(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017633
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
G01H 1/00 20060101AFI20240201BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240201BHJP
【FI】
G01H1/00 G
G01K1/14 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120401
(22)【出願日】2022-07-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【テーマコード(参考)】
2F056
2G064
【Fターム(参考)】
2F056CE10
2G064AA04
2G064AB02
2G064BA02
2G064BA07
2G064BA08
2G064BA21
2G064BD18
(57)【要約】
【課題】風などの影響によりプローブケースに外力が加わっても、作業者による修復作業を行わなくても計測を継続することが可能な計測装置を提供する。
【解決手段】計測装置1は、プローブ部10と、本体部14と、U字ボルト11およびナット12,13とを備える。プローブ部10は、円筒形状のプローブケース100と、その内方に収容された振動プローブおよび温度プローブとを有する。振動プローブおよび温度プローブのそれぞれは、先端がスチーム配管500の表面500aに直に当接するように配設されている。計測装置1では、プローブ部10のプローブケース100は、スチーム配管500に対してZ方向下方に垂下した姿勢で固定されている。本体部14は本体ケース140を有している。本体ケース140は、プローブケース100に対してZ方向下部に直に固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の部材であって、一端が計測対象物の表面に当接するように配され、他端に振動の強度を計測する振動センサを有する振動プローブと、
長尺状の部材であって、一端が前記計測対象物の表面に当接するように配され、前記計測対象物の表面温度を計測する温度プローブと、
前記振動プローブの前記一端を含む一部と、前記温度プローブの前記一端を含む一部とをそれぞれ外部に露出させた状態で、前記振動センサを含む前記振動プローブの残りの部分と、前記温度プローブの残りの部分とを内方に収容するプローブケースと、
前記プローブケースを前記計測対象物に固定する固定部材と、
を備え、
前記プローブケースは、前記計測対象物に対して下方に垂下した姿勢で固定されている、
計測装置。
【請求項2】
前記プローブケースは、筒形状を有し、
前記プローブケースの下部開口を塞ぐ底部材と、
前記振動プローブおよび前記温度プローブと信号線で接続された回路基板と、
前記回路基板に電力を供給する電池ユニットと、
前記回路基板および前記電池ユニットを収容する本体ケースと、
をさらに備え、
前記本体ケースは、前記底部材に直に固定されている、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記底部材は、前記本体ケースが固定される部分に孔を有し、
前記本体ケースは、前記底部材に固定される部分に設けられ、前記底部材の孔に連続する孔を有し、
前記振動プローブおよび前記温度プローブと前記回路基板とを接続する前記信号線は、前記底部材の孔および前記本体ケースの孔を挿通するように配されている、
請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記プローブケースおよび前記本体ケースのそれぞれは、金属材料から構成されている、
請求項2に記載の計測装置。
【請求項5】
前記回路基板および前記電池ユニットのそれぞれは、前記本体ケースの内壁面に対して断熱部材を介して取り付けられている、
請求項4に記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置に関し、特に蒸気や復水が流れるスチーム配管やスチームトラップ等を計測対象とする計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気が流通する配管設備から復水(ドレン)のみを排出する用途に用いられるスチームトラップが知られている。また、当該スチームトラップやその入り口部分のスチーム配管における振動の強度および表面温度を計測し、それらの相互関係から蒸気漏れの有無を診断することが行われている。このような診断には、スチームトラップ等の振動の強度を計測するための振動プローブと、スチームトラップ等の表面温度を計測するための温度プローブとを備える計測装置が用いられる。
【0003】
ここで、計測装置としては、作業者が携帯する可搬タイプのものと、スチームトラップ等に振動プローブや温度プローブが固定された設置タイプのものとがある。特許文献1には、設置タイプの計測装置が開示されている。特許文献1に開示の計測装置をはじめとする従来技術に係る計測装置について、
図6を用いて説明する。
図6に示すように、従来技術に係る計測装置901は、プローブケース910と、クランプ部911と、ボルト912と、本体ケース913と、接続パイプ914とを備える。
【0004】
プローブケース910の内方には、
図6の拡大部分に示すように、それぞれの先端915a,916aがZ方向下方に突出するように温度プローブ915と振動プローブ916とが収容されている。プローブケース910から下向きに突出した温度プローブ915の先端915aおよび振動プローブ916の先端916aは、スチーム配管950の表面に当接するように配設されている。プローブケース910は、スチーム配管950の上部に配設されており、クランプ部911によりスチーム配管500に取り付けられている。クランプ部911は、ボルト912の締付けにより、スチーム配管500の外周を締め付けるようにしてスチーム配管950にプローブケース910を固定する。
【0005】
本体ケース913は、接続パイプ914を間に介してプローブケース910の上方に配設されている。本体ケース913の内方には、温度プローブ915により検出されたスチーム配管950の表面950aの温度、および振動プローブ916により検出されたスチーム配管950の振動の強度に関するデータを、中継器やプラントの管理室などに送信する回路基板や電源としての電池ユニット等が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図6に示すような従来技術に係る計測装置901では、強風などの影響により計測データを取得できなくなってしまう場合がある。具体的には、
図6の矢印Bで示すように計測装置901に対して強風が吹き付けたような場合には、プローブケース910が傾いてしまい(矢印C)、スチーム配管950の表面950aから温度プローブ915や振動プローブ916の先端915a,916aが離間してしまうことがある。このような場合には、スチーム配管950の表面温度や振動の強度を計測することができない。そして、このようにプローブケース910が傾いてしまった場合には、作業者がプローブケース910の姿勢を正常な姿勢に戻すまでの間、計測装置901での計測ができないこととなる。
【0008】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、風などの影響によりプローブケースに外力が加わっても、作業者による修復作業を行わなくても計測を継続することが可能な計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る計測装置は、振動プローブと、温度プローブと、プローブケースと、固定部材とを備える。前記振動プローブは、長尺状の部材であって、一端が計測対象物の表面に当接するように配され、他端に振動の強度を計測する振動センサを有する。前記温度プローブは、長尺状の部材であって、一端が前記計測対象物の表面に当接するように配され、前記計測対象物の表面温度を計測する。前記プローブケースは、前記振動プローブの前記一端を含む一部と、前記温度プローブの前記一端を含む一部とをそれぞれ外部に露出させた状態で、前記振動センサを含む前記振動プローブの残りの部分と、前記温度プローブの残りの部分とを内方に収容する。前記固定部材は、前記プローブケースを前記計測対象物に固定する。そして、本態様に係る計測装置において、前記プローブケースは、前記計測対象物に対して下方に垂下した姿勢で固定されている。
【0010】
上記態様に係る計測装置では、プローブケースが計測対象物に対して下方に垂下した姿勢で固定されているので、仮に風などの影響によりプローブケースが傾いて一時的に振動プローブおよび温度プローブの各一端が計測対象物から離間したとしても、プローブケースおよびその内方に収容された振動プローブや温度プローブの自重により元の垂下した姿勢へと復帰することとなる。よって、上記態様に係る計測装置では、風などの影響によりプローブケースに外力が加わっても、作業者による修復作業を行わなくても計測を継続することが可能である。
【0011】
上記態様に係る計測装置において、前記プローブケースは、筒形状を有し、前記プローブケースの下部開口を塞ぐ底部材と、前記振動プローブおよび前記温度プローブと信号線で接続された回路基板と、前記回路基板に電力を供給する電池ユニットと、前記回路基板および前記電池ユニットを収容する本体ケースと、をさらに備え、前記本体ケースは、前記底部材に直に固定されている、としてもよい。
【0012】
上記態様に係る計測装置では、プローブケースの下部開口を塞ぐ底部材に対して本体ケースが直に固定されているので、風などの影響によりプローブケースが傾いたとしても、プローブケースおよびその内方に収容された振動プローブや温度プローブの自重だけでなく、本体ケースおよび回路基板や電池ユニットの自重も加えて元の垂下した姿勢へと復帰することとなる。
【0013】
また、上記態様に係る計測装置では、底部材の下部に対して本体ケースが直に固定されているため、プローブケースと本体ケースとの間に接続パイプが介挿される場合に比べて、振動プローブや温度プローブと回路基板とを接続する信号線を短くすることができる。このため、上記態様に係る計測装置では、各プローブと回路基板との間でのインピーダンスを低く抑えることができ、高い精度での計測が可能である。
【0014】
上記態様に係る計測装置において、前記底部材は、前記本体ケースが固定される部分に孔を有し、前記本体ケースは、前記底部材に固定される部分に設けられ、前記底部材の孔に連続する孔を有し、前記振動プローブおよび前記温度プローブと前記回路基板とを接続する前記信号線は、前記底部材の孔および前記本体ケースの孔を挿通するように配されている、としてもよい。
【0015】
上記態様に係る計測装置では、底部材および本体ケースのそれぞれに、互いに連続する孔が設けられ、当該孔を挿通して各プローブと回路基板とを接続する信号線が配設されている。このため、信号線の長さを可能な範囲で短くすることができ、高い精度での計測にさらに好適である。
【0016】
上記態様に係る計測装置において、前記プローブケースおよび前記本体ケースのそれぞれは、金属材料から構成されている、としてもよい。
【0017】
上記態様に係る計測装置では、プローブケースおよび本体ケースのそれぞれが金属材料から構成されているので、計測対象物の内部を高温の蒸気が流通するような場合であってもプローブケースや本体ケースが熱で損傷するのを抑制することができる。
【0018】
上記態様に係る計測装置において、前記回路基板および前記電池ユニットのそれぞれは、前記本体ケースの内壁面に対して断熱部材を介して取り付けられている、としてもよい。
【0019】
上記態様に係る計測装置では、回路基板および電池ユニットのそれぞれが本体ケースの内壁面に対して断熱部材を介して取り付けられているので、耐熱性の高い回路基板や電池ユニットを用いなくても、計測対象物から伝達される熱で本体ケースが高温になっても回路基板や電池ユニットが熱で損傷するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
上記の各態様に係る計測装置では、風などの影響によりプローブケースに外力が加わっても、作業者による修復作業を行わなくても計測を継続することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る計測装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】プローブ部における蓋部分の構成を示す断面図である。
【
図5】本体部における回路基板および電池ユニットの取付構造を示す断面図である。
【
図6】従来技術に係る計測装置の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の一実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例を示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0023】
1.計測装置1の概略構成
一実施形態に係る計測装置1の概略構成について、
図1および
図2を用いて説明する。
【0024】
図1に示すように、計測装置1は、プローブ部10と、本体部14と、U字ボルト11およびナット12,13とを備える。なお、U字ボルト11とナット12,13とは、プローブ部10および本体部14を計測対象物であるスチーム配管500に固定するための固定部材である。
【0025】
プローブ部10は、円筒形状のプローブケース100と、ステー101,102とを有する。
図2に示すように、プローブ部10は、その内部空間10a(プローブケース100内)に収容された温度プローブ103および振動プローブ104も有する。さらに、プローブ部10は、プローブケース100のZ方向下側の開口を塞ぐように配設された底部材107と、プローブケース100のZ方向上側の開口を、温度プローブ103の先端(一端)103aを含む一部と振動プローブ104の先端(一端)104aを含む一部との挿通を許しながら塞ぐように配設された蓋部材108とを有する。
【0026】
図1に戻って、ステー101とステー102とは、プローブケース100におけるZ方向上部の外周に固定され、互いにY方向の反対側に向けて延びる。ステー101およびステー102のそれぞれには、U字ボルト11のネジ部の挿通を許す通し孔が開けられている。U字ボルト11は、ステー101,102に開けられた通し孔を挿通してZ方向下方にネジ部の一部が位置するように取り付けられ、ナット12,13の螺合により緊結されている。これにより、計測装置1のプローブ部10は、スチーム配管500に対してZ方向下向きに垂下した姿勢で固定されている。
【0027】
本体部14は、本体ケース140と、蓋141と、複数のビス142~145とを有する。本実施形態では、一例として、本体ケース140と蓋141とで直方体形状の箱を構成し、ビス142~145は、本体ケース140と蓋141との接合に用いられる。なお、本体ケース140の内方(内部空間)には、後述する回路基板と電池ユニットとが収容されている。
【0028】
2.プローブ103,104の構成
プローブ部10の内部空間10aに収容された温度プローブ103および振動プローブ104の構成について、
図2を用いて説明する。
【0029】
図2に示すように、プローブ部10は、円筒形状のプローブケース100と、円板形状の底部材107および蓋部材108とによって外殻が構成されている。プローブケース100は、例えば、アルミニウム合金などの金属部材から構成されている。また、底部材107および蓋部材108については、ステンレス鋼などの金属部材から構成されている。底部材107は、プローブケース100におけるZ方向下側の開口を塞ぐように配設され、蓋部材108は、プローブケース100におけるZ方向上側の開口を塞ぐように配設されている。プローブケース100に対する蓋部材108の取り付けは、ビス105,106を用いてなされている。
【0030】
温度プローブ103および振動プローブ104は、それぞれが長尺棒状の部材であって、互いにX方向に間隔を空けて配置されている。また、温度プローブ103および振動プローブ104のそれぞれは、プローブ部10の内部空間10aにおいて、プローブケース100の内壁面に当接しないように配置されている。
【0031】
温度プローブ103は、Z方向に延びるように配され、先端(一端)103aを含む一部が蓋部材108に開けられた孔を挿通してZ方向上方に突出するように配設されている。そして、温度プローブ103の先端103aは、スチーム配管500の表面500aの内のZ方向下部に直に当接している。温度プローブ103は、スチーム配管500の表面500aの温度を計測し、Z方向下側から延びる信号線103bを通じて本体部14へと計測結果を送出する。なお、後述するが、温度プローブ103は、蓋部材108に固定されることで姿勢が維持されている。
【0032】
振動プローブ104は、Z方向に延びるように配され、先端(一端)104aを含む一部が蓋部材108に開けられた孔を挿通してZ方向上方に突出するように配設されている。そして、振動プローブ104の先端104aは、スチーム配管500の表面500aの内のZ方向下部に直に当接している。なお、温度プローブ103の先端103aと振動プローブ104の先端104aとは、スチーム配管500の管軸Ax500に沿った方向(X方向)に互いに離間した箇所でスチーム配管500の表面500aに直に当接している。
【0033】
振動プローブ104は、長手方向における先端104aとは反対側(Z方向下側)に、断熱部104c、振動センサ104b、および信号線104dを有する。断熱部104cは、先端104aを含む探触棒のZ方向下端に固定され、スチーム配管500から伝達される熱が振動センサ104bに伝わり難くする。振動センサ104bは、断熱部104cに固定された台座部(図示を省略。)に固定されている。振動センサ104bは、圧電素子として圧電型セラミックスが使用された圧電型加速度センサから構成されている。信号線104dは、振動センサ104bから延出され、本体部14へと延びるように配設されており、振動センサ104bでの計測結果を本体部14へと送出する。
【0034】
3.蓋部材108へのプローブ103,104の取付構造
蓋部材108への温度プローブ103および振動プローブ104の取付構造について、
図3を用いて説明する。なお、
図3は、蓋部材108におけるZ方向の中間部分での断面図である。
【0035】
図3に示すように、蓋部材108は、Z方向(
図3の紙面に直交する方向)からの平面視で、略円板形状を有する。蓋部材108の外周は、プローブケース100の内周に隙間なく当接するように填め込まれている。
【0036】
蓋部材108には、4つのネジ孔108c,108d,108f,108gが設けられている。また、蓋部材108には、温度プローブ103の挿通を許す貫通孔108aと、振動プローブ104の挿通を許す貫通孔108bとが設けられている。ネジ孔108c,108fは、貫通孔108aに連続し、ネジ孔108d,108gは、貫通孔108bに連続する。
【0037】
また、プローブケース100には、通し孔100a,100bが設けられている。プローブケース100の通し孔100aは、プローブケース100に蓋部材108を填め込んだ状態で、ネジ孔108cと連続する。また、プローブケース100の通し孔100bは、プローブケース100に蓋部材108を填め込んだ状態で、ネジ孔108dに連続する。
【0038】
上述のように、プローブケース100に対する蓋部材108の取り付けは、ビス105,106を用いてなされている。具体的に、ビス105,106は、プローブケース100の外周側から径方向内側に向けて挿入され、蓋部材108のネジ孔108c,108dに螺合される。
【0039】
蓋部材108の貫通孔108aには、温度プローブ103の一部が挿入されている。そして、温度プローブ103は、ネジ孔108fに螺合されたイモネジ(雄ネジ)109のネジ先端からの押圧を受けて貫通孔108aの内周面に外周面の一部が押し付けられている。
【0040】
蓋部材108の貫通孔108bには、振動プローブ104の一部が挿入されている。そして、振動プローブ104は、ネジ孔108gに螺合されたイモネジ(雄ネジ)110のネジ先端からの押圧を受けて貫通孔108bの内周面に外周面の一部が押し付けられている。
【0041】
以上のように、プローブケース100に対して蓋部材108が固定されているとともに、蓋部材108に対して温度プローブ103および振動プローブ104が固定されている。
【0042】
なお、本実施形態で用いるイモネジ109,110とは、「六角穴付き止めネジ」のことを指す。
【0043】
4.本体部14の構成
本体部14の構成について、
図4を用いて説明する。なお、
図4は、本体部14における蓋141を取り外した状態を示している。
【0044】
図4に示すように、本体部14の内部空間14aには、回路基板146および電池ユニット147が収容されている。なお、本実施形態では、一例として、本体ケース140の内方におけるZ方向上方に回路基板146を収容し、Z方向下方に電池ユニット147を収容しているが、回路基板146および電池ユニット147の収容に係る配置形態については、適宜に変更が可能である。
【0045】
回路基板146は、4つのビス148~151により本体ケース140の底壁(
図4の紙面奥側の壁)に固定されている。電池ユニット147は、X方向の両側に延出されたフランジ部147c,147dを有し、当該フランジ部147c,147dを挿通するビス152~155により本体ケース140の底壁に固定されている。
【0046】
回路基板146は、基板本体146aと、コネクタ146b,146cとを有する。基板本体146aには、図示を省略する複数の電子チップが実装されており、温度プローブ103や振動プローブ104から送られてくる計測結果を演算処理する演算処理部や、演算結果を中継器やプラントの管理室などに送信する送信部などが設けられている。なお、本実施形態に係る計測装置1では、BLE(Bluetooth Low Energy〈「Bluetooth」は、Bluetooth SIG Inc.の登録商標〉)規格を用いて中継器などにデータ送信を行うよう回路基板146の送信部が構成されている。
【0047】
上述のように、本実施形態では、本体ケース140は金属材料から構成されているが、本体ケース140または蓋141には、電波の通過を許す小孔が開けられている。また、本体ケース140または蓋141には、小孔から雨水などが浸入した場合を考慮して排水経路も形成されている。
【0048】
回路基板146のコネクタ146bには、温度プローブ103の信号線103bおよび振動プローブ104の信号線104dが接合されたコネクタ111が接続されている。コネクタ111に接合される信号線103b,104dは、底部材107に設けられた孔107aおよび本体ケース140に設けられた孔を通して本体部14の内部空間14aへと配策されている。
【0049】
ここで、本体ケース140に設けられた孔には、本体部14の内部空間14aへの水の浸入を抑制する防水パッキン159が取り付けられている。防水パッキン159は、一例としてシリコーンゴムから形成されている。防水パッキン159には、信号線103b,104dの挿通を許しながら水の通過を抑制する小孔が開けられている。
【0050】
なお、
図4に示すように、本体ケース140は、プローブ部10の底部材107に直に固定されている。
【0051】
回路基板146のコネクタ146cには、電池ユニット147から延出するリード線(電源線)147aが接合されたコネクタ147bが接続されている。
【0052】
5.本体ケース140への回路基板146および電池ユニッ147の取付構造
本体ケース140への回路基板146および電池ユニット147の詳細な取付構造について、
図5を用いて説明する。
【0053】
図5に示すように、本体ケース140は、底壁140cと4つの側壁140d,140eとで構成され、底壁140cに対向する部分に開口部140aを有する。プローブ部10の底部材107と直に接合される側壁140dには、底部材107の孔107aと連続する孔140bが設けられている。信号線103b,104dは、孔107aおよび孔140bを通り、本体部14の内部空間14aへと引き込まれている。
【0054】
なお、上述のように、孔140bには、信号線103b,104dの挿通を許しつつ、水の通過を抑制する防水パッキン159が取り付けられている。
【0055】
本体ケース140の開口部140aは、矢印Aで示すように蓋141の取り付け/取り外しによって開閉可能となっている。なお、
図5では、図示を省略しているが、本体ケース140への蓋141の取付けは、ビス142~145によりなされる(
図1を参照)。
【0056】
本体ケース140の底壁140cからは、開口部140a側に向けて複数のボス156~158が立設されている。複数のボス156~158は、断熱部材(例えば、アルミナ)から形成されている。そして、回路基板146は、ビス148~151(
図5では、ビス149,150の図示を省略。)をボス156,157に設けられた雌ネジに螺合させることで本体ケース140に固定されている。
【0057】
同様に、電池ユニット147は、ビス152~155(
図5では、ビス153,154の図示を省略。)をボス158に設けられた雌ネジに螺合させることで本体ケース140に固定されている。
【0058】
6.効果
本実施形態に係る計測装置1は、上記のような構成を備えることにより次のような効果を奏することができる。
【0059】
本実施形態に係る計測装置1では、プローブケース100が計測対象物であるスチーム配管500に対してZ方向下方に垂下した姿勢で固定されているので、仮に風などの影響によりプローブケース100が傾いて一時的に温度プローブ103および振動プローブ104の各先端103a,104aがスチーム配管500の表面500aから離間したとしても、プローブケース100およびその内方に収容された温度プローブ103および振動プローブ104の自重により元の垂下した姿勢へと復帰することとなる。よって、計測装置1では、風などの影響によりプローブケース100に外力が加わっても、作業者による修復作業を行わなくても計測を継続することが可能である。
【0060】
また、本実施形態に係る計測装置1では、本体ケース140がプローブケース100の下部開口を塞ぐ底部材107に直に固定されているので、風などの影響によりプローブケース100が傾いたとしても、プローブケース100およびその内方に収容された温度プローブ103や振動プローブ104の自重だけでなく、本体ケース140、蓋141、回路基板146、および電池ユニット147の自重も加えて元の垂下した姿勢へと復帰することとなる。
【0061】
また、計測装置1では、底部材107の下部に対して本体ケース140が直に固定されているため、プローブケース100と本体ケース140との間に接続パイプが介挿される場合に比べて、温度プローブ103や振動プローブ104と回路基板146とを接続する信号線103b,104dの長さL(
図4を参照。)を短くすることができる。このため、計測装置1では、温度プローブ103および振動プローブ104と回路基板146との間でのインピーダンスを低く抑えることができ、高い精度での計測が可能である。
【0062】
また、本実施形態に係る計測装置1では、底部材107に孔107aが開けられ、本体ケース140に孔140bが開けられており、穴107aと孔140bとが互いに連続するようになっており、孔107a,140bを挿通して信号線103b,104dが配設されている。このため、計測装置1では、信号線103b,104dの長さLを可能な範囲で短くすることができ、高い精度での計測にさらに好適である。
【0063】
また、本実施形態に係る計測装置1では、プローブケース100および本体ケース140のそれぞれが金属材料から構成されているので、スチーム配管500の内部を高温の蒸気が流通してもプローブケース100や本体ケース140が熱によって損傷するのを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る計測装置1では、回路基板146および電池ユニット147のそれぞれが本体ケース140における底壁140cの内面(内壁面)に対して断熱部材からなるボス156~158を介して取り付けられているので、耐熱性の高い回路基板や電池ユニットを用いなくても、スチーム配管500から伝達される熱で本体ケース140が高温になっても回路基板146や電池ユニット147が損傷するのを抑制することができる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る計測装置1では、風などの影響によりプローブケース100に外力が加わっても、作業者による修復作業を行わなくても計測を継続することが可能である。
【0066】
[変形例]
上記実施形態に係る計測装置1では、本体ケース140がプローブ部10の底部材107の下部に直に固定された構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。本体部とプローブ部との間にフレキシブルパイプなどを介挿させた構成を採用することも可能である。
【0067】
また、プローブ部と本体部とを必ずしも別体にする必要もなく、温度プローブ、振動プローブ、回路基板、および電池ユニットをプローブケース内に収容した構成を採用することも可能である。
【0068】
また、上記実施形態に係る計測装置1では、本体部14をプローブ部10のZ方向下方に配設した構成を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、プローブ部の側方に本体部を配置してもよいし、プローブ部を計測対象物の下方に垂下させ、本体部を計測対象物の上方に配置することも可能である。
【0069】
また、上記実施形態に係る計測装置1では、プローブケース100および本体ケース140のそれぞれを金属材料から構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、プローブケースだけを金属材料から構成し、本体ケースを樹脂材料などから構成することも可能である。この場合、回路基板の発振部からの電波が本体ケースによって遮断されることを防止することができる。
【0070】
なお、樹脂材料から構成された本体ケースを採用する場合には、プローブケースや底部材と本体ケースとの間に断熱部材を介挿させることにしてもよい。これにより、プローブケースを介して計測対象物から伝達された熱を本体ケースに伝わり難くすることができ、本体ケースの破損や変形を抑制するのに優位である。プローブケースの外周面に放熱フィンなどを付加することも有効である。
【0071】
上記実施形態では、計測装置1をスチーム配管500に取り付けることとしたが、本発明では、計測装置の計測対象物はこれに限定をされるものではない。例えば、スチームトラップを計測対象物とすることも可能である。
【0072】
また、上記実施形態に係る計測装置1では、固定部材の一例であるU字ボルト11とナット12,13とを用いてスチーム配管500への取り付けを行うこととしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、U字ボルト11の代わりにローラーチェーンやワイヤーロープなどを採用することも可能である。これにより、1種類の計測装置で外径が異なる多種の計測対象物に対応が可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 計測装置
10 プローブ部
14 本体部
14a 内部空間
100 プローブケース
103 温度プローブ
103a 先端(一端)
103b 信号線
104 振動プローブ
104a 先端(一端)
104d 信号線
107 底部材
107a 孔
140 本体ケース
140a 孔
146 回路基板
147 電池ユニット
156~158 ボス(断熱部材)
500 スチーム配管(計測対象物)
500a 表面