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  • 特開-部品評価装置および部品評価方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176330
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】部品評価装置および部品評価方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20241212BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094792
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】石橋 隆之
(72)【発明者】
【氏名】吉井 崇博
(72)【発明者】
【氏名】柴原 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】岡部 勇大
(72)【発明者】
【氏名】藪 博文
(72)【発明者】
【氏名】向原 康平
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 浩平
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】部品の品質評価を早期に行う。
【解決手段】部品評価装置10は、部品の使用後に、その部品の故障に関する情報を取得する情報取得部11と、情報取得部11により取得された情報に基づいて、時間経過に伴う部品の故障発生率を算出する故障率算出部12と、故障率算出部12により算出された故障発生率に基づいて、部品と同種である同種部品の品質を評価する品質評価部13とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の使用後に、該部品の故障に関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、時間経過に伴う前記部品の故障発生率を算出する故障率算出部と、
前記故障率算出部により算出された故障発生率に基づいて、前記部品と同種である同種部品の品質を評価する品質評価部と、を備えることを特徴とする部品評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品評価装置において、
前記部品は、複数の機種に搭載され、
前記故障率算出部は、過去の機種毎の前記故障発生率を算出し、
前記品質評価部は、前記故障率算出部により算出された過去の機種毎の故障発生率に基づいて、新たな機種に搭載された前記同種部品の品質を評価することを特徴とする部品評価装置。
【請求項3】
請求項2に記載の部品評価装置において、
前記品質評価部は、前記過去の機種毎の故障発生率に基づいて、正常な故障発生率の上限値を設定し、設定した上限値に基づいて、前記新たな機種に搭載された同種部品の品質を評価することを特徴とする部品評価装置。
【請求項4】
請求項3に記載の部品評価装置において、
前記品質評価部は、前記過去の機種毎の故障発生率の平均値と標準偏差とを算出し、算出した前記平均値と前記標準偏差との和を前記上限値として設定することを特徴とする部品評価装置。
【請求項5】
請求項3に記載の部品評価装置において、
前記品質評価部は、前記過去の機種毎の故障発生率の第1の平均値と第1の標準偏差とを算出し、算出した前記第1の平均値と前記第1の標準偏差との和を超える故障発生率を除外した上で、前記過去の機種毎の故障発生率の第2の平均値と第2の標準偏差とを算出し、算出した前記第2の平均値と前記第2の標準偏差との和を前記上限値として設定することを特徴とする部品評価装置。
【請求項6】
コンピュータにより実行される、
部品の使用後に、該部品の故障に関する情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得された情報に基づいて、時間経過に伴う前記部品の故障発生率を算出する故障率算出ステップと、
前記故障率算出ステップで算出された故障発生率に基づいて、前記部品と同種である同種部品の品質を評価する品質評価ステップと、を含むことを特徴とする部品評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の品質を評価する部品評価装置および部品評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、過去に生産された実装基板の品質検査により得られた品質データと、現在生産中の実装基板の品質検査により得られた品質データとを比較して、実装基板の品質を評価するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、現在の品質データにより求められた不良率が、過去の品質データにより求められた所定の不良率を超えると、生産を一時中断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-53264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の装置では、現在の品質データにより求められた不良率が過去の品質データにより求められた所定の不良率を超えるまで、生産が中断されないため、部品の品質評価を早期に行うことが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である部品評価装置は、部品の使用後に、その部品の故障に関する情報を取得する情報取得部と、情報取得部により取得された情報に基づいて、時間経過に伴う部品の故障発生率を算出する故障率算出部と、故障率算出部により算出された故障発生率に基づいて、部品と同種である同種部品の品質を評価する品質評価部と、を備える。
【0006】
本発明の別の態様である部品評価方法は、コンピュータにより実行される、部品の使用後に、その部品の故障に関する情報を取得する情報取得ステップと、情報取得ステップで取得された情報に基づいて、時間経過に伴う部品の故障発生率を算出する故障率算出ステップと、故障率算出ステップで算出された故障発生率に基づいて、部品と同種である同種部品の品質を評価する品質評価ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、部品の品質評価を早期に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る部品評価装置を含む部品評価システムの全体構成の一例を概略的に示すブロック図。
図2図1の部品評価装置により管理される故障情報について説明するための図。
図3図1の部品評価装置により管理される、時間経過に伴う部品の故障発生率の正常範囲について説明するための図。
図4図1の部品評価装置による故障情報の除外について説明するための図。
図5図1の部品評価装置により実行される正常範囲設定処理の一例を示すフローチャート。
図6図1の部品評価装置により実行される品質評価処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図6を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る部品評価装置は、車両等の製品に搭載される特定の部品の品質、特に、製品が製造され、使用された後の、各部品についての故障発生率を評価する。車両等の製品が製造されてから廃棄されるまでのライフサイクルでは、時間経過に伴って各部品に故障が発生する。このような故障の発生状況が正常であれば、故障した部品を個別に修理または交換すればよいが、異常であれば、設計変更等の根本的な対応が必要となる。
【0010】
しかしながら、このような故障の発生状況は、部品の種類や使用期間等に応じて変化するため、故障の発生状況が正常であるのか異常であるのかを早期に評価することが難しい。例えば、車両部品のうち、触媒装置の機能不全等の不具合は比較的発生し難く、所定の使用期間後に0.01%程度でも発生すれば異常であるのに対し、ステアリングのジャダー発生等の不具合は比較的発生しやすく、1%程度でも正常である。そこで、本実施形態では、部品毎に予め使用期間の経過に伴う故障発生率の基準値を設定しておくことで、その部品と同種である同種部品の品質評価を早期に行うことができるよう、以下のように部品評価装置を構成する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る部品評価装置(以下、装置)10を含む部品評価システム100の全体構成の一例を概略的に示すブロック図である。図1に示すように、部品評価システム100は、装置10と、車両等の製品の販売や修理を行う店舗等に設けられた情報入力端末20とを含む。装置10と情報入力端末20とは、LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネット網等のWAN(ワイドエリアネットワーク)を含む通信網30を介して互いに通信可能に接続される。
【0012】
装置10は、CPU(プロセッサ),ROM,RAM(メモリ)、その他の周辺回路などを有するコンピュータを含んで構成される。装置10は、プロセッサの機能的構成として、情報取得部11と、故障率算出部12と、品質評価部13とを有し、メモリの機能的構成として、情報記憶部14を有する。すなわち、装置10のプロセッサが情報取得部11と故障率算出部12と品質評価部13として機能し、装置10のメモリが情報記憶部14として機能する。装置10は、単一のサーバ装置として構成されてもよく、分散型のサーバ装置として構成されてもよく、クラウド環境上に設けられた分散型の仮想サーバ装置として構成されてもよい。
【0013】
情報入力端末20は、例えば、車両等の製品の販売や修理を行う店舗等に設けられたパーソナルコンピュータやタブレット端末等の、通信網30に接続可能な機器により構成される。情報入力端末20には、店舗のスタッフ等により、製品の仕様や製造地、使用開始時期に関する製品情報、製品が故障したときの故障部品や故障時期に関する故障情報等が入力される。情報入力端末20に入力された製品情報および故障情報は、通信網30を介して、装置10に送信される。
【0014】
製品情報には、製品の種類に応じ、各製品を分類するために必要となる分類情報として、例えば、型式、年式、販売地(仕向地)、製造工場(製造地)等の情報が含まれる。以下では、分類情報に含まれる型式、年式、仕向地、製造地等が一致する製品を、同一の「機種」の製品と称する。すなわち、複数の機種に搭載される各部品が品質評価の対象となる。製品情報には、製品の種類に応じ、各製品の使用開始時期を特定するために必要となる使用開始時期の情報として、製造日、出荷日、販売日、納品日(引渡日)等の情報も含まれる。各製品の製品情報は、各製品を特定するための車体番号等の識別情報に関連付けて管理される。製品情報の入力は、店舗に限らず、製造工場等の製造地や製品の引渡し後の使用場所等で行われてもよい。この場合に製品情報の入力を行う機器のことも、情報入力端末20と称する。
【0015】
故障情報には、製品が故障したときの原因である故障部品を特定するために必要となる情報として、故障部品の一般的な名称(例えば、触媒装置やステアリング等)や部品番号等の情報が含まれる。各部品を特定するための部品番号は、例えば、複数の文字列を含み、一部の文字列(例えば、上位2桁等)が部品の大分類を表すとともに、部品の一般的な名称に相当する。故障情報には、各製品に故障が発生した時期を特定するために必要となる故障時期の情報として、例えば、製品の修理を行う店舗等で修理依頼が受け付けられた修理受付日、ユーザ等が製品の故障状態に気付いた故障発生日等の情報が含まれる。故障発生日は、製品の自己診断機能により特定された日時であってもよい。各製品の故障情報も、製品情報と同様に、車体番号等の識別情報に関連付けて管理される。故障情報の入力は、製品のユーザ自身が行ってもよく、この場合に製品情報の入力を行うユーザ機器のことも、情報入力端末20と称する。製品に自己診断機能と通信機能とが搭載され、製品から装置10に直接、故障情報が送信される場合は、製品自体も情報入力端末20に含まれる。
【0016】
装置10の情報取得部11は、各部品が搭載された製品が製造等されると情報入力端末20から送信される製品情報と、各製品が使用され、故障が発生すると情報入力端末20から送信される故障情報とを取得する。情報取得部11により取得された製品情報および故障情報は、車体番号等の識別情報に関連付けられ、情報記憶部14に記憶される。
【0017】
図2は、装置10により管理される故障情報について説明するための図であり、特定の部品(例えば、触媒装置やステアリング等)についての機種毎の故障情報の一例を示す。図2に示すように、故障率算出部12は、情報取得部11により取得された製品情報および故障情報に基づいて、機種毎の製品の総数(図2の例では総販売台数)および時間経過に伴う総故障件数を集計する。時間経過に伴う総故障件数は、各製品の製造日等の特定の時点からの時間経過に伴う総故障件数であり、図2の例では月単位で集計されている。図2の例では、機種Aの特定の部品について、製造日から1月以内に1件、製造日から2月以内に2件、製造日から3月以内に3件の故障が発生している。
【0018】
故障率算出部12は、さらに、機種毎の製品の総数と時間経過に伴う総故障件数とに基づいて、機種毎の時間経過に伴う故障発生率を算出する。図2の例では、機種Aの特定の部品についての故障発生率は、製造日から1月後までで0.001%、製造日から2月後までで0.002%、製造日から3月後までで0.003%として算出されている。
【0019】
品質評価部13は、特定の部品について故障率算出部12により算出された機種毎の時間経過に伴う故障発生率に基づいて、新たな機種について、その部品と同種である同種部品の品質を評価する。より具体的には、品質評価部13は、過去の機種毎の時間経過に伴う故障発生率に基づいて、過去の全機種の時間経過に伴う故障発生率の平均値、標準偏差(σ値)、および平均値と標準偏差との和(+1σ値)を算出する。
【0020】
過去の機種は、新たな機種についての品質評価を行う時点で、すでに製造、使用され、製品情報および故障情報が収集され、故障率算出部12により時間経過に伴う故障発生率が算出されている機種である。過去の機種は、新たな機種を含む全機種であってもよく、新たな機種を除く全機種であってもよい。過去の機種は、評価対象の部品についての故障の発生状況が異常であった機種や実際に設計変更等の対応が必要となった機種を除く全機種であってもよい。新たな機種について部品の品質評価は、新たな機種が製造、使用され、製品情報および故障情報が収集され、故障率算出部12により時間経過に伴う故障発生率が算出された後に行われる。また、過去の機種の故障発生率を算出する時期と同様の時期、例えば月単位で行われる。
【0021】
図2の例では、特定の部品についての過去の機種(全機種)の時間経過に伴う故障発生率の平均値は、製造日から1月後までで0.001%、製造日から2月後までで0.002%、製造日から3月後までで0.003%として算出されている。σ値は、製造日から1月後までで0.0001%、製造日から2月後までで0.0002%、製造日から3月後までで0.0003%として算出されている。+1σ値は、製造日から1月後までで0.0011%、製造日から2月後までで0.0022%、製造日から3月後までで0.0033%として算出されている。
【0022】
図3は、装置10により管理される、時間経過に伴う部品の故障発生率の正常範囲について説明するための図である。図3に示すように、品質評価部13は、過去の機種の時間経過に伴う故障発生率の+1σ値を時間経過に伴う正常な故障発生率の上限値として設定し、設定した上限値に基づいて、新たな機種に搭載された同種部品の品質を評価する。より具体的には、故障率算出部12により算出された新たな機種の時間経過に伴う故障発生率が、設定した時間経過に伴う正常な故障発生率の上限値を超えることが予測されるか否かを判定する。
【0023】
例えば、品質評価部13は、時点t1~t2に故障率算出部12により算出された新たな機種の故障発生率の増加率を算出し、算出された増加率に基づいて、その後の時点t3の故障発生率を推定し、正常な故障発生率の上限値を超えるか否かを判定する。あるいは、時点t1~t2における故障発生率の増加率の変化率を算出し、算出された変化率に基づいて、その後の時点t2~t3における故障発生率の増加率および時点t3の故障発生率を推定し、正常な故障発生率の上限値を超えるか否かを判定してもよい。このように、過去の機種の故障発生率に基づいて時間経過に伴う正常な故障発生率の上限値を設定し、新たな機種についての部品の品質評価を行うことで、新たな機種が対策を要する機種であるか否かを早期に評価することができる。
【0024】
図4は、装置10による故障情報の除外について説明するための図であり、特定の部品について故障率算出部12により過去の機種毎に算出された所定の使用期間後における故障発生率の度数分布の一例を示す。図4の例では、故障発生率の度数分布は、正規分布に従っている。図4に示すように、品質評価部13は、過去の全機種について故障発生率の平均値(第1の平均値)、σ値(第1のσ値)、および+1σ値(第1の+1σ値)を算出した後、故障発生率が第1の+1σ値を超える機種を、過去の機種から除外する。このように、特定の部品の故障発生率が他の機種よりも相対的に高い機種を除外すると、故障発生率の度数分布の分散が小さくなる。品質評価部13は、第1の+1σ値を超える機種を除外した残りの過去の機種について故障発生率の平均値(第2の平均値)、σ値(第2のσ値)、および+1σ値(第2の+1σ値)を算出し、第2の+1σ値を正常な故障発生率の上限値として設定してもよい。この場合、正常な故障発生率の上限値に基づく新たな機種の評価精度を向上することができる。
【0025】
このような機種の除外は、故障発生率の度数分布が所定条件を満たすまで繰り返し行ってもよい。例えば、故障発生率の度数分布の分散(σ)や標準偏差の大きさ(|σ|)、故障発生率の度数分布のばらつきを示すシャノンエントロピー(Shannon Entropy)が所定値以下になることを所定条件としてもよい。
【0026】
図5は、装置10により実行される正常範囲設定処理の一例を示すフローチャートである。図5の処理は、新たな機種について特定の部品の品質評価を行うときに実行され、少なくとも新たな機種についての最初の評価が行われる前に実行される。図5に示すように、先ずステップS1で、情報記憶部14に記憶された全機種の過去の故障情報を読み出す。次いでステップS2で、ステップS1で取得された情報に基づいて、評価対象の特定の部品についての、各機種の所定期間毎の故障発生率を算出する。
【0027】
次いでステップS3で、所定期間毎に、ステップS2で算出された故障発生率の度数分布が所定条件を満たすか否かを判定する。ステップS3で否定されると、ステップS4に進み、ステップS2で算出された故障発生率の第1の平均値、第1のσ値、第1の+1σ値を算出し、故障発生率が第1の+1σ値を超える機種を除外して、ステップS3に戻る。ステップS3で肯定されると、ステップS5に進み、ステップS2で算出された所定期間毎の故障発生率の平均値(第2の平均値)、σ値(第2のσ値)、+1σ値(第2の+1σ値)を算出する。次いでステップS6で、ステップS5で算出された所定期間毎の+1σ値を所定期間毎の正常な故障発生率の上限値に設定して処理を終了する。
【0028】
図6は、装置10により実行される品質評価処理の一例を示すフローチャートである。図6の処理は、図5の正常範囲設定処理の後、所定周期で繰り返し実行される。図6に示すように、先ずステップS10で、情報入力端末20から評価対象の新たな機種について、評価対象の特定の部品についての新たな故障情報が取得されたか否かを判定する。ステップS10で否定されると、処理を終了する。ステップS10で肯定されると、ステップS11に進み、情報記憶部14に記憶された新たな機種の故障情報を読み出し、評価対象の特定の部品についての所定期間毎の故障発生率を算出する。例えば、新たな機種の製造等開始の5月後に、製造日等の3月後に評価対象の特定の部品が故障した故障情報が新たに取得された場合は、所定期間毎の故障発生率のうち、製造日等の3月後の故障発生率のみが更新される。
【0029】
次いでステップS12で、ステップS11で算出された新たな機種の所定期間毎の故障発生率と、図5の正常範囲設定処理(ステップS6)で設定された所定期間毎の正常な故障発生率の上限値とを比較し、上限値を超えることが予測されるか否かを判定する。例えば、新たな機種の製造等開始の5月後に、製造等開始の4月後および5月後の故障発生率に基づいて故障発生率の増加率を算出し、それに基づいて製造等開始の6月後の故障発生率を推定し、正常な故障発生率の上限値を超えるか否かを判定する。ステップS12で否定されると、処理を終了する。ステップS12で肯定されると、新たな機種について特定の部品の設計変更等の対策が必要となる可能性がある旨を報知して処理を終了する。報知は、例えば、事前に登録されたメールアドレス宛てに通知を送信することにより行うことができる。
【0030】
このように、新たな製品について、所定期間毎の故障発生率の時間経過に伴う変化を監視し、正常であるか否かを評価することで、早期に新たな製品における特定の部品の品質評価を行うことができる(図6のステップS10~S12)。また、過去の機種毎の故障発生率に基づいて相対的な評価を行うことで、新たな機種について適切に評価することができる(図5のステップS1~S6、図6のステップS10~S12)。また、過去の機種のうち故障発生率が(第1の+1σ値)を超える機種を除外することで、評価精度を一層向上することができる(図5のステップS3~S4)。
【0031】
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏する。
(1)装置10は、部品が搭載された製品の使用後に、各部品の故障に関する情報を取得する情報取得部11と、情報取得部11により取得された情報に基づいて、時間経過に伴うその各部品の故障発生率を算出する故障率算出部12と、故障率算出部12により算出された故障発生率に基づいて、各部品と同種である同種部品の品質を評価する品質評価部13とを備える(図1)。すなわち、特定の部品について、過去の製品の時間経過に伴う故障発生率に基づいて、新たな製品の時間経過に伴う故障発生率が正常であるか否かを評価する。このように、新たな製品について、時間経過に伴う故障発生率、換言すると、故障発生率の時間経過に伴う変化を監視し、正常であるか否かを評価することで、早期に新たな製品における特定の部品の品質評価を行い、設計変更等の必要な対策を講じることができる。
【0032】
(2)部品は、複数の機種に搭載される(図2図3)。故障率算出部12は、過去の機種毎の故障発生率を算出する(図5)。品質評価部13は、故障率算出部12により算出された過去の機種毎の故障発生率に基づいて、新たな機種に搭載された同種部品の品質を評価する(図6)。複数の機種の中には、特定の部品の故障発生率が他の機種よりも相対的に高い機種が存在することがあり、このような機種については、販売開始後に設計変更等の対策が必要となり得る。過去の機種毎の故障発生率に基づいて相対的な評価を行うことで、新たな機種がそのような対策を要する機種である可能性について適切に評価することができる。
【0033】
(3)品質評価部13は、過去の機種毎の故障発生率に基づいて、正常な故障発生率の上限値を設定し、設定した上限値に基づいて、新たな機種に搭載された同種部品の品質を評価する(図2図3図5図6)。これにより評価を容易にすることができる。
【0034】
(4)品質評価部13は、過去の機種毎の故障発生率の平均値とσ値とを算出し、算出した平均値とσ値との和(+1σ値)を上限値として設定する(図2図5)。これにより評価精度を向上することができる。
【0035】
(5)品質評価部13は、過去の機種毎の故障発生率の第1の平均値と第1のσ値とを算出し、算出した第1の平均値と第1のσ値との和(第1の+1σ値)を超える故障発生率を除外した上で、過去の機種毎の故障発生率の第2の平均値と第2のσ値とを算出し、算出した第2の平均値と第2のσ値との和(第2の+1σ値)を上限値として設定する(図4図5)。これにより評価精度を一層向上することができる。
【0036】
上記実施形態では、型式、年式、仕向地、製造地等の仕様が一致する製品を同一機種として、過去の機種の故障発生率に基づいて新たな機種についての同種部品の品質評価を行う例を説明したが、同種部品の品質評価は、このようなものに限らない。例えば、同一仕様の過去の製品の故障発生率に基づいて新たな製品についての同種部品(同一部品)の品質評価を行ってもよい。
【0037】
上記実施形態では、月単位の故障発生率を用いる例を説明したが、時間経過に伴う故障発生率は、このようなものに限らない。例えば、日単位や週単位、数か月単位の故障発生率を用いてもよい。あるいは、製品の稼働時間に相当する物理量を時間経過の基準としてもよい。例えば、車両部品について評価する場合に車両の走行距離を時間経過の基準として、所定距離走行毎の故障発生率を用いてもよい。
【0038】
以上では、本発明を部品評価装置として説明したが、本発明は、部品評価方法として用いることもできる。すなわち、部品評価方法は、コンピュータにより実行される、部品の使用後に、その部品の故障に関する情報を取得する情報取得ステップS1,S10と、情報取得ステップS1,S10で取得された情報に基づいて、時間経過に伴うその部品の故障発生率を算出する故障率算出ステップS2,S11と、故障率算出ステップS2,S11で算出された故障発生率に基づいて、その部品と同種である同種部品の品質を評価する品質評価ステップS12とを含む(図5図6)。
【0039】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施の形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施の形態と変形例の一つあるいは複数を任意に組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 部品評価装置(装置)、11 情報取得部、12 故障率算出部、13 品質評価部、14 情報記憶部、20 情報入力端末、30 通信網、100 部品評価システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6