(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176342
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】美容用組成物の生成方法
(51)【国際特許分類】
A61M 35/00 20060101AFI20241212BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20241212BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241212BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61M35/00 Z
A61K8/98
A61Q19/00
A61K8/64
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094812
(22)【出願日】2023-06-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)美容装置「Lit」の写真を公式インスタグラムに公開(https://www.instagram.com/having_fun.111/)(ウェブサイトの掲載日:令和4年11月25日) (2)展示会「第14回COSME Week 東京 ビューティープロダクトセミナー」にて、美容装置「Lit」に関するセミナーを実施(セミナーの実施日:令和5年1月11日) (3)展示会「第14回COSME Week 東京 東京ビッグサイト」にて、美容装置「Lit」を展示(展示会の実施日:令和5年1月11~13日) (4)展示会「第14回COSME Week 東京 東京ビッグサイト」にて、美容装置「Lit」のリーフレットを配布(配布の実施日:令和5年1月11~13日) (5)美容装置「Lit」を、「販売先リスト」(別紙参照)に記載の住所にて販売(販売日:令和5年2月1日) (6)「体験会リスト」(別紙参照)に記載の住所にて、美容装置「Lit」を用いた導入体験会を実施(導入体験会の実施日:令和5年2月28日)。
(71)【出願人】
【識別番号】522454231
【氏名又は名称】株式会社havingfun
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】宮田 悠実
【テーマコード(参考)】
4C083
4C267
【Fターム(参考)】
4C083AA071
4C083AA072
4C083AD411
4C083AD412
4C083CC02
4C267AA67
4C267BB41
4C267CC01
4C267CC05
4C267GG12
4C267GG16
(57)【要約】
【課題】皮膚の状態改善及び老化防止に優れた効果を発揮する美容装置及び美容方法を提供する。
【解決手段】美容装置1は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合器2と、混合器2により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された混合液を、皮膚に導入する導入器3とを備えたことを特徴とする。美容装置1は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合器2により混合し、導入器3により皮膚に導入できる。従って美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止を実現できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合器と、
前記混合器により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された混合液を、皮膚に導入する導入器と
を備えたことを特徴とする美容装置。
【請求項2】
幹細胞培養上清液は、ヒト幹細胞培養上清液であることを特徴とする請求項1に記載の美容装置。
【請求項3】
幹細胞培養上清液は、臍帯由来又は羊膜由来幹細胞培養上清液であることを特徴とする請求項1に記載の美容装置。
【請求項4】
前記導入器は、
前記混合器により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから15分~30分内に、前記混合液を皮膚に導入することを特徴とする請求項1に記載の美容装置。
【請求項5】
エラスチンは、デスモシンとイソデスモシンとを含むことを特徴とする請求項1に記載の美容装置。
【請求項6】
前記導入器は、
前記混合液が噴射される複数の微小ノズルを有するヘッドを備えたことを特徴とする請求項1に記載の美容装置。
【請求項7】
前記ヘッドは、30MHz~300MHzの電磁波を出力可能であることを特徴とする請求項6に記載の美容装置。
【請求項8】
幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合工程と、
前記混合工程により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された混合液を、皮膚に導入する導入工程と
を備えたことを特徴とする美容方法。
【請求項9】
幹細胞培養上清液は、ヒト幹細胞培養上清液であることを特徴とする請求項8に記載の美容方法。
【請求項10】
ヒト幹細胞培養上清液は、臍帯由来又は羊膜由来幹細胞培養上清液であることを特徴とする請求項8に記載の美容方法。
【請求項11】
前記導入工程では、
前記混合工程により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから15分~30分以内に、前記混合液を皮膚に導入することを特徴とする請求項8に記載の美容方法。
【請求項12】
エラスチンは、デスモシンとイソデスモシンとを含むことを特徴とする請求項8に記載の美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容装置及び美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
美容用組成物を皮膚へ導入することにより、皮膚の状態改善や老化防止を行う装置が各種提案されている。例えば特許文献1は、ヒト幹細胞やヒアルロン酸等を表皮から真皮へ導入する美容処理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人は、美容用組成物を単体で皮膚に導入する場合に比べて、皮膚の状態改善や老化防止に優れた効果を発揮する美容装置及び美容方法を見出した。
【0005】
本発明の目的は、皮膚の状態改善や老化防止に優れた効果を発揮する美容装置、及び美容方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る美容装置は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合器と、前記混合器により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された混合液を、皮膚に導入する導入器とを備えたことを特徴とする。
【0007】
第1態様によれば、美容装置は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合器により混合し、導入器により皮膚に導入できる。従って美容装置は、皮膚の状態改善や老化防止を実現できる。
【0008】
第1態様において、幹細胞培養上清液は、ヒト幹細胞培養上清液であってもよい。又、幹細胞培養上清液は、臍帯由来又は羊膜由来幹細胞培養上清液であってもよい。又、前記導入器は、前記混合器により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから15分~30分内に、前記混合液を皮膚に導入してもよい。又、エラスチンは、デスモシンとイソデスモシンとを含んでいてもよい。これらの場合、美容装置は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0009】
第1態様において、前記導入器は、前記混合液が噴射される複数の微小ノズルを有するヘッドを備えてもよい。又、前記ヘッドは、30MHz~300MHzの電磁波を出力可能であってもよい。これらの場合、美容装置は、皮膚に対する混合液の導入効率を高めることができるので、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0010】
本発明の第2態様に係る美容方法は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合工程と、前記混合工程により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された混合液を、皮膚に導入する導入工程とを備えたことを特徴とする。第2態様によれば、第1態様と同様の効果を奏することができる。
【0011】
第2態様において、幹細胞培養上清液は、ヒト幹細胞培養上清液であってもよい。又、幹細胞培養上清液は、臍帯由来又は羊膜由来幹細胞培養上清液であってもよい。又、前記導入工程では、前記混合工程により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから15分~30分内に、前記混合液を皮膚に導入してもよい。又、エラスチンは、デスモシンとイソデスモシンとを含んでいてもよい。これらの場合、第1態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る美容装置1の実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0014】
近年、幹細胞を用いた再生治療や細胞治療が注目されている。幹細胞とは、自己複製能と、様々な細胞に分化する能力(分化能力)とを持つ特殊な細胞である。幹細胞はこの2つの能力を持つため、組織の発生及び再生等を担う細胞であると考えられており、期待が集まっている。
【0015】
幹細胞の培養液である幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養する際に生じる上澄み液のことである。幹細胞培養上清液は、優れた生理的活性効果を備えた多くの成長因子やサイトカインを含むことで知られている。そして、この成長因子やサイトカインが、人体の皮膚の老化と損傷を抑制、防止する効果があるといわれている。このため幹細胞培養上清液を美容用組成物に適用する研究も行われている。
【0016】
人体の皮膚は、表皮と真皮との間に基底層を有する。基底層は、皮膚表面から深さ約0.2mmの位置に存在する。基底層では、細胞分裂が繰り返されることにより新しい細胞が作り出され、表皮及び真皮に供給される。このため、基底層を活性化させることが、皮膚の状態改善や老化防止を図る上で重要となる。本発明は、基底層を活性化させるための美容用組成物の1つとして、幹細胞培養上清液を用いるものである。
【0017】
幹細胞培養上清液を生成する過程で用いられる幹細胞として、間葉系幹細胞が好適に用いられる。なお、幹細胞は特定の組織由来のものに限定されず、任意の組織に由来するものであってよい。例えば、骨髄由来、臍帯由来、臍帯血由来、胎盤由来、歯髄由来、脂肪組織由来、羊膜由来等であってよい。なお、この中でも特に、臍帯由来又は羊膜由来の幹細胞が好適に用いられる。又、幹細胞のドナーとしては、アレルギーのリスク回避、及び親和性の観点から、ヒトであることが好ましいが、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ等であってもよい。又、ドナーは動物に限定されず、植物であってもよい。
【0018】
又、本発明では、幹細胞培養上清液にエラスチンを混合した混合液を、美容用組成物として用いる。エラスチンは、コラーゲン、ヒアルロン酸とともに主要な美容成分として知られている。エラスチンは、真皮においてコラーゲン繊維どうしを結び付けている。エラスチンは、皮膚のハリと弾力に寄与し、シワやたるみを防止するという働きを有することが知られている。
【0019】
幹細胞培養上清液に混合されるエラスチンとしては、架橋アミノ酸(デスモシン及びイソデスモシン)が含まれているエラスチンが好適に用いられる。デスモシン及びイソデスモシンは、エラスチンのみに含まれる特殊なアミノ酸であり、ペプチド鎖同士を架橋する働きを有する。なお、デスモシン及びイソデスモシンの含有量としては特に限定されないが、例えば、デスモシン及びイソデスモシンが1.0%以上含有された高純度エラスチンが好適に用いられる。高純度エラスチンは、アミノ酸組成がヒトエラスチンと類似し、且つ水溶性であるため、皮膚への吸収に適している。又、高純度エラスチンは、加熱に強く、美容成分が変性しないという利点がある。
【0020】
エラスチンとして、ブタ由来及び魚由来のエラスチンを用いることが可能であるが、特に、ブタ由来のエラスチンが好適に用いられる。
【0021】
更に、幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから15分~30分内に、混合液は対象者の皮膚に導入される。つまり混合液は、対象者の皮膚に導入される直前に生成される。この場合、幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから長時間保存された混合液が皮膚に導入される場合と比べて、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0022】
<美容装置1の概要>
図1に示すように、美容装置1は、混合器2、導入器3、及び制御装置4を含む。美容装置1は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合して対象者の皮膚に混合液を導入するために用いられる。
【0023】
混合器2は、シリンジ21及びピストン22を有する。シリンジ21には、幹細胞培養上清液とエラスチンとが封入される。幹細胞培養上清液及びエラスチンは、シリンジ21内で混合され、混合液が生成される。シリンジ21の先端に、チューブTの一端部が接続される。ピストン22は、シリンジ21内の混合液をチューブTに向けて押し出す。
【0024】
導入器3は、把持部31、及びヘッド32を有する。把持部31は、導入器3の使用時においてユーザにより把持される。把持部31の先端部にヘッド32が設けられる。ヘッド32は、チタン・バナジウム製である。ヘッド32は、30MHz~300MHzの電磁波(ラジオ波)を出力することが可能である。ヘッド32には、複数の微小ノズル32Aが設けられる。混合器2からチューブTを介して導入器3に流入した混合液は、ヘッド32の内部で圧力が高められる。圧力が高められた混合液は、複数の微小ノズル32Aから外部に噴射される。
【0025】
制御装置4は、ケーブルCを介して導入器3に接続する。制御装置4は、導入器3を制御してヘッド32から電磁波を出力させ、且つ、複数の微小ノズル32Aから混合液を噴射させる。制御装置4は、操作ボタン41を有する。操作ボタン41は、導入器3の稼働状態を切り替える場合においてユーザにより操作される。
【0026】
<美容方法>
図2を参照し、施術者が美容装置1を用いて対象者に施術を行う美容方法について説明する。
【0027】
はじめに施術者は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを、混合器2のシリンジ21に封入する(S11)。幹細胞培養上清液及びエラスチンは、シリンジ21内で混合され、混合液が生成される(S13)。次に施術者は、混合器2のピストン22を操作し、シリンジ21内の混合液を導入器3に供給する(S15)。制御装置4は、施術者が施術を開始するために操作ボタン41を押下するまでの間(S17:NO)、導入器3を制御し、ヘッド32内で混合液の圧力を高める。
【0028】
施術者は、導入器3の把持部31を把持し、対象者の皮膚にヘッド32を押し付ける。施術者は、この状態で、施術を開始するために制御装置4の操作ボタン41を押下する。
【0029】
制御装置4は、操作ボタン41の押下を検出した場合(S17:YES)、ヘッド32内で圧力が高められた混合液を、複数の微小ノズル32Aから噴射する(S19)。同時に制御装置4は、ヘッド32からの電磁波の出力を開始する(S19)。
【0030】
複数の微小ノズル32Aから噴射された高圧の混合液は、対象者の皮膚の皮膚表面から深さ約0.1mm~0.5mmの部分まで浸透し、この部分にある基底層に混合液が導入される。又、ヘッド32から電磁波が出力されることにより、対象者の皮膚は振動して熱を帯びる。この熱による温熱効果により、基底層に対する混合液の導入が促進される。以上の動作は、施術者が制御装置4の操作ボタン41を再度押下するまで継続される(S21:NO)。
【0031】
施術者は、対象者に対する施術を完了させる場合、施術を終了するために制御装置4の操作ボタン41を押下する。制御装置4は、操作ボタン41の押下を検出した場合(S21:YES)、ヘッド32からの電磁波の出力を停止し、複数の微小ノズル32Aからの混合液の噴射を停止する(S23)。以上により、美容方法は終了する。
【0032】
<本実施形態の作用、効果>
図3及び
図4は、それぞれ、美容装置1を用いた施術を行う前と行った後のそれぞれの皮膚の状態を示す。このように、美容装置1を用いて施術を行うことにより、皮膚の状態が改善することが明らかになった。このように、美容装置1は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合器2により混合し、導入器3により皮膚に導入できる。従って美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止を実現できる。
【0033】
なお、混合器2において、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合することにより生成された混合液は、混合された直後、より詳細には、混合されてから15分~30分内に皮膚に導入される。この場合、予め生成された混合液が用いられる場合と比べて、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0034】
幹細胞培養上清液として、ヒト由来の幹細胞培養上清液が好適に用いられる。この場合、ヒト以外の動物や植物由来の幹細胞培養上清液が用いられる場合と比べて、皮膚に対する混合液の親和性を高めることができるので、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。又、幹細胞陪乗上清液として、臍帯由来又は羊膜由来の幹細胞培養上清液が用いられる。この場合、他の由来の幹細胞培養上清液が用いられる場合と比べて、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0035】
エラスチンとして、架橋アミノ酸(デスモシン及びイソデスモシン)が含まれているエラスチンが好適に用いられる。更に、エラスチンとして、架橋アミノ酸(デスモシン及びイソデスモシン)が1.0%以上含まれている高純度エラスチンが好適に用いられる。この場合、架橋アミノ酸が含まれないエラスチンが用いられる場合と比べて、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0036】
導入器3のヘッド32は、複数の微小ノズル32Aから高圧の混合液を噴射する。又、ヘッド32から出力される電磁波(ラジオ波)は、対象者の皮膚を振動させ温める。この場合、皮膚の基底層に対する混合液の導入効率を高めることができるので、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0037】
なお、美容装置1を用いて施術が行われた場合の効果は、皮膚の状態改善や老化防止だけでなく、他の様々な効果を奏する。例えば美容装置1を用いて顔の皮膚に施術が行われた場合、美白、肌のハリ艶、定着シミの改善、ニキビやニキビ跡の改善、クレーターの減少、たるみやシワの減少、炎症抑制等の効果を達成できる。又、例えば美容装置1を用いて体の皮膚に施術が行われた場合、バストアップ、妊娠線の解消、肉割れ線(ストレッチマーク)の解消、美白、色素沈着の解消等の効果を達成できる。又、美容装置1を用いて頭皮に施術が行われた場合、育毛及び増毛、髪質改善、白髪予防、頭皮環境の改善等の効果を達成できる。
【0038】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。美容装置1は、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えて他の物質を適宜混合し、混合液を生成してもよい。
【0039】
例えば、美容装置1は、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えて、細胞外マトリクス(Extracellular Matrix、以下、ECMという。)タンパク質を混合して混合液を生成してもよい。ECMタンパク質として、アグリン、フィラグリン、ムチン、分泌リンタンパク質24(骨基質)、ニドゲン、カドヘリン、クラスリン、コラーゲン、ディフェンシン、エンタクチン、フィブリリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ケラチン、ラミニン、微小管アクチン架橋因子1、SPARC様タンパク質、ネスプリン(ネスプリン1、ネスプリン2、ネスプリン3)、fibrous sheath-interacting protein、ミオメシン、ネブリン、ケラチノサイトプロリンリッチタンパク質、プラコフィリン、インテグリン、タリン、エクスポーチン、トランスポーチン、テネイシン、パールカン、ソルチリン関連受容体、テンシン、タイチン等が用いられてもよい。又、美容装置1は、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えてヒアルロン酸を混合して混合液を生成してもよい。
【0040】
また例えば、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えて、保湿剤、低級アルコール類、ビタミン類等、消炎剤、増粘剤、ゲル化剤、pH調整剤、シワ改善剤、各種抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤、水溶性高分子、防腐剤、油剤(油性物質)、皮膜形成剤、界面活性剤、油溶性ゲル化剤、着色剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、香料、酸化防止剤、キレート剤、乳化剤、乳化安定剤、生薬成分、色素、美白剤の少なくとも1つを混合して混合液を生成してもよい。
【0041】
美容機器1の混合器2は、上記実施形態のようにシリンジ21及びピストン22を含むものに限定されない。美容装置1の導入器3のヘッド32には、複数の微小ノズル32Aの代わりに複数の微小針が設けられてもよい。混合器2にて生成された混合液は、複数の微小針が皮膚に刺さることにより、基底層に導入されてもよい。
【0042】
<その他>
S11、S13の工程は、本発明の「混合工程」の一例である。S19の工程は、本発明の「導入工程」の一例である。
【符号の説明】
【0043】
1 :美容装置
2 :混合器
3 :導入器
32 :ヘッド
32A :微小ノズル
【手続補正書】
【提出日】2024-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合器と、
チューブを介して前記混合器と接続し、前記混合器により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された混合液が、前記チューブを介して流入した場合に、流入した前記混合液を、皮膚に導入する導入器と
を備え、
前記導入器は、
前記混合液が噴射される複数の微小ノズルを有するヘッドを備えたことを特徴とする美容装置。
【請求項2】
幹細胞培養上清液は、ヒト幹細胞培養上清液であることを特徴とする請求項1に記載の美容装置。
【請求項3】
幹細胞培養上清液は、臍帯由来又は羊膜由来幹細胞培養上清液であることを特徴とする請求項1に記載の美容装置。
【請求項4】
前記導入器は、
前記混合器により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから15分~30分内に、前記混合液を皮膚に導入することを特徴とする請求項1に記載の美容装置。
【請求項5】
エラスチンは、デスモシンとイソデスモシンとを含むことを特徴とする請求項1に記載の美容装置。
【請求項6】
前記ヘッドは、30MHz~300MHzの電磁波を出力可能であることを特徴とする請求項5に記載の美容装置。
【請求項7】
幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合工程を含み、幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された美容用組成物を生成することを特徴とする美容用組成物の生成方法。
【請求項8】
幹細胞培養上清液は、ヒト幹細胞培養上清液であることを特徴とする請求項7に記載の美容用組成物の生成方法。
【請求項9】
ヒト幹細胞培養上清液は、臍帯由来又は羊膜由来幹細胞培養上清液であることを特徴とする請求項7に記載の美容用組成物の生成方法。
【請求項10】
エラスチンは、デスモシンとイソデスモシンとを含むことを特徴とする請求項7に記載の美容用組成物の生成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容装置及び美容用組成物の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
美容用組成物を皮膚へ導入することにより、皮膚の状態改善や老化防止を行う装置が各種提案されている。例えば特許文献1は、ヒト幹細胞やヒアルロン酸等を表皮から真皮へ導入する美容処理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人は、美容用組成物を単体で皮膚に導入する場合に比べて、皮膚の状態改善や老化防止に優れた効果を発揮する美容装置及び美容方法を見出した。
【0005】
本発明の目的は、皮膚の状態改善や老化防止に優れた効果を発揮する美容装置、及び美容用組成物の生成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る美容装置は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合器と、チューブを介して前記混合器と接続し、前記混合器により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された混合液が、前記チューブを介して流入した場合に、流入した前記混合液を、皮膚に導入する導入器とを備え、前記導入器は、前記混合液が噴射される複数の微小ノズルを有するヘッドを備えたことを特徴とする。
【0007】
第1態様によれば、美容装置は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合器により混合し、導入器により皮膚に導入できる。従って美容装置は、皮膚の状態改善や老化防止を実現できる。
【0008】
第1態様において、幹細胞培養上清液は、ヒト幹細胞培養上清液であってもよい。又、幹細胞培養上清液は、臍帯由来又は羊膜由来幹細胞培養上清液であってもよい。又、前記導入器は、前記混合器により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから15分~30分内に、前記混合液を皮膚に導入してもよい。又、エラスチンは、デスモシンとイソデスモシンとを含んでいてもよい。これらの場合、美容装置は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0009】
第1態様において、前記ヘッドは、30MHz~300MHzの電磁波を出力可能であってもよい。これらの場合、美容装置は、皮膚に対する混合液の導入効率を高めることができるので、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0010】
本発明の第2態様に係る美容用組成物の生成方法は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合工程を含み、幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された美容用組成物を生成することを特徴とする。第2態様によれば、第1態様と同様の効果を奏することができる。
【0011】
第2態様において、幹細胞培養上清液は、ヒト幹細胞培養上清液であってもよい。又、幹細胞培養上清液は、臍帯由来又は羊膜由来幹細胞培養上清液であってもよい。又、エラスチンは、デスモシンとイソデスモシンとを含んでいてもよい。これらの場合、第1態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る美容装置1の実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0014】
近年、幹細胞を用いた再生治療や細胞治療が注目されている。幹細胞とは、自己複製能と、様々な細胞に分化する能力(分化能力)とを持つ特殊な細胞である。幹細胞はこの2つの能力を持つため、組織の発生及び再生等を担う細胞であると考えられており、期待が集まっている。
【0015】
幹細胞の培養液である幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養する際に生じる上澄み液のことである。幹細胞培養上清液は、優れた生理的活性効果を備えた多くの成長因子やサイトカインを含むことで知られている。そして、この成長因子やサイトカインが、人体の皮膚の老化と損傷を抑制、防止する効果があるといわれている。このため幹細胞培養上清液を美容用組成物に適用する研究も行われている。
【0016】
人体の皮膚は、表皮と真皮との間に基底層を有する。基底層は、皮膚表面から深さ約0.2mmの位置に存在する。基底層では、細胞分裂が繰り返されることにより新しい細胞が作り出され、表皮及び真皮に供給される。このため、基底層を活性化させることが、皮膚の状態改善や老化防止を図る上で重要となる。本発明は、基底層を活性化させるための美容用組成物の1つとして、幹細胞培養上清液を用いるものである。
【0017】
幹細胞培養上清液を生成する過程で用いられる幹細胞として、間葉系幹細胞が好適に用いられる。なお、幹細胞は特定の組織由来のものに限定されず、任意の組織に由来するものであってよい。例えば、骨髄由来、臍帯由来、臍帯血由来、胎盤由来、歯髄由来、脂肪組織由来、羊膜由来等であってよい。なお、この中でも特に、臍帯由来又は羊膜由来の幹細胞が好適に用いられる。又、幹細胞のドナーとしては、アレルギーのリスク回避、及び親和性の観点から、ヒトであることが好ましいが、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ等であってもよい。又、ドナーは動物に限定されず、植物であってもよい。
【0018】
又、本発明では、幹細胞培養上清液にエラスチンを混合した混合液を、美容用組成物として用いる。エラスチンは、コラーゲン、ヒアルロン酸とともに主要な美容成分として知られている。エラスチンは、真皮においてコラーゲン繊維どうしを結び付けている。エラスチンは、皮膚のハリと弾力に寄与し、シワやたるみを防止するという働きを有することが知られている。
【0019】
幹細胞培養上清液に混合されるエラスチンとしては、架橋アミノ酸(デスモシン及びイソデスモシン)が含まれているエラスチンが好適に用いられる。デスモシン及びイソデスモシンは、エラスチンのみに含まれる特殊なアミノ酸であり、ペプチド鎖同士を架橋する働きを有する。なお、デスモシン及びイソデスモシンの含有量としては特に限定されないが、例えば、デスモシン及びイソデスモシンが1.0%以上含有された高純度エラスチンが好適に用いられる。高純度エラスチンは、アミノ酸組成がヒトエラスチンと類似し、且つ水溶性であるため、皮膚への吸収に適している。又、高純度エラスチンは、加熱に強く、美容成分が変性しないという利点がある。
【0020】
エラスチンとして、ブタ由来及び魚由来のエラスチンを用いることが可能であるが、特に、ブタ由来のエラスチンが好適に用いられる。
【0021】
更に、幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから15分~30分内に、混合液は対象者の皮膚に導入される。つまり混合液は、対象者の皮膚に導入される直前に生成される。この場合、幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから長時間保存された混合液が皮膚に導入される場合と比べて、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0022】
<美容装置1の概要>
図1に示すように、美容装置1は、混合器2、導入器3、及び制御装置4を含む。美容装置1は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合して対象者の皮膚に混合液を導入するために用いられる。
【0023】
混合器2は、シリンジ21及びピストン22を有する。シリンジ21には、幹細胞培養上清液とエラスチンとが封入される。幹細胞培養上清液及びエラスチンは、シリンジ21内で混合され、混合液が生成される。シリンジ21の先端に、チューブTの一端部が接続される。ピストン22は、シリンジ21内の混合液をチューブTに向けて押し出す。
【0024】
導入器3は、把持部31、及びヘッド32を有する。把持部31は、導入器3の使用時においてユーザにより把持される。把持部31の先端部にヘッド32が設けられる。ヘッド32は、チタン・バナジウム製である。ヘッド32は、30MHz~300MHzの電磁波(ラジオ波)を出力することが可能である。ヘッド32には、複数の微小ノズル32Aが設けられる。混合器2からチューブTを介して導入器3に流入した混合液は、ヘッド32の内部で圧力が高められる。圧力が高められた混合液は、複数の微小ノズル32Aから外部に噴射される。
【0025】
制御装置4は、ケーブルCを介して導入器3に接続する。制御装置4は、導入器3を制御してヘッド32から電磁波を出力させ、且つ、複数の微小ノズル32Aから混合液を噴射させる。制御装置4は、操作ボタン41を有する。操作ボタン41は、導入器3の稼働状態を切り替える場合においてユーザにより操作される。
【0026】
<美容方法>
図2を参照し、施術者が美容装置1を用いて対象者に施術を行う美容方法について説明する。
【0027】
はじめに施術者は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを、混合器2のシリンジ21に封入する(S11)。幹細胞培養上清液及びエラスチンは、シリンジ21内で混合され、混合液が生成される(S13)。次に施術者は、混合器2のピストン22を操作し、シリンジ21内の混合液を導入器3に供給する(S15)。制御装置4は、施術者が施術を開始するために操作ボタン41を押下するまでの間(S17:NO)、導入器3を制御し、ヘッド32内で混合液の圧力を高める。
【0028】
施術者は、導入器3の把持部31を把持し、対象者の皮膚にヘッド32を押し付ける。施術者は、この状態で、施術を開始するために制御装置4の操作ボタン41を押下する。
【0029】
制御装置4は、操作ボタン41の押下を検出した場合(S17:YES)、ヘッド32内で圧力が高められた混合液を、複数の微小ノズル32Aから噴射する(S19)。同時に制御装置4は、ヘッド32からの電磁波の出力を開始する(S19)。
【0030】
複数の微小ノズル32Aから噴射された高圧の混合液は、対象者の皮膚の皮膚表面から深さ約0.1mm~0.5mmの部分まで浸透し、この部分にある基底層に混合液が導入される。又、ヘッド32から電磁波が出力されることにより、対象者の皮膚は振動して熱を帯びる。この熱による温熱効果により、基底層に対する混合液の導入が促進される。以上の動作は、施術者が制御装置4の操作ボタン41を再度押下するまで継続される(S21:NO)。
【0031】
施術者は、対象者に対する施術を完了させる場合、施術を終了するために制御装置4の操作ボタン41を押下する。制御装置4は、操作ボタン41の押下を検出した場合(S21:YES)、ヘッド32からの電磁波の出力を停止し、複数の微小ノズル32Aからの混合液の噴射を停止する(S23)。以上により、美容方法は終了する。
【0032】
<本実施形態の作用、効果>
図3及び
図4は、それぞれ、美容装置1を用いた施術を行う前と行った後のそれぞれの皮膚の状態を示す。このように、美容装置1を用いて施術を行うことにより、皮膚の状態が改善することが明らかになった。このように、美容装置1は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合器2により混合し、導入器3により皮膚に導入できる。従って美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止を実現できる。
【0033】
なお、混合器2において、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合することにより生成された混合液は、混合された直後、より詳細には、混合されてから15分~30分内に皮膚に導入される。この場合、予め生成された混合液が用いられる場合と比べて、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0034】
幹細胞培養上清液として、ヒト由来の幹細胞培養上清液が好適に用いられる。この場合、ヒト以外の動物や植物由来の幹細胞培養上清液が用いられる場合と比べて、皮膚に対する混合液の親和性を高めることができるので、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。又、幹細胞陪乗上清液として、臍帯由来又は羊膜由来の幹細胞培養上清液が用いられる。この場合、他の由来の幹細胞培養上清液が用いられる場合と比べて、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0035】
エラスチンとして、架橋アミノ酸(デスモシン及びイソデスモシン)が含まれているエラスチンが好適に用いられる。更に、エラスチンとして、架橋アミノ酸(デスモシン及びイソデスモシン)が1.0%以上含まれている高純度エラスチンが好適に用いられる。この場合、架橋アミノ酸が含まれないエラスチンが用いられる場合と比べて、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0036】
導入器3のヘッド32は、複数の微小ノズル32Aから高圧の混合液を噴射する。又、ヘッド32から出力される電磁波(ラジオ波)は、対象者の皮膚を振動させ温める。この場合、皮膚の基底層に対する混合液の導入効率を高めることができるので、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0037】
なお、美容装置1を用いて施術が行われた場合の効果は、皮膚の状態改善や老化防止だけでなく、他の様々な効果を奏する。例えば美容装置1を用いて顔の皮膚に施術が行われた場合、美白、肌のハリ艶、定着シミの改善、ニキビやニキビ跡の改善、クレーターの減少、たるみやシワの減少、炎症抑制等の効果を達成できる。又、例えば美容装置1を用いて体の皮膚に施術が行われた場合、バストアップ、妊娠線の解消、肉割れ線(ストレッチマーク)の解消、美白、色素沈着の解消等の効果を達成できる。又、美容装置1を用いて頭皮に施術が行われた場合、育毛及び増毛、髪質改善、白髪予防、頭皮環境の改善等の効果を達成できる。
【0038】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。美容装置1は、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えて他の物質を適宜混合し、混合液を生成してもよい。
【0039】
例えば、美容装置1は、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えて、細胞外マトリクス(Extracellular Matrix、以下、ECMという。)タンパク質を混合して混合液を生成してもよい。ECMタンパク質として、アグリン、フィラグリン、ムチン、分泌リンタンパク質24(骨基質)、ニドゲン、カドヘリン、クラスリン、コラーゲン、ディフェンシン、エンタクチン、フィブリリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ケラチン、ラミニン、微小管アクチン架橋因子1、SPARC様タンパク質、ネスプリン(ネスプリン1、ネスプリン2、ネスプリン3)、fibrous sheath-interacting protein、ミオメシン、ネブリン、ケラチノサイトプロリンリッチタンパク質、プラコフィリン、インテグリン、タリン、エクスポーチン、トランスポーチン、テネイシン、パールカン、ソルチリン関連受容体、テンシン、タイチン等が用いられてもよい。又、美容装置1は、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えてヒアルロン酸を混合して混合液を生成してもよい。
【0040】
また例えば、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えて、保湿剤、低級アルコール類、ビタミン類等、消炎剤、増粘剤、ゲル化剤、pH調整剤、シワ改善剤、各種抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤、水溶性高分子、防腐剤、油剤(油性物質)、皮膜形成剤、界面活性剤、油溶性ゲル化剤、着色剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、香料、酸化防止剤、キレート剤、乳化剤、乳化安定剤、生薬成分、色素、美白剤の少なくとも1つを混合して混合液を生成してもよい。
【0041】
美容装置1の混合器2は、上記実施形態のようにシリンジ21及びピストン22を含むものに限定されない。美容装置1の導入器3のヘッド32には、複数の微小ノズル32Aの代わりに複数の微小針が設けられてもよい。混合器2にて生成された混合液は、複数の微小針が皮膚に刺さることにより、基底層に導入されてもよい。
【0042】
<その他>
S11、S13の工程は、本発明の「混合工程」の一例である。S19の工程は、本発明の「導入工程」の一例である。
【符号の説明】
【0043】
1 :美容装置
2 :混合器
3 :導入器
32 :ヘッド
32A :微小ノズル
【手続補正書】
【提出日】2024-11-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合工程を含み、幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された美容用組成物を生成することを特徴とする美容用組成物の生成方法。
【請求項2】
幹細胞培養上清液は、ヒト幹細胞培養上清液であることを特徴とする請求項1に記載の美容用組成物の生成方法。
【請求項3】
ヒト幹細胞培養上清液は、臍帯由来又は羊膜由来幹細胞培養上清液であることを特徴とする請求項2に記載の美容用組成物の生成方法。
【請求項4】
エラスチンは、デスモシンとイソデスモシンとを含むことを特徴とする請求項1に記載の美容用組成物の生成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容用組成物の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
美容用組成物を皮膚へ導入することにより、皮膚の状態改善や老化防止を行う装置が各種提案されている。例えば特許文献1は、ヒト幹細胞やヒアルロン酸等を表皮から真皮へ導入する美容処理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人は、美容用組成物を単体で皮膚に導入する場合に比べて、皮膚の状態改善や老化防止に優れた効果を発揮する美容装置及び美容方法を見出した。
【0005】
本発明の目的は、皮膚の状態改善や老化防止に優れた効果を発揮する美容用組成物の生成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る美容装置は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合器と、チューブを介して前記混合器と接続し、前記混合器により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された混合液が、前記チューブを介して流入した場合に、流入した前記混合液を、皮膚に導入する導入器とを備え、前記導入器は、前記混合液が噴射される複数の微小ノズルを有するヘッドを備えたことを特徴とする。
【0007】
第1態様によれば、美容装置は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合器により混合し、導入器により皮膚に導入できる。従って美容装置は、皮膚の状態改善や老化防止を実現できる。
【0008】
第1態様において、幹細胞培養上清液は、ヒト幹細胞培養上清液であってもよい。又、幹細胞培養上清液は、臍帯由来又は羊膜由来幹細胞培養上清液であってもよい。又、前記導入器は、前記混合器により幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから15分~30分内に、前記混合液を皮膚に導入してもよい。又、エラスチンは、デスモシンとイソデスモシンとを含んでいてもよい。これらの場合、美容装置は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0009】
第1態様において、前記ヘッドは、30MHz~300MHzの電磁波を出力可能であってもよい。これらの場合、美容装置は、皮膚に対する混合液の導入効率を高めることができるので、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0010】
本発明の第2態様に係る美容用組成物の生成方法は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合する混合工程を含み、幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合された美容用組成物を生成することを特徴とする。第2態様によれば、第1態様と同様の効果を奏することができる。
【0011】
第2態様において、幹細胞培養上清液は、ヒト幹細胞培養上清液であってもよい。又、幹細胞培養上清液は、臍帯由来又は羊膜由来幹細胞培養上清液であってもよい。又、エラスチンは、デスモシンとイソデスモシンとを含んでいてもよい。これらの場合、第1態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る美容装置1の実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0014】
近年、幹細胞を用いた再生治療や細胞治療が注目されている。幹細胞とは、自己複製能と、様々な細胞に分化する能力(分化能力)とを持つ特殊な細胞である。幹細胞はこの2つの能力を持つため、組織の発生及び再生等を担う細胞であると考えられており、期待が集まっている。
【0015】
幹細胞の培養液である幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養する際に生じる上澄み液のことである。幹細胞培養上清液は、優れた生理的活性効果を備えた多くの成長因子やサイトカインを含むことで知られている。そして、この成長因子やサイトカインが、人体の皮膚の老化と損傷を抑制、防止する効果があるといわれている。このため幹細胞培養上清液を美容用組成物に適用する研究も行われている。
【0016】
人体の皮膚は、表皮と真皮との間に基底層を有する。基底層は、皮膚表面から深さ約0.2mmの位置に存在する。基底層では、細胞分裂が繰り返されることにより新しい細胞が作り出され、表皮及び真皮に供給される。このため、基底層を活性化させることが、皮膚の状態改善や老化防止を図る上で重要となる。本発明は、基底層を活性化させるための美容用組成物の1つとして、幹細胞培養上清液を用いるものである。
【0017】
幹細胞培養上清液を生成する過程で用いられる幹細胞として、間葉系幹細胞が好適に用いられる。なお、幹細胞は特定の組織由来のものに限定されず、任意の組織に由来するものであってよい。例えば、骨髄由来、臍帯由来、臍帯血由来、胎盤由来、歯髄由来、脂肪組織由来、羊膜由来等であってよい。なお、この中でも特に、臍帯由来又は羊膜由来の幹細胞が好適に用いられる。又、幹細胞のドナーとしては、アレルギーのリスク回避、及び親和性の観点から、ヒトであることが好ましいが、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ等であってもよい。又、ドナーは動物に限定されず、植物であってもよい。
【0018】
又、本発明では、幹細胞培養上清液にエラスチンを混合した混合液を、美容用組成物として用いる。エラスチンは、コラーゲン、ヒアルロン酸とともに主要な美容成分として知られている。エラスチンは、真皮においてコラーゲン繊維どうしを結び付けている。エラスチンは、皮膚のハリと弾力に寄与し、シワやたるみを防止するという働きを有することが知られている。
【0019】
幹細胞培養上清液に混合されるエラスチンとしては、架橋アミノ酸(デスモシン及びイソデスモシン)が含まれているエラスチンが好適に用いられる。デスモシン及びイソデスモシンは、エラスチンのみに含まれる特殊なアミノ酸であり、ペプチド鎖同士を架橋する働きを有する。なお、デスモシン及びイソデスモシンの含有量としては特に限定されないが、例えば、デスモシン及びイソデスモシンが1.0%以上含有された高純度エラスチンが好適に用いられる。高純度エラスチンは、アミノ酸組成がヒトエラスチンと類似し、且つ水溶性であるため、皮膚への吸収に適している。又、高純度エラスチンは、加熱に強く、美容成分が変性しないという利点がある。
【0020】
エラスチンとして、ブタ由来及び魚由来のエラスチンを用いることが可能であるが、特に、ブタ由来のエラスチンが好適に用いられる。
【0021】
更に、幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから15分~30分内に、混合液は対象者の皮膚に導入される。つまり混合液は、対象者の皮膚に導入される直前に生成される。この場合、幹細胞培養上清液とエラスチンとが混合されてから長時間保存された混合液が皮膚に導入される場合と比べて、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0022】
<美容装置1の概要>
図1に示すように、美容装置1は、混合器2、導入器3、及び制御装置4を含む。美容装置1は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合して対象者の皮膚に混合液を導入するために用いられる。
【0023】
混合器2は、シリンジ21及びピストン22を有する。シリンジ21には、幹細胞培養上清液とエラスチンとが封入される。幹細胞培養上清液及びエラスチンは、シリンジ21内で混合され、混合液が生成される。シリンジ21の先端に、チューブTの一端部が接続される。ピストン22は、シリンジ21内の混合液をチューブTに向けて押し出す。
【0024】
導入器3は、把持部31、及びヘッド32を有する。把持部31は、導入器3の使用時においてユーザにより把持される。把持部31の先端部にヘッド32が設けられる。ヘッド32は、チタン・バナジウム製である。ヘッド32は、30MHz~300MHzの電磁波(ラジオ波)を出力することが可能である。ヘッド32には、複数の微小ノズル32Aが設けられる。混合器2からチューブTを介して導入器3に流入した混合液は、ヘッド32の内部で圧力が高められる。圧力が高められた混合液は、複数の微小ノズル32Aから外部に噴射される。
【0025】
制御装置4は、ケーブルCを介して導入器3に接続する。制御装置4は、導入器3を制御してヘッド32から電磁波を出力させ、且つ、複数の微小ノズル32Aから混合液を噴射させる。制御装置4は、操作ボタン41を有する。操作ボタン41は、導入器3の稼働状態を切り替える場合においてユーザにより操作される。
【0026】
<美容方法>
図2を参照し、施術者が美容装置1を用いて対象者に施術を行う美容方法について説明する。
【0027】
はじめに施術者は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを、混合器2のシリンジ21に封入する(S11)。幹細胞培養上清液及びエラスチンは、シリンジ21内で混合され、混合液が生成される(S13)。次に施術者は、混合器2のピストン22を操作し、シリンジ21内の混合液を導入器3に供給する(S15)。制御装置4は、施術者が施術を開始するために操作ボタン41を押下するまでの間(S17:NO)、導入器3を制御し、ヘッド32内で混合液の圧力を高める。
【0028】
施術者は、導入器3の把持部31を把持し、対象者の皮膚にヘッド32を押し付ける。施術者は、この状態で、施術を開始するために制御装置4の操作ボタン41を押下する。
【0029】
制御装置4は、操作ボタン41の押下を検出した場合(S17:YES)、ヘッド32内で圧力が高められた混合液を、複数の微小ノズル32Aから噴射する(S19)。同時に制御装置4は、ヘッド32からの電磁波の出力を開始する(S19)。
【0030】
複数の微小ノズル32Aから噴射された高圧の混合液は、対象者の皮膚の皮膚表面から深さ約0.1mm~0.5mmの部分まで浸透し、この部分にある基底層に混合液が導入される。又、ヘッド32から電磁波が出力されることにより、対象者の皮膚は振動して熱を帯びる。この熱による温熱効果により、基底層に対する混合液の導入が促進される。以上の動作は、施術者が制御装置4の操作ボタン41を再度押下するまで継続される(S21:NO)。
【0031】
施術者は、対象者に対する施術を完了させる場合、施術を終了するために制御装置4の操作ボタン41を押下する。制御装置4は、操作ボタン41の押下を検出した場合(S21:YES)、ヘッド32からの電磁波の出力を停止し、複数の微小ノズル32Aからの混合液の噴射を停止する(S23)。以上により、美容方法は終了する。
【0032】
<本実施形態の作用、効果>
図3及び
図4は、それぞれ、美容装置1を用いた施術を行う前と行った後のそれぞれの皮膚の状態を示す。このように、美容装置1を用いて施術を行うことにより、皮膚の状態が改善することが明らかになった。このように、美容装置1は、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合器2により混合し、導入器3により皮膚に導入できる。従って美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止を実現できる。
【0033】
なお、混合器2において、幹細胞培養上清液とエラスチンとを混合することにより生成された混合液は、混合された直後、より詳細には、混合されてから15分~30分内に皮膚に導入される。この場合、予め生成された混合液が用いられる場合と比べて、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0034】
幹細胞培養上清液として、ヒト由来の幹細胞培養上清液が好適に用いられる。この場合、ヒト以外の動物や植物由来の幹細胞培養上清液が用いられる場合と比べて、皮膚に対する混合液の親和性を高めることができるので、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。又、幹細胞陪乗上清液として、臍帯由来又は羊膜由来の幹細胞培養上清液が用いられる。この場合、他の由来の幹細胞培養上清液が用いられる場合と比べて、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0035】
エラスチンとして、架橋アミノ酸(デスモシン及びイソデスモシン)が含まれているエラスチンが好適に用いられる。更に、エラスチンとして、架橋アミノ酸(デスモシン及びイソデスモシン)が1.0%以上含まれている高純度エラスチンが好適に用いられる。この場合、架橋アミノ酸が含まれないエラスチンが用いられる場合と比べて、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0036】
導入器3のヘッド32は、複数の微小ノズル32Aから高圧の混合液を噴射する。又、ヘッド32から出力される電磁波(ラジオ波)は、対象者の皮膚を振動させ温める。この場合、皮膚の基底層に対する混合液の導入効率を高めることができるので、美容装置1は、皮膚の状態改善や老化防止の効果を高めることができる。
【0037】
なお、美容装置1を用いて施術が行われた場合の効果は、皮膚の状態改善や老化防止だけでなく、他の様々な効果を奏する。例えば美容装置1を用いて顔の皮膚に施術が行われた場合、美白、肌のハリ艶、定着シミの改善、ニキビやニキビ跡の改善、クレーターの減少、たるみやシワの減少、炎症抑制等の効果を達成できる。又、例えば美容装置1を用いて体の皮膚に施術が行われた場合、バストアップ、妊娠線の解消、肉割れ線(ストレッチマーク)の解消、美白、色素沈着の解消等の効果を達成できる。又、美容装置1を用いて頭皮に施術が行われた場合、育毛及び増毛、髪質改善、白髪予防、頭皮環境の改善等の効果を達成できる。
【0038】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。美容装置1は、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えて他の物質を適宜混合し、混合液を生成してもよい。
【0039】
例えば、美容装置1は、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えて、細胞外マトリクス(Extracellular Matrix、以下、ECMという。)タンパク質を混合して混合液を生成してもよい。ECMタンパク質として、アグリン、フィラグリン、ムチン、分泌リンタンパク質24(骨基質)、ニドゲン、カドヘリン、クラスリン、コラーゲン、ディフェンシン、エンタクチン、フィブリリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ケラチン、ラミニン、微小管アクチン架橋因子1、SPARC様タンパク質、ネスプリン(ネスプリン1、ネスプリン2、ネスプリン3)、fibrous sheath-interacting protein、ミオメシン、ネブリン、ケラチノサイトプロリンリッチタンパク質、プラコフィリン、インテグリン、タリン、エクスポーチン、トランスポーチン、テネイシン、パールカン、ソルチリン関連受容体、テンシン、タイチン等が用いられてもよい。又、美容装置1は、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えてヒアルロン酸を混合して混合液を生成してもよい。
【0040】
また例えば、幹細胞培養上清液及びエラスチンに加えて、保湿剤、低級アルコール類、ビタミン類等、消炎剤、増粘剤、ゲル化剤、pH調整剤、シワ改善剤、各種抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤、水溶性高分子、防腐剤、油剤(油性物質)、皮膜形成剤、界面活性剤、油溶性ゲル化剤、着色剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、香料、酸化防止剤、キレート剤、乳化剤、乳化安定剤、生薬成分、色素、美白剤の少なくとも1つを混合して混合液を生成してもよい。
【0041】
美容装置1の混合器2は、上記実施形態のようにシリンジ21及びピストン22を含むものに限定されない。美容装置1の導入器3のヘッド32には、複数の微小ノズル32Aの代わりに複数の微小針が設けられてもよい。混合器2にて生成された混合液は、複数の微小針が皮膚に刺さることにより、基底層に導入されてもよい。
【0042】
<その他>
S11、S13の工程は、本発明の「混合工程」の一例である。S19の工程は、本発明の「導入工程」の一例である。
【符号の説明】
【0043】
1 :美容装置
2 :混合器
3 :導入器
32 :ヘッド
32A :微小ノズル