(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017634
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
G01H 1/00 20060101AFI20240201BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240201BHJP
【FI】
G01H1/00 G
G01K1/14 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120402
(22)【出願日】2022-07-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【テーマコード(参考)】
2F056
2G064
【Fターム(参考)】
2F056CE10
2G064AA04
2G064AB02
2G064BA02
2G064BA07
2G064BA08
2G064BA21
2G064BD18
(57)【要約】
【課題】高温の計測対象物に固定されながら、高い精度で計測が可能な計測装置を提供する。
【解決手段】計測装置1は、プローブケース100を有するプローブ部10と、本体ケース140を有する本体部14と、U字ボルト11およびナット12,13からなる固定部材とを備える。プローブ部10は、プローブケース100内に収納された振動プローブおよび温度プローブを有する。本体部14は、本体ケース140内に収容された回路基板および電池ユニットを有する。振動プローブおよび温度プローブと回路基板とは信号線で接続されている。プローブケース100は円筒状の形状を有し、Z方向下部の開口が底部材で塞がれている。本体ケース140は、アルミニウム合金から構成されているとともに、プローブケース100のZ方向下方に配設されて底部材に直に固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の計測対象物に固定される計測装置であって、
長尺状の部材であって、一端が前記計測対象物の表面に当接するように配され、他端に振動の強度を計測する振動センサを有する振動プローブと、
長尺状の部材であって、一端が前記計測対象物の表面に当接するように配され、前記計測対象物の表面温度を計測する温度プローブと、
前記振動プローブの前記一端を含む一部と、前記温度プローブの前記一端を含む一部とをそれぞれ外部に露出させた状態で、前記振動センサを含む前記振動プローブの残りの部分と、前記温度プローブの残りの部分とを内方に収容する筒形状のプローブケースと、
前記プローブケースにおける前記振動プローブおよび前記温度プローブのそれぞれの前記一部が突出する側とは反対側の開口を塞ぐ塞口部材と、
前記振動プローブおよび前記温度プローブと信号線で接続された回路基板と、
前記回路基板を収容する本体ケースと、
前記プローブケースを前記計測対象物に固定する固定部材と、
を備え、
前記本体ケースは、金属材料から構成されているとともに、前記塞口部材に直に固定されている、
計測装置。
【請求項2】
前記塞口部材は、前記本体ケースが固定される部分に孔を有し、
前記本体ケースは、前記塞口部材に固定される部分に設けられ、前記塞口部材の孔に連続する孔を有し、
前記振動プローブおよび前記温度プローブと前記回路基板とを接続する前記信号線は、前記塞口部材の孔および前記本体ケースの孔を挿通するように配されている、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記本体ケース内に収容され、前記回路基板に電力を供給する電池ユニットをさらに備え、
前記回路基板および前記電池ユニットのそれぞれは、前記本体ケースの内壁面に対して断熱部材を介して取り付けられている、
請求項1または請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記回路基板は、外部と電波を用いた通信を実行する通信回路部を有し、
前記本体ケースは、
外壁に開けられ、前記電波の通過を許す通信窓と、
当該本体ケース内における前記通信窓が開けられた部分の下方の第1領域と、前記回路基板および前記電池ユニットが収容された第2領域との間を仕切る仕切壁と、
前記第1領域に面する下部の外壁に開けられ、前記通信窓から浸入した水を外部に排水する排水孔と、
を有し、
前記仕切壁は、前記第1領域から前記第2領域への水の移動を規制するように前記本体ケースにおける下部の内壁面との間で水密に形成されているとともに、前記本体ケースにおける上部の内壁面との間に、前記通信回路部と前記通信窓との間で前記電波の通過を許す隙間が空くように形成されている、
請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記仕切壁は、
前記本体ケースにおける前記下部の内壁面から上方に向けて立設された立壁部と、
前記立壁部の上端で連続し、下部から上部へと行くのに従って前記回路基板の上方の一部を覆うように形成された斜壁部と、
を有する、
請求項4に記載の計測装置。
【請求項6】
前記プローブケースは、前記計測対象物に対して下方に垂下した姿勢で固定されており、
前記本体ケースは、前記プローブケースの下方に配設されている、
請求項1または請求項2に記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置に関し、特に蒸気や復水が流れるスチーム配管やスチームトラップ等を計測対象とする計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気が流通する配管設備から復水(ドレン)のみを排出する用途に用いられるスチームトラップが知られている。また、当該スチームトラップやその入り口部分のスチーム配管における振動の強度および表面温度を計測し、それらの相互関係から蒸気漏れの有無を診断することが行われている。このような診断には、スチームトラップ等の振動の強度を計測するための振動プローブと、スチームトラップ等の表面温度を計測するための温度プローブとを備える計測装置が用いられる。
【0003】
ここで、計測装置としては、作業者が携帯する可搬タイプのものと、スチームトラップ等に振動プローブや温度プローブが固定された設置タイプのものとがある。特許文献1には、設置タイプの計測装置が開示されている。特許文献1に開示の計測装置をはじめとする従来技術に係る計測装置について、
図7を用いて説明する。
図7に示すように、従来技術に係る計測装置901は、プローブケース910と、クランプ部911と、ボルト912と、本体ケース913と、接続パイプ914とを備える。
【0004】
プローブケース910の内方には、
図7の拡大部分に示すように、それぞれの先端915a,916aがZ方向下方に突出するように温度プローブ915と振動プローブ916とが収容されている。プローブケース910から下向きに突出した温度プローブ915の先端915aおよび振動プローブ916の先端916aは、スチーム配管950の表面に当接するように配設されている。プローブケース910は、スチーム配管950の上部に配設されており、クランプ部911によりスチーム配管950に取り付けられている。クランプ部911は、ボルト912の締め付けにより、スチーム配管950の外周を締め付けるようにしてスチーム配管950にプローブケース910を固定する。
【0005】
本体ケース913は、樹脂材料により形成されており、接続パイプ914を間に介してプローブケース910の上方に配設されている。本体ケース913の内方には、温度プローブ915により検出されたスチーム配管950の表面950aの温度、および振動プローブ916により検出されたスチーム配管950の振動の強度に関するデータを、中継器やプラントの管理室などに送信する回路基板や電源としての電池ユニット等が収容されている。
【0006】
なお、従来技術に係る計測装置901において、プローブケース910と本体ケース913との間に接続パイプ914が介挿されているのは、樹脂材料からなる本体ケース914がスチーム配管950からの熱で変形や破損するのを抑制するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、
図7に示すような従来技術に係る計測装置901では、高精度に計測を行うことが難しいと考えられる。具体的には、従来技術に係る計測装置901では、プローブケース910と本体ケース913との間に接続パイプ914が介挿されているのであるが、このようにプローブケース910と本体ケース913との間に接続パイプ914が介挿されてなる構造では、プローブケース910と本体ケース913との間に間隔L9が空くこととなる。これより、プローブケース910内に収容された温度プローブ915および振動プローブ916と本体ケース913内に収容された回路基板との間を接続する信号線の長さを長くせざるを得ない。よって、従来技術に係る計測装置では、プローブ915,916と回路基板との間を接続する信号線のインピーダンスが高くなってしまい、ノイズなどの影響が大きくなることで高い計測精度を得ることができなくなると考えられる。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、高温の計測対象物に固定されながら、高い精度で計測が可能な計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る計測装置は、高温の計測対象物に固定される計測装置であって、振動プローブと、温度プローブと、プローブケースと、塞口部材と、回路基板と、本体ケースと、固定部材とを備える。前記振動プローブは、長尺状の部材であって、一端が前記計測対象物の表面に当接するように配され、他端に振動の強度を計測する振動センサを有する。前記温度プローブは、長尺状の部材であって、一端が前記計測対象物の表面に当接するように配され、前記計測対象物の表面温度を計測する。
【0011】
前記プローブケースは、前記振動プローブの前記一端を含む一部と、前記温度プローブの前記一端を含む一部とをそれぞれ外部に露出させた状態で、前記振動センサを含む前記振動プローブの残りの部分と、前記温度プローブの残りの部分とを内方に収容するケースであって、筒形状を有する。
【0012】
前記塞口部材は、前記プローブケースにおける前記振動プローブおよび前記温度プローブのそれぞれの前記一部が突出する側とは反対側の開口を塞ぐ。前記回路基板は、前記振動プローブおよび前記温度プローブと信号線で接続されている。前記本体ケースは、前記回路基板を収容する。前記固定部材は、前記プローブケースを前記計測対象物に固定する。
【0013】
本態様に係る計測装置において、前記本体ケースは、金属材料から構成されているとともに、前記塞口部材に直に固定されている。
【0014】
上記態様に係る計測装置では、本体ケースが塞口部材に直に固定されているため、プローブケースと本体ケースとの間に接続パイプが介挿される場合に比べて、振動プローブや温度プローブと回路基板とを接続する信号線を短くすることができる。このため、上記態様に係る計測装置では、各プローブと回路基板との間でのインピーダンスを低く抑えることができ、低ノイズで高い精度での計測が可能である。
【0015】
また、上記態様に係る計測装置では、本体ケースが金属材料から構成されているので、高温の計測対象物からプローブケースを経由して熱が伝わっても本体ケースが熱により変形や破損するのを抑制することができる。なお、本明細書において「高温」とは、従来の計測装置における本体ケースに使用されていた樹脂材料(例えばABS樹脂)の連続使用温度(略110℃)を超える温度を指す。
【0016】
上記態様に係る計測装置において、前記塞口部材は、前記本体ケースが固定される部分に孔を有し、前記本体ケースは、前記塞口部材に固定される部分に設けられ、前記塞口部材の孔に連続する孔を有し、前記振動プローブおよび前記温度プローブと前記回路基板とを接続する前記信号線は、前記塞口部材の孔および前記本体ケースの孔を挿通するように配されている、としてもよい。
【0017】
上記態様に係る計測装置では、塞口部材および本体ケースのそれぞれに、互いに連続する孔が設けられ、当該孔を挿通して各プローブと回路基板とを接続する信号線が配設されている。このため、プローブケースと本体ケースとの間で信号線を直線的に配することができ、可能な範囲で信号線の長さを短くすることができ、高い精度での計測にさらに好適である。
【0018】
上記態様に係る計測装置において、前記本体ケース内に収容され、前記回路基板に電力を供給する電池ユニットをさらに備え、前記回路基板および前記電池ユニットのそれぞれは、前記本体ケースの内壁面に対して断熱部材を介して取り付けられている、としてもよい。
【0019】
上記態様に係る計測装置では、回路基板および電池ユニットのそれぞれが本体ケースの内壁面に対して断熱部材を介して取り付けられているので、耐熱性の高い回路基板や電池ユニットを用いなくても、計測対象物から伝達される熱で本体ケースが高温になっても回路基板や電池ユニットが熱で損傷するのを抑制することができる。
【0020】
上記態様に係る計測装置において、前記回路基板は、外部と電波を用いた通信を実行する通信回路部を有し、前記本体ケースは、外壁に開けられ、前記電波の通過を許す通信窓と、当該本体ケース内における前記通信窓が開けられた部分の下方の第1領域と、前記回路基板および前記電池ユニットが収容された第2領域との間を仕切る仕切壁と、前記第1領域に面する下部の外壁に開けられ、前記通信窓から浸入した水を外部に排水する排水孔と、を有し、前記仕切壁は、前記第1領域から前記第2領域への水の移動を規制するように前記本体ケースにおける下部の内壁面との間で水密に形成されているとともに、前記本体ケースにおける上部の内壁面との間に、前記通信回路部と前記通信窓との間で前記電波の通過を許す隙間が空くように形成されている、としてもよい。
【0021】
上記態様に係る計測装置では、本体ケースが仕切壁を有し、当該仕切壁によって第1領域と第2領域とが仕切られているので、仮に通信窓を通して水が本体ケース内に浸入した場合にも回路基板が収容される第2領域への水の浸入を抑制することができる。よって、上記態様に係る計測装置では、雨水や結露水による回路基板の損傷を抑制することができる。
【0022】
また、上記態様に係る計測装置では、仕切壁が本体ケースにおける下部の内壁面と水密に形成されているので、仮に水が第1領域に浸入した場合にも、当該水が下部の内壁面を伝って第2領域へと浸入するのを抑制することができる。
【0023】
さらに、上記態様に係る計測装置では、回路基板における通信回路部と通信窓との間で電波の通過を許す隙間が上部の内壁面との間で空くように仕切壁が設けられているので、第2領域への水の浸入を抑制しつつ通信回路部と外部(本体ケースの外部)との間での通信が可能となる。
【0024】
上記態様に係る計測装置において、前記仕切壁は、前記本体ケースにおける前記下部の内壁面から上方に向けて立設された立壁部と、前記立壁部の上端で連続し、下部から上部へと行くのに従って前記回路基板の上方の一部を覆うように形成された斜壁部と、を有する、としてもよい。
【0025】
上記態様に係る計測装置では、仕切壁が上部に斜壁部を有するので、通信窓から水が浸入した場合であっても、当該水が回路基板にかかるのを確実に抑制することができる。
【0026】
上記態様に係る計測装置において、前記プローブケースは、前記計測対象物に対して下方に垂下した姿勢で固定されており、前記本体ケースは、前記プローブケースの下方に配設されている、としてもよい。
【0027】
上記態様に係る計測装置では、プローブケースが計測対象物に対して下方に垂下した姿勢で固定され、本体ケースがプローブケースの下方に位置するように配されているので、仮に風などの影響によりプローブケースが傾いて一時的に振動プローブおよび温度プローブの各一端が計測対象物から離間したとしても、プローブケースやその内方に収容された振動プローブおよび温度プローブ、さらに金属材料から構成された本体ケースおよびその内方に収容された回路基板などの重みにより、プローブケースが元の垂下した姿勢へと復帰することとなる。よって、上記態様に係る計測装置では、風などの影響によりプローブケースに外力が加わっても、作業者による修復作業を行わなくても計測を継続することが可能である。
【発明の効果】
【0028】
上記の各態様に係る計測装置では、高温の計測対象物に固定されながら、高い精度で計測が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態に係る計測装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】プローブ部における蓋部分の構成を示す断面図である。
【
図5】本体部における回路基板および電池ユニットの取付構造を示す断面図である。
【
図6】(a)は本体ケースを上方から見た上面図、(b)は本体ケースの詳細構造を示す断面図である。
【
図7】従来技術に係る計測装置の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0031】
1.計測装置1の概略構成
一実施形態に係る計測装置1の概略構成について、
図1および
図2を用いて説明する。
【0032】
図1に示すように、計測装置1は、プローブ部10と、本体部14と、U字ボルト11およびナット12,13とを備える。なお、U字ボルト11とナット12,13とは、プローブ部10および本体部14を計測対象物であるスチーム配管500に固定するための固定部材である。
【0033】
プローブ部10は、円筒形状のプローブケース100と、ステー101,102とを有する。
図2に示すように、プローブ部10は、その内部空間10a(プローブケース100内)に収容された温度プローブ103および振動プローブ104も有する。さらに、プローブ部10は、プローブケース100のZ方向下側の開口を塞ぐように配設された底部材(塞口部材)107と、プローブケース100のZ方向上側の開口を、温度プローブ103の先端(一端)103aを含む一部と振動プローブ104の先端(一端)104aを含む一部との挿通を許しつつ塞ぐように配設された蓋部材108とを有する。
【0034】
図1に戻って、ステー101とステー102とは、プローブケース100におけるZ方向上部の外周に固定され、互いにY方向の反対側に向けて延びる。ステー101およびステー102のそれぞれには、U字ボルト11のネジ部の挿通を許す通し孔が開けられている。U字ボルト11は、ステー101,102に開けられた通し孔を挿通してZ方向下方にネジ部の一部が位置するように取り付けられ、ナット12,13の螺合により緊結されている。これにより、計測装置1のプローブ部10は、スチーム配管500に対してZ方向下向きに垂下した姿勢で固定されている。
【0035】
本体部14は、本体ケース140と、蓋141と、複数のビス142~145とを有する。本実施形態では、一例として、本体ケース140と蓋141とで直方体形状の箱を構成し、ビス142~145は、本体ケース140と蓋141との接合に用いられる。なお、本体ケース140の内方(内部空間)には、後述する回路基板と電池ユニットとが収容されている。
【0036】
2.プローブ103,104の構成
プローブ部10の内部空間10aに収容された温度プローブ103および振動プローブ104の構成について、
図2を用いて説明する。
【0037】
図2に示すように、プローブ部10は、円筒形状のプローブケース100と、円板形状の底部材107および蓋部材108とによって外殻が構成されている。プローブケース100は、例えば、アルミニウム合金などの金属部材から構成されている。また、底部材107および蓋部材108については、ステンレス鋼などの金属部材から構成されている。底部材107は、プローブケース100におけるZ方向下側の開口を塞ぐように配設され、蓋部材108は、プローブケース100におけるZ方向上側の開口を塞ぐように配設されている。プローブケース100に対する蓋部材108の取付けは、ビス105,106を用いてなされている。
【0038】
温度プローブ103および振動プローブ104は、それぞれが長尺棒状の部材であって、互いにX方向に間隔を空けて配置されている。また、温度プローブ103および振動プローブ104のそれぞれは、プローブ部10の内部空間10aにおいて、プローブケース100の内壁面に当接しないように配置されている。
【0039】
温度プローブ103は、Z方向に延びるように配され、先端(一端)103aを含む一部が蓋部材108に開けられた孔を挿通してZ方向上方に突設するように配されている。そして、温度プローブ103の先端103aは、スチーム配管500の表面500aの内のZ方向下部に直に当接している。温度プローブ103は、スチーム配管500の表面500aの温度を計測し、Z方向下側から延びる信号線103bを通じて本体部14へと計測結果を送出する。なお、後述するが、温度プローブ103は、蓋部材108に固定されることで姿勢が維持されている。
【0040】
振動プローブ104は、Z方向に延びるように配され、先端(一端)104aを含む一部が蓋部材108に開けられた孔を挿通してZ方向上方に突出するように配設されている。そして、振動プローブ104の先端104aは、スチーム配管500の表面500aの内のZ方向下部に直に当接している。なお、温度プローブ103の先端103aと振動プローブ104の先端104aとは、スチーム配管500の管軸Ax500に沿った方向(X方向)に互いに離間した箇所でスチーム配管500の表面500aに直に当接している。
【0041】
振動プローブ104は、長手方向における先端104aとは反対側(Z方向下側)に、断熱部104c、振動センサ104b、および信号線104dを有する。断熱部104cは、先端104aを含む探触棒のZ方向下側に固定され、スチーム配管500から伝達される熱が振動センサ104bに伝わり難くする。振動センサ104bは、断熱部104cに固定された台座部(図示を省略。)に固定されている。振動センサ104bは、圧電素子として圧電型セラミックスが使用された圧電型加速度センサから構成されている。信号線104dは、振動センサ104bから延出され、本体部14へと延びるように配設されており、振動センサ104bでの計測結果を本体部14へと送出する。
【0042】
3.蓋部材108へのプローブ103,104の取付構造
蓋部材108への温度プローブ103および振動プローブ104の取付構造について、
図3を用いて説明する。なお、
図3は、蓋部材108におけるZ方向の中間部分での断面図である。
【0043】
図3に示すように、蓋部材108は、Z方向(
図3の紙面に直交する方向)からの平面視で、略円板形状を有する。蓋部材108の外周は、プローブケース100に内周に隙間なく当接するように填め込まれている。
【0044】
蓋部材108には、4つのネジ孔108c,108d,108f,108gが設けられている。また、蓋部材108には、温度プローブ103の挿通を許す貫通孔108aと、振動プローブ104の挿通を許す貫通孔108bとが設けられている。ネジ孔108c,108fは、貫通孔108aに連続し、ネジ孔108d,108gは、貫通孔108bに連続する。
【0045】
また、プローブケース100には、通し孔100a,100bが設けられている。プローブケース100の通し孔100aは、プローブケース100に蓋部材108を填め込んだ状態で、ネジ孔108cと連続する。また、プローブケース100の通し孔100bは、プローブケース100に蓋部材108を填め込んだ状態で、ネジ孔108dに連続する。
【0046】
上述のように、プローブケース100に対する蓋部材108の取り付けは、ビス105,106を用いてなされている。具体的に、ビス105,106は、プローブケース100の外周側から径方向内側に向けて挿入され、蓋部材108のネジ孔108c,108dに螺合される。
【0047】
蓋部材108の貫通孔108aには、温度プローブ103の一部が挿入されている。そして、温度プローブ103は、ネジ孔108fに螺合されたイモネジ(雄ネジ)109のネジ先端からの押圧を受けて貫通孔108aの内周面に外周面の一部が押し付けられている。
【0048】
蓋部材108の貫通孔108bには、振動プローブ104の一部が挿入されている。そして、振動プローブ104は、ネジ孔108gに螺合されたイモネジ(雄ネジ)110のネジ先端からの押圧を受けて貫通孔108bの内周面に外周面の一部が押し付けられている。
【0049】
以上のように、プローブケース100に対して蓋部材108が固定されているとともに、蓋部材108に対して温度プローブ103および振動プローブ104が固定されている。
【0050】
なお、本実施形態で用いるイモネジ109,110とは、「六角穴付き止めネジ」のことを指す。
【0051】
4.本体部14の構成
本体部14の構成について、
図4を用いて説明する。なお、
図4は、本体部14における蓋141を取り外した状態を示している。
【0052】
図4に示すように、本体部14の内部空間14aは、X方向において、3つの空間14b~14dに区分けされている。X方向中央の空間(中央空間)14bと、X方向左側の空間(側方空間)14cとの間は、仕切壁140fによって仕切られている。また、中央空間14bとX方向右側の空間(側方空間)14dとの間は、仕切壁140gによって仕切られている。
【0053】
仕切壁140fおよび仕切壁140gのそれぞれは、Z方向下側の壁(本体ケース140の側壁)140eに対して水密に接合されている。また、仕切壁140fおよび仕切壁140gのそれぞれは、
図4の紙面奥側の壁(本体ケース140の底壁)に対しても水密に接合されている。さらに、仕切壁140fおよび仕切壁140gのそれぞれは、本体ケース140における
図4の紙面手前側の開口部を蓋141で閉じた際に、蓋141の内壁面に対して水密に当接するように設けられている。なお、仕切壁140fおよび仕切壁140gのそれぞれは、Z方向上側の壁140dに対して隙間が空くように設けられている。
【0054】
本体部14の内部空間14aの内の中央空間14bには、回路基板146および電池ユニット147が収容されている。なお、本実施形態では、一例として、中央空間14bにおけるZ方向上部に回路基板146を収容し、Z方向下部に電池ユニット147を収容しているが、回路基板146および電池ユニット147の収容に係る配置形態については、適宜に変更が可能である。
【0055】
回路基板146は、4つのビス148~151により本体ケース140の底壁(
図4の紙面奥側の壁)に固定されている。電池ユニット147は、X方向の両側に延出されたフランジ部147c,147dを有し、当該フランジ部147c,147dを挿通するビス152~155により本体ケース140の底壁(
図4の紙面奥側の壁)に固定されている。
【0056】
回路基板146は、基板本体146aと、コネクタ146b,146cと、通信回路部146dとを有する。基板本体146aには、図示を省略する複数の電子チップが実装されている。基板本体146aに実装された複数の電池チップは、温度プローブ103や振動プローブ104から送られてくる計測結果を演算処理する演算処理部や、中継器やプラントの管理室との間で演算結果等の送信や指令信号の受信を行う通信回路部146dなどを構成している。
【0057】
なお、本実施形態に係る計測装置1では、BLE(Bluetooth Low Energy〈「Bluetooth」は、Bluetooth SIG Inc.の登録商標〉)を用いて中継器などとの間で送受信を行うよう通信回路部146dが構成されている。
【0058】
回路基板146のコネクタ146bには、温度プローブ103の信号線103bおよび振動プローブ104の信号線104dが接合されたコネクタ111が接続されている。コネクタ111に接合される信号線103b,104dは、底部材107に設けられた孔107aおよび本体ケース140に設けられた孔を通して本体部14の内部空間14aへと配策されている。
【0059】
ここで、本体ケース140における信号線103b,104dを通すために設けられた孔には、本体部14の内部空間14aへの水の浸入を抑制する防水パッキン159が取り付けられている。防水パッキン159は、一例としてシリコーンゴムから形成されている。防水パッキン159には、信号線103b,104dの挿通を許しながら水の通過を抑制する小孔が開けられている。
【0060】
なお、
図4に示すように、本体ケース140は、プローブ部10の底部材107に直に固定されている。
【0061】
回路基板146のコネクタ146cには、電池ユニット147から延出するリード線(電源線)147aが接合されたコネクタ147bが接続されている。
【0062】
5.本体ケース140への回路基板146および電池ユニット147の取付構造
本体ケース140への回路基板146および電池ユニット147の詳細な取付構造について、
図5を用いて説明する。
【0063】
図5に示すように、本体ケース140は、底壁140cと4つの側壁140d,140eとで構成され、底壁140cに対向する部分に開口部140aを有する。プローブ部10の底部材107と直に接合される側壁140dには、底部材107の孔107aと連続する孔140bが設けられている。信号線103b,104dは、孔107aおよび孔140bを通り、本体部14の内部空間14aへと引き込まれている。
【0064】
なお、上述のように、孔140bには、信号線103b,104dの挿通を許しつつ、水の通過を抑制する防水パッキン159が取り付けられている。
【0065】
本体ケース140の開口部140aは、矢印Aで示すように蓋141の取り付け/取り外しによって開閉可能となっている。なお、
図5では、図示を省略しているが、本体ケース140への蓋141の取付けは、ビス142~145によりなされる(
図1を参照)。
【0066】
本体ケース140の底壁140cからは、開口部140a側に向けて複数のボス156~158が立設されている。複数のボス156~158は、断熱部材(例えば、アルミナ)から形成されている。そして、回路基板146は、ビス148~151(
図5では、ビス149,150の図示を省略。)をボス156,157に設けられた雌ネジに螺合させることで本体ケース140に固定されている。
【0067】
同様に、電池ユニット147は、ビス152~155(
図5では、ビス153,154の図示を省略。)をボス158に設けられた雌ネジに螺合させることで本体ケース140に固定されている。
【0068】
6.本体ケース140の詳細構造
本体ケース140の詳細構造について、
図6を用いて説明する。
図6(a)は本体ケース140を上方から見た上面図、
図6(b)は本体ケース140の内部構造を示す断面図である。
【0069】
図6(a)、(b)に示すように、本体ケース140におけるZ方向上側の側壁140dには、信号線103b,104dの挿通を許す孔140bの他に、2つの通信窓140h,140iが設けられている。通信窓140hは、側方空間14cの上方に設けられており、通信窓140iは、側方空間14dの上方に設けられている。通信窓140h,140iのそれぞれは、回路基板146の通信回路部146dで送受信される電波(矢印B1,B2)に対して遮断波長以上の開口サイズで設けられている。
【0070】
図6(b)に示すように、本体ケース140のZ方向下側の側壁140eには、2つの排水孔140j,140kが設けられている。排水孔140jは、側方空間14cの下方に設けられており、排水孔140kは、側方空間14dの下方に設けられている。
【0071】
排水孔140j,140kの形成目的は、仮に通信窓140h,140iから水(雨水、結露水など)が側方空間14c,14dに浸入してきた場合でも、排水孔140j,140kを通して下方に水を排水するためである(矢印B3,B4)。
【0072】
仕切壁140fは、Z方向下側の側壁140eからZ方向上向きに立設された立壁部140f1と、立壁部140f1のZ方向上端部で連続し、下部から上部へと行くのに従ってX方向の左側から右側へと傾斜して形成された斜壁部140f2とを有する。仕切壁140gも、Z方向下側の側壁140eからZ方向上向きに立設された立壁部140g1と、立壁部140g1のZ方向上端部で連続し、下部から上部へと行くのに従ってX方向の左側から右側へと傾斜して形成された斜壁部140g2とを有する。
【0073】
仕切壁140fの斜壁部140f2および仕切壁140gの斜壁部140g2のそれぞれは、上部において回路基板146のZ方向上方の一部を覆うように配されている。なお、本実施形態では、仕切壁140fは、斜壁部140f2を含む全体が通信窓140hが設けられた箇所よりもX方向の右寄りの箇所に設けられている。仕切壁140gは、斜壁部140g2を含む全体が通信窓140iが設けられた箇所よりもX方向の左寄りの箇所に設けられている。仕切壁140fおよび仕切壁140gを通信窓140h,140iに対して上記のような箇所に設けることによって、通信窓140h,140iを通して浸入してきた水が中央空間14bの側に入って行こうとしても、斜壁部140f2,140g2で側方空間14c,14dの方へと誘導される(矢印B5,B6)。
【0074】
なお、上述のように、仕切壁140f,140gは、側壁140eや底壁140c(
図5を参照。)の内壁面に対して水密に接合されており、また、本体ケース140に蓋141を取り付けた場合に蓋141の内壁面に水密に当接するように構成されているので、側方空間14c,14dに浸入した水が回路基板146や電池ユニット147が収容された中央空間14bへと侵入するのを抑制することができる。
【0075】
7.効果
本実施形態に係る計測装置1では、本体ケース140が底部材107に直に固定されているため、プローブケース100と本体ケース140との間に接続パイプが介挿される場合に比べて、信号線103b,104dの長さを短くすることができる。具体的に、
図7に示す従来技術に係る計測装置901では接続パイプ914を設けているのでプローブケース910と本体ケース913との距離がL9となり、プローブと回路基板とを接続する信号線も長くせざるを得ないのに対して、本実施形態では、
図4に示すように、プローブ部10における底部材107と本体ケース140とが直に固定されているので、信号線103b,104dの長さを従来技術に係る計測装置901よりも短いLとすることができる。このため、計測装置1では、各プローブ103,104と回路基板146との間でのインピーダンスを低く抑えることができ、低ノイズで高い精度での計測が可能である。
【0076】
また、本実施形態に係る計測装置1では、本体ケース140が金属材料(一例として、アルミニウム合金)から構成されているので、高温のスチーム配管500からプローブケース100を経由して熱が伝わっても本体ケース140が熱により変形や破損するのを抑制することができる。なお、上記における「高温」とは、上述のように、樹脂材料の連続使用温度(例えば、ABS樹脂の場合には略110℃)を超える温度を指す。
【0077】
また、本実施形態に係る計測装置1では、底部材107および本体ケース140のそれぞれに、互いに連続する孔107a,140bが設けられ、当該孔107a,140bを挿通して各プローブ103,104から延びる信号線103b,104dが配設されている。このため、プローブケース100と本体ケース140との間で信号線103b,104dを迂回などせずに直線的に配することができ、可能な範囲で信号線の長さを短くすることができ、高い精度での計測にさらに好適である。
【0078】
また、本実施形態に係る計測装置1では、回路基板146および電池ユニッ147トのそれぞれが本体ケース140における底壁140cの内壁面に対して断熱部材からなるボス156~158を介して取り付けられているので、耐熱性の高い回路基板146や電池ユニット147を用いなくても、スチーム配管500から伝達される熱で本体ケース140が高温になっても回路基板146や電池ユニット147が熱で変形や損傷するのを抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る計測装置1では、本体ケース140が仕切壁140f,140gを有し、当該仕切壁140f,140gによって中央空間(第2領域)14bと側方空間(第1領域)14c,14dとが仕切られているので、仮に通信窓140h,140iを通して水が本体ケース140内に浸入した場合にも回路基板146および電池ユニット147が収容される中央空間14bへの水の浸入を抑制することができる。よって、計測装置1では、雨水や結露水による回路基板146および電池ユニット147の損傷を抑制することができる。
【0080】
また、計測装置1では、仕切壁140f,140gが本体ケース140におけるZ方向下部の側壁140eにおける内壁面と水密に接合されているので、仮に水が側方空間14c,14dに浸入した場合にも、当該水が側壁140eの内壁面を伝って中央空間14bへと浸入するのを抑制することができる。
【0081】
さらに、計測装置1では、回路基板146における通信回路部146dと通信窓140h,140iとの間で電波の通過を許す隙間SP1,SP2(
図6(b)を参照。)がZ方向上部の側壁140dにおける内壁面との間で空くように仕切壁140f,140gが設けられているので、中央空間14bへの水の浸入を抑制しつつ通信回路部146dと外部(本体ケース140の外部)との間での通信が可能となる。
【0082】
また、本実施形態に係る計測装置1では、仕切壁140f,140gがZ方向上部に斜壁部140f2,140g2を有するので、通信窓140h,140gから水が浸入した場合であっても、当該水が回路基板146にかかるのを確実に抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る計測装置1では、プローブケース100がスチーム配管500に対してZ方向下方(鉛直下方)に垂下した姿勢で固定され、本体ケース140がプローブケース100の下方に位置するように配されているので、仮に風などの影響によりプローブケース100が傾いて一時的に振動プローブ104および温度プローブ103の各先端103a,104aがスチーム配管500の表面500aから離間したとしても、プローブケース100やその内方に収容された振動プローブ104および温度プローブ103、さらに金属材料から構成された本体ケース140およびその内方に収容された回路基板146および電池ユニット147などの重みにより、プローブケース100が元の垂下した姿勢へと復帰することとなる。よって、計測装置1では、風などの影響によりプローブケース100に外力が加わっても、作業者による修復作業を行わなくても計測を継続することが可能である。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る計測装置1では、高温のスチーム配管500に固定されながら、高い精度で計測が可能である。
【0085】
[変形例]
上記実施形態では、プローブ部10の底部材107の孔107aおよび本体ケース140の孔140bを挿通するように信号線103b,104dを配設したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、信号線103b,104dをプローブケース100の側壁に設けた孔から側方へと引き出し、本体ケース140の側壁140eなどに設けた孔から内部空間14a内へと引き入れる態様などを採用することも可能である。このような態様を採用する場合であっても、
図7に示すような接続パイプ914を省略することにより信号線103b,104dの全長を短くすることが可能であって、プローブ103,104と回路基板146との間でのインピーダンスを低く抑えることが可能である。
【0086】
上記実施形態では、回路基板146および電池ユニット147を本体ケース140に対して断熱部材からなるボス156~158を介して取り付けることとしたが、本発明は、必ずしも本体ケースの内壁面と回路基板146および電池ユニット147との間に断熱部材を介挿させる必要はない。例えば、耐熱性の高い回路基板や電池ユニットを採用すればよい。
【0087】
上記実施形態では、本体ケース140に2つの仕切壁140f,140gを設け、内部空間14aに2つの側方空間14c,14dを有する構成を採用したが、本発明では、1つの仕切壁と1つの側方空間とを有する構成を採用することも可能である。
【0088】
また、本体ケース140に必ずしも通信窓140h,140iを設ける必要はなく、本体ケース140の外周面に外部アンテナを固定した構成を採用することも可能である。
【0089】
上記実施形態では、仕切壁140f,140gがZ方向上部に斜壁部140f2,140g2を有する構成を採用したが、本発明では、仕切壁140f,140gが斜壁部140f2,140g2を有する構成を必ずしも採用する必要はない。この場合であっても、仕切壁140f,140gのZ方向上端と本体ケース140のZ方向上部の側壁140dとの間の隙間SP1,SP2を電波の通過を許す範囲で狭くすることで中央空間14bへの水の浸入を抑制することができる。
【0090】
上記実施形態では、本体ケース140におけるZ方向上部の側壁140dに通信窓140h,140iを設けることとしたが、本発明では、本体ケース140における通信窓140h,140iを設ける箇所はこれに限定されるものではない。例えば、本体ケース140におけるZ方向下部の側壁140eや底壁140cに通信窓140h,140iを設けることとしてもよい。
【0091】
上記実施形態では、プローブケース100が計測対象物であるスチーム配管500の鉛直下方に垂下した姿勢で固定されてなる構成を採用したが、本発明では、必ずしもプローブケース100を計測対象物の鉛直下方に垂下した姿勢で配設する必要はない。例えば、計測対象物の上方に起立した姿勢で配設することとしてもよい。この場合には、プローブケース100への水の浸入を抑制するとの観点から望ましい。
【0092】
なお、プローブ部10をスチーム配管500の上方に固定し、さらにプローブ部10の上方に本体部14を固定した構成を採用する場合にも、通信窓140h,140iから雨水が側方空間14c,14dに浸入することは考えられる。よって、このような構成を採用する場合においても、本体ケース140の側方空間14c,14dの下方に排水孔140j,140kを設けることで上記同様の効果を奏することが可能となる。
【0093】
上記実施形態では、プローブケース100と底部材107とを互いに別の部材としたが、本発明では、プローブケース100と底部材とが一体形成されてなる構成を採用することもできる。また、上記実施形態では、底部材107の下方に本体ケース140を直に固定してなる構成を採用したが、本発明では、底部材107の側方に本体ケース140を直に固定してなる構成を採用することも可能である。
【0094】
上記実施形態では、スチーム配管500に対してプローブケース100を固定する固定部材として、U字ボルト11とナット12,13とを採用したが、本発明では、U字ボルト11の代わりにワイヤーロープやローラーチェーンなどを用いたり、
図7に示すようなクランプ構造などを採用したりすることも可能である。
【0095】
上記実施形態では、計測装置1の計測対象物をスチーム配管500としたが、本発明では、スチームトラップを計測対象物とすることも可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 計測装置
10 プローブ部
14 本体部
14a 内部空間
14b 中央空間
14c,14d 側方空間
100 プローブケース
103 温度プローブ
103a 先端(一端)
103b 信号線
104 振動プローブ
104a 先端(一端)
104b 振動センサ
104d 信号線
140 本体ケース
140b 孔
140f,140g 仕切壁
140h,140i 通信窓
140j,140k 排水孔
146 回路基板
146d 通信回路部
147 電池ユニット
156~158 ボス(断熱部材)
500 スチーム配管(計測対象物)
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の計測対象物に固定される計測装置であって、
長尺状の部材であって、一端が前記計測対象物の表面に当接するように配され、他端に振動の強度を計測する振動センサを有する振動プローブと、
長尺状の部材であって、一端が前記計測対象物の表面に当接するように配され、前記計測対象物の表面温度を計測する温度プローブと、
前記振動プローブの前記一端を含む一部と、前記温度プローブの前記一端を含む一部とをそれぞれ外部に露出させた状態で、前記振動センサを含む前記振動プローブの残りの部分と、前記温度プローブの残りの部分とを内方に収容する筒形状のプローブケースと、
前記プローブケースにおける前記振動プローブおよび前記温度プローブのそれぞれの前記一部が突出する側とは反対側の開口を塞ぐ塞口部材と、
前記振動プローブおよび前記温度プローブと信号線で接続された回路基板と、
前記回路基板を収容する本体ケースと、
前記プローブケースを前記計測対象物に固定する固定部材と、
を備え、
前記本体ケースは、金属材料から構成されているとともに、前記塞口部材に直に固定されており、
前記プローブケースは、前記計測対象物に対して下方に垂下した姿勢で固定されており、
前記本体ケースは、前記プローブケースの下方に配設されている、
計測装置。
【請求項2】
前記塞口部材は、前記本体ケースが固定される部分に孔を有し、
前記本体ケースは、前記塞口部材に固定される部分に設けられ、前記塞口部材の孔に連続する孔を有し、
前記振動プローブおよび前記温度プローブと前記回路基板とを接続する前記信号線は、前記塞口部材の孔および前記本体ケースの孔を挿通するように配されている、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記本体ケース内に収容され、前記回路基板に電力を供給する電池ユニットをさらに備え、
前記回路基板および前記電池ユニットのそれぞれは、前記本体ケースの内壁面に対して断熱部材を介して取り付けられている、
請求項1または請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記回路基板は、外部と電波を用いた通信を実行する通信回路部を有し、
前記本体ケースは、
外壁に開けられ、前記電波の通過を許す通信窓と、
当該本体ケース内における前記通信窓が開けられた部分の下方の第1領域と、前記回路基板および前記電池ユニットが収容された第2領域との間を仕切る仕切壁と、
前記第1領域に面する下部の外壁に開けられ、前記通信窓から浸入した水を外部に排水する排水孔と、
を有し、
前記仕切壁は、前記第1領域から前記第2領域への水の移動を規制するように前記本体ケースにおける下部の内壁面との間で水密に形成されているとともに、前記本体ケースにおける上部の内壁面との間に、前記通信回路部と前記通信窓との間で前記電波の通過を許す隙間が空くように形成されている、
請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記仕切壁は、
前記本体ケースにおける前記下部の内壁面から上方に向けて立設された立壁部と、
前記立壁部の上端で連続し、下部から上部へと行くのに従って前記回路基板の上方の一
部を覆うように形成された斜壁部と、
を有する、
請求項4に記載の計測装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本態様に係る計測装置において、前記本体ケースは、金属材料から構成されているとともに、前記塞口部材に直に固定されており、前記プローブケースは、前記計測対象物に対して下方に垂下した姿勢で固定されており、前記本体ケースは、前記プローブケースの下方に配設されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、上記態様に係る計測装置では、本体ケースが金属材料から構成されているので、高温の計測対象物からプローブケースを経由して熱が伝わっても本体ケースが熱により変形や破損するのを抑制することができる。なお、本明細書において「高温」とは、従来の計測装置における本体ケースに使用されていた樹脂材料(例えばABS樹脂)の連続使用温度(略110℃)を超える温度を指す。
さらに、上記態様に係る計測装置では、プローブケースが計測対象物に対して下方に垂下した姿勢で固定され、本体ケースがプローブケースの下方に位置するように配されているので、仮に風などの影響によりプローブケースが傾いて一時的に振動プローブおよび温度プローブの各一端が計測対象物から離間したとしても、プローブケースやその内方に収容された振動プローブおよび温度プローブ、さらに金属材料から構成された本体ケースおよびその内方に収容された回路基板などの重みにより、プローブケースが元の垂下した姿勢へと復帰することとなる。よって、上記態様に係る計測装置では、風などの影響によりプローブケースに外力が加わっても、作業者による修復作業を行わなくても計測を継続することが可能である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】削除
【補正の内容】