(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176310
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】床パネル
(51)【国際特許分類】
B32B 3/12 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B32B3/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094766
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】新海 達也
(72)【発明者】
【氏名】山内 怜旺
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB01E
4F100AK01A
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK07C
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100BA10E
4F100CB00D
4F100CB00E
4F100DB05
4F100DC02A
4F100EJ42
4F100GB08
4F100YY00A
(57)【要約】
【課題】せん断力などの荷重に対する剛性を高めることができる床パネルを提供する。
【解決手段】床パネル30は、柱状の複数のセルSが板厚方向と交差する方向に並設されるコア層110と、コア層110の板厚方向における両面にそれぞれ接合される2つのスキン層120,130と、を有する複数の中空板材100であって、板厚方向に積層される複数の中空板材100と、板厚方向に隣り合う2つの中空板材100を接合する接合層81,82と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状をなす床パネルであって、
柱状の複数のセルが板厚方向と交差する方向に並設されるコア層と、前記コア層の前記板厚方向における両面にそれぞれ接合される2つのスキン層と、を有する複数の中空板材であって、前記板厚方向に積層される複数の中空板材と、
前記板厚方向に隣り合う2つの前記中空板材を接合する接合層と、を備える
床パネル。
【請求項2】
前記板厚方向に隣り合う2つの前記中空板材において、一方の前記中空板材の前記コア層を構成する前記複数のセル及び他方の前記中空板材の前記コア層を構成する前記複数のセルは、前記板厚方向に対してずれて位置する
請求項1に記載の床パネル。
【請求項3】
前記板厚方向に隣り合う2つの前記中空板材において、一方の前記中空板材の前記コア層を構成する前記複数のセル及び他方の前記中空板材の前記コア層を構成する前記複数のセルは、大きさが異なる
請求項2に記載の床パネル。
【請求項4】
前記複数の中空板材と前記接合層とを含んで構成される構造体を積層構造体とし、前記接合層を第1接合層としたとき、
前記積層構造体の前記板厚方向における両面を覆う金属製の金属カバーと、
前記積層構造体の前記板厚方向における両面と前記金属カバーとを接合する第2接合層と、を備える
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の床パネル。
【請求項5】
板状をなす床パネルであって、
柱状の複数のセルが板厚方向と交差する方向に並設されるコア層と、前記コア層の前記板厚方向における両面にそれぞれ接合される2つのスキン層と、を有する第1中空板材及び第2中空板材と、
前記板厚方向において、前記第1中空板材及び前記第2中空板材の間に積層される発泡樹脂製又は木製の基材と、
前記第1中空板材と前記基材とを接合する第1接合層と、
前記第2中空板材と前記基材とを接合する第2接合層と、を備える
床パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内部に中空構造を有する中空構造体が記載されている。この中空構造体は、軽量かつ強度に優れている点で、建物の床に敷設される床パネルとして使用されることがある。具体的には、床パネルは、複数の支持脚を介して、建物の実際の床との間に間隔をあけた状態で配置される。こうして、複数の床パネルは、建物の床とともに、いわゆる二重床を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような床パネルに機器及び家具が設置される場合、床パネルの板厚方向に対してせん断力などの荷重が作用する。このため、床パネルは、せん断力などの荷重に対する剛性を高めることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
上記課題を解決する床パネルは、板状をなす床パネルであって、柱状の複数のセルが板厚方向と交差する方向に並設されるコア層と、前記コア層の前記板厚方向における両面にそれぞれ接合される2つのスキン層と、を有する複数の中空板材であって、前記板厚方向に積層される複数の中空板材と、前記板厚方向に隣り合う2つの前記中空板材を接合する接合層と、を備える。
【0006】
上記課題を解決する床パネルは、板状をなす床パネルであって、柱状の複数のセルが板厚方向と交差する方向に並設されるコア層と、前記コア層の前記板厚方向における両面にそれぞれ接合される2つのスキン層と、を有する第1中空板材及び第2中空板材と、前記板厚方向において、前記第1中空板材及び前記第2中空板材の間に積層される発泡樹脂製又は木製の基材と、前記第1中空板材と前記基材とを接合する第1接合層と、前記第2中空板材と前記基材とを接合する第2接合層と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
床パネルは、せん断力などの荷重に対する剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】
図4(a)は中空板材の断面斜視図であり、
図4(b)はβ-β線の断面模式図であり、
図4(c)はγ-γ線の断面模式図である。
【
図5】
図5(a)はコア層を構成するシート材の部分斜視図であり、
図5(b)は同シート材の折り込み途中の状態を示す部分斜視図であり、
図5(c)は同シート材を折り込んだ状態を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、床パネルの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<本実施形態の構成>
図1に示すように、二重床構造10は、複数の支持脚20と、複数の床パネル30と、を備える。二重床構造10は、例えば、オフィス及びサーバールームなどの床FLの上に構成される。
【0010】
<支持脚20>
支持脚20は、板状をなす基部21と、棒状をなす支柱22と、板状をなす台座23と、を備える。基部21は、建物の床FLに固定される部位である。建物の床FLに対する基部21の固定には、接着剤を用いてもよいし、ボルトなどの締結部材を用いてもよい。支柱22は、基部21から上方に延びている。支柱22は、長さを調整可能であることが好ましい。台座23は、支柱22の先端に固定されている。台座23の板厚方向は、支柱22の軸方向と一致している。台座23は、円板状をなしていてもよいし、矩形板状をなしていてもよい。
【0011】
<床パネル30>
図1~
図3に示すように、床パネル30は、矩形板状をなしている。床パネル30は、積層構造体40と、第1カバー50と、第2カバー60と、2つの第2接合層71,72と、を備える。
【0012】
<積層構造体40>
図3に示すように、積層構造体40は、3つの中空板材100と、2つの第1接合層81,82と、を備える。3つの中空板材100は、合成樹脂製の第1中空板材101、第2中空板材102及び第3中空板材103を有する。
【0013】
<中空板材100の構造>
図4(a)に示すように、中空板材100は、コア層110と、コア層110の両主面でコア層110全体を覆うように接合されたスキン層120,130とで構成されている。
【0014】
図5(a)~(c)に示すように、コア層110は、所定形状に成形された1枚の合成樹脂製のシート材200を折り畳んで形成されている。
図4(a)に示すように、コア層110は、コア層110の両主面側でセルSを閉塞する閉塞壁部111,112と、閉塞壁部111,112の間に立設されてセルSを六角柱形状に区画する側壁部113とで構成されている。以下で説明するように、コア層110の閉塞壁部111,112は、1層構造と2層構造とが混在した構造とされているが、
図4(a)では、コア層110の閉塞壁部111,112を1層構造で示している。
【0015】
図4(b)及び(c)に示すように、コア層110の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1及び第2セルS2が存在する。
図4(b)に示すように、第1セルS1においては、側壁部113の上部に2層構造の閉塞壁部111が設けられている。この2層構造の閉塞壁部111の各層は互いに接合されている。また、2層構造の閉塞壁部111には、コア層110の成形時に合成樹脂が熱収縮することにより、図示しない開口部が形成されている。第1セルS1においては、側壁部113の下部に1層構造の閉塞壁部112が設けられている。
【0016】
一方、
図4(c)に示すように、第2セルS2においては、側壁部113の上部に1層構造の閉塞壁部111が設けられている。また、第2セルS2においては、側壁部113の下部に2層構造の閉塞壁部112が設けられている。この2層構造の閉塞壁部112の各層は互いに接合されている。2層構造の閉塞壁部112には、コア層110成形時の合成樹脂の熱収縮により、図示しない開口部が形成されている。
【0017】
また、
図4(b)及び(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、それぞれ2層構造の側壁部113によって区画されている。この2層構造の側壁部113は、コア層110の厚み方向中央部に互いに熱溶着されていない部分を有する。したがって、コア層110の各セルSの内部空間は、2層構造の側壁部113の間を介して他のセルSの内部空間に連通している。
【0018】
図4(a)に示すように、第1セルS1はX方向に沿って列を成すように並設されている。同様に、第2セルS2はX方向に沿って列を成すように並設されている。第1セルS1の列及び第2セルS2の列は、X方向に直交するY方向において交互に配列されている。そして、これら第1セルS1及び第2セルS2により、コア層110は、全体としてハニカム構造をなしている。
【0019】
コア層110及びスキン層120,130を構成する合成樹脂は、従来周知の熱可塑性樹脂であればよく、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。本実施形態のコア層110及びスキン層120,130は、ポリプロピレン樹脂製とされている。コア層110を構成する熱可塑性樹脂と、スキン層120,130を構成する熱可塑性樹脂は、同じ材質であることが好ましい。本実施形態では、スキン層120とスキン層130の厚みは同一とされている。
【0020】
<中空板材100の製造方法>
図5に示すように、中空板材100は、一枚のシート材200からコア層110を形成するとともに、コア層110にスキン層120,130を接合して製造される。
【0021】
図5(a)に示すように、シート材200は、1枚の熱可塑性樹脂製のシートを所定の形状に成形することにより形成されている。シート材200には、帯状をなす平面領域210及び膨出領域220が、シート材200の長手方向(Y方向)に交互に配置されている。膨出領域220には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部221が膨出領域220の延びる方向(X方向)の全体にわたって形成されている。なお、第1膨出部221の上面と側面とのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部221の断面形状は下向コ字状となる。また、第1膨出部221の幅(上面の短手方向の長さ)は平面領域210の幅と等しく、かつ第1膨出部221の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
【0022】
また、膨出領域220には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部222が、第1膨出部221に直交するように形成されている。第2膨出部222の膨出高さは第1膨出部221の膨出高さと等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部222間の間隔は、第2膨出部222の上面の幅と等しくなっている。
【0023】
なお、こうした第1膨出部221及び第2膨出部222は、シートの塑性を利用してシートを部分的に上方に膨出させることにより形成されている。また、シート材200は、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法によって1枚のシートから成形することができる。
【0024】
図5(a)及び(b)に示すように、上述のように構成されたシート材200を、境界線P、Qに沿って折り畳むことでコア層110が形成される。具体的には、シート材200を、平面領域210と膨出領域220との境界線Pにて谷折りするとともに、第1膨出部221の上面と側面との境界線Qにて山折りしてY方向に圧縮する。そして、
図5(b)及び(c)に示すように、第1膨出部221の上面と側面とが折り重なるとともに、第2膨出部222の端面と平面領域210とが折り重なることによって、一つの膨出領域220に対して一つのX方向に延びる角柱状の区画体230が形成される。こうした区画体230がY方向に連続して形成されていくことにより中空板状のコア層110が形成される。
【0025】
上記のようにシート材200を圧縮するとき、第1膨出部221の上面と側面とによってコア層110の閉塞壁部111が形成されるとともに、第2膨出部222の端面と平面領域210とによってコア層110の閉塞壁部112が形成される。なお、
図5(c)に示すように、閉塞壁部111における第1膨出部221の上面と側面とが折り重なって2層構造を形成する部分が重ね合わせ部231となる。また、閉塞壁部112における第2膨出部222の端面と平面領域210とが折り重なって2層構造を形成する部分が重ね合わせ部231となる。
【0026】
また、第2膨出部222が折り畳まれて区画形成される六角柱形状の領域が第2セルS2となるとともに、隣り合う一対の区画体230間に区画形成される六角柱形状の領域が第1セルS1となる。本実施形態では、第2膨出部222の上面及び側面が第2セルS2の側壁部113を構成するとともに、第2膨出部222の側面と、膨出領域220における第2膨出部222間に位置する平面部分とが第1セルS1の側壁部113を構成する。そして、第2膨出部222の上面同士の当接部位、及び膨出領域220における上記平面部分同士の当接部位が2層構造をなす側壁部113となる。なお、こうした折り畳み工程を実施するに際して、シート材200を加熱処理して軟化させた状態としておくことが好ましい。
【0027】
続いて、コア層110の一方の主面にスキン層120を重ね合わせ、コア層110の他方の主面にスキン層130を重ね合わせる。スキン層120,130は、加熱処理して軟化させた状態にしておくことが好ましい。スキン層120,130が加熱処理されることで、スキン層120,130にコーティングされた熱可塑性樹脂の接着層は、一部熱溶融された状態となっている。そのため、コア層110に重ね合わされたスキン層120,130は、コア層110に仮接合された状態で位置決めされる。コア層110及びスキン層120,130の温度低下により接着層が固化し、コア層110にスキン層120,130が接合されて中空板材100が形成される。
【0028】
<第1中空板材101、第2中空板材102及び第3中空板材103>
図2に示すように、板厚方向における平面視において、第1中空板材101、第2中空板材102及び第3中空板材103は正方形状をなしている。同平面視において、第1中空板材101、第2中空板材102及び第3中空板材103の辺の長さは等しくなっている。
図3に示すように、第1中空板材101の板厚及び第3中空板材103の板厚は等しくなっている。一方、第2中空板材102の板厚は、第1中空板材101の板厚及び第3中空板材103の板厚よりも薄くなっている。詳しくは、第1中空板材101のコア層110の板厚及び第3中空板材103のコア層110の板厚は等しくなっている。一方、第2中空板材102のコア層110の板厚は、第1中空板材101及び第3中空板材103のコア層110の板厚よりも薄くなっている。
【0029】
第1中空板材101、第2中空板材102及び第3中空板材103は、積層されている。このとき、板厚方向において、第1中空板材101のスキン層120及び第2中空板材102のスキン層130は対向している。また、板厚方向において、第2中空板材102のスキン層120及び第3中空板材103のスキン層130は対向している。つまり、第2中空板材102は、板厚方向において、第1中空板材101及び第3中空板材103の間に位置している。
【0030】
第1中空板材101及び第3中空板材103のコア層110を構成するセルSの大きさは等しくなっている。一方、第2中空板材102のコア層110を構成するセルSの大きさは、第1中空板材101及び第3中空板材103のコア層110を構成するセルSの大きさよりも小さくなっている。ここで、セルSの大きさとは、板厚方向から見たセルSの大きさである。つまり、セルSの大きさとは、セルSの底面及び上面の大きさである。本実施形態であれば、セルSの大きさとは、正六角形状をなすセルSの対角線の長さと言い換えることもできる。
【0031】
このため、板厚方向に隣り合う第1中空板材101のコア層110を構成する複数のセルS及び第2中空板材102のコア層110を構成する複数のセルSは、ずれて位置している。同様に、第2中空板材102のコア層110を構成する複数のセルS及び板厚方向に隣り合う第3中空板材103のコア層110を構成する複数のセルSは、板厚方向に対してずれて位置している。ここで、板厚方向に隣り合う2つの中空板材100のコア層110を構成する複数のセルSの位置が板厚方向に対してずれて位置しているとは、上記複数のセルSを区画する側壁部113の位置がずれていることを示している。また、一方のコア層110の側壁部113の位置及び他方のコア層110の側壁部113の位置は、部分的に一致していてもよい。
【0032】
<第1接合層81,82>
図3に示すように、第1接合層81は、第1中空板材101及び第2中空板材102を接合している。詳しくは、第1接合層81は、第1中空板材101のスキン層120及び第2中空板材102のスキン層130を接合している。同様に、第1接合層82は、第2中空板材102及び第3中空板材103を接合している。詳しくは、第1接合層82は、第2中空板材102のスキン層120及び第3中空板材103のスキン層130を接合している。第1接合層81,82は、接着剤が固化することによって成形される層である。他の実施形態において、第1接合層81,82は、第1中空板材101及び第2中空板材102が溶着されたり、第2中空板材102及び第3中空板材103が溶着されたりすることによって成形される層であってもよい。
【0033】
<第1カバー50及び第2カバー60>
図2及び
図3に示すように、第1カバー50及び第2カバー60は、箱状をなしている。第1カバー50及び第2カバー60は、金属製である。第1カバー50及び第2カバー60は、アルミニウムであってもよいし鉄であってもよい。一例として、第1カバー50及び第2カバー60は、メッキ鋼板であるとよい。第1カバー50及び第2カバー60は「金属カバー」に相当している。
【0034】
第1カバー50は、板状をなす底壁51及び4つの側壁52を有する。底壁51は、板厚方向における平面視において正方形状をなしている。4つの側壁52は、板厚方向と直交する方向における平面視において長方形状をなしている。底壁51の板厚及び4つの側壁52の板厚は等しくなっている。底壁51の板厚方向において、4つの側壁52の長さは、積層構造体40の板厚よりも僅かに薄くなっている。4つの側壁52は、底壁51の4つの縁から底壁51の板厚方向に延びている。第1カバー50は、積層構造体40を下方から収容している。
【0035】
第2カバー60は、板状をなす上壁61及び4つの側壁62を有する。上壁61は、板厚方向における平面視において正方形状をなしている。4つの側壁62は、板厚方向と直交する方向における平面視において長方形状をなしている。上壁61の板厚及び4つの側壁62の板厚は等しくなっている。上壁61の板厚方向において、4つの側壁62の長さは、積層構造体40の板厚よりも僅かに薄くなっている。4つの側壁62は、上壁61の4つの縁から上壁61の板厚方向に延びている。第2カバー60において、対向する2つの側壁62の間隔は、第1カバー50において、対向する2つの側壁52の間隔よりも僅かに広くなっている。第2カバー60は、積層構造体40と第1カバー50とを上方から覆っている。このとき、第2カバー60の4つの側壁62の内面は、第1カバー50の4つの側壁62の外面と、それぞれ向かい合っている。
【0036】
第1カバー50の板厚及び第2カバー60の板厚は、何れの中空板材100の板厚よりも薄くなっている。ここで、第1カバー50の板厚とは、例えば、第1カバー50の底壁51の板厚及び第1カバー50の側壁52の板厚をいう。第2カバー60の板厚についても同様である。
【0037】
また、
図3に示すように、積層構造体40の板厚方向に沿う側面と第1カバー50の側壁52との間隔は、第1カバー50の側壁52と第2カバー60の側壁62との間隔よりも広くなっている。
【0038】
<第2接合層71,72>
図3に示すように、第2接合層71は、積層構造体40と第1カバー50を接合している。詳しくは、第2接合層71は、第1中空板材101のスキン層130と第1カバー50の底壁51とを接合している。同様に、第2接合層72は、積層構造体40と第2カバー60とを接合している。詳しくは、第2接合層72は、第3中空板材103のスキン層120と第2カバー60の上壁61とを接合している。第2接合層71,72は、接着剤が固化することによって成形される層である。
【0039】
積層構造体40の4つの側面と第1カバー50の4つの側壁52とは、接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。同様に、第1カバー50の4つの側壁52と第2カバー60の4つの側壁62とは、接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。
【0040】
<支持脚20と床パネル30との関係>
図1に示すように、複数の支持脚20は、建物の床FLに対して、格子状に配置される。複数の床パネル30は、複数の支持脚20の上に載置される。このとき、1つの床パネル30の角部は、4つの支持脚20の上に載置される。床パネル30は、支持脚20に対して相対的に移動しないように固定されることが好ましい。こうして、複数の床パネル30と建物の床FLとの間に、電線及び通信線などを配置するための空間が形成される。すなわち、二重床構造10が構成される。
【0041】
<床パネル30の製造方法>
床パネル30の製造方法の一例について説明する。床パネル30の製造方法は、第1接合工程と、第2接合工程と、を備えてもよい。第1接合工程は、第1中空板材101、第2中空板材102及び第3中空板材103を接合することにより、積層構造体40を製造する工程である。第2接合工程は、第1接合工程の後工程であって、積層構造体40に第1カバー50及び第2カバー60を接合する工程である。こうした床パネル30の製造方法は、第1接合工程及び第2接合工程を分けて実施できる点で、第1接合工程及び第2接合工程を連続して実施する必要がない。
【0042】
こうした床パネル30の製造方法は、第2接合工程で、積層構造体40と第1カバー50の底壁51との間及び積層構造体40と第2カバー60の上壁61との間に塗布する接着剤の量を多めにするとよい。これによれば、積層構造体40と第1カバー50の底壁51との間から溢れさせた接着剤により、積層構造体40の側面と第1カバー50の側壁52とを接着できる。また、積層構造体40と第2カバー60の上壁61との間から溢れさせた接着剤により、積層構造体40の側面と第1カバー50の側壁52とを接着できる。
【0043】
他の床パネル30の製造方法は、積層工程と、圧着工程と、を備えてもよい。積層工程は、第1カバー50と第1中空板材101と第2中空板材102と第3中空板材103と第2カバー60とを間に接着剤を塗布しつつ順番に積層する工程である。圧着工程は、積層した第1カバー50と第1中空板材101と第2中空板材102と第3中空板材103と第2カバー60とを板厚方向に圧縮することにより接着する工程である。こうした床パネル30の製造方法は、積層工程で塗布する接着剤の量を多めにするとよい。これによれば、3つの中空板材100の間から溢れさせた接着剤により、3つの中空板材100の側面と第1カバー50の側壁52とを接着できる。
【0044】
なお、上記のような製造方法を経て形成される第1接合層81,82の厚みは、第1カバー50の板厚及び第2カバー60の板厚よりも薄いことが好ましい。同様に、第2接合層71,72の厚みは、第1カバー50の板厚及び第2カバー60の板厚よりも薄いことが好ましい。
【0045】
<本実施形態の作用及び効果>
(1)二重床構造10を構成する複数の床パネル30には、機器及び家具などが載置される。このため、複数の床パネル30において、機器及び家具などが載置される部分には、せん断力などの荷重が下向きに作用する。また、複数の床パネル30において、複数の支持脚20に支持される部分には、上記荷重の反力が上向きに作用する。この点、本実施形態の床パネル30は、3つの中空板材100が板厚方向に接合されることによって構成されている。このため、床パネル30は、単一の中空板材100のみで構成される場合と比較して、せん断力などの荷重に対する剛性を高めることができる。また、床パネル30は、別々に製造した3つの中空板材100を接合することによって構成される点で、製造が容易である。
【0046】
(2)板厚方向に積層される第1中空板材101及び第2中空板材102は、コア層110を構成する複数のセルSの位置が板厚方向に対してずれている。同様に、板厚方向に積層される第2中空板材102及び第3中空板材103は、コア層110を構成する複数のセルSの位置が板厚方向に対してずれている。よって、床パネル30は、せん断力などの荷重が作用したときに、特定の部位に応力が集中することを抑制できる。
【0047】
(3)板厚方向に積層される第1中空板材101及び第2中空板材102は、コア層110を構成する複数のセルSの大きさが異なっている。このため、第1中空板材101及び第2中空板材102は、コア層110を構成する複数のセルSの位置が板厚方向に対して必然的にずれる。同様に、板厚方向に積層される第2中空板材102及び第3中空板材103は、コア層110を構成する複数のセルSの大きさが異なっている。このため、第2中空板材102及び第3中空板材103は、コア層110を構成する複数のセルSの位置が板厚方向に対して必然的にずれる。以上より、3つの中空板材100を積層する際に、隣り合う2つの中空板材100のコア層110を構成するセルSを意図的にずらす必要がなくなる。
【0048】
(4)床パネル30は、積層構造体40を覆う第1カバー50及び第2カバー60を備える。このため、床パネル30は、剛性をさらに高めることができる。また、第1カバー50及び第2カバー60は、積層構造体40の板厚方向における両面だけでなく、積層構造体40の板厚方向に沿う4つの側面も覆っている。このため、床パネル30は、板厚方向における両面に作用する荷重に対する剛性だけでなく、板厚方向に沿う側面に作用する荷重に対する剛性も高めることができる。
【0049】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0050】
・
図6に示すように、床パネル30は、積層構造体40Aと第1カバー50及び第2カバー60とを備える床パネル30Aとしてもよい。変更例の床パネル30Aにおいて、積層構造体40Aは、第1中空板材104(100)及び第2中空板材105(100)と、基材90と、第1接合層81A,82Aと、第2接合層71,72と、を備える。第1中空板材104及び第2中空板材105は、上記実施形態と同様に、柱状の複数のセルSが板厚方向と交差する方向に並設されるコア層110と、コア層110の板厚方向における両面にそれぞれ接合される2つのスキン層120,130と、を有する。基材90は、発泡樹脂製又は木製である。基材90は、板厚方向において、第1中空板材104及び第2中空板材105の間に積層されている。基材90は、床パネル30Aに求められる板厚に応じて変更することが好ましい。板厚方向において、第1接合層81Aは、第1中空板材104のスキン層120と基材90の下面とを接合し、第1接合層82Aは、第1中空板材104のスキン層130と基材90の上面とを接合している。
【0051】
図6に示す床パネル30Aは、2つの中空板材100と基材90とが板厚方向に接合されることによって構成されている。このため、床パネル30Aは、単一の中空板材100のみで構成される場合と比較して、せん断力などの荷重に対する剛性を高めることができる。また、安価な基材90を選択することにより、3層の中空板材100によって床パネルを構成する場合と比較して、床パネル30Aを安価に構成できる。
【0052】
・積層構造体40における中空板材100の積層数は「2」であってもよい。また、積層構造体40における中空板材100の積層数は「4」以上であってもよい。
・積層構造体40における積層数が「3」以下の場合、第1カバー50及び第2カバー60の板厚は、シート材200の板厚以上であることが好ましい。一方、積層構造体40における積層数が「4」以上の場合、第1カバー50及び第2カバー60の板厚は、シート材200の板厚未満であることが好ましい。これによれば、床パネル30の重量及び剛性のバランスを取りやすくなる。なお、シート材200の板厚とは、中空板材100における閉塞壁部111,112の板厚であり、側壁部113の板厚である。
【0053】
・シート材200の板厚は、第1カバー50及び第2カバー60の板厚よりも厚いことが好ましい。また、第1カバー50及び第2カバー60の板厚は、第1接合層81,82及び第2接合層71,72の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0054】
・積層構造体40の3つの中空板材100のコア層110を構成するセルSの大きさは等しくてもよい。この場合、板厚方向に隣り合う中空板材100のコア層110を構成するセルSはずれて位置していることが好ましい。
【0055】
・積層構造体40の3つの中空板材100のコア層110を構成するセルSの大きさは、全て異なっていてもよい。
・積層構造体40において、第1中空板材101及び第3中空板材103のコア層110を構成するセルSは、第2中空板材102のコア層110を構成するセルSよりも小さくてもよい。この場合、第1中空板材101の板厚及び第3中空板材103の板厚は、第2中空板材102の板厚よりも薄いことが好ましい。
【0056】
コア層110を構成するセルSの径が小さい中空板材100は、コア層110を構成するセルSの径が大きい中空板材100よりも板厚方向における圧縮強度が高くなる。このため、第1中空板材101及び第3中空板材103のコア層110を構成するセルSの径を、第2中空板材102のコア層110を構成するセルSの径よりも小さくする場合、積層構造体40は両面に作用する集中荷重によって圧痕が発生することを抑制できる。
【0057】
・中空板材100のコア層110を構成するセルSは、六角柱状でなくてもよい。例えば、コア層110を構成するセルSは、四角柱状又は八角柱状などの多角柱状であってもよいし、円柱状であってもよい。
【0058】
・積層構造体40の3つの中空板材100の板厚は、全て等しくてもよいし、全て異なっていてもよい。
・中空板材100は、一枚のシート材200を折り畳み成形してコア層110を構成するのに限らず、複数のシートを使用してコア層110を構成してもよい。例えば、帯状のシートを所定間隔毎に屈曲させるとともに、屈曲させた帯状のシートを複数並置することによりコア層110を構成してもよい。
【0059】
・上記実施形態では、一枚のシート材200を折り畳み成形して、コア層110の内部に六角形状のセルSが区画形成されたハニカム構造体としてのコア層110を形成したが、成形方法はこれに限定されない。例えば、特許第4368399号に記載されるように、断面台形状の凸部が複数列設された三次元構造体を、順次折り畳んでいくことにより、ハニカム構造体としてのコア層110を形成してもよい。
【0060】
・中空板材100は、断面がハーモニカ状のプラスチックダンボール等であってもよい。この場合、中空板材のコア層を構成する複数のセルは、板厚方向と直交する第1方向に対して並設されるが、板厚方向及び第1方向の両方向と直交する第2方向に対して並設されない。
【0061】
・板厚方向における平面視において、床パネル30の形状は正方形状でなくてもよい。床パネル30の形状は、三角形状であってもよいし、六角柱状であってもよい。
・第1カバー50は、少なくとも底壁51を有していればよい。同様に、第2カバー60は、少なくとも上壁61を有していればよい。つまり、第1カバー50及び第2カバー60は、積層構造体40における荷重の作用する面を覆っていればよい。
【0062】
・第1カバー50の側壁52と第2カバー60の側壁62とをリベットなどの締結部材を用いて固定してもよい。
・第1カバー50及び第2カバー60は一体に構成してもよい。一体に構成されたカバーは、板厚方向に沿う側壁に、積層構造体40を収納するための開口部を有することが好ましい。
【0063】
・第1カバー50及び第2カバー60は省略できる。この場合、積層構造体40の板厚方向における両面に補強のための構造を設けることが好ましい。
・第1カバー50及び第2カバー60の曲げ弾性率は、中空板材100の曲げ弾性率よりも高いことが好ましい。
【0064】
・上述した床パネル30の製造方法において、第1接合工程及び第2接合工程は間を置かずに連続して実施することもできる。この場合、第1接合工程において、複数の中空板材100の接合に用いる接着剤の量を多くするとよい。これによれば、第2接合工程において、複数の中空板材100の間から溢れ出た接着剤が、複数の中空板材100と第1カバー50の側壁52との隙間に入り込みやすくなる。その結果、複数の中空板材100と第1カバー50の側壁52との接合強度が高くなる。なお、この変更例に係る床パネル30の製造方法において、第2接合工程は、第1カバー50及び第2カバー60の間で複数の中空板材100を圧着することが好ましい。
【0065】
・中空板材100において、コア層110及びスキン層120,130を構成する合成樹脂は、無機材料を含んでもよい。無機材料は、例えば、タルク、マイカ、ガラス繊維、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムであればよい。
【0066】
<付記>
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を記載する。
[態様1]板状をなす床パネルであって、柱状の複数のセルが板厚方向と交差する方向に並設されるコア層と、前記コア層の前記板厚方向における両面にそれぞれ接合される2つのスキン層と、を有する複数の中空板材であって、前記板厚方向に積層される複数の中空板材と、前記板厚方向に隣り合う2つの前記中空板材を接合する接合層と、を備える床パネル。
【0067】
[態様2]前記板厚方向に隣り合う2つの前記中空板材において、一方の前記中空板材の前記コア層を構成する前記複数のセル及び他方の前記中空板材の前記コア層を構成する前記複数のセルは、前記板厚方向に対してずれて位置する態様1に記載の床パネル。
【0068】
[態様3]前記板厚方向に隣り合う2つの前記中空板材において、一方の前記中空板材の前記コア層を構成する前記複数のセル及び他方の前記中空板材の前記コア層を構成する前記複数のセルは、大きさが異なる態様2に記載の床パネル。
【0069】
[態様4]前記複数の中空板材と前記接合層とを含んで構成される構造体を積層構造体とし、前記接合層を第1接合層としたとき、前記積層構造体の前記板厚方向における両面を覆う金属製の金属カバーと、前記積層構造体の前記板厚方向における両面と前記金属カバーとを接合する第2接合層と、を備える態様1~態様3の何れか一項に記載の床パネル。
【0070】
[態様5]板状をなす床パネルであって、柱状の複数のセルが板厚方向と交差する方向に並設されるコア層と、前記コア層の前記板厚方向における両面にそれぞれ接合される2つのスキン層と、を有する第1中空板材及び第2中空板材と、前記板厚方向において、前記第1中空板材及び前記第2中空板材の間に積層される発泡樹脂製又は木製の基材と、前記第1中空板材と前記基材とを接合する第1接合層と、前記第2中空板材と前記基材とを接合する第2接合層と、を備える床パネル。
【符号の説明】
【0071】
FL…床、S…セル、10…二重床構造、20…支持脚、30,30A…床パネル、40,40A…積層構造体、50…第1カバー(金属カバー)、60…第2カバー(金属カバー)、71,72…第2接合層、81,81A,82,82A…第1接合層、90…基材、100(101~105)…中空板材、110…コア層、120…スキン層、130…スキン層。