IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝シュネデール・インバータ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-機器、製品 図1
  • 特開-機器、製品 図2
  • 特開-機器、製品 図3
  • 特開-機器、製品 図4
  • 特開-機器、製品 図5
  • 特開-機器、製品 図6
  • 特開-機器、製品 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176343
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】機器、製品
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20241212BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20241212BHJP
【FI】
G06F21/62 309
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094813
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】302038844
【氏名又は名称】東芝シュネデール・インバータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】河合 正
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】紙資源の消費を削減することができるとともに、使用中の機器の詳細取扱情報への容易なアクセスと、使用していない機器の詳細取扱情報へのアクセスの抑制とを両立することができる機器、製品を提供する。
【解決手段】実施形態の機器としてのインバータ装置1は、詳細取扱情報がネットワーク3経由で提供されるものであって、詳細取扱情報を閲覧するための誘導情報として、機器に固有に付されているシリアル番号の少なくとも一部が暗号化された情報、または、シリアル番号の少なくとも一部が暗号化された情報を含む情報を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
詳細取扱情報がネットワーク経由で提供される機器であって、
前記詳細取扱情報を閲覧するための誘導情報として、機器に固有に付されているシリアル番号の少なくとも一部が暗号化された情報、または、前記シリアル番号の少なくとも一部が暗号化された情報を含む情報を提供する機器。
【請求項2】
前記誘導情報として、機器に設けられているオプション品の情報を含めて提供する請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記誘導情報として、機器の稼働情報、または、機器の寿命予測情報を含めて提供する請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記誘導情報として、機器に設定されている設定情報を含めて提供する請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記誘導情報として、前記機器の保護動作に関する情報を含めて提供する請求項1に記載の機器。
【請求項6】
詳細取扱情報がネットワーク経由で提供される機器を含む製品であって、
付属物または梱包部材の少なくとも一方に、前記詳細取扱情報を閲覧するための誘導情報として、機器に固有に付されているシリアル番号の少なくとも一部が暗号化された情報、または、前記シリアル番号の少なくとも一部が暗号化された情報を含む情報が記されている製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、機器、製品に関する。
【背景技術】
【0002】
機器を購入する際には、機器そのものだけでなく、例えば取扱説明書などが添付または同梱された製品として購入することが一般的である。そして、従来では、紙資源の節約を目的として、紙媒体の付属物としては簡単な操作方法や問い合わせ先などの情報を記載した印刷物を添付し、詳細な取扱説明書については例えばCD-ROMやDVDなどの光学メディアで電子ファイルとして提供することが行われていた。
【0003】
しかし、光学ドライブを標準装備したパソコンが減ってきていること、また、いわゆるスマートフォンやタブレットのような光学ドライブを備えていない携帯端末などが普及していることから、使用者が光学メディアを読み取る環境を有していないことが想定される。さらに、同梱物が多くなると、製品としての体積や重量の増加による輸送時の環境負荷が増加するという問題もある。そのため、近年では、製品には簡易的な取扱説明書を添付し、詳細な取扱説明書については例えばインターネットなどのネットワーク経由でアクセスできるようにすることが増えてきている。このような提供方法であれば、紙資源の消費を削減することができるとともに、例えば取扱説明書を改定したような場合であっても迅速に最新の情報を提供することができると考えられる。
【0004】
ところで、例えば営業上の理由などにより、詳細な取扱説明書へのアクセスを実際の使用者に限定し、不特定多数からのアクセスは制限したいという状況が想定される。以下、取扱説明書のような機器の詳細な機能や取り扱いを説明するための情報を詳細取扱情報と称する。また、この詳細取扱情報は、紙媒体で提供していた取扱説明書を電子ファイル化したものに限らず、音声やアニメーションあるいは映像などによって機能や取り扱いを説明するものも含まれる。
【0005】
さて、詳細取扱情報へのアクセスを限定する手法としては、例えば使用者にユーザ登録をしてもらうことが考えられる。これにより、登録された使用者に限定して詳細取扱情報を提供でき、詳細取扱情報へのアクセスを制限することが可能になると考えられる。しかし、ユーザ登録のための手続きが必要であること、また、機器の種類によってはユーザ登録の申請後に審査があることなどから、実際の使用者であっても初期設定や故障時の対応に時間がかかるおそれがある。
【0006】
また、例えば特許文献1に開示されているように、機器のシリアル番号を入力させることにより、実際に購入した使用者に対して取扱説明書を提供することが考えられる。しかし、機器の種類によってはシリアル番号の書式が公開されていることがあり、その場合には、公開されている情報に基づいてシリアル番号を類推することで、機器を所有していなくても、あるいは、使用中の機器とは異なる機器であっても、詳細取扱情報にアクセスできてしまうおそれがある。
【0007】
また、機器の種類によっては、詳細取扱情報に記載されている技術情報が輸出管理の対象となることがある。例えば、産業用の機器であるインバータ装置は、周波数変換器を使用するための技術情報が詳細取扱情報として提供されており、その技術情報がいわゆるキャッチオール規制の対象となっている。そのため、輸出管理の対象となる機器の場合には、不特定多数からの詳細取扱情報へのアクセスを制限することが求められる一方、設置やメンテナンスなどで詳細取扱情報を必要としている実際の使用者に対しては容易かつ迅速に提供できることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002-183358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、紙資源の消費を削減することができるとともに、詳細取扱情報への容易なアクセスと、不特定多数からの詳細取扱情報へのアクセスの抑制とを両立することができる機器、製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の機器は、詳細取扱情報がネットワーク経由で提供されるものであって、詳細取扱情報を閲覧するための誘導情報として、機器に固有に付されているシリアル番号の少なくとも一部が暗号化された情報、または、シリアル番号の少なくとも一部が暗号化された情報を含む情報を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態による機器の一例としてのインバータ装置を示す図
図2】詳細取扱情報にアクセスする態様の一例を示す図
図3】機器を含む製品の構成例を示す図
図4】第2実施形態による他の誘導情報の構成例を示す図
図5】第3実施形態による誘導情報の表示例を示す図
図6】誘導情報の他の表示例を示す図
図7】第4実施形態による機器の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。また、各実施形態において実質的に共通するものには同一符号を付して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。本実施形態では、機器の一例として、図1に示すインバータ装置1を想定している。このインバータ装置1は、製造履歴管理や品質保証対応などを目的として、固有のシリアル番号が付されており、シリアル番号は、例えば図2に示す側面の銘版2に、型番や定格などとともに記されている。なお、対象となる機器は、インバータ装置1のような産業用の機器単体に限らず、インバータ装置1を内蔵した機器や、他の産業用の機器を対象としてもよいし、いわゆる電子機器や電気機器あるいは機械装置などを対象とすることができる。また、例えば携帯電話やデータ通信カードに付されている国際移動体装置識別番号(IMEI番号)や、ネットワークインターフェースに付されているMACアドレス(Media Access Control address)のように、各機器に固有に付されているものであればシリアル番号の一種と考えられ、本発明の対象に含まれる。
【0014】
このインバータ装置1は、詳細な機能や取り扱い方法、使用する際の詳細な技術情報などが含まれた情報である詳細取扱情報が、後述する図2に示すように例えばインターネットのようなネットワーク3経由で提供されるものとなっている。なお、詳細取扱情報に含める情報は、インバータ装置1の製造会社や販売会社が適宜設定することができる。以下、インバータ装置1の製造会社や販売会社を便宜的に提供側と称する。
【0015】
このインバータ装置1の正面には、二次元コード4が印字されたラベル5が貼付されている。この二次元コード4は、使用中の機器の詳細取扱情報を閲覧するための誘導情報に相当し、本実施形態では、後述するように詳細取扱情報にネットワーク3経由でアクセスする際のアクセス先を、使用中のインバータ装置1の詳細取扱情報へと限定的に誘導するための情報として提供される。また、シリアル番号が各インバータ装置1に固有のものとなっていることから、二次元コード4も各インバータ装置1に固有のものとなっている。
【0016】
さて、詳細取扱情報には、上記したようにインバータ装置1の詳細な機能や取り扱い方法、使用する際の詳細な技術情報などが含まれている。そのため、営業上の理由などにより、詳細取扱情報へのアクセスを実際の使用者に限定して、不特定多数からのアクセスを制限したいという状況が想定される。特に、インバータ装置1は、機器単体においても輸出管理の対象となっているとともに、詳細取扱情報に含まれる例えば周波数変換器を使用するための技術情報も輸出管理の対象となっており、詳細取扱情報へのアクセスを制限することが求められる。
【0017】
そのため、本実施形態では、誘導情報を用いることにより、紙資源の消費を削減することができるとともに、使用中の機器の詳細取扱情報への容易なアクセスと、使用していない機器の詳細取扱情報へのアクセスの抑制とを両立することを可能としている。まず、インバータ装置1に添付されている二次元コード4には、一例ではあるが、提供側が用意したWebサイトのアドレスと、クエリパラメータとしてシリアル番号を暗号化した情報とが付加されたURLが誘導情報として記述されている。換言すると、インバータ装置1は、機器に固有に付されているシリアル番号が暗号化された情報を含む情報を二次元コード4として提供している。そして、インバータ装置1のシリアル番号は、一例ではあるが、「INV001A002」のように先頭の3桁が機器の種類を示し、次の4桁が製造年月日を示し、最後の3桁が通し番号を示すといった予め定められた書式で付されており、その書式が公開されていることがある。なお、シリアル番号を暗号化するための暗号化技術は、既存の技術を用いてもよいし、提供側で独自の新技術を用いてもよい。また、どのような暗号化技術を用いているかは、提供側で秘匿すればよい。
【0018】
例えば、提供側が用意したWebアドレスが「https://www.?????.co.jp/Manuals/」であり、上記したシリアル番号を暗号化した情報が「BDtpm41ZqSqaso6OHr0eYSU+wJ7ROGFD」であったとする。この場合、二次元コード4で提供される誘導情報は、「https://www.?????.co.jp/Manuals/?s=BDtpm41ZqSqaso6OHr0eYSU+wJ7ROGFD」となる。なお、上記「?」はWebアドレス部とクエリパラメータ部を分けるための符号を意味し、上記「s」はパラメータの名前、上記「=」はパラメータの名前と値を対応させる符号を意味している。だたし、ここで示したWebアドレスやクエリパラメータは一例であり、型番等が入ったアドレスや他のクエリパラメータを有することもある。なお、「www.?????.co.jp」はドメイン名であるが、実在する会社名と被らないようにするために、便宜的に「?????」という存在しないドメイン名としている。
【0019】
そして、使用者は、図2に示すように、自身の操作端末10のカメラ11で誘導情報としての二次元コード4を撮像し、その誘導情報に基づいて端末通信部12を介して詳細取扱情報が用意されている情報提供サーバ20にアクセスし、端末表示部13で詳細取扱情報を閲覧する。なお、操作端末10は、例えばパソコンや、いわゆるスマートフォンやタブレットなどの携帯端末などを想定している。
【0020】
情報提供サーバ20は、ネットワーク3経由でのアクセスを受け付けるためにWebサーバ21が動作しており、サーバ通信部22にて操作端末10からのアクセスを受け付けると、サーバ側記憶部23に記憶している対応する詳細取扱情報を提供する。この情報提供サーバ20には、詳細取扱情報として、例えば種類Aのインバータ装置1の詳細取扱情報である詳細取扱説明書A、種類Bのインバータ装置1の詳細取扱情報である詳細取扱説明書B、種類Cのインバータ装置1の詳細取扱情報である詳細取扱説明書Cなどが用意されている。
【0021】
また、情報提供サーバ20には、各種の異常への対処を説明するためのトラブル対処例や、例えばトリップのような機器の保護動作が発生した際の対処を示すトリップ対処法といった技術情報が詳細取扱情報として用意されている。さらに、情報提供サーバ20には、後述する図7に示すオプション品に関する取扱いや技術情報を説明するオプション情報Aやオプション情報Bなどが詳細取扱情報として用意されている。ただし、図2に示す詳細取扱情報は一例であり、情報提供サーバ20に用意されている詳細取扱情報の数や種類はこれに限定されない。
【0022】
そして、情報提供サーバ20は、操作端末10からアクセスされた際の誘導情報に含まれている暗号化されたシリアル番号を認証機能部24で復号する。これにより、情報提供サーバ20は、実際に使用されているシリアル番号に対応した詳細取扱情報を提供することになる。これにより、操作端末10の画面に、使用中のインバータ装置1の詳細取扱情報が表示される。
【0023】
この場合、情報提供サーバ20は、シリアル番号に対応した詳細取扱説明書を直接的に表示させたり、シリアル番号に対応した複数の詳細取扱情報が例えば一覧表示されているWebページを使用者に閲覧して選択させたり、対応する詳細取扱情報が用意されている別のWebページに転送させたり、それらを組み合わせたりすることにより、使用者に対して詳細取扱情報を提供する。これにより、使用者は容易に詳細取扱情報にアクセスすることができるようになる。
【0024】
このように、詳細取扱情報がネットワーク3経由で提供される機器であって、詳細取扱情報を閲覧するための誘導情報として機器に固有に付されているシリアル番号が暗号化された情報を提供することにより、仮にシリアル番号を知ったとしても、暗号化手法が分からなければ詳細取扱情報にアクセスすることができなくなる。また、本実施形態のように、詳細取扱情報にネットワーク3経由でアクセスする際のアクセス先を、使用中の機器の詳細取扱情報へと誘導するためのURLとして提供することにより、容易に詳細取扱情報を閲覧することができる。
【0025】
そのため、製造履歴管理や品質保証対応などのために通し番号が付されていて、シリアル番号の推測が比較的容易な機器であっても、詳細取扱情報を実際の使用者に限定的に提供することが可能となり、不特定多数からの詳細取扱情報へのアクセスを制限することができる。そして、詳細取扱情報へのアクセスを制限できることは、インバータ装置1のように購入時とは異なる他の用途に転用が可能な機器や、そのような機器を内蔵した機器であって、特に輸出管理の対象となる機器において、非常に有意義なものとなる。
【0026】
また、使用者は誘導情報をカメラ11で撮像することにより簡単に目的の情報にアクセスできるようになる。また、インバータ装置1に誘導情報を貼付することにより、実際の現場で必要な情報を見ることができるようになり、設置時やメンテナンス時に非常に有意なものとなる。また、機器が故障して電源が入らなくても、あるいは、電源を入れるのが好ましくない状況であっても、詳細取扱情報を閲覧することができるため、特に産業用の機器において非常に有意なものとなる。
【0027】
また、誘導情報を用いる構成は、従来のCD-ROMや紙媒体に印刷したものを提供する場合と同等のアクセス制限が可能であると考えられるため、輸出管理に適している。
また、例えば複数人で作業する場合であっても、それぞれの操作端末10から容易に詳細取扱情報にアクセスできることから、作業性を大きく向上させることができる。
【0028】
また、銘版2とは別の場所に誘導情報を貼付することにより、仮に銘版2が撮影されても誘導情報が映らない可能性があることから、誘導情報の流出が抑制されると期待できる。この場合、誘導情報を、例えばインバータ装置1のカバーの内側など、外観を撮影しても写りづらい箇所に貼付することで、誘導情報の流出の抑制を期待できる。
【0029】
ところで、インバータ装置1などの機器を購入する場合には、図3に示すように、インバータ装置1と、製品安全に関連する事項やUL規格(米国)あるいはCEマーキング(欧州)といった規格または規制対応上必要とされる事項を記載して機器に同梱される付属物30、および、それらを梱包する梱包部材31を含む製品32として購入することが一般的である。そのため、誘導情報は、付属物30や梱包部材31に貼付あるいは印字して提供することもできる。この場合、誘導情報をインバータ装置1に貼付する代わりに付属物30または梱包部材31の少なくとも一方に貼付してもよいし、付属物30および梱包部材31の双方に貼付してもよいし、インバータ装置1に貼付した上で、さらに付属物30または梱包部材31の少なくとも一方あるいは双方に貼付してもよい。
【0030】
このように、詳細取扱情報がネットワーク3経由で提供される機器を含む製品32であって、付属物30または梱包部材31の少なくとも一方に、詳細取扱情報を閲覧するための誘導情報として機器に固有に付されているシリアル番号が暗号化された情報を含む情報が記されている製品32によっても、上記したように、詳細取扱情報を実際の使用者に限定的に提供することが可能となり、不特定多数からの詳細取扱情報へのアクセスを制限することができる。
【0031】
また、詳細な取り扱いを説明するための詳細取扱情報をネットワーク3経由で提供するためのシステムであって、使用中の機器の詳細取扱情報を閲覧するための誘導情報としてシリアル番号の少なくとも一部が暗号化された情報を含む情報を提供する機器からのアクセスに基づいて、シリアル番号に対応する詳細取扱情報を提供する情報提供システム100によっても、簡単に目的の情報にアクセスできるとともに、詳細取扱情報を実際の使用者に限定的に提供することが可能となり、詳細取扱情報へのアクセスを制限することができるなど、上記した機器と同様の各種の効果を得ることができる。
【0032】
また、情報提供サーバ20側においてアクセス元のIPアドレスなどの位置情報に基づく制限を課す構成と組み合わせることができる。これにより、例えば国内からのアクセスについては制限せず、海外からのアクセスについては制限するといった対応をとることが可能となる。この場合、アクセスを完全に制限してもよいし、一部の重要情報へのアクセスを制限してもよい。また、IPアドレスなどの位置情報に基づいて使用者の言語を判定し、その言語に応じた情報を提供することによって、詳細取扱情報への容易なアクセスを実現することも可能となる。
【0033】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なる誘導情報の例について説明する。なお、第2実施形態では第1実施形態で説明したインバータ装置1を想定しているため、図1も参照しながら説明する。
【0034】
第1実施形態では、機器に固有に付されているシリアル番号の全体を暗号化した情報を含むURLを誘導情報とする構成を例示したが、図4に誘導情報例その1として示すように、例えば「INV001A002」というシリアル番号の全体を暗号化した情報を誘導情報として提供する構成とすることができる。この場合、インバータ装置1に貼付したり、付属物30や梱包部材31に貼付したりすることができる。
【0035】
あるいは、誘導情報例その2として示すように、例えば「INV001A002」というシリアル番号のうち「A002」のように、シリアル番号の一部を暗号化した情報を誘導情報として提供する構成とすることができる。すなわち、詳細取扱情報へと誘導するための誘導情報として、シリアル番号の少なくとも一部が暗号化された情報を提供する構成とすることができる。この場合、インバータ装置1に貼付したり、付属物30や梱包部材31に貼付したりすることができる。
【0036】
この場合、ネットワーク3経由でアクセスする際のWebサイトのアドレスについては付属物30に印字することなどにより提供すればよい。そして、インバータ装置1の使用者は、操作端末10からWebサイトにアクセスし、誘導情報をカメラ11で撮像して得られる暗号化されたシリアル番号を入力したり、カメラ11で撮像した誘導情報そのものを情報提供サーバ20にアップロードしたりする。これにより、情報提供サーバ20側では誘導情報の認証および復号が行われ、対応する詳細取扱情報が提供されるようになり、使用者は、操作端末10の画面で詳細取扱説明書などを閲覧することができる。
【0037】
また、第1実施形態で説明した製品32として、付属物30または梱包部材31の少なくとも一方に、シリアル番号の少なくとも一部が暗号化された情報として誘導情報が記されている構成によっても、同様の効果を得ることができる。
【0038】
また、誘導情報例その3として示すように、第1実施形態で説明したアクセス先のURLを一次元コード40とした誘導情報を提供する構成とすることができる。勿論、上記したようにシリアル番号を暗号化した情報、あるいは、シリアル番号の一部を暗号化した情報を一次元コード40とした情報を、誘導情報として提供することができる。この場合、インバータ装置1に貼付したり、付属物30や梱包部材31に貼付したりすることができる。このような構成によっても、詳細取扱情報を実際の使用者に限定的に提供することが可能となり、詳細取扱情報へのアクセスを制限することができる。この場合、誘導情報に加えて、銘版2に記載されているシリアル番号の入力を求める構成としてもよい。
【0039】
また、誘導情報例その4として示すように、アクセス先のURLやシリアル番号あるいはシリアル番号の少なくとも一部を暗号化した情報を、テキストコード41とした誘導情報を提供する構成とすることができる。この場合、インバータ装置1に貼付したり、付属物30や梱包部材31に貼付したりすることができる。このような構成によっても、詳細取扱情報を実際の使用者に限定的に提供することが可能となり、詳細取扱情報へのアクセスを制限することができる。この場合、誘導情報に加えて、銘版2に記載されているシリアル番号の入力を求める構成としてもよい。
【0040】
また、誘導情報としては、二次元コード4や一次元コード40あるいはテキストコード41などではなく、画像として提供したり、目視できない状態で提供したりする構成とすることができる。この場合、画像としてはシリアル番号に基づいて生成されたランダムな画像などを利用したり、目視できない状態としてはいわゆる電子透かしの技術を利用したり隠し文字を挿入したりすればよい。そして、その画像を情報提供サーバ20にアップロードして元になったシリアル番号を復元することで、使用者は詳細取扱情報にアクセスすることができる。すなわち、このような構成によっても、詳細取扱情報へのアクセスを制限することができるなど、第1実施形態と同様の各種の効果を得ることができる。
【0041】
この場合、誘導情報に加えて、銘版2に記載されているシリアル番号の入力を求める構成としてもよく、それにより、より確実に詳細取扱情報へのアクセスを制限することが可能になる。また、第1実施形態で説明したように、情報提供サーバ20側においてアクセス元のIPアドレスなどの位置情報に基づく制限を課す構成とすることもできる。
【0042】
また、上記では第1実施形態とは異なる誘導情報の例を説明したが、例えばインバータ装置1には第1実施形態で説明した誘導情報を貼付し、付属物30や梱包部材31には第2実施形態の誘導情報を印字する構成としたりすることができるし、インバータ装置1には第2実施形態で説明した誘導情報を貼付し、付属物30や梱包部材31には第1実施形態の誘導情報を印字する構成としたりすることができる。すなわち、第1実施形態と第2実施形態とは組み合わせることができる。
【0043】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態や第2実施形態のように誘導情報を予め提供するのではなく、使用者が必要とするときに誘導情報を提示可能にした構成例について説明する。なお、第3実施形態は第1実施形態や第2実施形態と組み合わせることができるため、図1から図4も参照しながら説明する。
【0044】
インバータ装置1は、図1に示すように操作パネル6にディスプレイ6aを備えている。また、インバータ装置1は、一般的にシリアル番号を内部的にソフトウェア情報として記憶しているので、シリアル番号を把握することができる。そのため、操作パネル6からの操作に基づいて誘導情報をディスプレイ6aに表示させる構成とすることができる。
【0045】
この場合、例えば第1実施形態で説明したようにWebサイトのアドレスとシリアル番号を暗号化した情報とを含むURLを誘導情報として表示したり、第2実施形態で説明したように、シリアル番号だけを暗号化した誘導情報を表示したり、一次元コード40やテキストコード41の誘導情報を表示したりすることもできる。
【0046】
また、図5に示すようにディスプレイ6aが7セグメント表示器で構成されている場合には、矢印Fにて示すようにダイアル6bを回すことにより、第2実施形態で説明したテキストコード41を1文字ずつずらして表示することができ、誘導情報を使用者に提供することができる。なお、一度のダイアル6bの操作で表示桁数分だけ誘導情報をずらして表示する構成とすることもできる。
【0047】
あるいは、図6に示すように、操作パネル6のディスプレイ6aが液晶パネルで構成されている場合には、操作パネル6からの操作に基づいて、第1実施形態や第2実施形態で説明した各種の態様の誘導情報を表示させる構成とすることができる。このような構成によっても、詳細取扱情報へのアクセスを制限することができるなど、第1実施形態と同様の各種の効果を得ることができる。
【0048】
また、ディスプレイ6aに誘導情報を表示する場合には、インバータ装置1に電源を配線し、電源を投入した状態でのみ誘導情報が提示されることから、例えば中古品のEコマースサイトで製品32写真が流出しても詳細取扱情報へのアクセスができず、不当に詳細情報にアクセスされるリスクを低減することが可能となる。なお、故障等により電源が入らない状況も想定されるが、第1実施形態や第2実施形態と組み合わせることにより利便性を向上させることができる。
【0049】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、機器単体に限らず、他の情報を含めて誘導情報とする構成例について説明する。換言すると、第4実施形態では、予め定められた誘導情報だけでなく、実際の利用状況に応じた誘導情報の提示を可能にしている。なお、第4実施形態は、第1実施形態から第3実施形態と組み合わせることができるため、図1から図6も参照しながら説明する。
【0050】
図7に示すように、インバータ装置1は、例えば操作パネル6、制御回路51、主回路52、ファン53、記憶部54などを備えている。そして、インバータ装置1は、設定されたパラメータに基づいて制御回路51から制御信号を主回路52に出力し、主回路52で商用電源を変換して負荷55に電力を供給する。負荷55としては、例えばポンプ、コンプレッサ、搬送機械あるいは昇降機械などが想定される。
【0051】
また、インバータ装置1は、主回路52に設けられている図示しない電流センサや電圧センサなどの各種のセンサの検出結果に基づいて出力や通電時間などの運転状態、短絡や地絡といった異常状態を検出し、保護動作としてトリップ状態とすることが可能となっている。検出された各状態やパラメータは、稼働情報、設定情報、異常情報、トリップ情報として記憶部54に記憶される。このとき、各情報は時刻と関連付けられて記憶される。
【0052】
また、ファン53は、例えば温度や通電時間に基づいた耐用年数が設定されており、ファン53の通電時間などの情報も稼働情報として記憶部54に記憶される。また、インバータ装置1は、各種のオプション品が取り付け可能となっている。図7の場合、インバータ装置1には、外部の装置と通信するための通信ユニット56、ノイズを低減するためのノイズフィルタ57がオプション品として設けられている。そして、どのようなオプション品がインバータ装置1に設けられているかは、オプション情報として記憶部54に記憶されている。なお、オプション品にカッコ書きで付している「OPA」、「OPB」は種類を示す情報であり、例えば型番やシリアル番号などに相当する。なお、図7に示すオプション品は一例であり、例えば入力リアクトル、直流リアクトル、制動ユニット、制動抵抗器、サージ電圧抑制フィルタ、通信ユニットなどをオプション品として取り付けることもできる。また、オプション品としては、機器に外付けされるものと、工場出荷時に機器内に内蔵されるものの両方が想定されるため、図7では意図的に、インバータ装置1に外付けされるオプション品の例として通信ユニット56を例示し、インバータ装置1に内蔵されるオプション品の例としてノイズフィルタ57を例示している。
【0053】
さて、上記した各情報を記憶部54に記憶することにより、インバータ装置1は、必要な時にそれらの情報を読み出すことができる。そのため、インバータ装置1は、以下に説明するように複数の情報をまとめた形の誘導情報を、使用者が必要とするときにその都度表示することが可能となる。
【0054】
例えば、シリアル番号を暗号化した情報に加えて、インバータ装置1に設けられているオプション品の情報を含む誘導情報を、図4に示す二次元コード4や一次元コード40、あるいは、テキストコード41といった態様で表示することができる。この場合、オプション品の情報については暗号化してもよいし、暗号化しなくてもよい。つまり、誘導情報として機器に設けられているオプション品の情報を含めて提供する構成とすることができる。
【0055】
そして、使用者は、オプション品の情報が含まれた誘導情報をカメラ11で撮像して情報提供サーバ20にアクセスすることにより、詳細取扱情報に加えて、例えば図2に示したオプション情報Aやオプション情報Bなどの詳細取扱情報を操作端末10で選択的に閲覧したり、まとめて閲覧したりすることができる。したがって、詳細取扱情報へのアクセスを制限することができるなど、第1実施形態から第3実施形態と同様の各種の効果を得ることができるとともに、オプション品の取扱説明書へのアクセスを容易にすることができ、また、アクセス可能なオプション品の取扱説明書を制限することなども可能となる。
【0056】
あるいは、誘導情報として、機器の稼働情報、または、機器の寿命予測情報を含めて提供する構成とすることができる。稼働情報は、インバータ装置1であれば例えば電源投入時間、負荷55駆動時間、ファン53の運転時間などが想定される。なお、インバータ装置1に限らずオプション品の稼動情報を含めてもよい。寿命予測情報は、稼働時間や耐用年数などから求まる情報であり、例えば耐用年数までの残り時間や日数あるいは年数などであり、定期的なメンテナンスが必要な部材については次のメンテナンスまでの残り時間や日数などが想定される。また、誘導情報としては、稼動情報または寿命予測情報の少なくとも一方を含むものであってもよいし、双方を含むものであってもよい。また、稼動情報や寿命予測情報については、暗号化してもよいし、暗号化しなくてもよい。
【0057】
そして、使用者は、誘導情報をカメラ11で撮像して情報提供サーバ20にアクセスすることにより、詳細取扱情報に加えて、稼働情報や寿命予測情報に基づいて、寿命が近い部材やメンテナンスが必要となる機器のメンテナンス方法などの役立つ情報を選択的に閲覧することなどが可能となる。したがって、詳細取扱情報へのアクセスを制限することができるなど、第1実施形態から第3実施形態と同様の各種の効果を得ることができるとともに、使用時に役立つ情報も容易に得ることができる。
【0058】
また、誘導情報として、機器に設定されているパラメータなどの設定情報を含めて提供する構成とすることができる。この場合、設定情報については、暗号化してもよいし、暗号化しなくてもよい。また、インバータ装置1に設定可能な全てのパラメータを誘導情報とするのではなく、一部の主要なパラメータを誘導情報に含める構成とすることができる。この場合、ダイアル6bや複数のスイッチ6cを操作することにより、パラメータのプロパティとして誘導情報に含めるか否かを設定可能とし、例えば「0」であればそのパラメータは誘導情報に含めず、「1」であればそのパラメータは誘導情報に含めるとすることにより、パラメータごとに誘導情報に含めるか否かを設定することができる。勿論、誘導情報に含めるか否かを一括して設定できる構成としてもよい。
【0059】
この設定情報の一例としては、例えばインバータ装置1には用途を示す「AUA」というパラメータがあり、その値が「3」に設定されていれば搬送装置用であり、設定値が「6」であればポンプ用といったように用途を把握することができる。そのため、「AUA」のパラメータを誘導情報に含めることにより、使用者は、用途別の設定方法などの詳細取扱情報を閲覧することが可能となる。なお、パラメータの種類は一例であり、これに限定されない。
【0060】
また、設定変更されたパラメータを誘導情報に含める構成とすることができるし、パラメータの設定変更の有無を誘導情報に含める構成とすることができる。これにより、設定変更に伴う発生する不具合に関する情報や、設定変更する際の説明やガイダンスなどの情報を選択的に情報提供サーバ20から取得することが可能となる。また、ディスプレイ6aに誘導情報を表示させる際には、使用者が誘導情報に含めるパラメータを選択可能にすることができ、これにより、使用者が求める情報を的確に得ることができるようになる。
【0061】
また、誘導情報として、機器の保護動作に関する情報を含めて提供する構成とすることができる。この場合、保護動作に関する情報については、暗号化してもよいし、暗号化しなくてもよい。この保護動作に関する情報情報としては、例えば情報提供サーバ20にアクセスする時点でトリップが発生しているか否か、あるいは、過去に発生したトリップの時系列での履歴などが想定される。
【0062】
これにより、使用者は、例えばトリップの説明やトリップの判定基準となる電流値や電圧値の情報などが含まれたトリップ対処法などの詳細取扱情報を容易に閲覧することができるとともに、現時点でトリップが発生していることが誘導情報に含まれていれば、情報提供サーバ20側でトリップ対処法を選択的あるいは優先的に表示させるといった対応が可能となり、利便性を大きく上場させることができる。また、過去に発生したトリップの履歴を含めれば、トリップが発生してリセットしたのちに使用者が詳細取扱情報にアクセスした場合にもトリップ対処法を表示させるといった対応が可能となり、利便性を大きく上場させることができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
図面中、1はインバータ装置(機器)、3はネットワーク、4は二次元コード(誘導情報)、30は付属物、31は梱包部材、32は製品、40は一次元コード(誘導情報)、41はテキストコード(誘導情報)、56は通信ユニット(オプション品)、57はノイズフィルタ(オプション品)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7