(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176331
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】印刷ジョブ管理プログラム、印刷ジョブ管理システム及び印刷ジョブ管理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G06F3/12 375
G06F3/12 304
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094795
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】峰村 太輔
(57)【要約】
【課題】印刷ジョブの各工程において、作業が実行可能な状態で待機しているジョブ及びジョブの着手順を作業者が正確に把握できるようにする。
【解決手段】管理サーバーの制御部は、現在の工程の作業完了が入力された印刷ジョブについて、次の工程名と次の工程が作業実行可能であることを作業者端末又は管理者端末のジョブ管理画面のリスト上に表示する。その際、制御部は、予め登録された着手順規則に基づいて、次の工程において作業実行可能な印刷ジョブの表示の並び替えを実行する。そして、制御部は、並び替えた順でジョブ管理画面のリストを表示させる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターに、受注した印刷物に関する印刷ジョブの管理を実行させるための印刷ジョブ管理プログラムであって、
前記コンピューターに、
管理対象の複数の印刷ジョブを、各印刷ジョブの現在の工程を含んでリスト形式で表示部に表示する第1ステップと、
現在の工程の作業完了が入力された印刷ジョブについて、次の工程名と前記次の工程が作業実行可能であることを前記表示部に表示されたリスト上に表示する第2ステップと、
予め登録された印刷ジョブ着手順規則に基づいて、前記次の工程において作業実行可能な印刷ジョブの表示の並び替えを実行する第3ステップと、
を実行させる、印刷ジョブ管理プログラム。
【請求項2】
前記第2ステップは、
前記現在の工程の作業完了が入力された印刷ジョブによって制作される印刷物の種類を識別し、前記識別された種類に基づいて前記印刷ジョブの次の工程を特定し、当該印刷ジョブの次の工程名と前記次の工程が作業実行可能であることを前記表示部に表示されたリスト上に表示する、請求項1に記載の印刷ジョブ管理プログラム。
【請求項3】
前記印刷ジョブ着手順規則は、複数の条件の組み合わせから構成されている、請求項1に記載の印刷ジョブ管理プログラム。
【請求項4】
前記印刷ジョブ着手順規則は、作業者の経験又は能力を表す属性に応じて異なる規則が定められており、
前記第3ステップは、
前記リストを参照する作業者の属性に応じた前記印刷ジョブ着手順規則に基づいて、前記次の工程において作業実行可能な印刷ジョブの表示の並び替えを実行する、請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷ジョブ管理プログラム。
【請求項5】
前記第2ステップは、
前記現在の工程の作業完了が入力された印刷ジョブが、他の印刷ジョブと親子関係を有するジョブであって子に相当するジョブであるか否かを判断し、子に相当するジョブであると判断した場合、前記他の印刷ジョブの所定の制作工程が完了した後に、前記印刷ジョブの次の工程名と前記次の工程が作業実行可能であることを前記表示部に表示されたリスト上に表示する、請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷ジョブ管理プログラム。
【請求項6】
受注した印刷物に関する印刷ジョブを管理するサーバーと、前記サーバーと接続される端末装置と、を備える印刷ジョブ管理システムであって、
前記サーバーは、
管理対象の複数の印刷ジョブを、各印刷ジョブの現在の工程を含んでリスト形式で前記端末装置に表示させ、
前記端末装置から、或る印刷ジョブについて現在の工程の作業完了が入力されると、前記印刷ジョブの次の工程名と前記次の工程が作業実行可能であることを前記端末装置に表示されたリスト上に表示させ、
予め登録された印刷ジョブ着手順規則に基づいて、前記次の工程において作業実行可能な印刷ジョブの表示の並び替えを実行する、印刷ジョブ管理システム。
【請求項7】
コンピューターに、受注した印刷物に関する印刷ジョブの管理を実行させるための印刷ジョブ管理方法であって、
前記コンピューターに、
管理対象の複数の印刷ジョブを、各印刷ジョブの現在の工程を含んでリスト形式で表示部に表示する第1ステップと、
現在の工程の作業完了が入力された印刷ジョブについて、次の工程名と前記次の工程が作業実行可能であることを前記表示部に表示されたリスト上に表示する第2ステップと、
予め登録された印刷ジョブ着手順規則に基づいて、前記次の工程において作業実行可能な印刷ジョブの表示の並び替えを実行する第3ステップと、
を実行させる、印刷ジョブ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ジョブ管理プログラム、印刷ジョブ管理システム及び印刷ジョブ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷会社では、一般的には「ホワイトボード」や「紙に出力した表」などを使って各印刷ジョブの状況を可視化し、進捗及び作業者の管理を行っている。しかし、情報の正確性やタイムリー性に問題があり、作業ミスが起こりやすい。
【0003】
そこで、印刷会社における作業者の作業ミスを抑えるための各種技術が提案されている。例えば、特許文献1には、印刷ジョブに係る工程(制作工程)の処理開始に関する通知に応じて、印刷物を何処から何処へ移動させるかを操作者に通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、各工程において、作業が実行可能な状態で待機しているジョブやどのジョブから着手すべきか(着手順)を作業者が正確に把握することは難しい。
【0006】
本発明の課題は、印刷ジョブの各工程において、作業が実行可能な状態で待機しているジョブ及びジョブの着手順を作業者が正確に把握できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の印刷ジョブ管理プログラムは、
コンピューターに、受注した印刷物に関する印刷ジョブの管理を実行させるための印刷ジョブ管理プログラムであって、
前記コンピューターに、
管理対象の複数の印刷ジョブを、各印刷ジョブの現在の工程を含んでリスト形式で表示部に表示する第1ステップと、
現在の工程の作業完了が入力された印刷ジョブについて、次の工程名と前記次の工程が作業実行可能であることを前記表示部に表示されたリスト上に表示する第2ステップと、
予め登録された印刷ジョブ着手順規則に基づいて、前記次の工程において作業実行可能な印刷ジョブの表示の並び替えを実行する第3ステップと、
を実行させる。
【0008】
本発明の印刷ジョブ管理システムは、
受注した印刷物に関する印刷ジョブを管理するサーバーと、前記サーバーと接続される端末装置と、を備える印刷ジョブ管理システムであって、
前記サーバーは、
管理対象の複数の印刷ジョブを、各印刷ジョブの現在の工程を含んでリスト形式で前記端末装置に表示させ、
前記端末装置から、或る印刷ジョブについて現在の工程の作業完了が入力されると、前記印刷ジョブの次の工程名と前記次の工程が作業実行可能であることを前記端末装置に表示されたリスト上に表示させ、
予め登録された印刷ジョブ着手順規則に基づいて、前記次の工程において作業実行可能な印刷ジョブの表示の並び替えを実行する。
【0009】
本発明の印刷ジョブ管理方法は、
コンピューターに、受注した印刷物に関する印刷ジョブの管理を実行させるための印刷ジョブ管理方法であって、
前記コンピューターに、
管理対象の複数の印刷ジョブを、各印刷ジョブの現在の工程を含んでリスト形式で表示部に表示する第1ステップと、
現在の工程の作業完了が入力された印刷ジョブについて、次の工程名と前記次の工程が作業実行可能であることを前記表示部に表示されたリスト上に表示する第2ステップと、
予め登録された印刷ジョブ着手順規則に基づいて、前記次の工程において作業実行可能な印刷ジョブの表示の並び替えを実行する第3ステップと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷ジョブの各工程において、作業が実行可能な状態で待機しているジョブ及びジョブの着手順をオペレーターが正確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】印刷ジョブ管理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】管理サーバーの機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】受注情報DBのデータ格納例を示す図である。
【
図4】進捗実績DBのデータ格納例を示す図である。
【
図5】着手順規則DBのデータ格納例を示す図である。
【
図8A】ジョブ管理画面(全工程)の一例を示す図である。
【
図8B】ジョブ管理画面(担当工程)の一例を示す図である。
【
図9】モバイル版のジョブ管理画面の一例を示す図である。
【
図10】
図2の制御部により実行される受注情報登録処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図2の制御部により実行される表示更新処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図2の制御部により実行される作業工程管理処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】(a)は、ジョブの種類がカタログの場合の作業工程管理処理による進捗情報の変化の一例を示す図である。(b)は、(a)の進捗の変化に伴うジョブ管理画面の表示の変化の一例を示す図である。
【
図14】(a)は、ジョブの種類が折り込みチラシの場合の作業工程管理処理による進捗情報の変化の一例を示す図である。(b)は、(a)の進捗の変化に伴うジョブ管理画面の表示の変化の一例を示す図である。
【
図15】(a)は、ジョブの種類がカタログ、着手順規則が「納期の早い順」-「残り工程数の多い順」の場合の作業工程管理処理による進捗情報の変化の一例を示す図である。(b)は、(a)の進捗の変化に伴うジョブ管理画面の表示の変化の一例を示す図である。
【
図16】(a)は、ジョブの種類がカタログのジョブについて、校正のステータスが完了に変更された場合の、ベテランの作業者に対するジョブ管理画面の表示を示す図である。(b)は、ジョブの種類がカタログであるジョブについて、校正のステータスが完了に変更された場合の、新人の作業者に対するジョブ管理画面の表示を示す図である。
【
図17】(a)は、親ジョブが検品中である場合の、全工程のジョブ管理画面の表示を示す図である。(b)は、親ジョブの検品の完了が入力された場合の全工程のジョブ管理画面の表示を示す図である。
【
図18】配送会社別の進捗画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
[印刷ジョブ管理システムの構成]
図1は、本実施形態における印刷ジョブ管理システム100の全体構成例を示す図である。印刷ジョブ管理システム100は、印刷会社、特にオンデマンド印刷を主に取り扱う印刷会社に設置されるシステムである。印刷ジョブ管理システム100は、
図1に示すように、管理サーバー1、受注端末2、作業者端末3、及び管理者端末4を備えて構成されている。受注端末2、作業者端末3及び管理者端末4は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNを介して管理サーバー1に接続可能である。なお、各端末装置の台数は、特に限定されない。
【0014】
管理サーバー1は、受注した印刷物に関するジョブ(印刷ジョブ)を管理する。
図2に示すように、管理サーバー1は、制御部11、記憶部12、通信部13等を備えている。
【0015】
制御部11は、少なくとも一つのCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成される。制御部11のCPUは、記憶部12に記憶されているシステムプログラムや印刷ジョブ管理プログラム121を読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとの協働で後述する作業工程管理処理を始めとする各種処理を実行する。
【0016】
記憶部12は、不揮発性の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等により構成される。
記憶部12には、管理サーバー1のシステムプログラムや印刷ジョブ管理プログラム121を始めとする各種処理プログラム、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。
【0017】
また、記憶部12には、受注情報DB(Data Base)122が設けられている。受注情報DB122には、
図3に示すように、受注した印刷物に関するジョブの、ジョブ識別情報、顧客情報、制作仕様情報、親子関係規則等が対応付けられて受注情報として記憶される。
【0018】
ジョブ識別情報は、印刷会社が受注した印刷物に関するジョブを管理するための情報であり、ジョブID及び枝番の項目を有する。ジョブIDは、受注した印刷物に関するジョブを管理するためにジョブに割り当てられたID情報である。枝番は、受注したジョブが親子関係のある複数のジョブから構成されている場合に、複数のジョブのそれぞれに付与される識別番号である。本実施形態では、親ジョブに最も小さい番号が割り当てられる。親子関係のあるジョブとは、少なくとも発注者(顧客)が同じであり、実行する順番やタイミングが関連付けられているジョブである。本実施形態では、親子関係のあるジョブは、親ジョブが或る工程Aを完了してからでないと子ジョブは或る工程Bを実行できないという、子ジョブに停止条件を有するジョブであることとして説明する。
【0019】
顧客情報は、顧客名、納品方法、納期等の項目の情報を有する。顧客名は、受注した印刷物の発注者の名称である。納品方法は、受注した印刷物の納品方法を示す情報である。本実施形態では、納品方法は、納品に用いる配送会社名で記載される。納期は、受注した印刷物の納期を示す情報である。
【0020】
制作仕様情報は、受注した印刷物の制作仕様を示す情報であり、例えば、ジョブ種類1、ジョブ種類2、仕上がりサイズ、紙種、工程等の項目の情報を有する。ジョブ種類1は、例えば、カタログ、折り込みチラシ、ペラ等の、ジョブによって制作される印刷物の種類を示す情報である。ジョブ種類2は、例えば、ジョブにより制作する印刷物が見本か量産かを示す情報である。工程は、受注した印刷物を制作するために必要な制作工程である。工程としては、例えば、DTP→校正→印刷→製本→加工→検品→梱包等が挙げられる。なお、制作仕様情報には、その他、印刷枚数、品名等が含まれていてもよい。
【0021】
親子関係規則は、親子関係を有するジョブに適用される規則を示す情報である。本実施形態において、親子関係規則では、子ジョブの停止条件を有する工程と、子ジョブの停止条件の解除条件となる親ジョブの工程とが定められている。例えば、
図3に示す「[子]印刷 - [親]検品・完了」は、親ジョブの検品工程が完了するまで子ジョブの印刷工程は開始しないことを示す。
【0022】
また、記憶部12には、進捗実績DB123が設けられている。進捗実績DB123には、
図4に示すように、受注登録された各ジョブのジョブ識別情報及び進捗情報が対応付けて記憶される。
ジョブ識別情報は、上述のようにジョブID及び枝番等の項目の情報を有する。
進捗情報は、担当者、使用プリンター、工程、ステータス、更新者、更新日時、登録日時等の項目の情報を有する。工程は、そのジョブの現在の工程を示す情報である。ステータスは、現在の工程のステータスを示す情報である。ステータスとしては、例えば、作業待ち、仕掛り中、完了等が挙げられる。
【0023】
また、記憶部12には、着手順規則DB124が設けられている。着手順規則DB124には、管理者により登録された着手順規則(印刷ジョブ着手順規則)が記憶される。着手順規則DB124には、
図5に示すように、NO.、対象者及び着手順規則情報が対応付けて記憶される。
NO.は、規則を識別するための番号(規則1、規則2、規則3・・・)である。
対象者は、その規則が適用される対象者の属性を示す情報であり、例えば、全員、ベテラン、新人等が挙げられる。
着手順規則情報は、一つの工程に複数のジョブが作業待ちとなっている場合の着手順の規則を示す情報である。着手順規則情報は、例えば条件-1、条件-2、条件-3、条件-4、条件-5…の項目の情報を有する。条件-1~条件-5は、着手順規則を構成する着手順並び替え条件である。条件-1、又は条件-1~条件-5の2以上の組み合わせが、着手順規則となる。着手順並び替え条件としては、例えば、納期の早い順、残り工程数の多い順、工程に到達した順等が挙げられる。
【0024】
また、記憶部12には、作業者DB125が設けられている。作業者DB125には、
図6に示すように、作業者ID、作業者名、担当工程、属性、適用規則等の作業者情報が記憶される。作業者IDは、作業者の識別情報である。担当工程は、その作業者が担当可能な工程を示す情報である。属性は、その作業者がベテランであるか、新人であるか、その他であるかを示す情報である。適用規則は、その作業者の属性に適用される着手順規則のNO.の情報である。作業者情報は、例えば
図7に示す作業者設定画面60から管理者により設定、変更が可能である。
【0025】
また、記憶部12には、管理DB126が設けられている。管理DB126は、ジョブID、枝番、顧客名、納品方法、納期、印刷枚数、使用プリンター、工程、ステータス、担当者等の項目を含むジョブ管理情報が記憶される。ジョブ管理情報には、ジョブ管理画面50(
図8A参照)に表示される項目の情報が含まれる。ジョブ管理情報には、品名や印刷枚数等の他の項目の情報が含まれていてもよい。ジョブ管理情報における工程、ステータス、担当者は、それぞれジョブの現在の工程、ステータス及び担当者である。
【0026】
その他、記憶部12には、印刷ジョブ管理システム100に登録されているユーザー(管理者、作業者、受付者)のログイン情報(ユーザーID及びパスワード等)、ユーザー名、管理者権限の有無等が記憶されている。ユーザーIDは、作業者IDや管理者IDとして使用される。
【0027】
通信部13は、有線又は無線により通信ネットワークNを介して受注端末2、作業者端末3及び管理者端末4と通信を行うための通信制御を行う。
【0028】
受注端末2は、発注者からの受注情報を管理サーバー1に登録するための端末装置である。例えば、受注端末2は、発注者から受注した印刷物に関する、
図3に示す受注情報DB122の各項目の情報の入力を受け付け、入力された受注情報を管理サーバー1に送信する。受注端末2としては、例えば、タブレット端末、PC(Personal Computer)、スマートフォン等が適用できる。
【0029】
作業者端末3は、ジョブの各工程の作業を行う作業者が、受注した印刷物に関するジョブについての情報や進捗状況を確認したり、ジョブの進捗情報を入力したりするための端末装置(表示部)である。作業者端末3としては、例えば、タブレット端末、PC(Personal Computer)、スマートフォン等が適用できる。
【0030】
管理者端末4は、ジョブを管理する管理者が、受注した印刷物に関するジョブについての情報や進捗状況を確認したり、作業者情報又は着手順規則を登録したりするための端末装置(表示部)である。管理者端末4としては、例えば、タブレット端末、PC(Personal Computer)、スマートフォン等が適用できる。
【0031】
[印刷ジョブ管理システムの動作]
次に、本実施形態における印刷ジョブ管理システム100の動作について説明する。
管理サーバー1の制御部11は、印刷ジョブ管理プログラム121との協働により、以下の処理を実行する。
管理サーバー1の制御部11は、通信部13を介して受注端末2、作業者端末3又は管理者端末4からログイン要求を受信すると、ログイン認証を行う。制御部11は、ログイン中の端末装置の端末ID、ログインユーザーのID(作業者ID、管理者ID等)をRAM又は記憶部12等に記憶して管理する。
【0032】
また、制御部11は、通信部13を介して作業者端末3又は管理者端末4からジョブ管理画面50の表示要求を受信すると、管理DB126に記憶されているジョブ管理情報に基づくジョブ管理画面50を表示要求の送信元の端末装置に表示させる。ジョブ管理画面50は、管理対象の複数のジョブを、各ジョブの現在の工程を含んでリスト形式で表示する画面である。
例えば、作業者端末3及び管理者端末4には、Webブラウザが搭載され、当該Webブラウザにより管理サーバー1にジョブ管理画面50の表示要求を行う。管理サーバー1には、ジョブ管理用のWebアプリである印刷ジョブ管理プログラム121が搭載され、作業者端末3及び管理者端末4のWebブラウザからの要求に基づいて、それぞれの表示部にジョブ管理画面50を表示させる。
【0033】
図8A、
図8Bは、ジョブ管理画面50の例を示す図である。
図8Aは、全工程のジョブ管理情報がリスト表示されたジョブ管理画面50の表示例である。
図8Bは、ジョブ管理画面50の表示要求をした端末装置のログインユーザーが担当可能な工程(担当工程)のジョブ管理情報がリスト形式で表示されたジョブ管理画面50の表示例である。
【0034】
ジョブ管理画面50には、切替ボタン50aが設けられている。切替ボタン50aは、表示対象を全工程又は担当工程に切り替えるためのボタンである。全工程の表示時においては、切替ボタン50aには「全工程」と表示されている。この状態で切替ボタン50aが押下されると、ジョブ管理画面50の表示が担当工程の表示に切り替えられる。担当工程の表示時においては、切替ボタン50aには「担当工程」と表示されている。この状態で切替ボタン50aが押下されると、ジョブ管理画面50の表示が全工程の表示に切り替えられる。
例えば、作業者は、現在の工程が自分の担当工程のジョブ管理情報をリスト表示することで、担当工程のジョブの進捗状況を把握することができる。管理者は、全工程のジョブ管理情報をリスト表示することで、受注した印刷物に関する各ジョブの進捗状況を把握することができる。また、全体の進捗状況を俯瞰することができる。
【0035】
なお、ジョブ管理画面50の表示要求の送信元の端末装置がスマートフォン等のモバイル端末である場合は、
図9に示すように、モバイル版のジョブ管理画面50を表示させることとしてもよい。
図9に示すジョブ管理画面50では、例えば、ログインユーザーの担当工程のジョブ管理情報のみが表示される。
図9では、一つのジョブ管理情報のみが表示されているが、縦方向にスワイプすることで、他のジョブの情報を表示することが可能である。
【0036】
また、制御部11は、通信部13を介して受注端末2から受注情報が入力(受信)されると、
図10に示す受注情報登録処理を実行する。
【0037】
受注情報登録処理において、まず、制御部11は、受注情報DB122にレコードを追加し、入力された受注情報を受注情報DB122に登録する(ステップS1)。
【0038】
次いで、制御部11は、進捗実績DB123にレコードを追加し、入力された受注情報に対応するジョブの進捗情報を進捗実績DB123に登録する(ステップS2)。
例えば、制御部11は、進捗実績DB123の追加したレコードに、入力された受注情報に対応するジョブ識別情報(ジョブID及び枝番)、担当者、工程、ステータス、登録日時等を登録する。工程には、最初の工程(例えば、DTP)が登録される。ステータスには、例えば「作業待ち」が登録される。「作業待ち」は、その工程の作業が実行可能であることを示す情報である。
【0039】
次いで、制御部11は、管理DB126にレコードを追加し、入力された受注情報に対応するジョブ管理情報を管理DB126に登録する(ステップS3)。例えば、制御部11は、管理DB126の追加したレコードに、入力された受注情報に対応するジョブのジョブID、枝番、顧客名、納品方法、納期、印刷枚数、ジョブ種類、工程、ステータス、等のジョブ管理情報を登録する。工程には、最初の工程(例えば、DTP)が登録される。ステータスには、例えば「作業待ち」が登録される。
【0040】
そして、制御部11は、
図11に示す表示更新処理を実行し(ステップS4)、受注情報登録処理を終了する。ここで、表示更新処理は、ジョブ管理画面50の表示を更新する処理である。
【0041】
以下、
図11を参照して表示更新処理について説明する。
表示更新処理において、まず、制御部11は、変数nに1を設定する(ステップT1)。
【0042】
次いで、制御部11は、現在ジョブ管理画面50を表示中の端末装置のうち、n番目の端末装置が担当工程のジョブ管理画面50を表示中であるか否かを判断する(ステップT2)。
n番目の端末装置が担当工程のジョブ管理画面50を表示中であると判断した場合(ステップT2;YES)、制御部11は、n番目の端末装置で表示されている担当工程を特定する(ステップT3)。
例えば、制御部11は、n番目の端末装置のログインユーザーの作業者IDと作業者DB125に基づいて、表示されている担当工程を特定する。
【0043】
次いで、制御部11は、管理DB126から、「工程」の項目が特定した担当工程と一致するジョブ管理情報を抽出する(ステップT4)。これにより、現在の工程が担当工程と一致するジョブ管理情報が抽出される。
次いで、制御部11は、抽出したジョブ管理情報をログインユーザーの属性に応じた着手順規則で並び替える(ステップT5)。
具体的に、制御部11は、抽出したジョブ管理情報にステータスが「作業待ち」のものがある場合、作業者DB125及び着手順規則DB124を参照し、その工程の「作業待ち」のジョブ管理情報をログインユーザーの属性に適用される着手順規則で並び替える。
そして、制御部11は、n番目の端末装置に、並び替え後のジョブ管理画面50を表示させ(ステップT7)、ステップT8に移行する。
【0044】
一方、n番目の端末装置が担当工程のジョブ管理画面50を表示中ではないと判断した場合(ステップT2;NO)、制御部11は、管理DB126に記憶されているジョブ管理情報をログインユーザーの属性に応じた着手順規則で並び替える(ステップT6)。具体的に、制御部11は、管理者DB126にステータスが「作業待ち」のジョブ管理情報が存在する場合、作業者DB125及び着手順規則DB124を参照し、「作業待ち」が存在するジョブ管理情報を、工程ごとにログインユーザーの属性に応じた着手順規則で並び替える。なお、制御部11は、作業者情報が作業者DB125に登録されていない管理者等については、全員に適用される着手順規則で並び替える。
そして、制御部11は、n番目の端末装置に、並び替え後のジョブ管理画面50を表示させ(ステップT7)、ステップT8に移行する。
なお、ジョブ管理画面50に表示するジョブ管理情報は、制作対象のジョブ、例えば、まだ最終工程である梱包工程のステータスが完了となっていないジョブの情報に限定することとしてもよい。
【0045】
ステップT8において、制御部11は、変数nが現在ジョブ管理画面50を表示中の端末装置の数を超えているか否かを判断する(ステップT8)。
変数nが現在ジョブ管理画面50を表示中の端末装置の数を超えていないと判断した場合(ステップT8;NO)、制御部11は、変数nをインクリメントする(ステップT9)。そして、制御部11は、ステップT2に戻る。
変数nが現在ジョブ管理画面50を表示中の端末装置の数を超えていると判断した場合(ステップT8;YES)、制御部11は、表示更新処理を終了する。
【0046】
表示更新処理が終了すると、制御部11は、受注情報登録処理を終了する。
【0047】
また、制御部11は、通信部13を介して作業者端末3からステータス変更情報が入力(受信)されると、
図12に示す作業工程管理処理を実行する。
【0048】
ここで、作業者は、或るジョブについての担当工程の進捗状況が変化すると、作業者端末3のジョブ管理画面50からステータスの変更を入力する。例えば、作業者端末3において、ジョブ管理画面50から変更対象のジョブの行のステータスの部分が選択(タップ)されると、ステータスの選択肢がプルダウンメニューとして表示される。表示されたプルダウンメニューから変更先のステータスが選択されると、選択されたステータスが、ジョブ管理情報のジョブID、枝番、工程及び入力者の作業者IDに対応付けてステータス変更情報として管理サーバー1に送信される。
【0049】
なお、本実施形態では、ジョブ管理画面50から上記手法によりステータスの変更を入力することとするが、ステータス変更の入力方法はこれに限定されない。例えば、ジョブを特定可能な情報を表すQRコード(登録商標)等を作業者端末3にて読み取ることで、自動的に次のステータスに変更されることとしてもよい。または、管理サーバー1が印刷機等の作業用の機器に接続され、作業用の機器から作業実行情報を自動取得することにより、自動的にステータスを変更することとしてもよい。
【0050】
作業工程管理処理において、まず、制御部11は、入力されたステータス変更情報に基づいて、進捗実績DB123における、ステータスの変更が入力されたジョブの進捗情報を更新する(ステップS11)。
次いで、制御部11は、入力されたステータス変更情報に基づいて、管理DB126における、ステータスの変更が入力されたジョブのジョブ管理情報を更新する(ステップS12)。
次いで、制御部11は、表示更新処理を実行する(ステップS13)。
ステップS13において実行される表示更新処理は、
図10のステップS4において説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0051】
次いで、制御部11は、入力されたステータス変更情報に基づいて、ステータスが完了に変更されたか否かを判断する(ステップS14)。
ステータスが完了に変更されていないと判断した場合(ステップS14;NO)、制御部11は、作業工程管理処理を終了する。
【0052】
ステータスが完了に変更されたと判断した場合(ステップS14;YES)、制御部11は、ステータスが変更されたジョブが親子関係の子ジョブであるか否かを判断する(ステップ15)。
ステータスが変更されたジョブが親子関係の子ジョブではないと判断した場合(ステップ15;NO)、制御部11は、ステップS20に移行する。
【0053】
ステータスが変更されたジョブが親子関係の子ジョブであると判断した場合(ステップ15;YES)、制御部11は、その子ジョブについて、親子関係規則で定められた停止条件を有する工程の直前の工程が完了したか否かを判断する(ステップS16)。
その子ジョブについて、停止条件を有する工程の直前の工程が完了していないと判断した場合(ステップS16;NO)、制御部11は、ステップS20に移行する。
【0054】
その子ジョブについて、停止条件を有する工程の直前の工程が完了したと判断した場合(ステップS16;YES)、制御部11は、親ジョブの進捗が子ジョブの停止条件の解除条件に一致するか否かを判断する(ステップS17)。
親ジョブの進捗が子ジョブの停止条件の解除条件に一致していないと判断した場合(ステップS17;NO)、制御部11は、進捗実績DB123における子ジョブの進捗情報の「工程」を次工程に、ステータスを「着手不可」に更新する(ステップS18)。また、制御部11は、管理DB126における子ジョブのジョブ管理情報の「工程」を次工程に、ステータスを「着手不可」に更新する(ステップS19)。そして、制御部11は、ステップS17に戻る。すなわち、親ジョブの進捗が子の停止条件の解除条件に一致していない場合は、次の工程には進まないように制御することができる。
【0055】
親ジョブの進捗が子ジョブの停止条件の解除条件に一致していると判断した場合(ステップS17;YES)、制御部11は、ステップS21に移行する。
【0056】
ステップS20において、制御部11は、ステータス変更が入力されたジョブの種類に基づいて、当該ジョブの次工程を特定する(ステップS20)。
ここで、印刷物の制作は、ジョブの種類によって工程数や手順も様々である。管理者にとっては、工程フローの管理は複雑である。そこで、本実施形態において、制御部11は、ジョブの種類に基づいて、完了した工程の次工程を自動的に特定する。例えば、制御部11は、受注情報DB122の当該ジョブの受注情報の「ジョブの種類」に基づいて、ジョブの種類を特定する。そして、制御部11は、ジョブの種類に基づいて、当該ジョブの次工程を特定する。
【0057】
例えば、ジョブの種類がカタログである場合、工程は以下の通りとなる。
DTP→校正→印刷→製本→加工→検品→梱包
例えば、ジョブの種類が折り込みチラシである場合、工程は以下の通りとなる。
DTP→校正→印刷→検品→梱包
すなわち、ジョブの種類がカタログのほうが折り込みチラシよりも工程数が多い。
ジョブの種類と工程の対応関係は、記憶部12に記憶されている。
【0058】
次いで、制御部11は、進捗実績DB123における当該ジョブの進捗情報の「工程」を次工程に、ステータスを「作業待ち」に更新する(ステップS21)。また、制御部11は、管理DB126における当該ジョブのジョブ管理情報の「工程」を次工程に、ステータスを「作業待ち」に更新する(ステップS22)。そして、制御部11は、表示更新処理を実行し(ステップS23)、作業工程管理処理を終了する。
ステップS23において実行される表示更新処理は、
図10のステップS4において説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0059】
ここで、或るジョブの或る工程についてのステータスが完了に変更されると、
図12のステップS18又はステップS20において自動的に次工程(次の工程)が特定される。そして、ステップS23における表示更新処理において、ジョブ管理画面50の当該ジョブのジョブ管理情報の「工程」に次の工程が表示され、「ステータス」に、着手可能であることを示す「作業待ち」が表示される。このとき、「工程」及び「ステータス」が当該ジョブと同じジョブ管理情報が管理DB126から抽出され、抽出されたジョブ管理情報が予め定められた着手順規則で並べ替えて表示される。すなわち、次工程の「作業待ち」のジョブ管理情報が、着手順規則DB124に記憶されている、予め定められた着手順規則で並べ替えて表示される。
【0060】
図13~
図17は、上記作業工程管理処理によるジョブ管理画面50の表示の変化を示す図である。なお、
図13~
図17においては、変化がわかりやすいように、図示する項目を制限している。
【0061】
図13(a)は、ジョブの種類がカタログであるジョブCについて、10:00:00に印刷のステータスが仕掛り中に変更され、10:05:00に印刷のステータスが完了に変更された場合の、進捗実績DB123の変化を示す図である。
図13(b)は、
図13(a)に示すジョブCの進捗の変化に伴うジョブ管理画面50(担当工程)の表示の変化を示す図である。ここで、適用される着手順規則は、「納期の早い順」とする。
ジョブCについて、10:00:00に印刷が仕掛かり中となり、10:05:00に印刷が完了となると、
図13(a)に示すように、10:05:01には、自動的にジョブCの進捗が次工程の製本の作業待ちとして進捗実績DB123に登録される。製本工程のジョブ管理画面50においては、
図13(b)に示すように、10:00:00の時点ではジョブCは印刷の仕掛り中であるので、ジョブCについての表示はない。10:05:01にジョブCの進捗が製本の作業待ちに変更されると、製本工程のジョブ管理画面50には、ジョブCが製本の作業待ちとして表示される。ここで、適用される着手順規則は「納期の早い順」であるため、ジョブCは、すでに作業待ちとなっていたジョブBよりも上に表示される。
【0062】
図14(a)は、ジョブの種類が折り込みチラシであるジョブDについて、10:00:00に印刷のステータスが仕掛り中に変更され、10:05:00に印刷のステータスが完了に変更された場合の、進捗実績DB123の変化を示す図である。
図14(b)は、
図14(a)に示すジョブDの進捗の変化に伴うジョブ管理画面50(検品工程)の表示の変化を示している。ここで、適用される着手順規則は、「納期の早い順」とする。
ジョブDについて、10:00:00に印刷が仕掛り中となり、10:05:00に印刷が完了となると、
図14(a)に示すように、10:05:01には、自動的にジョブDの進捗が次工程の検品の作業待ちとして進捗実績DB123に登録される。検品工程のジョブ管理画面50においては、
図14(b)に示すように、10:00:00の時点ではジョブDは印刷の仕掛り中であるので、ジョブDについての表示はない。10:05:01にジョブDの進捗が検品の作業待ちに変更されると、検品工程のジョブ管理画面50には、ジョブDが検品の作業待ちとして表示される。ここで、適用される着手順規則は「納期の早い順」であるため、ジョブDは、すでに作業待ちとなっていたジョブBよりも上に表示される。
【0063】
このように、上記作業工程管理処理では、作業者により或る工程の作業完了が入力されると、ジョブ管理画面50に、自動的に、ジョブの種類に応じて予め定められた次工程が作業待ち(作業実行可能)であることが表示される。例えば、ジョブの種類がカタログであれば、印刷の完了後に製本が作業待ちとなる。ジョブの種類が折り込みチラシであれば、印刷の完了後に検品が作業待ちとなる。よって、次工程の作業者は、実行可能な状態で待機しているジョブを正確に把握できる。また、作業待ちのジョブは、予め定められた着手順規則に基づいて並び替えて表示されるので、次工程の作業者は、ジョブの着手順を正確に把握できる。
【0064】
図15(a)は、ジョブの種類がカタログであるジョブCについて、10:05:00に校正のステータスが完了に変更された場合の、進捗実績DB123の変化を示す図である。
図15(b)は、
図15(a)に示すジョブCの進捗の変化に伴うジョブ管理画面50(印刷工程)の表示の変化を示している。ここで、適用される着手順規則は、「納期の早い順」-「残り工程数の多い順」とする。
ジョブCについて、10:05:00に校正が完了となると、
図15(a)に示すように、10:05:01には、自動的に、ジョブCの進捗が次工程である印刷の作業待ちとして進捗実績DB123に登録される。印刷工程のジョブ管理画面50においては、
図15(b)に示すように、10:00:00の時点ではジョブCは校正の仕掛り中であるので、ジョブCについての表示はない。10:05:01にジョブCの進捗が印刷の作業待ちに変更されると、印刷工程のジョブ管理画面50には、ジョブCが印刷の作業待ちとして表示される。ここで、適用される着手順規則は「納期の早い順」-「残り工程数の多い順」である。残り工程数は、カタログの方が折り込みチラシより多い。そのため、カタログを制作するジョブCは、折り込みチラシを制作するジョブDよりも上に表示される。
このように、上記作業工程管理処理では、納期と作業ボリュームなど複数の条件でジョブの着手順を並び替えることができるので、作業者は、複数の条件に合った着手順で作業を進めることができる。
【0065】
図16(a)は、ジョブの種類がカタログであるジョブCについて、校正のステータスが完了に変更された場合の、ベテランの作業者に対するジョブ管理画面50(印刷工程)の表示を示している。
図16(b)は、ジョブの種類がカタログであるジョブCについて、校正のステータスが完了に変更された場合の、新人の作業者に対するジョブ管理画面50(印刷工程)の表示の変化を示している。ここで、適用される着手順規則は、対象者がベテランに対しては「納期の早い順」-「残り工程数の多い順」であり、対象者が新人に対しては「納期の早い順」-「工程に到着した順」であることとする。
図16(a)に示すように、ベテランに対するジョブ管理画面50では、納期が同じジョブCとジョブDの着手順については残り工程数の多いカタログのジョブCが上に表示される。一方、新人に対するジョブ管理画面50では、納期が同じジョブCとジョブDの着手順については印刷工程に到着したのが早いジョブDが上に表示される。新人作業者の場合、ジョブの並び順が頻繁に入れ替わるとジョブの取り違え等のミスが起きるケースがある。そこで、納期が同じジョブについては到着順に表示する規則とすることで、取り違えミスを防止できる。
このように、上記作業工程管理処理では、作業者の経験や能力に応じた最適な順番でジョブを並べて表示することができる。
【0066】
図17(a)は、親子関係のあるジョブA-1(親)とジョブA-2(子)について、ジョブA-1が検品中である場合の、全工程のジョブ管理画面50の表示を示している。
図17(b)は、ジョブA-1の検品の完了が入力された場合の全工程のジョブ管理画面50の表示を示している。ここで、適用される着手順規則は、「納期の早い順」とする。また、ジョブA-1とジョブA-2には、親ジョブの検品が完了するまで子ジョブは印刷を開始できないという親子関係規則が定められている。
図17(a)に示すように、親ジョブであるジョブA-1の検品が完了していない場合、印刷工程にあるジョブA-2は着手不可と表示される。親ジョブの検品が完了し梱包の作業待ちとなると、
図17(b)に示すように、印刷工程にあるジョブA-2は作業待ちとなる。
このように、上記作業工程管理処理では、親子関係規則に従って親子関係のあるジョブの工程を管理し表示するので、作業者は、親子関係規則で定められた手順で親子関係のあるジョブの作業を進めることができる。
【0067】
制御部11は、通信部13を介して作業者端末3又は管理者端末4からジョブ管理画面50の集計ボタン50bが押下されたことが通知されると、通知元の端末装置に、配送会社別の進捗画面51を表示させる。ここでいう配送会社は、印刷物を納品する際に使用する配送会社である。ジョブごとの配送会社は、受注情報DB122の「納品方法」の項目に定められている。
すなわち、制御部11は、集計ボタン50b(
図8A参照)が押下されたことが通知されると、受注情報DB122及び進捗実績DB123等に基づいて集計を行う。具体的に、制御部11は、配送会社ごとに、本日納期のジョブと翌日納期のジョブのそれぞれについての受注数と未完了の数を集計する。ジョブが完了したか否かは、例えば、現在の工程が最終工程である「梱包」でステータスが「完了」となっているか否かで判断できる。また、制御部11は、本日納期のジョブと翌日納期のジョブのそれぞれについて、工程別に未着手の数と作業中の数を集計する。そして、進捗画面51に、配送会社ごとの集計結果を表示する。
【0068】
図18は、配送会社別の進捗画面51の一例を示す図である。
図18に示すように、配送会社別の進捗画面51には、配送会社ごとの進捗を表示するエリアRが設けられている。また、各エリアRには、「合計」ボタン51aと「工程」ボタン51bが設けられている。「合計」ボタン51aが押下されると、そのエリアRに対応する配送会社を使用する本日納期のジョブと翌日納期のジョブのそれぞれについての受注数と未完了の数が表示される。「工程」ボタン51bが押下されると、そのエリアRに対応する配送会社を使用する本日納期のジョブと翌日納期のジョブのそれぞれについて、工程別に未着手の数と作業中の数が表示される。
【0069】
このように、配送会社別の進捗画面51では、配送会社別にジョブの進捗を表示することができる。よって、配送会社が印刷物を集配にくる時間に完了するようにジョブの進捗を管理することが容易となる。
【0070】
以上説明したように、管理サーバー1の制御部11は、現在の工程の作業完了が入力された印刷ジョブについて、次の工程名と次の工程が作業実行可能であることを作業者端末3又は管理者端末4のジョブ管理画面50のリスト上に表示する。その際、制御部11は、予め登録された着手順規則に基づいて、次の工程において作業実行可能な印刷ジョブの表示の並び替えを実行する。そして、制御部11は、並び替えた順でジョブ管理画面50のリストを表示させる。
したがって、印刷ジョブの各工程において、作業が実行可能な状態で待機しているジョブ及びジョブの着手順をオペレーターが正確に把握できる。
【0071】
例えば、制御部11は、現在の工程の作業完了が入力された印刷ジョブによって制作される印刷物の種類を識別し、識別された種類に基づいて印刷ジョブの次の工程を特定する。そして、制御部11は、特定した次の工程名と次の工程が作業実行可能であることを表示部に表示されたリスト上に表示する。
したがって、印刷物の種類によって工程が異なることにより工程フローの管理が複雑になる場合においても、次の工程の作業者は、作業実行可能な印刷ジョブを容易に把握することができる。
【0072】
また、制御部11は、例えば、複数の条件の組み合わせから構成されている着手順規則に基づいて、次の工程において作業実行可能な印刷ジョブの表示の並び替えを実行する。したがって、より効率的な着手順で印刷ジョブを並び替えることができる。
【0073】
また、着手順規則は、作業者の経験又は能力を表す属性に応じて異なる規則が定められている。制御部11は、リストを参照する作業者の属性に応じた着手順規則に基づいて、次の工程において作業実行可能な印刷ジョブの表示の並び替えを実行する。したがって、新人/ベテランといったオペレーターの熟練度を加味した着手順で印刷ジョブのリストを表示することができ、次の制作工程の作業者の作業ミスを抑制できる。
【0074】
また、制御部11は、現在の工程の作業完了が入力された印刷ジョブが、他の印刷ジョブと親子関係を有するジョブであって子に相当するジョブであるか否かを判断する。入力されたジョブが子に相当するジョブであると判断した場合、制御部11は、他の印刷ジョブの所定の工程が完了した後に、当該印刷ジョブの次の工程名と次の工程が作業実行可能であることを表示部に表示されたリスト上に表示する。
したがって、親子関係を有し、親ジョブの所定の工程が終了した後に子ジョブの或る工程を実行する必要がある場合、作業者が工程を管理する必要がなくなり、印刷ジョブの管理効率化ができる。
【0075】
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0076】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0077】
その他、印刷ジョブ管理システムの細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
100 印刷ジョブ管理システム
1 管理サーバー
11 制御部
12 記憶部
121 印刷ジョブ管理プログラム
122 受注情報DB
123 進捗実績DB
124 着手順規則DB
125 作業者DB
126 管理DB
2 受注端末
3 作業者端末
4 管理者端末