(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176321
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】熱交換器及びこれを備える圧縮機
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20241212BHJP
F28D 1/03 20060101ALI20241212BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F28F9/02 301G
F28D1/03
F28D1/053 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094779
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】521362885
【氏名又は名称】コベルコ・コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】木内 優
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA10
3L103DD08
3L103DD15
(57)【要約】
【課題】熱交換器のコア部に作用する応力を低減する。
【解決手段】熱交換器5が、それぞれ第1方向Xに延び且つ第2方向Yに並ぶ複数の流体流路28を形成し、複数の流体流路28を通流している流体を冷却する複数のコア部20A,20Bと、流体が流入する入口配管11と、それぞれ入口配管11と接続されると共に複数のコア部20A,20Bの第1方向Xの一端部に設けられ、流体を複数の流体流路28に分流させる複数の入口タンク部12A,12Bと、複数のコア部20A,20Bの第1方向の他端部に設けられ、複数の流体流路28それぞれを一端部から他端部に向けて通流した流体を合流させる出口タンク部13と、を備える。複数のコア部20A,20Bが、複数の入口タンク部12A,12Bそれぞれに対応している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ第1方向に延び且つ前記第1方向と直交する第2方向に並ぶ複数の流体流路を形成し、前記複数の流体流路を通流している冷却対象の流体を冷却する複数のコア部と、
前記流体が流入する入口配管と、
それぞれ前記入口配管と接続されると共に前記複数のコア部の前記第1方向の一端部に設けられ、前記流体を前記複数の流体流路に分流させる複数の入口タンク部と、
前記複数のコア部の前記第1方向の他端部に設けられ、前記複数の流体流路それぞれを前記一端部から前記他端部に向けて通流した前記流体を合流させる出口タンク部と、
を備え、
前記複数のコア部が、前記複数の入口タンク部それぞれに対応している、
熱交換器。
【請求項2】
前記複数のコア部が、前記流体流路を通流する前記流体を冷却するための冷媒を通過させる複数の冷媒通路を有し、
前記複数の冷媒通路と前記複数の流体流路とが前記第2方向に交互に配置される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記冷媒が、前記冷媒通路を、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に通過する、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記複数の流体流路及び前記複数の冷媒通路それぞれに、フィンが設けられている、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記複数の入口タンク部が前記第2方向に相互に並べられており、前記複数のコア部が前記第2方向に相互に並べられている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記複数の入口タンク部が、前記第2方向に相互に溶接されており、前記複数のコア部が、前記第2方向に相互に溶接されている、
請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記複数のコア部の前記他端部が、単一の前記出口タンク部に接続されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の熱交換器を備える、圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器、及びこれを備える圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、いわゆる1パス方式の熱交換器を開示している。この熱交換器では、入口ヘッダ及び出口ヘッダが、コア部の両端それぞれに設けられている。流体が、入口ヘッダに流入し、コア部内の複数の通路に分流し、出口ヘッダで合流する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流体は、入口ヘッダへの流入時には高温であり、コア部を通流する過程で冷却される。入口ヘッダの熱変形量と、コア部の端部の熱変形量との間の差異が大きくなり、コア部に応力が集中する。
【0005】
本発明は、熱交換器のコア部に作用する応力を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、それぞれ第1方向に延び且つ前記第1方向と直交する第2方向に並ぶ複数の流体流路を形成し、前記複数の流体流路を通流している冷却対象の流体を冷却する複数のコア部と、前記流体が流入する入口配管と、それぞれ前記入口配管と接続されると共に前記複数のコア部の前記第1方向の一端部に設けられ、前記流体を前記複数の流体流路に分流させる複数の入口タンク部と、前記複数のコア部の前記第1方向の他端部に設けられ、前記複数の流体流路それぞれを前記一端部から前記他端部に向けて通流した前記流体を合流させる出口タンク部と、を備え、前記複数のコア部が、前記複数の入口タンク部それぞれに対応している、熱交換器を提供する。
【0007】
上記構成によれば、入口タンク部は、冷却対象の流体に晒されて高温となる一方、コア部は、この流体を冷却する場所であるため、入口タンク部よりも低温となる。入口タンク部が複数設けられ、コア部が入口タンク部と一対一で対応する。熱交換器は、入口タンク部及びコア部を分割したような構造を有する。このため、入口タンク部とコア部との組の各々において、従来同様の温度差が生じていたとしても、熱変形量の差異は小さくなる。したがって、コア部に作用する応力が低減する。
【0008】
前記複数のコア部が、前記流体流路を通流する前記流体を冷却するための冷媒を通過させる複数の冷媒通路を形成し、前記複数の冷媒通路と前記複数の流体流路とが前記第2方向に交互に配置されてもよい。前記冷媒が、前記冷媒通路を、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に通過してもよい。前記複数の流体流路及び前記複数の冷媒通路それぞれに、フィンが設けられていてもよい。これにより、熱交換器の冷却効率が高くなる。
【0009】
前記複数の入口タンク部が前記第2方向に相互に並べられており、前記複数のコア部が前記第2方向に相互に並べられていてもよい。
【0010】
上記構成によれば、熱交換器は、入口タンク部及びコア部を第2方向に分割したような構造を有する。そのため、複数の入口タンク部及び複数のコア部を熱交換器に設けるに際して、熱交換器のサイズが大型化しない。また、第2方向に入口タンク部及びコア部を並べた場合、第3方向に通過する冷媒の流れが阻害されず、冷却効率を維持できる。
【0011】
前記複数の入口タンク部が、前記第2方向に相互に溶接されており、前記複数のコア部が、前記第2方向に相互に溶接されていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、複数の入口タンク部及び複数のコア部が一体化されるので、熱交換器の強度を上げることができる。
【0013】
前記複数のコア部の前記他端部が、単一の前記出口タンク部に接続されていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、複数のコア部がまとめて単一の出口タンク部に取り付けられるため、熱交換器を簡便に組み立てることができる。
【0015】
本発明の一態様は、上記した熱交換器を備える、圧縮機を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コア部に作用する応力を低減可能な熱交換器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】実施形態に係る熱交換器の一例としてのアフタークーラの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して実施形態について説明する。なお、同一の又は対応する要素には全図を通じて同一の符号を付して詳細な説明の重複を省略する。
【0019】
(圧縮機)
図1を参照して、本実施形態に係る圧縮機1は、単なる一例として、2段型スクリュー圧縮機であり、第1段圧縮機本体2、第2段圧縮機本体3、モータ4、及び熱交換器5を備える。第1段圧縮機本体2は、モータ4によって回転駆動される。これに同期して、第2段圧縮機本体3も回転駆動される。圧縮機1外の常温常圧の空気が、吸込流路6aを介して第1段圧縮機本体2の吸込口に供給され、第1段圧縮機本体2で圧縮される。圧縮空気は、第1段圧縮機本体2の吐出口から中間流路6bを介して第2段圧縮機本体3の吸込口に供給され、第2段圧縮機本体3で更に圧縮される。圧縮空気は、第2段圧縮機本体3の吐出口から吐出流路6cを介して圧縮機1外に導かれる。
【0020】
熱交換器5として、インタークーラ5a及びアフタークーラ5bを例示できる。インタークーラ5aは、中間流路6bに介在し、第1段圧縮機本体2で圧縮された空気を冷却する。アフタークーラ5bは、吐出流路6cに介在し、第2段圧縮機本体3で圧縮された空気を冷却する。第1又は第2圧縮機本体2,3で生成された高温の圧縮空気が、冷却対象の流体である。圧縮空気を冷却するための冷媒として、圧縮空気よりも低温の空気が好適に利用される。
【0021】
(熱交換器)
図2及び
図3を参照して、熱交換器5は、入口配管11、複数の入口タンク部12A,12B、複数のコア部20A,20B、出口タンク部13、及び出口配管14を備える。
【0022】
熱交換器5の全体の寸法又は形状に対し、コア部20A,20Bが占める割合は大きい。コア部20A,20Bは、長尺、幅広且つ低背の直方体状である。第1方向Xは、コア部20A,20B又は熱交換器5の長手方向と対応する。第2方向Yは、第1方向Xと直交し、コア部20A,20B又は熱交換器5の幅方向と対応する。第3方向Zは、第1方向Xとも第2方向Yとも直交し、コア部20A,20B又は熱交換器5の高さ方向と対応する。
図2の平面図は、第3方向Z(高さ方向)から見た図である。熱交換器5は、平面視において、第1方向X(長手方向)に長寸であり、第2方向Y(幅方向)に短寸の長方形状である。
図3の側面図は、第2方向Y(幅方向)の他方側(
図2の紙面右側)から見た図である。以降の説明では、
図3の紙面の方向に準拠し、第3方向Zの一方側を上方、第3方向Zの他方側を下方と呼ぶことがある。ただし、この方向の概念は、熱交換器5の設置姿勢に応じて適宜変更可能である。
【0023】
入口配管11は、入口ポート11a、分流配管11b、及び複数の流入ポート11cA,11cBを有する。分流配管11bは、入口タンク部12A,12B及びコア部20A,20Bよりも上方で幅方向に延びる。入口ポート11aは、分流配管11bから更に上方に延び、その先端部に開口11dを有する。
【0024】
開口11dは、不図示の配管が接続されるフランジ11eで囲まれている。熱交換器5が圧縮機1のアフタークーラ5b(
図1参照)である場合には、当該配管は、吐出流路6cの一部を構成し、第2段圧縮機本体3の吐出口を入口ポート11aに接続する。冷却対象の流体としての圧縮空気は、開口11dを介して入口配管11に流入する(
図2及び
図3中の実線矢印を参照)。
【0025】
開口11dは、入口ポート11a及び分流配管11bを介し、複数の流入ポート11cA,11cBと連通している。複数の流入ポート11cA,11cBは、幅方向に間隔をおいて配置され、分流配管11bから入口ポート11aとは反対の方向(下方)に延びる。
【0026】
複数の流入ポート11cA,11cBは、複数の入口タンク部12A,12Bと一対一で対応し、複数の入口タンク部12A,12Bは、複数のコア部20A,20Bと一対一で対応する。すなわち、第1流入ポート11cAは、第1入口タンク部12Aに連通し、第2流入ポート11cBは、第2入口タンク部12Bに連通している。これらの個数は、本実施形態では単なる一例として2つであるが、3以上の複数であってもよい。
【0027】
第1入口タンク部12Aは、一面が開放された、すなわち一面に開口が設けられた直方体状である。第1入口タンク部12Aは、第1コア部20Aと同等に幅広且つ低背である一方、熱交換器5の長手方向において第1コア部20Aと比べて短寸である。第1入口タンク部12Aの開口は、長手方向の他方側(
図2の紙面下側)に向けられている。第1コア部20Aの長手方向の一端部は、第1入口タンク部12Aと接合される。第1流入ポート11cAの先端部は、第1入口タンク部12Aの上壁に接続され、これにより入口配管11が第1入口タンク部12Aの内部と連通される。
【0028】
第1コア部20Aは、長手方向に延び、冷却対象の流体を通流させる複数の流体流路28を形成している。複数の流体流路28は、幅方向に間隔をあけて並べられる。各流体流路28は、長手方向の両端で開口している。各流体流路28の長手方向の一端部は、第1入口タンク部12Aの内部と連通する。
【0029】
第1入口タンク部12Aおよび第2入口タンク部12Bは、互いに同一の構造を有し、第1コア部20Aおよび第2コア部20Bは、互いに同一の構造を有する。第2入口タンク部12Bの構造、第2コア部20Bの構造、第2入口タンク部12Bと第2コア部20Bとの関係、及び第2入口タンク部12Bと第2接続ポート11cBとの関係は、上記と同様であるため、説明を省略する。
【0030】
第1コア部20Aおよび第2コア部20Bは、幅方向(第2方向Y)に並べられている。付随して、第1入口タンク部12Aおよび第2入口タンク部12Bも、2つの流出ポート11cA,11cBも幅方向に並べられている。本実施形態では、幅方向に隣り合う第1入口タンク部12Aと第2入口タンク部12Bとが相互に溶接されている。また、幅方向に隣り合う第1コア部20Aと第2コア部20Bとが相互に溶接されている。幅方向に並べるに際し、隣り合う2つの部品同士が幅方向に接触し且つ接合されている。
【0031】
本実施形態では、出口タンク部13が単一である。出口タンク部13も、第1入口タンク部12Aと第2入口タンク部12Bと同様、一面が開放された直方体状である。出口タンク部13の開口は、2つの入口タンク部12A,12Bの開口と向き合うように、長手方向の一方側(
図2の紙面上側)に向けられている。出口タンク部13は、各入口タンク部12A,12B及び各コア部20A,20Bと同等に低背であり、熱交換器5の長手方向において各入口タンク部12A,12Bと同等に短寸である。一方、出口タンク部13は、各コア部20A,20Bの幅をコア部20A,20Bの個数倍(本例では、2倍)した幅、又はこれよりも僅かに広い幅を有する。
【0032】
幅方向に並べられた2つのコア部20A,20Bの各々が、この単一の出口タンク部13に取り付けられる。第1コア部20Aの長手方向の他端部は、出口タンク部13の幅方向の一方側部分(
図2の紙面左側部分)と接合される。第2コア部20Aの長手方向の他端部は、出口タンク部13の幅方向の他方側部分(
図2の紙面右側部分)と接合される。第1コア部20Aの各流体流路28の長手方向の他端部も、第2コア部20Bの各流体流路28の長手方向の他端部も、出口タンク部13の内部と連通する。
【0033】
出口配管14は、出口タンク部13のいずれかの壁(例えば、開口とは反対側の壁、又は下壁)から延び、その先端に開口14aを有する。開口14aは、不図示の配管が接続されるフランジ14bで囲まれている。熱交換器5が圧縮機1のアフタークーラ5b(
図1参照)である場合には、当該配管は、吐出流路6cの一部を構成し、圧縮空気を圧縮機1外に導く。冷却対象の流体としての圧縮空気が、出口配管14から開口14bを介して当該配管に流出し、更に圧縮機1外へと導かれる(
図2及び
図3中の実線矢印を参照)。
【0034】
図4は、第1コア部20Aの長手方向の一端部を示す。第1コア部20Aの長手方向の他端部、及び第2コア部20Bの長手方向の両端部も、同一の構造を有する。
図4を参照して第1コア部20Aの構造を説明するが、第2コア部20Bの構造については、これと同様であるため説明を省略する。
【0035】
第1コア部20Aは、一対の外側板21a、複数の隔板22、複数組の第1シール板23、複数組の第2シール板24、複数の第1フィン25、及び複数の第2フィン26を備える。これにより、第1コア部20Aは、冷却対象の流体が通流する複数の流体流路28と、流体を冷却するための冷媒が通過する複数の冷媒通路29とを形成する。
【0036】
複数の隔板22のうち隣り合う2つが、流体流路28又は冷媒通路29を画定する。複数の流体流路28と複数の冷媒通路29とは、幅方向(第2方向Y)において交互に並べられている。つまり、隔板22の個数は、流体流路28及び冷媒通路29の総和よりも1つ多い。本実施形態では、冷媒通路29の個数が、流体流路28の個数よりも1つ多く、幅方向の両端に冷媒通路29が配置される。これにより、流体の冷却効率が向上する。
【0037】
各流体流路28は、高さ方向(第3方向Z)に対を成す一組の第1シール板23により、高さ方向の両端で閉塞される。これにより、各流体流路28は、長手方向(第1方向X)の両端で開口し、流体を長手方向に導くことができる。上側の第1シール板23の上面は、各隔板22の上面と面一であり、下側の第1シール板23の下面は、各隔板22の下面と面一であり、第1コア部20Aの上面及び下面が、全体として平坦である。第1シール板23の組数は、流体流路28の個数と同じである。
【0038】
各冷媒通路29は、長手方向(第1方向X)に対を成す一組の第2シール板24により、長手方向の両端で閉塞される。これにより、各冷媒通路29は、高さ方向(第3方向Z)の両端で開口し、冷媒を高さ方向に導くことができる。長手方向の一端側の第2シール板24の端面は、各隔板22の一端面と面一であり、長手方向の他端側の第2シール板24の端面は、各隔板22の他端面と面一であり、第1コア部20Aの長手方向の両面が、全体として平坦である。第2シール板24の組数は、冷媒通路29の個数と同じである。
【0039】
複数の第1フィン25は、複数の流体流路28と一対一で対応する。各第1フィン25は、対応する流体流路28に内蔵された波板である。第1フィン25の波形は、幅方向(第2方向Y)に起伏しており、多数の波形が高さ方向(第3方向Z)に連続している。各流体流路28は、対応する第1フィン25により、複数の空間へと高さ方向(第3方向Z)に分割される。各空間は、長手方向(第1方向X)の両端で開口する。
【0040】
複数の第2フィン26は、複数の冷媒通路29と一対一で対応する。各第2フィン26は、対応する冷媒通路29に内蔵された波板である。第2フィン26の波形は、幅方向(第2方向Y)に起伏しており、多数の波形が長手方向(第1方向X)に連続している。各冷媒通路29は、対応する第2フィン26により、複数の空間へと長手方向(第1方向X)に分割される。各空間は、高さ方向(第3方向Z)の両端で開口する。
【0041】
一対の外側板21aは、複数の隔板22、複数組の第1シール板23、複数組の第2シール板24、複数の第1フィン25、及び複数の第2フィン26を具備する上記構造を幅方向の両外側から挟み込む。外側板21aは、第1コア部20Aの幅方向の外側面を形成する。
【0042】
図2に戻り、第1コア部20Aの高さ方向の両側にも、冷媒が第1コア部20Aを通過することを阻害しないようにして、外板21bが設けられる。
図4では、この外板21bの図示を省略している。
【0043】
入口配管11、第1入口タンク部12A、第2入口タンク部12B、第1コア部20A、第2コア部20B、出口タンク部13、及び出口配管14の各部品は、アルミニウム合金で成形されており、3000系や5000系は強度に優れる点で熱交換器5の素材に好適である。
【0044】
本実施形態では、第1入口タンク部12A及び第2入口タンク部12Bが幅方向(第2方向Y)に溶接されている。更に、第1コア部20A及び第2コア部20Bが幅方向(第2方向Y)に溶接されている。より詳細には、第1コア部20Aの幅方向の他方側(
図2の紙面右側)の外側板21aが、第2コア部20Bの幅方向の一方側(
図2の紙面左側)の外側板21aと溶接される。
【0045】
第1入口タンク部12Aの長手方向の他方側(
図2の紙面下側)と、第1コア部20Aの長手方向の一端部とは、溶接により接合されている。第2コア部20B及び第2入口タンク部12Bも同様である。
【0046】
本実施形態の熱交換器5において、冷却対象の流体は、高温状態で、開口11dを介して入口ポート11aに流入する。流体は、分流配管11bから2つの流入ポート11cA,11cBに分流され、2つの入口タンク部12A,12Bそれぞれに流入する。
【0047】
第1入口タンク部12A内の流体は、第1コア部20Aの3つの流体流路28に分流される。第2入口タンク部12B内の流体は、第2コア部20Bの3つの流体流路28に分流する。熱交換器5に流入した流体は、幅方向に並ぶ合計6つの流体流路28に分流される。いずれの流体流路28においても、流体は、長手方向の一方側から他方側に向けて流れる(
図2の破線矢印参照)。
【0048】
各流体流路28は、2つの冷媒通路29によって幅方向に挟まれている。各流体流路28内の流体は、冷媒通路29を高さ方向に通過する冷媒との熱交換により、冷却されていく。複数の流体流路28それぞれを流れる流体は、冷却後に出口タンク部13に流入し、そこで合流される。出口タンク部13で合流された流体は、出口配管14に流入し、開口14aを介して熱交換器5外に流出する。
【0049】
このとおり、熱交換器5には、いわゆる「1パス方式」が適用されている。1パス方式とは、冷却対象の流体が、平行な複数の流体流路28を一方向(本実施形態では長手方向の一方側から他方側)にのみ流れる方式、つまり、冷却対象の流体の流れ方向が熱交換器5内で折り返されない(換言すれば、流体が熱交換器5内で往復しない)方式である。この方式を実現するための構造の一例として、本実施形態では、出口タンク部13が、全ての流体流路28の他端側の開口を相互に連通させる空間を形成している。流体流路28を通流した流体は、この出口タンク部13の内部空間で合流され、出口配管14を流通し、熱交換器5から出る。
【0050】
なお、「2パス方式」は、冷却対象の流体の流路の折返し回数が1回の方式、「3パス方式」は、冷却対象の流体の流路の折返し回数が2回の方式である。1パス方式の採用により、熱交換器5内で流体の圧損が低減し、圧縮空気が持つエネルギーを高く維持できる。
【0051】
入口タンク部12A,12Bは、冷却対象の流体に晒されて高温となる一方、コア部20A,20Bは、この流体を冷却する場所であるため、入口タンク部12A,12Bよりも低温となる。入口タンク部12A,12Bが複数設けられ、コア部20A,20Bが入口タンク部12A,12Bと一対一で対応する。そのため、入口タンク部12A,12Bとコア部20A,20Bとの組の各々において、従来同様の温度差が生じていたとしても熱変形量の差異が小さくなる。したがって、コア部20A,20Bに作用する応力が低減する。それにより、コア部20Aの破損を良好に防止できる。
【0052】
なお、出口タンク部13は、単一で入口タンク部12A,12Bの2倍に相当する幅を有する一方、各コア部20A,20Bよりも低温である。そのため、熱変形量の差異に起因する応力集中は生じにくい。
【0053】
複数の入口タンク部12A,12B及び複数のコア部20A,20Bは、幅方向(第2方向Y)に並べられている。従来は幅広であった入口タンク部及びコア部が、幅方向に分割されたといえる。そのため複数の入口タンク部12A,12B及び複数のコア部20A,20Bを熱交換器5に設けるに際し、熱交換器5のサイズが大型化しない。また、幅方向に入口タンク部12A,12B及びコア部20A,20Bを並べると、高さ方向(第3方向Z)に通過する冷媒の流れが阻害されず、冷却効率を維持できる。
【0054】
複数の入口タンク部12A,12Bが、幅方向(第2方向Y)に相互に溶接されており、複数のコア部20A,20Bが、幅方向に相互に溶接されているため、熱交換器5の強度を上げることができる。
【0055】
複数のコア部20A,20Bの他端部が、単一の出口タンク部13に接続される。複数のコア部20A,20Bを単一の出口タンク部13にまとめて取り付けることができる。この点からも、熱交換器5を簡便に組み立てることができる。
【0056】
(変形例)
これまで実施形態について説明したが、上記構成は本発明の範囲内で適宜変更可能である。
【0057】
例えば、
図5に示すように、複数の入口タンク部12A,12Bは、相互に溶接されていなくてもよく、幅方向にクリアランスCをあけて並べられていてもよい。複数のコア部20A,20Bも、これと同様である。クリアランスCの下限値は0mmを超え、例えば10mmである。また、クリアランスCの上限値は例えば100mmである。
【0058】
例えば、
図6に示すように、出口タンク部13A,13Bが、複数設けられていてもよい。この場合、出口タンク部13A,13Bの個数は、コア部20A,20Bの個数や入口タンク部12A,12Bの個数と同じとなり、出口配管14が、入口配管11と同様に構成される。
【0059】
コア部の個数は2つに限定されない。複数のコア部が並ぶ方向は、幅方向(第2方向Y)に限定されない。
【0060】
熱交換器5は、アフタークーラ5bに限定されず、インタークーラ5aにも適用可能である。熱交換器5は、二段型スクリュー圧縮機以外のタイプの圧縮機1に設けられていてもよく、例えば単段型圧縮機のアフタークーラであってもよい。熱交換器5は、圧縮機1以外の用途にも適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 圧縮機
2 第1段圧縮機本体
3 第2段圧縮機本体
4 モータ
5 熱交換器
5a インタークーラ
5b アフタークーラ
6a 吸込流路
6b 中間流路
6c 吐出流路
11 入口配管
11a 入口ポート
11b 分流配管
11cA,11cB 流入ポート
11d 開口
11e フランジ
12A 第1入口タンク部(入口タンク部)
12B 第2入口タンク部(入口タンク部)
13,13A,13B 出口タンク部
14 出口配管
14a 開口
14b フランジ
20A 第1コア部(コア部)
20B 第2コア部(コア部)
21a 外側板
21b 外板
22 隔板
23 第1シール板
24 第2シール板
25 第1フィン
26 第2フィン
28 液体流路
29 冷媒通路
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向