転角θ
m1,θ
m2は、ロータ13の回転角である。
【0022】
制御装置11とモータ12とは、給電経路を介して互いに接続されている。給電経路は、バスバーあるいはケーブルなどから構成される。制御装置11は、第1の給電経路を介して第1の巻線群14に接続されるとともに、第2の給電経路を介して第2の巻線群15に接続される。制御装置11は、第1の巻線群14および第2の巻線群15に対する給電を系統ごとに制御する。制御装置11は、第1の巻線群14に対する給電を制御する第1の制御部20と、第2の巻線群15に対する給電を制御する第2の制御部30とを有している。
【0023】
第1の制御部20は、第1の電源回路21と、制御回路としての第1のマイクロコンピュータ22と、第1のインバータ23とを有している。
第1の電源回路21は、たとえばチップ型の集積回路であって、電源線を介して電源に接続される。電源は、たとえば直流電源であるバッテリである。第1の電源回路21は、第1のマイクロコンピュータ22に供給される電力を管理する。具体的には、第1の電源回路21は、電源の電圧を第1のマイクロコンピュータ22の動作に適した電圧に変換するとともに、変換される電圧を第1のマイクロコンピュータ22に供給する。電源の初期電圧あるいは公称電圧は、たとえば12Vである。第1のマイクロコンピュータ22の動作に適した電圧は、たとえば5Vであって、製品仕様などによっては5V未満であってもよい。第1の電源回路21は、第1のマイクロコンピュータ22の動作を監視する機能も有している。
【0024】
第1のマイクロコンピュータ22は、第1のクロックパルス生成部22Aを有している。第1のクロックパルス生成部22Aは、制御装置11に設けられる水晶発振器から取り込む基本周波数のクロックに基づき、第1のクロックパルスSCL1を生成する。第1のクロックパルスSCL1は、第1のマイクロコンピュータ22の各部の動作タイミングを規定するためのクロック信号である。第1のマイクロコンピュータ22の各部は、CPU(Central Processing Unit)と、その周辺回路とを含む。第1のクロックパルスSCL1は、第1のマイクロコンピュータ22が正常に動作していることを示す周期パルス信号でもある。第1のクロックパルスSCL1は、一定周期でハイレベルの電圧と、ローレベルの電圧とを交互に繰り返す。
【0025】
第1のマイクロコンピュータ22の制御対象は、モータ12である。第1のマイクロコンピュータ22は、第1の巻線群14に対して供給すべき電流の目標値である第1の電流指令値を演算する。第1の電流指令値は、第1の巻線群14によって、モータ12に要求される総トルクの半分を発生させるために必要とされる電流量に設定される。すなわち、第1の巻線群14に供給される電流量は、モータ12に要求される総トルクを発生させるために必要とされる電流量の半分(50%)である。
【0026】
第1のマイクロコンピュータ22は、第1の巻線群14に供給される実際の電流の値を第1の電流指令値に追従させる電流フィードバック制御を実行することにより、第1のインバータ23に対する第1の指令信号S1を生成する。第1の指令信号S1は、たとえばPWM(Pulse Width Modulation)信号である。第1のマイクロコンピュータ22は、第1の回転角センサ16を通じて検出されるモータ12の回転角θm1を使用して、第1の巻線群14に対する通電を制御する。
【0027】
第1のインバータ23は、たとえばPWM方式の三相インバータであって、電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換する。第1のインバータ23は、三相各相に対応して設けられる複数のスイッチング素子を有している。電源から供給される直流電力は、第1の指令信号S1に基づいて三相各相のスイッチング素子がスイッチング動作することにより、三相交流電力に変換される。第1のインバータ23を通じて第1の指令信号S1に応じた電流が第1の巻線群14に供給される。
【0028】
第2の制御部30は、基本的に第1の制御部20と同様の構成を有している。すなわち、第2の制御部30は、第2の電源回路31と、制御回路としての第2のマイクロコンピュータ32と、第2のインバータ33とを有している。
【0029】
第2の電源回路31は、たとえばチップ型の集積回路であって、電源線を介して電源に接続される。電源は、たとえば直流電源であるバッテリである。第2の電源回路31は、第2のマイクロコンピュータ32に供給される電力を管理する。具体的には、第2の電源回路31は、電源の電圧を第2のマイクロコンピュータ32の動作に適した電圧に変換するとともに、変換される電圧を第2のマイクロコンピュータ32に供給する。電源の初期電圧あるいは公称電圧は、たとえば12Vである。第2のマイクロコンピュータ32の動作に適した電圧は、たとえば5Vである。第2の電源回路31は、第2のマイクロコンピュータ32の動作を監視する機能も有している。
【0030】
第2のマイクロコンピュータ32は、第2のクロックパルス生成部32Aを有している。第2のクロックパルス生成部32Aは、制御装置11に設けられる水晶発振器から取り込む基本周波数のクロックに基づき、第2のクロックパルスSCL2を生成する。第2のクロックパルスSCL2は、第2のマイクロコンピュータ32の各部の動作タイミングを規定するためのクロック信号である。第2のマイクロコンピュータ32の各部は、CPUと、その周辺回路とを含む。第2のクロックパルスSCL2は、第2のマイクロコンピュータ32が正常に動作していることを示す周期パルス信号でもある。第2のクロックパルスSCL2は、一定周期でハイレベルの電圧と、ローレベルの電圧とを交互に繰り返す。
【0031】
第2のマイクロコンピュータ32の制御対象は、モータ12である。第2のマイクロコンピュータ32は、第2の巻線群15に対して供給すべき電流の目標値である第2の電流指令値を演算する。第2の電流指令値は、第2の巻線群15によって、モータ12に要求される総トルクの半分を発生させるために必要とされる電流量に設定される。すなわち、第2の巻線群15に供給される電流量は、モータ12に要求される総トルクを発生させるために必要とされる電流量の半分(50%)である。
【0032】
第2のマイクロコンピュータ32は、第2の巻線群15に供給される実際の電流の値を第2の電流指令値に追従させる電流フィードバック制御を実行することにより、第2のインバータ33に対する第2の指令信号S2を生成する。第2の指令信号S2は、たとえばPWM信号である。第2のマイクロコンピュータ32は、第2の回転角センサ17を通じて検出されるモータ12の回転角θm2を使用して、第2の巻線群15に対する通電を制御する。
【0033】
第2のインバータ33は、たとえばPWM方式の三相インバータであって、電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換する。第2のインバータ33は、三相各相に対応して設けられる複数のスイッチング素子を有している。電源から供給される直流電力は、第2の指令信号S2に基づいて三相各相のスイッチング素子がスイッチング動作することにより、三相交流電力に変換される。第2のインバータ33を通じて第2の指令信号S2に応じた電流が第2の巻線群15に供給される。
【0034】
なお、第1のマイクロコンピュータ22と、第2のマイクロコンピュータ32との間には、主従関係があってもよい。たとえば、第1のマイクロコンピュータ22がマスターとして機能する一方、第2のマイクロコンピュータ32がスレーブとして機能するようにしてもよい。
【0035】
<通信系統>
第1のマイクロコンピュータ22と、第2のマイクロコンピュータ32とは、第1の通信線41と、第2の通信線42とを介して相互にデジタル信号を授受する。第1の通信線41および第2の通信線42を介した第1のマイクロコンピュータ22と第2のマイクロコンピュータ32との間の通信の規格は、たとえばSPI(Serial Peripheral Interface)である。SPIは、同期式のシリアル通信の規格の一種である。第1のマイクロコンピュータ22および第2のマイクロコンピュータ32は、各々、自身および自身が属する系統の異常を検出する機能を有している。
【0036】
第1のマイクロコンピュータ22は、第1の状態信号Sd1を生成するとともに、生成される第1の状態信号Sd1を第1の通信線41および第2の通信線42を介して第2のマイクロコンピュータ32に送信する。第1の状態信号Sd1は、第1のマイクロコンピュータ22、および第1のマイクロコンピュータ22が属する第1の系統の状態を示すデジタル信号である。
【0037】
第1の状態信号Sd1には、第1の系統の異常発生状態が含まれる。第1の系統の異常発生状態には、たとえば、第1のマイクロコンピュータ22、第1のインバータ23、および第1の回転角センサ16の異常の有無が含まれる。
【0038】
なお、製品仕様などによっては、第1の状態信号Sd1には、第1の系統の動作状態と、第1の巻線群14による発生トルクとが含まれていてもよい。第1の系統の動作状態には、第1のマイクロコンピュータ22が、第1の巻線群14に対する給電制御を行うことができる状態と、電源電圧の低下などに起因して第1の巻線群14に対する給電制御を行うことができない状態とがある。発生トルクは、第1の巻線群14が発生するトルクの程度であって、第1の巻線群14に対して供給される電流の目標値である第1の電流指令値に対応する。
【0039】
第1のマイクロコンピュータ22は、第1の信号線43を介して、第1のクロックパルスSCL1を第2のマイクロコンピュータ32に送信する。第1のマイクロコンピュータ22は、第2の信号線44を介して、第1のクロックパルスSCL1を第1の電源回路21に送信する。第2の信号線44は、第1の信号線43から分岐している。
【0040】
第2のマイクロコンピュータ32は、第1のマイクロコンピュータ22と同様に、第2の状態信号Sd2を生成するとともに、生成される第2の状態信号Sd2を第1の通信線41および第2の通信線42を介して第1のマイクロコンピュータ22に送信する。第2の状態信号Sd2は、第2のマイクロコンピュータ32、および第2のマイクロコンピュータ32が属する第2の系統の状態を示すデジタル信号である。
【0041】
第2のマイクロコンピュータ32は、第3の信号線45を介して、第2のクロックパルスSCL2を第1のマイクロコンピュータ22に送信する。第2のマイクロコンピュータ32は、第4の信号線46を介して、第2のクロックパルスSCL2を第2の電源回路31に送信する。第4の信号線46は、第3の信号線45から分岐している。
【0042】
<異常検出>
第1のマイクロコンピュータ22および第2のマイクロコンピュータ32は、第1の状態信号Sd1、第2の状態信号Sd2、第1のクロックパルスSCL1、第2のクロックパルスSCL2に基づき、相互に監視し合う。
【0043】
第1のマイクロコンピュータ22は、第2の状態信号Sd2を通じて、第2の系統による第2の巻線群15に対する給電制御を実行することができない状態であることを認識した場合、第1の系統による片系統駆動を実行する。第1のマイクロコンピュータ22は、片系統駆動を実行する場合、第1の巻線群14に対して第1の給電制御または第2の給電制御を実行する。片系統駆動を実行する場合、第1の給電制御および第2の給電制御のいずれを行うかは、製品仕様などによって決まる。
【0044】
第1の給電制御は、2系統駆動を実行する通常時の給電制御であって、モータ12に要求される総トルクの半分を第1の巻線群14が発生するトルクで賄うための給電制御である。第2の給電制御は、モータ12に要求される総トルクを第1の巻線群14が発生するトルクですべて賄うための給電制御である。第2の給電制御を実行する場合、第1の巻線群14に対する第1の電流指令値は、2系統駆動を実行する通常時の2倍の値に設定される。たとえば、第1のマイクロコンピュータ22は、第1の電流指令値に対するゲインを通常時の「1倍」から「2倍」に切り替える。第1の電流指令値にゲイン「2倍」を乗じることにより、最終的な第1の電流指令値は通常時の2倍の値となる。
【0045】
第2のマイクロコンピュータ32も、第1の状態信号Sd1を通じて、第1の系統による第1の巻線群14に対する給電制御を実行することができない状態であることを認識した場合、第1のマイクロコンピュータ22と同様に、第2の系統による片系統駆動を実行する。第2のマイクロコンピュータ32は、片系統駆動を実行する場合、第2の巻線群15に対して第1の給電制御または第2の給電制御を実行する。片系統駆動を実行する場合、第1の給電制御および第2の給電制御のいずれを行うかは、製品仕様などによって決まる。
【0046】
このように、モータ12における2系統の巻線群に対する給電を独立して制御することにより、一方系統に異常が発生した場合であれ、他方系統の巻線群への給電を通じてモータ12を継続して回転させることができる。
【0047】
第1のマイクロコンピュータ22は、たとえば、つぎの3つの異常(A),(B),(C)を検出する。
(A)第1の通信異常
第1のマイクロコンピュータ22は、つぎの判定条件(A1)~(A3)のすべてが同時に成立するとき、第1の通信異常が発生していると判定する。第1の通信異常は、第1の通信線41を介した通信の異常である。第1のマイクロコンピュータ22は、判定条件(A1)~(A3)のすべてが成立する状態が、第1の異常確定時間(ΔTth1)だけ継続したとき、第1の通信異常の発生を確定する。第1の異常確定時間(ΔTth1)は、たとえば、数十ミリ秒程度の時間である。
【0048】
(A1)第1の通信線41を介した通信が不成立であること。
(A2)第2の通信線42を介した通信が成立していること。
(A3)第2のクロックパルスSCL2が正常であること。
【0049】
第1の通信線41を介した通信が不成立であっても、第2の通信線42を介した通信が成立していること、および第2のクロックパルスSCL2が正常であることから、第2のマイクロコンピュータ32は正常に動作している。
【0050】
ただし、後述するように、第2のマイクロコンピュータ32は、第1のマイクロコンピュータ22と同様の異常検出機能を有している。第2のマイクロコンピュータ32は、第1の通信線41を介した通信の異常の発生が確定したとき、自身の動作を停止する。これは、製品仕様によるものである。したがって、第1のマイクロコンピュータ22は、第1の通信異常の発生が確定したとき、第1の系統による片系統駆動を実行する。
【0051】
(B)第2の通信異常
第1のマイクロコンピュータ22は、つぎの判定条件(B1)~(B3)のすべてが同時に成立するとき、第2の通信異常が発生していると判定する。第2の通信異常は、第2の通信線42を介した通信の異常である。第1のマイクロコンピュータ22は、判定条件(B1)~(B3)のすべてが成立する状態が、第2の異常確定時間(ΔTth2)だけ継続したとき、第2の通信異常の発生を確定する。第2の異常確定時間(ΔTth2)は、たとえば、数十ミリ秒程度の時間である。
【0052】
(B1)第1の通信線41を介した通信が成立していること。
(B2)第2の通信線42を介した通信が不成立であること。
(B3)第2のクロックパルスSCL2が正常であること。
【0053】
第2の通信線42を介した通信が不成立であっても、第1の通信線41を介した通信が成立していること、および第2のクロックパルスSCL2が正常であることから、第2のマイクロコンピュータ32は正常に動作している。
【0054】
ただし、後述するように、第2のマイクロコンピュータ32は、第1のマイクロコンピュータ22と同様の異常検出機能を有している。第2のマイクロコンピュータ32は、第2の通信線42を介した通信の異常の発生が確定したとき、自身の動作を停止する。これは、製品仕様によるものである。したがって、第1のマイクロコンピュータ22は、第1の通信異常の発生が確定したとき、第1の系統による片系統駆動を実行する。
【0055】
(C)第2のマイクロコンピュータ32の機能停止
第1のマイクロコンピュータ22は、つぎの判定条件(C1)~(C3)のすべてが同時に成立するとき、第2のマイクロコンピュータ32の機能が停止していると判定する。
【0056】
(C1)第1の通信線41を介した通信が不成立であること。
(C2)第2の通信線42を介した通信が不成立であること。
(C3)第2のクロックパルスSCL2が異常であること。第2のクロックパルスSCL2の異常には、第2のクロックパルスSCL2を取得不能であることが含まれる。
【0057】
第1の通信線41を通じた通信と、第2の通信線42を通じた通信との両方が不成立であって、しかも第2のクロックパルスSCL2が異常である場合、第2のマイクロコンピュータ32は、機能が停止した状態である蓋然性が高い。第2のマイクロコンピュータ32の機能が停止した状態は、第2のマイクロコンピュータ32の異常である。
【0058】
第1のマイクロコンピュータ22は、判定条件(C1)~(C3)のすべてが成立する状態の検出期間、すなわち第2のマイクロコンピュータ32の異常検出時間を計測する。異常検出時間は、第2のマイクロコンピュータ32の異常が検出される時間である。第1のマイクロコンピュータ22は、計測される異常検出時間を記憶装置に一時的に格納する。記憶装置は、たとえば、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリである。
【0059】
第1のマイクロコンピュータ22は、最初に第2のマイクロコンピュータ32の異常が検出されてから、定められた停止判定時間ΔTSTPだけ経過するまでの期間、第2のマイクロコンピュータ32の異常が検出される度に第2のマイクロコンピュータ32の異常検出時間を計測する。停止判定時間ΔTSTPは、第2の異常判定時間であって、たとえば、数十秒程度である。第1のマイクロコンピュータ22は、定められた停止判定時間ΔTSTP内に計測される異常検出時間を順次積算する。第1のマイクロコンピュータ22は、積算される異常検出時間の合計である積算時間を記憶装置に一時的に格納する。
【0060】
第1のマイクロコンピュータ22は、積算時間が第3の異常確定時間ΔTth3に達したとき、第2のマイクロコンピュータ32の異常を確定する。第3の異常確定時間ΔTth3は、たとえば、停止判定時間ΔTSTPの半分程度の時間である。第1のマイクロコンピュータ22は、最初に第2のマイクロコンピュータ32の異常が検出されてから停止判定時間ΔTSTPだけ経過したとき、記憶装置に一時的に格納されている異常検出時間、および積算時間を消去する。第1のマイクロコンピュータ22は、第2のマイクロコンピュータ32の異常が確定した場合、第1の系統による片系統駆動を実行する。
【0061】
第2のマイクロコンピュータ32は、たとえば、つぎの3つの異常(D),(E),(F)を検出する。
(D)第1の通信異常
第2のマイクロコンピュータ32は、つぎの判定条件(D1)~(D3)のすべてが同時に成立するとき、第1の通信異常が発生していると判定する。第1の通信異常は、前述したように、第1の通信線41を介した通信の異常である。第2のマイクロコンピュータ32は、判定条件(D1)~(D3)のすべてが成立する状態が、第1の異常確定時間だけ継続したとき、第1の通信異常の発生を確定する。
【0062】
(D1)第1の通信線41を介した通信が不成立であること。
(D2)第2の通信線42を介した通信が成立していること。
(D3)第1のクロックパルスSCL1が正常であること。
【0063】
第1の通信線41を介した通信が不成立であっても、第2の通信線42を介した通信が成立していること、および第1のクロックパルスSCL1が正常であることから、第1のマイクロコンピュータ22は正常に動作している。第2のマイクロコンピュータ32は、第1の通信異常の発生が確定したとき、自身の動作を停止する。これは、製品仕様によるものである。したがって、第1のマイクロコンピュータ22は、第1の通信異常の発生が確定したとき、第1の系統による片系統駆動を実行する。
【0064】
(E)第2の通信異常
第2のマイクロコンピュータ32は、つぎの判定条件(E1)~(E3)のすべてが同時に成立するとき、第2の通信異常が発生していると判定する。第2の通信異常は、前述したように、第2の通信線42を介した通信の異常である。第2のマイクロコンピュータ32は、判定条件(E1)~(E3)のすべてが成立する状態が、第2の異常確定時間だけ継続したとき、第2の通信異常の発生を確定する。
【0065】
(E1)第1の通信線41を介した通信が成立していること。
(E2)第2の通信線42を介した通信が不成立であること。
(E3)第1のクロックパルスSCL1が正常であること。
【0066】
第2の通信線42を介した通信が不成立であっても、第1の通信線41を介した通信が成立していること、および第1のクロックパルスSCL1が正常であることから、第1のマイクロコンピュータ22は正常に動作している。ただし、第2のマイクロコンピュータ32は、第1の通信異常の発生が確定したとき、自身の動作を停止する。これは、製品仕様によるものである。したがって、第1のマイクロコンピュータ22は、第2の通信異常の発生が確定したとき、第1の系統による片系統駆動を実行する。
【0067】
(F)第1のマイクロコンピュータ22の機能停止
第2のマイクロコンピュータ32は、つぎの判定条件(F1)~(F3)のすべてが同時に成立するとき、第1のマイクロコンピュータ22の機能が停止していると判定する。
【0068】
(F1)第1の通信線41を介した通信が不成立であること。
(F2)第2の通信線42を介した通信が不成立であること。
(F3)第1のクロックパルスSCL1が異常であること。第1のクロックパルスSCL1の異常には、第1のクロックパルスSCL1を取得不能であることが含まれる。
【0069】
第1の通信線41を通じた通信と、第2の通信線42を通じた通信との両方が不成立であって、しかも第1のクロックパルスSCL1が異常である場合、第1のマイクロコンピュータ22は、機能が停止した状態である蓋然性が高い。第1のマイクロコンピュータ22の機能が停止した状態は、第1のマイクロコンピュータ22の異常である。
【0070】
第2のマイクロコンピュータ32は、判定条件(F1)~(F3)のすべてが成立する状態の検出期間、すなわち第1のマイクロコンピュータ22の異常検出時間を計測する。異常検出時間は、第1のマイクロコンピュータ22の異常が検出される時間である。第2のマイクロコンピュータ32は、計測される異常検出時間を記憶装置に一時的に格納する。記憶装置は、たとえば、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリである。
【0071】
第2のマイクロコンピュータ32は、最初に第1のマイクロコンピュータ22の異常が検出されてから、定められた停止判定時間ΔTSTPだけ経過するまでの期間、第1のマイクロコンピュータ22の異常が検出される度に第1のマイクロコンピュータ22の異常検出時間を計測する。停止判定時間ΔTSTPは、たとえば、数十秒程度である。第2のマイクロコンピュータ32は、定められた停止判定時間ΔTSTP内に計測される異常検出時間を順次積算する。第2のマイクロコンピュータ32は、積算される異常検出時間の合計である積算時間を記憶装置に一時的に格納する。
【0072】
第2のマイクロコンピュータ32は、積算時間が第3の異常確定時間ΔTth3に達したとき、第1のマイクロコンピュータ22の異常を確定する。第3の異常確定時間ΔTth3は、たとえば、停止判定時間ΔTSTPの半分程度の時間である。第2のマイクロコンピュータ32は、最初に第1のマイクロコンピュータ22の異常が検出されてから停止判定時間ΔTSTPだけ経過したとき、記憶装置に一時的に格納されている異常検出時間、および積算時間を消去する。第2のマイクロコンピュータ32は、第1のマイクロコンピュータ22の異常が確定した場合、第2の系統による片系統駆動を実行する。
【0073】
<マイクロコンピュータのリセット>
第1の電源回路21は、第2の信号線44を介して、第1のクロックパルスSCL1を取り込む。第1の電源回路21は、第1のクロックパルスSCL1に基づき、第1のマイクロコンピュータ22の動作を監視する。第1の電源回路21は、第1のクロックパルスSCL1の異常が検出される状態が、定められたクロック異常判定時間ΔTCLだけ継続するとき、第1のクロックパルスSCL1の異常を確定する。クロック異常判定時間ΔTCLは、第1の異常判定時間である。第1の電源回路21は、第1のクロックパルスSCL1の異常が確定したとき、第1のマイクロコンピュータ22をリセットさせる。
【0074】
リセットは、第1のマイクロコンピュータ22の内部状態を初期化するための処理である。異常には、たとえば、第2の信号線44を介した通信が途絶えること、すなわち、第1のクロックパルスSCL1が取得できないことが含まれる。異常の一因は、たとえば、第2の信号線44のオープン故障である。オープン故障は、永続的な第2の信号線44の故障である。
【0075】
第1の電源回路21は、第1のクロックパルスSCL1に異常が発生したとき、たとえば、第1のリセット信号SRST1を第1のマイクロコンピュータ22に送信する。第1のリセット信号SRST1は、第1のマイクロコンピュータ22にリセット動作を要求するための電気信号である。第1のマイクロコンピュータ22は、リセットが完了したとき、再起動し、定められた起動シーケンスを実行する。起動シーケンスは、電源が投入されることを契機として実行される一連の処理であって、リセットが完了した後に実行される初期検査でもある。
【0076】
第2の電源回路31は、第4の信号線46を介して、第2のクロックパルスSCL2を取り込む。第2の電源回路31は、第2のクロックパルスSCL2に基づき、第2のマイクロコンピュータ32の動作を監視する。第2の電源回路31は、第2のクロックパルスSCL2の異常が検出される状態が、定められたクロック異常判定時間ΔTCLだけ継続するとき、第2のクロックパルスSCL2の異常を確定する。第2の電源回路31は、第2のクロックパルスSCL2の異常が確定したとき、第2のマイクロコンピュータ32をリセットさせる。
【0077】
リセットは、第2のマイクロコンピュータ32の内部状態を初期化するための処理である。異常には、たとえば、第4の信号線46を介した通信が途絶えること、すなわち、第2のクロックパルスSCL2が取得できないことが含まれる。異常の一因は、たとえば、第4の信号線46のオープン故障である。オープン故障は、永続的な第4の信号線46の故障である。
【0078】
第2の電源回路31は、第2のクロックパルスSCL2に異常が発生したとき、たとえば、第2のリセット信号SRST2を第2のマイクロコンピュータ32に送信する。第2のリセット信号SRST2は、第2のマイクロコンピュータ32にリセット動作を要求するための電気信号である。第2のマイクロコンピュータ32は、リセットが完了したとき、再起動し、定められた起動シーケンスを実行する。
【0079】
<異常検出の比較例>
つぎに、異常検出の比較例について説明する。ここでは、電源が投入される前に、すでに第2の信号線44にオープン故障が発生している場合を一例として挙げる。
【0080】
図2に示すように、電源が投入されたとき(時刻T1)、第1のマイクロコンピュータ22は、定められた起動シーケンスを実行開始する。第1のマイクロコンピュータ22は、動作可能な状態に遷移したとき、第1の状態信号S
d1、および第1のクロックパルスS
CL1の出力を開始する(時刻T2)。
【0081】
第1の電源回路21は、第1のクロックパルスSCL1の出力が開始された後、第1のクロックパルスSCL1の異常を判定する。第2の信号線44にオープン故障が発生しているため、第1の電源回路21は、第1のクロックパルスSCL1を取得することができない。第1の電源回路21は、電源が投入されたにも関わらず、第1のクロックパルスSCL1を取得することができないことに基づき、第1のクロックパルスSCL1が異常であると判定する。第1の電源回路21は、第1のクロックパルスSCL1の異常が検出される状態が、定められたクロック異常判定時間ΔTCLだけ継続するとき、第1のクロックパルスSCL1の異常を確定する(時刻T3)。第1の電源回路21は、第1のクロックパルスSCL1の異常が確定したとき、第1のリセット信号SRST1を第1のマイクロコンピュータ22に送信する。
【0082】
第1のマイクロコンピュータ22は、第1のリセット信号SRST1の受信を契機として、リセット動作を行う。これに伴い、第1のマイクロコンピュータ22は、第1の状態信号Sd1、および第1のクロックパルスSCL1の出力を停止する。第1のマイクロコンピュータ22は、リセット動作の完了後、再び起動シーケンスを実行開始する(時刻T4)。この後、第1のマイクロコンピュータ22は、動作可能な状態に遷移したとき、再び、第1の状態信号Sd1、および第1のクロックパルスSCL1の出力を開始する(時刻T5)。
【0083】
第1の電源回路21は、第1のクロックパルスSCL1の出力が再開された後、再び、第1のクロックパルスSCL1の異常を判定する。第2の信号線44にオープン故障が発生しているため、第1の電源回路21は、再び、第1のクロックパルスSCL1が異常であると判定する。第1の電源回路21は、第1のクロックパルスSCL1の異常が検出される状態が、定められたクロック異常判定時間ΔTCLだけ継続するとき、第1のクロックパルスSCL1の異常を確定する(時刻T6)。
【0084】
以後、第1のマイクロコンピュータ22のリセットと、第1の電源回路21による第1のクロックパルスSCL1の異常の確定とが繰り返される。
第2のマイクロコンピュータ32は、第1のマイクロコンピュータ22がリセットされたとき、先の判定条件(F1)~(F3)のすべてが同時に成立するため、第1のマイクロコンピュータ22の機能が停止していると判定する。第1のマイクロコンピュータ22の機能が停止した状態は、第1のマイクロコンピュータ22の異常である。
【0085】
第2のマイクロコンピュータ32は、第1のマイクロコンピュータ22の異常検出時間ΔTDTを計測するとともに、計測される時間を記憶装置に一時的に格納する。異常検出時間ΔTDTは、第1のマイクロコンピュータ22の異常が検出される時間である。
【0086】
第2のマイクロコンピュータ32は、最初に第1のマイクロコンピュータ22の異常が検出されてから、定められた停止判定時間ΔTSTPだけ経過するまでの期間、第1のマイクロコンピュータ22がリセットされる度に、第1のマイクロコンピュータ22の異常検出時間ΔTDTを計測する。
【0087】
第1のマイクロコンピュータ22が、リセット完了後、第1の状態信号Sd1および第1のクロックパルスSCL1の出力を再開したとき、先の判定条件(F1)~(F3)が成立しなくなる。このため、第2のマイクロコンピュータ32は、第1のマイクロコンピュータ22の異常を検出しない。第2のマイクロコンピュータ32が第1のマイクロコンピュータ22の異常を検出しない時間である異常非検出時間ΔTNONは、クロック異常判定時間ΔTCLと等しい。第2のマイクロコンピュータ32は、異常非検出時間ΔTNON毎に第1のマイクロコンピュータ22の異常を検出する。
【0088】
図3に示すように、第2のマイクロコンピュータ32は、計測される異常検出時間ΔT
DTを、順次積算する。ただし、第2のマイクロコンピュータ32が最初に第1のマイクロコンピュータ22の異常を検出してから停止判定時間ΔT
STPだけ経過した時点(時刻Tn)において、積算される異常検出時間ΔT
DTの合計である積算時間が第3の異常確定時間ΔT
th3に達しないおそれがある。これは、たとえば、異常非検出時間ΔT
NONが異常検出時間ΔT
DTよりも長いため、停止判定時間ΔT
STP内に第1のマイクロコンピュータ22の異常が検出される回数が不足するためと考えられる。
【0089】
積算時間が停止判定時間ΔTSTP内に第3の異常確定時間ΔTth3に達しない場合、第2のマイクロコンピュータ32は、第1のマイクロコンピュータ22の異常を確定することなく、記憶装置に格納されている異常検出時間ΔTDTおよび積算時間を消去する。したがって、第2のマイクロコンピュータ32が、第2の信号線44のオープン故障に起因する第1のマイクロコンピュータ22の異常を適切に検出することができないことが懸念される。
【0090】
<異常検出の実施例>
そこで、本実施の形態では、制御装置11として、つぎの構成を採用している。
すなわち、異常が検出されてから異常が確定されるまでの時間TCSが、次式(1)を満足するように、クロック異常判定時間ΔTCLと、停止判定時間ΔTSTPとが設定されている。異常は、第1のマイクロコンピュータ22または第2のマイクロコンピュータ32の異常である。
【0091】
TCS<ΔTSTP-ΣΔTNON …(1)
ただし、「ΣΔTNON」は、複数回検出される異常非検出時間ΔTNONの合計である。
【0092】
また、異常非検出時間ΔT
NONが異常検出時間ΔT
DTよりも短くなるように、クロック異常判定時間ΔT
CLが設定されている。本実施の形態のクロック異常判定時間ΔT
CLは、
図2に示される比較例のクロック異常判定時間ΔT
CLよりも短い時間であって、たとえば比較例のクロック異常判定時間ΔT
CLの半分以下の時間である。
【0093】
クロック異常判定時間ΔTCLは、たとえば、第1の電源回路21、第2の電源回路31、第1のマイクロコンピュータ22、および第2のマイクロコンピュータ32のハードウェア上のばらつきを考慮して設定される。クロック異常判定時間ΔTCLは、第1のマイクロコンピュータ22が第2のクロックパルスSCL2の異常を適切に判定可能とされる時間である。クロック異常判定時間ΔTCLは、第2のマイクロコンピュータ32が第1のクロックパルスSCL1の異常を適切に検出可能とされる時間でもある。クロック異常判定時間ΔTCLは、許容される最短の時間に設定される。
【0094】
図4に示すように、電源が投入される前に、すでに第2の信号線44にオープン故障が発生している場合、第1のマイクロコンピュータ22および第2のマイクロコンピュータ32は、電源の投入を契機として、先の
図2に示される比較例と同様に動作する。すなわち、第1のマイクロコンピュータ22のリセットと、第1の電源回路21による第1のクロックパルスS
CL1の異常の確定とが繰り返される。
【0095】
図5に示すように、第2のマイクロコンピュータ32は、最初に第1のマイクロコンピュータ22の異常が検出されてから、定められた停止判定時間ΔT
STPだけ経過するまでの期間(時刻T3~時刻Tn)、第1のマイクロコンピュータ22がリセットされる度に、第1のマイクロコンピュータ22の異常検出時間ΔT
DTを計測する。第2のマイクロコンピュータ32は、計測される異常検出時間ΔT
DTを、順次積算する。
【0096】
異常非検出時間ΔTNONが短くなる分、停止判定時間ΔTSTP内に第1のマイクロコンピュータ22の異常が検出される回数が確保される。このため、第2のマイクロコンピュータ32が最初に第1のマイクロコンピュータ22の異常を検出してから停止判定時間ΔTSTPだけ経過した時点(時刻Tn)において、積算される異常検出時間ΔTDTの合計である積算時間が、第3の異常確定時間ΔTth3以上に達しやすくなる。
【0097】
第2のマイクロコンピュータ32は、停止判定時間ΔTSTP内に、積算時間が第3の異常確定時間ΔTth3以上に達したとき、第1のマイクロコンピュータ22の異常を確定する。すなわち、第2のマイクロコンピュータ32は、第2の信号線44のオープン故障に起因する第1のマイクロコンピュータ22の異常を適切に検出する。第2のマイクロコンピュータ32は、第1のマイクロコンピュータ22の異常が確定したとき、第2の系統による片系統駆動を実行する。
【0098】
なお、第2のマイクロコンピュータ32と第2の電源回路31との間の第4の信号線46にオープン故障が発生した場合、第1のマイクロコンピュータ22は、第2の信号線44にオープン故障が発生した場合の第2のマイクロコンピュータ32と同様の処理の実行を通じて、第2のマイクロコンピュータ32の異常を検出する。
【0099】
第1のマイクロコンピュータ22は、最初に第2のマイクロコンピュータ32の異常が検出されてから、定められた停止判定時間ΔTSTPだけ経過するまでの期間(時刻T3~時刻Tn)、第2のマイクロコンピュータ32がリセットされる度に、第2のマイクロコンピュータ32の異常検出時間ΔTDTを計測する。第1のマイクロコンピュータ22は、計測される異常検出時間ΔTDTを、順次積算する。
【0100】
第1のマイクロコンピュータ22は、停止判定時間ΔTSTP内に、積算時間が第3の異常確定時間ΔTth3以上に達したとき、第2のマイクロコンピュータ32の異常を確定する。すなわち、第1のマイクロコンピュータ22は、第4の信号線46のオープン故障に起因する第2のマイクロコンピュータ32の異常を適切に検出する。第1のマイクロコンピュータ22は、第2のマイクロコンピュータ32の異常が確定したとき、第1の系統による片系統駆動を実行する。
【0101】
<実施の形態の効果>
本実施の形態は、以下の効果を奏する。
(1)異常が検出されてから異常が確定されるまでの時間TCSが、停止判定時間ΔTSTPから合計時間ΣΔTNONを減算した時間よりも短くなるように、クロック異常判定時間ΔTCLと、停止判定時間ΔTSTPとが設定される。異常は、第1のマイクロコンピュータ22または第2のマイクロコンピュータ32の異常である。合計時間ΣΔTNONは、複数回検出される異常非検出時間ΔTNONの合計である。
【0102】
この構成によれば、停止判定時間ΔTSTP内に積算される異常検出時間ΔTDTの合計である積算時間が、停止判定時間ΔTSTP内に第3の異常確定時間ΔTth3に達する。すなわち、通信相手の異常が検出されてから通信相手の異常が確定されるまでの時間が、停止判定時間ΔTSTPよりも短くなる。したがって、リセットされないマイクロコンピュータ(22または32)は、内部的な通信相手の異常を適切に検出することができる。
【0103】
(2)停止判定時間ΔTSTPは、クロックパルス(SCL1またはSCL2)の異常が検出されたマイクロコンピュータ(22または32)のリセットと、リセットされるマイクロコンピュータ(22または32)に対応する電源回路(21または31)による(SCL1またはSCL2)の異常の確定とが、複数回だけ繰り返すことができる程度の時間に設定される。
【0104】
クロック異常判定時間ΔTCLは、クロックパルス(SCL1またはSCL2)の異常が検出されたマイクロコンピュータ(22または32)の異常が検出されないリセットの完了後の再起動による異常非検出時間ΔTNONが、クロックパルス(SCL1またはSCL2)の異常が検出されたマイクロコンピュータ(22または32)のリセットによって異常が検出される異常検出時間ΔTDTよりも短くなるように設定される。
【0105】
この構成によれば、異常非検出時間ΔTNONが短くなる分、停止判定時間ΔTSTP内に第1のマイクロコンピュータ22の異常が検出される回数が確保される。このため、停止判定時間ΔTSTP内に積算される異常検出時間ΔTDTの合計である積算時間が、第3の異常確定時間ΔTth3以上に達しやすくなる。
【0106】
第1のマイクロコンピュータ22は、停止判定時間ΔTSTP内に、積算時間が第3の異常確定時間ΔTth3以上に達したとき、通信相手である第2のマイクロコンピュータ32の異常を確定する。すなわち、第1のマイクロコンピュータ22は、第4の信号線46のオープン故障に起因する第2のマイクロコンピュータ32の異常を適切に検出することができる。第2のマイクロコンピュータ32は、第1のマイクロコンピュータ22の内部的な通信相手である。
【0107】
第2のマイクロコンピュータ32は、停止判定時間ΔTSTP内に、積算時間が第3の異常確定時間ΔTth3以上に達したとき、通信相手である第1のマイクロコンピュータ22の異常を確定する。すなわち、第2のマイクロコンピュータ32は、第2の信号線44のオープン故障に起因する第1のマイクロコンピュータ22の異常を適切に検出することができる。第1のマイクロコンピュータ22は、第2のマイクロコンピュータ32の内部的な通信相手である。
【0108】
(3)制御装置11は、第1のマイクロコンピュータ22と第2のマイクロコンピュータ32との間で情報を授受するための通信線(41,42)と、第1のマイクロコンピュータ22と第2のマイクロコンピュータ32との間でクロックパルス(SCL1,SCL2)を授受するための信号線(43~46)と、を有している。マイクロコンピュータ(22または32)は、通信線(41および42)を介した通信が不成立、かつ信号線(43~46)を通じて取得される通信相手のクロックパルス(SCL1またはSCL2)が異常であるとき、通信相手のマイクロコンピュータ(22または32)の機能が停止していると判定する。
【0109】
第1のマイクロコンピュータ22、および第2のマイクロコンピュータ32は、通信相手のマイクロコンピュータ(22または32)の機能が停止した場合、通信線(41および42)を介した通信が不成立となる。また、機能が停止した通信相手のマイクロコンピュータ(22または32)により生成される周期パルス信号も異常を示す。したがって、上記の構成によるように、通信線(41,42)を介した通信が不成立であって、しかも信号線(43~46)を介して取得される通信相手のマイクロコンピュータ(22または32)のクロックパルス(SCL1またはSCL2)が異常であれば、通信相手のマイクロコンピュータ(22または32)の機能が停止しているといえる。
【0110】
(4)制御装置11は、第1のマイクロコンピュータ22と第2のマイクロコンピュータ32との間で情報を授受するための通信線(41,42)と、第1のマイクロコンピュータ22と第2のマイクロコンピュータ32との間でクロックパルス(SCL1,SCL2)を授受するための信号線(43~46)と、を有している。第1のマイクロコンピュータ22、および第2のマイクロコンピュータ32は、通信線(41,42)を介した通信が不成立、かつ信号線(43~46)を介して取得される通信相手のクロックパルス(SCL1またはSCL2)が正常であるとき、通信線(41,42)を介した通信が異常であると判定する。
【0111】
この構成によるように、通信線(41,42)を介した通信が不成立である場合であれ、信号線(43~46)を介して取得される通信相手のクロックパルス(SCL1またはSCL2)が正常であるときには、通信相手のマイクロコンピュータ(22または32)は動作しているといえる。このため、通信相手のマイクロコンピュータ(22または32)は、機能を停止した状態ではなく、通信線(41,42)を介した通信が異常であることが分かる。
【0112】
(5)第1のマイクロコンピュータ22と、第2のマイクロコンピュータ32とは、主従関係を有している。たとえば、第1のマイクロコンピュータ22がマスターとして機能する一方、第2のマイクロコンピュータ32がスレーブとして機能する。スレーブとして機能する第2のマイクロコンピュータ32は、通信線(41,42)を介した通信が異常であると判定されるとき、動作を停止する。
【0113】
製品仕様によっては、通信線(41,42)を介した通信が異常であると判定されるとき、スレーブとして機能する第2のマイクロコンピュータ32の動作を停止することが要求されることがある。上記の構成によれば、製品仕様に応じた制御装置11を得ることができる。
【0114】
(6)第1のマイクロコンピュータ22は、通信相手である第2のマイクロコンピュータ32の異常が確定したとき、第1の系統による片系統駆動を実行する。すなわち、第1のマイクロコンピュータ22は、自己に対応する第1の巻線群14に対する給電のみを通じてモータ12を駆動させる。第2のマイクロコンピュータ32は、通信相手である第1のマイクロコンピュータ22の異常が確定したとき、第2の系統による片系統駆動を実行する。すなわち、第2のマイクロコンピュータ32は、自己に対応する第2の巻線群15に対する給電のみを通じてモータ12を駆動させる。このため、第1のマイクロコンピュータ22および第2のマイクロコンピュータ32のうち、いずれか一方の異常が確定した場合であれ、モータ12を駆動させることができる。したがって、商品性が向上する。
【0115】
<他の実施の形態>
なお、本実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・制御装置11として、3本以上の通信線を有する構成を採用してもよい。また、制御装置11として、第1の通信線41および第2の通信線42のうちいずれか一方のみを有する構成を採用してもよい。
【0116】
・第1のマイクロコンピュータ22および第2のマイクロコンピュータ32の正常動作を示す信号は、クロックパルス(SCL1,SCL2)に限らない。すなわち、第1のマイクロコンピュータ22および第2のマイクロコンピュータ32は、動作を監視するための専用の周期パルス信号を生成するようにしてもよい。専用の周期パルス信号のパルス周期は一定でなくてもよい。また、専用の周期パルス信号のパルスパターンは、クロックパルスのパルスパターンと異なっていてもよい。
【0117】
・制御装置11は、電動パワーステアリング装置の制御装置であってもよい。この場合、モータ12は、電動パワーステアリング装置の駆動源として機能する。モータ12は、アシスト力を発生するアシストモータとして機能する。
【0118】
・制御装置11は、ステアバイワイヤ方式の操舵装置の制御装置であってもよい。この場合、モータ12は、操舵装置を構成する反力機構あるいは転舵機構の駆動源として機能する。モータ12は、操舵反力を発生する反力モータ、あるいは車両の転舵輪を転舵させるための転舵力を発生する転舵モータとして機能する。
【0119】
・制御装置11は、車両の操舵装置の制御装置のみならず、各種の機械装置の制御装置であってもよい。機械装置は、たとえばモータにより駆動する工作機械であってもよい。この場合、モータ12は、機械装置の駆動源として機能する。
【符号の説明】
【0120】
11…制御装置
12…モータ(制御対象)
14…第1の巻線群
15…第2の巻線群
21…第1の電源回路
22…第1のマイクロコンピュータ(制御回路)
31…第2の電源回路
32…第2のマイクロコンピュータ(制御回路)
41…第1の通信線
42…第2の通信線
43…第1の信号線
44…第2の信号線
45…第3の信号線
46…第4の信号線
ΔTCL…クロック異常判定時間(第1の異常判定時間)
ΔTSTP…停止判定時間(第2の異常判定時間)
SCL1…第1のクロックパルス(周期パルス信号)
SCL2…第2のクロックパルス(周期パルス信号)
ΔTth3…第3の異常確定時間(異常確定時間)